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2018年問題がそろそろ世間を賑わしてきています。

2018年問題とは今回テーマにする有期雇用者に対する無期雇用に転換できる労働契約のことですが、その他にも、学校関係者にとっては、横ばいが続いていた18歳人口が減少に転じ、学生奪い合いが熾烈になってくる問題とも言われています。

少子化の話しはさておき、ご存じ?の通り労働関連の2018年問題は、2013年に改正された労働契約法で、5年以上の有期雇用契約者(派遣や契約社員等)に対し、無期雇用契約に移行できる「無期転換」の申し込み権が発生するというルールが、2013年の施行でリセットされてから5年経過する今年2018年にその該当者が初めて現れるってわけです。

もちろん派遣社員や契約社員の人が、希望をしなければ(行使しなければ)そのまま有期雇用のままでいられますが、先々のことを考えると無期雇用に変更するメリットもありそうで、そこで示される条件等にもよりますが、おそらく該当する人の半数ぐらいは申し込みをしそうです(単なる予想)。

で、企業側はというと、従来の正社員の無期雇用と、契約社員や派遣社員、パート、アルバイトの有期雇用とでうまく労働力需給をバランスさせてきましたので、その一角が崩れることで、様々な対策を取り始めています。

ひとつは、権利発生の5年に達する前に雇用契約を終了させる雇い止め。過去何十年と契約社員などで契約を繰り返して働いてきた人もこの雇い止めにかかってしまうと、対処のしようがありません。この法律ができたことで、雇用側、雇用者側の双方にとって不幸なことが出現することになります。

3カ月更新の契約で17年、突然の「雇い止め」 58歳派遣社員の思いは(HUFFPOST)
3カ月契約という細切れの更新を繰り返しながら、2001年から同じ会社で17年近く事務の仕事を担ってきた。手取り22万円の給料。賞与、交通費、退職金なし。これで2人の子どもを育ててきたシングルマザーだ。だが、10月30日、突然「契約終了」を告げられた。

20代や30代と言った若い人なら、雇い止めにあっても今の人手不足の状態なら、(仕事内容や条件を選ばなければ)すぐに次の仕事は決まるでしょうけど、40代以上の人や、東京オリンピック景気が終わって求人が減ってしまうとどうなるかですね。

次に、企業側が、無期雇用の契約社員を受け入れる代わりに、新たな無期雇用の契約社員等の規則を制定し、無期雇用に転換する際に、そのリスク負担を労働者側に負わせることがあるでしょう。

つまり、無期雇用前提の正社員でも、採用時に地域限定正社員とかあるように、ある条件下においては雇用を維持するが、その条件が崩れると雇用は維持しないというような免責のようなものです。簡単に言えば、昔よくあった、総合職と一般職のような区分だったり、最近よく見かける職種限定採用のようなパターンです。

例えばレジ打ちの契約社員が職種限定で無期雇用となった場合、将来、無人レジが普及して、レジ打ちがなくなった場合、あるいは小売店から業転し、通販のみとなった場合など、レジ打ちの契約社員は解雇が可能となるような契約です。

この無期雇用で守られるのがどの程度のものか、法律的にどうかはまだ判例もないのでわかりませんが、変化し続けなければ生き残れない企業にとっては、様々な対応を考えてくるでしょう。

その他、企業側が取り得るケースが説明されているのが下記の記事です。

2018年に大量発生する「無期契約社員」はどんな社員か?(PRESIDENT Online)
 有期社員の無期転換に備えた5つの対応策
 (1)雇止め:有期契約が5年を超えないように契約終了する。
 (2)無期契約社員化(処遇条件変更なし):給与など条件を変えず、無期契約にする。
 (3)無期契約社員化(処遇条件改善):給与など条件を引き上げ、無期契約にする。
 (4)限定正社員化:勤務地、職務、時間などを限定した正社員に転換する。
 (5)正社員化:完全に正社員に転換する。

ただ、企業側として悩ましいのが現在は空前の人手不足で、売り手市場だけに、優秀な契約社員等有期雇用者にはなんとしても残ってもらいたい気持ちがあり、そうした無期雇用転換や、さらに進めて正社員としての採用などとの間で葛藤が続いていることです。

いくつかの企業がパートや契約社員全員を正社員に切り替えたなんて話しが出ていますが、今の景気がいつまでも続くとは誰も思ってなく、特に東京オリンピックが終わった頃から一気にその反動がくるはずと、過去のオリンピックの開催国の状態をみてわかります。

それゆえに今まで景気と需給に応じた労働力の調整弁としてきた有期雇用者の存在がありがたかったわけですが、それに制約ができたということで、しばらく雇用環境において混乱が起きそうです。

そして契約社員と言えば、忘れてはいけないのが意外と多い役所です。

ハローワーク(職安)は、職員の半数以上、窓口業務にいたっては9割が契約社員と言われています。ハロワで真剣に正社員の仕事探しをして、そこの職員に相談しても、その職員自身が公務員とはいえ不安定な1年契約の有期雇用者だったりしますので、笑っちゃいけませんが笑えます。

定年を過ぎ、天下り的に別の役所で契約社員として働いている人は別として、自分の身分(仕事)が安定していないのに、他人の安定した仕事のお世話がどこまでできるのか?って考えてしまいます。

またハロワで職員として働いていた人(契約社員)が、5年を経過する前に雇い止めに遭い、今度は自分のためにハロワで仕事を探す羽目になったという話しも漏れ伝わってきます。

派遣社員の場合は、派遣先(勤務先)と派遣元(雇用先)とふたつの会社と関係があり、この労働契約はもっとややこしいことになっています。書くと長くなるので、詳しくはお調べください。

2018年問題とは?改正労働契約法と改正派遣法による有期雇用労働者の問題(kaonavi)

2018年問題とは?派遣に関わる法改正の諸問題を徹底解説(人材採用・人材募集ドットコム)

いずれにしても、今までは企業や役所の正社員や正職員の雇用を維持するため、体よく使われてきた契約社員や派遣社員、パート、アルバイトの長期勤務者が、現在の所属先によって、正社員や無期雇用に転換できるか、それとも雇い止めや条件付き雇用契約になってしまうか、長期間勤続している非正規雇用の人達にとって大きな分かれ道となることは間違いなさそうです。


【関連リンク】
1010 不本意な非正規雇用とその実態
944 派遣法改正について様々な見解
890 非正規問題の真実
804 高齢就業者と非正規雇用
717 非正規から正規雇用への転換策
606 正社員の解雇には2千万円かかる!それホント?



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