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長流の畔 流転の海 第八部(新潮文庫) 宮本輝
野の春 流転の海 第九部(新潮文庫) 宮本輝


最初にこの自伝的小説シリーズを買って読んだのは、「流転の海(シリーズ第1巻)」の文庫が発刊された直後の1994年7月でした。その時にはこれほどの長編になるとは知りませんでした。

それ以降、4~5年間隔(後半は2~3年間隔)で、続編が登場してきましたが、さすがに4年ほど経つと前のストーリーや登場人物を忘れてしまっていることが多く、何度かさらっとおさらいをしながら読み続けてきました。

著者の父親と母親を主人公とした一代記で、終戦直後に大阪にやってきた愛媛出身の男が、まだ焼け跡と闇市が広がる中で大望をいだき、商売を一から始めます。そしてその男が50歳になったときに子供が生まれ、それが著者の分身としてその後ずっと登場します。

自伝的な小説は、長いものも短いものも様々ありますが、ほとんどが1冊で終わるものが多いようです。

長編の大河ドラマ的な小説では、五木寛之著の「青春の門」(1970年~)や、伊集院静著「海峡」(1991年~)、白川道著「病葉流れて」(1998年~)「新・病葉流れて」、花村萬月著「百万遍」(2003年~)の各シリーズも面白く読みました。

そうした自伝小説の場合は、たいていは自分が語り手や主人公となりますが、この「流転の海」では上記に書いたように、両親が主役で、著者自身は脇役に甘んじています。

自分が主人公でないだけに、より客観的に両親の人生を描くことができ、深みを感じます。

さて、この八部と九部では、主人公(両親)の晩年が描かれていて、特に最終巻の残りページが少なくなっていくにつれ、想像はつきますが、最後はどういう結末になるのだろうか、無事では終わらないだろうな、、、と、涙腺が緩んできます。

著者もこの長編小説で、最後まで書けるのか?という葛藤があったそうですが、この小説の主人公(著者の父親がモデル)の最期と同じ年齢の70歳を過ぎても意気軒昂で、さらに凄みを増した筆力で、一読者としては感動の内にこの30年近くかかった小説を懐かしく振り返りつつ無事読み終えることができました。

★★★

流転の海シリーズ一覧 ( )は単行本発刊年
1「流転の海」(1984年)
2「地の星 (流転の海 第二部)」(1992年)
3「血脈の火(流転の海 第三部)」(1996年)
4「天の夜曲(流転の海 第四部)」(2002年)
5「花の回廊(流転の海 第五部)」(2007年)
6「慈雨の音(流転の海 第六部)」(2011年)
7「満月の道(流転の海 第七部)」(2014年)
8「長流の畔(流転の海 第八部)」(2016年)
9「野の春(流転の海 第九部)」(2018年)

著者別読書感想(宮本輝)

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新老人の思想(幻冬舎新書) 五木寛之

日刊ゲンダイに連載していたエッセイの中から高齢化と死生観についてのテーマでまとめた新書で、2013年に発刊されました。執筆当時、著者は81歳で、ちょうど日本人男性の平均寿命と同じでした。出版時から10年が経ち2023年現在90歳の著者はご健在です。

タイトルの「新老人」とは、20歳ぐらいまでの若者を第1階級、生産年齢を第2階級、そしてそれ以降の高齢者は第3階級と分けて、その第3階級の人達の多く、一般市井の老人を新老人としています。

その新老人が国民の3~4割を占めるようになっていくこれからの日本の数十年は、世界でも大いに注目される実験場となっています。

というのは、マスメディアでよく出てくる高齢者は、「百歳過ぎてもこんなに元気!」「90歳で現役で仕事」など、特殊な極めて珍しいケースばかりを登場させることに著者自身違和感を感じています。

実態は100歳を超える高齢者のうちおよそ8割は認知症に罹っていたり、寝たきりの状態だったりするので、そうした標準的な高齢者の実態は滅多に報道されることはありません。

なので、新老人は自然に委ねて年齢に応じた生き方、死に方をしたほうが良いという提案です。

また、年金や医療費補助など社会保障の制度が、若者が高齢者を支えるという昭和の考え方から早く脱し、各階級ごとに支え合う仕組みを作らなければ持ちこたえられないのは自明の理で、そのためにも新老人達は子供や孫世代に頼るのではなく、自分で自分の健康、生活、生死を選択しなければならないと主張します。

