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祝!1700回 2002年から21年で日記(ブログ)が1700回に達しました。地味ながら続けています。
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未来を見る力 人口減少に負けない思考法(PHP新書) 河合雅司

著者は「未来の年表」がベストセラーになり、その後「未来」を銘打ったシリーズ新書が柳の下のドジョウというか雨後の竹の子というか、次々と矢継ぎ早に出版しているジャーナリストです。

本著はその未来シリーズ5作目となる作品で2020年に出版されています。

こうした出生率や生産人口などのデータを元にした新書は、藻谷浩介著「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く」など、数多くありますが、こうした話しはほとんどの日本人にとって「不都合な真実」であり、記憶に残したくない、議論のテーマにもしたくない一過性の話題にしかなりません。

というのも、政治家でも重鎮と言われる人達は概ね60歳以上で、さらにそうした政治家を選ぶ最大勢力の団塊世代が75歳以上ということもあり、せいぜいあと20年が無事に過ごせれば良いので、その先の未来がどうなろうと関係なく、考えたくもないというのが実態だからでしょう。

ちなみに現在の衆議院議員の平均年齢は55.5歳、昨年の参議院選挙の当選者の平均年齢は56.6歳ということです。いずれにしても30年後にはほとんどいなくなる人ばかりです。そう言う人達に50年後、100年後を考えた政治ができるとも思えません。

それはさておき、本著はコロナ禍が始まったあとに書かれたもので、そうした未曾有の厄災をきっかけに日本の社会構造や働き方などを変化させるアイデアなども書かれています。

ただ日本人というのは外圧によって変化する(させられる)のは得意ですが、厄災ごときで変化できるか?ってことは懸念するところです。

仕事や市場、老後、地域などの未来について、おおまかな想像図を示してくれていて、それに対してどうすれば良いかというヒントを与えてくれます。

しかし先に書いたように、こうした悩ましい不都合な真実の問題が、グルグルと頭の中に留まっているのがせいぜい1ヶ月ぐらいというのが残念なところです。

★★☆

著者別読書感想(河合雅司)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

カタストロフ・マニア(新潮文庫) 島田雅彦

2017年に単行本、2020年に文庫化された予言的なSF小説です。

予言的と書いたのは、その中に出てきた世界中を襲った殺人新型ウイルスの出現と非常事態宣言などは、まだコロナ禍の2年前に書かれた本著で見事に予言をしていたからです。

さらにこの小説では、太陽フレアの爆発により電磁波が発生し地球上の電気通信がすべて異常をきたし使えなくなり、電気が使えなくなると、水道のポンプも動かなくなりインフラが壊滅、原発も冷却できずにメルトダウンし、東京も放射能に侵されていきます。

その太陽フレアの爆発で太陽コロナのプラズマ噴出などの話も出てきますが、太陽コロナと、2019年12月に発生し始めたコロナウイルスとも直接は関係ないですが、コロナという名称が妙に合致していて予言的と言えます。

小説で描かれる時代と舞台は2036年、今から13年後の関東です。

主人公はある医療薬の治験モニターになり、治験中に人工冬眠で眠らされていましたが、目が覚めたら周囲には誰もいなくなっているという異常事態に遭遇します。人工冬眠技術は現在もすでに実用化まで来ていて火星有人探査時に飛行士に施されるという話があります。

その眠らされているあいだに、太陽フレアの爆発で都市機能が完全に失われ、さらに新型ウイルスの流行で、都市部はガラリと変わってしまい、主人公はそうした絶望状態の中でどう生き抜くのか!?という感じ。

昔から無人島への漂流物語とか、ひとり取り残されて生き抜くというスタイルの小説が好きですから、この小説もたいへん面白く読めました。

そう言えば小松左京著の「復活の日」(1964年)とも似ています。あれは核戦争と殺人ウイルスの二重苦でした。主人公はたまたま南極の昭和基地にいて低温に弱いウイルスには罹りませんが、アメリカの核ミサイルが地震に反応して自動発射されると、ソ連の自動反撃核ミサイルが南極にも飛んでくる?ということで、アメリカの核ミサイルの発射を無効化するため生き延びていたアメリカの原子力潜水艦に乗り込みアメリカへ渡るという話でした。

