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「スマート・マシーン(7)機械の自動化で人間の仕事の50%は消滅する!?」というタイトルのブログを読んで、確かに時代とともに消えゆく仕事と、新たに生まれる仕事がいくつもあることに気づかされます。そして現代ではITの活用によってその速度が加速度的に速くなってきているのかも知れません。
調査会社のガートナーが2013年10月に発表した調査では、2020年までにスマート・マシーンにより49%が雇用の影響を受けないとし、仕事が拡大するのが34%、失業するのが17%としています。 (中略) 調査会社のダビンチインスティティートでは、2030年に世界中の全雇用の50%、20億人分の仕事が機械化でなくなると指摘しています。 |
私が社会人になった23年ほど前は、大手企業では「電話交換手」「和文タイピスト」「キーパンチャー」はほぼ必須の職業として存在していました。特に公的機関への届け出書類が多い企業では、役員秘書までが和文タイプを扱えることが求められたりしていました。
また当時の商社や貿易会社には欠かせなかった「テレックスオペレーター」や、「カナタイピスト」、秘書の必修科目だった「英文タイピスト」といった職業や職能も今は消えてしまいました。
さらに中堅以上の企業では専任で受付(嬢)を置いているところが多くありましたが、現在では巨大企業以外、専用の受付で要件を伝え、取り次いでもらうということはあまりなくなりました。あっても総務部の仕事と兼任していたり、無人の受付から内線電話で直接連絡する方法がとられています。
一方、当時から新たに増えた職種というのは、、、意外となかなか思い浮かばず、案外少なかったりします。
つまり、ソロバンが電卓に代わり、その後パソコンや端末機に変化し、使うツールが変わっただけで、経理の仕事は経理で、営業の仕事は今でも営業として変わりありません。
もちろんWeb管理者やサーバ管理者、ゲームクリエーターのような新たな名前の技術職は生まれていますが、当時のプログラマーやエンジニア、汎用機オペレーター、デザイナー、シナリオライターなどの業務が、ネット上や対象を変えておこなう仕事に変化しただけともとれます。
昔の新聞社や印刷会社には、活字拾いのベテラン職人さんが必ずいましたが、現在は電子版組へと変わりました。しかしその活字拾いに相当する専門職はいまでも存在しています。
もちろん記者や編集者といった仕事は30年前と今とで、手書きしていたのがデジタルに変わったことぐらいでやっていることは今も昔もほとんど変わりません。
一番大きく変わってきたのはやはり製造業の現場かもしれません。
30年前までは、巨大な体育館のような工場の中で多くの工員が朝から晩まで黙々と仕事をしていたり、一部は機械化されてベルトコンベヤで次々と流れてくる部品を人が効率よく組み付けて仕上げていくような工程だったのが、現在そのようなシステムで動かされている工場はほとんどないでしょう。
80年代中盤ぐらいから工場へロボットの導入が進み、現在ではどうしても人間の代わりができない部分や、試作品など少ロット製作などがかろうじて残っている状態です。特に加工食品のオートメーション化技術については驚くべき進歩を遂げています。
さて、今後20年を考えたときに、どういう業界の職業がなくなるか?と考えると、今まではいわゆる第二次産業、主として製造業のオートメーション化が重点的に進められてきました。
しかし先進国の製造業においては行き着くところまで行ってしまい、次は第一次産業、つまり農業や林業、漁業といったところか、それとも残る第三次産業、サービス業ということになります。
職種で考えると、小規模な農家はやがてなくなり、大規模な企業経営農場と野菜工場などでオートメーション化され、農作業の多くは機械が肩代わりし、種をまく時期、給水量、温度などのコントロールはITが担うことになるのでしょう。
同様に個人事業としての漁師さんも減り、企業経営で完全自動化した養殖や組織的で効率的な漁がおこなわれる仕組みへとシフトしていきそうです。
街の電気屋さんが大手家電量販店に、文房具店が100円ショップチェーンやコンビニに、八百屋や魚屋さんがスーパーに駆逐されていったのと同じ構図です。
すでに建設現場では実用化されていますが、高層ビルを建てる際の建設ロボットが自動的に鉄骨や壁を組み立てて溶接していくシステムがもっと本格的に普及すれば、建設労働者の数が大きく減ってくるでしょう。
自動運転といえば、すでに砂や岩石の採掘現場や、大規模な農地では人間が操縦しない巨大なダンプカーや大型トラクターがGPSを利用して自動運転で活躍しています。すでに公道以外で自動運転が利用されているわけです。そう遠くない将来、輸送トラックやタクシー、バスも自動運転になるかも知れません。
東京臨海新交通臨海線を走る「ゆりかもめ」は8年も前から無人運行をしていてノウハウもたまっていることから、今後近い将来鉄道の多くは無人運転が主流になっていくことが想定されます。
