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マルタの鷹(ハヤカワ・ミステリ文庫) ダシール・ハメット

小説「マルタの鷹」(原題:The Maltese Falcon)は約100年前、1920年に雑誌で掲載後、1930年に最初の単行本が出版されたハードボイルド探偵小説の古典的な作品で、過去3回映画化されています。

映画化された作品の中でも1941年に公開された映画は主演にハンフリー・ボガートを起用してこれが大成功を収めています。

実はこの小説、創元推理文庫版を1997年に購入して一度読んでいます。今回ハヤカワ・ミステリ文庫版を購入後に気がつきましたが、読んだのが26年前のことなのですっかり内容は忘れていたので今回最初から全部読み直しました。翻訳者が違うので細かな点ではおそらく違っているのでしょう。

著者の作品ではもう一作、著者の長編小説のデビュー作「血の収穫」(1929年)を読んでいます。

内容は、サンフランシスコを舞台に、私立探偵の主人公が、怪しげな依頼人に頼まれた仕事で、ある男を同僚が尾行をしていた時、何者かに銃殺され、さらに尾行していた男もその後に殺害されるという事件に巻き込まれます。

主人公は殺された同僚の妻との関係を疑われ、殺害に関わっていたのではないかと警察に事情聴取されたり、新たな依頼人から取引を持ちかけられたりしながら、殺人事件の謎と、新たな依頼人から頼まれた黒い鳥の彫像を探すために奔走します。

タイトルは、地中海のマルタ島に十字軍の修道騎士団が住んでいた頃、当時栄華を誇るスペイン王に献上するために作られた宝石と黄金で飾られた鷹の彫刻が発見されて密かにアメリカに持ち込まれたという話があり、その彫像は価値を隠すために黒いペイントで覆われているというものからきています。

日本人の探偵ものは、どちらかというと、誰かに情報を集めさせそれをジッと考え知恵を絞り、頭の中で解決を目指していきますが、アメリカの探偵は、とにかくあちこちへよく動いて自分の目で見て調べます。また動くことで、悪事がバレないかと不安になった関係者が、自分をおとりにしてちょっかいを出してくるのを待つという手段をよくとります。その後のアメリカのハードボイルド小説の多くはその伝統を引き継いでいるのがわかります。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

オライオン飛行(講談社文庫) 高樹のぶ子

著者の作品は、過去に「億夜」と「氷炎」の2作品を25年前に読んでいて、今回久しぶりの3作目となります。

今回の作品は2016年に単行本、2019年に文庫化された作品で、ジャケ買いならぬ、タイトル買いです。

タイトルのオライオンは、有名な米国海軍の対潜哨戒機P3C、、、のことではなく、元々は星座のオリオン座のことです。冬の夜によく見える四角形のなかに並んだ3つの星がきらめいている有名な星座です。

小説の舞台は太平洋戦争前夜の1936年、フランス人パイロットが懸賞金のかかったパリから東京まで単独冒険飛行中に福岡県の脊振山で墜落し瀕死の重傷を負います。

主人公が勤める九州帝国大学医学部附属病院に重傷のフランス人パイロットが運び込まれ、そこで元気になるまで付きっきりで看護をすることになりますが、やがて看護師と患者の関係から、やがて大人の恋へと進んでいきますが、戦争が間近で敵国人となるフランス人との恋愛だけにやがて別離は必然です。

しかしそれだけではなさそうで、現代に障害を抱えて身寄りのなく生きる大姪(おおめい、姪の娘)の主人公が二人の悲恋のその後と謎を探し続け、やがてフランスへと旅をすることになります。

話は太平洋戦争前後と、現代の二つの時代を行ったり来たりしますが、読みやすく引き込まれていきます。

もちろんすべて創作ですが、こうした悲恋が起きていても不思議ではない時代で、それを現代人はどのような受け止め方をするのか、人それぞれだと思いますが、大人の恋愛小説としては面白くよくできた作品でした。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

東芝の悲劇(幻冬舎文庫) 大鹿靖明

著者は朝日新聞やAERAで記事を書いていた経済の記者で、こうしたノンフィクションを何冊か書かれているので今はフリーのジャーナリストかと思っていたら、現在も同社に勤務されているようです。本著は2017年に発刊され、2018年に文庫版が出ています。

タイトルからわかるとおり、2000年頃から様々な不祥事や社内で権力闘争などが起き、それまで半導体や、家電、原発、医療機器、パソコンなどで優良企業を誇っていた東芝が、ガラガラと崩れ落ちていく姿を詳細にレポートされています。