そうした悲劇的な話ですが、主人公が軽く明るく前向きなので、読んでいても暗さはあまり感じません。

著者の小説は12年前に現代の若者を描いた「自由死刑」を、昨年には戦後のドサクサ時代を描いた「退廃姉妹」を読んでいて、そちらもとっても面白かったですが、今回のこの作品とは全く趣の違う内容で、同じ作家さんが書いたと思えないほどでした。有能というか万能な方です。

★★★

著者別読書感想(島田雅彦)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

慈雨(集英社文庫) 柚月裕子

著者の小説は3作目となりますが、今回は前回読んだ「朽ちないサクラ」と同様に警察ものというか、正確には定年退職した元捜査一課の刑事が主人公のシリーズものではない独立した長編小説です。2016年に単行本、2019年に文庫化されています。

主人公は群馬県警に入りますが希望とは違い僻地の村民との関係が難しい駐在所に移動となりますが、そこで起きた事件を苦労して解決したことが認められ、県警本部に異動となって刑事になります。

そこで、幼女殺害事件が起き、容疑者を見つけますが、当時のあまり正確ではないDNA検査でクロとなり、本人はずっと否認したまま逮捕され裁判でも有罪が決まります。

しかし事件直後から長く留守にしていた容疑者の隣人が、その事件のあった日時に容疑者が自宅にいたことを目撃したことが判明し、えん罪の可能性があると上司に報告しますが、DNA検査の信憑性に疑義が出ると他の事件にも影響が出るので再捜査は握りつぶされることになります。

組織を守るため、また自分を守るために上司に抵抗できず、えん罪を見逃した16年前のことをずっと後悔していますが、退職後にその16年前の幼女殺害事件と非常によく似た事件が起きたことで、もしかすると当時見逃した真犯人が起こしたのではないかと苦悩します。

退職後は、仕事で向き合った死者の霊を収めるために妻とともに四国八十八か所霊場めぐりに出掛けますが、現職当時の部下からこの新しい事件捜査に協力して欲しいと頼まれ、お遍路を続けながら電話で連絡をとり続けます。

この小説では、犯人を除いて嫌な人は出てこず、また家庭も順調で、すごく恵まれた主人公です。世の中の半分ぐらいは嫌なヤツと思っているので、これほどいい人ばかりが登場すると、ちょっと真実味が薄れて感じます。

あと、四国お遍路のことも詳しく書かれていて、おそらく実際に現地に赴いて距離感や風景などを身を以て感じられたのでしょう。

★★★

著者別読書感想(柚月裕子)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ブルーアウト(小学館文庫) 鈴木光司

著者の小説は、1990年代に「リング」や「らせん」などホラー小説が大ヒットした頃にたくさん読みましたが、2008年に「アイズ」を読んでから15年間ご無沙汰していました。この小説は、2015年に単行本、2019年に文庫化されています。

昨年、和歌山の潮岬へ行きましたが、そのすぐ近くの紀伊大島にあるトルコ記念館や、トルコ軍艦(エルトゥールル号)遭難慰霊碑があることは知っていました。時間の関係で通り過ぎましたが、もし先にこの小説を読んでいたら、きっと寄っていたでしょう。

著者とホラー小説は望むと望まないとに関わらず、ほぼそうしたイメージが定着していますが、この小説にはホラー要素はなく、現代と台風でエルトゥールル号が串本沖で沈んだ1890年と二つの時代が並行して進行していきます。

主人公は、現代は串本のダイビングショップでインストラクターとして働く若い女性、1890年はエルトゥールル号に乗り込むトルコ海軍のアッメフット大尉です。

エルトゥールル号が串本沖で沈んだという歴史は動かないので、旧式の蒸気と帆船の両方を動力とする大型船が、なぜ台風がやってくることを知りながら、難所である潮岬付近を航行し、遭難することになったのかを忠実に書いてありよく理解できました。

その一方、現代のほうで、トルコから来たダイビング客が実は祖父がエルトゥールル号の生き残りで、その祖父が預かった仲間の遺品(ガラスの小瓶)を探すために潜っているという話は、ちょっと無理矢理のこじつけな感じがしますが、ロマンは感じられます。

もう少し、違ったカタチ、例えばホラーでもファンタジーでも、時代を超えた壮大なロマンスなどを期待しただけに、あまりにもささやかなファンタジーで終わってしまい、そこのところだけはちょっと残念でした。

★★☆

著者別読書感想(鈴木光司)


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