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労働者派遣法が改正される方向で進められています。
今回の主な改正趣旨としては、
(1)特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。
(2)すべての業務に3年の期間制限
となっていて、私の個人的感想を言えば、可もなく不可もなくどうでもいいやという感じですが、労組を中心として反対意見の声は根強く出ています。
派遣労働者の数は、全雇用労働者(5522万人)に占める割合からするとわずか1.6%、非正規労働者(1813万名)の割合からしてもたったの5%足らずという少なさでありながら、なぜこの派遣労働だけがいつも非難の的にされるのかがよくわかりません。
本当なら、非正規雇用の中で多くを占めるアルバイト・パートや、契約社員、嘱託について、社会の保険加入、最低賃金の引き上げや労働条件の改善、希望する人の正社員登用などをもっと強く訴えかけるべきではないのかなといつも思ってしまいます。
総務省統計局 平成24年 労働力調査年報より雇用者の就業状態をグラフ化
さらに言うと正社員雇用に就けない(就きたくない)ので、契約社員や派遣などに頼っている人達の意見も取り入れて、転勤のない地域限定正規社員制度とか、介護や子育てのために時短就労が可能な正社員制度の導入推進活動、有給休暇の完全取得促進、そして正社員の残業を減らし、中小企業では当たり前の違法状態の残業を厳しく取り締まる法律を作らせるとか、他にやることあるでしょ?って言いたいところです。
なにも1.6%の派遣労働者のために、国会を揺さぶっての大騒ぎなどしなくってもってところですが、これが日本の中では普通にまかり通っている「巨悪には目をつぶり、些細なことは針小棒大に祭り上げて糾弾する」、こそくな役人どもと、それに付き従うマスコミがよく使う手で、その手を盲目的に労組までが使ってどうするよと言いたいところです。
そして、それには話題性を高めるため「年越し派遣村」などと実体を伴わない名称を付け、自分の名前を売りこみ、知らない間に内閣府などの潜り込みに成功した湯浅なにがしの戦略が効いたのは言うまでもありません。
さて、まず(1)の派遣事業の許可制ですが、正社員として雇った人を別の企業などに派遣をする場合の特定派遣事業について届け出制から許可制に移行というのは、事業者にとってはちょっと気の毒な感じがします。
特定派遣事業だけやってきた事業者の手間や経費が増えることで、当然ながらその分派遣労働者の賃金にしわ寄せがいき、さらに面倒なお役所への申請作業に嫌気して事業を撤退するところも出てくるでしょう。
ま、事業をやるやらないは自由ですが、そこからあふれた派遣労働者は失業し、新たな就職先を探さなければなりません。
許可制に変わって嬉しいのは権限がより強化される厚生労働省や地方の労働局、ハローワークなど、官僚や役人達だけ。
つまり仕事が増える(=予算が増える)のと、さじ加減でどうにでもできる支配下の派遣事業者が増え(権限が大きくなる)、天下り先の確保にも有効です。
(2)の期間制限については、コロコロとよく変わるので、なにがなんだかよくわかりませんが、今まで期間に制限のなかった職種においても3年以内という制限が設けられるということで、これに対してなぜ労組が反対するのかわかりません。
人材派遣は元々テンポラリー(臨時)システムとも言われるとおり、あくまで臨時雇い的なところからスタートしています。
しかし業種や職種によっては臨時とは1日なのか、1ヶ月なのか、1年なのか、3年なのか曖昧なところがあり、例えば、リニアモーターカーの建設や、東京オリンピックみたいな大きなプロジェクトなどは5年10年単位の一時的な仕事やその雇用も考えられます。
ノーベル賞を受賞した学者さんが、あるプロジェクトで研究結果が出るまでには何年もかかるが、その研究を手伝ってくれる専門性の高い派遣社員(契約社員?)の期限(補助金対象期間)が決められていて困ると訴えていたこともあります。
ハッキリと期間が決まっている仕事であれば、3年以内なら派遣、それ以上なら契約社員とか、まだ対応できますが、そうではない場合に融通が利かず困る人も出てくるのでしょう。
ま、でも一般的にさすがに3年以上継続する場合は臨時的とは言えないでしょうということから、3年以内で決まったようなところもあり、今回ひとつの企業の同一職種で3年以上同じ人を派遣してはならぬということが決まれば、誰でもできる仕事なら3年置きに事業者は派遣社員を入れ替えるだけのことで、入れ替えられてしまうことになる「3年前よりは確実に3歳年齢が上がった労働者」は、また仕事探しを始めなければならず、すぐに次の仕事にありつけなければ失業してしまうという憂き目に遭うことになります。
いったい誰のための3年制限なのでしょうかね。
長期の就労を希望していても、3年以上はダメよと、それが嫌なら正規雇用に就きなさいというのが国の考え方なのでしょうが、残業や転勤ができなくて正社員雇用を求めない人や、自分で働く地域を選び、家事や介護の関係で定時勤務を事前に約束してもらえる派遣就労を希望する人も多く、そうした労働者側のニーズや希望を考えられていないように思えます。
