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1563
62歳でリタイアして、8ヶ月ぐらいは無収入で貯金を取り崩しながら生活していましたが、63歳になってその翌々月には初めての公的年金(厚生年金保険)を受け取りました。

リタイアして無収入になった途端にいきなり様々なコスト?がふりかかってくるのは覚悟はしていましたが、貯蓄額が見る見る間に減っていくのを見て末恐ろしくなりました。この話しはまた別の機会にでも。

その公的年金ですが、私の場合、受給年齢が60歳から65歳からに段階的に引き上げられた厚生年金保険のうち、63歳から一部(報酬比例部分)を受給できます。

残念というか(4年ほど早く生まれていれば60歳から受給できた)、ラッキーというか(あと4年ほど遅く生まれていれば65歳からしか受給できなかった)、微妙な年齢と言うことです。

もっと言えば、16年早く生まれていれば、報酬比例部分だけでなく、本来なら定額部分も含め60歳からフルに受給できましたので、悔しさはあります。

なんて厚かましいヤツ!と思われるかも知れませんが、私が社会人になったときには、まだ法改正されてなく「60歳になれば年金が支払われる」という国との約束で払い続けてきたので、裏切られた思いをするのもやむを得ないでしょう。(法改正は1985年と2000年)

年金の定額部分も含めて満額60歳から受給できた人は、昭和16年4月1日以前生まれの人ですから、戦中生まれまでということになります。

団塊世代(1947年~1949年生まれ)の多くは、報酬比例部分は60歳から、定額部分も63歳または64歳から受給できました。国会の選挙に大きな影響を及ぼしてきた世代ですので、むげにはできなかった妥協の産物だったのでしょう。

年金は言うまでもなく、リタイアした後の唯一確実な収入源となります。

「マンション経営しているから」とか、「投資で稼いでいる」というのは、10年20年単位で見ると決して安定した収入源ではありません。

まして「ずっと働くから年金はあてにしない」というのは、最後の手段であって、親や家族が病気になって看病や介護するため仕事を辞めざるを得なかったり、自分の健康を害することもあります。

年を取ると言うことは、イコール健康を害していくということなのです。

そんな中、こういう記事を読みました。

「年金保険料を払うのは無駄」という人の9割が誤解している年金の実態(Mocha)
年金未納率は3~4割とも言われることがあります。年金を払いたくない人は、年金未納者がたくさんいるため、年金制度はいずれ破綻すると考えていないでしょうか?
(中略)
2020年度末の公的年金加入者は6740万人。このうち未納者数は115万人ですから、割合にするとわずか1.7%です。公的年金はほとんどの人が保険料を払っている状態ですから、制度としては問題なく運営されているのです。

わずか1.7%とは言え、まだ、年金について変な誤解をしていたり、偽情報を信じ込んでいたりして支払い拒否している人がいるのですね。収入がほとんどなく経済的に支払えないということかも知れませんが。

ちなみに生活保護受給者は年金保険料の納付が免除されています。

12年も前に発刊された、細野真宏著『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? 世界一わかりやすい経済の本』 (扶桑社新書)にも書かれていましたが、年金が破綻することは、日本が破綻しない限りありません。

日本が財政破綻したら?

その時は、きっとアメリカか中国かロシアが、国土を割譲するとかなにか大きな代償を支払えば手を差し伸べてくれるでしょうし、減額はされても年金がゼロになることはないでしょう。そうしないと、国民の半分近くが憲法で保障された生活を維持するために生活保護を申請することになります。

そうした破綻することを想像して老後を考えるよりも、どうやって年金を増やせるかを考えることが重要だと思います。

ずっと先のように思っても、30代40代から60代に達するまでは光陰矢のごとし、アッという間です。

遅くとも40代のうちには、子供の教育費や住宅ローンなどと同程度に年金についても知識をつけて、もし国民年金しかないのならば、国民年金基金で上乗せするとか、厚生年金の人でも個人年金保険に加入するなど、対策を考えて実行しておかないと、ふと50代に入ってから慌ててももう遅すぎます。

最近、FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的に自立し、早く引退)という生き方がもてはやされていて、テレビでもその実行者が紹介されます。

確かに早期リタイアは私もずっと憧れていましたが、結局はかないませんでした。

そして62歳でリタイアしたあとで気がついたことは、「60歳までキッチリ厚生年金保険を支払っていたおかげで、月々20数万円の年金を死ぬまで(配偶者には死んでからも)得ることができた」です。

