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人と話をしていて「私は○○だと思うの。ね、そう思わない?」とか「○○と言われたけど、それってひどくない?」と第三者に対して同意を求めるような会話がよくかわされます。

これもコミュニケーション法のひとつとされていて、「相手と同じ立場にいる」ことを確認することで、より親密度や好感度が高まり、話者の安心感や満足感が得られるという会話手法です。

これが対等な関係のビジネスの場においてならば、間違っていることは「間違っている」と、そうは思わないなら、「思わないと」ハッキリ答えてもさほど問題ありませんが、上司と部下の関係だったり、先生と生徒、あるいは親しくしてしている間柄だと、ハッキリ否定するとちょっと面倒なことになります。

よくあるのは、顔見知りではあるけれど、それほど親しくしていない(よく知らない)人や、ビジネス上の顧客と会話している時に、一方的に同意を求められて、どう反応していいか困ってしまったことはありませんか?

私は何度もあって、たいていは面倒くさいのと、大人の対応と言うことで、あまり深く考えずに適当に相づちをうったり、同意をしておきますが、あまりにもしつこく「ね、ね」と同意を求めてくる人に対しては反論したことがあります。

元々そのように自然と同意を求めるのは、親しい人に対して「あなたなら私の考えや思い、立場をわかってくれますよね?」っていうところからきていると思うのですが、そうではなく、親しくない人や初対面の相手に対しても、「自分の考えと同じであるはず」と決めつけて会話する人がいます。

もう10年ぐらい前の話しですが、同僚ではないのですが同じ職場で時々一緒に働くことがあった人で、ある日仕事が終わってから二人で世間話をしていました。その方と私の家が割と近いことから、近所にある総合病院の話しになって、その方がその病院の悪口を次々と言い出しました。

最初はそんなことがあるのか?って半信半疑で聞いて、適当に相づちをうっていましたが、話しはドンドンと深まっていき、「以前にこんなひどい対応だった」「まともな医者がいない」「診察代は高い」「いい加減な検査をする」etc.と、ずっと悪口ばかりで、いいかげん閉口気味でした。聞いていながらこういう患者のことをモンスターペイシェントって言うのかなぁって考えていました。

それまでその総合病院の悪い評判は聞いていませんでしたし、妻が病気したときも、家から一番近い病院というわけでもないのに、大事を取ってわざわざその病院へ通っていたこともあり、近所の評判としては悪いどころか、逆に好意的なものと思っていました。

それでもなんとかその病院に対して悪いイメージを共有し同意して欲しいらしく、「こんなひどいことを言われた」「ひどい診察だった」「患者の言うことを聞いてくれない」などと次々と繰り出しながら、「ね、ひどいと思いません?」「ね、そう思うでしょ?」と、ひとつずつ確認するかのように同意を求めてきます。そういう話し方を特にする人でした。

あまりにもいちいち同意を求める話し方と、同意するのが当たり前だという高圧的な言い方を感じたので、「そうですか?詳しくはわからないけど、私はそうは思わないですけどね」って返答しました。

その時の相手の顔は今でも忘れることができません。

「鳩が豆鉄砲をくらったような顔」というのが正しいのかわかりませんが、まさか反論されることがあるなんて、夢にも思っていなかったという驚いた顔です。

その相手の方は、私よりも少し年配で、しかも小さいながらも会社の社長を務められていた方で、部下をはじめとして自分の意見に真っ向逆らう人などいなかったのでしょう。つまり自分の主張に対しての不同意に慣れていないというか、「え、まさか!」という思いがあって言葉が出てこなかったようでした。

しかし私は「少しは気を悪くされるかな」と思いつつ、その方の部下でもないし、仕事でもお世話になっているという関係でもないので、その方の独善的な考え方とそれを他人に押しつける話し方に不快を感じ、なにかがプチッと切れて異議を唱えたわけですが、それっきりその方とは会話はモチロン、目を合わすこともなくなったのは当然の成行でしょう。

