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ガダラの豚 (集英社文庫)
著者は数多くの小説やエッセイなどを書き、その他にも広告関係、バンド活動、放送作家など多様な才能を発揮していた方ですが2004年に52歳の若さで亡くなっています。
著書は今までに読んだことがありませんが、新聞に掲載されていた「明るい悩み相談室
この小説は1993年に単行本が発刊され、その後1996年に文庫化されている長編小説で、テーマは呪術とマジックの境界言っていいでしょう。
日本でも昔から恨みを晴らしたいと「丑の刻参り」という風習があったり、安倍晴明などで有名な陰陽道など、呪術に近い風習が科学万能の現代でもよく知られています。
主人公はそうした呪術の専門家で、特にアフリカで広く現在でも信じられ行われている呪術や妖術の研究者でもあります。
奇術師や超能力者と一緒にテレビ出演をしたことがきっかけとなり、主人公はテレビ局の撮影隊をともなって再びアフリカの地へ家族と共に向かうことになります。以前アフリカへ調査に行ったとき、幼い子供を熱気球の墜落という事故で亡くしています。
そしてそのアフリカの奥地で見つけたものは、、、という流れで、あとは読んだ人だけのお楽しみです。
ま、終盤はドタバタ劇になってしまい、ハチャメチャで都合の良い設定となっていますが、アフリカしかも都会から離れた奥地の村の様子など、日本人が知るよしもない住民の生活ぶりを知ることができて、そうした面ではなかなか興味深く読めます。
日本人がアフリカの都会から遠く離れた奥地に住む現地人と聞くと「土人がヤリを持って・・・」というイメージしかないでしょうけど、もちろんそんなことはありません。
また広大な自然の中では、自動車や医薬品、ミネラルウォーターなど、現代では当たり前にある便利なモノがなければ、日本人はただ呆然、自然界にほっぽり出された赤子同然、にっちもさっちもいかないという現実に気がつかされます。
タイトルは聖書のマタイ8章31節にあるガダラ地方(イスラエル北部と推定)を訪れたイエス・キリストが、悪霊を豚に封じ込めるという話しからとられています。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
人間の幸福 (幻冬舎文庫)
1995年に単行本、1998年に文庫版が発刊された長編ミステリー小説です。著者の作品の中では、こうした殺人事件にまつわるミステリーというジャンルは珍しいかも知れません。
主人公は平凡な中年サラリーマンですが、妻に内緒で関係を持ったクラブホステスに毎月5万円を援助しています。
その愛人がなんと主人公が住む同じ賃貸マンションへ引っ越してきます。
まず平凡なサラリーマンなのに愛人へ月5万円出費しているのがずっとバレずにいるというのはまず不可能ですね。
さすがにまずいと思って何度も別れようと考えますが、死んでやると脅されたりして、なかなかそのきっかけがつかめません。
そうこうしていると、マンションの前で隣の一軒家に住む口うるさい主婦が何者かに撲殺されたのが発見され、日頃からその主婦と口喧嘩が絶えなかったマンションの住民に疑いの目が向けられます。
さて主婦を殺した犯人は誰で、原因は何か?というのがその後だんだんと明らかになっていくわけですが、殺された主婦に反感を持っている人の数が多く、しかも主人公を含めアリバイがない人も多くいます。
主人公を中心として人間関係にも凝っていて、次々と出てくる出てくる人物の誰もが怪しく感じられるのは著者の筆力のなせる技で、どんでん返しのような大技こそないけれど、読み応えは十分な面白い作品でした。
それにしてはタイトルがあまりに平凡すぎって気もします。
あと、この本は1998年に文庫版が発刊されてすぐに購入し一度読んでいました。19年前のことですからタイトルをすっかり忘れていても仕方ないと思いますが、通常なら読み始めてすぐにこれは・・・って気がつくのですが、最後までまったく気がつきませんでした。
それにしても小説を最後まで読んでも再読に気がつかなかったことは、ちょっと老化というか健忘症が始まっているのか?と不安になっています。あーやだやだ。
★★☆
◇著者別読書感想(宮本輝)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
塩分が日本人を滅ぼす (幻冬舎新書)
2016年発刊の新書で、著者は医学博士・管理栄養士という肩書きと、NHKなどの番組出演、自治体の講演会に呼ばれたなど、それらがなによりも自慢なのでしょうか、本書でも大いに触れてあります。いやいやご立派なご経歴です。
ま、肩書きはともかく、書いてあることは至極もっともなことばかりで、醤油やソースをダボダボにかけないと気が済まない塩分好きな私としてはかなり耳が痛いです。気の弱い人ならそのまま胃痛になってしまうかも知れません。
子供の頃には親から「そんなにソースをダバダバかけていたら胃ガンになるから!」と日々脅されていましたが、その反抗心も手伝って成長してからは輪をかけて醤油やソース、マヨネーズ、ケチャップをかけまくっています。いやホント耳が痛いこと。
ま、そういう事情で、前から年齢を考えるとそろそろ塩分については気をつけないとなと思ってましたから、この手の本を手に取った次第です。
塩分をうまく減らしていく方法なども書かれていて、これからそれなりに実践していこうかなという気にさせます。今のところ人間ドックでは特に異常値は見つかっていませんが、できれば生きている間は薬や透析に頼らず、元気に暮らしたいものです。
しかし一方では「日本人には塩が足りない!
