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ニュースにもなったので見たり読んだりした方も多いと思いますが、犯罪の総数は減ってきているものの、高齢者が引き起こす犯罪数は激増しているそうです。法務省が出している平成24年度の犯罪白書を見ると、
「我が国の犯罪情勢は,平成14年に刑法犯の認知件数が戦後最多を記録したが,国民と政府が一体となって治安の回復に取り組むなどした結果,刑法犯の過半数を占める窃盗を中心に刑法犯認知件数は減少傾向にあり…(中略)…近年の犯罪動向では,初犯者がおおむね減少傾向にある中,検挙人員に占める再犯者や刑務所入所受刑者に占める再入者の比率が上昇傾向にあり,特に覚せい剤事犯者や高齢受刑者等では再犯によるものの比重が大きい(以下略) |
とあります。
一般刑法犯の検挙数では全国的に高年齢化が進み、60歳以上の構成比が昭和57年(1982年)に3.5%(1万5,363人)だったのが、平成23年(2012年)には22.9%(7万83人)と率で6.5倍、人数でも4.6倍と急増しています。
もっとも65歳以上の人口は2012年で29,752千人に対して1985年で12,468千人と約2.4倍の差がありますから、高齢者の犯罪の数が増えるのは当然としても、それにしても人口の伸び率以上の激増です。
確かに最近目にする凶悪犯罪も高齢者(60歳以上)が引き起こしたものが目立ちます。
「山口県周南市の限界集落5人殺人事件」の容疑者は63歳
「複数名の殺人や監禁をした尼崎事件」の首謀者(拘置中自殺)とされる女性は当時64歳
「宝塚市役所放火事件」の容疑者は63歳
「堺女性傷害致死遺棄事件」の被告は63歳と57歳の女性
「栃木茂木町の整骨院院長殺害」の被告は60歳
暴走老人は元都知事だけでなく全国で出没しているということです。
また凶悪事件というのではありませんが、被害者や遺族からすると同様な感情を持ってしまいそうな交通事故、特にブレーキとアクセルを踏み間違えてしまうクルマでの暴走事故は特に高齢者ドライバーに多く見られます。
駐車場で暴走のクルマ、フェンスを突き破って15m下に転落
2013/8/14(奈良県 運転者74歳男性)
屋台に車突っ込む 子供ら5人重軽傷 東京・羽村の公園
2013/8/12(東京都 運転者70代男性)
ペダル踏み間違えで暴走、時計店にクルマ突っ込んで客が負傷
2013/8/9(北海道 運転者85歳男性)
兄弟はねられ9歳重体
2013/8/8(山口県 運転者77歳男性)
ペダル踏み間違えのクルマが歩道で暴走、歩行者をはねる
2013/5/11(北海道 運転者76歳男性)
ちょっと古い資料ですが、ブレーキの踏み間違いで起きる事故は年齢別には運転未熟者が多い19~29歳がもっとも多く、次いで70歳以上、次が60~69歳となっています。(平成18年交通事故総合分析センター)
この手の事故は、今後高齢者ドライバーが増えていくにつれまだ増えそうな勢いですが、各社から衝突防止装置の付いた新車が続々と出てきていますので、それに期待したいところです。ただ年金以外に収入のない一般的な高齢者が、割高な最新装備のついたクルマに買い換えるのか?というとはなはだ疑問が残ります。
私が近所のスーパーの駐車場で目撃したのは、70歳以上と思われる小柄なおじいさんが運転する軽バン自動車が駐車場に入ってきたものの、なかなかまっすぐに停められず何度も切り返しをしていました。しかもバックする際には左右に停まっている他人のクルマにガンガンぶつけながら切り返しをしているのです。それを間近で見ていた人が、おじいさんに注意をしたところ、「え?」と驚いて降りてきて、ぶつけたところを見ているのです。つまり何度もガンガン大きな音を立ててぶつけているのに運転している本人だけが気がつかなかったというお粗末さ。おそらく運転初心者ではなく何十年と運転歴のある人だと思いますが、歳を取るとそうした運転感覚や距離感が鈍るのでしょうね。
犯罪の話しに戻りますが、内閣府の「高齢社会白書」によると、平成19年の高齢者の一般刑法犯検挙数は「窃盗」が65.0%と最も高く、次が「横領」で22.0%、以下「暴行」3.7%、「傷害」2.3%と続いています。「窃盗」の多くは万引きと考えられ、「年金暮らしで生活費がかつかつで、、、」というパターンが多いそうです。
なにか昔だと「道徳は親や祖父母から教わる」「老人を労り、敬いましょう」的なことをよく言われましたが、現代における道徳教育は「高齢者の手癖の悪さは学んではいけない」「高齢者を見れば泥棒と思え」となっていきそうな勢いです。
高齢傷害・暴行事犯者の犯行時の動機・原因としては、「激情・憤怒」が63.9%、泥酔しているなど飲酒による影響が顕著に認められた「飲酒による酩酊」が14.3%、「報復・怨恨」が6.8%となっています。
