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下流の宴 (文春文庫) 林真理子

毎日新聞に2009年に連載されていた長編小説で、2010年に単行本、2013年に文庫版が出ています。

また2011年にはNHKが黒木瞳主演でテレビドラマを放映していました。その時少し見たのですが、内容は小説とだいぶんと違っている感じです。

小説のストーリーは、両親とも大学卒のひとり息子には最高の教育を与えようと母親は熱心に子育てをしてきましたが、息子はそうした環境に馴染めず高校を中退してしまい、現在はフリーターの生活です。

そしてバイト先で知り合った沖縄出身で単身東京に出てきている女性と知り合い、フリーター同士で半同棲生活に入ってしまいます。見事な下流の宴の序章です。

それを許せない母親はなんとかして別れさせようと、同棲相手に「私は医者の娘で大学卒だ。息子には大学へ行ってもらう。所詮あなたとは住む世界が違う」と罵詈雑言を浴びせかけます。

その言葉にカチンと来た同棲相手の女性が「それなら私は大学の医学部へ入るから、それなら交際を認めてくれるか」と売り言葉に買い言葉。そして周囲の協力を仰ぎながら、彼女の必死の猛勉強が始まるわけです。

結局はこの母親のひとり息子はフリーター生活を続け、母親にとってはなんら解決に至らないわけですが、こうしたことが現在のあちこちで現実に起きているのでしょう。

親の気持ちとして、小説でもテレビドラマでもやや大げさに教育熱心さを表現していますが、これは現代の親なら普通の感覚に近く、「子に残せるのは教育だけ」というのが間違っているとも思えません。

20代の頃は安い元気な労働者としてチヤホヤされ、フリーターとして仕事にあぶれることもないでしょうけど、これが30代、40代になったとき、同じように食っていくだけの収入が継続してあるのか?と言ったら、かなり現実は厳しいものになりそうです。

そうなると親の年金が頼りで、実家住まいのままで、やがて仕事が打ち切られ、中高年になってから学歴は高校中退の中卒で、職歴として書けるのはアルバイトしかなく、まともな仕事には就けず、引きこもってしまうことになってしまいそうです。

なにかそうしたことを考えながら読んでいると、面白くは読めますが、後味はよくない小説です。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

老後に破産しないお金の話 (成美文庫) 大竹のり子

いきなり老後に必要なお金は最低の生活でも3000万円という話しが出て、その時点で読むモチベーションが著しく低下したことはいうまでもありません。

確かにそれだけあれば老後の不安はかなーり解消されるでしょうけど、団塊世代より後の世代で、引退時にローンも終わったうえに3千万円の預貯金がある人なんてそういないでしょ?と思いますが、そうでもないのかなぁ、、、

新卒から大企業や役所で勤務し、子供はひとりだけで、公立へいかせ、お金をかけずに、定年までコツコツと貯金に励み、退職時にはそれなりの退職金をもらってというならば、それも可能でしょう。

でも子供が2~3人いて、私立高校、大学へ通わせれば、もうそれだけで数千万円の費用がかかり、普通の収入レベルでは老後の資金なんてまず貯められません。

また退職金が40年前に入社時の規定通りに支払われるケースがいったいどれほどあるかは知りませんが、役所以外では、そのあたりは大きく変わっています。

そうした実態をあまり知らずに書かれているだけにややトンチンカンな感じを受けます。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) ローレンス・ブロック

1976年に書かれた「マット・スカダー・シリーズ」の記念すべき第1作目となる探偵小説で、翻訳版が日本で発売されたのが1987年と11年経ったあとでした。このシリーズは2015年現在で17作品あります。

主人公は元警察官で、犯人に向けて発砲した際、流れ弾が近くにいた少女に当たってしまい死亡させてしまいました。

そのことはやむを得ない不幸な事故として処理されましたが、自分の気持ちに整理がつかず、アルコール中毒になってしまい、離婚し、警官も退職、その後はフリーで探偵登録をしないまま探偵の仕事を警察の元同僚などから回してもらって生活の糧にしています。

