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1393
人手不足を補うためという点と、世界的にみて日本のダイバシティーが遅れていることから、経産省は東京証券取引所と一緒になって7年前の2012年から「新・ダイバーシティ経営企業100選」と称して、女性や外国人、障がい者などの雇用を積極的におこなっている企業を「なでしこ銘柄」として公表しています。

女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」(経済産業省)

そして5年前の2014年には安倍首相が「女性管理職の割合を2020年までに30%以上にしよう」と呼びかけ、その後2016年には「女性活躍推進法」が施行されました。

また、2015年に策定された「第4次男女共同参画基本計画」において政府は、「上場企業役員に占める女性の割合について、2020年には10%を目指す」という目標を立てています。

さらに、金融庁と東京証券取引所は、2018年から企業が守るべき行動規範の「改訂コーポレートガバナンス・コード」を施行し、上場企業の取締役会の構成に関して「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」を求める規定が盛り込まれるようになりました。

このように、様々な思惑や目標が交差する2020年が、もうすぐそばに近づいてきましたが、それらの進展はどうなのでしょう。

確かに最近では以前だと男性ばかりの職場だった建設現場や、電車、トラック、タクシーなどの運転士、ドライバーなど運輸交通関連、外科や整形外科の医師などにも女性の姿が目立つようにはなってきています。ただ、目立つと言うことはまだ一般的ではなく、まだ少数派だということです。

統計データは過去のものしかなく、なかなか現状を評価しにくいのですが、実感としては、確かに女性の働く人の割合が様々な場所で増えたのは間違いなさそうですが、その増加した多くはパート労働など非正規雇用で、役員はもとより、管理職に抜擢される割合が目立って増加しているとは思えません。

ちょっと2017年の古いデータですが、労働者調査で48万人の労働者が増えましたが、その内訳は女性が45万人、男性が3万名ということです。但しその増えた女性労働者のほとんどはパートなど非正規雇用です。

通常管理職になれない女性の非正規雇用が増えているのは、お金持ちなセレブ夫婦以外は、目減りしていく夫の給料や、逆に税金や社会保険費用などの支出が増え、もう専業主婦なんて贅沢なことは言ってられず、子育て中や介護中の主婦も、空いた時間で働きに出た結果であり、さらには離婚率の高まりで、シングルマザーが働きに出るといった形などで女性の就業率が高まっているという可能性が高そうです。

あと、もうひとつは、昭和時代には当たり前だった「男は外で働き、女は家庭を守る」的な慣習をもっていた巨大な人口を占めている団塊世代とその周辺の働く男性達がビジネス界から大量にリタイアし、相対的に働く女性の割合が増えているとも考えられます。

HR総研が2018年に調査をおこなった「「多様な働き方」実施状況調査」の中にある「役員を含む女性の管理職の割合」のデータをグラフ化してみました。



政府目標の30%を越える企業は、わずか4%だけというひどい状態です。

もっと敷居が高い女性役員は、四季報に掲載されている上場企業の役員を調べたところ、2019年9月現在全3740社の役員総数41,072名のうち、女性役員は2,124名で、女性役員の率は増加傾向にあるとは言えまだ5.2%です(2020年の政府目標は10%)。

もちろん、人手不足が今後しばらく続くと危機感をもっている企業も手をこまねいているわけではなく、求人で一番苦労している人事部門が率先して女性がビジネスで活躍できる舞台を作り始めています。

ブラック企業で常道だったサービス残業や休日勤務をなくし、定時退社ができる環境を整えたり、保育園の送迎に使えるよう時短勤務や在宅ワークなど。

2016年に「日本死ね」とまで言われた保育園の入園待ちも、3年が経過し、だいぶんと改善がなされてきたように思います。

しかし相変わらず変わらない最大の原因は、企業経営者でしょう。これは官公庁で女性の管理職が増えない理由とも一致します。なにぶん頭の固いお役人の上の方ですから。

まだ今の経営者には、昭和時代の「モーレツに働いてモーレツに稼げ」的な体育会系ノリが節々に残っています。東芝で有名になった達成不可能な目標を経営者が命じる「チャレンジ」がそうですね。そうした思想が一掃されるには、今の年代の経営層がすっかり入れ替わるまで、あと最低でも10年はかかりそうです。


【関連リンク】
1262 女性役員は増えるのか?
1193 引退後は健康年齢までの期間が重要
1080 女性リーダーを増やすには専業主夫が必要
1055 働き方と社会構造

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1392
私の個人的に大嫌いな言葉に「そもそも・・・」というのがあります。

会社の中で、口癖のようにいつも「そもそもこれって?」「そもそもこの目的は?」「そもそも誰が勝手に決めたんだ?」と、なにかにつけて「そもそも・・・」を繰り返す苦手な同僚がいたせいでもあります。

抑(そもそも)goo国語辞典で調べると、

[名]《接続詞「そもそも」が文頭に置かれるところから》最初。発端。副詞的にも用いる。「この話には抑から反対だった」「目的が抑違う」
[接]改めて説き起こすときに用いる語。いったい。だいたい。さて。「抑人間というものは」


