リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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休日になるとつい行きたくなる大量の中古書籍などを扱っているブックオフですが、いつ行っても一般書店にはない活況ぶりで、これは儲かっているなぁって思っていました。
もっとも最近は書籍だけでなく衣料品や家電品まで並んでいるSUPER BAZAARという大型複合店へ行くことが多いのですが駐車場はいつもいっぱいで入場待ちしているような状態です。
調べてみるとそんな急拡大してきたブックオフも2014年に連結ベース792億円の売上高だったのが、2015年は743億円、2016年は766億円と、2014年の売上高を2年連続して超えられず、ここ数年は足踏みをしています。
ちなみに今年2017年3月期の連結予想売上は850億円ということですから、それが実現すれば大幅な増収となり、過去最大の売上を記録しそうです。最近のブックオフの収益の柱は中古書籍販売だけではありませんが、それにしても紙の書籍は強し!ってところを感じられます。
中古の書籍がいくら活発に売れようが、その本の著者にはなんのメリットはなく、よい作家、よい本に報いたい、応援したい、育てたいと願う真の読書家達にとって、ブックオフや古書店での購入は後ろめたい気持ちになります。
じゃ、もっと一般書店で著者に印税が支払われる新刊本を買えばいいじゃないか!ってことですが、ここ数年給料は下がり続ける一方で、食費や電気代やガス代、社会保険料などはジワジワと上がっていくアンバランスな中で、書籍などの購入費、仕分け項目で言えば新聞図書費とでも言うのでしょうか、これらの費用を下げざるを得ないというのも現実です。ごめんなさい。
考えてみると、昔から単行本にしても雑誌、文庫本にしても価格が上がることはあっても下がることはまずありません。
最近は電子版(電子書籍)だけは安く販売されるという書籍もありますが、紙の書籍の場合、物価とは関係なくずっと上がり続けています。書籍は出版社が自由に値段をつけられるはずですが、薄利多売をしようとする動きは見られません。
80年代か90年代にある出版社の文庫本の広告コピーに「コーヒー1杯の値段で買える文庫本」という見出しがありましたが、現在ではドトールコーヒーでブレンドコーヒーの値段は270円(Mサイズ)、スターバックスのドリップコーヒー280円(Short)、高級ホテルのコーヒーと味は変わらないと言われるセブンカフェでは150円(Lサイズ)ってことと、書店に並ぶ文庫本の平均価格は700円を超えているということを考えると、もはや文庫本の1冊の定価はとてもコーヒー1杯と見合う価格ではなくなり、それこそブックオフで販売されている中古価格と近くなっています。
本来なら、昔の活字を拾っていく活版印刷時代から、コストが大きく下がるデジタル製版となった現在でも、出版物の価格はまるで統制下であるかのように値下がりすることなく逆に上がり続けてきました。
統制と書きましたが、新品の書籍の場合「再販売価格維持制度(再販制度)」があって、競争や企業努力が排除され、価格が高値で維持される仕組みがあることも影響しているのでしょう。
この再販制度は元々は流通機能が脆弱だった時代に地域差をなくして等しく文化的な生活がおくれるようにするという立派な制度ですが、今ではそれが利権構造にしっかり組み込まれ、出版社や新聞社の甘えの構造となり、流通網が整備された中でも生き残っているゾンビのような存在です。
今回はその再販制度の話しではないので、深くは書きませんが、長らく続く出版不況のひとつの原因には、そうした再販制度が関与しているのは間違いがないところです。
さて、2017年になって2016年の各種年間データが出てくる頃ですが、まだ手元には詳細なものがないので、2015年までのデータを元に出版状況に触れておきます。
データの出典は全国出版協会です。
書籍・雑誌実売売上推移
書籍の売り上げは2006年頃まで1兆円規模の実売売上がありましたが、ここ数年著しく減少し、ここ10年間をみると平均で200億円ずつ減少しています。2015年は7936億円、2016年はさらに減少する見込みです。
