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砂の王国(上)(下) (講談社文庫) 荻原浩

2010年単行本、2013年に文庫化された長編小説です。著者の作品は好きで概ね文庫になっている小説は読んできていますが、その中でもこちらはコミカルなところはほとんどなく、シリアス路線の社会問題小説です。

国内では何年かに1回は、新興宗教の社会問題が現れては消えてを繰り返していますが、そうした繰り返される新興宗教をテーマにした作品です。

主人公は家庭に問題はあったものの、有名大学を出て、一流証券会社でエリートだけが務められるディーリングを経験してきましたが、そこから脱落してからは絵に描いたようなアルコール中毒、家庭崩壊、やがては貯金も尽き41歳でホームレスとなってしまいます。

そのホームレス生活のリアルが長々と描かれていて、気分もめちゃ落ち込んできたところで、「社会に復讐してやる」「ここから反撃だ」と、意を決して変わり者だけどその姿に威光が感じられるホームレスと、もう一人コールドリーディングが得意なインチキ占い師と競馬で得た大金を元手に怪しげな新興宗教を立ち上げます。

そうした立ち上げ時期の苦労話が、事細かいために、かなり重量感のあるページ数になってしまった感があります。もう少しあっさりした内容でも良かった気がします。

最初は地道に会員を集めていくなかで、口コミなどで徐々に広まっていき、政治家や映画俳優なども加わることで、一気に規模が大きくなっていきます。

どうもこの主人公は、自意識過剰気味なところがあり、「自分以外は誰も信じられない」「人をうまく使いこなすことができない」「1歩先を考えるのは上手いが、2歩3歩先が読めない」という、私を含めてどこにでもいそうな過去に成功したビジネスマンという感じで、「同類相憐れむ」ではないですが、憐憫の情を感じます。

事業でも小規模で社員全員の顔がよくわかっている間のマネジメントは割と簡単にできても、ある規模を超えるときに問題が噴出し、一気に崩落していくことがあります。それは宗教も同じです。

ということで、最後にどうなっていくかは、タイトルから想像しなくても自ずと知れたことですが、この主人公にも、本田技研の藤沢氏や、ソニーの井深氏など、絶対に裏切らない親友や部下、身内が周囲に何人かいれば、、、って思うと気の毒に思えてなりません。小説にリアルな感情移入してしまい、読んでいて「なにやってんだ!」とか思わず叫びそうになってしまいました。

★★☆

著者別読書感想(荻原浩)

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おとなの教養 2―私たちはいま、どこにいるのか? (2) (NHK出版新書) 池上彰

2014年に発刊された「おとなの教養:私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」の続編にあたる本著は2019年に新書として出版されました。

「おとなの教養:私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」は今年4月に読みましたが、とてもわかりやすく為になりましたので、今回その続編を買ってきました。

2020年4月前半の読書(「おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」)

第1章はAIとビッグデータ、第2章はキャッシュレス社会と仮想通貨、第3章は民族や人種問題、第4章は中国や中東諸国を中心とするジオポリティクス、第5章は某国大統領を中心とするポピュリズム、第6章は日本国憲法という構成です。

2019年から2020年頃において、社会人はもちろん、まもなく就活する学生さんは知っておいて損はない知識でしょう。

第1章と第2章はすでにある程度知識や経験があるので、特に目新しいことはないものの、第3章の民族、人種、部族は、知らなかったことも多く「なるほど、そうだったのか!」ということもありました。

ユダヤ民族はわかりやすいですが、中東の国々に住まう様々な民族は、歴史は古く、近代に入ってから西洋やロシアなどに翻弄され、そうした事情がわかりにくいのと、その結果として現在様々な問題が起きて気の毒に思います。そうしたこともこの本を読むまでは理解できていませんでした。

最終章の「日本国憲法」については、難しい解説ではなく、なぜ安倍前総理(執筆時は総理大臣)がなぜ憲法改正をしたがっていたのかなど、わかりやすく、腑に落ちる感じで解説されています。

そして、それらに対して、どうするべきかというのは「自分の頭で考えろ」ということが一貫しています。

★★☆

著者別読書感想(池上彰)

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晩秋の陰画 (祥伝社文庫) 山本一力

あかね空」で直木賞を受賞された著者の作品は、もっぱら時代小説専門?と思っていましたが、現代ミステリー小説もあったのですね。2016年に単行本、2019年に文庫化されています。

そう言えば、思い出しましたが、7年前に自伝的な現代小説の「ワシントンハイツの旋風」を読んでいました。

2013年2月前半の読書「ワシントンハイツの旋風」

2016年に単行本、2019年に文庫化された「晩秋の陰画」「秒読み」「冒険者たち」「内なる響き」の4編が収められた短~中編の小説集です。

中でも「冒険者たち」は、私も好きな1967年の古い映画「冒険者たち」を介し、その古い映画に曰くがある男女の、少し歳はいってますが、BOY MEETS GIRL物語です。

この映画は、私の年代ではロードショーがおこなわれた時はまだ小学生でしたので、最初はテレビで放送されたのを見ました。著者の年齢(72歳)だと、ちょうど青年期に映画館で見ているのでしょう。

またあの映画に出てきたレティシアという女性を唄った井上鑑の「レティシア」(1982年)という曲は、当時好きで、曲を聴くとあの映画の場面が浮かんできました。

その女性レティシアは、映画では宝探し中に銃撃されて亡くなってしまい、重い潜水士の装備を付けて海深く沈められるシーンは、映画「タイタニック」でレオナルド・ディカプリオが力尽きて海中に沈んでいくシーンと同様泣けます。

帰らぬ青い瞳の天使、微笑んでおくれ、もう一度だけ・・・♪

それはさておき、どの中短編も、肩が凝らずに軽く読めるので、文字好きな人にとっては疲れたときに癒やされる清涼剤としてお勧めです。

★★☆

著者別読書感想(山本一力)

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ダブル・イニシャル (角川文庫) 新津きよみ

2012年に刊行された書き下ろしの文庫です。この著者の作品を読むのは初めてですが、Amazonのレビューではこの作品は散々で、選択を誤ったかも。

タイトルの「ダブル・イニシャル」とは、1970年代から90年代にかけてアメリカカリフォルニア州で実際に起きた、パメラ・パーソンズ(イニシャルがPとP)など、姓と名のアルファベットが同じ女性ばかりを狙った連続殺人事件のことを指し、それと同様の事件が日本でも起きるところから物語が始まります。

結婚して安藤亜依里(あんどうあいり AA ああ)という、ダブルイニシャルで、さらにひらがなもぞろ目の氏名に変わった主人公の友人が何者かに殺される事件が起き、続けてやはり同じダブルイニシャルでぞろ目名の女性が次々と殺されていきます。

著者の作品にはホラー要素が含まれるイヤミス的なものが多いと知っていたので、これもそうなのかな?と思いましたが、連続猟奇殺人事件ではあるものの、ホラーとは言えないどちらかと言えば準主人公の刑事が主人公の女性と一緒に犯人を追いつめていくというもので、警察小説に近いかも。

でも私的には、最後の最後で、無理矢理にあり得ない感じでどんでん返しというスタイルをとる奇抜な作品より、ストレートなこういう作品のほうが安心して読めますので、嫌いではありません。

★★☆

著者別読書感想(新津きよみ)

【関連リンク】
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