ただしこちらの本の著者は「塩を売る側の人」ですので、「塩は身体に悪い」「塩を摂りすぎてる」とは死んでも書けないのでしょう。読んでみたい気もしますが買うほどの興味はありません。
同様に、「長生きしたけりゃ肉は食べるな
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
メランコリー・ベイビー (ハヤカワ・ミステリ文庫)
女性の私立探偵サニー・ランドル・シリーズの第4作品目にあたり、2004年に発刊され、2005年には日本語翻訳版が出ています。著者は2010年に78歳で亡くなっています。
パーカーと言えばボストンの私立探偵スペンサーシリーズが有名ですが、翻訳されている39作全てを3年前に読み終えているので、仕方なく著者の作品ではその他のシリーズや単発モノに手を出しています。
◆ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 2014/4/12(土)
この女性私立探偵もスペンサーシリーズと同様、ボストンで開業している元警察官で免許持ちの私立探偵です。早く行ってしまえばスペンサーの女性版ですが、スペンサーのハードボイルドに対し女性らしく少し繊細なムードを醸し出しています。
ただ読んでいるとどうしても女性作家が描く女性の主人公ではなく、マッチョな男性作家が描く女主人公という香りがして、どうもスッキリと入っていきません。
スペンサーシリーズのパーカーが書いているという前提が影響し、邪魔をしているのかもしれませんが。
ストーリーは様々な言動から自分の親は実の親ではないと考えている女子大生が探偵の主人公のところにやってきて、調査を依頼します。
日本なら戸籍謄本でも見ればすぐにわかりそうですが、アメリカはどうなんでしょうね?いきなりDNA検査になるのには驚きました。
両親がDNA検査を断るので、周囲の調査を進めていくと邪魔が入ったり、ついには殺人事件が発生します。
これはますます怪しいとのめり込んでいきますが、当事者の女子大生は自分が疑問を持ったせいであれこれ不幸が起きていることを知り調査の中止を希望します。
それでも中途半端には終わらせず、とことん追求し、殺し屋の探索や女子大生の出生の謎に迫っていくという物語です。依頼主が中止を何度も言っているのに、強引に調査を進めていくなんか、普通ではちょっと無理があったりします。
あとスペンサーシリーズでお馴染みの精神科医のスーザン・シルヴァマンやロス市警のフランク・ベルソンなども登場してくるのはご愛敬でしょうか。
★☆☆
◇著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)
【関連リンク】
1月前半の読書 怒り(上)(下)、月は怒らない、人間にとって成熟とは何か、ガソリン生活
12月後半の読書 帰ってきたヒトラー(上)(下)、ストーリー・セラー、7割は課長にさえなれません、家族八景
12月前半の読書 デパートへ行こう!、ローカル線で行こう!、おまえさん(上)(下)、下鴨アンティーク アリスと紫式部
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1093
今回で5回目となりますが、1年間に読んだ書籍(小説、新書、ビジネス書など)の中から、当ブログ管理人が独断と偏見によりベストを選ぶシリーズです。質問や苦情などは一切受け付けておりません。
繰り返して書いておくと、私は基本的に新刊本は読みません。小説なら文庫化された後の本で、中には古典に入りそうな古い本も読みます。なので、今年の1番と言っても今年発刊された書籍の1番ではなく、たまたま私が今年読んだ中での1番という意味ですのであしからず。
過去のベスト書籍選出作品
◆993 リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍
