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顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ) 山口真美

2015年刊のこの新書の著者は中央大学文学部で心理学の教授です。タイトルに釣られて買いましたが、先に言っておくとこのタイトルはおそらく敏腕編集者?が付けたと思われる「釣りタイトル」です。

でも、だから面白くない、役に立たないということではなく、これから社会に出るから心持ちを知っておこうという人には良いのかも知れません。

私は10数年の児童、学生時代、その後の40数年間のビジネス時代において、ずっと人の顔がなかなか覚えられなく、名前が出てこなかったり、以前会っていても覚えていなかったりして、恥ずかしい思いを何度も経験します。

社会人になってからは、名刺を交換した後に、どういう人だったかを名刺にメモしたり、ノートに特徴を書いたりして覚えようと努力してみたこともありますが、どれも成功しませんでした。

1回だけ会ったのを忘れてしまったという程度ならともかく、3~4回は会っているのに、次に会うとわからず「初めまして、、」というようなことも何度もありました。

同じ服装で会ってもわからないのに、まして、リゾート地で、私服を着ているビジネス上で数回話ししたことがある知り合いと偶然出会った時には、相手に目の前で挨拶されてもさっぱり誰かわからず、あらためて自己紹介されてえらく恥ずかしい思いをしました。

そういう事情からこのタイトルに惹かれたわけですが、そうしたビジネス等で相手の顔を覚えるテクニックとかを指南してくれる内容ではなく、学者先生らしく、人が顔を覚えていく理屈というか原理や事情などが主で、今さらそんなことを知っても関係ないやって感じです。赤ちゃんが母親の顔を真っ先に覚える理屈を知っても役には立ちません。

それよりもビジネス界から引退すると、一気に人と会う行為が激減していきます。

そうすると刺激が不足して、おそらく今まで以上に人の顔を覚える機能も衰えていくのだろうなぁって不安に思いますが、そうした時の鍛え方も「街に出て多くの人の顔を見る」以外にはなさそうで、これといった便利な方法とかはなさそうです。

★☆☆

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緑衣の女 (創元推理文庫) アーナルデュル・インドリダソン

著者は日本人にはあまり馴染みのないアイルランド在住の作家さんで、昨年「湿地」を読んでこりゃ凄い!とファンになりました。

2019年に読んだベスト書籍(海外小説部門大賞-「湿地」)

2019年6月後半の読書と感想、書評(湿地)

今回の「緑衣の女」は、「エーレンデュル捜査官シリーズ」の4作目(翻訳版が出版されているものは「湿地」に次ぎ2作目)の作品です。

こうしたシリーズものの主人公捜査官はある意味スーパーマン的な働きや才能があることが多いですけど、このシリーズのエーレンデュル捜査官は、あまり目立つことはなく、実直な雰囲気でコツコツ調べ回る、地味な刑事コロンボの警部のような雰囲気があります。ただラテン系のコロンボ警部とは違って、どちらかと言えば無口で暗め、よく言えばクールな印象です。

「湿地」と同様、アイスランドの気候の特徴なのでしょうか、なにか湿った陰湿な感じがするストーリー展開で、新たに新興住宅開発地でかなり古い人間の骨が見つかり、その骨は誰なのか?どうやってそこに埋まった(埋められた)のか?を調べて行くのがこの小説のテーマです。

特に、同時に進行していく、第二次世界大戦中のある家庭の出来事で、読むに堪えないDVが繰り返され、そこまでしつこく書くか?と思えるほど。

結果は、関係者の証言であっけなく判明しますが、なにかわざわざ?捜査が遠回りばかりをして、効率的な仕事をしたとは言えません。小説だから仕方ないのですけど。

「湿地」は初めてのアイスランドを舞台にした小説で、新鮮さがありましたが、今回はその柳の下のドジョウ的で、感動も5割引です。

しかし60年以上前の人骨を考古学者にまかせたばかりに遅々として捜査が進まなかったり、主人公のグレた娘が、死産で重篤な状態で見つかるなど、なかなか波瀾万丈の展開で退屈はせず面白く読めました。

★★☆

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微笑む人 (実業之日本社文庫) 貫井徳郎

2012年に単行本、2015年に文庫化された一見ノンフィクションのようなフィクションで、凝った作りになっています。

内容はまったく知らずに読み始めましたが、「私=作家」が事件について語っていくとスタイルなので、数ページまではトルーマン・カポーティの「冷血」のように奇怪な事件を追いかけたノンフィクションなのか?って思ってしまいました。