労働者の中には様々な考えや条件の中から正社員を選んだり、パートや派遣を選ぶ人がいるのが普通です。正社員には正社員のメリットがあるようにパートにはパートの、嘱託には嘱託の、そして派遣には派遣のメリットがあります。
そうした労働者側の考えを無視して、わずか1.6%の比較的叩きやすくニュースでも取り上げられやすい派遣業界や派遣就労そのものに牙をむいて「なんでも反対」では昔ながらの30~40年前の硬直した社会党や労組となにも変わりません。
派遣業界もイメージを大事にするためか、残念ながらいつも叩かれるままで、嵐が過ぎ去るのをジッとおとなしく待つだけというのも情けない話しです。
それには事業が厚生労働省の許可制で首根っこを押さえられていて、自由な動きを制限されているということもあるでしょう。
しかし業界団体としては、国の雇用を守るのは自分たちなんだという気概を見せてもらい、派遣業界が今まで日本の経済発展と雇用の拡大にどれほどの役割を担ってきたのか、もっと国民にわかりやすくPRすべきでしょう。わずか1.6%ではそれも言いにくいでしょうけど。
鉄鋼や金融、商社、通信、建設、製造業などと比べると、まだ比較的新しい業界団体で、その力も立場も弱いので、なかなか統一した広報ができていないようですが、最初に派遣法ができてもうすぐ30年になります。そろそろ派遣会社の逆襲に期待したいところですが、叶わぬ夢でしょうかね。
【関連リンク】
845 人材派遣に関するニュース二題
804 高齢就業者と非正規雇用
717 非正規から正規雇用への転換策
703 労働契約法改正で非正規雇用者は幸せになれるか
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シッダールタ (新潮文庫) ヘルマン・ヘッセ
「車輪の下」や「春の嵐」などの小説や詩を書き、ノーベル賞をとったドイツの作家ヘッセの1922年の作品です。
日本ではお馴染みのお釈迦様(ゴータマ・シッダッタ、仏陀、釈尊など)の若き頃の苦悩や悟りを開くまでの苦行の道のりを、一度も仏教の本拠地でもあるアジアへ渡ったことがない西洋人が、第1次世界大戦直後に描いた小説ということになります。
お釈迦様といえば、紀元前5~7世紀頃(不確定)にインドやネパールを中心に仏教を広めた人で、それはイエス・キリストの出現よりも数百年前のことです。
ところが面白いのはヘッセの父親は宣教師で、当然ヘッセも子供の頃からガチガチにキリスト教を信じていたのでしょうけど、異国、それも東洋のキリスト教よりもずっと歴史の深い仏教を広めたお釈迦様を主人公にした話しを書くというのは、なんだか不思議です。
ほぼキリスト教しかない当時の西洋において、こうした異教の教祖の話しは、普通ならばなかなかピンとこなかったのではないでしょうか。小説の発表時は、どういう評価だったのか興味があります。
読んでいないのでわかりませんが、手塚治虫氏の漫画「ブッダ」も、同様な内容と思われますが、おそらく西洋と日本、あるいは書かれた時代、小説と漫画の表現方法の違いなどで、それぞれ解釈などに差があるのではないかと思われます。
内容は通常語られているお釈迦様の若いときの姿とはかなり違って、出家する前には放浪中の旅先で知り合った売春婦に一目惚れをしてしまい、「綺麗な身なりをしてお金を持ってくればお相手してあげる」の言葉に、紹介された事業の手伝いをして、そこで稼いだお金で夜な夜な遊びに行き、妊娠させた上で、また旅に出てしまうと言うような極めて人間臭いところが書かれています。
これを原作とした1972年の映画「シッダールタ」もあるようなので、機会があれば見てみたいものです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おひとりさまの老後 (文春文庫) 上野千鶴子
2007年刊で、歯に衣着せぬ物言いで面白い社会学者の著者の作品です。いつもは朝日新聞の相談コーナーで時にはブラックジョークを交えた過激な回答あり、逆転の発想あり、やんやの喝采と逆に不謹慎だという反論もあろうかと思いますが、たいへん楽しませてくれています。
「おひとりさま」という言葉自体はルポライターの岩下久美子氏(2001年にタイのプーケット島で津波により死去)が書いて出版された「おひとりさま」(2001年刊)が、「結婚適齢期を過ぎた独身男女」の意味で使ったのが最初のようですが、その4年後の2005年には流行語大賞にノミネート(大賞は小泉劇場)され、徐々に浸透してきたものと思われます。
現在「おひとりさま」をタイトルに付ける書籍やコミック、実用書はいっぱいあって、需要が高まってきていることがわかります。著者の作品の中にも「男おひとりさま道」や「「みんな「おひとりさま」」があります。
「おひとりさま」向け実用書?では、「おひとりさまのイエローページ」和泉昭子著・森下えみこ画、「おひとりさまの相続」中村麻美著、「おひとりさまの終活―自分らしい老後と最後の準備」中澤まゆみ著、「おひとりさまの田舎暮らし」『いなか暮らしの本』編集部、「おひとりさま定食」大野明衣子著など。