交通事故が起きるのはヒューマンエラーによるものがもっとも多く、自動車、電車、船、飛行機の運転や操縦がやがて完全自動化されていくのは時代の要請でもあるでしょう。
翻訳家や通訳といった職業は、まだすぐにはなくならないでしょうけど、自動翻訳や自動通訳の精度が格段に上がると一気に過去の職業となる可能性があります。この分野はいつどこで誰がどのようにブレークスルーさせるか見物です。私の生きているうちには実現してもらいたいものです。
一方、日本国内において20年やそこらでは絶対になくならない、大幅な削減がない専門職は、、、
絶対と言うにはあまりにも世の中の変化と技術の進歩が速いので、なんとも言えませんが、私見では
・経営者
・高価な商品やサービスの販売員(安価な製品、サービスはセルフ・自動化されていく)
・財務、経理、税務スペシャリスト(単なる経理事務員は不要となる)
・エンジニア(導入、運用、保守など)
・コンサルタント(総合ではなくセキュリティコンサルなど特殊な専門分野)
・編集者(情報氾濫の整理役)
・コーディネーター(人と人、企業と企業をつなぐ役目や、物事をわかりやすくかみ砕いて説明したり紹介する)
・学校教員
・医者、看護師
・芸術家
・政治家
などでしょうか。
自衛隊員はどうかなと思いましたが、まだすぐにはなくならないものの、いずれはロボット兵士や無人機、無人戦闘車両、偵察衛星に置き換わり、武器も人が前線で利用する大砲や小銃から、何十キロも離れた場所から撃ち込む正確無比な誘導ミサイルなどに変わっていきそうです。
特に日本のように専守防衛だけを考えるなら、無人兵器だけでもかなりのことができそうです。しかしインフラが整っていない海外派遣や災害支援などでは臨機応変に判断できる職業人がどうしても必要です。
塾の講師や学校の教員などはすでにe-learningやオンデマンド授業などがあるので、高等教育には教員は不要かなとも思いますが、やはり初等・中等教育では少年少女の健全な育成に人の暖かいサポートと支援が必要でしょう。
両親が仕事と自分の生活で手がいっぱいになり、子供の育成が手薄になる分、逆に教員の重要性は増すかもしれません。
いずれにしても人は今後ますます多様な知識や技術を身につけておかなければ、それでなくても寿命が延び、年金資金不足から定年がどんどん延長され、学校を卒業してから50年60年と働かざるを得なくなります。
私の父親世代(大正の中・後期生まれ)が55才定年だったことを思うと隔世の感があります。
そして50年間ずっと同じ仕事が続けられるということは難しく、望むと望まないにかかわらず、転職や自ら事業を起こすなど、常々先を読む力がないと、せっかく苦労して身につけた技術や能力もわずか10年で陳腐化してしまい、中途半端な年齢で仕事を失ってしまうということになりかねません。
いやはやますます厳しい世の中になりますね。
【関連リンク】
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772
前 編 から続く
当初の約束や聞かされていたことを次々と反故にしていくリフォーム業者と何度かやりとりを重ね、なんどもうんざりしましたが、どうにか交渉がまとまりました。
そして製品が決まった後、ユニットバスの壁、浴槽、床の色や、細かな仕様を実際の見本を見て決めるため、TOTOのショールームへ行ってきました
来年の4月から消費税増税が決まったこともあり、この10月以降は駆け込み需要でショールームはめちゃ混んでいます。
2週間ぐらい前に予約をしておかなければ、まともな応対もしてくれない状況。これは事前に業者から知らされていましたので、早めに電話を入れて予約しました。
ショールームで色や仕様を次々決めていくと、それがTOTOから自動的に代理店やリフォーム会社へも伝えられるようになっていて便利です。
その後浴室とは関係がない隣の洗面所の床の仕様や壁のクロスの色を決めるためにリフォーム会社を訪れたとき、当初は年内にすべて工事が終わる予定だったのが「12月中にどうしても職人さんの手当が付かず12月と1月の2回に分けて工事をする」と言い出しました。またまた前言撤回で変更です。
これだから営業主体のリフォーム会社は信用がおけません。何度か席を蹴ってキャンセルしようかと思いましたが、これから新たに交渉を始めると、工事は消費税増税後の来年春以降になってしまいそうで、グッとこらえて我慢しました。
前言撤回はこれまでにしてもらいたいのですが、このリフォーム業者との交渉過程において、数々の前言撤回や不手際を書いておくと
1.現地調査後に一戸建てサイズのユニットバスは可能と見積書提出⇒入らなそうなのでマンション用サイズに変更
2.サイズを変更した見積書⇒内容が前のと混ざっていて無茶苦茶を指摘⇒作り直し
3.見積書をもって家に来ると言うから「こちらから伺うがいいか?」と返信しても、なんの連絡もなし(来るのか待っているのか不明)
4.当初の見積金額90万円ぐらい⇒120万円ぐらい
5.工事は3日間+予備1日⇒4日間はまるまる工事
6.11月に自前の社員で工事をする⇒12月に外部の職人で工事する⇒12月中には全部終わらない
どうです、ひどいものでしょう?