でも調べてみてももちろんそんな事件は実在せず、ノンフィクションを装った?小説だと知りました。

この小説を原作として今年2020年3月には、松坂桃李や尾野真千子などの出演でテレビドラマ化もされています。

ミステリー小説では割と珍しいですが、先に事件の概要や犯人はわかっていて、最難関大学を出て都市銀行に入ったエリート男性が、どうして些細な理由で妻子を殺めてしまうという不可解な事件を起こしたのか?というのを作家の私が調べて行くというストーリーです。

フィクションですが、さもありなんと思える内容で、結末はちょっと不可解でスッキリしないところが賛否両論あるでしょうけど、あとは読んだ人がどう結論づけるかってことなのでしょう。

コミカルなものから、リアリティのあるものまで、担当範囲が広い多作な作家さんで、多くは読んでいませんが、外れは少ないかなという印象で、この著者の小説なら安心して買ってこれます。

★★☆

著者別読書感想(貫井徳郎)

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陰翳礼讃 (中公文庫) 谷崎潤一郎

難しい旧漢字のタイトルは「いんえいらいさん」と読みます。今の漢字で書くと陰影礼賛となります。

1933年から雑誌に連載され、1939年に単行本として発刊された随筆(エッセイ)です。今回読んだ文庫は1975年初版、2008年改版の中央公論新社版です。

実はこの本は、2015年2月に購入したまま、5年半も塩漬けにしていました。特に理由はないのですが、タイトルをみただけではやや重々しい感じがしていました。

しかしNHKBSプレミアムの「100分de名著」という番組で、これが紹介されていて、「意外に面白そう」と読む気になったわけです。

著者の作品は、10代の頃に代表作「春琴抄」と「細雪」を読んだ記憶がありますが、本は親のものだったのか、私の蔵書の中にはありません。

このエッセイ集には、「陰翳礼讃」「懶惰(懶は正しくはりっしんべんに頼)」「恋愛及び色情」「客ぎらい」「旅のいろいろ」「厠のいろいろ」の6つのテーマ別に書かれています。

「陰翳礼讃」は世界的建築家の安藤忠雄氏が絶賛していて、若手の建築家にはぜひ読んで欲しいと言っていましたが、その核心は西洋と東洋で建築様式が違うのは、光の取り入れ方や照明の明るさの違いからくるもので、東洋では光と影をうまく使い分ける手法が基本にあるということです。

和風建築の仏間とか、床の間とか廊下、障子、厠(トイレ)などはすべて薄暗い中で使われることを前提とし最適化されているもので、それを、太陽光を目一杯取り込み、また明るい照明灯を並べてやたら明るくする西洋式とのマッチングは最悪だというようなことが経験と実感で書かれています。

和食についても、その器やお膳には暗めの色の漆塗りなど漆器を使い、西洋風の白一色ということがありません。

要は薄暗い灯りの中で一番美味しそうに見せる設定が千数百年の歴史を経て完成されていて、それを明るい食卓で食べるのは本来の和食の楽しみ方を逸していると。

確かに古くからあるお寺や古民家の中って薄暗いのが当たり前で、そうした中で、人々は何千年と生活をしてきたわけで、簡易で明るい照明が、家庭に普及したのは、せいぜい100年前ぐらいからです。

この本が書かれたのはおよそ今から90年前で、そうした明るい電灯があちこちで普及してきて、従来の陰影を大事にし日本独自に発展、進化してきた生活文化を憂う名文だと思います。

私も子供の頃、夏休みに田舎にあった親の旧家(農家)へ行くと、部屋は大きく広いのに、電灯は最小限で、部屋の中はいつも薄暗く、手元に灯りが必要な時は、行灯に模した小型の電灯が置いてあったりしたことを思い出します。

その他のエッセイでは同世代作家の芥川龍之介(谷崎が6歳下)との交流など、面白く読めました。

しかし、当時はまだなかった筆ペンがいずれできるだろうという予言や、中国では当時一般的に、掃除をするときに雑巾とふきんの区別がなく、便器を拭いた布でそのまま食器も拭いたりすることを指摘していましたが、少し前に中国の高級ホテルで、その模様(便器を拭いた雑巾でコップをぬぐう)が動画で紹介(スクープ?)されていて、大きな話題となっていました。

この本を読んで、「そっか、あれは間違いが起きたのではなく、そういう文化だったのか」と目からうろこで、そうした観察力が凄いな~と思った次第です。

★★★

【関連リンク】
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