旅行関連では「おひとりさまの京都ひとり旅~女ひとりだからこそ面白い~」フカザワナオコ著、「ひとりで歩く京都本―おひとりさま京都を心強くアシストする決定版!」京阪神エルマガジン社など。
コミックは「おひとりさま、犬をかう」折原みと著、「おひとり様物語」谷川史子著、「yeah! おひとりさま」新久千映著、真面目な研究書として「日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動」三浦展著、変わり種は「いざ志願!おひとりさま自衛隊」岡田真理著など様々なジャンルでおひとりさまブームと言っていいでしょう。
本書では、「おひとりさま」の著者の視点から、「いずれは誰でもおひとりさまになるのだから、その時になって慌てなくてもいいように、準備なさい」ってことがわかりやすく事例をまぜながら書かれています。
統計上からすれば圧倒的に女性のほうが長生きをするわけで、もし同い年であれば旦那さんを見送った後もまだ7年ぐらいはひとりで生活する必要があります。10歳年上の旦那だと17年間もです。
また不運にも妻を先に亡くして男性だけがおひとりさまで残ってしまう逆のケースもあり、それぞれのひとり暮らしの老後に備えておく必要はありそうです。
子供や孫と一緒に暮らす?っていうのは、大きな二世帯住宅でない限り、双方ともに避けたがっている傾向があるようで、確かに都会のマンションや小さな一軒家で二世帯が窮屈に住むというのは確かに流行りそうもないですね。
すでに高齢の域に入ってきている数百万の団塊世代を含め、都会で暮らす高齢者は、男女ともにお金のことも大事ですが、住む家や同居人、そして身体の自由が奪われたときの介護のことを考えた計画が事前に必要だと言うことがこれを読むとよくわかります。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
正義をふりかざす君へ 真保裕一
私的には作品に当たり外れが少ない好きな作家さんで、この小説は2013年発刊のものです。
主人公は、地方新聞社に勤務していたとき、取材で知り合った地元の事業家の娘と結婚し、その家の跡継ぎとして働いていたとき、ある事件がきっかけで、事業と妻とも関係が破綻してしまい、逃げるように去ってしまった男性で、ハードボイルド的な雰囲気があります。
その別れた妻とその友人から強引に頼まれ、逃げ出した街へ再び戻ってきた主人公は、次期市長選挙候補と元妻の不倫関係を脅迫する見えざる敵を探し出すため自分にとってはなんの関係もない不毛な行動を起こします。
自分が関わっていたホテル事業で死者まで出す問題を起こし、その決着を見ずしてその街から逃げ出した過去があるだけに、戻ってきたことで様々な嫌がらせや反発を受けることになります。
しかし、突然襲われたり、暴力事件の巧妙な罠を仕掛けられたりすることで、自分がこの街にいることで困る有力者がこの街にいることが段々わかってきます。
私立探偵小説を彷彿させ、なかなか緊迫する面白いストーリーで、中盤まではぐいぐい引き付けられていきましたが、ちょっと最後のどんでん返しは、そんなことありえねぇだろうという決着の付け方は、私的にはいまいちな感じで、なにかモヤッとしたものが後に残ってしまいました。
◇著者別読書感想(真保裕一)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作 (新潮文庫) 高沢皓司
大阪で日本初の万国博覧会が3月14日に開会し、日本が高度成長期のまっただ中で浮かれていたその半月後にこの日航よど号のハイジャック事件が起きました。 その時のことは小学校を卒業し、まもなく中学校へ入学するという学校が春休み期間中ということもあり、テレビニュースで見ていた記憶があります。
事件は1970年3月31日の羽田発福岡行きのJAL351便に乗った当時17~27歳の赤軍派のメンバー9人が、離陸後にハイジャックし、人質を取ってそのまま北朝鮮へ向かわせた事件です。
ハイジャックされた飛行機は、燃料補給のため福岡空港へいったん着陸し、その後北朝鮮へ飛び立ったものの、その手前にある韓国の金浦空港へ強制着陸、そこで日韓政府が協力して、人質を解放するよう持久戦の交渉がおこなわれました。したがってテレビに映し出される映像は、白黒画面で空港に駐機したままジッと動かない日航機の姿というものばかりでした。
この本は、その事件を起こすまでの赤軍派の背景から、ハイジャックした時の模様、北朝鮮にたどり着くまでの様々な駆け引きや騙し合い、そして北朝鮮に到着後の生活や、思想改造の様子、その後のヨーロッパなどでの暗躍などが、ハイジャック実行犯とその妻達を中心にインタビューや手記、現地取材を元に書かれた壮大なノンフィクションです。
中でもヨーロッパで拉致されて北朝鮮に連れてこられた日本人男女には、このハイジャック事件の犯人達とその妻が関わっていたことがだいぶんと後になってから判明しましたが、その時の様子などが一部は推測もあるでしょうけど、克明に記録されています。