新書、ビジネス書、エッセイ部門 「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率」浅川芳裕
外国小説部門「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン
国内(日本語)小説の2015年ベスト「屍者の帝国」伊藤計劃×円城塔
次点「恍惚の人」有吉佐和子
◆886 リス天管理人が選ぶ2014年に読んだベスト書籍
ビジネス書、エッセイ、ノンフィクション部門「冷血」カーポティ
海外小説部門「卵をめぐる祖父の戦争」デイヴィッド ベニオフ
日本の小説部門「東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー
次点「親鸞(上)(下)」五木寛之、「二人静」盛田隆二
◆784 リス天管理人が選ぶ2013年に読んだベスト書籍
新書・ビジネス書大賞「該当なし」
ノンフィクション・エッセイ部門「三陸海岸大津波」吉村昭
外国人作家部門「緋色の研究」アーサー・コナン・ドイル
日本の小説部門「東京セブンローズ(上)(下)」井上ひさし
次点「写楽 閉じた国の幻」島田荘司
◆676 2012年に読んだ本のベストを発表
新書部門第1位「大往生したけりゃ医療とかかわるな」中村仁一
外国作品賞「パイレーツ―掠奪海域―」マイケル・クライトン、「歩く影」ロバート・B・パーカー
読書大賞「あかね空」山本一力
次点「神様のカルテ」夏川草介
審査員(=私)特別賞「血と骨」梁石日
2016年に読んだ書籍は、ビジネス・新書・エッセイが14冊(13%)、海外翻訳小説は12作品16冊(15%)、日本人作家の小説は65作品79冊(72%)で、合計91作品109冊でした。各ジャンルの割合は一昨年のそれとほぼ同じです。
1年で冊数を割ると1冊当たり読むのに3.4日となり、1ヶ月平均9.1冊となりました。2015年は107冊でしたから昨年は2冊だけ増えました。実質横ばいってことです。
さて、まずは「新書、ビジネス書、エッセイ部門」から見ていきます。
2016年に読んだ14冊の中から候補作を選ぶと下記の通りです。
「20歳からの社会科」明治大学世代間政策研究所
「ビッグデータがビジネスを変える」稲田修一
「退職金貧乏 定年後の「お金」の話」塚崎公義
「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」藤田孝典
「7割は課長にさえなれません」城 繁幸
「残念な人のお金の習慣」山崎将志
「他人を攻撃せずにはいられない人」片田珠美
この中から、大賞に輝いたのは、、、、、ドコドコドコドコドコドコ♪
パパーン!
「20歳からの社会科 (日経プレミアシリーズ)
に決定!!おめでとうございます。受賞作の著者が個人ではなく研究所というのは初めてです。
60近くになって「20歳から・・」とはちょっと恥ずかしい気もしますが、十分に役立ち、楽しめる内容となっています。もちろん若いときに読むのが本当はよいのでしょう。タイトルからわかるとおり、若い人に向けた話しも多く、年配の人にはちょっと耳が痛い話しも出てきますが、そこは大人の対応で理解しましょう。
感想は、
1056 9月前半の読書と感想、書評
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次は「外国小説部門」です。12作品の中から候補作を選ぶと、
「帰ってきたヒトラー(上)(下)」ティムール・ヴェルメシュ
「風の影(上)(下)」カルロス・ルイス・サフォン
「オリーヴ・キタリッジの生活」エリザベス・ストラウト
「ティファニーで朝食を」トルーマン カポーティ
「存在の耐えられない軽さ」ミラン・クンデラ
「犯罪」フェルディナント・フォン・シーラッハ
「日の名残り」カズオ・イシグロ
「ザ・ロード」コーマック・マッカーシー
あたりでしょうか。
どれも私的には一押し二押しでお勧めできますが、あえて大賞を選ぶなら、、、
ドコドコドコドコドコドコドコ♪
パパーン!
「ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)
に決定です!親子の長い長い絶望的な旅が泣けてきます。
日本の安っぽいテレビドラマや小説によく出てくるような、大人よりも活発で物知りで小賢しい子供が出てこないだけでも救われます。そのうちこれを原作とした映画も見てみたいと思っています。きっと泣くだろなぁ、、、
読書感想は、
1030 5月後半の読書と感想、書評
からどうぞ。
その他では「日の名残り (ハヤカワepi文庫)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
最後に「国内(日本語)小説部門」です。こちらの作品は多くて65作品あります。その中からまず大賞候補作品は、
「折れた竜骨」米澤穂信
「新世界より(上)(中)(下)」貴志祐介
「小説 上杉鷹山(上)(下)」童門冬二
「放浪記」林芙美子
「三十光年の星たち(上)(下)」宮本輝
「海賊と呼ばれた男(上)(下)」百田尚樹
「月と蟹」道尾秀介
「ローカル線で行こう!」真保裕一
「魍魎の匣」京極夏彦
「八甲田山死の彷徨」新田次郎
「埋み火」日明恩
「おまえさん(上)(下)」宮部みゆき
「シューマンの指」奥泉光
「ロスト・ケア」葉真中顕
「沈黙のひと」小池真理子
などです。
難しいですね、、、、でも選ぶのです。
発表しま~す!
ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ♪
パパーン!
大賞は、大賞は、大賞は!
「八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)
1971年(昭和46年)単行本発刊、1978年文庫版発刊という45年も前の作品で古くてすみません。
事実に基づいた迫力のある小説で、健さん主演の映画も良かったですが、結末がわかっていながら読む小説は、3時間半の長い映画でも表現しきれない正確で精密な描写など新たな発見などもありとてもよかったです。
1年半前にはこの小説の舞台となった八甲田山の近く(十和田湖、奥入瀬)へ旅行しました。もしこの本をその旅行前に読んでいたら、躊躇うこともなく八甲田の慰霊碑へ寄り、旅行のルートが大きく変わっていたでしょう。それぐらいのインパクトがあります。
感想は、1056 9月前半の読書と感想、書評
そして国内本の大賞と並ぶ次点には、
「小説 上杉鷹山(上)(下)(人物文庫)
こちらも1983年(昭和58年)初出の古い小説です。やはり名著は何年経っても残っていきます。最初は江戸時代のひとりの殿様の伝記小説なんて退屈きわまりないかなと、購入した後もなかなか手が出せずにいましたが、読み始めると時代の波にもまれ、波瀾万丈、小説としてもエンタメ要素がたっぷり盛り込まれていて十分に楽しめました。
大賞、次点には届きませんでしたが、敢闘賞として、
「折れた竜骨 (創元推理文庫)
「シューマンの指 (講談社文庫)
の2作品を挙げておきます。
この2作品も読んで損はありません。
以上、「リストラ天国管理人が2016年に読んだベスト書籍」の発表の実況中継を東京會舘からお送りいたしました。それではスタジオへマイクをお返しします!
今年も面白い本に出会えますように!
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怒り (中公文庫)
2012年から2013年にかけて読売新聞に連載されていた小説で、2014年に単行本、2016年に文庫化されました。
また2016年には李相日監督、渡辺謙主演で映画も公開され、妻夫木聡と綾野剛のゲイの絡みシーンなど話題が豊富な作品でした。
どういう内容かはまったく知らないまま小説を読みましたが、簡単に言えば犯罪ミステリー小説で、八王子で起きた夫婦殺害事件の容疑者と疑わしき男が、千葉、東京、沖縄の離島の3カ所に同時に現れ、読者をミステリーの中に引きずり込んでいきます。
千葉の漁協にアルバイトとして働きにきた無口な男性、東京のはってん場でゲイの誘いに応じた宿無しの若者、沖縄の離島で隠れるように暮らしているバックパッカー。その3人を映画では、松山ケンイチ、綾野剛、森山未來が演じています。さて追われている殺人犯人は誰でしょう?