FIREで早期リタイアした人は、配当金や投資活動で収入はあるでしょうけど、将来受給できる年金はフリーランスと同様に国民年金だけです。

ごく一部の、数億円の資産ができた人ならば、早めにリタイアし、豪遊はしないで利息や配当だけで暮らす質素な生活を続ければ、年金がなくても一生を穏やかに終えることもできるでしょう。

でも数千万円の資産ができたからと、30代や40代でリタイアしたら、やがて老後になった時には貯蓄が尽き、しかも年金は国民年金(月額65,000円)だけで、困窮することは目に見えています。

65歳から85歳までの20年間に必要なのは、22万円×12ヶ月×20年=5千2百万円です。かなり質素な最低限の生活を送ってこれだけかかります。

投資は、順調に稼げるときもあれば、大きく損を出すこともあります。ましてや個人の投資は情報の少なさや、投資に割ける資金の少なさから、組織的な投資企業や団体に比べて不利は免れません。

30~40年後に、いまFIREでもてはやされている人達がどうなったか、ぜひ知りたいと思いますが、その頃には私はもうとっくにこの世にはいなそうです。

【関連リンク】
1403 年金相談会へ行ってきた
1384 ねんきん定期便を精読する
1136 定年延長の功罪と年代格差
921 もらえる年金の額はモデルケースとは違うということ



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1562
夏休み前に女性作家さんの作品を集中して読んだ「女性作家シリーズ」です。最近は買う書籍の半分以上は女性作家さんになっています。

地のはてから(上)(下)(講談社文庫) 乃南アサ

2010年に単行本、2013年に文庫化された長編小説です。前年2009年刊の長編小説「ニサッタ、ニサッタ」の主人公の祖母がこの小説では主人公となっています。

時代は大正時代初期、主人公の女性がまだ2歳の時に始まり、食い詰めた福島の農家の四男坊だった父親が、国の北海道移住政策にのっかって地の果て知床半島へ夜逃げ同然で移住してきます。

その主人公が、厳しい自然環境の中で、たくましく育っていく姿が印象的で、見ていませんが有名なNHKドラマ「おしん」の北海道版って感じもします。

借金を作って移住を独断で決めた父親は、まともな生活ができずにやけくそになって酒に溺れ海に転落して早くに亡くなり、本当は来たくなかったのに父親に連れられて知床へ来た母親と小さな子供二人が残され厳しい環境の中で極貧の生活が続いていきます。

成長した主人公はその後小学校をでてすぐに小樽へ子守の奉公に出されますが、その前に山の中で知り合ったアイヌのたくましい子供に恋心を抱きます。

大正時代から昭和初期の東北や北海道は、きらびやかな東京や大阪とは違い、貧しい農民ばかりが肩を寄せ合って生きているという印象で、そうした重苦しい話しが延々と続きます。

農民たちに希望はあるのか?ってことですが、ハッピーエンドで終わるドラマチックなことはなく、家に縛られ、職業選択や住まいの移動が自由にできない中で、貧困の連鎖が延々と続いていくことになり、そうした、あまり表には出てこない日本の暗い歴史を知っておくことも必要でしょう。

またアイヌ差別の問題や、貧困の中においても「お国のため」と貴重な働き手の男手を戦場へ送らなければならない農家の悲惨さなど語り尽くせない、日本の黒歴史が学べます。

★★★

著者別読書感想(乃南アサ)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

父の戦地 (新潮文庫) 北原亞以子

著者は「深川澪通り木戸番小屋シリーズ」など数多くの小説を出され、1993年に「恋忘れ草」で直木賞を受賞された作家さんですが、2013年に故人となられています。

著者の子供というかまだ幼児だった頃、戦争が激しくなって家具職人だった父親が召集されて戦地へ赴きます。

その戦地の父親から、幼児でもわかりやすいようにと様々な絵や漫画を描いた軍事郵便(はがき)が届けられます。

その父親のはがきを紹介しながら、かすかに記憶にある父親の思い出や、母親や親戚に聞いた父親のことを綴っているエッセイ的な内容ですが、プロの作家さんにしては、同じ話が何度も何度も繰り返されたり、話しの順番(時代)が行ったり来たりして読み手からすると話の流れや関係性などがよくわからなかったりします。

また近所の○○ちゃん、親戚の○○ちゃん、いとこの○○ちゃんなどと、個人名がやたらと出てきますが、読者的には著者の交友関係など詳しくないので、そう次々と名前を出されても、、、って読んでいても話しがとっちらかっていてまったく集中できないのが残念です。

