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秘められた貌 (ジェッシイ・ストーン・シリーズ) ロバート・B・パーカー

2007年刊の「High Profile」の翻訳版(翻訳版文庫は2010年刊)で、警察署長ジェッシイ・ストーンシリーズ6作目です。別のシリーズの主人公で女性私立探偵サニー・ランドルも主人公ジェッシイのガールフレンドとして登場しています。

パーカー言えばやはりボストンの私立探偵スペンサーシリーズが有名で私も大好きですが、1997年から始まったこのジェッシイ・ストーンシリーズもスペンサーにはない面白さがあって楽しめます。

探偵と警察署長という違いこそあれ、そのキャラクターは似通っています。

スペンサーシリーズをすべて読み終えた後、その余韻が冷めた頃を見計らって、このシリーズを読むとパーカー独特の言い回しや絶妙な会話がよみがえってくること請負です。

ストーリーは、ジェッシイが警察署長を勤めるマサチューセッツ州の架空の街パラダイスで、テレビやラジオで活躍している毒舌の人気司会者が殺され、公園の木に吊り下げられているのが発見されます。

それと同時に司会者のアシスタントで、愛人の女性も同じ銃で殺害されているのが発見され、マスコミの注目を浴びる中、小さな街の警察署長の主人公は、自ら部下とともに犯人探しに奔走します。

その捜査手法が、私立探偵スペンサーとも共通していて、関係者と順番に会って質問し、なにかが動き出すのをジッと待ちます。

最近のミステリー小説のような変に凝った「驚愕のラスト!」とかはありませんが、「なぜ?」という疑問を解き明かしていく丁寧な捜査が好感を呼びます。

スペンサーシリーズでもお馴染みのマサチューセッツ州警察殺人課のヒーリー警部もサポート役として登場したりして、スペンサーシリーズを懐かしがるには最適です。

★★☆

著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ウルトラ・ダラー (新潮文庫) 手嶋龍一

元NHK記者で外交ジャーナリストとしてテレビにもちょくちょく登場している著者の2006年(文庫は2007年)刊の国際インテリジェンス(諜報活動)小説です。

いま2017年は北朝鮮の核実験と長距離ロケットの話題が世界中を揺るがしていますが、その根っことなった2000年前半の北朝鮮の核開発やミサイル技術の導入に関し、その資金調達に偽アメリカドル札の大量発行があったことをテーマとしています。

印刷技術者の拉致、偽札検査機のメーカーへの謀略、外交官との癒着、高額紙幣に刷り込まれるマイクロチップ技術の流出など、その手口や国を挙げての陰謀を現実に起きた事件ともリンクさせながらうまく小説に仕立てています。
 
主人公は日本語が達者で日本文化にも精通している英国BBCの日本駐在員、その駐在員と英国の大学で同級生だったアメリカの財務省シークレットサービス要員。

BBC記者は駐在員という肩書きと、もうひとつ英国情報部の顔を持っていますし、シークレットサービスは大統領警護で有名ですが、実は世界中に出現する偽札ハンターとしての役割も担っています。

現在の北朝鮮が核兵器を保有し、2500km以上飛ばせるロケットをロシアやウクライナの協力により保有するに至ったのは、こうした2000年代前半からの下準備があってのことで、ここ数年だけで成し遂げたわけではないでしょう。

そういうことから、この小説は、現在2017年のことをすでに予見していたノンフィクションに近い小説なのかもしれません。

ただ、小説の中で、偽札検知機器メーカーの社員が、世界中で偽札を集めて持ち帰り、それを実験用として使っているという話しが出てきますが、それはにわかには信じられません。

ほとんどの国では偽札と知って保有しているだけで、例えテスト用だと言い訳をしても必ず実刑をともなう重罪となり、そのようなリスクを冒すのは馬鹿げています。

日本の場合、偽造通貨・変造通貨の行使罪(刑法第148条第2項)は、無期又は3年以上の懲役で、殺人(傷害致死)と同等の重罪です。普通そこまでの犯罪を犯してまで会社に尽くせません。

通常偽札の検査機器をチェックする場合、確か、ベンチマークテストの場が、国の公認でおこなわれていて、そこで過去に発見された偽札の反応テストなどが行えるようになっているはずです。