雑誌は書籍以上に大きく下げていて、1999年まで実売売上が1兆5000億円以上あったものが、2015年は8075億円と約半減しています。この10年間で見ると1年で平均500億円ずつ減ってきています。先行きは暗いでしょうね。
一方で伸びているのが新刊本の点数です。多趣味、多様化の流れの中、多品種の書籍を揃えて購買意欲を喚起しようという作戦はわかりますが、製造業と似てきて儲かりにくい構造に陥ってしまっています。
そして多品種少量販売による利益減少のしわ寄せは、大手が占める出版社や印刷、流通ではなく、一般的には個人の著者や、弱小出版社、中小の一般書店、そして読者へと、立場の弱いところにいくのが通例でしょう。
出版社数推移
出版社は集英社や講談社、小学館、角川書店、日経BP、宝島社、文藝春秋など大手出版社もあれば、ニッチな専門に特化した数人規模の出版社まで多岐に渡ります。
1995年前後には4,500社を超える出版社がありましたが、その後ジワジワと減り続け、20年後の2015年には3,489社となり、1995年からすると75%程度になりました。
上記の通り、書籍で20数パーセント、雑誌で50%近い減少となっている中で、出版社が75%も生き残っているのが不思議とも思えますが、比較的根強い人気のコミックスや、専門性が強く需要は減ってもなくなくならない学術書、旅行など趣味の本、最近なら高齢化を反映して健康や医療の本などはまだまだ健闘しているのでしょう。
昨年2016年は音楽専科社、新思索社、東洋書店、マガジントップ、ガム出版など出版社の倒産や廃業の他、書籍取次中堅の太洋社や老舗書店芳林堂書店なども出版不況の中で倒産しています。
こうした出版不況でも各社共に力を入れている電子書籍は盛り上がっているのか?というと、確かに電子書籍の売り上げ自体は伸びていますが、実は電子書籍のほとんどがコミックで、電子書籍全体の中に占めるコミックの割合は8割を超えるそうです。
ミリオンセラー100万部が売れた大ヒット小説でも、その電子版はと言うとよくて10%、通常は5~6%に過ぎないそうです。5%では「盛り上がっている」とは言えませんね。
その原因は様々あるでしょうけど、元々読書する人が減ってきているという流れがあり、従来からの読書家は慣れた紙の書籍に愛着があり、したがって電子書籍を積極的に使うのは、携帯機器と相性がよい読書離れが一層進んでいる若者だけでしょう。
紙の書籍が手に入りにくくなれば今の読書家達も電子書籍への移行が進むでしょうけど、今のところ、翌日、下手すれば当日中に届くAmazonもあれば、都会では古書を大量に扱うブックオフがあちこちにあり、紙の書籍を手に入れるのにまったく不自由しません。
ある人は買うのも読んだ後に売るのもブックオフで、ブックオフが自分の書棚だとまで割り切っています。
その若者はと言うと、勉強でも人生哲学でも恋愛でも、なんでもコミックやアニメに置き換えてしまえる世代ですから、スマホでコミックを見るというのがマッチしているのでしょう。
スマホから一時も目が離せない若者に、じっくりと長い時間をかけて、想像力を駆使しながら文字ばかりを追わねばならない長編小説を読ませようと思っても不可能でしょうから。
電子書籍元年と言われた2010年からすでに7年間。あのときにはすぐにでも紙の書籍は電子書籍に置き換わりそうな勢いで語る人も多かったですが、いまそれを言うとバカにされるだけです。
紙の書籍との逆転は数年の後に一気にやってくるのか、それともまだあと数十年は紙の書籍が優勢で進むのでしょうか。
それはデジタルネイティブと呼ばれる1980年以降生まれの人達が、人口の半数を占めるようになる2020年から数年間の出版社の動向がポイントになってくるでしょう。
【関連リンク】
954 書店数や出版業界売上減と未来
755 電子書籍を普及させるには
743 出版社不況の現状
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大学卒の初任給はこのところは上がっていないという話しをよく聞きますが、統計上はどうなっているのか調べてみました。
初任給は業界ごとで割りと平準化されていて、就活の時に学生は初任給によって就職先を選択をするとは思えませんが、採用側の人事部はとてもナーバスになり、同業他社と差がつかないように神経を使っています。
業界が違えば給与体系も違い、初任給も高低様々ありますが、逆に初任給が高いと学生は「これはなにかあるな」と疑心暗鬼となります。
