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プラナリア (文春文庫) 山本 文緒

2001年の直木賞を受賞した作品を含む短編集です。収録されているのはタイトルの「プラナリア」をはじめ、「ネイキッド」「どこかではないここ」「囚われ人のジレンマ」「あいあるあした」の5編です。

実はこの本、9年前、2005年に文庫化されてまもなく購入し一度読んでいました。

しかし今回読み始めてもそれがわからず、頭の中からスッポリと抜け落ちています。

老化のせいにはしたくありませんが、その可能性も否定はできません。と同時に、それだけこの小説の内容が、印象に残らなかったということで、特にこのような短編集の場合はそういうことはよくあります(言い訳)。

内容はおそらくですが、著者自身が分身となり主人公を作り上げ、話しを膨らませていったものと考えられます。一番最後の「あいあるあした」以外は主人公は女性で、性格は少々ひねくれているってところがあります。

しかも主人公の言葉や行動、性格に鬱病の症状が垣間見えたり(著者はこの作品の後、うつ病のためしばらく休筆)して、かなり自分を無理して主人公達に投影しているなぁって感じます。

テーマはそれぞれ「乳ガン」であったり、「離婚」であったり、「夫と子供」であったり、女性独特の感じ方、行動、考え方をよくとらえているようです。そして終わり方はどれも思わせぶりな中途半端な形で、その先はどうなるのだろうかなと考えさせる形です。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

暗闇にひと突き (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) ローレンス・ブロック

マット・スカダーシリーズ4作目の作品で、1981年刊(翻訳文庫版は1990年刊です。原題は「A STAB IN THE DARK」。直訳すれば「当てずっぽう」ということになります。

このシリーズはほぼ著者と主人公の年齢というか時間の経過がほぼ一致していて、第1作目では39歳だった主人公は44歳になっています。

この頃はまだ酒を飲み、時にはアルコール漬けになるときもある時代で、別れた妻との会話や、同じアルコール中毒の女性との出会いなど、私生活面での話しもところどころで見られます。

その後のアルコールとの闘いを先に読んでいるだけに、この頃のアルコール摂取量は半端なく、そりゃ中毒にもなるでしょうという状態です。

無職でありながら、朝から晩までずっとアルコールを飲んで、それでよくお金が続きますねっていうのが本音なところ。

ストーリーは、9年前に娘を殺された男からの依頼で、当初は無差別な連続殺人のひとつに思われていたところ、そうではないということがわかり、その真相を暴いて欲しいというもの。

犯人に偶然突き当たるまでの思考が、単に元警官の勘と臭覚というのではちょっと無理があり、ご都合主義的に作られているなとは思いますが、犯人を追い詰めるだけではなく、それに至る様々な主人公の生活スタイルや、過去から引きずっている苦悩などを知る回と思えば悪くはありません。

このシリーズの長編は2014年までに17作品が翻訳され出ていますが、あと3作品がまだ未読です。

できれば最初から順序通りに読んでいきたかったのですが、1990年代初頭は、書店の棚に置いてあるものを買うしか方法がなかったので、仕方ありません。

多少一部にあやふやなところがありますが、マット・スカダーシリーズのタイトル、発表年、主人公(著者とほぼ同じ)の年齢です。
1 過去からの弔鐘 Sins of the Fathers 1976年 39歳
2 冬を怖れた女 Inthe Midstof Death 1976年 39歳
3 1ドル銀貨の遺言 Time to Murderand Create 1977年 40歳
4 暗闇にひと突き A Stabin the Dark 1981年 44歳
5 八百万の死にざま Eight Million Ways to Die 1982年 45歳
6 聖なる酒場の挽歌 When the Sacred Ginmill Closes 1986年 49歳
7 慈悲深い死 Out on the Cutting Edge 1989年 52歳
8 墓場への切符 A Ticket to the Boneyard 1990年 53歳
9 倒錯の舞踏 A Dance at the Slaughterhouse 1991年 54歳
10 獣たちの墓 A Walk Among the Tombstones 1992年 55歳
11 死者との誓い The Devil Knows You're Dead 1993年 56歳
12 死者の長い列 A Long Line of Dead Men 1994年 57歳
13 処刑宣告 Even the Wicked 1996年 59歳
14 皆殺し Everybody Dies 1998年 61歳
15 死への祈り Hope to Die 2001年 64歳
16 すべては死にゆく All the Flowers Are Dying 2005年 68歳
17 償いの報酬 A Drop of the Hard Stuff 2011年 74歳

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

「反原発」の不都合な真実 (新潮新書) 藤沢数希

著者は理論物理学研究者であり金融工学の専門家ということで、特に原子力技術や環境科学などを専門にしている人ではないのですが、逆にその少し離れた立ち位置から、「果たして今の脱原発や反原発運動は正しいのだろうか?」というテーマを、様々なデータを駆使して検証したものです。

ただタイトルを見ればすぐわかる通り「原発推進の結論ありき」とも思えるので、その点は多少割り引いて読む必要があるかもしれませんが、感情的に最初からダメダメとすべてを否定しながら読むのはお勧めしません。

そういう人は山田 孝男著「小泉純一郎の「原発ゼロ」」とか古賀茂明著の「原発の倫理学」などを読むべきでしょう。

この本を出して以来、著者に対しては、反論というレベルではなく、一部の過激な原発反対派から様々な嫌がらせ、脅迫に近いものがあったのではないかと推察します。

もし著者の売名行為のためにこのような過激なタイトルを付けたというのなら、それは成功したと言えるのかも知れませんが、それで結果は果たして良かったのか悪かったのか微妙とも言えそうです。

