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反逆 (講談社文庫)(上)(下) 遠藤周作

1988年から1989年にかけて読売新聞に連載され、1989年に単行本として出版された時代小説です。その後に出版された「決戦の時」(1991年)、「男の一生」(1991年)と3つ併せて戦国3部作と呼ばれています。

同じく戦国時代の小西行長と加藤清正を描いた「宿敵」(1985年)はどうなるのって気もしますが、そのうちに全部読みたいと思います。

この小説の元となったのは、1959年に発見されたという戦国時代に尾張の前野家が記した「武功夜話」で、そのほか戦国時代を知るための定本となっている「信長公記」や、「フロイス日本史」なども参考にして書かれています。

主人公は、前半は信長に一度は仕えたものの、その残虐さや理不尽さに恐怖と嫌悪を感じ、信長と敵対する毛利勢が援軍に来てくれると信じ、反旗を翻した荒木村重とその家臣竹井藤蔵ら、後半は同じく信長に対して謀反を起こした明智光秀、そして信長亡き後天下統一にひた走る豊臣秀吉と対立した柴田勝家などと、時代の寵児に逆らって英雄になり損ねた戦国時代の武士をメインに置いた小説となっています。

特によく出てくる戦国時代小説と違ったところはありませんが、どちらかと言えば、戦国初心者にもよくわかるように、ところどころで、出典となった作品のことや、著者の感想や推測などが散りばめられています。

なので、もう十分に戦国時代のことには精通しているという人にはあまり面白くないというか、もっと別の視点や歴史書からすると違った解釈ができるのではないかという疑問が出てきたりするでしょう。

あとは、時代の寵児信長や秀吉メインの作品ではなく、その周囲にいて蹴散らされた多くの武士や大名達の視点でみた戦国時代というので読む価値があり、納得できます。

★★☆

著者別読書感想(遠藤周作)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

死にたくないが、生きたくもない。 (幻冬舎新書) 小浜逸郎

昨年読んだ「なぜ人を殺してはいけないのか」(2000年)の著者で、数多くの評論や著書を出している団塊世代ど真ん中の大学教授兼評論家です。

この本が出たのが2006年ですので、今から11年前のことです。つまり著者自身が59歳と、今の私と同じ還暦の一歩手前の頃です。

この年代で考えることと言えば同じで、定年後の生活、老後の収入と支出、健康、老いと死あたりでしょうか。20代、30代の頃にはまず考える事がないことばかりです。

そしてこの年代はまだ身体もそこそこは健康ですので、死ぬときは延命などせずにコロッと死にたいという願望を必ずと言っていいほど言います。この本でもそのようなことが書かれています。

ところが実際に心身とも弱って死の淵に立つと、少しでも延命したいと願うのは人間の弱さでもあります。そういうところを突っ込んで書いてもらいたかったですね。

実際に元気なうちに書いた「延命措置は不要」という書き置きも、その後数十年が経ち、寝たきりになった状態で、本人に再度確認すると、「延命処置をして欲しい」と言うのだそうです。

著者もこれを書いて11年後の今はまだその気持ちに変わりはないかも知れませんが、さらにあと10年生きて、そろそろ足腰が弱り、気弱になってきたところで、気持ちが変わらないとは言いきれません。

若い人が年金を未納にして「将来もらえるかもわからないので不要」と言いつつ、年金がもらえる年代になったら「年金は欲しい、なんとかしろ、ダメなら生活保護費をくれ」と言うのと同じではないけれど似ていますね。

高齢になってからの生き死については、久坂部羊著「日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか」がお勧めです。 

そのほかにも老齢の恋愛や、お仕着せの高齢者対策など、これから高齢者になっていくための心がけについて幅広く書かれていてそれなりにためになります。

最近曾野綾子氏の著書と言い、そういうのを読むことが多くなってきたことも、高齢者の仲間入り目前ということなのかもね。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

黒警 (朝日文庫) 月村了衛

この作家さんの小説は初めて読みます。この作品は単行本が2013年、文庫版が2016年に発刊されています。

著者の作品にSF小説が多いというのは知っていたので、この小説もその系統かなと思っていましたが、まったく違い、いわゆる刑事もので警察小説でした。

長いものには巻かれろ的でやる気が出ないサラリーマン刑事が主人公で、過去には飲酒運転中だったために新宿の繁華街で助けを求めてきた外国人女性を助けず、男達に連れ去られるのを放置したことがあり、その場面を苦々しく見ていた武闘派のヤクザ幹部と妙な腐れ縁ができています。

外国人労働者を積極的に入れようとする警視庁の幹部と人身売買に手を染める中国マフィアや日本の暴力団組織との関係を知ることになりますが、人身売買の実態をよく知る女性の身を守るために預かった武闘派ヤクザはその女性共々殺されてしまい、やむなく人身売買を嫌悪する謎の集団幹部と義兄弟になり、悪事に走る警視庁幹部を罠にかけていくというストーリー。

最後はあまりにも単純、軽薄すぎて、しかも後味はあまりよくないですが、少し長めの中編と言ったページ数なので、あまり込み入った内容には出来ず、やむを得ないのかも。

たぶん同じ主人公で続編が作られそうな感じ(根拠はありません)なので、それにも期待したいところです。

★☆☆

著者別読書感想(月村了衛)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ドローン・コマンド 尖閣激突! (角川文庫) マイク・メイデン

2016年に出版されたタイムリーさが売りの長編小説です。というのも数々の最新の武器や兵器が登場してきますが、そうしたものも数年も経てば古臭い技術や間違った理解となりますので、この手の小説は難しいものです。