新卒で就活する人に言いたいのは「初任給は気にするな!」です。
なぜかと言うと、給料の差はスタート時点ではなく、数年後から十数年後に大きく差がついていくのが普通だからです。新入社員時の初任給が1~2万円多いとか少ないとかはちっぽけなものです。
できれば就職する会社の30歳、40歳あたりの平均年収がもし調べられるならそれを基準にしたほうが良さそうです。もっとも新入社員の3割が3年以内に辞めていますので、そうした10年後のことなど考えてはいないかも知れませんが。
あと、給料以外に各種手当てが厚く支給される会社もあれば、ケチ臭い会社もあります。例えばですが、移動時のタクシー代や接待交際費など会社が全部持ってくれるところもあれば、利用制限が厳しい会社もあります。近年は後者がほとんどでしょうけどね。
その他でも、大手金融機関だと極めて低い利率で住宅ローンが借りられ、それだけで年収に換算すると数十万円、20年ローンなら数百万円に相当します。
自動車メーカーや販社勤務だと、20~30%割引で新車が購入できます。300万円のクルマだと、通常割引は頑張っても15万円程度ですが、社員と言うだけで90万円近く安くなります。こうした就く業界や企業によって給料以外のメリットもあるから、単に初任給の比較なんてちっぽけなものなのです。
さて、その初任給の長期推移ですが、元データの出典は総務省統計局「賃金構造基本統計調査」と、過去の初任給を現在の価値に換算するために「2015年基準消費者物価指数」を使いました。
棒グラフが初任給の推移です。折れ線グラフは2015年を100とした時の、物価指数で調整した初任給の値です。参考までに。
高度成長期の1970年代から80年代にかけては、順調に毎年初任給が上がり続け、インフレ懸念もありますが、一般勤め人にとっては理想的な初任給の上昇カーブを描いています。
初任給が上がると、それに準じて先輩社員の給料もあがり(当時、人事考課の影響か先輩社員の給料が上がらず、新入社員の初任給のほうが高くなったという笑えない話しも方々でありましたが)ますので、期待感で懐が緩み、内需が喚起され、バブルの発端ともなりました。
しかしバブル崩壊後の1994年頃から、初任給の上昇は停まり、その後20年以上ほぼ横ばい状態が続くことになっています。
初任給の上昇が停まれば、先輩社員の給料の上昇も停止し、先述した話しの逆で、デフレ経済、内需縮小、経済低迷期に突入するということになります。企業は社員の給料を抑えることで需要も減らし、負のデフレスパイラルに陥ってしまいます。
折れ線グラフで示した通り、2015年を基準とした物価指数で調整した初任給を見ても、1980年代の上昇は顕著で、1990年代半ば以降は横ばい状態が続いています。失われた20年とか言われる所以です。
したがってこの20年間に学校を出て新しく社会人になった人達は、バブルの恩恵は直接受けてなく、給料が毎年順調に上がっていくという経験もしていないことになります。
給料を上げていくためには、同僚はもとより先輩社員とも競争して、場合によっては蹴落とし、目立って上司に気に入られるように努力をすることが求められます。
バブルの頃のように、大人しく黙っていても毎年10%、20%と全員の給料やボーナスが上がっていくことはありません。
個人的な話しをすると、私は1980年(昭和55年)に新卒で就職しましたので、このグラフの通り80年代バブルの恩恵を受けました。就職した時はまだ小さな会社でしたが、年1回の給与改定では大幅なベースアップがありました。
しかし時代はバブル、同時に金遣いも派手になり、入社してから2年ぐらいは毎月赤字で(ちょうどその頃からカードローンという銀行のキャッシュカードで自動的に借りられるシステムが始まりました)、年2回支給のボーナスで、それらの赤字を埋めるという自転車操業でしたが、それも3年経過後には解消し、貯金する余裕がありました。いい時代でした。
次に、産業別に初任給の違いはあるのか見てみましょう。
2009年から8年間のデータです。出典は上と同様総務省統計局「賃金構造基本統計調査」です。
比較的初任給が高いのは赤「情報通信業」、薄青「専門・技術サービス業」、紫「不動産業・物品賃貸業」、緑「金融・保険業」あたりです。私が新卒入社した頃1980年代だと、ダントツに金融、商社、航空業界がトップだったでしょうけど、商社や航空業界はバブル崩壊と共に下げてしまったようです。