12月と1月に2回に分けて工事をすると言うので、それなら12月にこだわらなので1回でまとめてやってほしいと頼み、結果的に1月に工事をすることで決着。
工事のたびに洗面所に設置している洗濯機、洗面台、乾燥機などを別の場所に動かすのに無駄な時間と作業がかかり効率が悪いのと、お正月を工事中の壁むき出しのまま放置というのもちょっと感覚を疑います。
9月中旬に最初の交渉に入り、結局工事は1月ですから、たかがユニットバス設置と思っていましたが、えらく時間がかかったものです。私の交渉の入り方がまずかったのかも知れません。ここは素直に反省も。
工期は4日間の予定。通常一戸建てのタイル張りの浴室からユニットバス設置の工事だけなら、最短3日(まん中の1日は土間の土台コンクリートの乾燥のみ)あればできるらしいのですが、今回は、隣の洗面所の床の張り替えと壁のクロス張り替えも同時に依頼をしましたので、どうしても3日では厳しいと。
別の業者は3日で楽勝と言っていましたが、要はそれぞれの職人さんがタイミングよく手当できるかどうかの問題のようです。あまり焦らしても手抜きにつながるので、4日間でOKとしました。
本音で言うと、3日目の夕方から風呂や洗面所(=洗濯機&洗面台)が使えるのと、4日目の夕方からになるのとでは、遠くの銭湯へ通う手間がたいへんです。もし工事が早く進むようなら、とりあえず3日目の夜からとりあえずお風呂は使えるようにしてもらえるよう交渉しています。
大まかなスケジュールは、
1日目 在来浴室の壁のタイルや天井を取り壊し空間を拡げる。配管工事、土間コンクリート打ち
2日目 浴室の隣の洗面所の床をはがし基礎の補強と床張り、湯沸かし器交換
3日目 ユニットバスの設置、、配管接続、電気工事(夕方以降ユニットバスのシャワーは使える予定)
4日目 壁のクロス張り、ユニットバスのドア枠補修
1日目は大工さん
2日目は大工さん、ガス器具屋さん
3日目はTOTO代理店のユニットバス組み立て屋さんと電気設備屋さん
4日目は大工さんとクロス貼り屋さん
ってな感じ。
また、今回お風呂には追い炊き機能もつけるので(今まではなかった)、湯沸かし器は大型のものに交換し、さらに花粉症のため春には衣類やシーツを外に干せない子供がいるので、それらを考慮し、暖房付き換気乾燥機を贅沢におごりました。
浴室は冷たい風が吹き付ける北側に面し、冬の洗い場はとても寒かったのが、これで少しは楽になります。
それらの豪華仕様?のため、当初の予算から大きくオーバーしてしまい、夫婦とも高齢化していくことを考えて、壁のあちこちに手すりを付けておこうと目論んでいたのですがそれは断念せざるを得ませんでした。ま、後付けできる部品もあるようなので、暇と資金があれば自分で付けちゃいます。
そうそう、現在の湯沸かし器に接続されている温水パイプがウォーターハンマーを起こしていて、急に水栓を閉めると大きな「ドン!」という音が建物全体に響き渡ります。
昔の水栓はグルグルと回して徐々に流れを止めていくタイプが主流でしたが、ここ15年ぐらいの間にシングルレバーの水栓が流行し、うちでも台所、洗面所ともシングルレバーの水栓に交換したところ、湯沸かし器に接続されている温水パイプだけその現象が起きるようになりました。
1年ぐらい前にはその影響もあったのか、温水パイプから漏水が発生し新たに敷き直すことになりました。
そこで、その対策として、今回湯沸かし器を交換するタイミングでウォーターハンマー軽減器を付けて欲しいと業者にねだっておきました。こっちも前言撤回じゃないけど、言えることはなんでも言ってしまおうと半ばクレーマー覚悟です。
サービスで付けてくれるか別料金になるかは不明ですが(たぶん別途請求される)、これで深夜に子供が風呂に入ったりしてもウォーターハンマーの音でビックリして目が覚めるってことがなくなれば安いものです。
続編は怒濤の完結編
浴室のユニットバス化リフォーム工事完了
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772 続:浴室のユニットバスへのリフォーム前編
753 ユニットバスへのリフォーム道険し
670 我が家のテレビ視聴環境改善 準備編その1
507 洗面化粧台をDIYで交換 その1準備編
504 エアコンの購入
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381 液晶テレビが壊れた件
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771
先般、自宅の浴室が古くなってきたことから、リフォームを決意し、何社かから見積もりをとった話しを書きました。
その後我が家の緊縮財政下では巨大とも言えるプロジェクトは、リフォーム会社と仕様と値段のハードな交渉が一進一退しながらも続けられ、ようやく工事内容と施工業者が決まり、次いで工事日も決まりました。
最終的には、建売だった我が家の浴室の広さが一戸建てにしては小さく、主としてマンション用として使われる小振りなユニットバスにせざるを得なく、それで妥協することになりました。
(写真はイメージです)
せっかくの一戸建てながら、豪華な注文住宅ではなく、20数年前の安普請住宅なので仕方がないとはいえ無念です。