「携帯やスマホが常に気になる」「LINEやメールは読んだら返事はすぐに返す」という人の多くは「人間関係に怯えている」っていう心理分析があるらしいのですが、人間関係だけを大事にするならば、例え自分とは違う意見であっても、同意を求められたときは不本意ではあるけれどもとりあえずは同意をしておく、メールやLINEならすぐに返事を返すというのが基本でしょう。

半沢直樹じゃないですが、上司の指示や意見に真っ向逆らうことは会社員としては成功しません。一般的には「長いものには巻かれろ」式や、「周囲と軋轢を起こすな」が長い会社員生活には求められるのが普通ですので、よい子は真似してはいけません。

その点、私はあまり人間関係を気にする方ではないので、言いたいことはすぐに言ってしまうし、言わなくてもいい余計なことまで言ってしまって、あとで後悔してしまうこともよくあります。もちろん直属の上司や部下、顧客はできうる限りリスペクトし、譲歩や我慢を持って接しますが、そうでない相手にまで余計な気を遣いたくありません。

私的なメールや電話の返信や折り返しのコールバックも、何日も放置するわけではないけれど、気がついたからと言ってすぐにせず、暇なときにまとめてやればいいかぐらいな感覚です。もちろん内容的に緊急を求められている場合は別ですけど。

そこで、私の文章や会話では、そうした「○○だと思いませんか?ね、そうでしょ?」と言った他人に同意を求めるような会話や文書はできるだけしないようにと気をつけています(あちこちに使っていますけど)。

このブログの場合はあらかじめ「独断と偏見と無知」を決め込んでいるのでなにを言われてもいいとしても、普段の仕事上でむやみに使ってしまい唐突に思わぬ反論を返されても困りますので。

特に絶対的な自信家や、自己中心的な世間知らずの人に限ってそういう物言いをする人が多いのも特徴で、自分には才能があり、世界は自分を中心に回っていて、自分の考え方や気持ちが一番大事で唯一信じられ、それを周囲の人にも認めて欲しいのでしょう。それが習性になってしまっている人と付き合うのは本当に面倒くさく、迷惑千万です。


【関連リンク】
768 無口な人はコミュニケーション能力が低い?
755 電子書籍を普及させるには
672 日々是淡々と
520 若いビジネスマンへ告ぐ
428 報道は弱いモノの味方なのか?
350 ネット上のコミュニケーションは疲れる?

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847
前回の「みちのく急ぎ旅 前編」から続く後編です。

後編では、1日目のメインイベントである最上川の舟下り、その夜は日本海側へ出て鶴岡市内にある安いビジネスホテルで一泊、翌2日目は、日本海沿いを新潟方面に向かい、笹川流れ、朱鷺メッセというコースをたどります。

また個人的な趣味により観光地というより、トイレ休憩や土産物購入など、なにかと便利で、地方の高齢化ニッポンを支える「道の駅」がやたらと出てきます。

今回もテキストは極力控えて画像中心で。前回同様ゆるめなのはご愛敬。

一級河川で、日本三大急流のひとつ最上川


今回の旅の目的の中心は松尾芭蕉も舟で下った最上川を見てやる!が最初でした。


最上川三難所の中のひとつ碁点


日本三大急流とは、富士川(長野、山梨、静岡)、球磨川(熊本)と、この最上川です。


道の駅 むらやま


ちょうど観光バスの到着と重なったみたいで、ジジババの団体観光客でたいへん賑わっていました。お土産の品揃えはまぁまぁだけど、レジに並ぶ殺気だったジジババの長い行列をみて早々に退散。


道の駅 とざわ


観光用?の韓国風の大きな立派な建物が併設されていましたが、それもあってかなにか異様なムードを発していて、ソフトクリームだけ買って先へ急ぐ。おそらく全国有数の客が少ない道の駅。平日とはいえ従業員と関係者以外は人の気配なし。


最上川遊覧船

結局、乗船時間に間に合わずに、逃してしまいます。ホームページに書いてあった出航時間はいい加減なもので、客がある程度揃えば適当に出航という感じです。そういう鷹揚なところがいかにも田舎の流儀で、別に腹も立ちません。