ってことで、犯人を公開捜査で追う刑事、それぞれの男達と関わり合う人達、3カ所で様々なドラマが展開されていくのがとてもスリリングで味がありよい出来です。
タイトルは、犯人が殺人現場に書き残したメッセージですが、それはストーリーには関係がなく、内容とも結びつかず、ちょっとこれはミスリードかなって感じ。他によいタイトルはなかったのでしょうか。
そう言えば、この犯人の逃走劇では、「整形手術」「ほくろ除去」「建設会社の住み込み労働」「離島での自給自足」など、「リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件」の市橋達也受刑者と一部かぶります。「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
月は怒らない (集英社文庫)
著者の作品では過去に「午前三時のルースター
この小説は、「戸籍係の女」を改題して2011年に単行本、2014年に文庫本が発刊されています。
タイトルは、この意味不明なものより、直接的な前の「小説すばる」に掲載時のタイトルのままのほうが良かったんじゃないかと勝手に思っています。
内容は、市役所勤務の地味な女性のアパートに、借金取立て屋の男、大学生、交番勤務の警察官の3人の男がそれぞれ癒しを求めにやってくるというたわいもない?話し。
女性も女性で、同時並行で3人と付き合い(肉体関係は二人だけ)、自分のことは誰にも知られたくないし、調べないという条件を付けるなど、なにか思わせぶりです。
調べるなと言われると調べたくなるのが普通なので、人の本性を知らない単なるお馬鹿さん?とも思えてしまいます。
ま、お馬鹿さんでも小説ですから、いいのですが、その3人が偶然!対決するシーンで出会ってしまう場面などがあり、やや内容的に無理が生じていたり、どうも作者の勝手が過ぎるなぁと残念な感じです。
今まで、素晴らしい小説を出してくれていただけに、ちょっとしばらくはお休みなのかと思っています。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
人間にとって成熟とは何か (幻冬舎新書)
著者は数多くの小説やエッセイを書かれている方で、現在85歳ながら90歳になる夫の三浦朱門氏とともに意気軒昂でなによりです。
50歳以上で、この夫婦の名前を知らない人はまずいないでしょう。
私は過去にエッセイの「「いい人」をやめると楽になる
もっと読んでいるかなと思っていましたが、週刊誌や新聞でコラムなどを読むことが多く、ちゃんと本を買って読んだのはこの二つだけでした。ちなみに夫の作品はまだ読んだことがありません。
著者自ら書いていますが、ご本人は天の邪鬼というのを自慢されているだけあって、かなり偏見の持ち主と言うことがわかります。
もちろんそれは有名人なら遠慮して言わないだけで、誰もがそうした異論や暴論を心の中には持っているはずですので、それを書籍として出すという勇気というか、このお年になればきっと怖いモノなしという感覚なのでしょう。
また偏見と書きましたが、偏見というのは見る角度によっては正論にも暴論にもなるもので、別にそれが差別や名誉棄損になるようなものでなければ何を言っても自由だとは思います。
そうした他人への批判が繰り返されたり、自分の仲間?についてはまるで聖人君子のように持ち上げたりと、好き嫌いの激しい人だなってことがよくわかりました。
最近はこうしたご老人が増えてきたのはいいことなのか、それとも世代対立を煽るだけなのか、よくわかりませんが、いろんな人の考えを知るという意味では勉強になります。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
ガソリン生活 (朝日文庫)
これはまた珍しいパターンで、主人公はマツダの意欲作でもあるデミオというクルマです。
2011年から2012年にかけて朝日新聞夕刊に連載されていた小説で、2013年に単行本、2016年に文庫版が出ています。
擬人法を使い、デミオやブルーバードなど何台ものクルマが登場し、それらの会話で物語を語られます。
舞台は仙台、ある時兄弟が乗ったデミオに、有名女優が現れて乗せたことから物語は始まります。
そのすぐあとに、その女優と不倫相手が乗ったクルマがパパラッチに追われてトンネル内で炎上事故を起こして死んでしまいます。
デミオに乗る兄弟とその母親と姉、女優のスキャンダルを追っていた雑誌記者、昔に埋めた遺体が工事のために掘り返されることを恐れる不良達、それぞれが様々な理由や行動原理で話は進み、それが徐々にひとつに結びついてくるって感じのドラマです。
でも主役はやっぱりクルマ達という現代的でチャレンジングな小説です。
★★☆
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12月後半の読書 帰ってきたヒトラー(上)(下)、ストーリー・セラー、7割は課長にさえなれません、家族八景
12月前半の読書 デパートへ行こう!、ローカル線で行こう!、おまえさん(上)(下)、下鴨アンティーク アリスと紫式部
11月後半の読書 折れた竜骨、心ひき裂かれて、刑事のまなざし、ピンクとグレー
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帰ってきたヒトラー (河出文庫)
2012年に発表された風刺小説で、日本語版は2014年に単行本、2016年に文庫版が発刊されています。またこれを原作とした映画が2015年に制作され、日本では今年2016年に上映されていました。見ていませんけど。
話しは2011年に公園近くで目覚めたヒトラーが、時代の変化に驚きつつも、理想とする国家作りに着手するため過去の経験を生かしながら現代のドイツでドタバタと活躍していく真面目なコメディです。