但し商社、しかもトップ3あたりの商社では、新入社員の頃は平均的でも10年後の年収はたぶん金融にも負けてないぐらいの年収を誇っていると思われます。
逆に初任給が低いのは青「運輸業・郵便業」、ベージュ「宿泊業・飲食サービス業」です。しかし初任給で比べるとまだそれほど極端な差はついていません。
初任給では差がなくとも、社員の平均給料や生涯収入で比較すると明らかな違いが出てくるでしょう。
但し平均給与の場合は、データの平均年齢が産業ごとに違うのと、生涯収入も退職金(最近退職金制度を廃止する企業が増加)や他の福利厚生サービスの違いなどもあり、厳密な比較は難しいところです。
あと、2011年に青「専門・技術サービス業」、紫「不動産業・物品賃貸業」、赤「情報通信業」の初任給が飛び抜けて高いのは、東日本大震災となにか関係があるのかどうか、不明です。
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1067 平均給与は下がり、税金や社会保障費の負担は増え続ける現実
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厚労省から若年者の雇用状況を把握するために毎年調査をしている「新規学卒者の離職状況」についてちょっと触れておきます。
新規学卒者の離職状況(厚生労働省)
城繁幸氏の「若者はなぜ3年で辞めるのか?」が世に出たのは、今からちょうど10年前の2006年9月でした。実はその前、ITバブルが弾けた2000~2002年頃の就職氷河期に、新卒で入社した若者が次々と辞めだしたのがきっかけと言われています。
90年代前半にバブルが弾けて長引く平成不況の中、かろうじて活況を呈していたITバブルもが弾けてしまい、一気に日本経済は失速していきます。
その就職氷河期に、苦労してやっと新卒で入社した人達は、実際に仕事に就いてみると「思っていた仕事じゃない」「聞いていた話しと違う」とばかりに一気に退職者が増加していきます。
企業側にしてみれば、不況で教育にお金もかけられず、買い手市場で狭き門だから、少々荒っぽく使っても辞められないだろうという驕りと、若者も仕事の中身や企業の体質、文化にはお構いなしで片っ端にエントリーシートを出しまくり、希望する会社、仕事ではないけれど、とりあえず内定くれたので入社したというツケが双方に出たと言うことでしょう。
その後リーマンショックが起きて世界的な不況に突入したため離職率は一時的には下がりますが、また2009年頃から上昇へ向かい3年以内に辞める大学新卒者の割合は10年前と同様に30%を超えるようになっています。
大学卒業就職者の在職期間別離職率
次に産業別で見ると、飲食・宿泊業は離職率が最も高く、3年以内で辞めたのはなんと59%と6割近くに達しています。
「おもてなしの心」や「外国人観光客2000万人突破」「2020年には4000万人目標!」とか言っておきながら、それを担う人達は「とてもやってられない」という現状が見えてきそうです。
こんな状況では、4000万人はもとより、やがては「日本の観光地は客も従業員もみんな外国人ばかり」ということになってしまいそうです。
大卒者の3年以内の離職が多い業種の次点は、理美容師や旅行業などを含む「生活関連サービス業、娯楽業」で47.9%、次いで「教育、学習支援業」の47.3%となっています。
これら離職率の高い上位に位置する業種は、いずれも大企業は少なく、中小企業主体の経営という点が特徴的かも知れません。
大企業でないと言うことは、給料や福利厚生サービスなどでも劣っていて、しかも他の業種よりも肉体的精神的にキツイということになれば続かないのもわかります。
その証拠に勤務先の従業員規模別で大卒者の3年以内離職率を見てみると、5人未満の零細企業では59%、100~499人の中小企業で31.9%、1000人以上の大企業では23.6%となっていて、大企業ほど離職率は顕著に低くなっています。
このことから中小零細企業が多い業種では離職率が高くなり、電気・ガス、製造業、金融など比較的大企業が多い業種では離職率が低いということもになります。
「大企業ばかりにこだわっていないで、中小企業に目を向けよ!」とか言っている無能な学者や評論家などの意見などは無視して、安心して長く働きたいのなら「寄らば大樹の陰」は当然の帰結でしょう。
【関連リンク】
859 採用氷河期でなにが問題なのか?