東芝は言うまでもなく、創業者田中久重が明治初期に電機製造会社を設立したのが最初で、その後合併や吸収などを経て、総合電機メーカーの名門企業として日本の経済界や財界に君臨していました。

しかし最初の大きな躓きは1987年のココム違反事件で、子会社の事件ですが名門東芝の名前が大きく傷つくことになります。

その後は、功を焦った当時の社長が原子力発電の会社を非常識な高値でM&Aし、逆に優良事業だったNAND型フラッシュメモリ技術や音楽事業の東芝EMI、銀座東芝ビルなどの優良不動産を次々と売却するなど自転車操業が続きます。

そうした中で、決算の数字だけは良く見せるために、様々な不正会計や当時不正ではないものの、チャレンジという名前で、子会社に在庫を押しつけて見かけ上は利益が出ているように見せかけるなど、株主や社会への裏切りが跋扈していきます。

本書では、主にそうした不正などが起き始めた2000年前後から、不正が発覚し当時関わってきた多くの経営者が責任を問われ始めた頃の2017年頃までが生々しく詳細に書かれています。

そうしていると、下記のような記事がありました。いつも思うのですが、「晩節を汚す」というのはこういう人達の言葉で、権力を一度持つと、それを維持するためにはまともな理性が働かなくなるようです。

東芝元社長ら5人に賠償命令 3億円、個人責任を認定―不正会計一部「違反でない」・東京地裁(2023/3/28時事通信社)
インフラ事業で不正会計があったとして、元社長の佐々木則夫、田中久雄両氏と元副社長の久保誠氏ら5人の過失責任を認め、約3億円の支払いを命じた。一方、パソコン事業などの不正は認めず、元社長の故西田厚聡氏ら10人に対する請求は退けた。(2023年04月13日原告・被告とも控訴)

東芝、「最後」の株主総会 非上場化で批判や惜しむ声(2023/6/29時事通信社)
投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などの国内企業連合による買収提案の受け入れを決定しており、早ければ年内に非上場化する。上場会社として最後の株主総会となる可能性もあり駆けつけた一般株主からは買収に対する批判や惜しむ声が相次いだ。

東芝の前には、家電業界では三洋電機やシャープが破綻寸前までいき、結局は外国企業へ身売りすることになりますが、東芝の場合は、無能で傲慢な経営者によって壊されていったことと、唯一稼ぎ続けると思っていた原子力発電事業が、2011年の福島の原発事故により灰燼に帰したというか東芝にトドメを刺したという感じでした。

東芝関係者だけでなく、私のように若い頃に何度か芝浦の東芝本社ビルに行き、打ち合わせや商談をしてきた人にとっては、懐かしく、またこのような内幕を知ってとても残念に思うでしょう。

東芝の人って、パナソニックやソニーの人と違ってどこかのんびりしていながら、お高くとまっている、本著にも書かれていますが「お公家さま」っぽい感じの人が多かったのは私も感じていました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

流転の魔女(文春文庫) 楊逸

著者の作品は、7年前の2015年に芥川賞受賞作品の「時が滲む朝」(2008年)を読んでいます。

2015年8月後半の読書と感想、書評(時が滲む朝)

今回の作品は2013年(文庫は2015年)に発刊された長編小説で、ユニークなのは、二つのストーリー、二人の女性主人公の話が並行して進められます。

二人の主人公のうちひとり?は5000円札に印刷されている樋口一葉で、小説のタイトルはその5000円札が、もうひとりの主人公の手から離れた後、国をまたぎ様々な人の手に渡っていくイメージです。樋口一葉ともうひとりの女性主人公とも魔女と言うにはほど遠い感じですけど。

物言わぬ各国の紙幣に印刷されている人物(樋口一葉やベンジャミン・フランクリン、毛沢東、福澤諭吉など)が意志を持って語るというのは一種のファンタジーですが、そういうのは個人的にはまったく好きではありません。

もう一人の主人公は、中国から日本の大学へ留学中の若い女性で、決して裕福ではない実家の負担を気にして、できるだけ出費を避けるため、質素な生活をおくり、居酒屋や通訳のアルバイトに精を出しています。

また大学で同じクラスの男性にほのかな恋を感じていたり、同じ中国からの留学生仲間が間違った道へと行きかけるのを見ながらもなにもできずにいたりとこちらの話しの方が面白い。

なぜか、通訳のバイトで手にした5千円札の肖像画になぜか気持ちが入ってしまい、別れの時にまたきっと会えると紙幣番号を記憶しておきますが、もちろんそんな都合良く会えることなどなく、そのようなことをする意味がよくわかりません。というよくわからない小説でした。