もちろん現代ならではの皮肉も豊富で、2015年には100万人以上の難民を受け入れたドイツですから、この当時から街の至るところでヒトラーの嫌いな外国人を見かけるようになってきた状況を憂います。
またプロパガンダが大成功を収めたベルリンオリンピックをそのまま踏襲した北京オリンピックという話し、ユダヤ人迫害の後、ドイツにはユダヤ人が少数になったことは自分の成果だと誇ります。
話しはずっとヒトラーの一人称で語られ、しかも心の中での発言が主となっています。もっと他の方法がなかったのか、この作家さんの限界なのか、ちょっと残念な感じ。
日本でも「君の名は。
それらの中でもやはり古典とも言えるのはH・G・ウエルズの「タイムマシン
アメリカの新大統領や英国のEC離脱など、オーストリアでも僅差で敗れましたが極右政党が伸ばしていたりと、世の中は外国人排除や民族、宗教、文化の排他的風潮が強まってきています。
そうした絶妙といえるタイミングに、風刺でコミカルな内容とはいえ、ドイツ帝国最高!アーリア人種は別格!ドイツへの移民政策反対!軍備拡張!というヒトラー礼賛の1930~40年当時の風潮と世界中が似てきていることに少し怖さを感じるような小説でした。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
ストーリー・セラー (幻冬舎文庫)
「阪急電車
最近の小説家というのは単に創造で文章を書けばいいと言うのではなく、いろいろとテクニックや工夫が必要そうで、たいへんなお仕事です。
SideAでは、主人公は小説好きな会社員の男性視点で、趣味で小説を書いている女性と知り合い、その後結婚、その妻の書いた小説がやがて売れ出していくが、同時に周囲からのねたみや中傷も増え、神経がまいってしまいやがて不治の病を発病、死期が迫っていくという物語。
SideBは、逆に作家になった妻の視点から書いた作品で、書きためていた小説の最初の読者であり最大の理解者であった夫が交通事故で入院。事故の怪我はたいしたことがなかったものの、同時に悪性腫瘍が発見されて死期が迫るという物語。
なかなかこうしたお互いを尊敬し合い、ツーカーの仲の夫婦というのは理想的でしょうが、あり得なそうで、なにか嫌みな感じが漂います。あまりにも作りすぎって感じで。
実際にはほとんどであろうドロドロした下心やあきらめ満載の夫婦関係の中で、どうやって折り合いをつけていくかという物語のほうがリアルで読んでいてもスッと入ってくるのだけど、若い未婚の人向けにはこうした夢をもたせる話しのほうがウケるのかも知れません。
★★☆
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7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想 (PHP新書)
「若者はなぜ3年で辞めるのか?
大筋を書くと、今の社会、特に会社の雇用の仕組みは戦後まもなく高度成長時代に向くよう作られたもので、今の低成長時代の若者や働きたい女性にとっては不利益な仕組みとなっているので、改善しなければならないというのが著者の主張です。
特に既得権益と言える正社員の特権をなくして、今で言うところの非正規雇用、パートや契約社員、派遣社員といった会社と正社員に都合がいい調整弁的な役割を排し、同一労働同一賃金を初めとし、雇用の流動性を高めていくという具体的な提言がされています。
著者は東大卒、富士通に入社して人事部へ配属という、エリートとして完璧な就職をし、階級の最上位を歩いてきた方ですので、皮肉ではなく、なかなか下々の都合や事情までは理解できていない面はあろうかと思いますが、実際にはこうした方が例え机上論であっても、正論を言うと政治家も耳を貸すしかなくなっていくのでしょう。
わかりやすく、地方都市での様々な人の雇用について、現在のパターンと、201X年に正社員の雇用特権廃止を目玉にした雇用関連制度の改正がおこなわれた場合のパターンとが書かれていますが、低成長というか成長もしない人口減社会において、同一労働同一賃金という社会主義的な政策で実際にはうまくいくとはとても思えず、一筋縄ではいかないなかなか難しい問題です。
もちろん今現在の雇用環境が正しいとは言いませんが、企業も生き残りを賭けて現行法律の下で(往々にはみ出ていますが)最適解を模索して作り上げてきた今のシステムを覆してしまうのは、これまた大きなリスクと混乱を伴うでしょう。
つまり、現行に閉塞感を感じているのでなにかしなくちゃいけない、っていう使命感を高ぶらせる効果はあるかもしれませんが、それが正しいかどうかについては個人個人また違うのではないかなと考えてしまいました。でも話の中身は決して悪くないです。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
家族八景 (新潮文庫)
1972年(文庫は1975年)の短編集作品で、「七瀬ふたたび
「七瀬ふたたび」とともに、過去何度もテレビドラマ化されていますので、そちらで知っている人も多いのではないでしょうか。
主人公の七瀬とは派遣で働く住み込みの家政婦で、短編の作品ごとにひとつの家庭の話しとなっていて、タイトルにある通り、8つの家族の物語です。
その主人公七瀬は人の心が読めるいわゆるエスパーで、それぞれの家庭の中に入ることで、家族の中にある根深い問題を知ることになります。
だからと言って、事態を好転するように努力をしたりそう仕向けるわけではなく、逆にそうした特殊なチカラを持っていることを隠すために興味がないフリをしたりと、いま思えば単なる覗き趣味の嫌な性格です。
70年代ってそうした他人のドロドロした部分に興味はあるけど、干渉はしたくないという、そういう身勝手が当たり前の時代だったのでしょうかね。よくわかりません。
市原悦子主演の「家政婦は見た!