で、中身ですが、いちいちちゃんとデータの出典先が書いてあり、根も葉もない噂話しや感情論ではなく、日本と世界のエネルギー問題について、福島を初めとする原発事故について、放射能と健康問題について、原発事故の際の政府や国の対応についてなどが素人にもわかりやすく書かれています。

そのデータや統計がおかしいとか、使い方が間違っているという反論も当然あるでしょうけど、それは著者の問題ではありません。

それらの主張については、正反対の反論や異論も多数あると思いますが、言論や出版の自由ということを考えると、単なる感情論や批判のための批判ではなく、それぞれの項目について、間違っているなら間違っていることを根拠を示して訂正を求めるべきで、性格やら過去の発言やら、悪意を込めた誹謗中傷などすべきではないと思うのですが、実際はそういう傾向が強くなっているようです。

それと、以前にも書きましたが、統計データというのは意図があればどのようにでも作為が入りこむ要素があり、それはなにも日本に限ったことではありません。

偉い研究者や国際機関が出した医学データや統計データをいくら眺めても、人間が社会の中で幸せに生活をおくれる訳ではなく、様々な個人的な感情や思惑、国家や巨大企業の駆け引きなど多くの要素が絡み合うことで納得や合意というものが得られていきます。

私はこの本から知らなかったことをいくつか教えられたり、逆に著者の考え方に納得ができなかったりするところもありますが、こうした問題提起の作品は大いに歓迎です。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫) 貴志 祐介

著者は作風からすると、もっと若い作家さんかと思っていたら、私とほぼ同年代ですでに50代に入っています。作家さんの年齢というのはなかなかわかりにくいものです。

この作品は1999年に単行本、2003年に文庫化された作品で、以前読んだ「黒い家」と同様、ホラーと言える小説です。

観ていませんが一時期問題作品として話題となった無人島で少年少女が殺し合いをするという「バトル・ロワイアル」と似たようなシチュエーションで、こちらはオーストラリアの無人地帯で、生き残るために日本人同士が繰り広げる殺人ゲームです。

と、書いちゃうと、荒唐無稽な話しで、まともな中年以上の読者は興味を失ってしまいそうですが、そこは売れっ子作家だけあって、単なる殺人ゲームだけではなく、様々なサバイバル術や登場人物に仕掛けなどが施され、主人公もうだつの上がらないホームレスになりかけていた中年男性という設定で、若い人以外にも共感が得られ、読み応えのある作品となっています。

タイトルのクリムゾンとは火星の表面のような濃く明るい赤色で、マゼンダとも近い色のことです。オーストラリアの大地を火星に見立て、そこに閉じこめられた男女9人がサバイバルをゲームのように繰り広げます。やっぱり荒唐無稽な話しですね。

著者別読書感想(貴志祐介)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

監査難民 (講談社BIZ) 種村大基

かつて日本の4大監査法人のひとつだった旧中央青山監査法人(みすず監査法人)が、過去に監査を行っていた先で不祥事が起きたり、粉飾決算を見抜けなかったことなどにより、営業停止の重い処分を受け、社会から信頼を失い、2007年に解散をするまでの経緯と経済界の混乱を描いたノンフィクションです。

ちなみに当時の4大監査法人とは新日本監査法人・あずさ監査法人・監査法人トーマツ・中央青山監査法人の4つでした。現在は中央青山から実質的に分離した、あらた監査法人が加わって4大監査法人と言われています。

みすず監査法人の前身だった中央青山監査法人は、国内最大手として業界では威勢を誇り、ソニー、トヨタ、JAL、NTTなど日本を代表する大手企業を含め国内5000社以上の企業の監査を担ってきた名門の監査法人でした。

しかし90年代、山一證券・ヤオハン・足利銀行など、経営破綻した企業の監査をしていながら、倒産の危機を事前に見抜けなかったことや、カネボウや日興コーディアルグループの粉飾決算において監査人が粉飾の事実を知りながらそれを開示しなかった不祥事が起き、金融庁から厳しい処分を受けることになります。

タイトルの監査難民とは、みすず監査法人に監査を委託していた数千の企業と、その中でも特に株式を上場している数百社の大企業は、決算時には監査法人の監査報告書が必要になりますが、突然業務停止や、解散が決まることで、法に定められた監査ができなくなり混乱を引き起こした事態を現しています。

もちろん監査法人が企業の粉飾決算を見抜けなかったり犯罪に手を貸したりするケースは日本だけの問題ではなく、2001年に当時全米7位の売上を誇っていたエンロンの倒産や、2002年には6万人の社員を抱えていたワールドコムの破綻など、粉飾決算をおこない、それが監査法人にも見逃され、多くの投資家に訴えられた事件はいくつもあります。

またトヨタやソニーのような大手企業の場合、国内だけではなく海外にも工場や現地法人があり、それらを含めた監査が必要となり、かなり大がかりなものとなります。

そのため、大手監査法人は、トーマツ=米大手のデロイト、新日本=アーンスト&ヤング、あずさ=KPMGのように、欧米の監査法人や会計事務所と密接な提携関係にあります。

当時の中央青山は、プライスウォーターハウスクーパース(PWC)と提携関係にありましたが、中央青山の不祥事で行政処分が必至となった際、その負の連鎖を断ち切るため、PWCと元青山監査法人出身者達が中心となり、あらた監査法人を設立します。