タイトルにある「父の戦地」というよりは、「私の戦地」に近い内容でした。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

誰かのぬくもり (光文社文庫) 新津きよみ

2015年に文庫として発刊された短編集で、一部は連作スタイル(登場人物が重なっていたりする)です。

著者の作品は、過去に「ダブル・イニシャル」を読んでいます。数多くの作品があるのにまだ1作?という少なさです。同年齢の方の作品ですので、これからもっと頑張って読みます。

この短編集には「お守り」「誰かのぬくもり」「罪を認めてください」「思い出さずにはいられない」「骨になるまで」「秘密」「女の一生」「不惑」の8編が収録されています。

女性心理を鋭く描くサスペンススタイルが持ち味の著者ですから、短編でもそのスタイルが用いられています。

ただ、私など単純な読者が希望する起承転結が明確ではなく、「え?なにが言いたかったの?」と戸惑ってしまう、ハッキリしないものが多く、個人的にはちょっと苦手でした。

★☆☆

著者別読書感想(新津きよみ)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

号泣する準備はできていた (新潮文庫) 江國香織

2004年の直木賞受賞作となった短篇集です。

収録作品は、「前進、もしくは前進のように思われるもの」「じゃこじゃこのビスケット」「熱帯夜」「煙草配りガール」「溝」「こまつま」「洋一も来られればよかったのにね」「住宅地」「どこでもない場所」「手」「号泣する準備はできていた」「そこなう」の12編です。

著者の作品は「神様のボート」「きらきらひかる」の二つだけを過去に読んでいますが、「犬とハモニカ」もまだ未読ですがすでに買ってあります。

女性作家さんによくある微妙?な女性心理を前面に出した小説ですが、男性には理解できないところもあり、「そういうものかぁ~」って感心するぐらいで、当たり前ですが主人公に感情移入することもなく、淡々と読むしかないという感じです。

しかし同年代以上の女性が読むと、「わかるわかる」と、女性あるあるなのでしょうね。わかりませんが。

直木賞にも、熊谷達也著「邂逅の森」のように、文庫で530ページの壮大な長編もあれば、この小説のように1編平均が20ページ程度で全部足しても230ページに満たない短篇集もあり、その候補作と選出の基準がいまいち不明です。

第130回(2003年下半期)直木賞 選評の概要」というのがあり、それを見ても、400字詰めで12篇合計して268枚のこの作品と、1作でその7倍近い差がある同1855枚の馳星周著「生誕祭」が同列に評価されています。

もちろん、小説はその長さで優劣が決まるわけではないですが、短篇で直木賞が取れるなら、作家心理としては時間をかけて長編を書くより、インパクトのある短篇作を中心に創作する人が増えていくような気がします。

個人的には同じ時間をかけて短篇を100作読むよりも、長篇1作を読みたい派です。

この2003年下半期直木賞の、5つの候補作の中では圧倒的に審査員の評価が高いのがこの作品ですが、10人の審査員のうち、津本陽氏と宮城谷昌光氏の二人だけは評価が低くなっています。おこがましい言い方ですが、私はこの二人に感性が近いかもです。

個人的には短篇集(あるいは短編作品)は、直木賞ではなく別に評価すべきじゃないのかな?と思ってしまいます。

ちなみに、この直木賞においては、400字詰め原稿で、1~149枚が短篇、150~299枚が中篇、300枚以上が長篇とされています。

ちょっと本作品の感想と関係のない話しになってしまいました。

★☆☆

著者別読書感想(江國香織)

【関連リンク】
 7月後半の読書 生きて帰ってきた男、震源、もらい泣き、時砂の王
 7月前半の読書 宇宙を読む、夏の情婦、永遠の出口、無人島に生きる十六人、MISSING
 6月後半の読書 騙し絵の檻、思い出袋、パンク侍、斬られて候、黄砂の籠城(上)(下)

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1561
先月、7月14日、2021年上半期の. 第165回直木三十五賞が発表され、佐藤究氏の「テスカトリポカ」と、澤田瞳子氏「星落ちて、なお」が見事に受賞されました。

受賞直後には書店へ行くと、受賞作や候補作の単行本が大量に平積みされていて、ミーハーな人や流行に敏感な人はこぞって買い求めていますが、冷静沈着な私?は文庫になるまで数年待ってから手に取りますから読めるのは2~3年後でしょうか。

文庫しか読まないのを人は「貧しいからだろ?」と言いますが、半分当たっています。あとの半分は、保管場所がないので、大きな単行本はできるだけ避けて小さな文庫本にしているのと、寝っ転がって読むのに重い単行本だと手が疲れるからというのが半分です。