現在ハイジャック犯の9人がどうなっているかというと、wikipediaからですが、
・吉田金太郎氏(1985年死去?)・岡本武氏(1988年事故死?)・田宮高麿氏(1995年死去)の3人は北朝鮮国内で死亡(とされている)
・田中義三氏と柴田泰弘氏の2人は日本に帰国した後、裁判で有罪判決を受け服役し、田中氏は2007年服役中に病死、柴田氏は刑期満了で出所した後2011年に自宅アパートで病死
・小西隆裕氏、魚本公博氏、若林盛亮氏、赤木志郎氏の4人は現在も北朝鮮に在住
となっていますが、北朝鮮で亡くなったとされる3人の状況については不明な点が多いそうです。
一番年配だった田宮氏が1943年生まれで、もし生きていれば現在71歳、他の多くは1950年前後生まれなので現在60代前半という9名中の5名がすでに死亡(未確認含む)というのは、なんと死亡率が高いグループでしょう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
肩ごしの恋人 (集英社文庫) 唯川恵
2001年下半期の直木賞受賞作品です。著者は私よりも3つ年上で今年59歳、今でもベタベタの恋愛小説の書き手として活躍されています。
数多い小説のタイトルや若々しい感じのするペンネームのため、もっとお若い方とばかり思っていました。9年前には文庫化されたばかりの「ベター・ハーフ」を読んでいます。
この長編小説の主人公は幼なじみの女性るり子と萌の二人。長編といっても話の中身が軽いのですぐに読み終わります。
3回目の結婚をして、いつも周りにチヤホヤとしてくれる男なしでは生きられないというるり子と、男とは一定の距離を持ちたい萌と、相反する男性観を持っている二人の女性と、15歳で家出をしてきた高校生男子が一緒に暮らし始めることになります。
さらに、その二人の女性と関係を結んだ既婚男性、新宿二丁目のゲーバーのマスター、そのマスターに紹介されたアルバイト先のゲイのオーナー、結婚してすぐに浮気して離婚を迫られるるり子の旦那など、様々な人間関係が絡み合った大都会ならではの異様な生活が繰り広げられます。
こういう女性の習性というか価値観を見せつけられると、男はただただひいてしまって、「女性恐怖症」に罹ったり、「結婚したくない男性」が増えていくのもやむなしかぁって思います。
一方20代後半の女性にとっては、こうした自分ではまずできないであろう、自由奔放な生活や、外資系に勤め趣味がいい既婚者の彼氏との不倫、男は女に貢いでくれるものと信じて疑わない性格、そして15歳の可愛い男の子との生活など、これでもかっていうほど、(人によるでしょうけど)女性が一度はやってみたいと思わせる内容が詰まっています。
【関連リンク】
10月前半の読書 プラナリア、暗闇にひと突き、「反原発」の不都合な真実、クリムゾンの迷宮、監査難民
9月後半の読書 マスカレード・ホテル、西の魔女が死んだ、オレ様化する子どもたち、ペンギン・ハイウェイ、動物農場
9月前半の読書 暗く聖なる夜(上)(下)、ロード&ゴー、寝ても覚めても、やさしい人
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久しく最近の雇用状況の話しを書いていなかったので、集中して書いてみます。
まずは国の発表する統計数値からです。
月別の完全失業率の過去推移グラフです。
90年代までのバブル景気から徐々に高まってきた失業率ですが、リーマンショックの影響で急激に上昇しますが、その後民主党政権に代わってからゆっくりと回復し、現在に至っています。あ、いや別に民主党政権だから下がったとは必ずしも言えませんが。
80年代頃に「経済は一流、政治は二流」とよく言われていましたが、日本の場合、「政治が経済を動かす」のではなく、「経済が政治を動かしている」と言っても過言ではありません。
つまり雇用情勢は、政治よりも経済の力が圧倒的に大きな役割を果たします。ただその頼みの経済も世界の中では二流以下に成り下がりつつあることは周知のことです。
失業率を男女別で見ると、以前は男性と女性で失業率に大きな差はありませんでしたが、2000年代以降は男女で差がはっきりと出てくるようになり、男性の失業率が高くなっています。
完全失業率は、わかりやすく言えば、職安で失業保険給付を受けている人と、すでに失業保険給付の期間は切れたけど、しつこく職安で仕事を探している人の数を足した数(求職者数)を、15歳以上の労働力人口(学生やリタイアした人を除く)で割った割合のことです。(職安での求職者÷15歳以上人口)
一応はこの国の発表は信頼が置けるものとされていますが、これしか統計に出てくる数値はないので、信用するしかありません。
しかし例えば、本来は正社員職に就きたくてもなかなか見つからず、仕方なく正社員の就職活動をあきらめてアルバイトやパートでしのいでいる人、職安に頼らず自力や民間紹介会社だけで仕事を探している人、また職安で求職者の登録をせず、いい仕事が見つかるまで家事手伝いや家業の手伝いをしている人などは、統計上では失業者とされませんが、それらの人の中には実質的な失業者も多く含まれるでしょう。