庄内町清川にある松尾芭蕉銅像と句碑




銅像の背後に見えるのは映画ロケに出てきそうな古めかしい廃校になった校舎と井戸。井戸の蓋はしっかり閉じられていましたが、中をのぞいてみたかったなぁ、、、貞子とかお岩とか。
夏にお化け屋敷のイベントをこの廃校で企画すれば大儲けができそうです。


道の駅 庄内みかわ


野菜など地元特産品が豊富にありましたが、観光客向けの土産物は少なめで、地元民御用達って感じ。


酒田市内のホテルがなぜか満室で、隣の鶴岡市で予約したビジネスホテルは、寝るだけの部屋ですが、意外と綺麗でベッドも広く快適でした。
翌朝部屋を出ると、合宿か試合かで、体育会系男子高校生が廊下をウロウロしていました。我々の中高校時代は、遠征でも汚い旅館か民宿で雑魚寝(以下自粛)



道の駅 あつみ しゃりん


ここまではまだ広い山形県の範疇です。道の駅の駐車場へ入るとパトカーと警官が待ちかまえていたので、「?」と思ったら、山形県警協力の下、交通安全キャンペーンを実施中でした。私?もちろん安全運転をしていたのでヤクルトと眠気覚ましのガムをもらいました(全員に配っている)。

道の駅の売店は観光客用のお土産物の種類はイマイチですが、野菜や水産物など地元特産品は充実。立地場所は景観もよく、観光客や通りすがりの客をもっと呼べそうなのに、いかにもお役所主導の運営って感じで、垢抜けず、商売気も薄く、全体に面白味に欠け、ちょっと残念な感じの道の駅。

デキる民間業者に委託すれば来客数2倍、売上3倍ぐらいはすぐにできそう。例えば、売店で獲れたての新鮮な魚を格安で売っているけれど、さすがに観光客は家に帰るまでに時間がかかり、買うのは無理。

しかしその場でサクッと握りか丼にして出せば、小腹が空いている人や目の前の新鮮な魚に目を奪われた人にザクザク売れるはず。ちょうど高速のサービスエリアでアメリカンドッグやたこ焼き、おにぎりなどが飛ぶように売れるのと同じ。地元の漁師アガリでそういう漁師飯を作るのが得意な高齢者もいそうなのですぐに始められそう。


笹川流れ




「笹川流れ」とは美空ひばりが歌う名曲でもなく、また「カッパの川流れ」とも関係なく、この辺りの天然景勝地のこと。

岩場が多いと言うことは海水も綺麗に浄化され、昔ながらの方法で海水から塩を作っている塩田が点在しています。

そう言えば「敵に塩を送る」で有名になった当時越後を支配していた上杉氏からライバル甲斐の武田氏へ塩を送ったという話しは、この豊富に取れる笹川流れの塩を送ったのかも知れません。


道の駅 笹川流れ(夕日会館)


別名「夕日会館」とあるように、ここの海岸から見る日本海に沈む夕陽がとても綺麗らしい。道の駅と海岸を結ぶ横断橋+展望台の上には、夕陽を見に来たカップルが付けたと思われる無数の南京錠が。フランスのどこかの橋みたく、鍵の重さで崩落しなければいいのだが。


新潟(朱鷺メッセ)


天気が好いと佐渡島が綺麗に見えるというので無料展望台へ上がるも、霞んでいてよく見えません。しかし東京や大阪とは違い、周囲に高い建物がないので360度視界がひらけていて上から見下ろす優越感に浸れます。帰りのエレベーターは高校生風カップルと一緒になり、31階から一気に降るエレベーターが珍しいらしく、二人のテンションは上がりまくりで、ほのぼのとしました。1回待って二人だけにしてあげればよかったとあとで反省。


新潟ラーメン「ときめきラーメン万代島」


新潟ラーメンとはなに?と期待を膨らませたけど、ま、普通の魚介類系ダシと醤油味のラーメンでした。それにしてもこのエリア、他にはひとりも客の姿はなく、シャッターが降りた店ばかりで、幽霊が出るかと思ったぐらいに寂れていました。

地方ではこうしたどちらかと言えば若い人向けの店舗やサービスは、よほど尖ったものでない限り、成立しなくなっている感じ。ここで遅めのランチを食べて、他にも寄りたいところがありましたが、雨も本降りになりつつあり、家路につきました。最後のオチはありません。