タイトルにもありますように、いま世界的には民間でも軍事目的でもドローンがブームで、うまくそれにのっかって、ドローンや自動化された無人機、無人船などを利用し、公然と南洋進出を狙い、尖閣諸島の奪取を狙う中国との情報戦を想定して書かれています。

著者は日本に在住経験が豊富な人かと思ったら、そうではなくアメリカの大学で政治学を学び、国際関係コンサルティングなどを職としている人で、従って日本の知識と言えば、実際に見て自らが経験してきた話しではなく、歴史書やニュースなどを参考にして書いたという感じで、総じて極右政治家、大物ヤクザ、特攻隊、切腹と国民など、ステレオタイプ的な古風な日本人像というのが残念なところです。ま、一概に外れているとは言えませんけど。

ドローンが今後の戦争や紛争にどこまで効果があるのかはよくわかりませんが、現在、人が乗った戦闘機や偵察機がスクランブルをかけているのを、それこそ24時間体制でドローンが警戒、監視という役目を果たせるようになればそれはそれで大きな戦術転換が可能かも知れませんね。

ただこの小説では勝敗のキーはドローンではなく、最終的にはネットワーク侵入とそれによる妨害という点が実際的なのかも知れません。

この小説に書かれているようなシナリオではないとしても、年々軍備を増強する中国や北朝鮮が、作ったからには一度はそれらを使ってみたいと考える指導者や軍幹部が出てこないとも限りません。

憲法改正とか政治的な問題をここで言うわけではありませんが、日本も国際的なバランスに則った対応が迫られてきているように感じました。

★★☆

【関連リンク】
 6月前半の読書 本日は、お日柄もよく、巨人たちの星、ぼくらの民主主義なんだぜ、戦艦大和
 5月後半の読書 バランスが肝心、獄窓記、十字架、碇星、ようこそ、わが家へ
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1134
本日は、お日柄もよく (徳間文庫) 原田マハ

2006年に「カフーを待ちわびて」でデビューした著者の2010年発表の小説です。

私はこの著者の作品を読むのはこれが初めてですが、すでに2012年の作品で山本周五郎賞を受賞、直木賞にもノミネートされて評価の高い「楽園のカンヴァス」はもう手に入れてます。

著者は現在はフリーの美術品キュレーターの仕事をしつつ執筆ということのようですが、当然にそうした美術工芸品等をテーマにした作品が上記の「楽園のカンヴァス」など多そうです。

今回の作品はそうしたキュレーターの仕事とは関係がなく、スピーチライターという珍しい職業がテーマです。

スピーチライターというと有名なのはアメリカ大統領(候補)が演説をする際に、心に響くメッセージをちりばめて演説を聴いた人に感動を与えるスピーチ原稿を作成する人というのでしょうか、日本においても政治家や著名企業のトップなど、専門のスピーチライターを置いているケースがあるようです。

一種ゴーストライターと同様、裏方に徹する仕事ですから、作家やコピーライターのように陽の目を見ることはまずありません。

主人公は製菓会社のOLで、友人の結婚式に出席しますが、そこで人の退屈なスピーチ中に大きな失態をしてしまいます。その式場で知り合った伝説のスピーチライターに出会い、感動を与えるスピーチを教わっていくことになります。

幼なじみで憧れていた男性が親の遺志を継いで代議士に立候補することとなり、勤めていた会社を辞めて、本気でスピーチライターとして転身していくという女性の転職立身出世物語というべきものでしょうか。ま、話し的にはライトな小説ですから大甘で現実感はまったく感じられませんが、、、

最近は「お仕事小説」というジャンルができるぐらい、こうしたあまり陽があたらず知られていない職業を紹介して興味を引いてもらうという作品が次々と出てきています。ニーズもあり、また興味を持ってもらいたいという要望もあったりして取材もしやすいのでしょう。

今なら最高に人手が不足している介護業界や保育業界において、キツイ、汚い、給料安いの3Kを打ち破り、夢のシンデレラになれるような素敵なお仕事小説を待ちわびていることでしょう。

「お仕事小説」で有名なところでは、「和菓子のアン(和菓子屋)」坂木司、「あぽやん (旅行会社空港カウンター)」新野剛志、「神去なあなあ日常(林業)」「舟を編む(出版社編集部)」三浦しをん、「県庁おもてなし課(役所観光課)」「空飛ぶ広報室(自衛隊広報室)」有川浩、「鎮火報(消防署員)」日月恩などがあります。そのほか、作家や銀行員、医者、警察官を主人公にした小説は星の数ほどあります。

これからも人手不足の折、こうしたお仕事小説でブレークするなら、有名な作家さんにお金を出してでも「書いて欲しい!」っていう業界団体などが出てきても不思議ではありませんね。

まずは人材不足の介護業界、保育業界、建設労働者組合、飲食店従業員組合、旅館業界などからやってみてはどうでしょう。

★☆☆

著者別読書感想(原田マハ)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3)) ジェイムズ・P・ホーガン

すっかりこのSFに虜となった「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」の続編で1981年に出版されました。

物語は複雑で、なかなかちゃんと理解できていない部分もありますが、大雑把に書けば、

星を継ぐもの
近未来、人類が太陽系の惑星を探検するようになってから、月面の裏の洞窟に、5万年前のものと思われる宇宙服を着た人間の遺体を発見。

また木星の周囲を回るガニメデという衛星で、2千500万年前のものと思われる宇宙船を発見します。その月面の人類と木星の宇宙船とはどういう関連があるのか?月はどうして地球の衛星となったのかという謎を解いていきます。