したがって完全失業率は、職安で求職している人が減れば自動的に下がることになり、例えば職安が「求職者を求職者でなくするキャンペーン」を全国的に展開すれば一気に下がっていくことにもなります。
どういうことかと言えば、本来は求職者が正社員志望であっても、失業者を減らすために非正規社員の仕事を強く勧めてそれに就かせたり、職安での求職活動をあきらめさせればいいのです。
そうした恣意的な操作が可能である統計数値だと言うことを承知した上で、こうした国の統計を眺めておくことは問題ありません。
次は、月別の有効求人倍率の推移です。
バブル景気以降、求人倍率が1.0を超える(求職者より求人数が多い)年は少ないですが、ようやく2014年になってパートを含む求人倍率は1.0を超えるようになってきました。
有効求人倍率は、職安に送られてくる求人数を職安で求職をする人の数で割ったもので、求人数と求職数が同じであれば1.0、求人数が2倍あれば2.0となります。1.0を下回れば、求職者1名に対して求人が1件以下ということで就職が厳しくなります。
しかしよく考えてみると、完全失業率と同様、この時代に職安だけで就職活動をする人が全体の何割ぐらいいるのかと言うとはなはだ疑問が残ります。
失業保険を受給するためには職安を通して求職活動をしなければなりませんが、それ以外の人はなにも職安で無駄な時間と労力をかけずに、他の就職活動をおこなっているでしょう。
また求人をする企業も、無料だからといって、あてにできない職安へ求人を出すより、電話一本で営業マンが飛んでやってきて採用決定率もいい民間の就職情報サイトや求人誌、新聞折込などを使うのではないでしょうか。
しかしそうした人の求人数や求職数は、国の統計では反映されませんので、どこまでが実態を現しているかは不明な点が多くあります。
それに職安へ集まる求人の内容は、求人広告や紹介事業会社の案件と比べると大きな違いがあり、例えばフルコミッションのような仕事だったり、賃金が最低賃金並に低い上に、休日や夜間勤務もある仕事だったり、特殊技能や経験が必要だったりと、無料だからとりあえず載せておけ的な求人が多く、いくら求人数があっても、本当にこれで応募者がいるの?って思うようなものが数多く含まれています。
雇用統計データの基礎データはそうした実態とは少しずれた大雑把なものですが、労働力人口や就業者数のデータは、国勢調査などの人口統計と労働保険加入者のこともあり、割と正確なものが取れているはずです。
15歳以上人口、20~65歳人口、65歳以上人口の推移
一般的には日本の人口減少は2005年から始まっていると言われますが、実質的に労働力となる20~65歳の人口は1999年から減少に転じています。
国が定めている労働力人口とは15歳以上で上限はなく、働いて収入を得ている人すべてとなります(実際は各年齢人口に労働参加率を掛け合わせて計算)ので、20歳以下の未成年者や65歳以上の高齢者も、条件が該当すれば労働力人口に加わることになります。
実質的な労働力が減少し始めて15年が経過するのに、まだ日本の労働力がそれほど逼迫していないのは、景気低迷による企業の採用低下や、開発・生産拠点等の海外移転による製造業労働者数の減少や配置転換、それと今まで働いていなかった、例えば専業主婦や家事手伝い、定年後の高齢者という人が働きに出るようになったりして、労働者不足に陥っていないことが理由と考えられます。
しかしニュースなどでも伝えているように、一部の業種、例えば建築関連、介護関連、販売や飲食のサービス関連ではすでに人不足は深刻となってきています。
これらは言うまでもなく、東日本大震災の復興事業や、東京オリンピック関連、高齢者住宅リフォーム需要などの建設建築需要の急速な高まり、高齢者の増加による医療・介護需要の増加、仕事が厳しい割に低賃金だったり、自分のキャリアパスにはならない単純作業のサービス業などの人員不足が顕著になってきているからです。
また不足している職種の多くは高齢者ではなかなか勤まらない体力や筋力、スピード(軽いフットワーク)が必要とされるものが多いですね。
国や学識経験者は、労働力不足を補うために、外国人労働者の活用や、女性の参画推進など、様々な手を考えていますが、長期的に見た場合、内需はますます縮小していき、しかもテクノロジーの発達により労働力の削減、業務効率のアップが進んでいくわけで、あまりそこのところにお金やリスクをかけなくてもいいのかなぁって思います。
もし雇用でお金をかけるのならば、付け焼き刃的なものではなく、世界トップクラスの日本の技術をさらに進めていくための国立共同研究機関の設立、世界から最高の頭脳を集めた最先端医療・バイオ研究機関、医療・介護ロボット開発投資、あとは東京一極集中を解消するため、国の行政機関や政府機関の地方移転促進などにより、新たな雇用促進と、地方インフラの有効活用、海外から頭脳と資産の移転を計ったほうがいいのではないかと考えます。
【関連リンク】
807 労働人口と非労働人口推移と完全失業率
707 ハローワークは非正規職員のおかげで回っている
705 有効求人倍率と完全失業率から推測する未来
577 ハローワークを頼りにしていいのか?