残った中央青山監査法人は、社名をみすず監査法人に変更して再出発を計りますが、結局は顧客や会計士の流出が止まらず、解散するに至るわけですが、その経過と経済界に巻き起こした混乱を当時の関係者の話しを中心にまとめられていますが、なかなか普段知り得ない監査法人の世界が垣間見えて面白く読めました。


【関連リンク】
 9月後半の読書 マスカレード・ホテル、西の魔女が死んだ、オレ様化する子どもたち、ペンギン・ハイウェイ、動物農場
 9月前半の読書 暗く聖なる夜(上)(下)、ロード&ゴー、寝ても覚めても、やさしい人
 8月後半の読書 私の嫌いな10の人びと、人間の土地、きよしこ、奇面館の殺人、俺俺

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英語といえば最初に習い始めた中学生の頃から、嫌で嫌で仕方がなく、高校・大学と合わせて8年(大学では第一語学はドイツ語を履修し、英語は第二語学として2年間のみ)も習いながら、ビジネスではまったく役に立たないホンの基本的な会話しかできないという情けない私です。

社会人になってからしばらくは国内の仕事だけでなにも問題なかったのですが、入社して5年ほど経った時、短期間ですが海外勤務を命ぜられ、慌てて会話集を買ってきたり、ヒアリングのためにウォークマンで英会話のカセットテープを聞いたりと、もう本当にドタバタしました。

結局その時だけのやっつけではほとんど役に立たず、現地では苦労の連続でした。中には現地の日本人同士で話しをするときも、嫌がらせみたいに英語で話す人がいたり、休日に洋画を見に行っても、細かなニュアンスが理解できず※、もっとちゃんと勉強しておくのだったと毎日後悔の連続でした。

※英語が理解できる友人の駐在員が言うには「映画の場合、ジョークやスラングがやたらと多く、元々わかりにくいよ」と慰めてくれましたが、スラングなどないテレビニュースでも半分以下しか理解できなかったので慰めにはなりません

それ以外にも、特に希望したわけでもないのに、仕事で英語圏の国へ何度か出張する機会があり、その時もちょっとした会話しか理解できず、これまた情けない思いをしました。

「多国語ができる人はリズム感がある人」あるいは「耳のいい人は語学が堪能」とかと言います。これは両方ともその通りだろうと思います。

私は音感というかリズム感はなく、しかも耳が決してよくなく、英語の授業で教師の微妙な発音や、音楽の時間で和音の違いが聞き取れない、違いがわからないということがよくありました。

そして私の結論を言えば、英会話はいかに英単語を多く知っているとか、正しい文法や用法を知っているとか、誤解を恐れず言うのなら発音が正しくできるというのは関係なく、要は、「相手が喋っている内容がキチンと聞き取れる」かどうかに尽きるように思いました。

相手の喋っている内容が聞き取れさえすれば、それに対する返事は自分でいかようにでも返すことができるからです。これがコミュニケーションの場ではなにより大切なのです。

もし自分が多くの外国人に対して重要なテーマでプレゼンをしたり、ハードな契約交渉をしなければならないのなら、専門用語の知識や正確な発音が必要でしょうけど、そうではなくちょっとした海外出張やプライベートで海外旅行する分にはそれらの能力はまったく不要です。

つまり相手が「なにを言っているのか」「なにを求めているのか」「なにを聞きたがっているのか」さえわかれば、こちらも発音なんて気にしなくても伝わる「Yes! Thanks」「No! Thanks」「Excellent!」「Wonderful!」「Good!」「No so bad!」「I don't know」「Enough!」とか簡単な一言で済ませることが大部分の場合できるのです(笑)。

なにを言っているか理解できないと、困ったことに「もう一度ゆっくりと」お願いしたり、それでもわからないと首を振ってお手上げしたりと、まともな会話が成立しません。

もし相手が自分の知らない単語を使ってきたら、聞き取れたその単語だけをオーム返しに聞き返せば、たぶんもっとわかりやすい言葉に代えて話しをしてくれます。

例えば「I think this restaurant is a delicious beef and saury.Which one you want?」って聞かれて、聞き取れなかったらまったくそのあと会話は進みませんが、聞き取れているなら例えば自分が知らない単語「Saury?」って聞き返せば、「It is a kind of fish」って教えてくれるでしょう。

どちらでもよければ「Up to you」、魚が良ければ「I want to fish」とか言っておけばとりあえず会話は成立します。

結局は本格的に英語でビジネスをしようというのでなければ、日常の会話ってそのレベルの連続でいけるんですよね。

恥ずかしいことに私の年代の英語というと、英文法とリーディングが主で、あとは試験によく出る英単語やイディオムをどれだけ知っているかということが優先され、会話(コミュニケーション)という概念が完全に欠落していました。

自分ができないことを教育のせいにしていますが、そういう面白くもない詰め込み教育と合わさって、根っから語学習得に向かない体質とが重なってしまい、典型的な語学が苦手な中高年が出来上がったという次第です。

「耳がいい」人は本当に羨ましく、微妙な音や発音が聞き分けられ、とりあえずそれを真似ることで自分の発音にもいい影響を与えていきます。

まだ私の世代は、そういう意味では、かろうじて「逃げ込みセーフの時代」で、英語ができなくとも会社員生活をなんとかやり過ごせましたが、今の若い人が今後成長する会社で勤務をしたいなら、そしてある程度はその中で昇進もしたいのなら、英語や中国語などの語学がそこそこできるようにならないと、まずはまともな会社に入れないし、入ってからもいい仕事にもありつけず、転職するにもいい条件ではできないことなりそうです。