★☆☆

【関連リンク】
 6月後半の読書 暗幕のゲルニカ、翼、訣別(上)(下)、スマホ脳
 6月前半の読書 ニワトリは一度だけ飛べる、もう年はとれない、冷血、旅行業界グラグラ日誌
 5月後半の読書 贖罪の街(上)(下)、ストロベリーライフ、最澄と空海、王国


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1729
ゲルニカ2023年と2024年の2年間は日本はエクアドル、マルタ、モザンビーク、スイスとともに国連の非常任理事国となっています。

日本は非常任理事国としては過去最多の12回を経験していますが、今後どれだけ頑張っても常任理事国メンバーにはなれません。

というのも、常任理事国の1国でも反対すれば入れないので、ロシアや中国が今の政治体制である限り、領土問題など様々な国益が絡んでいる隣国の常任理事国加入に賛成するはずがないからです。

さらに国連は第二次大戦の戦勝国で作られた互助受益組織なので、日本やドイツ、イタリアなど連合国と戦って負けた国は終戦後70数年が経っている現在でも国際連合のもっとも基本的な方針が書かれている国連憲章の中の敵国条項(Enemy Clauses)に指定されています。つまり今でも国連の中では敵国という位置づけです。

なのに、戦争の反省もあったのでしょう、国連負担金だけは文句も言わず1980年代半ばから2018年までずっと米国に次いで2番目に多い負担金を支出してきました。現在は1位米国、2位中国、3位に日本となっています。

国連分担金推移
出典:外務省 主要国の国連通常予算分担率の推移 PDF(1977~2022)

他の現在でも米国と中国を除く英国、ロシア、フランスの常任理事国よりもずっと多くの国連分担金を払い続けていますが、分担金の決め方が経済力によるもので、米国や日本のように財政赤字でフウフウ言っていても関係ありません。

米国や中国のようにいくら分担金が多くても、常任理事国&安全保障理事会において発言権や拒否権が常時あればまだ納得もいきますが、理事国になれる可能性はないのに、毎年巨額の支出をしていくというのは、どうにも納税者として納得ができません。

それでも国際的なプレゼンスを得たいがため?または戦争で多くの国に迷惑をかけた罪滅ぼしで?あるいはいつかは常任理事国へ昇格させてもらえるかも?と思って国連の言いなりになっています。

非常任理事国32年出馬、日本政府が苦渋の決断…グローバル・サウスに出番譲る(讀賣新聞)
日本政府が10年後の2033年に次の国連安全保障理事会非常任理事国入りを目指す方針を決めたのは、苦渋の決断でもある。中国とロシアが取り込みを進める「グローバル・サウス」と呼ばれる新興・途上国との連携を深めるために出番を譲ることで、日本自らは安保理メンバーの長期不在を余儀なくされる。

しかし現在の国連は本当に世界の平和と安全に役立っているのか?というと、世界中で起きている戦争や内戦も止められないし、環境破壊も進む一方で満足な規制もかけられず、常任理事国の拒否権のせいで重要な決議はできず、国際協力も名ばかりで機能不全も極まっています。

日本はそろそろ国連から距離を置き、非常任理事国への立候補などは辞め、そして国連支出金を他の常任理事国以下の支出金額へ大幅に削減(支払いを一部拒否する)するという政策をとっても良いのではないかと思います。確かロシアなどは支出金は安い上、何年も支払いをしていない(不払い)と聞いたことがあります。

2023年の日本から国連への支出金は年間2.4億ドル(2022年)、約340億円です。このお金があれば、少子化対策のための増税や社会保険料の増額をもっと遅らせられるかも知れません。

【関連リンク】
1589 Co2削減についてわかりやすく
1257 国連分担金について思うこと
914 殺人事件の国際比較



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1728
スペース カウボーイ(原題:Space Cowboys) 2000年 米
監督 クリント・イーストウッド
出演者 クリント・イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド

この手の地球危機スペースヒーローもの映画はアメリカ人が大好きで、多々作られていますが、この映画もまさしくロシアの核ミサイルが搭載された人工衛星が故障して地球へ落下するかも?ということで、スペースシャトルに乗ったシニア達が命をかけて故障した人工衛星を修理し向きを変えるという内容です。

スペースシャトルは、宇宙もののドラマの中では船外活動が絵になる乗りもので、多くのスペクタル映画に登場してきました。スペースシャトルをやめてからも、その進化形がSF映画には登場するなど、映像化には欠かせないものとなっています。

今ではアメリカは民間観光用の宇宙ビジネスに熱心で、冒険型の宇宙開発は中国のほうが熱心なので、これからの宇宙冒険映画は中国で作られるものが多くなっていくかも知れません。