498 失業率推移ではなく失業者数推移でみると
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少し前の日経ビジネスで「隠れ介護1300万人の激震」という見出しが躍っていました。まぁよくある煽りのタイトルですが、高齢化していく中で無視はできない問題には違いありません。
まず「隠れ介護」って言葉は「本人または配偶者の親が要介護者で、その事実を雇用している会社が把握していない人のこと」で、日経BP社が作った造語だそうです。
介護休暇や介護休職をとっている人は介護していることをオープンにしているので「隠れ介護」ではありません。
なぜ「隠れ介護」が増えているのか?って言うと、介護のために仕事を休んだり遅刻をして、周囲に迷惑をかけたくはないと思っていて、またそれによって自分の評価が落ちることを懸念する人達がいます。
そして介護や療養、治療にかかる費用を稼がねばならず、そのため安定した収入が必要で、休職したり退職できないという事情も背景にあります。
昔は夫婦で役割分担ができていて、夫は外で稼いで、妻は子育てと親の介護を見るというパターンが多かったのですが、核家族化が進み、親と同居していないケースや、共働きが増え、夫婦ともに仕事を持つケースが増えるにつれ、そのような昔の仕組みはすでに崩壊しています。
夫婦が一緒に暮らす世帯の中で、専業主婦世帯と、共働き世帯の比率は1980年代に急速に縮まり、1995年前後にはその比率が逆転し、現在は圧倒的に共働き世帯が高くなっています。つまり30年以上前のように「親の介護は専業主婦の妻がやればいい」というわけにはもういきません。
そして少子化が進み、一人っ子同士の結婚などもう珍しくなくなってきています。
子供にとっては「6つのポケット(財布)」と言われるように、ひとりの孫に両親と、その両親の両親(祖父母)、合計6人の大人がいるように、介護者の立場から見ると、自分と妻の両親、合計4人の介護がこれから必要となってくるわけです。
そうなると、例えば夫婦で年収が少ない方が仕事を辞めて、年老いた4人の介護をひとりでするというのも、実際的に無理があるでしょうし、夫婦が互いに交代しながら介護をするか、夫婦が思い切り働き稼いで、そのお金で介護施設に入れるか、介助者を雇うことになるでしょう。
親の介護をするとして、それが必要となったとき、勤務先に「親の介護をするので、これから毎日残業なし、週に2日は半日勤務をしたい」と、果たして会社と交渉できるでしょうか?ってことです。
両親の介護をする人の多くは40代後半から50代の会社勤務であれば部課長以上で役員という人も多く含まれるでしょう。
そうした組織の中でリーダー的、または要となる重要なポジションにありながら、また、部長や役員への限られた椅子取りゲームを控えて同年代のライバル達と競っている時に突然発生することが多い介護の問題は、その人の人生と家族にとって大きなインパクトを与えることになります。
国の制度としてある介護休暇は、家族等が要介護状態になった場合、ひとりにつき93日(約3ヶ月)です。もちろん休めば無給ですから介護したくても家族の生活費のことを考えると本当に休めるかは微妙です。
一時的な怪我の場合とかでも高齢者の場合は治りが遅く、つまずいて足を骨折するだけで2~3ヶ月以上の介護やリハビリ通院が必要になることもあります。
ましてや認知症に罹ったり脳梗塞などによる半身マヒなどの場合、今後良くなるケースはまずないので、その先何年(何十年)ものあいだ介護が続きますから、そういう場合は3ヶ月以内に完全介護の入居施設を探しなさいということなのでしょうが、実質的には無理があります。
企業側は介護をしながら働く社員についてどう見ているでしょう。
まずこの介護対策については上記にも書いたように関係するのは概ね40代以上がほとんどです。つまり若い社員のメリットにはならず、就活生へのアピールにもなりません。それでなくても若い社員は「働かない中高年者の給料が高く、若い自分たちの給料が抑えられている」と常々不満を持っています。
このことからすると、企業側は、「介護を理由に(給料の高い)中高年者が会社を退職してくれるのは大いに歓迎」となり、積極的に介護者を支援する休暇制度や柔軟な勤務態勢などを作ってはくれないでしょう。
一応行政は時短やフレックスタイム制の導入を勧めるよう指導しているようですが、マストではありません。
大手企業ですら、介護で休職(無給)できる期間を少し延長したり、ケアマネージャーに相談できる環境を整えるぐらいのもので、中小零細企業にいたってはそれはもう散々な感じです。
つまり上記にも書いたように「(余り気味の)中高年は嫌なら早く辞めて」の思惑が企業側にはありありです。
つまり会社に期待してもダメだということです。
いま800万人を超える団塊世代が65歳を超えました。今はまだ現役を引退したばかりで元気で健康な人も、あと10年経つと75歳を過ぎ、多くの人がなんらかの障害や病気を抱え、要介護に迫られる人もかなりの数出てくるでしょう。仕事を辞めたとたんに呆けてくる人も多いと言います。
この団塊世代の子供達というのは、団塊ジュニアや、それと近い現在40~45歳ぐらいの人達で、もうすぐこの介護問題を背負うことになります。
では、今後どうすればいいのか?
ひとつには、割り切った考え方で、「子には子の生活があるので、親は自分達の老後の世話は自分で見なさい」という方法があります。現在ではたぶんこの考え方が一般的になりつつあります。
団塊世代以上には持ち家や財産を持っている人達が多くいます。つまりそれらの資産や財産を子や孫に残すのではなく、全部を自分たちの老後のために使ってしまうという考え方です。
そうすれば、子供達は親の財産は期待できない代わりに、仕事を辞めて親の介護に何年も関わり続ける必要がなくなります。
どうしても親の財産が欲しいのであれば、親が資産を勝手に処分しないように、仕事を辞めて親を最後まで看取る覚悟が必要です。
逆に親が子供を甘やかして、30代40代になってもまともに働かない子供を自分の貯金や年金で養ってやるという家庭が少なからずあるようです。
そういうことをすると、結局は自分が死んでも届け出は出されず、押し入れや庭に埋められ、ちゃっかり年金だけ不正に受給し続けるような輩を作ってしまいます。
財産のない親や、おひとりさまの高齢者は?