みちのく急ぎ旅 前編へ


【関連リンク】
816 2050年に向けてのグランドデザイン
719 道の駅は次の段階へ進めるか
711 地方が限界集落化していく
678 東北巡り


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846
昨年は1月と8月に2度、主として東北の太平洋側沿岸地域を回ってきましたが、今年の夏休みは趣向を変え、福島から東北の中央部を北進し、その後最上川に沿って日本海側へと回ってきました。

本当は、山形、秋田、青森、岩手と東北を縦断したかったのですが、1泊では単にひたすら走るだけになってしまいそうで、今回は少し観光地にも寄りたいので、距離を縮め、福島(磐梯、喜多方)と山形(米沢、最上川、鶴岡)、そして新潟に絞りました。

それでも2日間で走行距離が約1200km(内高速道路約500km)ほどのドライブとなり、ゆっくりと観光をしている時間はなく急ぎ旅となってしまいました。

相変わらず貧乏なので、できるだけ支出を抑えるため、行きの高速は真夜中のETC深夜割引を使い、ガソリンは自宅近くのスタンドが一番安いので、満タンで出掛け、帰宅したらカラになっているようにうまく調整、泊まるホテルは酒田、鶴岡で安いビジネスホテルを探してルームチャージだけで宿泊と、涙が出るような工夫をしています。

今回と次回は夏休み仕様のため、普段よりゆるい書きようとなっていますのであらかじめご容赦ください。

以下、写真を中心に。

磐梯吾妻スカイライン










磐梯吾妻スカイラインは一切経山や吾妻小富士などモクモクと湯気が立ち上る活火山のすぐ近くを走るため、普段味わえない独特の雰囲気と臭気があります。が、私、嫌いじゃないです、この雰囲気と臭気。

猪苗代湖から見る磐梯山


あいにく低い雲(もや?)が立ちこめていてよく見えません。海水浴ならぬ湖水浴にはまだ早い時間で、人も白鳥もネッシーもいませんでした。

町営磐梯山牧場から見た磐梯山


ピンクの傘は開いていません。


喜多方ラーメン「あべ食堂


早朝とはいえ観光客が喜多方に寄ってラーメンを食べないのは一種軽犯罪です。人気の店舗は朝7時頃から堂々開店しています。

道の駅 喜多方の郷


レストランで人気?の「喜多方ラーメンバーガー」は開店前で食べられず、しょぼい見本だけ。

喜多方でラーメンを食べるというひとつの目的を果たしたあと、北進して初めて足を踏み入れる山形県に突入、米沢市の米沢城跡地にある上杉神社へ向かいました。

戦国時代にはあの独眼竜の伊達政宗がこの米沢城で生まれ、江戸時代には上杉氏の本拠となります。

上杉神社参道


本殿には上杉謙信と上杉鷹山が奉られていますが、上杉一族の墓所はまた別のところにあります。

元々はここにあったそうですが、明治新政府の神仏分離政策のもと移されたとのこと。

「毘」の旗は上杉謙信が戦の神である毘沙門天の生まれ変わりと信じていたこと、そして戦において総攻撃の際に使っていた「龍」の二つの旗が謙信公のトレードマークです。

上杉謙信公の像


上杉鷹山(ようざん)公の像


「なせばなる、なさねばならぬ、なにごとも・・・」の人です。関係ないけど「米百俵」の話しは長岡藩の藩士小林虎三郎です。

NHK大河ドラマ「天地人」の放送記念とかで安直に建てられた上杉景勝と直江兼続の像


上杉謙信公家訓十六ヶ条


「心に欲なき時は義理を行う」「心に堪忍ある時は事を調う」など、なかなか教えられます。

米沢牛の串焼きと米沢牛コロッケ




お参りしたあとは、なぜかお腹が空きます。無料駐車場横の売店で売ってます。 (゚д゚)バカウマー(牛だけど)