最近よく聞く「キレる老人」は6割を超えるこの「激情・憤怒」で、今の60代はまだ人並みに体力や俊敏姓もあり、それが暴力事件や傷害事件へと発展していくのでしょう。なにかで読みましたが、60代で痴呆症を患っている男性を介護する場合、体力で劣る女性では気に入らないことがあるとすぐに暴れる患者は抑えられず、殴られたりして体中青あざだらけになると書いてありました。
65歳を超えた団塊世代の一部には、若いとき学生運動に情熱を傾けていた人も多く、そういう人にとっては会社勤務というタガが外れ、子ども達は巣立ってしまい、社会や家庭の中で自分の居場所がなくなってくると、沸々とわき出てくる情熱をぶつける対象がなくなり、アルコールへ逃避したり、酔った勢いで暴力行為に走ってしまうということも起きそうです。
そのアルコールですが、特徴的なのは「犯行時に飲酒が認められた者」は高齢傷害・暴行事犯者全体の53.7%と高く、他の年齢層と比較して多くなっています。私はよくタバコの被害よりも、ずっと多くの悲劇を生み出す飲酒こそ真っ先に規制すべきと主張しています。
飲酒運転による死亡事故や、酒が入った上での喧嘩やセクハラ、痴漢など、飲酒が引き金になった事故や事件の被害のほうが、喫煙による周囲の被害よりずっと大きいので、公衆の場所で販売や提供を制限・禁止をするのなら、タバコではなくまずはアルコールではないのか?と思ってしまいます。
あと、週刊朝日に掲載されていましたが、慶応大学の太田達也教授と警察庁が共同で調査したところ、同じ高齢者でも、単身世帯と子ども達など家族と同居しているか、またはよく行き来ががある場合とでは、その高齢者が犯罪を犯す率が大きく違ってくるそうです。当然気遣ってくれる家族が身近にいない単身世帯のほうが犯罪発生率は高くなります。
「社会的孤立」と犯罪には相関関係がありそうですが、先に起きた山口周南市の5人殺人放火事件の容疑者も、父親が存命中は問題は起きず、亡くなってから集落の中で孤立していったことが伝えられていました。今後の高齢化社会において憂慮すべき点でしょうね。
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総人口に占める65歳以上の人の割合(高齢化率)が、2040年に全都道府県で3割を超え、秋田など5道県では4割を超えると国立社会保障・人口問題研究所が「地域別将来推計人口」で公表しました。2040年というと27年後、私はもし生きていれば82才です。
2040年に高齢化率が40%を超えるのは、秋田県(43.8%)、青森県(41.5%)、高知県(40.9%)、北海道(40.7%)、徳島県(40.2%)の5道県です。逆に2040年でも高齢化率が比較的低い県は、沖縄県(30.3%)、愛知県(32.4%)、滋賀県(32.8%)、東京都(33.5%)、岡山県(34.8%)です。
凄まじく高齢化へ進んでいる国内の人口構成ですが、その中でも65歳以上の高齢者が総人口比で50%を越えた集落のことを「限界集落」と呼んだのが当時高知大学教授だった大野晃氏(現長野大学教授)です。その限界集落が今から27年後の2040年には多数出現することになります。
限界集落となるといったいなにが起きるかというと、医療や福祉など各種公共サービスの提供が独自には難しくなり、道路や施設の運営・管理が削られて壊れても補修されず、民間企業のスーパーや日用品店、飲食店、ガソリンスタンドなどが撤退、鉄道やバス路線の縮小や廃止など、生きていく上での共同体機能が急速に衰えることになります。そしてその集落は消滅に向かうとされています。
2010年時点で限界集落に該当するのは、群馬県 神流町、群馬県 南牧村、長野県 天龍村、長野県 大鹿村、奈良県 川上村、和歌山県 北山村、徳島県 上勝町、高知県 大豊町、高知県 仁淀川町の6県9自治体だけです(福島県内の自治体は今回調査から除外されています)。
村や町ばかりで、平成の大合併に乗り遅れて漏れてしまったか、あえていさぎよく消滅する道を選んだのか、それとも町議など政治家がなにも考えていなかったのでしょう。
ところが、今から6年後の2020年に限界集落を迎えると予想される自治体は、
26都道府県の47自治体が限界集落を迎える予測となっています。消えてしまうには惜しいところがいくつも含まれています。
そして26年後の2040年は、多いので列挙すると
の36都道府県、169もの自治体が限界集落となります。中でも北海道(29市町村)、青森県(11町村)、高知県(11市町村)、奈良県(9町村)が特に多いです。
えっ?あの市(町)が限界集落!って叫びそうな有名なところも含まれます。
