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ロバート・B・パーカーの「スペンサーシリーズ」と同様に、探偵小説のシリーズものとして長らく読んできたのが、ローレンス・ブロックの「マット・スカダー・シリーズ」とマイクル・コナリーの「ハリー・ボッシュシリーズ」です。

スペンサーはボストン、マットはニューヨーク、そしてハリーはロサンジェルスを本拠地にしたクールな探偵です。

その中の「スペンサーシリーズ」は著者のパーカーが2010年に死去したことで、一応区切りが付き、その作品はすべて読み終わっています。その後別の作家が引き続き「スペンサーシリーズ」を引き継いで書くということですが、また別のものと考えていいでしょう。

「スペンサーシリーズ」については、最後の作品を読み終えた後に、「ロバート・B・パーカー スペンサーシリーズ全巻まとめ」を書いていますので、そちらを見ていただくとして、あとの2つについて少しまとめておきたいと思います。

---◇◇◇---◇◇◇---◇◇◇---

酔いどれ探偵の「マット・スカダー・シリーズ」は、著者ローレンス・ブロックと小説の主人公の年齢がほぼイコールで書かれています。

第1作目が書かれた1976年「過去からの弔鐘」の時は著者(=主人公)は38歳で、2011年に発刊された17作目の「償いの報酬」の時は互いに70歳を超えていました。

もちろんその時の主人公は現役探偵から引退をしていて、酒場で友人に昔の話しを語るという展開です。したがってそろそろこれで打ち止めっぽい感じです。しかしラッキー?なことに、まだ読んでいない旧作が数冊残っていて、もう少しは楽しめそうです。

作品リストは下記の通り、邦題、原題、発刊年
01 過去からの弔鐘 Sins of the Fathers(1976)
02 冬を怖れた女 In the Midst of Death(1976)
03 1ドル銀貨の遺言 Time to Murder and Create(1977)
04 暗闇にひと突き A Stab in the Dark(1981)
05 八百万の死にざま Eight Million Ways to Die(1982) PWA賞最優秀長篇賞
06 聖なる酒場の挽歌 When the Sacred Ginmill Closes(1986)
07 慈悲深い死 Out on the Cutting Edge(1989)
08 墓場への切符 A Ticket to the Boneyard(1990)
09 墓場への切符 A Dance at the Slaughterhouse(1991) エドガー賞長編賞
10 獣たちの墓 A Walk Among the Tombstones(1992)
11 死者との誓い The Devil Knows You're Dead(1993) PWA賞最優秀長篇賞
12 死者の長い列 A Long Line of Dead Men(1994)
13 処刑宣告 Even the Wicked(1996)
14 皆殺し Everybody Dies(1998)
15 死への祈り Hope to Die(2001)
16 すべては死にゆく All the Flowers Are Dying(2005)
17 償いの報酬 A Drop of the Hard Stuff(2011)

お勧めはと聞かれると、「最初から順に読むのがいい」と答えますが、ベストの1冊は?と言われると少し迷ってしまいます。

例えばアル中でどうしようもなく酷い状態の時もあれば、すっかりアルコールから脱して深夜のパブでコーヒーを飲んでいる主人公や、引退して過去の話しを語り部のように喋る主人公まで、それぞれに雰囲気があり、また気の利いた仲間がいたりいなかったり、なかなか難しいところ。

強いて言うならスペンサーに対する相棒ホークのようで、良き味方で信頼できる相談役のようでもあるミック・バルーが好きなので、彼が準主役的に登場する11作目の「死者の長い列」や、14作目の「皆殺し」、最後の17作目「償いの報酬」などをお勧めするでしょう。

ローレンス・ブロックはこのシリーズの他、「殺し屋ケラー・シリーズ」や「泥棒バーニイ・シリーズ」などがあり、それぞれに面白いのですが、やはり代表作はこの「マット・スカダー・シリーズ」でしょう。

余談ですが、「殺し屋 ケラーシリーズ」は2011年の4作目「殺し屋 最後の仕事」で、過去最大のピンチを乗り越え、ハッピーエンドで無事終わったと思っていたのですが、今年10月に5作目の「殺し屋ケラーの帰郷」が出ていたのですね。知りませんでした。さっそく買いに行かなくっちゃ。

---◇◇◇---◇◇◇---◇◇◇---

そしてもうひとつのマイクル・コナリーの「ハリーボッシュシリーズ」は、ようやく過去に出版された分をすべて読み終えて、今年文庫が発刊された「ナイン・ドラゴンズ」と、まだ翻訳版が出ていない「The Drop」「The Black Box」についてはまだ未読という状態です。