それにしても国家プロジェクトの衛星の打ち上げロケットが失敗続きの日本は、同じく失敗した北朝鮮並みということなのかな。

閑話休題、トップガンのような80年代にジェット戦闘機乗りで、いつかは宇宙に行くぞと技術を習得してきた主人公達でしたが、国の方針が変わり夢は実現しませんでした。

すでに引退してそれぞれの仕事や趣味をしていましたが、当時の技術で作られたロシアの人工衛星の姿勢制御システムを修理するためにスペースシャトルで宇宙に送り込まれるというストーリーです。なんとなく「七人の侍」みたいな感じです。

最後はお馴染みの「アメリカ人によって世界は救われた!」というのは他の作品と変わりません。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

幸せへのまわり道(原題:A Beautiful Day in the Neighborhood) 2019年 米(日本公開2020年)
監督 マリエル・ヘラー 出演者 マシュー・リス、トム・ハンクス、クリス・クーパー

意外にこうしたテーマの映画って少ないように思います。

主人公は妻もいるジャーナリストですが、やや理屈っぽくて性格に問題があり、また離婚して家を出て行った父親との葛藤を抱えています。

その主人公が雑誌社の依頼で、子ども向けテレビ番組の人気司会者へインタビューをしにいくわけですが、あらかじめ主人公の過去の記事を読み、気難しい性格と見抜いていた人気司会者は、心からわかり合える友人になりたいと距離を縮め、主人公の心の壁を徐々に壊していきます。

いわゆる大人の精神カウンセリングドラマというべきものでしょうか。その司会者役のトム・ハンクスですが、「テレビの有名売れっ子司会者にそんなお節介者はいないでしょう~」と思いますが、なかなか良い味を出しています。

決して派手なアクションがあるわけでもなく、極悪非道な悪人が出てくるわけでもなく、人が次々死んでいくこともなく、それまでまったく知り合いでもない人同士が、お互いのプレイベートにまで立ち入り心の救済をしていくという実際にはあり得ないけど、あれば素敵だな~と思わざるを得ません。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

最後の忠臣蔵 2010年 「最後の忠臣蔵」制作委員会
監督 杉田成道 出演者 役所広司、佐藤浩市、片岡仁左衛門

池宮彰一郎著の「四十七人目の浪士」(1994年刊、その後「最後の忠臣蔵」に改題再刊)を原作とした映画で、毎度お馴染み「また忠臣蔵か~」と、あまり乗り気はしないまま見始めました。

しかしこれは忠臣蔵や討ち入りが主題ではなく、討ち入りする直前に隊から逃亡した男と、討ち入りの場にいながらその後逃げて名前を変え住まいを変えて、亡くなった四十六士の遺族をまわって生活の援助をする役目を命ぜられた男の二人の討ち入り後を描いたものでした。

なぜ討ち入り直前に「裏切り者」のそしりを受けながらも密かに隊を抜けなければならなかったのか、そしてその秘密を最後まで守らなくてはならなかったのかなど、その理由が最後に明らかになってきます。

もちろん創作劇ですが、日本人の多くがよく知っている「忠臣蔵」を土台にしているところが、この映画のミソなのでしょう。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

キネマの神様 2021年 「キネマの神様」製作委員会
監督 山田洋次 出演者 沢田研二、菅田将暉、永野芽郁

映画の原作は原田マハの長編小説(2008年)ですが、映画化にあたっては大幅に変更となっているそうです。この映画で2021年度の日本アカデミー賞を作品賞含め8賞で受賞しています。

元々主役には映画初主演の志村けんが予定されていましたが、クランクインの2020年の春に新型コロナに罹ってしまい、その後急死するという事態が起き、急遽代役に沢田研二が演じることになりました。映画の途中で主役の沢田研二が授賞式の場で明るく東村山音頭を歌う場面には泣かされます。

ストーリーは、昭和時代の松竹大船撮影所で、助監督として働く主人公の若い時の話しと、現在の落ちぶれてギャンブルとアルコール漬けの日々を送る話しが交互に語られます。

こうした昭和時代の映画が絶頂だった時代の話は時々目にしますが、そうした日本の高度成長期と足並み揃えて輝いていく映画史の1ページを現代に見られるというのは楽しいものです。

ちょっと老人の古き時代を実際以上に美化しすぎの面はありますが、私自身、見ていて目がウルウルしてしまうのは決して年をとったからだけではないでしょう。

キャストは、上記のメイン出演者の他に演技派の宮本信子や寺島しのぶが親子で、さらに主人公の孫にはお笑い芸人の前田旺志郎、松竹の俳優役として北川景子やホンのチョイ役でしたが今井翼、主人公が若いときの師匠の売れっ子監督(役名は出水宏監督ですがこれは1950~60年代に活躍した清水宏監督のもじり)にリリー・フランキーなど、多彩なメンバーが揃っています。