最上川下り、各種道の駅、笹川流れ、朱鷺メッセは後編へつづく
 
 
【関連リンク】
814 日本に外国人観光客を呼ぶ
802 観光後進国日本の現実
485 マイカーで東京から京都まで旅行する場合 その1



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845
派遣労働者の受け入れ期間上限を撤廃するなどを盛り込んだ人材派遣法の改正は、条文にミスがあったという呆れた理由でいったん国会で見送られましたが、また秋以降の国会で再燃する見通しです。

今回の改正では多くの顧客からの派遣依頼がある大手の派遣会社が有利になると考えられ、中小派遣会社の整理、淘汰を裏の目標としているのでは?とも言われています。

なぜ大手が有利かと言えば、まず期間が撤廃されると企業は人事戦略的に派遣枠を作ることができ中長期に派遣を活用することができますので、派遣の需要は高まるでしょう。

しかし3年以上同じ人を同じ職場で派遣することは禁止されますので、やむなく派遣労働者を交代せざるを得ません。その時に大手派遣会社ならすぐに新しい交代要員の確保と、交代させられた人の次の長期派遣先の確保が比較的容易にできます。

零細派遣会社だとその交代がスムーズにいかず、派遣先は変わっても、長期で働きたいと願う派遣労働者にとっても不都合です。

ま、それはさておき、ニュースと言うにはすでに旧聞になりつつありますが、人材派遣業界に二つちょっとした話題がありました。

ひとつめは中堅派遣会社の中でも準大手にランクされる「パナソニックエクセルスタッフ」が売りに出されることになりました。

こうした大手企業子会社の派遣会社は十数年前から次々に売却やリストラをされて、残っていたのが珍しいぐらいですが、とうとうお前もかという思いです。

人材派遣6位を売却、パナソニック、今秋入札(日本経済新聞)
パナソニックは人材派遣事業を売却する。売上高で人材派遣6位だが、非中核事業の撤退や売却で、住宅や自動車関連の戦略事業に経営資源を集約する一環。
今秋をめどに入札を実施し、2015年3月期中に売却先を決める。パナソニックの事業売却が派遣業界の再編を促す可能性もある。
売却するのは子会社のパナソニックエクセルスタッフ(大阪市)。14年3月期の売上高は640億円で、3月末の派遣登録者数は約31万4000人。グループ内外に事務系従業員を派遣し、電子機器の技術者派遣にも強みを持つ。売却額は200億円規模の見通し。

この事業売却で「派遣業界の再編」というのは、マスコミがよく使う「煽り」に過ぎませんが、すでに多くの派遣会社は大手や外資に次々吸収されてきた実績があり、今後それが加速していく可能性はあります。

昔、リクルートスタッフィングがスタッフサービスを、テンプスタッフがインテリジェンスを手中に収めたように、大手同士の吸収合併が当たり前の業界ですから、中堅の同社をどこが買収しても驚くに値しません。案外人材派遣業界以外のところから、異業種参入を狙って買いに来るケースも考えられます。

同社の場合は未公開企業なので経常利益は公表されていません。しかし一般的な人材派遣ビジネス(事務系派遣がメインの場合)の利益率(経常利益/売上)は中堅で3~4%、大手なら2~3%でしょうから同社の場合、売上が640億円ということは経常利益率を4%とすると、経常利益は26億円、3%とすると19億円となります。

買収に200億円を投資しても計算上は10年以内ですべて回収でき、IPOすれば一気に何倍となって利益を生みますので、資金に余力のある投資家達に狙われるかもです。もちろん今後も経営が安定、あるいは成長するというのが前提ですが。

特にこうした公開入札の場合だと、密室で寝技の得意な日本企業ではなく、日本進出を狙う外資系の草刈り場になる可能性もあります。

外資系派遣会社以外でも、いわゆるハゲタカファンドが買い、やっつけですぐに上場をさせて濡れ手に粟を狙うこともあれば、純粋に投資として買い、より高く買ってくれる先を探してすぐに転売するビジネスも考えられます。特にアジアの金満某国には日本への足がかりを作りたい投資家も多そうです。