こちらの作品リスト(邦題、原題、発刊年、邦訳版発刊)
1 ナイトホークス The Black Echo 1992年 1992年10月 エドガー賞処女長編賞
2 ブラック・アイス The Black Ice 1993年 1994年5月
3 ブラック・ハート The Concrete Blonde 1994年 1995年5月
4 ラスト・コヨーテ The Last Coyote 1995年 1996年6月
5 トランク・ミュージック Trunk Music 1997年 1998年6月
6 エンジェルズ・フライト Angels Flight 1999年 2001年9月 2006年1月[改題版]
7 夜より暗き闇 A Darkness More Than Night 2001年 2003年7月
8 シティ・オブ・ボーンズ City of Bones 2002年 2002年12月/2005年2月 アンソニー賞
9 暗く聖なる夜 Lost Light 2003年 2005年9月
10 天使と罪の街 The Narrows 2004年 2006年8月
11 終決者たち The Closers 2005年 2007年9月
12 エコー・パーク Echo Park 2006年 2010年4月
13 死角 オーバールック The Overlook 2007年 2010年12月
14 ナイン・ドラゴンズ Nine Dragons 2009年 2014年3月
15 The Drop 2011年
16 The Black Box 2012年

著者マイクル・コナリーはまだ若い(58歳)ので、当面はこのシリーズは続きそうです。ただシリーズ初期の頃のベトナム戦争帰りで心が刺々しく屈折した部分が最近はすっかり失せてしまい、想定年齢も高くなってきて丸くなってしまいました。

家族や恋人、そして小賢しいテクニックを使った捜査などが増えて行くにつれ、最近の動向は大きくイメチェンしたみたいで感心できません。先のマッド・スカダーの場合も後半から酒をキッパリ断って、探偵免許を取得し、素面で探偵をおこなうようになりましたが、共通するのかもしれません。

FBI捜査官だったテリー・マッケイレブが登場した6作目の「堕天使は地獄へ飛ぶ」、7作目の「夜より暗き闇」あたりから、その作風というか主人公の性格が変わってきたかなと感じるようになりました。

こちらもベストを選ぶとすると、登場編の第1作「ナイトホークス」か、殺された自分の母親の真実を追いかける4作目の「ラスト・コヨーテ」、前述のテリー・マッケイレブが登場する7作目「夜より暗き闇」あたりかな。最近新しい作品でコレというのはないかも。

そのテリー・マッケイレブが主役となり、ハリーもちょっと登場するスピンオフ「わが心臓の痛み」もいい感じでした。この小説は「ブラッド・ワーク」という原題で、クリント・イーストウッド監督・主演で2002年に映画化もされています。DVDで見ましたがなかなかいい映画でした。

主人公の名前、ヒエロムニス・ボッシュは15世紀の有名なフランドルの画家が由来で、子供の頃に殺されてしまった母親が名付けました。1作目からこの母親と名前の由来についてたびたび登場しますが、4作目の「ラスト・コヨーテ」で殺人の謎が解けてその後はあまり出てこなくなりました。

登場人物は毎回代わり、スペンサーシリーズのホークのような常連の相棒はいません。時々出てくるのは元妻でFBI捜査官だったエレノア・ウィッシュやロス市警のジェリー・エドガー、キズミン・ライダーと言ったところ。登場するたびに、異動していたり、昇進していたりして、時の流れを感じさせます。

サザエさんやスペンサーと同じく、こちらも主人公は歳をとらない感じ。さすがにスペンサーのように昔、朝鮮戦争に従軍していたという年齢ではありませんが、こちらは今から40年ほど前に終結したベトナム戦争に従軍し、帰国後警察官になったという設定で、そのままの年齢ならば少なくとも今は60歳以上にはなっているはずですが、今でも若々しい活躍ぶりです。


【関連リンク】
808 ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ
328 スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
327 さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
269 ハードボイルド的男臭さ満点小説

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先月亡くなられた高倉健さんと言えば、団塊世代にとってはあこがれのヒーローで、自分たちの兄貴分として映画全盛時代の1960年代に颯爽と現れた英雄、つまり訳あってのヤクザ者だが、心意気はまっすぐで無口で格好いい男の代表というイメージでした。

団塊世代より10年遅れて生まれた私の年代では、高倉健は着流しのヤクザ者からすっかりイメチェンした「新幹線大爆破」(1975年)、「君よ憤怒の河を渉れ」(1976年)、「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)、「野性の証明」(1978年)、「動乱」(1980年)と言ったアクションヒーローや実直な旧日本陸軍軍人、クールなタフガイのイメージです。

私が最初に高倉健主演映画を街の映画館で観たのは大学生の頃で、1977年の「八甲田山」、そして1978年の「野生の証明」でしたが、考えたら小中学生で任侠ヤクザ映画ってまず見ませんものね。

1978年に公開された「野生の証明」にはちょっとした思い出があります。

大学生だった頃、バイト先の先輩に誘われて、この映画のエキストラ役に応募し、書類審査は通過して、実技テスト(運動能力テスト)と角川春樹社長(当時)との面談に臨みました。