20数年前、最初にこの家を見に来たとき、当時はマンションに住んでいたのに関わらず、この家の風呂は小さいなぁという感想を持ちましたので、それがはからずも今回実証されたわけです。新しく家を建てるときには「浴室スペースは広めに!」というのが今回の教訓です。
最近タイル張りの在来工法浴室ではなく、なぜユニットバスがもてはやされるかと言うと、(1)冬でもタイル張りほどは冷たくなく保温性気密性も高いので寒くない (2)タイル張りだと長く使っているとヒビ割れや隙間ができ、そこから水漏れが発生して軒下の土台や柱、壁が腐蝕しやすい (3)タイル張りだと目地や天井にカビが発生しやすく掃除がたいへん などがあり、ユニットバスにするとそれらは概ね解決します。
またタイルの部分を含め、元々の壁の厚みによってはそれを解体することでワンサイズ大きめのユニットバスが入ることもあり、そうなれば従来より浴槽や浴室が広がることもあります。
ユニットバスのデメリットとしては、(1)規格サイズで組み立てるので従来より狭くなる場合がある (2)浴槽や壁、棚、床など好きなデザイン、素材、色、形状にあまりこだわれない (3)天窓の設置や複数の出入り口など自由性がない などでしょうか。アメリカ製の大きなジャグジーを入れたいとか、檜の浴槽を入れたいとかの要望はききません。
ユニットバスには、一戸建て用とマンション・集合住宅用とがありますが、なにが違うかと言えば、浴槽の長さ(幅)が小さなものまであるのがマンション用で、さらに天井の高さもマンション・集合住宅用は一戸建用より低くなっています。最近のファミリー用マンションでは浴室は広く作られていることが多いので、一戸建て用のものとそう変わりありませんが、ワンルームマンションやシングル専用マンション、昔ながらのアパートや団地などでは浴槽は小さなものでないと入りません。
そしてリフォーム価格ですが、一番最初に見積もりをもらった時のサイズからワンサイズ小さなものになるので、安くなるのかと思ったら、意外や意外、逆に高くなってしまいました。
まぁ多少サイズが小さくなったからと言って価格に差が出ないというのならばまぁ納得できるのですが、逆に高くなった理由をあれこれ考えると、ひとつにはやはり一番よく売れているシリーズやサイズが仕入れ値的にも安くなる。二つめにモデルチェンジしたばかりの新製品の値引は渋くなる。三つ目に他社と競合の少ないサイズや仕様はあまり値引かない。などなど。
ちなみにユニットバスメーカーでは最大手はTOTO、次がINAX(LIXILリクシル)。ほうろう製品ではメジャーなタカラスタンダードも当初は候補に入れていましたが、ほうろう浴槽など高級な製品が多く、値引率も渋いので断念しました。
その他にもヤマハやパナソニック、ヤマダ電機のグループのハウステックなどがあります。まだ国産品が主流ですが、いずれこの分野でも低価格のアジアン製品が押し寄せてくるのは時間の問題かもしれません。
将来のメンテナンスのことを考えると、できるだけ汎用性のあるメーカーや製品を使うのがベターでしょう。水栓やシャワー、換気乾燥機なんてものは10年20年のうちには故障をする可能性があり、その時に既に会社がなかったり、交換部品がなかったり、製造中止をしているメーカーだと困ります。規格や寸法さえ合えば他のメーカーのものでもたいがい使えますが。
ま、あれこれ無理を言って手抜き工事されるのも嫌なので(もう十分無理は言ってきたが)、INAXの同等品と比べるとやや割高な設定となっているものの、無難というか浴槽の形がINAXより使い勝手がよさそうに思ったTOTOの製品で決定しました。
ネットで調べると「TOTOかINAXか?」という対決ではトイレはTOTO、ユニットバスはINAXという声が有力です(根拠はかなり曖昧)。INAXのユニットバスは排水口のくるりんポイが主婦から圧倒的支持を得ているようです。
でもリフォーム業者さんはなにも言わなければ概ねTOTOを勧めてきます。これはTOTOがINAXより実入りが多い(卸値や販売奨励金とか)と言うことではなく、工事のサポートが万全だということと、TOTOは直販をおこなっていないことがその根底にあるようです。
リフォーム業者(その上の代理店)にしてみると、INAXは子会社を使った直販優先に力を入れているという姿勢がかいま見え、リフォーム業者にとってはライバルにもなりあまり面白くないという心情的な反感が多少見受けられます。
今回はTOTOとINAXを比較検討しましたが、両社の祖先は森村グループでつながっていて(現在はINAXは森村グループから離れている)、両社の製品の品揃えや性能を比べてみてもほとんど同じです。ネーミングだけ違うって感じ。
例えば冷めにくい保温浴槽では「TOTOの魔法瓶浴槽vsINAXのサーモバス」、冷たくない床では「TOTOのほっカラリ床vsINAXのサーモフロア」、シャワー水栓では「TOTOのエアインシャワーvsINAXのスプレーシャワー」、暖房付き換気乾燥機は「TOTOの三乾王vsINAXの換気乾燥暖房機(愛称なし)」、排水口は「TOTOのらくポイヘアキャッチャーvsINAXのくるりんポイ」、その他にも壁は一面だけ好きな色に変えられる仕様、壁は掃除がしやすい光沢仕様が標準でマット仕様にすると割引になるとか両社の製品には差はありません。