生憎、人より早く読みたい!流行に乗り遅れたくない!という先進性の思想は持ち合わせていません。

ということで、印税という点ではあまり著者に貢献できていないので心苦しいのですが、できるだけ読んだ本については感想などを書いて、Amazonのリンクも貼っておくということで勘弁してください。ただし結構独断的で辛口です。

あまり古い作品まで入れるのもあれですので限定しますが、1970年から2020年までの51年間に直木賞を受賞したのは126名で、作品数は133あります(2作品で受賞した場合は2作品とカウント)。

そのうち、どのぐらい読んだかな?と、下記の表の通り調べてみたところ、36作品(赤色)でした。と言うことは率にすると 36/133≒25% ということです。

第63回(1970年上半期) 結城昌治「軍旗はためく下に」 渡辺淳一「光と影」
第64回(1970年下半期) 豊田穣「長良川」
第65回(1971年上半期)
第66回(1971年下半期)
第67回(1972年上半期) 綱淵謙錠「斬」 井上ひさし「手鎖心中」
第68回(1972年下半期)
第69回(1973年上半期) 長部日出雄「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」 藤沢周平「暗殺の年輪」
第70回(1973年下半期)
第71回(1974年上半期) 藤本義一「鬼の詩」
第72回(1974年下半期) 半村良「雨やどり」 井出孫六「アトラス伝説」
第73回(1975年上半期)
第74回(1975年下半期) 佐木隆三「復讐するは我にあり」
第75回(1976年上半期)
第76回(1976年下半期) 三好京三「子育てごっこ」
第77回(1977年上半期)
第78回(1977年下半期)
第79回(1978年上半期) 津本陽「深重の海」 色川武大「離婚」
第80回(1978年下半期) 宮尾登美子「一絃の琴」 有明夏夫「大浪花諸人往来」
第81回(1979年上半期) 田中小実昌「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」 阿刀田高「ナポレオン狂」
第82回(1979年下半期)
第83回(1980年上半期) 向田邦子「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」 志茂田景樹「黄色い牙」
第84回(1980年下半期) 中村正軌「元首の謀叛」
第85回(1981年上半期) 青島幸男「人間万事塞翁が丙午」
第86回(1981年下半期) つかこうへい「蒲田行進曲」 光岡明「機雷」
第87回(1982年上半期) 深田祐介「炎熱商人」 村松友視「時代屋の女房」
第88回(1982年下半期)
第89回(1983年上半期) 胡桃沢耕史「黒パン俘虜記」
第90回(1983年下半期) 神吉拓郎「私生活」 高橋治「秘伝」
第91回(1984年上半期) 連城三紀彦「恋文」 難波利三「てんのじ村」
第92回(1984年下半期)
第93回(1985年上半期) 山口洋子「演歌の虫」「老梅」
第94回(1985年下半期) 森田誠吾「魚河岸ものがたり」 林真理子「最終便に間に合えば」「京都まで」
第95回(1986年上半期) 皆川博子「恋紅」
第96回(1986年下半期) 逢坂剛「カディスの赤い星」 常盤新平「遠いアメリカ」
第97回(1987年上半期) 白石一郎「海狼伝」 山田詠美「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」
第98回(1987年下半期) 阿部牧郎「それぞれの終楽章」
第99回(1988年上半期) 西木正明「凍れる瞳」「端島の女」 景山民夫「遠い海から来たCOO」
第100回(1988年下半期) 杉本章子「東京新大橋雨中図」 藤堂志津子「熟れてゆく夏」
第101回(1989年上半期) ねじめ正一「高円寺純情商店街」 笹倉明「遠い国からの殺人者」
第102回(1989年下半期) 星川清司「小伝抄」 原尞「私が殺した少女」
第103回(1990年上半期) 泡坂妻夫「蔭桔梗」
第104回(1990年下半期) 古川薫「漂泊者のアリア」
第105回(1991年上半期) 宮城谷昌光「夏姫春秋」 芦原すなお「青春デンデケデケデケ」
第106回(1991年下半期) 高橋義夫「狼奉行」 高橋克彦「緋い記憶」