私が香港に少し滞在していたとき、友人がたまたま手に入れたという偽札の100ドル紙幣を見せてくれましたが、手触りも印刷も本物と並べて見比べても素人の目にはまったく違いがわからず、そんなの万が一持っているのを見つかったら、それこそ何年も外国の刑務所に収監される可能性があり、ジョークのつもりでも持ちたいとは思いませんでした。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」 (角川oneテーマ21) 村上隆

現代美術、ポップアーティストの地位をゆるぎなきものとしている著者の2012年の新書です。

一方では芸術家と相容れそうもないビジネスマンでもあって、そういう意味では前例のない新しいエンタテナーなのかも知れません。

芸術家とビジネスマンが相容れないと書きましたが、そう思っているのは一部の偏見ある人だけかも知れません。

ほとんど多くの芸術家はそれで飯を食うため、当然のことながら営業活動もすればスポンサーの意見や要望に譲歩することもあります。

ただそうしたことを芸術や美術学校では学生には教えない風習があって、著者は有名美大出身の社会経験もない芸術家気取りの若者が、多少作品が評価されただけで「オレは芸術家だ」と、まるで大物と勘違いしている人が増えてきていることを嘆いているというのがわかります。

さらに、著者は自分が批判の的になっていて多くの人から嫌われていることもよく理解していて、それでも自分の考えを通していく一本の筋が通った主張を述べているのは好感が持てそうです。

こういう創作の世界にいると、しかも突出していればいるほどに周囲からの妬みやひがみ、いいとこ取りだという非難なども多いでしょうし、私もニュースなどで訳のわからない醜悪なフィギュアに何億円という値段がついたとかの話しを聞いても「へぇ、こんな日本人がいるのか?」って思うぐらいで、その作者については芸術性の全くない平々凡々な人生をおくってきた身としては「なにかよくわからん」というのが実際のところでした。

一般的に新書というジャンルは、その著者や著者が関わる企業などのPR誌という趣向が強くあり、著者にしてみても、「プロフィールに著作物があると書ける自己満足とPR性」「初版本の大半を自分や会社が買い取り、名刺代わりにビジネスで会社案内代わりに使える」など多くのメリットがあります。

新書に対してはそうした多少ゆがんだ見方を持っていますが、この本もその例外とは言えず、著者も自分が設立した会社を10数回は登場させて盛んにPRしています。そのあたりもさすがにビジネスで成功を収めているアーチストなんだなということが理解できます。

内容自体は、美大や芸大などに通っている芸術家志望の若者に対して、「日本の芸術家業界で生き残る法」というような話しで、これが意外に知られていないことが多く、芸術とはまったく関係が薄い人間(私)が読んでも面白かったです。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

海の見える街 (講談社文庫) 畑野智美

2010年に「国道沿いのファミレス」でデビューした作家さんで、若い人の青春恋愛小説を得意としている感じで、この本も若くはないけど20代~30代の男女4人の仕事と恋愛と趣味がうまくバランス良く絡み合った、短編連作の恋愛小説と言えます。

海の見える街」というと宮崎駿の大ヒットアニメ「魔女の宅急便」に登場する北欧の某都市をイメージする人が多いのですが、こちらはいたってドメスチックな青春物語です。

その短編には「マメルリハ」、「ハナビ」、「金魚すくい」、「肉食うさぎ」の4編が収録されていて、それぞれ4人の登場人物が主人公となって順番に話が進行していきます。

4人が働いているのは市の図書館と併設されている児童館。

30代半ばになっても彼女もいない独身でいる男性二人と、20代半ばのオタク系女子と職員の産休中に派遣でやってきた同年代の訳あり元ヤンキー女子。

この4人がそれぞれに抱えている問題や感情を出していき、複雑に絡み合っていくところをうまくひとつのストーリーにまとめているなって感じです。

また1話ではマメルリハという種類のインコや、2話ではミシシッピアカミミガメ、3話では琉金、4話ではウサギなど、ペットとセットになっているのは落ち着きが良すぎます。

ただ世の中はこれほどまでにのんびりもしていないし、4人だけの世界で閉じていることもまずなく、現実をほどよく知っている中年男性にとっては、なんだかこそばかゆく、また現実感のなさにちょっと反感も覚えたり。

★★☆

【関連リンク】
 9月後半の読書 象の墓場、ナイト&シャドウ、美しい家、お別れの音、偽悪のすすめ
 9月前半の読書 危険なささやき、会社の品格、男の勘ちがい、安土城の幽霊
 8月後半の読書 白雪姫殺人事件、里山資本主義、デセプション・ポイント、漂流者たち

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