それらの俳優陣に加え、今はない大船撮影所の風景や、昭和の時代を描くのにVFX監修として山崎貴が加わっていますので最高のチームと言えるでしょう。

コロナ禍の中での撮影・上映と、苦労が多かったらしい映画ですが、見応えのある面白い映画でした。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

小説家を見つけたら(原題:Finding Forrester) 2000年 米
監督 ガス・ヴァン・サント 出演者 ショーン・コネリー、F・マーリー・エイブラハム

誘う女」(1995年)、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年)の監督だったガス・ヴァン・サント氏の監督作品で、内容も主人公の貧しい若者が隠れた才能をもう一人の主人公に見出されていき開花していくという「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」と似た感じです。

ニューヨークの貧しい地域に住む黒人の高校生が、遊び仲間にそそのかされて、不思議な老人が住んでいるアパートへ夜に侵入するも、見つかってしまい、慌てて自分の鞄を置いたまま逃げ出します。

その鞄の中には日々思いついた文章を書き綴ったノートが入っていて、ある日その鞄が窓から投げ返され、ノートを見ると赤字で様々な評価や添削が書き付けられています。

そのアパートの住人は、実は50年前に大ヒット作品を書いた著名な作家で、その最初の作品以外は出版せずひとりでひっそりとニューヨークに住んでいます。

そうしたことから若い黒人男性と忘れかけられている作家の間に不思議な関係ができ、文章を作る様々なアドバイスを受け、やがて高校の中でも「うますぎる」と話題になっていきます。

さらに作家から「部屋で書いたものは一切持ち出し禁止」と言われていたのに、練習のために作家が1960年代に書いたエッセイのタイトルと書き出しを使って書いた作品を高校に提出してしまい、それが盗作だとという指摘を受けて退学の危機に陥ります。

こうした青春群像を描かせるとこの監督はうまいですが、誰が見てもこうした特殊な才能をもった若い人が周囲の無償の支援を受けながら成功していくという現代の「アメリカンドリーム」はリアリティはないだろうなと思います。

最初、タイトルを見たときは「恋愛小説家」(1997年)のような、売れっ子作家と貧しいながらも一生懸命働く女性との恋愛ものかな?と思っていましたが、そうした恋愛ではなく、50歳以上年の離れた友情がテーマでした。

★★☆

【関連リンク】
2023年3~4月 ドライビング Miss デイジー(1989年)、カリートの道(1993年)、あかね空(2007年)、ジェシー・ジェームズの暗殺(2007年)、漁港の肉子ちゃん(2021年)

2023年1~2月 ガントレット(1977年)、折れた矢(1950年)、メンフィス・ベル(1990年)、どら平太(2000年)、ブロークンシティ(2013年)

2022年11~12月 るろうに剣心 最終章 The Final、 The Beginning(2021年)、マイ・インターン(2015年)、蜂蜜と遠雷(2019年)、ブリット(1968年)、シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年)



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1737
暗幕のゲルニカ(新潮文庫) 原田マハ

2016年に単行本、2018年に文庫化された国際サスペンス小説で、主人公はニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)、NY近代美術館でキュレーターとして働く架空の日本人女性と、もうひとり1930年代後半、フランスに住んでいたスペインの画家ピカソのモデルであり、愛人でもあったカメラマンを本業とするフランス人のドラ・マールという実在した女性の二人です。

物語は、1930年代、第2次世界大戦が始まり、やがてパリにもその戦火が及ぼうとしている中と、現代の二つの時代が交互に描かれます。

その1930年後半頃のパリではピカソが住まい兼アトリエを構えていましたが、スペイン共和国政府から、1937年に開催されるパリ万博のスペイン館の目玉として巨大な絵を描いて欲しいと頼まれます。

その後、フランコ総統が率いる反乱軍とフランコに協力しているヒトラーが率いるドイツ軍がスペインの都市ゲルニカを無差別爆撃し、市民を巻き込んだ破壊をおこないますが、ピカソはパリでそれを知り、戦争の醜さを伝えるため、空爆でメチャクチャになったゲルニカの模様を抽象画として描いたのが大作ゲルニカです。

そのゲルニカの制作過程を、ピカソはドラに写真で残すことを許可し、それは現在でも見ることができます。

ゲルニカは現在スペインのレイナソフィア王妃芸術センターに保管されていますが、その絵をピカソ本人が監修し忠実に再現したタスペトリーが国連安全保障理事会の廊下に飾られています。