TOEFLやTOEICがコミュニケーション能力を量るツールとして一般化してきてもう何十年が過ぎていますが、確かにこれはいかに聞き取れるか(もちろん語彙力も必要ですが)が勝負で、大学入試センター試験にも2006年からヒアリングが加わり、日本の語学教育も多少は変わってきていますが、コミュニケーション力のアップということに関して言えば、まだまだ不十分な気がします。

【関連リンク】
802 観光後進国日本の現実
764 思い出の香港
635 英語の憂鬱
611 海外移転で製造業の労働者はどこへいったのか?
525 転職にSNSは有効なのか?

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90年代のバブル崩壊以降、なんどか持ち直しはしたものの、リーマンショックにより再び就職氷河期に突入していましたが、昨年以降はアベノバブル効果もあり、新卒の就職は一時的にしろかなり雪解けされてきているようです。

と、悠長なことをぼんやり考えていたら、なんと今は就職氷河期ではなく採用氷河期ですと。

一転「採用氷河期」、内定辞退止まらない、新卒16%増見通しだが…企業、確保に苦闘(日経産業新聞)
企業の採用意欲が高まるなか、新卒採用が難しくなっている。2015年3月卒の大学生の就職内定率は7月末時点で67.2%と過去5年で最高を記録した。」
(中略)
「極端な採用難=売り手市場は弊害ももたらす。人事担当者は「15年卒の学生はレベルが低い」と一様に頭を抱える。提出物の締め切りを守らないなど基本動作に欠け「入社後、相当鍛えないと戦力にならない」。人事担当者の悩みは尽きない。」
「バブル崩壊後の1990年代前半から10年余り、企業が一気に新卒の採用を控え、就職氷河期と言われた。少子高齢化が深刻化するなか、今年が採用氷河期の元年となるかもしれない。

ちょっと短絡的な見方で「どうなのよ~」と思わなくもありませんが、一部の企業では採用難に陥っているとのこと。

しかしこれだけ少子化が加速度的に進めば、誰だって新卒者(=若者)の採用は次第に難しくなるって事ぐらい、20年も前からわかっていたことで、今さらジタバタしているのは「先を読めない素人の人事部です」と自分で言っているようなものです。

また新人が喜んで来てくれるような評判のいい会社であれば、規模の大小は問わず、なにも心配ないはずで、苦心するって事は、会社、仕事、経営者に魅力がない3ない会社で、さらに給料水準が低い、社員レベルが低い、知名度が低いなどの3低会社でもあるわけです。

しかし人事部は、採用できない理由や責任を、自分たちの無能とは認めず、概ね他人や環境のせいにします。必ずです。

また記事によると、内定を出したからと言っても安心ができず、昨年も今年も複数内定を得て、ギリギリまで決断せずに、入社近くになってから「実は・・・」という内定辞退者が出るということがよく起きているそうです。

数年前までは、画一的で味も素っ気もない「お祈りメール」を学生に大量に送りつけ、まるで人間として社会人として不合格のレッテルを貼るかのような失礼な扱いを学生にしてきたことへの仕返しをいまされていると思えば納得もいくでしょう。

就職というのはそういう意味では、採用する側とされる側の「化かし合い」で、採用側からすれば「博打」というのが私の結論で、たった数時間数回の面談やテストで、もしかすると40年以上の長い期間、うまく才能を発揮し続け、会社に多大な利益をもたらしてくれる人かどうかなんてわかるわけもないというのが持論です。

ところが人事部は「この大学にいたのだから地頭はいいはずだ」「受け応えもしっかりしていて基本ができている」などと私に言わせればバカバカしい基準で判断するのが普通で、そんなものは社会人になって荒波にもまれ、海千山千の先輩に鍛えられていけば少々の地頭の良さやにわか作りのマナーなど役に立たないばかりか弊害です。

未だに企業の採用ページで、過去採用者の学校名や、先輩社員の出身校が誇らしげに書いているようなところは、そうした学校で人を選んだり、人の潜在能力を発揮させられる能力のないロクでもない会社だと思って間違いないでしょう。

採用される側も、最初のうちは、できればこの会社で気持ちよく長く働きたいと思ってくるものの、だいたいは「聞いていた話と違う!」となり、見切りを付け退職する人が後を絶ちません。

そして転職しても、今までより条件が好転したかと言うと実はほとんどの場合、そうでもなく、結局はどこにいても同じと言うことにやがて気がつきます。

また学生の中には、数年してお金を貯めたら自分で起業をするんだ!という志が立派な若者も結構な割合でいそうですが、実際に会社に入って、その心地いい会社員生活の流れに身を任せていると、なかなかそこからは抜け出せなくなり、中高年になって追い出される立場になったときに、ふと若いときに思った起業を思い立ったりすることになります。

もちろんそうした「仕方ないから、起業でもするか」という考えでうまくいくほど世間は甘くないので、失敗したあげく、非常に条件が悪い再就職をすることになり、まだ正社員になれるとラッキーなほうで、たいていは不安定な契約社員や業務委託などとして働くことを強いられます。

