リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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過去に移住について何度か書いたことがありましたが、それは主に「高齢者が老後を過ごす移住」についてでした。
つまり、仕事を引退してからゴルフや釣りの趣味のためや、静かな環境を求め、広い庭(農園)があり、あこがれの薪ストーブでと、別荘のような地方の一軒家で、仕事や子育てから手が離れた夫婦が悠々自適の生活を求めて移住するというイメージです。
しかし、コロナ禍が始まってからは、近くに大きな病院がないと困る高齢者に変わり、リモートワークが可能となった若い人や、都会の生活や仕事に嫌気を感じた人が地方への移住という選択をするようになってきました。
国も、地方再生をテーマに挙げて、これは大きな災害時のことを考えると人口の一極集中ではなくできるだけ分散しておきたいという狙いと、やがて都市部に住む高齢者がピークに近づくと、介護や看護人材、介護施設が圧倒的に不足する問題があるのでしょうけど、地方移住へ積極的に支援をしています。
もちろん移住者は高齢者ばかりではないのでしょうけど、都会の生活費が高く、生活圏に自然が少ない都会から離れて老後はゆっくりと好きなことをしたいという思いから、高齢者の一部では流行っていましたし、会社で私の先輩だった人も、川崎市の自宅を売り払い、伊豆高原の別荘地に居を移しました。
特に現在75歳前後になる団塊世代は、比較的お元気で(元気すぎて暴走する人も多く)、かつ退職金もたんまりもらえたクチですから、満額もらえる年金を合わせると、都会で生活するよりずっと安く暮らせる地方なら、かなりリッチな生活ができるということで、競って高齢者の移住が進んでいました。
しかし実際のところは、都市部と比べると文化度が低く、話しの合う人がまわりにいないし、ゆっくりしたいのに、しょっちゅう地元のイベントにかり出され、勝手に庭や家の中まで他人が入ってきてプライバシーはなく、寄り合いに出ないと町内中に不満と苦情が行き渡り、次第にいたたまれなくなって逃げ出すという結果になります。
そうしたことが多かったのか、福井県池田町が広報誌に掲載した「池田暮らしの七か条」が先日大きな話題となっていました。
都会風吹かすな…「正直すぎる」移住案内はアリ?福井・池田町「七か条」がネットで炎上(東京新聞)
福井県池田町が1月の広報誌に載せた「池田暮らしの七か条」が波紋を広げている。「都会風を吹かさないよう」「品定めされることは自然」といった表現が批判を集めた。もともとは移住後のトラブルを避けるための親切心が出発点のようだ。 |
ま、よく考えれば当然とも言えることですが、地方へ行けば80代や90代でも普通に働いている人が多い中、60代や70代の人が「引退したから趣味以外はなにもせずゆっくりしたい」と言い張っても、古くからそこに住んでいる地域の住民に理解してもらえるはずがありません。
以前読んだ丸山健二著の「田舎暮らしに殺されない法」はそうした地方への移住希望者に対する警告本ですが、確かに都会と比べると治安が良さそうに思いますが、実は事件が起きても遠くにある警察の到着には時間がかかり、銀行が遠いので自宅に現金があり、周辺に防犯カメラの設置もなく、と考えれば田舎は強盗天国なのかも知れません。
それゆえに、上記の本には、物騒な話ですが玄関近くにはナイフを先につけた棒(つまり槍のようなもの)を備えて自衛するのが当たり前とも書いてありました。
また、上記よりはもう少し穏やかですが、玉村豊男著の「田舎暮らしができる人 できない人」も、地方というか田舎独特の慣習や人間関係を理解し、それに合う人以外はお勧めしない旨の話が書かれていました。
上記に書いたとおり最近は若い人の移住も増えてきているそうで、それはそれで滅び行くだけだった限界集落やその予備軍には明るい希望ですが、やはり地方に住む上での様々な壁は移住高齢者とそう変わりません。
そこで若い人の地方移住について面白い提案が書かれた記事を発見しました。
都会生活者が本当に移住しやすい地方って、こういうものじゃないの?(Books&Apps)
都会生活者が地方に移住する際に私がオススメしたいのは、大きめの地方都市とその周辺に絶えずつくられている、できたてのニュータウンだ。もちろんニュータウンならどこでも良いわけではない。昭和や平成に分譲したニュータウンは駄目で、分譲が始まって間もないところが狙い目だ。 (ザクッと中略) 都会生活者が心配する排他性や閉鎖性やローカルルールをできるだけかわし、地方生活の利便性を享受し、通勤や通学の利便性も手放さない選択肢は新しいニュータウンのなかにある。「都会風を吹かせるな」などと注文をつける町村や、猪や猿が定期的におりてくるような過疎地より、よほど現実的な選択肢ではないだろうか。 |
ニュータウンって聞くと多摩ニュータウンや千里ニュータウンを思い出して、若い人が気に入りそうには思わなかったのですが、地方独特の「排他性や閉鎖性やローカルルール」、知らない人がズカズカと家の中に入ってくる人間関係のわずらわしさを回避するには面白いアイデアだと思います。
こうした地方にニュータウンってあるの?って思いがちですが、地方ではどこもコンパクトシティ構想が進められていて、むやみに広がってきた住宅地や過疎が進む地域をできるだけコンパクトにまとめて、道路や橋、水道など社会インフラの維持を容易にし、災害対策に生かそうとしています。それがこのような地方のニュータウンとなって次々と作られているのでしょう。
広い庭と薪ストーブという団塊世代以上の田舎住まいに憧れを持つ人には向きませんが、若い人や子供を自然の中で生き生きと育てたいという向きには良いかも知れません。
【関連リンク】
1154 地方の可能性と限界
1089 プチ移住という選択
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
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