製品自体は同じ会社(下請けやOEM)が作っているんじゃないかと疑ってしまいます。
あとリフォーム業者さんの選び方として、経験上注意すべき点を書いておくと、リフォーム会社には「営業が主役のリフォーム会社」と「技術者や職人さんが主役のリフォーム会社」の2種類あります。
わかりやすく言えば、最初に見積もりのための現地調査に若いサラリーマン風の人がやってくるのは前者、建築士の資格や、いかにも現場経験が豊富そうな職人風の人がやってくるのが後者です。
見積書を出してもらう時に、耳に心地よい、夢のある話ばかりしてくるのが前者で、普段のメンテナンスが悪いと基礎が腐っているかもなど耳の痛い話しや工事を始めた後に補修のための追加工事費用が発生すると脅してくるのは後者です。
それのどちらがいいかという判断は個人それぞれでしょうが、もし見積もり金額にそれほどの差がないのなら、後者を選ぶ方があとで後悔はしないと思います。
私の場合、前者の営業主役のリフォーム業者がこちらの希望する大きめのサイズのユニットバスが入ると断言してきたので、その時点で、後者の建築士の資格を持つ経験豊富そうな担当者が来てくれた業者さんを先に断ってしまいました。これが後になって後悔することになります。
つまり内容を詰めていくに従い、営業主役の会社は次々と前言を撤回、修正に次ぐ修正で、最終的には後者の業者さんがアドバイスや提案をしてくれたことがすべて正しく、しかし一度他に決めたからと断ってしまった手前、再度交渉のテーブルに上がって欲しいも言えず、結果的に信頼感のないいい加減な営業主役の業者に依頼するほかなくなってしまいました。
後編へ続く
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三陸海岸大津波 (文春文庫) 吉村昭
Wikipediaによると「初版は中公新書で、1970年(昭和45年)に『海の壁 三陸沿岸大津波』の題名で刊行された。1984年(昭和59年)に中公文庫版が刊行された際に現行のタイトルに改題された。」とあるとおり、今から40年以上前に、定期的に起きる三陸地域の津波について警告を発するルポルタージュ作品です。
2011年3月11日の東日本大震災で三陸海岸を始め、多くの太平洋沿岸で本書に書かれていた通りの大津波の被害を受けたことで、あらためてこの作品が注目されることになりました。
小説として首都直下型大地震が起きたらとか、東南海連動巨大地震が起きたらと言う架空の想定災害小説は数多くありますが、この本では過去の記録や災害を切り抜け生き残った人から直接話しを聞きとりまとめられたもので、今さらながら読むと、ちょうど2年半前に見た光景がまざまざとよみがえってきます。
津波被害経験者やその子孫からの聞き取りは主として1896年(明治29年)の明治三陸地震による大津波、1933年(昭和8年)の昭和三陸地震による大津波、1960年(昭和35年)のチリ大地震大津波ですが、江戸時代の1856年に起きた安政八戸沖地震等、過去に判明している津波被害についても、わずかに残されていた記録や、地元の言い伝えとして触れられています。
過去に起きた津波の様子は、まったく2011年に起きたものと瓜二つで、海に面した地域の建物は軒並み津波に持って行かれ、生き残った人はいちはやく早く山や高台へ避難ができた人か、もしくは流されても運良くなにかに引っかかったという一部の人だけで、現代の技術の粋を集め巨大な防波堤や鉄筋の建物を作ってみても、それは自然の前では役に立たなかったということです。
中には海面から50メートルほど切り立った崖の上にある家にまで津波が駆け上がってきたことが証言として出てきますが、2011年の津波も、狭い場所によってはそれぐらいの高さまで届いていたところもあるのでしょう。
それなのに、10mの防波堤で十分だという根拠はどこにもなく、依然自然の前にはなすすべがありません。
最後に「津波との戦い」の死者数と流出家屋数が書かれています。
明治29年(1896年)の大津波 死者26,360名 流出家屋9,879戸
昭和8年(1933年)の大津波 死者2,995名 流出家屋4,885戸
昭和35年(1960年)のチリ地震津波 死者105名 流出家屋1,474戸
で、この近代から現代に起きた3度の大津波(チリ地震はちょっと意味合いが違いますが)で、死者数が激減していることを指摘し、それは津波の認識が高まってきたことや防潮堤など設備が整ってきたことによると書かれています。
しかし大津波ごとに減ってきた死者や倒壊家屋は、2011年の震災では死者・行方不明合わせておよそ18,400名、全壊家屋は12万戸を超えています。死者の9割以上が津波による水死や圧死と言われています。
つまり、115年前に起きた津波の死者数こそ下回りましたが、最後に起きたチリ地震による津波被害から51年が経ち、巨大津波を経験した人の数は減り、残念ながら著者が述べているような津波の認識が高まっていたとは言えず、住人や役所に油断があったとも考えられます。
それと115年の間には、多くの知恵と大金をつぎ込み、数々の防災対策が行われたはずなのに、全壊家屋(そのうちかなりの割合が津波による流出)が10倍以上もあるというのに驚かされます。