募集していた役というのは、寒村で起きた大量殺人事件の秘密を握る健さん扮する元自衛官と、一緒に逃げる唯一生き残った住人役の薬師丸ひろ子(当時14歳)を亡き者とするために追い詰める自衛隊員の役で、アメリカでロケがおこなわれ、戦車やヘリを使った大規模なクライマックスシーンに登場します。

しかし恥ずかしながら一緒に行った先輩は見事合格し、私は落ちてしまいました。実技テストの中に私がもっとも苦手とする持久走があり、真夏の炎天下で気力を振り絞ったものの、中位に低迷したことが敗因でした。先輩は持久走で上位5人(50人ぐらい参加)に入っていました。もし受かっていたら健さんや薬師丸ひろ子と一緒に記念撮影ができたのに無念です。

閑話休題、私が観た映画の中で好きなものは、

新幹線大爆破(1975年)
八甲田山(1977年)
動乱(1980年)
海峡(1982年)
南極物語(1983年)
ブラック・レイン(1989年)
あ・うん(1989年)
あなたへ(2012年)

その中でもブラック・レインは主役ではなく脇役的な立場で、しかも当時末期の癌と闘病中だった松田優作の怪演に押され気味でしたが、はちゃめちゃなアメリカ人から見た変な日本と大阪の描写をピリッと引き締めていたのが健さんだったなぁと。

「新幹線大爆破」は当時の国鉄(現JR)がまだお役所でしたので、融通が利かず、「世界一安全な新幹線を転覆させるような映画に協力できるか!」ということで、国鉄の協力なしに撮影されました。

もちろん実物大の模型も作られましたが、実際の走行シーンはともかく、実物の車内映像は隠し撮りをしたそうです。そんな映画に出ていた根暗な犯人役の健さんは信じられないぐらいに若いです。40年近く前ですから当たり前です。

二・二六事件がクライマックスの「動乱」でも、竜飛岬で遠くを眺める「海峡」でも、函館が舞台の「居酒屋兆治」でも、道央のローカル線駅長だった「鉄道員(ぽっぽや)」でも、雪中行軍演習を描いた「八甲田山」でも、もちろんタロとジロの「南極物語」でも、高倉健はものすごく寒い場所にいるというイメージが強くあり、それが特徴的だった気がします。

その「寒い場所=高倉健」のイメージは、もしかすると、デビュー時代から長く馴染んでいた「網走番外地」から連想させるものからなのか、どうかは定かではありません。

逆に同年代の俳優だった石原裕次郎は「太陽の季節」(1956年)、「嵐を呼ぶ男」(1957年)、「銀座の恋の物語」(1962年)、「太平洋ひとりぼっち」(1963年)など、暑いとか汗、あるいはスマートなイメージが強く、二人の出演作は対称をなしていました。

よく考えたら二人ともこれほど多くの映画作品に出演しながら、結局共演することはありませんでした。

「陽の裕次郎、陰の健さん」、「夏の裕次郎、冬の健さん」、「ホットな裕ちゃん、クールな健さん」「動の裕次郎、静の健さん」と、二人が対照的な主役を演じれば面白そうな映画が作れたでしょうに残念ですね。

当時の映画会社には力があり、自社が発掘して売り出した俳優を他社の作品には出さなかったという理由もあるのでしょう。健さんは東映で、裕次郎は日活です。

遺作となった映画は「あなたへ」(2012年、降旗康男監督、東宝)ですが、すでにテレビで何度も放映されているので見た方も多いと思います。

主人公の健さんは富山の刑務官として勤務していた時に、慰問によく来ていた女性と知り合って結婚していました。

定年後も嘱託の教官として働いていましたが、長年連れ添った妻が病気で亡くなってしまいます。

亡くなった後、健さんの元に妻からの感謝の手紙が届けられます。そしてその手紙には生まれ故郷の海に散骨をしてほしいと書かれていました。

それまで知らなかった妻の故郷へ行くため、キャンピングカーを自分で作り、それに乗って長崎平戸までを旅するいわゆるロードムービーです。

途中で詐欺師の国語教師(北野武)や、熱烈な阪神タイガースファン(岡村隆史)、移動物産店員(草なぎ剛)などと知り合いながら、長崎にたどり着きます。

途中映画には各地の観光名所がいくつか出てきますが、その中でも特に光ったのが、兵庫県朝来市和田山町にある天空の城と呼ばれる竹田城。

ストーリーとは関係ありませんが、竹田城跡を見学するシーンが長く挿入されていました。この映画をきっかけにこの城は全国的に有名となり、今では入場が規制されるほどの人気です。

またこの映画では老け役で名役者だった大滝秀治さんも出演していましたが、映画が完成した直後の2012年に亡くなりました。つまりこの作品は健さんとともに大滝秀治さん、二人の名優の遺作となってしまいました。