ちなみに日本全体では2001年1月時点では3,447あった市町村は、その後合併が進み、2011年11月時点では約半分の1,719となっています。
今後の市町村合併を考慮しなければ、169の限界集落数は日本の自治体数からすると9.8%、約1割を占めることになります。
これらはあくまで予測であって、そうならない可能性だってあるでしょ?と反論されそうですが、逆に限界集落に向かうことが確実となれば、いち早くそこから脱出しようとする企業や個人もあるでしょうから、その時期がもっと早まる可能性だってあります。
限界集落にならない可能性があるとすると、近くの大きな自治体と合併したり、極端な例ですが原発や米軍基地、カジノなどを誘致して、若い人が集まる大きな産業を育てるぐらいしか思い浮かびません。
中途半端な観光施設や遊園地、温泉施設を作ってもうまくいかないのは過去の多くの事例が証明しています。
現在は各地で「シルバータウン計画」というものが進められていますが、それらの内容には大差なく、高齢化して人口減が進む地方の町や村に、引退した都会の高齢者を迎え入れて移住してもらおうとするもので、その移住に関連した大規模な開発と介護や医療ビジネスで産業を興そうとするものです。楡周平氏の小説「プラチナタウン 」もそれに近いものでした。
一方、限界集落のない地方自治体は山形県、栃木県、富山県、福井県、滋賀県、兵庫県、岡山県、香川県、佐賀県、沖縄県の10県です(福島県は今回調査から除外)。
この限界集落がない10県に特徴があるのは、町村合併を積極的に進め、県内に極端に小規模な町や村が少なく、早くからコンパクトな中核都市に集中する政策に転換してきたことでしょう。ただし県全体の高齢化はどこも同じように進んでいます。
大都市を抱える東京都や大阪府、神奈川県などにも、山間部や辺境に小さな町や村が残っていて、それらが26年後には限界集落化していくことになります。
それらは限界集落化する前に近くの市や町と統合、あるいは住人の移住促進がおこなわれていくのでしょう。
地方にある中核都市がいまできることと言えば、限界集落化する住民やその家族を説得し、少しでも早く都市部へ移住をしてもらうことでしょう。代表的な例が富山市で、早くから思い切ったコンパクトシティ構想を進めています。
その他でコンパクトシティ政策を取り入れているのは、札幌市、稚内市、青森市、仙台市、豊橋市、神戸市、北九州市などがあります。
もし限界集落を放置し続ければ、自治体は効率の悪い税金の使い方をせざるを得なく、またそこの住人達は様々な点で不便を強いられ、結果的には夕張市のように財政破綻し、再建団体に指定されてしまいます。
財政破綻した市町村がどういうことになるかというと、自治体としての機能は国に取り上げられ、市(町・村)民サービスが低下し利用料金は値上げされます。
例えばゴミの収集頻度が少なくなり(ゴミが町にあふれ散乱する)、(公営の)医療施設が閉鎖、(市町村管理の)道路や橋が壊れてもすぐに補修ができず通行禁止となる、(市長村営)バスがなくなり通勤・通学が不便になる、保育料など利用料が上がる、なのに市町村民税は高くなります。
夕張市の場合はいち早く問題に直面し、注目度も高く東京都をはじめ救済しようとする自治体や企業、個人がありますからまだ救われていますが、今後は自分のところの自治体が手一杯で、やがてそういう支援もなくなってしまうでしょう。
例外的に過疎化した町に特定の企業や個人が支援していくケースがあります。代表的なのは福武書店のオーナーと手を組み文化的な観光施設を次々に作り、リゾート化した瀬戸内海の直島があります。
このようにしてうまくいったケースは稀ですが、今後縮小化していく町のあり方を考える上で参考にできそうです。例えば先端医療の町や、車いすでどこでも移動が可能な町、至る所に透析施設がある町、マイアミのような引退した富裕層が安全快適に過ごせる町、巨大な図書館が24時間利用できる町、大学と住人が一体となって講座や施設利用が自由な町、などなど。
先祖代々の土地やお墓を守りたいという気持ちは、今回震災にあって壊滅した東北の集落をみてもよくわかりますが、生活や安全の面だけでなく、潤沢にあるわけではない税金を、国民に公平に使うためにも、従来の土地にしがみつくのではなく、将来に向けて既存のインフラを出来る限り活用しながら、新しいコンパクトな町作りに協力していかなければならないでしょう。
いずれにしても歴史や由緒ある村や町の名前が消えてしまうのは、日本人として悲しいことですが、それらを維持、管理し、町おこしをしていくには現状では多額の税金を使うことになり、それでも住人がいなくなれば自然消滅してしますので、無理して救済するよりは、住みやすい都市部への移住政策を進めていくほか仕方がないのではという結論です。
【関連リンク】
702 アマゾンジャパンは国内の小売り業を破壊するか?