第107回(1992年上半期) 伊集院静「受け月」
第108回(1992年下半期) 出久根達郎「佃島ふたり書房」
第109回(1993年上半期) 高村薫「マークスの山」 北原亞以子「恋忘れ草」
第110回(1993年下半期) 佐藤雅美「恵比寿屋喜兵衛手控え」 大沢在昌「新宿鮫無間人形」
第111回(1994年上半期) 中村彰彦「二つの山河」 海老沢泰久「帰郷」
第112回(1994年下半期)
第113回(1995年上半期) 赤瀬川隼「白球残映」
第114回(1995年下半期) 小池真理子「恋」 藤原伊織「テロリストのパラソル」
第115回(1996年上半期) 乃南アサ「凍える牙」
第116回(1996年下半期) 坂東眞砂子「山妣」
第117回(1997年上半期) 篠田節子「女たちのジハード」 浅田次郎「鉄道員(ぽっぽや)」
第118回(1997年下半期)
第119回(1998年上半期) 車谷長吉「赤目四十八瀧心中未遂」
第120回(1998年下半期) 宮部みゆき「理由」
第121回(1999年上半期) 佐藤賢一「王妃の離婚」 桐野夏生「柔らかな頬」
第122回(1999年下半期) なかにし礼「長崎ぶらぶら節」
第123回(2000年上半期) 船戸与一「虹の谷の五月」 金城一紀「GO」
第124回(2000年下半期) 山本文緒「プラナリア」
第125回(2001年上半期) 藤田宜永「愛の領分」 重松清「ビタミンF」
第126回(2001年下半期) 山本一力「あかね空」 唯川恵「肩ごしの恋人」
第127回(2002年上半期) 乙川優三郎「生きる」
第128回(2002年下半期)
第129回(2003年上半期) 石田衣良「4TEENフォーティーン」 村山由佳「星々の舟」
第130回(2003年下半期) 江國香織「号泣する準備はできていた」 京極夏彦「後巷説百物語」
第131回(2004年上半期) 奥田英朗「空中ブランコ」 熊谷達也「邂逅の森」
第132回(2004年下半期) 角田光代「対岸の彼女」
第133回(2005年上半期) 朱川湊人「花まんま」
第134回(2005年下半期) 東野圭吾「容疑者Xの献身」
第135回(2006年上半期) 三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」 森絵都「風に舞いあがるビニールシート」
第136回(2006年下半期)
第137回(2007年上半期) 松井今朝子「吉原手引草」
第138回(2007年下半期) 桜庭一樹「私の男」
第139回(2008年上半期) 井上荒野「切羽へ」
第140回(2008年下半期) 天童荒太「悼む人」 山本兼一「利休にたずねよ」
第141回(2009年上半期) 北村薫「鷺と雪」
第142回(2009年下半期) 佐々木譲「廃墟に乞う」 白石一文「ほかならぬ人へ」
第143回(2010年上半期) 中島京子「小さいおうち」
第144回(2010年下半期) 木内昇「漂砂のうたう」 道尾秀介「月と蟹」
第145回(2011年上半期) 池井戸潤「下町ロケット」
第146回(2011年下半期) 葉室麟「蜩ノ記」
第147回(2012年上半期) 辻村深月「鍵のない夢を見る」
第148回(2012年下半期) 朝井リョウ「何者」 安部龍太郎「等伯」
第149回(2013年上半期) 桜木紫乃「ホテルローヤル」
第150回(2013年下半期) 朝井まかて「恋歌」 姫野カオルコ「昭和の犬」
第151回(2014年上半期) 黒川博行「破門」
第152回(2014年下半期) 西加奈子「サラバ!」
第153回(2015年上半期) 東山彰良「流」
第154回(2015年下半期) 青山文平「つまをめとらば」
第155回(2016年上半期) 荻原浩「海の見える理髪店」
第156回(2016年下半期) 恩田陸「蜜蜂と遠雷」
第157回(2017年上半期) 佐藤正午「月の満ち欠け」
第158回(2017年下半期) 門井慶喜「銀河鉄道の父」
第159回(2018年上半期) 島本理生「ファーストラヴ」
第160回(2018年下半期) 真藤順丈「宝島」
第161回(2019年上半期) 大島真寿美「渦妹背山婦女庭訓魂結び」
第162回(2019年下半期) 川越宗一「熱源」
第163回(2020年上半期) 馳星周「少年と犬」
第164回(2020年下半期) 西條奈加「心淋し川」