ストーリーは、そうしたマットの元に、刑事から紹介されたと言って、娘をニューヨークで殺された父親が訪ねて来ます。

犯人はすでに逮捕されていますが、なぜ娘は殺されなければならなかったのか?娘はどういう生活を送っていたのか?などを調べて欲しいと頼まれます。

知りたいことがわかるとは限らない、知らなかった方がよいこともあることを警告した上で、それでもいいと了解をとった上で捜査に入ります。

というのもその娘は年齢に似合わず、高級アパートで、いい暮らしをしていて、それは売春をしていたからではないかとマスコミは報じていたことを知っていたからです。

仕事を受けたマットは、娘を殺した犯人として逮捕されていた娘とルームシェアで同居していたゲイの男性の周辺や、娘と仲良かった学生時代の友人などから話しを聞いて回ります。

やがて、娘の複雑な人間関係や、殺したとされる男の当日の不可解な行動などが明らかになっていきます。著者はまだ若い38歳の時の作品(現在は78歳)で、元気はつらつとした中にも奥の深い考えさせるとてもよい作品に仕上がっています。

このシリーズ全17作の中で読んでいないのはあと1作「すべては死にゆく」を残すのみとなりました(たぶん)。でもなぜかこの作品だけは2005年の作品ですが文庫化がされていないんですよね。

★★★

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫) 山田詠美

「蝶々の纏足」は1987年、「風葬の教室」は1988年に初出で、それらをまとめて1冊にした文庫版は1997年に発刊されています。

文庫版で20年前、初出からはもう30年という年月が経っているのですね。そんな古い小説だとは知りませんでした。

「蝶々の纏足」、「風葬の教室」、「こぎつねこん」といういずれも多感な思春期を迎える女子学生を主人にした甘酸っぱい3作品の短編集です。

なるほどこれは男性の作家にはまず書けそうもない、想像もできない作品に仕上がっていて、おっさんが読んでもなにか古典作品を読むような感じで読めてしまいます。ちょっとあまりにも現実とかけ離れていて、印象が薄い感じではありますが。

そういえば昔の転校生っていうと、なにか特別な感じがしたなぁって思いました。

うまくすぐに溶け込める人もいれば、馴染む間もなくまた引っ越してしまう人もいたりして、転校の経験がない私にとって転校するという大イベントについてまったく無知でした。

特にいじめ問題が頻発している現代の学校では、こうした転校にまつわる転校生の感情の機微について、こうした作品を読むことでしか知り得なかったことです。

★★☆

著者別読書感想(山田詠美)

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漱石先生の事件簿 猫の巻 (角川文庫) 柳広司

2007年に単行本、2010年に文庫化された連作短編小説です。収録作品は「吾輩は猫でない?」、「猫は踊る」、「泥棒と鼻恋」、「矯風演芸会」、「落雲館大戦争」、「春風影裏に猫が家出する」の6編です。

猫ブームでもあり、また今年は夏目漱石生誕150年という節目でもあり、その二つにあやかって、、、ということではありませんが、気になって読んでみました。

小説の中に出てくる夏目漱石と言うと、「神様のカルテ」(夏川草介著)の主人公栗原一止が、草枕を暗唱できるぐらいに敬愛し、いつも漱石の文庫本を持っているという設定を思い出します。

この小説では、漱石の作品がどうのということではなく、英語教師として大学で教えている漱石に師事する若い書生が主人公で、漱石の周りで起きる様々な事件の謎をこの書生が解いていくという内容です。

なのでタイトルからするとまるで漱石自身が探偵のように見えますが、実はそうではありません。

物語の時代は、英国留学から帰国し、友人の高浜虚子に勧められて書いた『吾輩は猫である』を「ホトトギス」に発表した1904年(明治37年)の頃の話となっています。

★★☆

著者別読書感想(柳広司)


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