財産のない高齢者は、おそらくその子や孫にも金銭的な余裕があるとは思えないので、もらえる年金の範囲でどうにかまかなうしかないですが、医療費が多くかかりそうなら、(年金額が少ない人は)割り切って生活保護を受ける方法があります。
そうすればとりあえず医療費はタダになります。国や地方の財政が持てばの話しですが。
「おひとりさま」については、上野千鶴子著「おひとりさまの老後」や「男おひとりさま道」を読むといろいろとユニークで面白いアイデアとヒントが書かれていますので、そちらに譲ります。
【関連リンク】
834 高齢者向けビジネス(第4部 ボランティア編)
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)
820 高齢者ビジネス(第2部 趣味編)
810 高齢者向けビジネス(第1部 居住編)
825 行方不明者と顔認識システム
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クルマネタが続きますが、自動車の安全性を第三者機関が評価した指標として、日本国内では独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が、自動車アセスメント(Japan New Car Assessment Program:JNCAP)という実車衝突試験に基づく車種別衝突安全性評価をおこなっています。
そして昔のテストでは、ドライバー席の安全性評価だけだったり、衝突試験も正面衝突だけだったりしましたが、国際水準に合わせて、最近はかなり充実した内容となってきています。近年アメリカではもっと厳しい試験が課せられていますので、今後日本でも取り入れられるかもしれません。
(1)乗員保護性能テスト
フルラップ前面衝突試験:55kim/hの速度でコンクリート壁に前面をぶつけるテスト
オフセット前面衝突試験:65km/hの速度でアルミハニカム※1に運転席側の40%だけにぶつけるテスト
側面衝突試験:運転席側に質量950kgのアルミハニカム台車を時速55kmで衝突
後面衝突頚部保護性能試験:32km/hで追突された際の衝撃(速度変化時速17.6km※2)を再現
※1 アルミハニカムは乗用車に見立てて衝突した場合を想定
※2 2012年度より速度変化時速20kmに変更
特に正面衝突でも平らな壁にぶつかるのと、対向車と半分だけがぶつかるのではつぶれ方や強度が変わってきます。
そこで正面衝突実験では、「フルラップ(全面)前面衝突」と「オフセット(片側40%だけ)前面衝突」に分けられ、それらに加えて横からぶつかられた時の「側面衝突」、後から追突される「後面衝突頚部保護性能試験」が加わります。
車種別試験動画「フルラップ前面衝突試験」「オフセット前面衝突試験」「側面衝突試験」「後面衝突頚部保護性能試験」
(2)歩行者保護性能
歩行者頭部保護性能試験
歩行者脚部保護性能試験
歩行者保護性能テストは新しく車対歩行者の事故を想定し、できるだけ歩行者のダメージを減らすよう、歩行者保護性能というのが加わっています(頭部は1999年、脚部は2011年から)。
欧州車の一部には歩行者用エアバッグを備えたモデルまでありますが、近い将来はそれが当たり前になるのかも知れません。
(3)座席ベルトの非着用時警報装置評価試験
(4)後席シートベルト使用性評価試験
「座席ベルトの非着用時警報装置評価試験」は、シートベルトを装着せずに走り出すと、キンコンキンコンと警告音が鳴り続けますが、それですね。
私は駐車場内でちょっと動かすときにでもそれが鳴ってうるさいのでセンサー用のカプラーを外していたら、車検時にディーラーの方にちゃんとつないでくださいと怒られました。最近は後席シートベルトの未着用も警告するようになってきています。
(5)ブレーキ性能試験の概要
ブレーキ性能は公平な条件でテストするのはなかなか難しいと思いますが、それでもある程度の参考にはなりそうです。
基本的には同じ路面温度の元で、ドライとウエットの両方で時速100kmからの停止距離と姿勢を試験しています。
姿勢は最近の車はほとんどALB(4輪アンチロックブレーキ)が装着されているので、基本的にはまっすぐに停まりますが、中には片効きして斜めに停まったりスピンしてしまう車も以前はよくありました。
ただこのテストの数値をまるまる信用してはいけないのが、テストはプロドライバーが新品のタイヤの状態で、よく整備されたアスファルトの上でおこなっているということ。
実際の走行では素人がすり減ったタイヤでわだちやマンホールがある荒れたアスファルト上でのブレーキとなることが多く、テストの結果のようにはいかないものです。
(6)予防安全装置(ESC、AEB)の装着状況
ここ数年で急速に普及してきたのがこのESC(エレクトロニック スタビリティ コントロール)と呼ばれている横滑り防止装置です。
これがあるとカーブなどで前輪や後輪あるいは全輪が滑って車線からはみ出したり、道から飛び出してしまうことを防いでくれます。今年2014年11月からはすべての新車には装着が義務づけられています。