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677 2013年の休日と国民の祝日について
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616 ガソリンスタンドの経営が厳しいと言うことはわかるが
578 外国人研修制度という名の移民政策
425 棄民政策は日本の伝統か
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706
東北の被災地や過疎の集落がテレビで放送されると目につくのは高齢の人ばかりです。風光明媚な観光地へ出掛けると、そこで見られる光景はやはり高齢の旅行 客ばかりです。
海外旅行中に事故や事件に巻き込まれてしまう日本人に高齢者が多いのも、旅行者に占める高齢者の割合が高くなっているからでしょう。
仕事を引退し、子育てを終え、退職金で少し蓄えもできたので、時間もあるのでゆっくりと観光地巡りでもというのは微笑ましくていいのですが、そのような人が最近は半端なく多いことに気がつきます。
こ れほどまでに日本の人口に占める高齢者の数が増えてきたのにはいくつか要素があるわけですが、その中でも大きいのが平均寿命の伸びでしょう。
1950年代 の日本人の平均寿命は60歳を少し超えたぐらいでした。それから50年後の現在2010年代には80歳を超えているわけですから、20歳も平均寿命が延び ているわけです。そりゃ街で見掛ける高齢者が多いはずです。
平均寿命が延びたのは予防を含めた医療技術の進歩や、効果の高い新薬の開発が 進み、医薬品が手に入りやすくなり、緊急救命体制も整い、さらに食品などの環境衛生面が整備され充実してきたことなどが上げられると思いますが、逆に過去 50年のあいだに20年も寿命が延びたことによる問題もいろいろと出てきました。
年金や高齢者雇用問題、高齢者が半数近くを占める生活保護受給、家族に負担が大きい寝たきりや痴呆患者の介護なども高齢化ゆえの問題と言ってもよいでしょう。
以 前にも書いたことがありますが、日本の人口構成推移を予測したデータがありますので、それをグラフ化してみました。
実績値は国勢調査、2015年以降の予 測値は国立社会保障・人口問題研究所出典の「日本の将来推計人口集計」から出生・死亡とも中位の仮定による推計値を使いました。
まずは、2010年(現在)から50年後の2060年まで人口構成がどのように変化していくかを5年ごとのグラフで表しています。
緑色の14歳以下人口は年々着実に減っていき2010年1680万人(平均1年に112万人出生)から2060年は791万人(同53万人出生)と現在の 半分以下となります。
少子化対策と口では言っていますが何一つ成功したものはありません。と言うか、日本の未来を考えると人口は減らす方向で、少子化対策 は本気ではやりたくないというのが国の実際のところでしょう。
次に青と紺色で示した労働力人口(15~64歳)は2010年の約8100 万(7099万+1003万)人から2060年には4418万(3848万+570万)人まで45%減するとの予測です。
働く人が半分に減ってなお経済成 長させるためには、労働者が今の2倍以上働いて2倍以上の生産性を上げなければならないと言うことですね。
3色の茶色で示した65歳以上の高齢者はすでに十分多い2010年で2925万人ですが、2060年には3464万人と18%以上上昇すると予想されています。いまちょうど若手と言われている20代半ばの人が、65~70歳の定年で引退する頃の話しです。
高齢化率は65歳以上人口が全体人口に占める割合のことですが、その推移をピンク色の折れ線グラフで示しています。
2010年は22.8%ですが、50年後には39.9%と一直線に上がり続けていくことになりそうです。
65歳以上高齢者が全体の1/3を超える33.3%になるのは2030年代半ば頃と推定されます。およそ20年後のことです。
現 在よく使われている「限界集落」というのは、「高齢化が進み、共同体の機能維持が限界に達している状態」のことですが、それが65歳以上がその地域人口の 50%を占める場合の時です。