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
727 大学生の就職率推移と卒業後の進路
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過去に道の駅について何度か書いたことがあります。
955 道の駅の転換期
813 地域活性化は道の駅で
719 道の駅は次の段階へ進めるか
道の駅は毎年順調にその数を増やし、2011年25箇所、2012年19箇所、2013年19箇所、2014年26箇所、2015年39箇所、2016年28箇所が新しく増加、2016年10月現在で1,107駅となっています。
そしてこの6年間で廃止された道の駅は1箇所だけでした。この不況が蔓延する日本の中で、なにかすごい勢いを感じます。
今のところ順調そうに見えますが、今後はそう楽観視はできないと思っています。
若者のクルマ離れや、第1次マイカー世代(団塊世代)の高齢化によるマイカー離れなどの影響がジワリと効いてくるは時間の問題で、さらには地域や設置場所について十分なマーケティング調査など行わず、安易に作った道の駅同士で、客の奪い合いや他の民間施設との競合など、道の駅の経営もやがては厳しくなってくるのではないかと予想されます。
例えば民間事業者が同様の施設を作るならば、自治体の境界などは関係なく、ひとつの国道や幹線上でわずかな距離しか離れていない場所に同様の施設を作るということはしませんが、自治体が主導でおこなうと、自治体の境界を挟んですぐ隣に別の自治体が同様な施設を作ったりという困ったことが起きます。
自治体からすれば自分の自治体にはひとつの道の駅で、交通量の多い場所を選んで設置したとしても、利用者側からすれば、ひとつの幹線上に2つの道の駅や同等の施設が並んであるということになり、これは自治体視点であって、ユーザー視点ではないってことです。
2015年01月20日の記事で、ちょっと古いですが、自治体が事業母体である道の駅の問題点を指摘した記事があります。
なぜ道の駅は儲からなくても店を出せるのか
地方活性化とは名ばかりの「産直販売施設」(東洋経済ONLINE)
「道の駅の約8割は行政が設置しているという、立派な公共事業の一つ」 「破綻しても行政が事業主体だから、行政任せ」 「もし、普通に民間が事業として施設を開発するならば、施設整備の初期投資部分の回収も含めて、施設運営の売上げから捻出するのが常識です。しかし、道の駅のほとんどは、初期投資は税金で作られています。したがって、「その部分」については、稼ぐ必要がないという前提になってしまいます。そのため、事業計画の段階から、あまり売上げがあがらなくても「成立する」というような環境になってしまいます。」 |
ま、事業的には実際この記事に書かれた通りというところもあるのでしょう。詳しくは統計がないので不明ですが、一般的に全国の道の駅の経営状況は、1/3が黒字、1/3が収益ライン上、1/3が赤字と言われています。
成功している道の駅は、テレビや新聞などで取り上げられ、さらに客が押し寄せることになりますが、一方では、運営経費がまかなえず、単なる無人の広い駐車場と化している道の駅も相当数ありそうです。
この辺りは自治体の担当者が民間の経営意識をもって必死に取り組んだか、委託している企業や第3セクターにいいコンサルタントやリーダーがいて、利用者視点で物事を考えて客寄せに成功しているか、どっちかなのでしょう。前者は少なそうですけどね。
この9月には京都府の道の駅で道の駅の食品を競う「道の駅グランプリ」が開催されましたが、今までにないなかなか面白い発想だなって思っていました。
道の駅グランプリ 初代王者は(産経新聞社)
道の駅のグルメ人気1位を決める初の全国大会「道-1グランプリ」が京都府京丹後市で25日閉幕し、道の駅もてぎ(栃木県茂木町)の「ゆず塩ら~めん」が初代ナンバーワンを飾った。18道府県の20駅が参加し、来場者が人気投票を行った。 2位は道の駅大月(高知県大月町)の「苺氷り」、3位は道の駅うずしお(兵庫県南あわじ市)の「あわじ島オニオンビーフバーガー」。 |
主催者は道の駅を認可する国交省かその天下りが占める関連団体と思いきや、そんな大胆な発想はお役人や天下り役人にはもちろんあるわけもなく、なんと人材派遣で有名なパソナグループの関連会社「株式会社丹後王国」という、今回のグランプリの会場となった道の駅の運営業者。やっぱりね。