AEB(オートマチック エマージェンシー ブレーキ:自動緊急ブレーキ)はシティブレーキとか衝突被害軽減ブレーキなど様々な言い方がありますが、多くは30km/h以下の速度で前面に障害物があると自動で停止する装置と、前方に障害物があるのに、ブレーキとアクセルを間違えて目一杯踏み込むような誤操作を防止するためのものです。
自動ブレーキについては、本当ならば実際によく使うであろう60km/hぐらいから効いてもらいたいところですが、現段階ではまだいろいろと難しい点があるようです。
世界で最先端を行っているスバルのアイサイトで50km/h(対象物との速度差)、ボルボのCity Safety/Human Safety(同)で40km/hからの制御となっています(2014/9現在)。
以上の各テストや装備状況を総合的に加点していき、総合安全性能評価を☆1(低い)から☆5(高い)マークと、合計得点等を公表したものが、JNCAPと呼ばれているものです。
下記は2013年度に実施されたテストのうち、軽自動車とコンパクトカーのJNCAP評価結果です。
当然ながら新しく発売される車ほど、性能試験を研究して作れますので有利なのは当たり前ですが、限られたスペースしかなくリーズナブルが特徴でもある軽自動車は、昨年11月から販売開始されたホンダN-WGN以外は、なかなか苦戦をしています。
今年から来年にかけて新たにモデルチェンジする車だとおそらく各車とも好成績が期待できるでしょう。
さらにちょと興味がある、2013年度に行われた各車のブレーキ性能試験(時速100キロからの制動距離)の結果です。
こちらは意外ですが、トヨタクラウンの乾燥路での制動距離は40.8m、軽自動車のN-WGNの制動距離は40.3mと、高級普通乗用車と軽自動車でほとんど差がありません。
制動性能に影響があるタイヤと制動装置は普通車のほうが当然優れていると思いますが、制動距離はそれだけでなく、車重の影響が大きいのでしょう。
あとフォルクスワーゲンゴルフは、世界中で売られている人気車で、特に日本の安全性評価基準に合わせて作ったわけではないと思いますが、総合成績でもブレーキ性能でもたいへん優れた成績です。国産車もこういうところは見習ってほしいものです。
これらのテストは、何点以上で合格というものではなく、あくまでも安全性能の目安となるもので、規格に合致さえしていれば☆1で危険性が高いからと言って販売できないというものではありません。
逆に安全性能が高いと評価されると、販売するときにライバル車と並べて「この車はこんなにも安全性が高い」と差別化することができますので、大いに有利になるでしょう。
自動車アセスメント小冊子2014年版(pdf 試験概要と各車別の評価が載っています)
実はこうした安全性基準は、テストの方法を詳細に分析することで、比較的容易に満点近くを取ることが可能です。
極端なこと言えば、オフセット衝突テストではドライバー側の40%にぶつけますので、ドライバー側の前面だけを強化または力が分散するようにしておけば、助手席側の前面は多少手抜きをしてもテスト結果には影響しないとかです(そんな安易なものではありませんが)。
しかしもしそのような手抜きであったとしたら、実際に起きる事故は居眠りとか失神状態でなければ、ドライバーは条件反射で我が身を守るためにハンドルを操作し、助手席側を先にぶつけることが多いらしく、テストの結果と実態が合わないということもあり得るわけです。
アメリカではオフセット衝突でも前面40%ではなく、電柱に激突するなど実際の事故に多い前面25%ぐらいのスモールオーバーラップ衝突テストを導入し、その結果、40%のオフセット衝突試験では優秀だったベンツやアウディ、レクサスなどが、いきなり最低評価のプア(P)になったりしたそうです。こうしたクルマにとってかなり厳しい試験も、早く日本で導入してくれるといいですね。
スモールオーバーラップ 新衝突実験でトヨタ車ほかアノ人気車が最低評価 アメリカで始まった現実に即した試験とその結果に迫る(ベストカー・現代ビジネス)
また常識といえば常識ですが、自動車同士の衝突の場合、衝突相手の質量(車重)が被害度に大きく影響します。
軽自動車の乗員の死亡事故率が高いと言われるのは、(一般的に)軽自動車自体の安全性そのものに問題があるというより、ぶつかる相手が軽自動車の車重の2倍以上ある普通自動車だったり数倍重いダンプカーだったりして、受ける衝撃とダメージがより大きいからと言えます。
同様に普通車でも大型ダンプやトレーラーと衝突した場合、乗用車同士の衝突よりはずっと死亡率が高くなります。
つまり、安全装備が同条件であれば、より車重が大きいほど自動車同士の衝突では安全性が高いと言うことになりますから、おしなべて軽量に作られる小型車や軽自動車は不利になります。
こうした安全性評価は、評価がいいときにはそれをPRに使いますが、悪いとなかなか表には出てきません。自動車評論家も、単にドライブフィールや装備面、価格だけでなく、こうした比較的公平な評価を加味した上で、商品価値の優劣を述べてもらいたいものです。
【関連リンク】
863 マイカーを軽自動車に買い換え
757 蓄電池技術は他の産業の進化に追いついていない
751 自動車事故と車種や装備の関係
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