2060年、日本全体で人口の約40%が65歳以上というと、学校や企業が集まる一部の中心都市以外では、ほぼすべてが限界 集落化している状態と言ってもよいでしょう。
今までは拡大するのが当たり前だった市街地は、これから縮小し、さらに集約化へと向かっていくのでしょう。市 町村合併がこれからも加速しそうです。
そしてこうした高齢化傾向はいったいいつまで続くのでしょうか。
次のグラフは、 1950年から2060年まで90年の長期間、実際に就業すると思われる20歳から64歳までの人数(現役世代)と、引退した65歳以上の人(高齢人口) だけを抜き出したものです。また引退した人1名につき現役世代が何名で支えるかを折れ線グラフで表しています。
1950年頃は現役世代10名で一人の高齢者を支えてきましたが、その後一気に下がり、1990年には現役5名、2010年は2.6人、東京にオリンピッ クを誘致している2020年には1.9人、2060年には現役1.2名で1名の高齢者を支えることになると予測されています。
そりゃいくら日本の年金シス テムが世界に誇る素晴らしいものだとしても、それを支える人がこれだけ減ると制度の存続は不可能でしょう。
実体数で見ると20歳~65歳 の現役世代がもっとも多かったのは2000年頃で、その後減少していきます。一方65歳以上の高齢者人口がもっとも多くなるのは今から27年後の2040 年頃です。現役世代が減り始めたのと高齢世代が減り始めるのに40年もの時差が発生しているわけですね。
以上のことから考えると、今後ど のような少子化対策を出していくかはわかりませんが、少なくともこの人口構成推移予測を見る限り、高齢化に歯止めがかかるのは今から47年後の2060年 頃までは続きそうです。
それまではこの国に内需の成長は望むべくもなく、あるとすれば、医療、健康、福祉の先進大国を目指すぐらいしか思い浮かびません。 それすらできるかどうか未知数です。
そういう状況にかかわらず、都会よりもずっと早く過疎が進み人口が減っていく地方に、インフラを含め多くの公共事業のため、増税までして都会で集めた税金を際限なくつぎこもうとするのは、どう考えても納得いきません。
私は人口減少の中でもひたすら成長を求めたい派ではありません。しかしこれから有効にお金を使うべきは、
・アップルやGoogle、Amazonなどのような新しい価値を生み出す事業や起業家を育てて支援すること
・日本が得意としてきたIPS細胞などバイオ、メディカル、エレクトロニクス技術で活躍できるエキスパートを育てること
・事業家や研究者を海外から日本へ招き入れ、日本で仕事や研究をしてもらうこと
・高齢者が活用できる体力に負担の少ない仕事やボランティア事業を数多く作り出すこと
・準限界集落など過疎地の移転と集約を進め、安全で快適な生活が送れる新しい町作りをおこなうこと
・多くの外国人留学生を受け入れ、日本人と交流する機会を増やし、日本人にグローバル意識を根付かせること
・農業や畜産業の大規模化、野菜工場など農林水産業を未来の有望産業にしていくこと
・高度先進医療と保養、観光ビジネスを組み合わせ、世界の富裕層の来日や移住を促すこと
などと考えています。
同時に古くから残っている利権や既得権益に寄りかかる業界団体や組合をバッサリ切り捨て、大幅な規制緩和を進めていくべきではないかと思うわけです。旧来の政治家のもっとも手を付けたくない苦手とすることでしょうけど。
【関連リンク】
自分の終焉をどう演出するか
旺盛な高齢者の労働意欲は善か悪か
小売ビジネスはどこへいくのか
決して他人事ではないので、認知症高齢者患者の急増が気になる
人口が減るのもいいんじゃない
仕事を引退する時、貯蓄はいくら必要か
老人虐待と介護の問題
年金受給年齢の引き上げと高齢者雇用
教員の高齢化について
定年後にどう生活していくか
高齢者向けビジネスの実態
労働力人口から見る日本経済の今後とは
元気な高齢者はいつまでも働くべきなのか
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687
先月の同じ日に掲載された日経新聞のふたつの記事を複雑な思いで読みました。
ひとつ目は、
「団塊まだまだ働く、人口減の影響緩和、65~69歳就業率アップ」