だから、私はずっと前から、若者の就職率は少子化が進む中でやがては回復するに決まっているから、ちょっと就職氷河期だから、大学卒業しても正社員になれないとか言って大騒ぎをするのではなく、それよりも人生の中で一番お金のかかるミドルからシニア層にかけての再就職など雇用対策をもっと政策として力を入れるべきじゃないかと書いてきました。

ま、いずれにしても採用氷河期が続けば、若い人が就職先を自由に選べ、その影響で若者に不人気な業界や業種に求人難が続けば、いま望まず非正規社員として中途半端な立場にいる人にも正社員になれる道が大きく開かれていくでしょうから、たいへん結構なことではないでしょうか。

採用側の企業も、若い社員を採用し増やすためには、それなりに条件をよくし、働きやすい環境を整え、新卒者の半分近い女性の積極採用が進むことは確実です。これはいま国を挙げて進めようとしていることとまさに合致しています。

高齢化社会で働き手が減ると言うことばかりが言われていますが、それよりもっと大きな問題として、消費税増税と、年金生活に入る高齢者増で、やがて国内の消費活動がパタッと停まってしまう問題があり、それは国内需要を大きく落ち込ませることになります。

そういう意味では、新卒の一括採用以外の方法、例えば海外留学生や留年者の10月入社採用や、アルバイトからの正社員登用採用(経験者採用)、親の介護等で転勤できない社員向けの地域限定正社員など、多様な働き手の採用が、これからは進んだ企業のトレンドになっていくのだろうと思います。


【関連リンク】
727 大学生の就職率推移と卒業後の進路
691 就活では大企業を目指すべき3つの理由
560 若者の大企業志向を非難する前に
490 就職人気企業ランキングの意味するところ
463 新卒就職活動に思うこと



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今回の記事は、先に述べておくと、死刑制度の可否について私の意見を述べているのではなく、死刑制度の現状と世界の趨勢、国内の特殊性などについてまとめ、この先どうするべきかを書いたもので、できるだけ気をつけて書いていますが、もし内容に不備や誤解があったり、偏りや、間違いがあるとすれば、それは筆者の知識不足、才能の問題と片付けてください。

現在、世界で一般犯罪において死刑を実施している国はおよそ1/3程度で、世界の死刑制度の傾向としては、廃止または制度はあっても刑の執行を停止する方向に向かっているようです。

「一般犯罪において」と書いたのは、一部の国では、民間人には適用されなくても、特に重罪とされる戦時中の軍人の逃亡や反逆罪についてのみ死刑を適用するという国がいくつかあります。

日本弁護士連合会より

青:法律上死刑を廃止した国 薄い青:事実上の死刑廃止国 薄い黄色:死刑存置国)

民主的な先進国の中では、日本とアメリカだけが死刑制度を持っている国となりますが、そのアメリカの場合は州によって死刑制度を廃止したり、何十年ものあいだ執行されず事実上停止状態という州が全体の約1/3程度あり、他の州でも廃止に向けた議論が起きているようです。お隣の韓国も制度としては残っているものの事実上死刑は停止されています。

日本と同様、死刑制度があり、また実質的に近年死刑が行われている国は、

アフガニスタン、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、ベラルーシ、ボツワナ、中国、コンゴ民主共和国、キューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、エチオピア、グアテマラ、ギニア、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、日本、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、マレーシア、モンゴル、ナイジェリア、朝鮮民主主義人民共和国、オマーン、パキスタン、パレスチナ自治政府、カタール、サウジアラビア、シンガポール、ソマリア、スーダン、シリア、台湾、タイ、トリニダード・トバゴ、ウガンダ、アラブ首長国連邦、米国(注:アメリカ合衆国は、州によって存置・廃止が異なる)、ベトナム、イエメン、ジンバブエ

などで、特徴としては、ヨーロッパ諸国はほとんど死刑廃止が制度として進み、アジア圏に死刑制度がまだ多く残っているという印象です。

したがって上記に書いたとおり、先進主要8カ国(G8)の中で実質的な死刑制度があるのは日本と米国だけ、新興経済国を含めたG20の20カ国の中では、日本、米国、中国、インドネシア、サウジアラビアの5カ国のみとなります。

日本国内でも世界的な死刑制度廃止の潮流をうけ、また国連の人権委員会からも廃止を求められ、死刑をなくそうという議論が時々起きています。

しかしその声が国内ではなかなか盛り上がらないのにはいくつかの訳がありそうで、私の感じるところを述べておきます。

死刑廃止の意見が高まらない理由のひとつとして、凶悪犯罪に対してマスメディアが必要以上に遺族や被害者寄りの報道をして、その失意や悲しみを大きく取り上げ、視聴者や読者に凶悪犯人への憎しみをよりいっそう深めるよう誘導し、被害者に同情し、極刑を求める遺族側の立場や意向を当然のこととして、「凶悪犯罪には死罪は当たり前」という感情を長く国民に植え付けてきたこと。

そして日本では古くから「曾我兄弟の仇討ち」や「赤穂浪士」に代表される、主君や肉親の仇討ち、敵討ちを美徳とする文化があり、現代においても同様に愛する我が子や家族が殺された場合、仇討ちとして殺人犯に死罪を求める国民的合意が作られていることが二つめ。