お正月には、健さんを偲び「網走番外地」や「ザ・ヤクザ」(1974年)でもDVDを借りてきてゆっくり見るとするかな。


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1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方 (光文社新書 525) 岩田健太郎

著者は40代の感染症内科の現役の医師ですが、いくつもの著書を出しています。医師でありながら執筆活動されている人は結構多く、有名どころでは渡辺淳一、帚木蓬生、海堂尊、夏川草介(敬称略)など多くの作家がいます。やっぱり才能のある人はなにをやらせても立派で見事なものです。

著者は上記に上げた兼業作家のように小説を書くのではなく、自分の得意な感染症分野のわかりやすい解説本を多く出されています。

著者自身がこの本では何度も書いてますが、いわゆるビジネス系タイムマネジメントの勧めの本ではなく、自らが実践してきたやり方と考え方を、賛同できるならやってねと言った軽いノリです。

確かにいつ何時手がぽっかりと空いてしまうことを考えて、いつでもいろいろとできる準備をしておくことや、下手に仕事の優先順位などをつけず、その時間になにが一番やりたいかを考えて気分的にノレる仕事からやっていくという手法は、すでに自分も自然と身につけてやっている手法なので、確かにその通りだと思いました。

例えば、ネットの調子が悪いときには、悪態をつくのではなく、ネットから離れてできる仕事の中から選んでそれに没頭するとか、メールは都度いちいちチェックせず、まとまった時間があるときに、次々と読み、返事がいるものはその場で書いて出し、あとに残さないとかなど。後で出すことにすると、忘れることがあるのと、同じメールをまた読み返す二度手間になってしまいますからね。

電車など移動の時は、リラックスできるようにいつも文庫を持ち歩き、読み終えそうな時には重たくなるけど新しい文庫をカバンに補充しています。

私自身も仕事でも遊びでもダンドリが重要だといつも思っていて、時間を無駄にしないように心掛け、ちょっとした時間のすき間にできることをいくつも準備しておくなど、才能や知性は著者に遠く及ばないものの、著者と共通するところが結構ありそうと思ったり。著者が好んで読む小説(作家)も書かれていましたがドンピシャ一緒しています。

とは言ってももう私も50代半ば、20代30代の頃と違って、そう寸暇を惜しんでガリガリとやる仕事はなく(期待もされず)、また身体も脳も若いときのように活発には動かないので、そう時間を気にする必要はなくなってきたんですけどね。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

骸の爪 (幻冬舎文庫) 道尾秀介

2006年に単行本、2009年に文庫化された作品で、「背の眼」(2005年)に続く、霊現象探求所の真備庄介が登場するミステリーホラーシリーズです。

著者の作品では過去に「片眼の猿」(2007年)を読みましたが、上記シリーズや、2011年直木賞に輝いた「月と蟹」、評価の高い「向日葵の咲かない夏」(2006年)などはまだ読んでいません。って言うか、実は著者の名前は以前からよく知っているので、もっと何冊も読んでいる気がしていました。

主人公は著者と同じ名前のミステリー小説家で、滋賀県へ親戚の結婚式に出席したあと、見学させてもらう予定だった深い山の中のお寺で宿泊することになります。

そこは、仏像を製作する場所でもあり、木彫りや漆塗り、焼き物などで様々な仏像が作られています。そこで一泊した主人公は、お約束通り、様々な異変に出くわすこととなり、さらに20年前に謎の失踪をして行方不明のままになっている仏師のことを知ることになります。

謎を抱えたまま、帰京してきた主人公は友人の真備庄介に話しをして、再度そのお寺へ向かいます。

ま、予定通りに、主人公が見た様々な謎や、行方不明になっていた仏師とその婚約者、そして今回新たに行方不明となった二人の仏師について、真備が論理的に解明していくというものです。

ま、あまり考えることもなく、ストーリーも単純で、娯楽読み物としていいものですね。

いくつかの謎は途中でなんとなくわかった気になりますが、そうしたことも織り込み済みなのか、これでもかっていうぐらい次から次へとどんでん返しが続くのはさすがです。

著者別読書感想(道尾秀介)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

親鸞 激動篇 (講談社文庫)(上)(下) 五木寛之

私も今年の5月に読んだ「親鸞」(上)(下)の続編で、2012年発刊の作品です。現在ではすでにこの激動編のあとの「親鸞 完結篇」が単行本で出ています。

「親鸞(上)(下)」の読書感想

著者もすでに82歳、失礼ながらいつ絶筆されても不思議ではないご高齢ですから、無事にこの長編小説「親鸞」が完結したことを編集者はホッと胸をなで下ろしていることでしょう。