パナソニックの場合、買った三洋電機をすぐに中国のハイアールに社員共々売っぱらった過去がありますので、どうなるのか注視していきたいところです。

二つめの話題は、古くから根深い問題として、派遣社員と派遣先の雇用の関係についてのニュースですが、

マツダと元派遣社員和解、正社員の地位確認訴訟、原告15人全員(日本経済新聞)
実質的な雇用契約があったのに不当に雇い止めされたとして、マツダ防府工場の元派遣社員15人がマツダに正社員としての地位確認を求めた訴訟は7月22日(2014年)、広島高裁(川谷道郎裁判長)で和解が成立した。原告団によると、15人にそれぞれ和解金が支払われる。職場に復帰はしない。

この和解という裁定に、別にどちらの肩を持つということはありませんが、私が感じたのは、

1)高裁は判決で決するのを避けた気がする。あるいは最高裁へ持ち込みたくなかった?
2)原告個人が「よくこの長期間にわたって訴訟を持ちこたえたな」という思い

です。

原告団は「和解により、経済面や健康面などで困難を抱えた原告を早期に救済することができた」とする声明を発表。原告の一人の男性(44)は「和解と聞いて涙が出た。今日はゆっくり過ごして、明日からまた頑張りたい」と語った。

個人対企業の労働問題に関する訴訟では、企業側は必ず長期戦へ持っていこうとします。そうすることで、個人は収入の道が閉ざされ、逆に弁護士費用や訴訟費用の負担で貯金も底を突き、生活のために裁判を断念せざるを得ないと言うことがわかっているからです。

その点は、裁判のさらなるスピードアップ化や、個人が原告の場合の生活保障や、条件付きでいいので国選弁護士の利用など今後の対策を検討してもらいたいところですが、今回の場合は、複数の個人が「原告団」としてまとまり、労働組合等のサポートがあったのかどうかは不明ですが、一審、二審の5年間もの長期間にわたる訴訟を、誰もくじけずにがんばれたのはたいへんに珍しいことと言えます。

原告(労働者)の人達にとって厳しいのは、少なくとも勤務していた企業を訴訟している人を雇う企業はありませんし、また今回のように「正社員としての地位確認」を求めている以上、例えできたとしても他企業へ就職するわけにはいかないでしょう。

一番働き盛りの30代~40代の5年間を、この先どうなるのかまったく不透明な裁判に明け暮れるというのはなにより原告の方々は精神的にも肉体的にもつらかったでしょう。

よく持ちこたえられたものです。その長くつらい日々と、実際にどういうサポートがあったのかなど、本にまとめてもらいたいものです(少なくとも私は買います)。

マツダ側も、非正規社員の個人が相手ですから、当初は1年もしないうちに音をあげて白旗を揚げると想定していたと思いますが、結局ズルズルと5年も経ち、さすがにこのままでは自動車販売というお客様商売ということもあり、また少し景気が持ち直したことで臨時雇いの労働者を大量に雇うことになって、それらへの悪影響を考えるとマズイと思ったか、さらには高度成長期以降一貫して地元大企業の味方だと思っていた地裁、高裁の裁判官の心証もなんだか怪しくなり、今回の和解を渋々受け入れたと言うことでしょう。

それにしても、今まで人材派遣されて働いていた人が、「派遣先と実質的な雇用関係にあった」とされる訴訟では、なかなか原告(労働者)側に有利な判断がされることは少なそうで、一流弁護士を揃え、税金をたくさん払っている地元の名門企業と、一個人が争っても普通ではかなうはずもありません。

それだけに、今回マツダは最初から相手をなめきって油断をしていたとも言えます。

和解金は公表されないものの、この3月の決算では1407億円の経常利益をあげている大企業のマツダとしては、チリほどのものでもないでしょうが、もし裁判で負けるようなことがあれば、きっと優秀な社員(現在では昇進していて偉くなっているハズ)が作った派遣社員対応について瑕疵があったことを認めなきゃならないことや、自社で働いて貢献してくれた労働者相手に冷酷で非情な対応をしたという悪評がたつことを嫌ったのでしょう。

今回、もし裁判が最高裁までいき、「派遣先と実質的な雇用関係が生じていた」と認定でもされた場合、派遣労働者を長期間使っている全国の多くの企業に衝撃が走り、また全国各地で同様な裁判が起きる事態となっていたかも知れません。