ガニメデの優しい巨人
2500万年前には太陽系にミネルバという惑星があり、その惑星の痕跡として残るのが、木星の衛星ガニメデだということが推測されます。

そこで発見された宇宙船からは巨大な知的生物の痕跡と、地球の生物のサンプルが見つかります。それを調べているところに、突然巨大な宇宙船が冥王星の彼方からミネルバが元々あった場所へとやってきます。人類初の異星人との遭遇です。

高度に発達した異星人とコンタクトをとり、お互いに敵意がないことを確認し、宇宙船を地球へ招待します。

この宇宙船は、2500万年前に木星近くにあったミネルバから移住先の調査のため飛び立った宇宙船で、途中で故障して宇宙をさまよった結果、宇宙の時差の関係で、地球の時間で20年後に戻ってみると2500万年が過ぎ去っていて、すでに飛び立った母星ミネルバは破壊されなくなっていたということです。

人類はこの優れた技術をもった異星人を歓迎しますが、修理を終えた宇宙船はわずかな可能性にかけ、2500万年前に祖先が移住したと思われる星へ向かうことになります。

そして、今回のストーリーは、2500万年前に破壊される前のミネルバから移住した先、テュリオスが舞台となります。

「ガニメデの優しい巨人」で地球人と出会ったガニメデ人は祖先が住むと思われる星、テュリオスへ向かい、無事到達することができます。

一方そのテュリオスのテューリアンからも地球へメッセージが届けられ、使者が送られますが、国連もテュリオス人もなにか問題を抱えている謎が深まります。その地球人とテューリアンとの遠い祖先に関わる根深い問題とは、、、って感じです。

こうして3話を読み終えると、想像を超える壮大な宇宙ドラマが展開され、丁寧に読んでいないせいか所々は不明なこともありますが、それはさておきガンダムシリーズや宇宙戦艦ヤマトなどとも共通する良質なSFという理解です。

この後、「内なる宇宙」がさらに続きますが、少し今はお腹がいっぱいなので、少し時間をおいてからにします。

★★★

著者別読書感想(ジェイムズ・P・ホーガン)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ぼくらの民主主義なんだぜ (朝日新書) 高橋源一郎

朝日新聞に連載された「論壇時評」の2011年4月から2015年3月をまとめたものです。

連載開始が2011年4月というのがポイントで、あの東日本大震災及び福島原発事故により、日本の社会、政治、生活、価値観が大きく変わったターニングポイントと何年か先にはきっと語られるようになるであろう、そのまっただ中に、やや左寄りとは言われているものの、そこは世界でも有数の発行部数を誇っている朝日新聞紙上で、慰安婦問題など同紙への批判も含めたエッセイ的な内容で、気楽に読めます。

話しの中心にははやりそのときのご時世から「原発問題」が中心で度々登場してきます。ただ、発言や書籍等を引用している人が、個人的には嫌悪している低俗というか信頼の置けない人が多いというのが率直な私の感想です。

また朝日新聞を批判している文章もあれば、朝日新聞となにか歩調を合わせているなぁって思える左巻きな思想もチラホラと出現し、やっぱり根っからの朝日新聞読者が賛同する内容なのだろうなぁて思われます。

そういう私自身も小学生の頃から、朝日新聞一色で(大学時代に地方新聞や日経新聞、社会人になってから、1年間の名古屋勤務時代には中日新聞がメインとなった事はありますが)、根っからの朝日新聞派だと思っていましたが、どうも本書を読んでいると、これらの文章が若い人向けに書かれている印象があり、違和感がつきまといます。

朝日党に違和感を感じさせるというのが狙いだったのかもしれませんが、残念ながら新聞、しかもテレビ欄やスポーツ面ではなく、こうした「論壇時評」まで熟読している人は、もう高齢者以外考えられず、ちょっと狙いが違っていないか?って気もします。でもまぁ、いいこともいっぱい書かれていて面白く読めました。

少し前から「意識高い系」という言葉が広まっていますが、いつの時代にもそういう人達はいて、さしずめ1990年代にこの著者の本を並べていた人なんかはそれに近いものがあるでしょう。今ならホリエモンやちきりん、荻上チキ、古市憲寿などの著書を並べている人ということでしょう。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

戦艦大和 (角川文庫) 吉田満

この戦記は、戦後まもなく吉川英治の勧めで執筆され、1946年に雑誌に掲載される予定だったのが、GHQの検閲で出版ができず、1951年のサンフランシスコ講和条約後の1952年になってようやく出版ができたという「戦艦大和ノ最期」を元としています。

当初はノンフィクションだと思っていましたが、生き残った他人に聞いた話や、著者の推測や想像で書かれた部分も混じっているようで、公式にはノンフィクションではなく戦記文学のジャンルに入るようです。

著者は東京帝大在校中に学徒出陣で戦艦大和に乗艦し、刀折れ矢尽きた日本帝国が決めた無謀な沖縄特攻作戦「天一号作戦」に臨むこととなり、壮絶な大和の撃沈とともに海に投げ出され、その後奇跡的に救われ帰還した数少ないひとりです。

内容は、淡々と出撃に至った状況と、最後の帝国海軍の艦隊として出航後まもなく暫時攻撃に遭い、次々と仲間を失い、大和が沈むと判明した後には艦隊の司令長官でもある大和艦長は沖縄への特攻指令を中止し、帰還する命令を出して艦長室に入っていったことなど、艦橋近くにいた著者でなければわからない艦内の状況が描かれます。