これは死刑にはならない極悪人を、私刑にする殺し屋集団が主人公の「必殺」シリーズが国民にウケているのもそのひとつかも知れません。

三つめとしては、極刑である死刑制度が廃止されると、凶悪犯罪の増加や再犯者が増える可能性を主張する人がいます。

ただしこの3つめの理由は、可能性があると言うだけで特に明確な根拠はなく、死刑制度を廃止した国の例から、死刑廃止後に凶悪犯罪が増えたというデータは特にないそうで、私も「死刑制度がないから人を殺してやろう(制度があるなら殺すのはやめよう)」と理性的に考えて行動する凶悪犯は、まず、いないんじゃないかと思います。

稀に「死刑になりたかったから誰でもいいから殺したかった」という凶悪犯がいましたが、なんだか後付けで、見栄張りで、死刑を免れない状況下で、こじつけたようにも思えます。

そうした特殊な例を当てはめるのもなにか違っています。それにもし死刑制度が廃止されると、そのような理由で人を殺すこともなくなり、そうした自殺志願のやけっぱちな犯罪が減るかもしれません。

またそうし本当に「死にたい」と願っている犯罪者なら、生かせて罪を償わせる方が本人にとっては苦痛なはずで、厳罰という意味では生かして一生罪を背負わせるのが妥当かも知れません。

稀に、「税金で一生食わせてやるのは理不尽だ!」という意見も見られますが、懲役刑は本来役務を伴う刑で、「3食昼寝付き」の刑ではありません。

現在の役務としては、社会復帰したときの役に立つようにと職業訓練的なものが多いようですが、もっと刑務所の改革や民間委託化が進めば、収益が見込める役務を積極的に受託し、税金を投入せずとも刑務所の運営が可能という方向性もあります。

地方で大きな工場が閉鎖されることがありますが、その工場を敷地ごと居抜きで丸ごと国が買い取って、刑務所に改装し、懲役刑受刑者がその工場で働くことで生産を継続させるっていう方法だって考えられそうです。お役人にはそんなアイデアも行動力もないでしょうから民間の知恵と実行力がないと難しいでしょうけど。

役所で購入する備品類は半分以上は刑務所で生産されたものにするとか、刑務所の食事はもちろん、役所の職員食堂で出される野菜や肉、加工食品は全部刑務所で作られたものにするとか、すぐにできそうです。

現在の日本の刑罰では死刑に次いで重い刑罰として無期懲役というのがあります。しかしこの無期懲役も、刑務所の中で、罪を反省し真面目に過ごせば最近は仮釈放される基準が以前より相当厳しくなってきたとはいえ、25年~35年で仮出所の可能性があるので、二度と生きては外へ出られない死刑とはその刑の重さに雲泥の差があります。

例えば文字通りの無期懲役、例えば終身懲役刑や、仮釈放なしの40年、50年の長期懲役刑というのがあれば、死刑をなくしても、犯した罪の重さを加害者に償いさせることができ、また長期収容されたことで出所時の年齢を考えると受刑者はかなり高齢化し、再び凶悪事件を起こす可能性は低くなるのではないかと思われます。

つまり「死刑制度廃止」の可否だけではなく、日本の刑法全般を同時に見直すことによって、この問題は少しは前進するのではないかなと思っています。

また、過去には死刑が確定した後に、えん罪だったとされた事件がいくつか発生しており、最近も無期懲役刑が確定した後に、再審請求おこなわれ、逆転無罪のえん罪事件だったという例「袴田事件」などがありました。

これは事件発生当時にはなかったDNA鑑定ができるようになったり、証拠が捏造だったりということが、あとで証明されたことによるものが多いようです。

つまり不運にも無実を証明することができなかったり、状況証拠が不利だったり、警察や検察に遵法意識や公正さがなかったりすれば、誰しもが凶悪犯罪の濡れ衣を着せられる可能性があります。

時の権力者や有力者に睨まれた無実の人が、目障りだからと罠にハメられるようなことはドラマや映画の中だけでなく、実際にも起きていそうです。

今後もそのようなえん罪事件が起きないとは断言できず、刑執行により再審の希望が消えてしまうことが、死刑反対論者の主張のひとつにもなっています。

このまま議論を進めず、放置したままであれば、数十年が経って、世界で死刑制度が残っているのは、日本とリビアと北朝鮮だけで、そういう人権意識のない国は経済制裁をして、投資もしないし、観光にもいかないと世界中から笑いものにされるかもしれません。そろそろ、せめて中国や北朝鮮より早く、国民的な議論を進めてもらいたいものです。

その議論の結果、国民合意の元、日本では先進国の中では少数派となった「一般犯罪の死刑制度の永久存続」を決めたというのであれば、それはそれでその昔に「鎖国」を決めたのと同様に、他国からの内政干渉は受けないと我が道を進めばいいのだし、また「戦争放棄の平和憲法」と一緒にして「世界文化遺産」に申請してもいいのではないかと思うわけです。

ちなみに2014年7月現在、国内で死刑が確定している服役囚は128人。そして死刑が執行される人数は毎年変動があり、過去21年間で平均すると年4.7人となっています。


【関連リンク】
850 少年犯罪は増加、凶悪化しているのか?
842 ひき逃げは絶対に許してはいけない
740 高齢者の犯罪が増加
693 引きこもりが長期化する前にすべきこと
523 あゝ無情な家族が続々



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マスカレード・ホテル (集英社文庫) 東野圭吾

2008年より小説すばるで連載、2011年に単行本、2014年7月には文庫版が出版されている、作家生活25周年記念作品の第3弾となります。ちなみに第1弾は「麒麟の翼」、第2弾は「真夏の方程式」です。