※明治29年頃の日本の総人口はおよそ4500万人ほどで、現在の人口の37%ほど
おそらくこの震災による生々しい記憶は、実際に厳しい経験した若い人達が住まう50~60年間は残ると思いますが、やがて津波を経験した人が少なくなってしまうと、悲劇はまた風化していき、同じことが繰り返される可能性があります。そうならないことを願うばかりです。
◇著者別読書感想(吉村昭)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
聖女の救済 (文春文庫) 東野圭吾
2008年に単行本が発刊され、2012年に文庫化された物理学者・湯川学が登場するガリレオシリーズと言われる作品です。私がこのシリーズで過去に読んだのは直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」だけです。
そしてこの「聖女の救済」は今年(2013年6月)にテレビの人気ドラマで放映されていますので、見た人も多いのではないでしょうか。
読んでみての感想としては、よくもまぁこうした思いも付かない複雑な殺人トリックを考えつくものだとあらためて著者に敬意を称します。普通こうしたミステリーでは、様々な伏線が敷かれ、読者も一緒になって推理をしていくものですが、同氏の作品で使われるトリックは、「容疑者Xの献身」でもそうでしたが、あとで判明すると決して現実的に不可能ではなく、実際に十分に実行可能でありながら、読者がふと気がつくというような安易なものではなく、精緻によく練られています。
主人公は、趣味が高じてパッチワークで教室を開いている30過ぎの女性。その主人公には1年前に結婚したIT企業を経営する夫がいて、絵に描いたような裕福な家庭が舞台です。
しかしながら夫から子供ができないことを理由として、結婚するときの約束としていた「子供ができない場合は離婚」を告げられ、それが引き金となって殺人事件が起きることになります。
ガリレオシリーズでは警察の調査で行き詰まる事件を、殺人課刑事の大学同期という物理学者湯川教授が、複雑に仕掛けられたトリックを見破るという水戸黄門様も真っ青なワンパターンな流れですが、このクセのある教授がなかなか面白く、ユニークでストーリーを膨らませてくれます。
まぁ実際には警察のメンツや秘密主義、それに公務員の守秘義務もあり、捜査上の秘密や個人情報を刑事の友人というだけで教授にすべて漏らすなどと言うことは現実にはあり得ないでしょうけど、本当なら捜査や事件解決、犯人逮捕を効率よくやっていくには、こうした民間活力、専門知識、現役の医者でもあり作家の海堂尊氏が導入を提言しているAI(死亡時病理画像診断)などの積極導入などを計っていくのが正しいのかも知れません。
◇著者別読書感想(東野圭吾)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
覇王の番人(講談社文庫)(上)(下) 真保裕一
著者の作品は「ホワイトアウト 」や「黄金の島 」など過去16作品をどれもたいへん面白く読ませてもらいましたが、時代小説は初めてで、どのような内容になるのかワクワクドキドキ、しかし今までの現代小説とガラリと変わってしまうのでちょっと心配しつつ読みました。この長編小説は2008年に単行本、2011年に文庫版が出ています。
警察ものなど現代小説が多く古くても幕末ぐらいの時代設定だった直木賞作家佐々木譲氏も、ある時突然「天下城」というたいへん面白い安土城建設にまつわる戦国時代の時代小説が出てきて意外な感じがしましたが、この著者に対しても同じ思いです。
タイトルに出てくる「覇王」とは魔王とも鬼とも呼ばれていた織田信長のことです。あるきっかけで運命の糸が結びつけたかのような出会いから始まり、旧来の織田勢には知るよしもなかった朝廷のしきたりや学識にも秀でている上に、忠実で勇猛な家臣として勢力をつけ、やがては天下一の謀反人として名を馳せた明智光秀を主役とした時代小説です。
実は私は織田信長も嫌いじゃありませんが、明智光秀は結構好きな武将で、美濃を出立して以降、なかなか思い通りにはいかない中で、ふとした縁から年下の信長に長く仕え、時には足蹴にされながらも、理知的で家臣や領民からも慕われていた人柄は、単に自分で天下を取りたいがために主君を裏切った謀反人とも思えず、今になってはその理由はわからないけれど、なにか原因があったに違いないと思えて仕方ありません。
特に現在記録として残っているものは、当時の勝者たる秀吉や家康に命ぜられて、あるいはご機嫌をとるために書かれたものが多く、その場合は秀吉や家康の主君であった信長を葬った明智光秀についてよく書かれるはずもないからです。
この小説の主役は明智光秀とともに、光秀が情報戦に使ったとされる甲賀の忍者衆にも準主役がいます。その忍者は子供の頃に、信長勢と思われる武士に親や兄弟を皆殺しにされ、その復讐をするために忍びの世界に入ることになりましたが、やがてはその信長の家臣となった光秀の軍勢に加わることとなり、絶対的な主従関係を結びます。