ふたつ目は、
「高齢者の労働意欲、先進7ヵ国で首位」
なぜ複雑な思いをしたかと言えば「高齢者がいつまでも元気に働く」というのは表面上素晴らしくいいことのように思えてきます。
健康を害して医療費補助、寝たきりになって介護費用などの増大が見込まれている中で、働くと言うことは国にとってはありがたいことのようにも思えます。
しかし団塊世代(現在64~66歳)は、別名「逃げ切り世代」とも言われていますが、団塊世代以上の人達は、高度成長期からバブル時代を経験し、その現役時代の多くは右肩上がりのいい時代を送り、退職金もそこそこ、年金も60歳から満額支給され、今や65歳以上世帯の平均で現金性預金額は約2300万円(総務省統計局2011年調査)に達し、それとは別に動産や不動産なども所有しているという世界の中でも稀なリッチ世代です。
そういうリッチな高齢者が、いつまでも現役で頑張るというのは、上記の医療負担などの削減や今後何十年と労働人口が減少していく中での労働力確保という観点ではよいことかもしれませんが、恋愛や結婚、子育て、巣作りなどで多額の消費をする若い層ではなく、もうすべてが上がりの高齢者がこれ以上いくら稼いだとしても、それが市場に環流されることはほとんどなく、消費は伸びず、したがって景気は上向かない現状となにも変わりません。
藻谷浩介氏著の「デフレの正体」に詳しく書かれていましたが、日本は国内市場において人口構成上間違いなく縮小していくわけですが、国の政策として年金支給時期を遅らせたいがためとはいえ、雇用延長を引き延ばして労働力(頭数)を当面維持していこうというのがまるでわかりません。
そんなことしたら縮小経済の中で一人当たりの平均収入が減るのは当たり前で、しかも一番お金を使ってくれる、必要とする若い人に回らず、加速度的にますます経済は冷え込んでいくことになります。
「国内はダメでも海外の需要があるじゃないか」という人がいるかもしれませんが、国際競争する商品は日本で製造していては勝てないことは明らかで、国内に多くの労働者はもう必要ありません。
いまこそ数千万円もの預金と年金がある人には、早く仕事を引退してもらい、使う側にまわってもらうほうへ移ってもらうべきではないでしょうか。
仕事よりも自分のライフスタイルを優先したいと考える今の若い人達から見ると「ものすごく裕福でありながら、なぜその歳になってまで仕事に執着するの?」と思うでしょう。
そして調査によるとおよそ1/3の企業が、定年退職者の雇用延長の法制化を受けて、若年層の採用を控えると答えているように、高齢者がいつまでも職にしがみつくことで、そのとばっちりは必然と若い人へと向きます。
前述の記事の中には、人材コンサルタントが団塊世代の人達がいまなお仕事を求める理由として「生活のためという切迫感はあまりなく、『経験を生かしたい』『時間を持てあましている』というのが多い」とありました。
正社員の道が閉ざされ、非正規社員やフリーターとして働くしかない多くの若い人達がそれを聞くと、心情穏やかでは済まないでしょう。
ま、非正規社員やフリーターとして毎日安い給料で働く若い人が、日本経済新聞をジックリ読むことなどあまりイメージできないので、その心配は無用なのでしょうけど(もしいらっしゃれば、その方はやがてデキると認められてまもなく正社員へ登用されるでしょう)。
合わせて、もうひとつの記事、世界の高齢者の労働意欲調査についてです。
それなりの資産や年金があれば、55歳~60歳のうちに仕事から引退して、夫婦で老後をエンジョイしようと考える人が先進国には多いのですが、日本人は真面目なのか、仕事人間だったので他になにもすることがないのか、家にいる生活が耐えられないのか、仕事を辞めると社会から締め出されたような気がするのか、なんでもいいから肩書きが欲しいのか、様々な理由が考えられますが、働き口さえあれば、まだまだ働き続けたいと考える人が多いようです。
年金がもらえなかったり、少なかったり、かつ子供からの支援が受けられない場合は、日々の生活費を稼ぐために高齢になっても働かなければならないのは理解できますが、前述の通り不動産以外に数千万円の現金性預金を持つ高齢者は生活のためではなさそうです。