著者自身当時81歳で、すでに裕福な上に、まだ小説を書き、エッセイを書き、各地の講演会に出掛けるなど、かなり活発な活動をされていて、一般的な年金だけで暮らしている81歳とは異なるような気がしますが、それはともかく、もう年金に頼った老後というのは期待できないという話しはかなり真実味があります。

お金のある老人は、なにをしてもいいけれど、そうでなければ、若い人に迷惑や負担をかけないよう、健康に気をつけて質素につつましく老人らしく暮らしていくことを勧められているようです。

お金もないのに、暴走老人と呼ばれる横柄で暴力的な高齢者が増えてきている事への反感かも知れません。

★★★

著者別読書感想(五木寛之)

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三日間の幸福(メディアワークス文庫) 三秋縋

著者の作品はこれが最初です。難しい読み方ですが「みあき すがる」と読みます。当初は2ちゃんねるに書いていた作品を元にした小説で作家デビューをして、今回の作品も同様だとあとで知りました。

携帯小説とかライトノベルだなぁって思って読み始めましたが、中身はその通りの漫画やアニメファンに向きそうなファンタジー小説となっています。

主人公は20歳の大学生ですが、生きる気力もなくなり、よく行く古書店のオヤジやCDショップの店員に勧められて、残りの寿命を買い取ってくれるところがあるということを知り、話しを聞くつもりでフラフラと立ち寄り、結果的に残り30年の寿命を1年1万円、計30万円で買い取ってもらうことになり、3ヶ月後に死ぬ選択をします。

そうした設定自体が漫画の世界ですが、例えば身体はまだ動くけど突然末期の癌などで余命があと数ヶ月と宣告されたと考えると、その時、人はどういう考えをして行動をするかという想像が楽しめます。

しかも、この主人公の元には、逃げ出したり、捨て鉢になって他人に迷惑をかけないよう、他人からは見えない幽霊のような存在の監視員(若い女性)がついて回ります。このあたりも、男性が描く理想の恋愛対象が都合良く目の前に現れて絡んでくる漫画の世界です。

漫画の世界と言っても、最近はメジャーの大谷選手がよく「漫画のような活躍ぶり」と言われるように、リアリティと、ハチャメチャなフィクションの境が曖昧になってきていることからもわかるように、幼稚とか意味不明とか不満があるわけではなく、それなりに楽しく読めました。しかし酸いも甘いもたっぷりと経験してきた還暦過ぎのオッサン(私)が読むのはキツイかも。

タイトルの「三日間の幸福」とは、最後になってその意味がわかる仕組みで、ちょっと意外な結末で、これはよく考えられていました。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

あたらしい家族(集英社文庫) 佐川光晴

2005年に「家族芝居」として単行本が出版された後、2015年に改題し文庫化された小説です。一見すると最初にプロローグがあり、長編小説のような構成に見えますが、実質的には連作短篇集です。

それぞれの短編は「プロローグ」「子どものしあわせ」「弔いのあと」「婆さんたちの閑話」「お嫁さんがやってくる」「エピローグ」となっています。

主人公は、医師を目指して浪人中の身で、実家の北海道を離れ、東京にいる叔父が運営している高齢者グループホーム?のアパートに下宿してきます。

この叔父が変わっていて、北大在学中に劇団に入り、そこの先輩女子とともに役者に専念するため大学をやめますが、芽が出ず、また結婚して子どもが生まれますが、離婚し、叔父は東京へ出てきてプロダクションに属して役者を続けます。

その叔父が下宿していたアパートには以前は学生が住んでいましたが、今は身寄りがなかったりワケありの高齢女性ばかりが住んでいて、元の家主が亡くなる前に、その叔父に後を託されNPO法人を作って高齢女性たちに住まいを提供しています。

さらに、父親が逃げた暴力団関係者の日本人、母親は麻薬中毒で刑務所に収監中という幼い子ども二人もそのアパートで受け入れることになります。

高齢者が多いので、やがては順に亡くなっていくことになるのは自明の理ですが、現代の高齢化社会の問題点を突きながらもコミカルな軽めの構成となっています。

タイトルから、きっとこうなるんだろうなぁという思いは裏切られることなく、若者と高齢者がそれぞれできることをやり、明るくまるで家族のような共同生活をしていくという、少し救われる気がする、もうすぐそこまで来ている近未来です。

★★☆

【関連リンク】
 3月前半の読書 大いなる遺産、人生にはやらなくていいことがある、闇の底、空中庭園
 2月後半の読書 未来を見る力、カタストロフ・マニア、慈雨、ブルーアウト
 2月前半の読書 幽界森娘異聞、保険ぎらい、ホテル・ニューハンプシャー、A2Z


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