そして明智光秀の天下太平を願う姿勢にうたれ、その光秀が従う信長に対しても復讐の思いは次第に薄れてきますが、信長の世では一向に戦乱の世が治まらず、敵なら僧侶や女子供も惨殺し、気分次第で無理難題を部下に押しつけてくる信長に対して光秀の心に反目の灯火が点いたことにいち早く感づくと、それなら自分もその場にいたいと願いますがかないません。
そして、クライマックスでは明智光秀対豊臣秀吉、そして忍者対忍者の死闘が始まり、光秀は敗れ去り、忍者小太郎も光秀の密書を毛利軍へ届ける役目を果たせず、片腕と片足を失うという悲劇に見舞われます。
明智光秀の最期は、通例では坂本へ逃げる際、落ち武者狩りに竹槍で刺され絶命することになっていますが、この小説では、瀕死の重傷を負いながらも生き延び、坂本とは目と鼻の先の比叡山に匿われて生き延び、その後徳川時代においても密かに活躍する姿が描かれています。時々出てくる光秀=天海説ですね。
来年の大河ドラマは光秀とほぼ同時代に生きた黒田官兵衛ですが、当初は明智光秀が大河の主役になるのではと噂されていました。結局は見送られたわけですが、きっと何年か後にこの明智光秀が主役となる大河ドラマが作られるのでしょうけど、その時はやっぱり保守的に山科の山の中で竹槍で最後を遂げることになるのでしょう。
文庫版の上下巻で1000ページを超える長い小説ですが、時代背景や戦国時代の登場人物をそこそこ知っていると、意外にスラスラと読めてしまいます。あと忍者の活躍と忍者同士の死闘の場面に迫力があり、時代小説にエンタテーメントの要素をうまくミックスさせたところが著者のこだわりでしょう。
◇著者別読書感想(真保裕一)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
うつくしい子ども (文春文庫) 石田 衣良
1998年に「池袋ウエストゲートパーク」の短編集でデビューした著者の、1999年に単行本、2001年に文庫版が発刊された初めての長編と言われている小説です。
最初は新聞記者の目と、ひとりの植物好きな中学生の目を通して、筑波と思われる研究施設などがいっぱいある学園都市の平和な風景が描かれますが、そこで小学生の女の子が惨殺されるという悲惨な事件が発生します。
これはこの小説が書かれた直前の1997年に起きた「神戸連続児童殺傷事件」通称酒鬼薔薇事件をモチーフにしていると考えられます。
そう書いてしまうと犯人は少年と言うことがわかってしまいますが、小説の中でも犯人は前半であっさりと判明しますので、犯人捜しがこの小説の主要なテーマではありません。
なかなかの力作なのですが、期待していた最後のクライマックスが、凝りに凝った前半部分でとうとう力尽きてしまったのか、ありきたりというか、安っぽいテレビドラマを見ているような感じなのが残念無念。もう一ひねり二ひねりあってもよかったかな。
しかし登場してくる中学生がどの子達も博識で思慮深く、会話も大人が滅多に使わないような難しい語彙を含んでいたりと、私の中学生の頃とは天と地の差があるようです。
今の優秀な学校に通っている中学生達というのは、実際こういう感じなのでしょうね。末恐ろしい気もします。
◇著者別読書感想(石田衣良)
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先日放送があったNHKスペシャル「熟年サバイバル~年金減額時代を生きる~」に出演していた藻谷浩介氏は「2000万円以上の現金資産を持つ裕福な高齢者が多いことを示すグラフがあったが、これは団塊世代が裕福なのではなく、団塊世代に土地を売ったり商売してきたその上の世代(の一部)がとても裕福なのだ」という趣旨の発言がありました。
統計では60才以上の世帯主の世帯平均貯蓄額は2000万円を軽く超え、さらに持ち家率も90%以上と高く、不動産等の資産を含めると1世帯当たり平均でざっと5000万円近い資産を持っていると考えられますが、その高齢者の詳細な年代別内訳については定かではありません。
グラフ1 世帯主年代別1世帯当たり平均貯蓄額
グラフ2 世帯主年代別持ち家率
上記のグラフだけを見ると逃げ切り世代と言われる団塊世代(現在64~67才)もおしなべて裕福だと思いがちですが、決してそうばかりとは言えず、団塊世代が結婚し、子供が生まれ、住宅不足になり、そこで住宅用不動産が超売手市場となり、先祖から相続したり安いときに買った土地を、団塊世代達に高額で売った世代が一番多くの富を得たということです。
それでもグラフから見て取れるように60代後半の団塊世代はまだ恵まれているほうで、少なくとも年金は60才から支給され、退職金も当初の見込みよりは多少減額されつつあるとはいえ、ちゃんと支払われているケースが多く、さらに大手企業退職者には、一度破綻した日本航空ですら、OB達には多額の企業年金が支払われています。いまの50代、40代が定年を迎える頃には、年金の支給開始が遅れ、退職金や企業年金も今までと同等というわけにはいかないでしょう。
そういうことを考えると、雇用問題の議論の場にいつも上がる「中高年層の定年延長または延長雇用義務化」vs「若年層の就職難や非正規社員化」という二つの対立軸だけで話しが終始してしまうことにどうも賛同ができません。
こうした超高齢化社会に起きうるひずみは数十年前からわかっていたのですが、政治家や実質的に国の政策を作ってきた官僚達の無為無策の結果、雇用問題も社会保障制度も待ったなしの非常事態となってきました。