もしその時艦隊司令長官から特攻の中止命令が出されていなかったら、戦闘で生き残った数隻の巡洋艦や駆逐艦は救助した大和の乗組員を乗せたまま、沖縄への特攻が継続され、全員が亡くなっていたかも知れません。

米軍から何十回と空からの反復攻撃を受け、大和の傾きが限界まで達し、著者他多くの乗員は海に放り出され、巨大なスクリューに巻き込まれそうになりながらも、生き残って海面に浮き出ます。

海に浮かぶ大量の重油にまみれ、鱶(ふか)に襲われ、力尽きて沈んでいく同僚達を見ながら、やがては自分も海の藻屑に消えるものと確信していたら、近くに傷つきながらも持ちこたえた駆逐艦に救われます。

ただそのシーンでも、部下を海から艦へ押しあげて、自分は力尽きて見えなくなってしまう上官や、すでに救助者で満員となった救援ボート(内火艇)に群がってくる大和の乗員達を、ボートが転覆しないようにするため軍刀で切りつけるという悲惨なことがおこなわれます。

情景を思いながら読んでいると、涙なくして読めないです。

その貴重な実体験に基づく戦記とともに、この作品が戦後GHQや評論家に思わぬ妨害や非難を受けることになった話しや、その後出版にこぎ着けるまでの経緯など、散文が付け加えられています。

若い人はこうした過去の追い詰められた日本の汚点とも言える特攻を、国や愛する人のために命を捧げるという美点としか見ない人もいるでしょうから、どれほど多くの人が召集令状1枚で無駄死にをし、その家族が苦渋の涙を流したことか、この作品を読むことで多少は考えさせられるでしょう。

まもなく、なにも成すことなく死んでいく中高年(私のことです)ではなく、これからなんでもできるし、大きな事を成すこともまだできる若い人にぜひ読んでもらいたい作品です。

★★★


【関連リンク】
 5月後半の読書 バランスが肝心、獄窓記、十字架、碇星、ようこそ、わが家へ
 5月前半の読書 他人を見下す若者たち、八月の六日間、氷の華、愛と名誉のために、顔に降りかかる雨
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1130
バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作集2 ローレンス・ブロック

1993年(翻訳版は1994年)の短編集で、18編の小ネタが載っています。その中のひとつ「バッグ・レディの死」という短編が著者の大ヒットシリーズ「マット・スカダー」が登場する作品となっています。

「バッグ・レディ」とは、大きなバッグに財産すべてを入れて持ち歩いている、いわゆるホームレス女性のことです。

ホームレスですがそれなりの財産は持っている女性で、その女性が何者かに殺されて亡くなったあと、遺書から自分が死んだとき、マットやその他何人かの知り合いに遺産を分けて支払うという文書が見つかり、弁護士がやってきて小切手で受け取ることになります。

そしてそのお金は「自分の死について調べて欲しい」というメッセージだろうと解釈し、殺害されるに至った経緯や犯人を突き止めていくというストーリーです。

短編ですので、テンポが速く、登場人物も限られていますが、通り魔の犯行なのか、それともなにか怨恨があったのか、警察もホームレスの死ということで本気で捜査はおこなわれておらず、なかなか真相に迫れず、終盤になってから急転直下真相にたどり着くというかなり忙しい感じです。

著者は上記のように「マット・スカダーシリーズ」や「泥棒バーニイ・シリーズ」などの長編作品が多く、この短編集は副題に「ローレンス・ブロック傑作集2」とあるように、「おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1」に続く2番目の短篇集とのことです。

著者の短編はこれら以外にも、「殺し屋屋ケラー・シリーズ」の中でも連作短編という形で存在しています。

この短編集に収録されている作品は、「雲を消した少年」「狂気の行方」「危険な稼業」「処女とコニャック」「経験」「週末の客」「それもまた立派な強請」「人生の折り返し点」「マロリイ・クイーンの死」「今日はそんな日」「安らかに眠れ、レオ・ヤングダール」「バランスが肝心」「ホット・アイズ、コールド・アイズ」「最期に笑みを」「風変わりな人質」「エイレングラフの取り決め」「カシャッ!」「逃げるが勝ち?」「バッグ・レディの死」の18編です。

正直に言うと、面白いものもあれば、さっぱりなものもあり、玉石混淆って感じです。「殺し屋屋ケラー・シリーズ」の連作短編はそれなりに楽しめましたが、こうした1話完結の短編集については、やや出来不出来の幅が大きいという印象です。

実はこのローレンス・ブロックの作品を最初に読んだのが1993年に読んだ短編集「おかしなことを聞くね」で、それ以来著者のファンになり、上記の「マット・スカダーシリーズ」や「殺し屋屋ケラー・シリーズ」のほぼすべてを読むことになります。本来は短編の名手とも言われているので、面白くないという感覚は、読み手側の責任もあるかもですね。

今回の短編は短編集第1作目の「おかしなことを聞くね」の出来がとても良く、もっと大きな期待をしていただけに、ちょっと残念な感じでした。

★☆☆

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

獄窓記 (新潮文庫) 山本譲司

年のせいにはしたくないのですが、5年前にこの本を読んでいたのに、まったく気がつかず最後まで読みきりました。

2012年4月後半の読書の感想」で、あらましを書いています。

感想としては、あらためて今回読み返した(事実上は初めて読んだ感じ)ところでは、上記ブログで書いたことと変わりませんので、割愛させていただきます。

この著者はその後2012年には「覚醒」という小説を上梓されています。まだ単行本しか出ていないので、文庫になれば買って読みたいと思います。

あぁ、しかし我ながら情けない、、、

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

十字架 (講談社文庫) 重松 清

2009年単行本、2012年に文庫化された長編小説で、2010年に吉川英治文学賞を受賞した作品です。

筆者の作品は好きでよく読みますが、それにしても多作家で、次々と作品が出てくるものだからとてもすべては読んでいません。

以前からテレビのコメンテーターとして見かけることもあり、そうした多忙な中、よくこれほどに創作意欲がわくものだと感心しきりです。

読んだ小説は、数えてみると14タイトルありましたが、Amazonに登録されている著者の文庫だけで100タイトル以上ありますから、実質的に著者の作品の1割ちょっとしか読んでいないということでしょう。