言うまでもなくゲルニカはピカソが放った反戦思想を象徴する絵画ですが、9.11後にアメリカが報復のためタリバンを支援するアフガニスタンを空爆する記者向けの発表をおこなう際に、そのゲルニカに暗幕がかけられるという事態が起きます。

そうした反戦画を覆うという暴挙に抗議するため、ニューヨークのMoMAでピカソ展を開きその目玉として隠されたゲルニカの本物をスペインから運び込み展示しようとするのがもうひとつの現代の話しです。

特に1930年代の話では、ほぼ実在していた人物が登場し、歴史を垣間見るような気分に浸れます。

なかなかの大作ですが、面白いだけにスイスイ読めて、様々な妨害やテロ組織との対決など、エンタメ用のサスペンスもたっぷりで「日本版ダ・ヴィンチ・コード」のような感じです。ハリウッド予算で映画化できると面白そうなのですけどね。

★★★

著者別読書感想(原田マハ)

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翼(鉄筆文庫) 白石一文

「死様」をテーマにしたTwitterでの競作小説で、2011年に単行本が刊行され、その後2014年に文庫化されました。

主人公の女性は半導体の大手企業に勤める中堅社員ですが、風邪を引いて会社近くのクリニックへ行くと、大学生時代の親友と結婚している男性医師とバッタリ出会います。

その男性は大学生時代に、つきあっていた主人公の親友と別れるから結婚して欲しいといきなり迫られるという異常な過去があり、今でもまだその要望は強く残っていることがわかります。

女性にしてみれば、そうしたエリート医師にずっと慕われ続け、さらに言葉に出して結婚して欲しいと言われると心が動かないはずはないと思いますが、主人公は親友との関係もあり、悩みながらも拒否し続けます。

そこで、競作のテーマになる「死様」ということになりますが、それは読んでもらうとして、なかなか複雑な人間模様で個人的には「ありえねー」という感じですが、メロドラマだと思って読むとそれなりに面白く読めるかも。

しかし(男性が考える)女性心理を描かせると、谷崎潤一郎か、三島由紀夫か、宮本輝か、浅田次郎か、白石一文かっていうぐらい、見事な出来映えです。

★★☆

著者別読書感想(白石一文)

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訣別(上)(下)(講談社文庫) マイクル・コナリー

ハリー・ボッシュシリーズ第19作品目で、2016年にアメリカで刊行、2019年に日本語翻訳版が出ています。原題は「The Wrong Side of Goodbye」で、その意味は訳者も「ひどい別れ」「悪い別れ」など、あとがきに書かれていますがやや迷っている感じを受けました。チャンドラーの「The Long Goodbye」をもじっているという案に賛成です。

前作「贖罪の街」では、ロス市警の定年雇用延長が不祥事で終了してしまい、フリーの立場で腹違いの弟のリンカーン弁護士ミッキー・ハラーに雇われ調査官として事件に関わっていきましたが、今回は、第10作の「天使と罪の街」以来の私立探偵免許を再取得し、さらにカリフォルニア州にある小都市サンフェルナンド市の無給の補助刑事として2足のわらじを履いてそれぞれで活躍します。

今回ボッシュが取り組むのは、ひとつは私立探偵として高齢で余命幾ばくもない大富豪に頼まれた直系の遺産相続人捜しと、もうひとつがサンフェルナンド市で連続して起きていたサイコパスな婦女暴行事件の捜査です。

大富豪の遺産相続問題に関しては、ミッキー・ハラーと協力して難題を解決していき、もうひとつの連続暴行魔については、長年の刑事としての勘を働かせ、追いつめていきます。

今回はボッシュ本人や無防備な娘のマディに直接危険は及びませんでしたが、ボッシュとともに事件を追っていた女性刑事が行方不明となり命の危険が迫ります。

せっかく取得した私立探偵の免許ですが、サンフェルナンド市警でフルタイム勤務を求められ、次回作ではまた本職の刑事として活躍しそうです。

★★☆

著者別読書感想(マイクル・コナリー)
ハリー・ボッシュシリーズはまだ未完

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

スマホ脳(新潮新書) アンデシュ・ハンセン

著者は1974年生まれでスウェーデンの精神科医です。本書(日本語翻訳版)は2020年に出版されていますが、書かれたのはコロナ禍前の2019年頃だったようです。「前書き」に新たに追加された「新しい前書き」が急遽加えられ「コロナに寄せて」の一文がありました。