舞台は都内の高級ホテル。主役はホテルで働く女性フロント係と殺人事件に関わる捜査で、ホテルの中で同じフロント係として配置されることになった警視庁の刑事です。

都内で連続殺人が起き、そこに残されていた数字が、次の殺人場所を予告していることを突き止めた刑事が、犯人に悟られることなくホテルの中で監視をするためにフロントやベルボーイ、リネン係とそれぞれに扮し、疑わしい客を監視することになったものの、犯人は当然そうした警察の裏をかこうとし、刑事と犯人との知恵比べが話しの中心となります。

ホテルには様々な客が訪れますが、おそらく著者がホテルを取材し、過去に実際にあったケースを元に書いたのでしょうけど、ホテルの中には世界の縮図、社会の縮図がいっぱい詰まっていて面白いものです。そのあたりは元京王プラザに勤めていた森村誠一氏の著書に多く登場してきます。

私も学生時代に高級とまではいえないものの、ある観光ホテルで数年間アルバイトをした経験があり、ホテルの裏側、特に従業員側から見た利用客の実態はある程度知っていて、さほど驚くことはことはありませんが、その記憶が蘇ってきます。

そう考えると、ホテルのサービスは、過去何十年も前から基本的にはなにも変わらない数少ない仕事なのかも知れません。

小説に出てくる客は、例えば、部屋備え付けのタオルをベッドの下に隠しておき、持ち帰ったように見せかけて、従業員に犯人扱いさせておいてホテルにクレームをつけようとする客、盲人のフリをして泊まりに来る老婦人、禁煙ルームを希望しておき、ベルボーイの隙を見てタバコに火を点け、部屋にタバコの臭いがするとクレームを付けて部屋のアップグレードを計ろうとする客、夫の浮気現場を押さえて離婚を有利に計ろうとする女性客などなど。

最後のどんでん返しもなかなかよくできていて、いつもの東野ワールド全開でした。

著者別読書感想(東野圭吾)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

西の魔女が死んだ (新潮文庫) 梨木香歩

1994年に単行本、2001年に文庫版が発刊され、2008年には実写で映画化もされている、著者の作家としてのデビュー作品になります。

映画が文部科学省特別選定作品ということからもわかるように、人の死を扱いつつも、ほのぼのと暖かな気持ちにさせる児童文学です。

内容は中学生になって不登校になってしまった主人公まいと、日本人と結婚して日本に住みついているイギリス人祖母とのふれあい、そして代々継承されてきた魔女としての能力などをテーマにしていますが、別段ハリー・ポッターのように魔女が飛び回るようなはちゃめちゃなことはなく、大人が読んでも十分楽しめるものです。

著者は私と2年違いのほぼ同年代の方ですが、私のような仕事にも人生にもくたびれたひがみ根性だらけの中高年ではなく、新鮮な発想と、若く瑞々しい感性とを持ちあわせた方だというイメージです。またイギリスへの留学経験もあり、この小説の中でもイギリス人祖母の英国風生活習慣がそこここに登場してきます。

この著者の作品を読むのは今回が初めてですが、他にも多くの作品が出ているので、今後は意識してもう少し読んでみたいなと思わせる作品です。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

オレ様化する子どもたち (中公新書ラクレ) 諏訪哲二

著者は元高校教師で定年退職後は大学で未来の教師へ教えたり、勉強会「プロ教師の会」代表を務める73歳です。私がお気に入りの中島義道氏が「戦う哲学者」なら、この方は「戦う教育者」ってことになるでしょうか。

この本を読もうと思ったのは、やはり哲学者でもあり多くの著作を持つ内田樹氏の著書の中にいくつか本書からの引用箇所があったからで、やや「売らんかな」的なタイトルが気になりましたが、私自身も最近の「オレ様化社会」にいいかげんうんざりしていたこともあり、さっそく探してきました。

本書は2005年に発刊されてますので、すでに9年が経過していますが内容的にみても今でも十分に読み応えがあります。

特に、昔の大家族を中心とした農業社会的なものから、核家族が都会で集団で生活する産業社会的なものへ、そして近年では個人主義的な消費者社会的、さらにすべての物事に「等価交換」を求める市民社会的なものへと教育が転換してきたことによる子供や親の考え方と、それが及ぼす教育についての話しは一読の価値は十分にあります。

つまり市民社会的な流れの中では、従来行われてきたような一方的な教育は成り立たず、個人個人の目的や趣味趣向に影響されるのと、先生と生徒のあいだであっても必ず対等、平等な関係が存在し、上から押しつけられる一方的な指導や教育方針などは、感覚的に受け入れられなくなっています。

そして授業や学習が面白くないことや、授業中に騒いだりテストでカンニングが見つかり注意されることも、一方的に注意をされるというのは受け入れられず、市民社会的に、それには理由があって悪いのは自分ではないとなるようです。

そうして不満や問題が起きる原因や責任は自分のせいではなく、教師や学校にあるという論理から成り立っていることとして「オレ様」の若者が次々と製造されていきます。

学校の問題は、もう私にはさっぱり理解しがたくなりましたが、多くの大人が一度は通ってきた道とはいえ、もう以前の学校や教師と生徒という関係は、昔とまったく別ものに変わってきているということをこの本を読んで理解することができました。