短編はそれぞれ「無風地帯」「澱の呪縛」「青春讃歌」「水蜜桃」「紅蓮菩薩」「芝生は緑」「日曜画家」「亡母渇仰」とタイトルが付けられています。
1970年頃に書かれた作品ということもあり、現代とはだいぶんと生活の様子が違うだろうと思って読み始めましたが、こと家族というか家庭の姿というのはこの40~50年経過したあとでも、ほとんどなにも変わっていないんだなということがわかって意外でした。
もっとも住み込みの家政婦を雇えるというのは、当時も今も特定の富裕層だけで、私を含め下々の生活者とは縁遠いのですけどね。
★☆☆
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11月後半の読書 折れた竜骨、心ひき裂かれて、刑事のまなざし、ピンクとグレー
11月前半の読書 新世界より(上)(中)(下)、ロートレック荘事件、リストラ日和
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デパートへ行こう! (講談社文庫)
2009年に講談社創業100周年記念の書き下ろし作品として発刊され、その後2012年に文庫化されました。その後、「行こう!」シリーズ化され「ローカル線で行こう!
企業再生シリーズという話しを聞いていましたので、左前になってきた老舗デパートの復活物語かと想像していたところ、かなーり予想は外れて、深夜のデパート内で起きるドタバタ劇でした。
そのドタバタの中に、老舗デパートを継いだ若い御曹司社長とか、ライバルのデパートに安く身売りさせようと画策する連中に使われていた元刑事、贈賄、収賄事件の関係者の子供達など、デパートの不祥事とそれに続く身売り話の関係者が揃って営業を終えた深夜のデパート内に偶然居合わせることになります。
したがって主人公と言えるのは、自殺願望のリストラオヤジ、犯罪に手を染める元刑事、老舗デパートの社長、犯行を企むデパート勤務の女性、贈賄で逮捕された父親の娘など数名に及びます。
このようなありえない設定で、いくら小説でも、推理を楽しめるわけではなく、かと言ってドタバタのコメディにもならず、興味は半減してしまいます。
実は先に読んだ「ローカル線で行こう!
★☆☆
◇著者別読書感想(真保裕一)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
ローカル線で行こう! (講談社文庫)
この作品は上記の「デパートへ行こう!