本当なら全国の道の駅を北海道、東北、関東、中部・北陸、関西、四国・山陽・山陰、九州の7つのブロックにわけて道の駅グランプリ予選を戦い、そこで勝ち上がってきた道の駅が集まって全国大会をおこなうというのが、より多くの道の駅がエントリーできて100点満点でしょう。
しかしそれをするには1企業だけが頑張っても無理があり、まずはなんでも始めて実績を作ることが重要なので、最初は参加者が少なくてもよくやったと言えると思います。ちなみに上記の道の駅グランプリは1000以上ある道の駅の中から20駅の参加に留まっています。
【関連リンク】
955 道の駅の転換期
813 地域活性化は道の駅で
719 道の駅は次の段階へ進めるか
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フローとして日々流れていってしまう時事ネタやニュースはこのブログではあまり書かないのですが、PC DEPOT(以下PCデポ)については私も身近に感じていて、以前はよく利用していた者として、少し書いておこうかなと。
PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景
ご存じの方も多いと思いますが、80過ぎの高齢者が、PCデポで明らかにふさわしくない年間サポート契約を結ばされていて、それを家族が解約しようとすると高額の解約料を請求されたという問題です。
私自身、ここ10年ぐらいのあいだにPCデポは大きく変わってしまったと感じていました。
以前は、PC関連商品について、近所ではヤマダ電機など家電量販店と比べて品揃えがよく、また価格も多少安く、PC本体、周辺機器(マウス、ハードディスクドライブ、DVDドライブなど)や関連商品(プリンターインク、メモリー、アプリ、印刷用紙など)をよく買いに行ってました。
ヤマダやコジマのように、私の嫌いなポイント還元で実質値引きという姑息な手段を使わず、現金値引き勝負だったのがポイントが高かった点です(笑)。
ところがどうもここ数年、新聞に入るチラシを見ると、初心者向けに抱き合わせ販売や、ネット新規契約との合わせ技で一見安く見せかけている販売がミエミエなものが多く、例えば、光契約とセキュリティソフトの3年契約セットで新型PCがこの値段というような素人騙し、情報弱者騙し広ばかりが目立ちます。
また素年前に娘が大学生になったとき、PCデポでノートパソコン(型落ちのアウトレット新品)を購入したとき、しつこく本体と一緒に月額契約のサポートやセキュリティソフトの契約を勧めてきたことにも違和感を感じました。
以前は秋葉原のPC専門店と同様に、PC中・上級者向けのマニアックな店舗という感じで、店員の愛想もなければ、箱も説明書も付かないバルク品やアウトレット品の販売なども多く、客がある程度の知識を持っていないとダメで、買った後うまく動作しなくても、それは自分に見る目と知識がなかっただけで自己責任でした。
そういう雰囲気が好きだったのですけどね。
それが全国で大規模にチェーン展開をしていき、経営戦略にも大きな変更があったようで、中・上級者のマニアックな人向けから、初心者を相手にする戦略に変わっていきました。
ここ数年、パソコン販売台数は伸びていないので、同社の主力商品はスマホやサポートへと移ったわけですが、その戦略変更自体は間違っていないのでしょう。
間違いがあったとすれば、素人相手なら少々無茶をしたり強引な手法をつかっても、キチンと契約をしていれば問題はないだろうと錯覚したことでしょうかね。
それに高齢者は若者よりもずっとお金を持っていて、金払いがよいのはオレオレ詐欺をみてもわかる通りです。
一部の店舗でそうしたことが起きたという人もいますが、私はそうは思っていません。会社の経営戦略がそうであれば、程度に多少の差はあれ、どの店舗でも同じようなユーザーを騙すような表現、説明がまかり通っていたことは間違いありません。またそういう店長でないと認められなかったはずです。
今年の春にはDELLの通販で購入した息子のノートPCが故障してしまい、私はDELLに修理を依頼すべしと言ったにもかかわらず、息子は「他店で購入したPCの故障修理歓迎」を唄う、近所のPCデポへ持っていって修理を依頼したいと言うので、一緒についていきました。