スウェーデンでは大人の9人にひとりの割合で抗うつ薬を処方しているということで、それらが2010年頃から急速に増えてきたことを実感し、スマホと精神衛生の関係を様々な研究と実験などで明らかにしています。

結論から書けば、人間の脳はこの新しいデジタル機器をまだうまく使いこなせない上に、そこで表示されるアプリやSNSなどは、金儲けのために最適化されていて、必要以上にそれを長く使わせようと工夫されていてそれらも身体にとって不眠や不安などをあおることになっているということです。

スマホを手放せない現代人にとっては耳の痛い話しばかり出てくるので、「その調査が事実という証拠がなにも示されていない」とか、「体調不良にはもっと他に要因があるはず」とか、「スマホにはまっていながらまったく異常のない人も多い」とか反論したくなりそうです。

著者は精神科医と言うこともあり、20万年前に出現してきたホモサピエンスの脳は現代人にどういう進化を遂げてきたのか、またしてこなかったのかを詳しく説明し、HPA系(視床下部、下垂体、副腎系)のシステムについて、またドーパミンやエンドルフィン、セロトニンなど脳が指令を出す条件などが書かれています。

例えば、カロリーの高い食べ物を見ると、栄養的にはもう十分であっても脳はもっと食べろと命令し、それが現代の肥満を増加させています。それは人類の歴史上、生きていくためにもっとも大切だったのは飢餓対策で、脳は摂れるときにできるだけ多くの栄養をとるようにできているからという理屈です。

ではスマホは人間にどのような悪習を与えているかというと、スマホを使う時間が急激に増えて、運動や人とのコミュニケーションをする時間が減ってきていることや、数分ごとにスマホに意識するようになり、他の大事なことへの集中力が低下し、ストレスがたまって不安になったり不眠症に罹ったりするそうです。またスクリーンが発するブルーライトは、夜でも脳に「今は昼間だ」という誤った情報を入れることになり、不眠症や体調不良の原因となるそうです。

対応法としては、スマホを使う時間を決めて、使わないときには電源を切るとか別の部屋に置き、スマホに費やしていた時間を運動(散歩程度で良い)にあてたり、人と話しをしたりすることを推奨しています。

また、特に子どもの使用には注意が必要で、生きていく上で大切な知識を得るべきときに、なんでもすぐスマホに頼ってしまい、他人とコミュニケーションをとるのが苦手になったり、スマホがなければ何もできない大人になってしまうことを憂いています。

今は学校でもタブレットを使った教育が進められていますが、実際は紙の教科書で紙のノートに手書きで書いて覚える方法が最適で、これはスティーブ・ジョブスやFacebookの幹部が自分の子どもにはスマホは使わせないと言っているように、子供の頃からスクリーン(スマホなどモニター)漬けにするのは良くないと言っています。

私の場合は、高齢者と言うこともあり、スマホの小さな画面が苦手(見えない)で、もっぱらスマホはカメラと歩数計、時々電話化していて依存症からはほど遠い存在です。でも子ども達への制限をしてこなかったせいで、今では立派な依存症に陥っているようです。

★★☆

【関連リンク】
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EV車イメージ自動車業界は3年前まではEVへの転換一色だったのが、コロナとロシアのウクライナ侵攻によって少し風向きが変わってきたようです。

それでも自動車のEV化推進は必然の結果として、一部の環境よりも経済発展を急ぐ国を除きここ10~15年のうちに一気に勧められていくことになりそうです。

そのEV化の流れにいまいち対応できていないのが日本の自動車メーカーで、様々な原因が言われていますが、やはり一番大きい理由は、1社で政治をも動かすことができる大トヨタ様がEV化にあまり積極的でないことがあるでしょう。

トヨタ様が完全EV化に積極的でない理由には、過去にHV(ハイブリッドエンジン)に並々ならぬ投資をしてきているため、それを回収するためその技術を少しでも長く使いたいことと、一気にEV化をしてしまうと、それまで一心同体で苦労をともにしてきた内燃機関エンジンやトランスミッション関連の子会社や関連会社、取引先などが路頭に迷ってしまうということもあります。

日本の経済や雇用もそうした無数の下請けや孫請けの製造業で成り立ってきたという経緯もありますから、闇雲に経済構造を急転換することもできず、手足を縛られてきました。

トヨタの社長が今年の4月に急に交代したのは、私の勝手な憶測では、内燃機関エンジンが大好きでエンジン車でレースやラリーにも出る豊田章男前社長では、ますますEV化の波に乗り遅れそうなので、ずっとシャーシや足回りの技術をやってきて内燃機関エンジンにはなんの興味も未練もない佐藤恒治新社長にEV推進を託したという構図かなと思いました。