あとは「青春の門 」がまだ完結していませんが、大丈夫なのでしょうかね。

この激動編も、前作同様に鎌倉時代初期に実在した僧侶親鸞を主人公にしたエンタメ小説で、決してお堅い歴史書、研究本ではありません。

前作では京都で法然上人とともに元々は貴族や公家達のものだった仏教を広く庶民に広めたかどで、法然は四国へ、親鸞は越後へ流刑となりましたが、この激動編は、ようやくその刑の期間が終わり、妻の恵信と二人で平和に日々生活をおくっているところから始まります。
 
  この夏に新潟へ行ったときに道ばたに見えた巨大な親鸞像は、どうしてこんなところに?って思いましたが、越後は妻の恵信の故郷であると同時に、親鸞にとっても第2の故郷でもあったのですね。 
 
小説では、越後の守護代と郡司の間に利権争いから領地騒動が起き、それに巻き込まれることになる親鸞は、河川の利権を一手に握る外道院という桁外れの僧侶とその弟子達の協力を得ながら、本来の仏教のあり方を考えつつ説いていきます。

そして妻の恵信との間に子供が出来たとき、「本当に安住していて喜んでいるのか?」という心の中の声に気がつき、このままこの越後で暮らしていくことに疑問を感じ、妻や子を連れて新たな布教活動のため関東へ旅立つことになります。

旅立つきっかけとなったのは子供の頃に鴨川河原で知り合った破戒僧で、今は立派な武将になっている男の誘いなどがあり、また法然上人のところで修業時代に知り合った領主などの誘いがあったからです。

関東は今の茨城県、筑波山が見える場所に住まい、武将や領主の支援の元で布教活動をおこなっていきます。

しかし地域地域にはそれまでの宗教があり、新しく入ってくる仏教に反発する者もいて、命を狙われることも。危機一髪の時にはまたまた京都にいた頃の知り合いが突然現れて救ってくれたりと、エンタメ性が満開です。

そして、いよいよ関東を出て、京の都に上る決心をするところでこの激動編は終わります。

著者別読書感想(五木寛之)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

旅をする木 (文春文庫) 星野道夫

著者は1952年生まれで、慶応大学生時代に写真で見たアラスカの動物や自然に魅了され、ついにはアラスカ大学野生動物管理学部に入学(中退)するほどのアラスカやその自然が好きな写真家、冒険家です。

しかし1996年にテレビ番組の取材で滞在していたロシアのカムチャツカ半島南部のクリル湖畔でヒグマに襲われ死亡されています(享年44歳)。

この随筆はアラスカを中心に自然の偉大さや素晴らしさ、アラスカで関わった様々な人を日記か手紙のようなスタイルでエッセーとして書かれたもので、亡くなる2年前の1994年に出版されています。

その中には、学生時代に短期間アラスカへホームステイしたときの様子や、その後アラスカ大学への入学、学生時代にアラスカに興味をもつきっかけとなった写真を撮ったプロカメラマンとの出会い、時には飛行場などないアラスカの各地を飛び回るブッシュパイロット達との出会いと別れ、美しい自然と動物たちの生命の営みがこれでもかっていうぐらいに盛り込まれています。

タイトルの「旅する木」とは、あるアラスカで知り合った生物学者の話しで、マツ科のトウヒという木の種が、鳥に落とされ、それが川沿いに根付いて大きく育ちます。

やがて川の浸食でトウヒの木は倒れてアラスカのユーコン川からベーリング海へ流されます。そのなにもないツンドラ地帯へ運ばれた木はキツネの縄張りにマーキングされ、その場所にキツネの猟師が罠を仕掛け、やがてそのトウヒは拾われて薪となり大地に帰る。と言った悠久の時代を流れていった木のことを指しています。

アラスカには人間の歴史が遠く及ばない長い気の遠くなるような歴史があり、それが奇跡的に現在でもそのまま残っている数少ない場所で、そこへ新たにやってくる人、そこから離れずに暮らしている人がいますが、いずれにしても人の人生など自然の歴史からするとホンの瞬間にしかすぎないということがよくわかります。


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878
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」も佳境に入り、いよいよ最終回は関ヶ原の戦いへと突入します。

関ヶ原の戦いと言えば、一般的には、「徳川」対「豊臣(石田三成)」の戦いという図式がよく使われますが、本当のところは家康も光成もこの時点では二人とも豊臣家の一家臣であり、秀吉亡き後、誰がリーダーになるかという身内の争いです。

織田信長が本能寺で襲われ自害した後、共に信長の家臣だった明智光秀と豊臣秀吉が、どちらがその後を継いで天下を取るかで、山崎天王山で闘ったのと同じと言っていいでしょう。

「徳川」対「豊臣」という構図は、関ヶ原の合戦の15年後に起きた「大阪の陣」(1614~15年)のことで、徳川家康とその子秀忠が、大阪城を攻撃し、豊臣秀吉の子豊臣秀頼を自害に追い込み、豊臣家を滅亡させたことを言います。