そして故障したPCを検査したあと告げられたのは、「修理には6~7万円かかります。いっそ新しいPCを購入されてはいかがでしょう?ご案内しますがいかがですか?」という予想通りの回答。
う~ん、、、完全にパソコン初心者と思われている感じです。そういう親子も多いのでしょう。また初心者親子に対するセールスもちゃんとマニュアル化されているって感じです。
「そんなに高いのならDELLへ直接聞いて見る」と言うと「もしかすると4~5万円、いや、もっと安く済むかもしれませんが、、、」と急に慌てたように態度が変わったのが笑えました。
信用がおけないので、依頼せずに持ち帰りました。昔のPCデポならば、そのようないい加減なセールストークはなかったのですが、明らかに初心者に買い換えを促すため、修理費を盛って話しをしてきます。それがあの「他店で購入のパソコン修理歓迎」の最大理由なのでしょう。
DELLへ故障修理を依頼すると、修理に出す前に、原因が特定できるまで、あれこれ作業を電話で指示されて面倒です。それを息子は嫌がったわけですが、かと言ってたかだか10万円程度のPCの修理代に6~7万円と言われれば黙っていられません。
私が代わりにDELLへ電話をして修理を依頼すると、事前の故障原因チェック指示があり、それを時間をかけておこない、原因がある程度絞られた時点でDELLのサポート言うには、、、
「この故障は無償で修理できますので、いついつ取りに伺います!」
と。
最初からDELLへ修理依頼をしなかったこちらがバカだっただけで、PCデポへ持ち込んで6~7万円と言われた修理費は、購入したDELLに出せば送料含め結局はすべて無料という結果だったのです。
このように、ちょっとした面倒臭さや初心者の無知につけ込んだ、素人相手の濡れ手に粟ビジネスは別にPCデポだけでなく多くのところでおこなわれています。
携帯電話も基本的には長期契約で、途中で解約するにはペナルティを支払わされるという構造は変わりません。その他、解約料はかからないまでも、毎月、あるいは毎年少額ずつ自動引き落としされる支払いのサービスが急速に増えています。
一度に数万円の支払いとなれば誰しも考え込んでしまう商品やサービスでも、月、数百円~千数百円(で複数年契約)と言えば、すんなりと求めに応じてしまうことがあります。それが売り手の狙いとは知らずに、、、
先般、毎月1万数千円を自動引き落としで支払っているケーブルテレビ(TV視聴とネット接続、固定電話の契約)に電話して、子供も大きくなってテレビもあまりみなくなてきたのでと解約を申し出てみました。ネット接続はもっと安い別のプロバイダーに変更し、固定電話は加入権もあるのでNTTへ戻し、テレビは自分でアンテナを立てればよいと思ったからです。
そうすると、最初に電話を受けたカスタマーサポートから、老獪な解約阻止部隊?へと回されて、「なにが不満なのか?」「次の契約はどことするのか?」「それはどういう契約か?」など細かく聞いてきます。それは今回の解約申し出が本気かどうかを確かめているのでしょう。
解約すれば手続きが面倒だぞと柔らかく脅されましたが、事前に別の安い光プロバイダーを調べておいたので、それを伝え、ケーブルテレビ契約の解約に向けて回線工事の日程まで話しが進んだとき、突然、「大幅値引きするからこのまま継続して欲しい」と必死のお願いが(笑)
その割引額が半端でなかったので、じゃぁもう少し続けるかということで、継続しましたが、言わないのと言うのとでは毎月3千円程度を無駄に支払い続けていたことになります。世の中のモノやサービスの値段の仕組みってそういうものなのです。
敵さん(店側)は例え大幅にディスカウントしても、いったん取った契約を途中で打ち切られるより継続してくれるほうが得と考え、それはつまり長い期間の契約はそれだけ美味しい(=消費者にとっては不味い)ものなのです。
そんなこんなで、最近はすっかり足が遠のいていたPCデポでしたが、個人的には売り込みの激しい店員は嫌いですが、店としては嫌いではないので、今後もちょっとした周辺機器やメモリーなど買いに寄らせてもらいたいと思っています。
マニアック向けではビジネスがもう成り立たなくなっているというのもわかりますが、今回の出来事を反省し、初心者にも優しい、誠実なビジネスで持ちこたえてもらいたいものです。
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