閑話休題、すでに自動車業界はEV市場でニューカマー達がその覇権を競っています。その中には日本のメーカーは入ってきません。

EV世界販売、テスラが猛追のBYDを抑えて首位死守。日本勢は?(M&A Online)(PDF)
米環境ニュースサイトのCleanTechnicaによると、2022年1~12月の電気自動車(EV)世界販売で、米テスラがトップを死守した。しかし、中国の比亜迪(BYD)がテスラを猛追しており、2023年は逆転される可能性が高そうだ。一方、日本勢は上位に食い込めず、出遅れ感が強まっている。

現在一般的にEVと言われているのは、BEV、HEV、PHEV、FCEVなどがあります。

BEVとはガソリンを使わず電気のみを使って走る車、HEVはエンジンとモーターと両方を持つハイブリッド車、PHEVは充電スタンドなど外部から充電できるハイブリッド車、FCEVは水素を燃料として発電し電気で動く車です。

しかし動力や発電に内燃機関エンジンを使うHEVやPHEVは純粋にEVとは言えず、燃料電池のFCEVはまだ台数が極めて少なく無視できるレベルです。

またEVではありませんが、トヨタが水素を燃やして動力を得る水素エンジン車のテストをおこなっていますが商用化の目処はまだたっていません。

純粋なEVと言えるBEV単独と、準EVのPHEVを含めたEV販売台数トップ5はそれぞれ下記の通りです。データ出典は、CleanTechnicaです。

2022年BEV 世界販売台数TOP5(企業グループ)
1 Tesla アメリカ 1,314,330
2 BYD 中国 913,052
3 SAIC 中国 671,725
4 Volkswagen Group ドイツ 571,067
5 Geely-Volvo 中国/スウェーデン 383,936
2022年BEV+PHEV 世界販売台数TOP5(企業グループ)
1 BYD 中国 1,857,549
2 Tesla アメリカ 1,314,330
3 Volkswagen Group ドイツ 831,844
4 SAIC 中国 724,911
5 Geely-Volvo 中国/スウェーデン 606,114

純EVではテスラと元々は電池メーカーの企業だった中国のBYDの一騎打ちという構図で、PHEVを含めると上位2社は変わりませんが、3位にドイツのフォルクスワーゲンが食い込んできます。

次に企業集団ではなく、メーカーブランド別のBEVとPHEVの世界販売打数順位を最新の2023年1月~4月までの4ヶ月間で見たのが下の表です。

ブランド別 BEV+PHEV 2023年1月~4月販売台数
01 BYD 中国 722,670
02 Tesla アメリカ 539,796
03 BMW ドイツ 132,169
04 Volkswagen ドイツ 124,575
05 GAC 中国 122,153
06 SGMW 中国 116,185
07 Mercedes ドイツ 100,488
08 Volvo スウェーデン 88,156
09 Changan 中国 82,156
10 LI Auto 中国 79,022
11 SAIC 中国 72,391
12 Geely 中国 72,354
13 Hyundai 韓国 68,532
14 Audi ドイツ 66,102
15 Kia 韓国 64,693
16 Jeep アメリカ 45,694
17 Peugeot フランス 42,835
18 Toyota 日本 41,460
19 Nissan 日本 40,697
20 Ford アメリカ 39,739

品質やデザイン、価格など総合的に日本車最高!と思っている日本人が多いと思いますが、いざEVを買おうとしたときにその選択肢は日本車にはほぼなく、海外メーカーの外国製ということになりそうです。

そして中国やアメリカ製だけではなく、ドイツや韓国製が幅を効かせていて、日本製は世界のBEV+PHEVの中では日本製のシェアはわずか2%とという少なさですから選べる範囲も限られます。

個人的には年齢からして長くてあと10年ぐらいしかクルマに乗らないと思いますので、内燃機関エンジン車で終われる可能性もありますが、いままだ40代以下の人のほとんどは、いずれEVを購入することになります。

その時に、果たして日本製の気に入った自動車が見つかるかどうか、現在の趨勢では疑問です。

三菱重工業の大型客船の造船から撤退し、続いて巨額の税金も投入されていた国産ジェットMRJや、H3ロケットの度重なる失敗など、近年著しく技術レベルを落としているのがわかりますが、やがてトヨタやホンダなど日本の自動車メーカーも同様に何をやってもうまくいかないという事態に陥らなければいいのですが。

【関連リンク】
1664 EVの出先での充電について
1617 2021年の車種名別販売ランキングとEV化
1505 日本のEVシフトは環境問題ではなく経済問題



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