過去に読んだ筆者の作品の中では「疾走」「その日のまえに」「ビタミンF」(直木賞受賞)「哀愁的東京」などが良かったかな。

基本的には「家族」や「定年後のオヤジ」「子供と父親」「幼なじみと友情」と言った割と軽い、懐かしさや郷愁を誘うテーマが多い感じです。

さて、この作品は、同級生がイジメを苦にして自殺しますが、そのイジメを見て見ぬふりしていた幼なじみの同級生や淡い恋をしていた相手の子が背負ってしまったトラウマというか十字架がテーマとなっています。

学校などでのイジメ問題が社会問題化してもう相当長いですが、小説にもこうしたイジメ問題はよく出てきますね。学園ものにはもう不可欠になっていると言えます。

自殺した子供の父親は、イジメをした同級生だけでなく、それを見過ごしてきた担任教師や同じクラスの子供に対しても反感を持ち続け、マスコミを利用して非難を続け責任を問い続けます。

私なら「それなら親の責任はどうなんだ?」「死にたいほど困ったことが話せない家庭に責任はないのか?」と真っ先に反発するところですが、なぜかそうしたところは無視されていますね。

ちょっと感動的に盛り上げていこうというところにわざとらしさが感じられ、著者の作品としてはちょっとどうなのかなぁって思わざるを得ません。多作しているとどうしてもあまり深掘りはせずに、ついそれでも通用してしまうテクニックに走ってしまうのでしょうかねぇ、、、

★☆☆

著者別読書感想(重松清)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

碇星 (中公文庫) 吉村昭

1999年に単行本、2002年に文庫化された短編集で、「飲み友達」「喫煙コーナー」「花火」「受話器」「牛乳瓶」「寒牡丹」「光る干潟」「碇星」の8篇が収められています。

著者の作品は過去に10タイトルほど読みましたが、歴史もの、時代もの、戦争もの、現代もの、事件、紀行、人物記、随筆など含め、ざっと数えただけでも140近い作品があり、今まで外れだったことがない秀作そろいで、今後折に触れて他の作品も読んでいきたいと思っています。

タイトルの碇星(いかりぼし)とは、「カシオペア座の W 形の五星を碇に見たてた和名」(大辞林)ということです。

その「碇星」はある会社の中で葬儀専門部署に配属になった嘱託社員の話し、「喫煙コーナー」は定年後どこにも行く当てがない高齢者が大きなショッピングセンターの喫煙コーナーへ毎日集まってくるという話し、人生の哀愁を帯びた話しが多く高齢化社会に向けた「すぐそばにある現実」を思い知らされます。

とは言うものの、いつもの長編とは勝手が違ってか、それとも読み手の読解力不足のせいか、いまいちすっきりした結末とはほど遠く、なにかもや~としたものが残ってしまいます。ちょっと尻切れトンボみたいな終わり方も多くて、、、

作家的には、こうした短編を膨らませて長編小説に仕上げたりする人もいるのでしょけど、元々長編小説に手練れた作家さんはやはり長編が一番似合います。

★★☆

著者別読書感想(吉村昭)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ようこそ、わが家へ (小学館文庫) 池井戸潤

ミーハー的には「半沢直樹シリーズ」で、文学少年少女的には直木賞を受賞した「下町ロケット」で、そして社会派としては「鉄の骨」や「空飛ぶタイヤ」で、それぞれよく知られた銀行出身の売れっ子作家さんの文庫オリジナル作品で2013年に発表されました。

いずれも元銀行員という仕事を通じてなじみのある企業あるいはビジネス小説が多い作家さんなのですが、この小説はそれらとは一線を画しタイトルからもわかるように「家族」が主たるテーマになっています。

と言っても主人公の一家の主は銀行マンで中小企業へ出向していて、その会社で不正を見つけたものの、所詮は外様という軋轢との戦いがあり、そうしたところは著者の最も得意とするところです。

その主人公は通勤途中で電車に割り込みをしてきた男に勇気を絞って注意をします。それがきっかけとなり、自宅への嫌がらせが始まり、エスカレートしていくという、重苦しい話しです。

しかし、通称イヤミス(イヤな気分になるミステリー)の湊かなえ氏や沼田まほかる氏の小説とは違って、両親と二人の子供の4人家族の関係は極めて良好で、一緒に協力しあって犯人を突き止めようとするなど、著者の性格が反映しているかなと思われます。

そして勤務先の中小企業にも、自宅への嫌がらせにも、最後に意外な展開が見られましたが、なかなかストレートなビジネス&ファミリー小説と言えるでしょう。

★★☆

著者別読書感想(池井戸潤)


【関連リンク】
 5月前半の読書 他人を見下す若者たち、八月の六日間、氷の華、愛と名誉のために、顔に降りかかる雨
 4月後半の読書 一九八四年、ガニメデの優しい巨人、老いの才覚、旅のラゴス、ソロモンの犬
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党