う~ん、意外と少ない、、、

まだ文庫化されていない2019年以降の受賞作は当然無理としても、1980年代~1990年代の受賞作はもうちょっと読んでいるかなと思ってました。

書店や、ブックオフで本を買うときは、主として著者とタイトルを見てパッと買うので、受賞作かどうかは関係ないということもあります。

荻原浩氏の作品は過去23作品を読んでいますが、2016年の受賞作「海の見える理髪店」はまだ未読ですし、恩田陸氏の小説は18作品読んでいますが、2016年の受賞作「蜜蜂と遠雷」はまだ読んでなく、9作読んでいる篠田節子氏の小説の中に1997年の受賞作「女たちのジハード」は入っていません。

これからは、評論家や先輩同業者が良いと認めたこれらの受賞作をちょっと意識しつつ買うことにします。

【関連リンク】
746 直木賞作家の前職は?
509 本屋大賞ノミネート作品について
1498 蔵書書籍3200冊のタイトル分析



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1560
リタイア前はいわゆるサンデードライバーでしたが、今は関係なく平日の昼間からクルマに乗って買い物へ出掛けたり、コロナのせいで遠出は控えていますが、近場へはウロウロと走ることも多くなっています。

また、行く場所と荷物の有無ではバイクで出掛けることも多くなりました。そこで、気になるのはドライバーの運転マナーです。

平日の昼間は、プロドライバー(配送とか送迎など)が多く、休日のサンデードライバーだらけの道路よりは走りやすいのですが、プロドライバーは運転に慣れているだけに、自分だけのルールやマナーが染みついてしまっている人がいて、それが素人目にはあまりよくないマナーだったり、ルール無視に見えたりします。

そう思っていたら、こういう記事を見つけました。

うっかり違反に注意!! 破られがちな交通ルール 5選(ベストカーWeb)
1.歩行者の進路妨害
2.バスやタクシーの進路妨害
3.高速道路での燃料不足による停車
4.追い越し車線は「やむを得ない場合」のみ
5.運転に支障のある体調での運転も違反に

1の歩行者の進路妨害、特に横断歩道での歩行者優先は以前から盛んに言われていて、最近は少しマシになってきていますが、ウォーキング中に信号のない横断歩道を渡ろうとしても、走行中のクルマが停まってくれるのはおよそ2~3割です。

横断歩道で車が止まってくれる率(乗りものニュース)
全国平均は前年から4.2ポイント増の21.3%
1位は長野県の72.4%
ワースト1位は宮城県の5.70%

私自身もドライバーとして運転しているとき、横断歩道近くにいる人を見つけたら「渡りたいのか?それとも立っているだけ?」って迷っているあいだに歩行者の前をそのままのスピードで通り過ぎてしまうこともママあり、反省しなければなりません(少なくとも徐行すべき)。

日本は先進国としては珍しい一般道に横断歩道橋という、「自動車優先、歩行者は遠回り」という交通後進文化を持つ国ですから、本気で横断歩道の歩行者優先を進めるためには、ルールの徹底と、厳格な取り締まり、横断歩道付近ではスピードが出せないインフラ作りをおこなわないと改善はされないでしょう。

2.のバスとタクシーのうちバスの発進時は概ね守られていそうですが、タクシーの発進時に妨げてはいけないというのはです。

道路交通法 第31条の2(乗合自動車の発進の保護)
停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車が発進するため進路を変更しようとして手又は方向指示器により合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車の進路の変更を妨げてはならない。

一般的な流しとか駅前のタクシー乗り場で待つタクシーはこの「乗合自動車」に該当しませんが、調べると「路線定期運行」のタクシーというのがあって、その場合、停留所や乗降場所からの発進を妨げてはいけないルールが適用されるようです。

都市部ではあまりみかけない「路線定期運行」タクシーですが、バスを運行させるほどの需要がない地域などでは住民の足として増えてきているのかも知れません。

都市部には、バスとタクシーの中間的な「コミュニティバス」が結構走っていますが、それも「路線定期運行」であれば「乗合自動車」になりますが、工場や自動車教習所の私的な送迎バスはそれに該当しないでしょう。

でも初めての土地で、そのタクシーが「乗合自動車」なのか、一般タクシーなのか区別はつきにくそうですね。

3.と4.と5.は今では当然のルールやマナーですが、最近のあおり運転の何割かは、後ろを気にせず追い越し車線を走っていてあおられるというパターンがありそうで、追い越し車線であおられたと嘆くのは、4.のルールを理解していないことから起きることかも知れません。

もっともあおりドライバーは、追い越し車線か走行車線か関係なく、単にイライラしていたり、誰かにイチャモンを付けたいだけだったり、自暴自棄になっているアウトローな無敵の人も多いので、事故に遭いたくなければ、そういうのに関わりを持たないよう、後ろから急速に追い上げられたり、変にピッタリとつかれたら、さっさと道を譲ってあげるのがドライバーの防衛運転です。