さて歴史好きでない人でも、また関ヶ原ってどこ?っていう人も、過去に「関ヶ原の戦い」があったことぐらいは、小学校か中学校で教わっていると思います。

その関ヶ原にちょっと行く機会があったので、あらためて「関ヶ原の戦い」について極めて簡単にまとめておきます。

JR関ヶ原駅




【プロローグ】
西暦1590年豊臣秀吉が天下統一を果たしたものの、その晩年のおこないは各地の大名達には不満が残るものでした。

跡継ぎを期待された側室淀殿(織田信長の妹お市の長女で茶々)との子秀頼は、秀吉が亡くなった1598年(慶長3年)は6歳という年齢で、全国の大名や武将達を束ねられる力はありません。

秀吉の死後、後を託された有力家臣団の五大老(徳川家康、前田利家、宇喜多秀家、上杉景勝、毛利輝元)と五奉行(前田玄以、浅野長政、増田長盛、石田三成、長束正家)の中から、筆頭の徳川家康が他の重鎮達の意見を無視して、独自の振る舞いをおこなうようになります。

それを苦々しく思っている石田三成始め、反徳川の大名(毛利、宇喜多、上杉)や武将達もいました。

豊臣時代に主として軍務を担っていた武断派は徳川派というか、官僚然とした石田光成を嫌い、それに対し豊臣政権を支え政務を担ってきた石田光成、大谷吉継、小西行長などが文治派と呼ばれています。

やがてはこの武断派と文治派の勢力が険悪な関係になっていきます。現代企業でも技術派と営業派の対立や、製造と販売の対立が起きてどちらが社長の座を取るかで体制がガラリと変わることがあります。

そして石田三成襲撃事件や、徳川家康暗殺未遂事件などが起き、両勢力の間に、きな臭い動きや策謀が渦巻いています。この二つの勢力の間に入って仲裁をしていた五大老のひとりで重鎮の前田利家が1599年に病死したことで一気に関係が悪化します。

徳川家康に謹慎を言い渡されていた石田三成は、東北で勢いを増していた上杉景勝と手を組み、徳川家康を東北へおびき出し、その隙に五大老のひとり毛利輝元(長州)を前面に立て、徳川家康を討とうと考えます。

そして石田三成は徳川家康と共に東北の上杉征伐へ出掛けていった各大名や武将の家族を大坂に集めて人質にとり、自分に味方するようにし向け、同時に大坂や京都で留守役をしていた徳川派陣営へ攻撃を始めます。このとき人質になるのを善とせず自殺したのが徳川派についた細川忠興の正室細川ガラシャです。

【決戦】
東北で大きな勢力を持ち、徳川家康とは仲が悪い上杉景勝や常陸の佐竹義宣、西で大きな勢力を持っている大名毛利輝元、宇喜多秀家、小早川秀秋、島津義弘などをまとめあげ、豊臣家をないがしろにする徳川家康を東西から挟み撃ちにすれば勝てると踏んだ石田三成は前述の人質作戦など、様々な策謀を配し、徳川が東北遠征から反転し大阪へ戻ってくるところを仲間とともに討つ作戦です。

但し西軍の総大将を押しつけられた毛利輝元は、この作戦に躊躇があったのか大阪城に残り、関ヶ原には参戦していません。

対する徳川家康も、石田三成が近々自分に反旗を翻すことは織り込み済みで、石田三成を嫌う武将達や褒美を餌にし、各地で味方に取り込み「西の毛利・石田連合軍」対「東の徳川連合軍」が、亡き豊臣秀吉の後の世の中をどう作るかを決める天下分け目の決戦がいよいよ近づいていました。

石田三成率いる西軍が集結して陣を構えたのが岐阜県大垣市にある大垣城とその周辺、東軍は東北や江戸から反転して戻り、いったんは名古屋の清洲城周辺に終結します。

そして決戦の場所として選ばれたのが西軍が陣を張る大垣城の近く、小高い山々に囲まれた狭い窪地の関ヶ原です。

ここは江戸や信州、三河などから京都や大阪へ向かう要衝の地で、西軍としては待ちかまえるには最良の場所です。今の場所で言えば東海道新幹線の岐阜羽島駅と米原駅の中間点に当たります。

◇東軍徳川家康についた主な大名、奉行と当時の領地
浅野幸長(紀伊)、福島正則(尾張、安芸)、細川忠興(丹後、豊前、肥後)、、黒田長政(筑前)、池田輝政(美濃)、井伊直政(上野)、松平忠吉(駿河、武蔵)、加藤嘉明(伊予)、田中吉政(三河)、京極高知(丹後)、筒井定次(伊賀)、藤堂高虎(紀伊、伊予)、蜂須賀(阿波)、本多忠勝(上総、伊勢桑名)など