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1127
好きな探偵小説というと、レイモンド・チャンドラー「フィリップ・マーロウシリーズ」やロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」、マイクル・コナリー「ハリー・ボッシュシリーズ」、原りょう「沢崎シリーズ」などと並んで、このローレンス・ブロックの「マット・スカダーシリーズ」を外すわけにはいきません。
 
 原作「獣たちの墓」)2014年米 今回はそのアル中探偵「マット・スカダーシリーズ」について、長編・短編ともほぼすべて(手に入りにくい2冊を除き)を読み終えたことで、備忘録として書いておきます。

フィリップ・マーロウはロサンジェルス、ハリー・ボッシュもロサンゼルス、スペンサーはボストンで、沢崎は東京、そしてマット・スカダーはニューヨークが活躍の舞台です。

これは著者が長く住んでいる場所がその活躍の舞台となるのは仕方がないとして、やはり大都会でなければ成立しない職業なのは自然の摂理です。

マット・スカダーも他の多くの探偵と同様、元警察官で(マーロウとスペンサーは検事局捜査官出身)は、事情があって退官したあと、生活費を稼ぐためにひとりで探偵を始めています。

マット・スカダーの前に接頭辞のごとく付く「アル中探偵」「酔いどれ探偵」とは、結果的に警官を辞めることとなった誤射事故で、犯人逮捕の際に撃った弾が跳弾して小さな子供に当たってしまうという悲劇から立ち直れず、警官時代からアル中になりいつも酒を浴びていたという名残りです。

タイトルに「元」と入れたのは途中からはすっかりアルコールが抜けて、色っぽいガールフレンドから酒を勧められても毅然と断り、ニューヨークの深夜バーでコーヒーを飲むことができるようになります。なので、私の中ではもう「アル中」ではないので「元」を入れたわけ。

しかし途中までは正体をなくすまで飲み続ける生活からなんとか脱しようとAA協会(Alco- holics Anonymous アルコーリックス・アノニマス、匿名酒害者協会)の会合へ毎日のように通い、その苦労の様子が何話も続きます。

そのアル中から、アルコールを断てたのは第7作「慈悲深い死」あたりです。但し不安と孤独にさいなまされつつ毎日アル中自主治療協会へ通う日々が重苦しく感じられます。

日本でもアル中患者(アルコール依存症患者)は100万人を超え、増加傾向にあるということですが、アルコール依存が比較的高いアメリカやロシアは割合から言ってもその比ではないでしょう。

日本なら健康保険制度のおかげで病院へ入院して治療というように考えますが、そこはアメリカ、お金持ちでなければ自分で治すしかありません。

そうした人達のために、主に教会が会場を提供し、アル中患者を立ち直らせるためのボランティア活動が活発に行われているようです。

マット・スカダーもそうした集会に顔を出しては、自分の経験談などを参加者に話しをする順番が回ってくると「マット・スカダーです。今日は特に話しはなにもありません」と答えるのを常としているところなど、彼の性格と深刻さが伝わってきます。

そして、スペンサーやボッシュのような犯人との派手な立ち回りとかはあまりなく、物静かにコツコツと歩き回って物事の真相に近づいていくという派手さはないものの、なにか人の琴線に触れるような物語です。

スペンサーの相棒ホーク、ボッシュの相棒ジェリー・エドガー、キズミン・ライダーなどと同様、よき理解者でもあり、また時には協力者となってくれるミック・バルーというアイルランド系の元ギャングがいます。

現在はバーの裏の経営者ですが、このミック・バルー、血まみれの肉屋のエプロンをして早朝のミサへ出かけるなど、とても魅力的で、マットとの会話も洒落ています。

それにこのマット・スカダーは、他の多くのシリーズものと違い、主人公は年々ちゃんと年を取っていきます。

スペンサーが最初に登場してから38年間ほとんど年を取らず、サザエさん一家と同様にいつまでも変わらずに若々しいのと大きく違います。

1976年にシリーズ最初の「過去からの弔鐘」が出たときから、一番最後の2011年「償いの報酬」まで35年が経過していますが、最後のほうでは探偵を引退し、老人になったマットがミック相手に警官時代の回想をするという内容になっています。

これは作者ローレンス・ブロックの年齢、つまり1938年生まれで、1976年のデビュー作当時38歳、そしてマット・スカダーシリーズの最終作?が出版された2011年当時は73歳という年齢がリンクしているものと思われます。

大都会NYではこの35年というのは世界貿易センターへの航空機テロを置いても大きく変貌しています。NYへは一度も行ったことがありませんが、東京や香港の35年前と今を比べて見ればよくわかります。

そうした情景の変化とともに、主人公の感性にも徐々に変わってきていて、警官時代の悪夢は最後まで消えないものの、その後自分が行ってきたことに悔いはなかったと思える節があり、やっと安らかに過ごせる日々がやってきたのだろうかと想像します。

できればあともう一つ最終章として、マットが亡くなり、彼の葬儀に過去関わってきた様々な人が集まり、マットとの思い出(いいのも悪いのも)を語り、最後はミックが話しを締めてくれるというのを期待したいところですが無理でしょうね。

ずっとマットの一人称が語る内容から、一転して三人称で語られるマットの人生なんか面白そうですけどね。

このシリーズ作品の長編は全17作品ありますが、日本の出版社の都合なのでしょうか、一番最初に日本語に翻訳されたのは1986年に出版された6作目の「聖なる酒場の挽歌」でした。

その後、そのヒットに気をよくしたためか第1作目の「過去からの弔鐘」と第2作目「冬を怖れた女」(いずれも米国出版は1976年)が、1987年に翻訳されて出版されています。