高裁(広島)までは名門マツダの地元の威光や人脈が利用できても、最高裁ではそれが効かず、判決が覆ってしまう可能性があります。

そうした社会の混乱や、マツダの威光が届かない最高裁判決を避けるため、広島の高裁はマツダに強く和解を申し入れ、あくまで強気のマツダに対して相当なプレッシャーをかけたのではないかなと勝手に想像します。

せっかくマツダもヒット車を次々に生み出して、海外市場では絶好調なのですから、こうした内向きの問題は、もっと素早く好感が持てる対応と引き際を見せて欲しかったなと思わなくもありません。


【関連リンク】
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)
697 非正規雇用拡大の元凶が人材派遣だって?
610 労働者派遣法改正
569 人材派遣会社の動きが活発だ
554 労働者派遣法改正の動き

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844
先月の情報ですが、こうしたニュースが新聞に出ていました。

メルマガ作成でトラブル、仕事応募すると金銭請求次々、国民生活センター、注意呼びかけ(日経新聞)
商品を紹介するメールマガジン(メルマガ)の原稿を作成する仕事に応募すると、様々な名目で次々と金銭を請求されるトラブルが増えている。「登録した個人情報をインターネット上にばらまく」などと脅して解約に応じない悪質なケースもあり、国民生活センターは「高額な初期費用を求めてくる場合は注意を」と呼びかけている。

これをみて、そう言えばずっと古くから内職の仕事に関連して、登録料や高額商品を買わせる手法っていうのは、被害者の方には申し訳ないけど、「相変わらず繰り返されているんだなぁ」と呆れかえるのを通り越し、感慨深げに読みました。

昔(30~50年前)の内職詐欺では、女性の内職の中でも人気があった和服や洋服の仕立物の内職です。まず内職希望者を募り、応募者には「当社指定のミシンを買ってもらうのが条件」と伝えます。

「すでにミシンは持っている」と言うと、「特殊な縫い方ができる、当社指定の高性能ミシンを買って使って欲しい」と言われ、それは「ローン(当時は割賦)なので月々の負担は少ないから大丈夫」「毎月の収入を考えるとすぐに払い終えてミシンは自分のものになるのでお得」「ローンが終われば、あとは全額自分の儲けになる」などとうまく乗り気にさせます。

そして「毎月これぐらいの内職を依頼するから、収入はこれぐらいになり・・・」と捕らぬ狸のなんやらで安心させておき、高額なミシンを契約させ、最初の数回だけ仕事を回し、安心させておき、そのうちに完全に連絡が取れなくなります。

気がついたら、高額なミシンの月々の支払だけが残り、仕事は結局ほとんどもらえなかったという詐欺です。そして買ったミシンも一般市販されているよりもずっと割高で、転売しようと思っても二束三文にしかなりません。

その他にも、内職を得るためには、会員にならなければならず、会員になるには最初に数十万円の入会金を支払う必要があります。

普通ならすぐに怪しいと気がつきますが、支払った入会金は内職を始めれば2~3ヶ月で取り戻せると「うまい話し」とセットになっているのと、誰かに相談したり後先を考えさせないように、「応募者が多く締め切ったところだが、今すぐなら入れてあげる」と急かすのが常套手段です。

概ね内職というのは、真面目で内向性が強く、社会経験の少ない女性が、旦那や周囲の人には相談せずに、自分だけの意志で手の空いているときに少しでも家計の助けになればと思って問い合わせをしたり応募してきます。

悪徳業者にとっては一番騙しやすい相手なのでしょう。

上記の新聞に載っていたケースでは、昔の内職の現代版で、副業としての募集らしいのですが、メールマガジンの原稿作成を1本千円の契約で発注するというものです。そのメールマガジンは、会員などに商品やサービスを紹介したり販売する目的のものです。

最初のうちは、ただ言われたように書いて送ればそれだけで支払われますが、次に業者から商品紹介のホームページを新たに作りメルマガとセットで紹介をすれば、もっと稼げると言われ、ホームページ制作料として110万円を消費者金融から借りて支払うところまで誘導されます。そして払ったら最後、その後の依頼は途絶えたとのことでした。