気になる点としては、同じ事を何度も何度も繰り返しているところがあり、これは根っからの教師であるがゆえ、「大事なことは繰り返して生徒に伝えなきゃ」的な教師の習性なのかな?と思ったり、教育と子供について、尾木直樹氏や村上龍氏、水谷修氏など教育者、評論家、作家等の主張や著書に対して、一方的に噛みついたり皮肉を書いたり異論を述べる箇所にたいへん多くを割かれていたりしている点です。

有名人達の教師批判、学校批判が頭に来るのもわかりますが、もっと教師側の立場に立った独自の分析と主張を展開し、他人は他人、どちらの考えが正しいか、わかる人はわかってくれるというスタンスのほうがいっそ潔いと思いました。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫) 森見 登美彦

奈良出身で京大を出ている作家さんで、同じ京大出身の万城目学氏の後輩にあたりますが、作家デビューは先輩です。

過去には、「太陽の塔」(2003年)、「夜は短し歩けよ乙女」(2006年)、「有頂天家族」(2007年)などの小説を読みましたが、はちゃめちゃな設定も多いですが、適度に笑えて、軽く読めるので割と好きな作家さんです。この「ペンギン・ハイウェイ」は2010年に単行本、2012年に文庫化されています。

読んでいると、いかにも映画に向きそうな内容で、もう映画化されているのか?と思って探してみましたが、まだのようです。でも時間の問題のような気もします。

主人公は少なくとも私の周りにはいそうもない、賢い小学生アオヤマ君で、会話に「カンブリア紀」だの「プロミネンス」という言葉がポンポン出てくるってのはどうなのよ~と思わなくもないですが、まぁ小説なので固いことは言わず。

「有頂天家族」では狸が主人公で、今回はペンギンが重要なアイテムになっていて、動物を描くのが好きな作家さんです。

それは著者が京都大学農学部生物機能科学学科応用生命科学コースおよび大学院へ進まれたことと、どのように関係しているかは不明ですが、当然ながら無関係ではないでしょう。

テレビや映画の業界って言うのは、こういう可愛い動物や、大人顔負けに賢くてなんでもよくできる子供が出てくるのって好きですね。

見る側からすると、可愛い動物はモチロン、「そういう賢い子供がいれば幸せ!」って感じたり、将来は「そういう子供が欲しい!」という願望から来るのでしょうか。ま、現実感や実現性は皆無でしょうけど。

それはともかく、タイトルの「ペンギン・ハイウェイ」とは、海から陸地に上がるペンギンが、いつも決まってたどる道のことだそうです。ひとつ賢くなりましたね、役には立たないけれど。

著者別読書感想(森見登美彦)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

動物農場 (角川文庫) ジョージ・オーウェル

著者は1903年インド生まれの英国人で、「一九八四年」(1949年刊)など名著を書いている作家です。この小説は第二次大戦でドイツが降伏したあと1945年8月に発刊されています。

その「1984年」はこの「動物農場」の続編とされるもので、両方読むならこの「動物農場」から読むことをお勧めします。

英国がナチスドイツと闘うために、やむなく協力をしてきた共産主義国ソ連は、この戦争が終結した後、たいへんやっかいな存在になりそうだということをいち早く風刺したものです。

これを読めばソ連の革命以降の近代史は、ほぼ理解できるというすぐれもの(大げさです)です。

元々、著者は社会風刺や体制批判などをわかりやすい言葉で論評したり、風刺小説、寓話などを書いています。おそらく国内では団塊世代以上の人にはとっても相性がいいかも知れません。

この小説では、豚や馬など動物を人間にみたて、人間(ロシア皇帝)からのひどい扱いや搾取に指導者(レーニンやスターリン、トロツキー)の下、立ち上がり、自由と平等を理念とし、革命を起こし、農場を支配してきた人間を追い出すところから始まります。

やがては、動物の中でもずる賢い権力志向の者(スターリン)がライバル(トロツキー)を蹴落としていきます。

その他にも指導者の脇を固める動物や近隣の農場主に、モロトフ、共産主義青年同盟、秘密警察、ナチスドイツ、大英帝国などが当てはめられます。

リーダーへと上り詰めた動物は、独裁支配体制を強め、恐怖政治と政治腐敗が蔓延していく様が、動物視点で面白く描かれています。

もちろんそれらは20世紀前半に台頭した全体主義やスターリン主義への痛烈な批判ですが、後の解説でも書かれていますが、歴史はずっと現代においても繰り返しているということがわかります。

今の世の中であれば、身の危険を感じずに当時のことを面白おかしく書くことは誰でもできるでしょうけど、当時ドイツという共通の敵と闘って、連合国軍として仲間だったソ連やソ連の指導者のことを痛烈に批判した小説を、英国人の作家が英国で発刊するというのはすごく勇気がいったでしょう。

またこの著者は、共産党や社会主義を嫌うガリガリの右翼系の人かというと、まったく逆で、理想とする社会主義者を唱えていた人物で、第二時大戦の前にはスペイン内戦でソ連が支援する人民戦線側に加わり、銃を取って闘ったという人でもあります。

本書には「動物農場」の他、「象を射つ」「絞首刑」「貧しいものの最期」の短編というかノンフィクションも収められています。

この小説を読んで思ったのは、なによりアニメに向いた作品だなぁってことですが、なんと60年も前、1954年に最初のアニメ映画が作られていました。

その後1999年にもアニメ映画が制作されていますが、1954年制作のフルカラー映画(すごくよくできている)は今でもDVDで見られそうです。

著者別読書感想(ジョージ・オーウェル)


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