もし生活のためであったとしても、それは「年金が減らされたら」「大きな病気をしたら」というような漠然とした将来の不安が大きいのではないでしょうか。
私などは、引退してもいいのなら(住宅ローンの支払がなく、それなりの最低限の資産や年金があれば)、喜んでいつでもさっさと仕事から引退して、自分の好きなことをして毎日過ごせる自信があります。言ってみれば子供と同じでお金はほとんど使わずに毎日でも遊んでいられます。
働いているときはタクシーに乗ったり、新幹線で移動したり、高額なハイシーズンの時期に旅行したり、加工された部品を買ったりと「金で時間を買う」ことをよくしましたが、引退後はそのような時間の心配をする必要がなく、何をするにしても自分の知恵と労働とそれにかける時間がたっぷりあります。
新しくなった政府も、そのような高齢者が持つ預貯金をどうにか引き出させて、市中に流通させられないかと学者を集めて知恵を絞っているようですが、将来の年金制度や医療制度に不安がある限り、そう簡単にはいかないでしょう。
最終的には使い切れず、子供や孫に遺産として引き継がれていくので、あと20~30年もすれば吐き出されてきますので、それを待つしかないでしょう。
そしてそれら親からの遺産を相続できる人達と、できない人達のあいだで今以上の大きな格差ができるでしょう。
その格差をなくすには相続税を90%以上にすればいいのですが、その法律を作る政治家が、親の遺産をあてにしている二世や三世ばかりですから、ずっと苦学してきた橋下氏のような政治家以外は自分の首を絞める政策をおこなうはずがありません。
提案というわけではないですが、まず
(A)貯蓄や親の遺産などたっぷり資産を持っている人は55歳で早々に仕事から引退してもらう。(B)年金は規定の期間以上納め、老後はその年金だけで生活しようとする人は60歳まで懸命に働き年金をしっかり納めてもらう。
(C)過去に規定年数の年金を納めてこなかった人は規定に達するまで懸命に働いてもらう。
というように資産や年金支払い状況に応じ引退時期を分け、それぞれ年金支給時期や年金支給額にも差をつける。
(A)は早く引退したが資産があるので10年間はそれを使ってもらい年金支給は65歳からで年金支給額は他より多い。(B)は60歳から支給されるが支給額は普通。(C)は70歳から年金は支給されるが年金の納付期間や額により年金額に差異がつく。とか。
(A)なのに56歳で働くことは原則禁止。国や自治体から特定に認められた不足している専門職ならば認められる。
ちなみに(A)~(C)とも短期間アルバイト・パートなら、引退後も働くことは可能。でも経営者やフルタイムの正社員、公務員、議員、職員などにはなれない。など。
ま、なにをそうしても不公平さが残る年金と中高年以降の雇用問題について、半分ふざけて考えてみました。
【関連リンク】
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例えばスマートフォーンの普及。中高年にどっぷりつかっている私には、たかがネットが見られる携帯電話ごときに毎月8千円も9千円もほぼ永遠に支払い続けるなんてアホらしいことはできません。
しかしいま若者の多くは携帯電話といえばスマホがディフォルトになっていて、家でもスマホ、会社でもスマホ、電車の中でもスマホ、歩いていてもスマホと、自転車に乗りながらもスマホ(危ないからやめなってば)、1日の中でスマホの画面を見ている時間の合計を出すと、おそらくテレビや新聞、読書、人との会話などを押しのけて、堂々トップになると推測ができます。
つまり若者の多くは月々8~9千円するスマホ料金は、それから得られる恩恵からすると、さして気にならないということでしょう。
一方、家族のためにも必死で働く中高年者はというと、
・この先いつまで働けるのか?
・今の給料はあと何年維持ができるのか?
・退職金はちゃんと出るのか?
・年金はどうなるのか?
・元気に働けるだけの健康は保てるのか?
・子供は私立ではなく公立へ行ってくれるのか?
・子供は正社員として就職ができるのか?
・親の介護はいつから必要となるのか?
・介護費用は毎月どのぐらいかかるのか?
・自宅の修理やリフォームにいくらかかるのか?
・住宅ローンの返済額が金利上昇で増えはしないか?