業者からは当然のように、「すぐに元がとれる」「儲からなければ費用は返金する」などと説明したそうで、もちろん騙すための口約束です。

もっと稼げるという「人間の欲」と、「いざというときは返金する」という騙しのテクニックで、コロッといかれてしまうのでしょうね。

さらにタチの悪いところでは、解約を申し出ると最初に登録した「個人情報をインターネット上にばらまく」「勤務先に副業していることをばらす」などと脅された事例もあったそうです。憎まれっ子ならぬ悪人はいつの世にも図々しくはばかるものなんです。

内職とは違いますが、消費者トラブルになる可能性があるえぐい商売があります。ほとんどの場合は泣き寝入りしている場合が多そうですが。

法律に触れるかどうかと言えばそのシステム自体は合法でしょうが、やり方が汚いのが特徴です。

パソコンやタブレットなどにバンドルされているセキュリティなど60日間無料ソフトなどを利用する場合、契約が切れる前にクレジットカードなど個人情報を登録し、自動引き落としの契約をしないとやがて使えなくなります。

そして一度クレジットカードを登録してしまうと、解約ができないように、あの手この手を使ってきます。

申し込むときはワンクリックで可能なものであっても、解約するためにはわざわざ電話をかけて伝えなければならず、その電話は平日の10時~17時まで、普通の人だと仕事中なので、なかなか電話をかけられないようにしています。

そして仕事の合間にやっと電話をかけても「ただいま混み合っていますので~」と自動音声が流れるだけで相手は決して出ません。つながるまで待っていようと思っても、フリーダイヤルとは違い、その間ずっと通話料が課金されますので、何十分もジッと待っている人はまずいないでしょう。

そして何度かけてもつながらずに、とうとう断念して、解約をあきらめさせ、毎年使用料を自動的に引き落とすってわけです。

ウイルス検知の大手有名セキュリティ会社が平気でそういう阿漕なことをやっていますので、クレジットや銀行自動引き落としを申し込む時はくれぐれも要注意です。

私は一度それに懲りて、セキュリティソフトでは有料で自動更新されるソフトは一切拒否し、以前ならパッケージ売りで更新料は永年無料のものに変え、そしていまはフリーのウイルス検知ソフトを使っていますが、それで十分です。

ちなみに私がはまった罠に引っかかった時の話しですが、解約するために、仕事場所から朝一番に電話をかけて、当時は携帯普及前だったので公衆電話でテレフォンカードを何枚も無駄に使い、40分ぐらい待ってようやくつながり、自動更新の日より1ヶ月前に解約を申し出て受け付けてくれたものの、結局1ヶ月後には翌年分もしらっと自動で引き落としがなされ、また何度もかけてそのクレームを伝えなくてはいけませんでした。

そして引き落とした分は返金すると約束してくれたものの、さらに2ヶ月後に引き落としに使われた銀行口座へ返金された金額を見ると、なんとクレジット会社の手数料(8%)を差し引いた金額が戻されているという散々な結果でした。

それについて、「更新日の1ヶ月前に解約しているに関わらず、勝手に引き落としをして、その返金でクレジットの手数料が引かれるのはおかしい」と連絡しましたが、「当社は引き落とした金額を戻す手続きしたまで」と「手数料についてはクレジット会社に言え」との回答。

それでクレジット会社に連絡すると、「当社は返金処理された金額をお支払いしたまでで、詳しくはその会社(セキュリティソフト)に言え」との鼻をくくった回答。

つまりどこにも責任はなく(と言い張っている)、最後は顧客がバカを見るという理不尽な仕組みとなっているようです。

どういうことかと言えば、私の口座から引き落とした金額からクレジット会社は手数料(8%)を引いてセキュリティ会社に振り込みます。そしてセキュリティ会社から返金をする時には、その振り込まれた手数料を引いた金額だけがクレジット会社に戻され、それが顧客に戻ってくるというわけです。

こうした自動更新の契約をクレジットカードでさせて、永続的に課金していくやり方をしている会社っていずれは大きなしっぺ返しを受けるものと思っています。

でも内職や副業詐欺と同様、一般的に人って痛い目に遭わないとわからない事っていっぱいあるんですよね。


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