◆西軍毛利輝元(石田三成)に付いた主な大名、奉行と当時の領地
宇喜多秀家(備前)、毛利秀元(長門長府)、長宗我部盛親(土佐)、石田三成(近江)、小西行長(肥後)、島津義弘(薩摩)、安国寺恵瓊(安芸)、織田秀信(岐阜)、長束正家(近江)、木下頼継(越前)、大谷吉継(越前)など

▼当初は毛利輝元側(石田三成側)についたが寝返って徳川についた大名、奉行と当時の領地
小早川秀秋(筑前)、吉川広家(出雲、安芸)、朽木元綱(伊勢安濃)、小川祐忠(伊予今治)、脇坂安治(大和、淡路)

そしてついに西暦1600年10月21日(旧暦慶長5年9月15日)、霧が立ちこめる早朝、関ヶ原周辺に陣を構えた東西本隊合わせて約16万の兵士が対峙します。

開戦の場所


双方の主力隊合計の兵員数はおよそ8万人ずつで、当初の戦力は互角です。地形を上手く利用した布陣を敷く西軍に対し、複数の部隊が連携し合い戦略に優る東軍という構図です。

東軍の主力徳川本隊は、家康率いる東海道経由部隊と、家康の子秀忠率いる中山道経由部隊に分かれて岐阜へ向かったものの、中山道経由の部隊が西軍についた真田昌幸率いる信州上田城攻めで翻弄され、それに時間を費やした結果、関ヶ原の戦いには間に合いませんでした。もし予定通りに到着していれば兵力は東軍が上回るはずでした。

決戦の火ぶたは東軍の福島正則(兵力6千名)対西軍の宇喜多秀家(兵力1万7千名)の先陣で切られました。

両軍入り乱れて壮絶な戦闘を繰り広げます。このとき兵器の主力は鉄砲と弓、槍、刀で、一部では新兵器の大砲も使われました。

開戦直後は石田光成率いる西軍が地勢の有利さから優勢であったものの、東軍の徳川勢と内通していた吉川広家や、西軍兵力の約2割を占めていた小早川秀秋(兵力1万5千名)の寝返りが起き、それに呼応するかのように西軍として参戦に躊躇っていた大名や武将も雪なだれのように東軍徳川側につき、戦局は一転して東軍優勢となります。

歴史に「もし」はないですが、小早川氏や吉川氏が寝返りをせず、西軍として戦っていれば、西軍が勝利を収め、徳川家康の天下はなく、したがって、日本の首都は今でも大阪という事になっていたかも知れません。

しかし実際は、味方と思っていた勢力の相次ぐ裏切りで、石田三成などの西軍は混乱し退却をしはじめ、中には包囲した東軍陣地の中央を突破して退却する「島津の退き口」と言われる奇跡的な離脱劇なども展開され、戦いの趨勢はわずか半日でついてしまいます。

決戦の場所


笹岡山石田三成陣から関ヶ原全景を望む


関ヶ原には首塚と呼ばれるところが何カ所かあり、その所以は、兵士が討ち取ってきた敵方の大将や武将と思われる首(顔)を集め、そこで記録を付けその後葬った場所です。持ってきた首の重要度に応じて報奨金が与えられ、浪人の場合だと仕官が許されたりします。

後の剣豪宮本武蔵も若いときにこの関ヶ原の戦いで一旗揚げようと西軍の足軽に加わり戦いましたが、多勢に無勢、負け戦となり這々の体で逃げ帰りました。

戦死者はこの狭い関ヶ原だけで、双方合わせて3万人とも4万人とも言われています。戦国時代とはいえ、1日の合戦でこれほど多くの血が流れた激しい戦闘は、後にの徳川対豊臣の最終決戦「大坂夏の陣」の「天王寺・岡山の戦い」以外にはなかったでしょう。

徳川家康最後陣


ちなみに当時1600年頃の日本の人口は今の1/10の1200万人ぐらいでした。そう考えると、今の日本の人口で換算すれば1日の戦闘で30~40万人が死ぬのと同じインパクトがあったということです。

【エピローグ】
敗走し生き延びた西軍の有力者だった石田三成、小西行長、僧侶安国寺恵瓊は後に東軍に捕えられ、京都で斬首されます。

石田光成にそそのかされ、みこしに乗せられたとはいえ西軍総大将だった毛利輝元は、直接関ヶ原には参戦せず大阪城に引きこもっていましたが、そのおかげで領地(長門、安芸)を大幅に減封の上、出家することでなんとか死罪は免れます。

また敵中突破して薩摩まで飛ぶように逃げ帰った島津義弘は粘りの交渉で、領土安堵のまま許されます。

薩摩に匿われていた西軍の主力部隊を率いていた宇喜多秀家は八丈島へ流罪、関ヶ原ではなく東北で反徳川の立場を取っていた上杉景勝は減封(領地の一部を取り上げられる)で済み、石田三成と懇意だった常陸の佐竹義宣は上杉氏よりも厳しい減転封(領地を変更して減らされる)となっています。