などと、切実にまもなく確実にやってくる(すでにやってきている)お金の心配をしなければなりません。
もしスマホに毎月プラス7000円(ガラ携の最低料金との差)の費用を負担することを考えると、躊躇わずにいられません。7千円×12=8万4千円 8万4千円×5年間=42万円(5年間の差)です。
働いてきた時期のほとんどが右肩上がりで、その集団と団結力故に政治を自分たちに有利に動かす原動力となってきた団塊世代(現在65歳付近)以上は、退職金や年金は満額を受給することができ、それなりの蓄えがありますが、その世代以降は、そうした恩恵はもうなくなりはじめています。
したがって、この中高年世代(40~60歳)は、決して若者に負けず劣らず貧しい思いをして、さらに近づく将来への危機を募らせています。
今の20代の若者には自分が60歳70歳になったときのことなど、まだ遠すぎて想像もできませんが、今の中高年者には年老いた親の介護のこともあり身近なことです。
一人っ子同士の結婚ならば夫婦二人で4人の介護をしなければならないかも知れません。
可処分所得というものがあります。例えば20代の若者が実家に住み勤めに出て給料を25万円もらっているとします。
実家には5万円を入れても残り20万円+ボーナスが可処分所得となります。つまり自分が自由にできるお金です。もし1人住まいで家賃8万円(共益費込み)のアパートに住んでいたとすると、17万円+ボーナスが可処分所得です。
同様に50代の男性の場合、50万円の給料で若者の倍額をもらっているとします。しかし住宅ローン返済に12万円、4人家族の生活費(食糧品、生活用品、水道光熱費など)に25万円、子供の教育費6万円(1名私立高校)、自宅の税金や修繕積み立て金に月平均2万円とすると可処分所得は5万円しか残りません。
その中から家族の携帯電話代や衣料、交際費、医療代などを工面することになります。
さらに上記の条件の中、子供が二人とも同時に私立高校や私立大学へ通ったり、親の介護のために夫婦どちらかが仕事を辞めざるを得なかったり、家族の誰かが大病を患ったりすると、もう家計は破綻寸前でしょう。
それらを比べると若者と中高年、どちらが貧しいか一目瞭然です。
そのような危機に直面している中高年に対し、少し前のNHKの視聴者参加討論番組で「今すぐ年功序列を廃止し、もらいすぎの中高年の給料を下げて若者に回すべき」という若者の発言がありました。すぐさま50代の人が「自分達の若いときには『若いうちは給料は安いけどだんだんと上がっていくから』と言われ、それで今まで我慢してやってきたのに」という反論がありました。それが本音です。
若者の場合、昔であれば、衣食住を除くとレジャー用のマイカーに毎月数万円を散財していたり、国内や世界を見て歩くため、あるいは将来マイホームを買うため、さらに先の結婚資金のため、住宅財形や定期預金をして貯蓄をする人が多かったのですが、現在ではそれらの目的は大幅に減少し、スマホの支払いが最大(2年縛りの契約で計22万円)です。
さらにスキルアップのために自分への投資、その他はスポーツ(観戦含む)など比較的軽いレジャーへの出費へと変わってきています。
そう考えると若者が他の欲しいものを我慢してでもスマホへ投資するという行動が少しは理解ができます。
ただもう少し深く考えてみると、それでなくても昔から独創や変化より社会的に単一志向、保守傾向が強い日本人に、スマホという便利なツールが若者の必須アイテムとなりつつあるのは、なにか危険な香りがしないでもありません。ちょっと大げさかも知れませんが。
太平洋戦争は、当時国民の唯一の情報源だった巨大新聞社が、購読数を伸ばすために国民を煽って政治や軍部に圧力をかけ開戦へ向かわせたことはよく知られています。
その当時の巨大新聞社が果たした役割を、今後はスマホでビジネスをする企業や、販売する携帯キャリア(DoCoMo、au、SoftBank)が握っていくことになります。
さらに国や巨大資本企業が、スマホをうまく利用して、国民に対し一斉に「右向け右!」と号令をかけるようなことが起きないと誰が言えるでしょう。
ま、それはともかく、自動車や若者向け住宅が売れなくなったのも、少子化が進み、結婚しない男女が増えてきたのも、時代の流れというよりも、若者の行動パターン、消費パターン、将来設計が大きく変わってしまったことによるのでしょう。
つまりもっと若者に買って欲しいというトヨタ86のライバルは、ホンダCR-Zでもなければ、マツダロードスターでもなく、DoCoMoやiPhoneなのです。
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