と言うように、出版社の都合?でシリーズの発刊時期が前後しましたが、内容はほぼ一話完結ですので、それほど気にすることなく読めます。ただアル中時代とアル中から抜け出した後では多少変わっていますので、注意が必要です。

17の長編以外にも短編集にマット・スカダーが登場する作品がいくつかあります。そちらから入るのも悪くはないですが、やはり短編では長編の醍醐味は味わえません。

そして免許を持たずに探偵の仕事をしている関係で、依頼があって収入を得ると、自ら10%税と称して、受け取った依頼料の10%を教会の寄付箱に入れます。そうした律儀?なところも主人公に共感できる点です。

あと、余談ですが、この作者ローレンス・ブロックは、この「マット・スカダーシリーズ」以外に「泥棒バーニイ・シリーズ」「快盗タナー・シリーズ」「殺し屋ケラー・シリーズ」があります。

その中では個人的には「殺し屋ケラー・シリーズ」がお勧めで、長編と短編が半々ずつあり、こちらは最初はシリーズ第1作目の「殺し屋」(1998年)、第3作目「殺しのパレード」(2006年)など、短編から入るのもいいかもしれません。抱腹絶倒です。

「マット・スカダーシリーズ」作品リスト
題名 原題 出版年 翻訳版
1 過去からの弔鐘 Sins of the Fathers 1976 1987
2 冬を怖れた女 In the Midst of Death 1976 1987
3 1ドル銀貨の遺言 Time to Murder and Create 1977 1988
4 暗闇にひと突き A Stab in the Dark 1981 1990
5 八百万の死にざま Eight Million Ways to Die 1982 1988
6 聖なる酒場の挽歌 When the Sacred Ginmill Closes 1986 1986
7 慈悲深い死 Out on the Cutting Edge 1989 1990
8 墓場への切符 A Ticket to the Boneyard 1990 1995
9 倒錯の舞踏 A Dance at the Slaughterhouse 1991 1999
10 獣たちの墓 A Walk Among the Tombstones 1992 2000
11 死者との誓い The Devil Knows You're Dead 1993 2002
12 死者の長い列 A Long Line of Dead Men 1994 2002
13 処刑宣告 Even the Wicked 1996 2005
14 皆殺し Everybody Dies 1998 2006
15 死への祈り Hope to Die 2001 2006
16 すべては死にゆく All the Flowers Are Dying 2005 2006
17 償いの報酬 A Drop of the Hard Stuff 2011 2015

マット・スカダーが登場する短編集
おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1 ローレンス・ブロック傑作選
バランスが肝心 ローレンス・ブロック傑作集〈2〉
夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作集〈3〉
やさしい小さな手 現代短篇の名手たち7
頭痛と悪夢―英米短編ミステリー名人選集〈4〉
探偵稼業はやめられない『ジャーロ』傑作短編アンソロジー)

映画化された作品
800万の死にざま 1986年米 主演ジェフ・ブリッジス
誘拐の掟(原作「獣たちの墓」)2014年米 主演リーアム・ニーソン


【関連リンク】
881 私立探偵ハードボイルド小説2つ
808 ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ
328 スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
327 さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
269 ハードボイルド的男臭さ満点小説

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他人を見下す若者たち (講談社現代新書) 速水敏彦

著者は私より10歳上と言うことはちょうど団塊世代の教育学者です。この新書は2006年に発刊されました。

常見陽平氏の「「意識高い系」という病」(2012年)ともなにか共通するところがありそうな気がしますが、そちらはまだ読んでいません。

著者が言うところの「仮想的有能感」については今の若者にあてはめて考えると納得いく部分もあるけれど、団塊世代を含む今の高齢者にあてはめて考えてみても同様な印象は受けます。

つまり「自分は他人よりも賢くて正しいのだ」という思いは、昔の若者にはなかった資質かもしれませんが、多くの大人や高齢者が昔から持っているもので、モンスターペアレント、クレーマー、ご近所トラブル、すぐキレる高齢者などはその最たるものではないかなと思ったり済ます。

ゴミ屋敷の住人だって、自分のやっていることは正しいと思ってやっているわけで、他人を見下しているから人の言うことを聞かないわけです。

こうした若者論はいくつも読んできましたが、なかなか純粋に若者だけを分析した研究はなく、本書がそうというのではなく、なんとなく若者にこういう傾向があるとか、過去にはなかった行動だとか、推論が多く入った高齢者の主張という気がします。

こう指摘された若者が、やがて30~40年後にはまた極端な新しい若者論を書くと思えば、別に不思議な気はしません。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

八月の六日間 (角川文庫) 北村 薫

こちらも団塊世代の売れっ子作家さんで、この作品は2014年に発刊されました。内容は連作短編集のような形式ですが、まとめて長編と言ってもよい小説です。

著者の作品は概ね好きで、よく読みますが、イメージとしてはファンタジーとミステリーとヒストリーをうまく掛け合わせひと味違うユニークな小説と思ってましたが、この小説では新しい一面を見ることができました。

主人公の女性は、やり手の雑誌編集長でアラフォー世代。3年前に長く付き合っていたプロカメラマンと別れ、現在は仕事に生きるシングル。年齢はちょっと違うけどイメージ的には天海祐希みたいな感じ(個人的感想)。

その女性が付き合いで始めた山登りに目覚めます。近隣の初心者向けの山歩きで練習を積みつつ、やがては単独で槍ヶ岳など次々と登っていく姿は、行ったことがない私でも(登山ではなく観光で上高地の河童橋までは行ったことはあります)、雄大な山と自然の情景が思い浮んできて楽しめます。