西軍につき、東軍の徳川勢に敗れて散々な目にあった長州の毛利と薩摩の島津の徳川に対する深い恨みは、その260年後に徳川時代に終わりを告げる江戸幕府倒幕で主導的な役割を担います。時代は巡る、因果応報とはよく言ったものです。

関ヶ原の戦いは「勝てば官軍」ということもあり、ドラマや映画では「東軍の徳川が善」で、「西軍の石田三成が悪」という描かれ方がされます。

しかし実際のところは双方ともに大義があると同時に、野心や過去からの因縁なども混ざり合い、東西陣営どちらが善と悪という戦いではありません。

ということで、この関ヶ原の戦いこそが、その後二百数十年間に渡り栄華を極めることになる徳川・江戸時代の幕開けだったという歴史のお話しでした。


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録画しておいた古い映画「浮草」を見ました。

この映画は1959年に制作され上映された小津安二郎監督の作品ですが、元々は同じ小津安二郎が戦前の1934年に監督した「浮草物語」のリメーク版で、多くの名作を作ってきた小津監督の晩年の作品となります。

小津監督はずっと長くモノクロ映画を撮ってきましたが、この作品はカラー作品(カラーになって3作目)で、ちょうどこの頃からモノクロからカラーへ切り替わっていった時代です。

小津作品ではもっとも評判が高い1953年制作の「東京物語」も先日見ましたが、こちらはモノクロでした。

出演は中村鴈治郎、京マチ子、川口浩、若尾文子(当時26歳)、杉村春子、笠智衆などで、その中の多くの俳優さんはすでに鬼籍入りされています。

小津監督といえば「東京物語」など多くの作品に主演した原節子を抜擢したことが有名ですが、この映画ではあえて使わず、当時の大スター中村鴈治郎や京マチ子、円熟味あふれる杉村春子、それに小津作品には欠かせない笠智衆など、今では考えられない豪華演技派の俳優・女優達の競演です。

ストーリーは、旅芸人一家(劇団)が地方の町にやってきますが、その座長が昔馴染みとしていた飲み屋の女将との間にできた子供が立派に成長し、町の郵便局で働いています。

当時は郵便局勤めといえば公務員でもあり、地方においてはもっとも信頼が置けるいい働き口とされていました。

公演中に座長がいつもこの女将の店に入り浸りしているのを若い妻が怪しみ、嫉妬が高じてその子供を誘惑するように劇団の若い子にお金を渡して頼みます。

すると誘惑するだけのはずが、二人は恋仲となってしまい、仕事も放り出して駆け落ちすることになってしまいます。それと同時に劇団の経営も落ち込み、とうとう一座は解散することになります。

座長と妻の関係は元に戻ったものの、郵便局勤めの男と踊り子だった女の仲は深まり、新たな旅立ちをすることとなり、大きななにかを失ってしまったという喪失感を感じるような終わり方です。

こうした旅回り芸人の大衆演劇は、今ではなかなか見られない特殊なものですが、この映画が作られた1950年代頃までは、レジャーが少ない地方の楽しみのひとつがこうした旅回り劇団の公演でした。演目は「忠臣蔵」「国定忠治」「清水次郎長」が鉄板です。

映画がモノクロからカラーへと変わり、こうした大衆演劇も映画や新しく普及し始めたテレビに取って代わられていく時代の象徴的な物語なのかも知れません。

個人的にはいい子ちゃん役の原節子と、どこにでもありそうな冷ややかな現代の核家族の絆を描いた「東京物語」よりも、廃れていく大衆演劇と、嫉妬や愛に目覚めた男と女を描いたこちらの「浮草」のほうが、楽しめました。

あと映画の場面で、団扇であおぐシーンが繰り返し登場します。男が外から帰ってきて汗を拭き拭きバタバタとあおぐこともあれば、杉村春子演じる女将が、久しぶりに戻ってきた座長にお酒を勧めながら静かにあおぐシーンまで、効果的に使われます。

現代の社会ではどこでもエアコンがあり、こうした団扇であおぐシーンは皆無になってきているので、なおさらそうした小道具的に使われるシーンが印象的に映ります。

座長の若妻を演じるちょっと怖そうな現代的美人の京マチ子が、苛立ちを表現するためかタバコを何度もプカプカとふかすシーンもこの時代ならではで、今同じ事をやるといろんなところから苦情がいっぱい来そうです。

映画といえば、派手なアクションとCGを使った動きが激しく、正義と悪がハッキリしていて、見る人に考える暇を与えないものばかりとなってきましたが、「東京物語」もそうでしたが、普通の人の普通の生活が登場し、些細なことをきっかけに物事が少し動くという、見ながらあれこれ考えさせられる映画をジックリとみるのもいいなぁっていうのが感想です。


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