そこで、若年層ばかりではなく、安心した老後が迎えられなくなる中高年層に対しても雇用の確保をおこなうことがひとつ。そして年金受給や老人医療保険など社会保障制度において、これから高齢期を迎えるものの蓄えがない人達に多くの負担をしわ寄せするのではなく、完全に逃げ切った今の高齢者富裕層にも応分の負担をしてもらうべきではないかと考えます。
世界一の個人貯金額を誇る我が国の個人金融資産は総額で1500兆円という膨大なものがありますが、その6割以上が60才以上の高齢者が持っています。この1500億円の6割の900兆円はなにもしなければ、そのまま遺産として遺族の相続人や事業後継者に引き継がれていくだけで、消費や税金などで社会に循環していくことはほとんどありません。
そこで新たに目をつけるのは相続税と譲与税です。
現在の相続税は、大ざっぱに言えば残された財産3000万円以下で15%、1億円以下で30%、3億円超で50%となっています(もう少し細分化されている)が、実際には遺族には様々な控除もあり、実際に相続税を支払っているのは100人に4人という少なさです。
この相続税を、1000万円を越える部分に手っ取り早く90%課税をしてしまえばいいのです。それで困る人はほとんどいません。
こういうことを書くと「ルサンチマン(強者に対しての、弱い者の憤りや怨恨、憎悪、非難の感情)」と言う人が現れますが、税金というのは、もともとは集められるところからお金を集め、それを社会の中で再配分するためのものです。そうでなければ所得税や相続税の累進課税など憲法で認められた法の下の平等ではなくなってしまいます。
あるいは世界の潮流は相続税の廃止や軽減という方向にもあるという人がいます。
しかし日本はそれらの他の国と違い、これから成長が見込まれる国ではなく、今後人口が減っていき、高齢者ばかりの国になっていきます。そういう日本の国情を考えると、成功してお金持ちになった人には生きているあいだはどれほど贅沢をしても好きにしてもらうけど、死んだ後はその余ったお金を、国民の福祉や医療に充てさせてもらおうという考え方は決して間違ってはいません。
つまり世界でも例を見ない超高齢化社会では従来と同じ発想ではダメで、独自の政策を新しく作っていかなければならないのです。そしてこの政策はやがて、同じく高齢化していく多くの国々で「日本モデル」と称せられるようになるかも知れません。
もし今のままの制度が続けば、日本はお金持ちの子供は、高度な教育が受けられるうえに、潤沢な資金を受け継ぎ、そうでない人は高等教育は受けられず、ずっと貧乏のままという、いわば一部の貴族と平民ばかりの社会になってしまいます。
本来その巨額マネーを相続する人が一番困る?
親から金銭的な財産をもらうっていうのは、不労所得で宝くじに当たるかどうかという違いですからあきらめてもらっていいのではないでしょうか。たまたま自分の親にたっぷりと資産があったからというだけで、必要以上の資産が引き継げる特権を与えなくても、自分の努力と才覚で親と同じようにお金持ちになればいいだけです。
別にゼロからのスタートというわけではなく、控除分1000万円+遺産の10%でもあれば十分でしょうし、親が裕福ならばすでに立派な高等教育や、親から引き継いだ有力者との人脈など目に見えない財産をすでにもらっているはずです。親のマイナスの遺産を引き継がなければならない子供もいっぱいいるのが今の世の中にあってです。
そうすることができれば、今後20年間、現金900兆円+不動産などにかかる相続税がたっぷりと入ってくることになるので、それで超高齢化を支える社会保障、福祉や医療を手厚くしていくことができます。
もちろん税金に取られるぐらいなら生きている間に使ってしまおうという人も出てくるでしょう。そうすればタンスの中や銀行の中で死蔵されていたお金が市中に回るようになり、雇用も増えるし内需が拡大し、やがてはインフレに振れるので国内経済としてはありがたいことです。
こんないいことをなぜやらないのか?と言えば、法律を決める人達の多くは、親から様々な遺産や恩恵を受けてきた二世、三世の政治家だったり高級官僚だったりします。つまり自分で自分(の子供や家族)のクビを絞めてしまうことはできません。それがこの政策の一番のハードルでしょうね。国会議員削減や公務員改革が進まず、国民が望んでいる感覚と大きくずれているのも、我が身かわいさで同じことなのです。
またそのようなことをすると、お金持ちが日本から逃げていくと人は言います。とにかくダメな理由をいくつでも作ってくるでしょう。
いいじゃないですか、そういう「自分の金は自分のもの、他人の金も自分のもの」という金亡者には安全で、清潔で、医療が発達していて、言葉の心配もなく、四季折々の風景が楽しめる美しい日本を捨てて、どこへでも行ってもらったらと割り切りましょう。すべての(高齢の)お金持ちが海外に移住するとも思えませんし、逆に世界中のお金持ちが住みたがる安全で清潔な医療先進国、介護先進国を日本は目指せばいいのではないでしょうか。
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