しかし、最後の解説文を読み、この本は現地へ行って取材をして書いたのではなく、専門書や登山家に話しを聞いて書いたというのには驚きました。さすが創造力豊かな作家さんです。

流行っていいるとは聞いていた山ガールに焦点をあてた内容ですが、登山とは縁がない人でも今すぐにでも山歩きをしてみたいと思わせる内容で、逆に登山のベテランから言わせると、ちょっと違うんじゃないの?と突っ込みどころはいっぱいありそうです。

山岳小説の書き手としては著名な新田次郎氏や夢枕獏など多くの作家がいますが、そのどれとも違う軽いノリで読める作品です。

そして実在の場所が多く出てきますが、あくまでファンタジーが混ぜ合わさった小説の世界の話しと言うことを忘れずに楽しみましょう。久々にこれ見よがしに死人が出てこない小説で、登山をしないオヤジでも十分に楽しめる面白い本です。

★★★

著者別読書感想(北村薫)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

氷の華 (幻冬舎文庫) 天野節子

著者のデビュー作で2006年に自費出版、2007年には単行本、2008年に文庫化されています。2008年には米倉涼子主演でテレビドラマ化されています、見ていませんが。

実はたった4年前、2013年に一度読んでいまして、誤ってダブって購入。読み始めた時から、「アレっ」って感じはありましたが、中程になってようやくこれは読んだぞと判明した次第。

しかし結末には記憶がなく、最後までしっかりと再読することにしました。老化現象もここまできたかとちょっとガックリです。

しっかりと読後の感想も書いていましたw

2013年7月後半の読書と感想、書評 「氷の華」天野節子

「氷」と名の付く小説とか映画にはついついひかれてしまいます。燃える氷」「樹氷」「氷の森」「霧氷」「氷雪の殺人」「四度目の氷河期」「氷炎」「赤い氷河期」「氷点」「氷の微笑(映画)」などなど。どれもそこそこにお勧めです。

それはさておき、なかなかスリリングでよく練られたミステリー小説で、意外性はあまりないものの、文庫で500ページを超える長編に関わらずまったく無駄な部分はなく、そして肩肘張らず気軽に楽しめる小説です。

それゆえに物語にはインパクトは少なく、後に印象として残りにくいのかもしれません。って4年ですっかり忘れてしまった言い訳に過ぎませんが。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

愛と名誉のために (ハヤカワ・ミステリ文庫)(原題:Love and Glory) ロバート・ブラウン・パーカー

1883年刊(翻訳文庫版1994年刊)の長編小説で、著者の作品の中では珍しく、スペンサーシリーズ等に属さない単独の作品です。

どう感想を書けばいいのかちょっと考え込んでしまいました。

というのも、著者のスペンサーシリーズを絶賛している中で、こちらも素晴らしい出来ではあるものの、こちらは完全なるラブストーリーで、あまりにも小説のスタイルが違っていることで、同じ作者の作品として感想が書きにくくて。

でもところどころに「初秋」で見せたスペンサーの男らしい優しさの片鱗や、高度に知的な女性とのウイットに富む会話など、スペンサーとスーザンとの会話を彷彿させるようなシーンがあります。

もっと言えば、文庫の解説で書かれているように、この主人公男性ブーンがやがて私立探偵スペンサーに、そして18歳の時に初めて出会ってから紆余曲折があったジェニファーが精神科医スーザンとしてとらえることも可能かもです。

もちろんこの主人公の成長過程を見ると、徴兵されて朝鮮戦争へ出征し、そして休暇を使って日本へと、著者自身の経歴ともダブる部分がいくつもあり、そうした自分の経験と想像力でできあがったのでしょうけど、それがそのままスペンサーシリーズの主人公にも生きているということになります。

★★☆

著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

顔に降りかかる雨 (講談社文庫) 桐野夏生

1993年に単行本、1996年に文庫化された後に「村野ミロシリーズ」とされる第1作目の長編ミステリー小説で、著者の実質デビュー作品です。

重ね重ね自分の老化現象の恥をさらすようで気が引けますが、この作品も上の「氷の華」と同様、過去に読んことがある本で、半ばまですっかり忘れていました。前に読んだのは2011年ですから、今から6年前に読んでいます。

2011年4月後半の読書(顔に降りかかる雨)

あー恥ずかしい。かと言ってブックオフなどで買うときに、いちいち蔵書のすべてを調べて買うなんて手間暇がかかることはしたくないので、どうしてもこういうことになってしまいます。まだ書店で定価の本をダブって買うことを考えれば自分にも納得がいきます。

でもこれまた読んだことがあっても、最後の結末がどうなったかは思い出せず、結局は最後まで丁寧に読み進めることになりました。

夫を自殺で亡くした無職の女性が、いきなりヤクザ絡みで1億円を持ち逃げしたと疑われている友人の女性を探す羽目となり、その友人の恋人と一緒に探偵のまねごとをするという、ストーリーからしてハチャメチャぶりで、主人公にまったく感情移入ができないので印象も薄かったのでしょう。でもそれはそれで結構面白かったです。

★★☆

著者別読書感想(桐野夏生)


【関連リンク】
 4月後半の読書 一九八四年、ガニメデの優しい巨人、老いの才覚、旅のラゴス、ソロモンの犬
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党
 3月後半の読書 下流の宴、老後に破産しないお金の話、過去からの弔鐘、蝶々の纏足・風葬の教室、漱石先生の事件簿猫の巻

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