主人公は親の願いを聞き入れて宮城県庁に就職したものの、同僚との出世競争に敗れ、第3セクターで運営される赤字垂れ流し状態のローカル線会社へ出向させられた独身男性と、生まれ育ったローカル線沿線に戻ってきたカリスマと言われた新幹線の売り子の女性。
そのローカル鉄道会社はやがて資金が底を打つのが見えていて、宮城県、市町村、銀行などが寄り合い所帯で、どのようにしてうまく撤退するかという議論が始まりそうな危機的状況となっています。
前の社長は銀行から送り込まれたベテランでしたが、リストラや経費削減ばかり熱心で、周囲に味方になってくれる人もなく、やがて逃げ出すように辞めてしまいます。
そこで選ばれたのが、新幹線のカリスマ売り子という経営素人で、地元愛と負けず嫌いな性格でうまく乗せられて着任してきます。
その素人社長とコンビを組むのが宮城県から派遣されてきている副社長で、赤字解消に向けて次々と起死回生策を打っていきます。
ま、徹夜、休日出勤当たり前状態で、今で言えばブラック企業とも言えますが、一部の優良企業を除いて、実際の仕事の現場はこうしたものだというのがわかるだけに、働き過ぎを叩く人達にもぜひ読んで感想を聞かせてもらいたいものです。
この小説に出てくる第3セクターのローカル線は、2007年に廃線となったくりはら田園鉄道をモデルにしていると言われています。こうした常識を覆すようなリーダーが現れず、また企業努力もなかったのでしょうか。
★★☆
◇著者別読書感想(真保裕一)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
おまえさん(講談社文庫)
2011年に単行本と文庫が同時に刊行されるという珍しいパターンの作品で、2000年から続く時代小説「「ぼんくら」シリーズの第3弾という位置づけになります。
このシリーズは第1弾の「ぼんくら
推理ミステリーから、ファンタジー、SF、そして時代ものと、広範囲のジャンルで、しかもいずれもベストセラーとなる、その多才な創作能力には驚かされるばかりです。
前の二作品は未読ですが、主人公は顎が突き出ていてハンサムとは言えないものの、頭は切れ、人望も厚い本所深川の同心・平四郎です。
シリーズの準主役のレギュラーメンバーとしては、岡っ引きの政五郎親分、料理屋の女将、こうしたドラマには欠かせない大人顔負けの活躍をするかわいらしい有能な子供が主人公の甥という設定。
時代を江戸に移した推理ミステリー小説といったところでしょうか。大人がわからない殺人事件の謎を、優秀な子供が抜群の洞察力と推理で解いていくという小説やテレビドラマではお約束みたいになってきたパターンはやや食傷気味です。
しかし事実かどうかはわかりませんが、小説の中から江戸の庶民の生活が生き生きと伝わってきて、それがこうした時代小説の醍醐味でしょう。
時代考証の専門家から見れば、それはあり得ないとか言うのがありそうですが、そこは小説と言うことで、読者が楽しめればそれでいいのではないかと著者の声が聞こえてきそうです。
上下巻合わせると1200ページを超える長編で、最初どこかの新聞連載小説だったのかな?と思っていましたが、どうも違うようです。
それにしては、新聞小説のように、何度も同じ説明が繰り返されて、長編ならば一気に通して読めないから仕方ないかもしれないですが、そうした重複部分をいうまく端折れば2割ぐらいはページが減らせるような感じです。
殺人事件を扱う小説としては、娯楽性も豊富で、なかなか面白いものでした。
★★☆
◇著者別読書感想(宮部みゆき)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
下鴨アンティーク アリスと紫式部 (集英社オレンジ文庫)
2013年デビューの作家さんで、主に女性向けライトノベルを書いています。この小説は2015年刊ですが、同じ年に続編の「下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ
学生時代に京都で過ごした経歴から、この小説も舞台は京都です。タイトルに使われる下鴨とは、平安時代の歌人鴨長明とゆかりがあり、京都三大祭りの葵祭で有名な下鴨神社や府立大学などがある文京的な住宅地です。
この辺りの地名や風景は、京都大学出身作家の森見登美彦氏や万城目学氏の小説の中にもよく出てきます。
古くからの高級住宅街であると同時に、徒歩で少し南に下ると京都大学や同志社大学のキャンパスがあり、若い学生、その中でも割りと裕福な学生が多く住んでいる割りとハイソな地域です。
この小説ではそうした町並みや住居がどうしたという話しではなく、主人公というかレギュラーメンバーとして、同志社女子高校と思われる学校に通う女子高生と、一緒に住んでいる骨とう屋を営む兄、その兄と京都大学時代からの親友で、現在は同志社大学で教鞭を執っている男性の3人がいます。
その3人が出くわすことになる様々な、怖さを感じない、いにしえの呪いというか現象について、それらを知恵を駆使して解決していくというたわいもないストーリーで、夢枕獏氏や京極夏彦氏の怖さと中身の濃さを1/10に減じた若い女性向け平安京ミステリーといったところか。
したがって中高年のオッサンが、熱心に読むべき本ではないなぁ~ってことを読んでから知りました。すみません。
★☆☆
◇著者別読書感想(白川紺子)
【関連リンク】
11月後半の読書 折れた竜骨、心ひき裂かれて、刑事のまなざし、ピンクとグレー
11月前半の読書 新世界より(上)(中)(下)、ロートレック荘事件、リストラ日和
10月後半の読書 チャイナ インベイジョン、判決破棄 リンカーン弁護士(上)(下)、シューマンの指、きいろいゾウ
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