この交通ルール5つにはありませんが、私がよく目にするルール違反やマナー違反は、

・右左折や車線変更する際にウインカーを出さない、または遅すぎる
・左折時、右へ大きくふくらんで大回りする
・トンネルの中、日没後の夕方、昼間でも大雨で薄暗い時に、ライトを点けない


右左折時には30m手前でウインカーを出すことが求められているにかかわらず、多くのクルマはその直前か、ひどいのは曲がり始めてから出すドライバーまでよく目にします。

信号待ちで右折レーンや左折専用レーンで停まっているクルマでさえウインカーを出していないクルマをかなり見かけます。

こうした行為が周囲のクルマやバイクにどれだけの迷惑をかけているかわからないのでしょう。

また左折時に、内輪差の大きなトラックやトレーラーならともかく、軽自動車ですら、一度外へふくらんでから左折していくアホがよく目立ちます。

左折するときには、自転車やバイクなどを巻き込まないよう、道路交通法 第三章 第三十四条では下記のようなルールが定められています。

「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて徐行しなければならない。」

つまり、右側に大きくふくらんで左折するのは周囲の迷惑だけでなく、交通違反だと言うことです。

バイクに乗っていると、前のクルマが交差点間際でスピードを落とし始めてもウインカーを出さないので「曲がるのか?曲がらないのか?」がわからず、それによって走行車線や走行位置を変えなきゃならないのに、それがわからずに困ります。

さらに、左折するため徐行しているクルマの右横を通って直進(追い抜く)しようとするとき、急に隣の車線にまで右に膨らんで左折するクルマがあり、接触しそうになったことがあります。アウトインアウトのコーナリングはサーキット場だけでやってくれ!ですね。

トンネルの中や、日没後の薄暮の時にライトを点灯しないクルマが相変わらず多いのも、事故を誘発するだけで良いことはなにもありません。

ライトを早めに点灯するのは自分のためではなく、周囲のクルマや歩行者、自転車などからよく見えるようにするためです。意図して点けたがらない人は、自分さえ良ければ周囲の人への配慮は不要と自己中心的な人と言うことです。

また最近のクルマは、自光式メーターで、暗くなっても車内のメーターは煌々と明るく、また都会では街灯などでそこそこ明るいので、ライトを点けていないことに気がつかないという不注意な人もいるのでしょう。

なので2020年からの新車にはオートライト機能の義務化が始まりましたが、それが普及するにはまだあと4~5年以上はかかりそうです。

いずれにしても、そういうライトを点けないで運転するのは、不注意なドライバーか、まともに法律を守る気がない無敵のドライバーなので、そういうクルマを見かけると、できるだけ近づかないほうが得策です。

【関連リンク】
1459 マイペースな運転は身を滅ぼす
1225 交通違反の反則金の行方を知っているか?
1153 気になる自動車運転マナー

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写真は文藝春秋「本の話し」より
著者別読書感想を追加&整理していて、浅田次郎氏の作品の蔵書が多いのに今さらながら圧倒されていました。

著作で全68冊(上下巻を2冊というようにカウントすると)、作品数としては48作品の小説やエッセイなどがあります。

これは、蔵書の全著作者別冊数では堂々1位です。ちなみに2位は、20代30代の頃に読みまくった高杉良氏の61冊、3位は中学生の頃から読んできた五木寛之氏の55冊です。

浅田次郎氏の作家デビュー作品は、「とられてたまるか!」で、1991年のことです。

その当時は、書店で見かけても、あまりピンとくるものがなく、タイトルから単に「またヤクザ者がヤクザ小説でも書いた?」ぐらいにしか思っていませんでした。えぇ見る目がなかったのです。

そのデビューから6年後の1997年に、書店に平積みされていた文庫の「日輪の遺産」(1993年単行本刊、文庫は1997年刊)を手に取り、タイトルも、また文庫の裏の紹介文を読んでも、「これは硬派?」と気がつきすぐに購入して読んだのが最初です。

この小説は泣けるし、とにかくめちゃ面白い!と気に入って、ちょうど堤真一などが出演する映画も作られていた「地下鉄(メトロ)に乗って」(吉川英治文学新人賞)を次に買って読みました。

その当時、仕事で毎日のように東京メトロ(当時は帝都高速度交通営団)丸ノ内線に乗っていて、小説の舞台を身近に感じていたということも相まって、これまた泣かされて楽しめました。

この2冊で、著者浅田次郎氏のファンになり、あとは一気呵成に読み続けました。

すると「平成の泣かせ屋」としての浅田次郎氏だけではなく、「プリズンホテルシリーズ」や「天切り松 闇がたりシリーズ」のようなユーモア、コミカル路線や、意外と日本人は知らない複雑怪奇な中国の近代史をわかりやすく描く壮大な「蒼穹の昴シリーズ」など、小説家としての器の大きさ、筆の達者さなどますますのめり込んでいきます。

そして小説の多くは映画化やテレビドラマ化がされています。基本的には私は小説を読んでから映画を見る派です。

中でも、高倉健さん主演で代表作とも言える「鉄道員(ぽっぽや)」、新選組を近藤勇でも土方歳三でも沖田総司でもなく東北の寒村から出てきた凄まじい最強の剣士を主役にした「壬生義士伝」、時任三郎と八千草薫が見事な親子を演じたロードムービー「天国までの百マイル」など、良い原作に良い映画ありを実感しました。

すでに何冊も読んだと言う人には無用かと思いますが、私が勝手に決める「浅田次郎の歩き方」としてお勧めの小説を読む順番を考慮した上で書いておきます。()内は単行本発刊年です。

まずは「鉄道員(ぽっぽや)」(1997年 直木三十五賞)と「天国までの百マイル」(1998年)は入門編としてまずはお勧めです。いずれもそれほど長くはないので、活字苦手な人でも大丈夫です。

ストレス発散のため、パッと明るく軽めのコミカル小説を読みたいなら「プリズンホテルシリーズ」(1993年~1997年)や「オー・マイ・ガアッ!」(2001年)がお勧めです。なにも考えずにゲラゲラ笑えます。

著者はピカレスクロマン(悪漢ヒーロー小説)の小説も多く、その中でもすでにシリーズで5作品ある、「天切り松 闇がたりシリーズ」の第1作目「天切り松 闇がたり」(1996年)、第2作目「天切り松 闇がたり 残侠」(1999年)を強くお勧めしておきます。

「天切り松」とは、天=屋根を破って夜中に侵入する泥棒の松(名前)という意味で、義賊の鼠小僧的な面白さがあります。

さて、ここから中・上級者?向けとなっていきますが、浅田次郎ファンならばこれだけは読まないとダメってのが「蒼穹の昴」(1996年)、「中原の虹」(2006~2007年 吉川英治文学賞)です。

「蒼穹の昴」「中原の虹」は各々文庫で4巻ありますから、ちょっと集中して読書ができる時間と覚悟が必要です。

でも心配いりません、読み始めると面白くて、仕事をさぼってでも次々と読みたくなりますので、覚悟が必要なのは読み始める前だけのことです。

ただ、中国人の名前というのはどうも似たようなものが多く、途中で混乱したり、わからなくなってしまうことがあり、私のように通勤の電車の中だけの読書だと「これって誰だっけ?」と行ったり来たりして意外と読書スピードはあがりませんでした。

次に数は少ないですが、第二次世界大戦中が舞台の小説で、「日輪の遺産」(1993年)、「終わらざる夏」(2010年)の二つは秀逸です。

どちらも実際にいた人物が小説に登場していて、そうしたリアルの中にフィクションのミステリーやドラマを肉付けていくストーリーには定評ありです。

最後に割と数多くある幕末を含めた時代物小説での中で、これだけは読んどけ!って勝手に推薦するのは、「壬生義士伝」(2000年 柴田錬三郎賞)、「五郎治殿御始末」(2003年)、「一刀斎夢録」(2011年)、「一路」(2013年)です。

「五郎治殿御始末」は短編集で、その中の「柘榴坂の仇討」は、中井貴一と阿部寛のW主演で2014年に映画化されています。

また「一刀斎夢録」は新選組の中で「人斬りの鬼」と恐れられていた斉藤一(さいとうはじめ)が、老いてから、新選組時代、その後、新政府の警察隊として戦った西南戦争の頃の話しを語っていくという内容です。

エッセイ集や他の短編集にも面白いものが多くありますが、やはり浅田次郎氏の一番の魅力は長編小説で、ぐいぐいと読者をその物語の中に引き込んでいき共感を得ていくようなストーリーです。

ここ数年は、1年に長編1作品ペースで出版されていますが、2~3年遅れて文庫本が出てくるまで待ちつつ、これからも愛読していきます。

著者別読書感想(浅田次郎)

【関連リンク】
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1432 文学小説の読書感想文の書き方
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