例文からしても、どうも既存の事柄や状態を否定または反対する時に使われることが多そうな気がします。

実際、この「そもそも・・・」って言葉、部下が上司に対しては滅多に使いません。どちらかというと上司や、立場をわきまえない傲慢な人が、上から目線で「そもそも・・・」と、人の意見や過去からの経緯などを無視した形で、ちゃぶ台をひっくり返すかのように使われることが多いのです。

でも若い人も、そういうことには無頓着で、会議や商談の場などでも平気で使っています。「そもそもさぁ、、、」って使うと格好よいと思っているのか、一種バカの流行語になってきている感じです。

そもそもこのプロジェクトは・・・」「そもそもこの問題って・・・」的に。

上記で触れた「そもそも」が口癖の同僚(そいつのことを私は「そもそも男」というあだ名を付けた)は、いつも上から目線で、周囲に気を配ることもなく「そもそも」を繰り返して使っていたので、次第に周囲の社員(上司や同僚や部下)や、取引先の人から疎まれていきました。

そして、それが直接の原因となったかどうかは不明ですが、やがてうつ病を発症し、会社に来られなくなり、休職して治療を続けていましたが、しばらくして自ら会社を辞めていきました。

私も同僚として、その周囲にいた者として喜色満・・・いや、惜しい人材を失いと気にかけていました。

決して職場イジメではなく、明らかに自爆でした。そりゃ、ビジネスの中で、上司や同僚、取引先に対していつもいつも「そもそもさぁ~」なんて偉そうにタメ口利いれば、嫌われますし、上司の評価も落とします。

某、平日朝の情報番組の中にも「そもそも総研」と訳のわからない「無知なお前達に教えてやるのだ!」と言わんばかりのコーナーがありますが、例えそこで取り上げられる内容がご立派でも、そのタイトル付けに「俺はなんでも知っていて偉いんだそ!」という、そのコーナーの仕切りをしている某テレビ局社員のおごりを感じます。

テレビ局や大手新聞社の社員、特に記者や記者あがりの人って、だいたい過剰に自信家で、謙虚さが足りず、「俺は偉いんだ!」といつも偉ぶっているのでそれが普通なのでしょう。

テレビ局や新聞社の記者上がりの自称ジャーナリストは、有名大卒の高学歴、大企業出身(or在職)の「俺様」意識が強く、「下々のみんなに俺様が教えてやる」ってことなのでしょう。

ま、一種のビジネス上のアホな流行語としてみれば、「そもそも」をいちいち問題にすべきことではないのかもしれませんが、一向にビジネス現場やテレビアナウンサーから「そもそも・・・」が消えてなくならないばかりか、老いも若きも口癖のように普通に使っているのが癇に障ります。

きっと使う方にしてみれば、「そもそも・・・」とのたまわれば、なにか自分が偉くなったような気分に浸れて、気持ちがよいのでしょうね。

まぁ、周辺にいる「そもそも~」って連呼している人をよく観察してみてください。口先だけで中身のない人だってことがすぐにわかります。

会議では、「そもそも・・・」と出るたびに、「そもそもって、今さらなに言っているの?バカじゃない?」と言い返しますし、最近の新書でも「そもそも・・・」と書いている著者が多く、そうした言葉遣いをする著者はまったく信用ならんと決めつけるようにしています。

最近読んだひどい新書には、わずか1ページの中に3カ所も「そもそも・・・」って書いてありました。普段からその人の口癖なのでしょう。編集者や校正者が注意してあげれば良いのに、今は出版不況と団塊世代の大量退職で、経費削減と編集者の能力不足とが重なり、そこまでは注意が行き渡らないのでしょう。

そんなわけで、「そもそも話」にはうんざりしています。師走のせわしない時期に、そもそもと同様に、つまらない話しで失礼しました。

【関連リンク】
903 私の想像を超えるビジネスマナー崩壊
869 働かないおじさんと年功序列
792 ビジネスにおける私的リーダー論
754 東京オリンピックとこれから高まるビジネスチャンス



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1391
いつか夜の終わりに (双葉文庫) 高田侑

2009年に発刊された単行本「てのひらたけ」を2013年に改題して文庫化された作品です。著者は50代の現役サラリーマンで、二足のわらじ作家さんのようです。得意分野はホラー小説のようで、この作品も短編小説で、ホラーやミステリーが中心です。

そう言えば、「八朔の雪 みをつくし料理帖」などで有名になった高田郁さんと名前の漢字が似ていて、間違えられそう。

収録されているのは、「てのひらだけ」「あの坂道をのぼれば」「タンポポの花のように」「走馬灯」の4編です。

「てのひらたけ」は登山が趣味の男性が迷い込んだ異次元の世界と恋愛をうまく結びつけた印象深い作品。

「あの坂道をのぼれば」は、40歳にして、水商売の女とならぬ恋に落ち妻子を残して家を飛び出した結果、訪れる悲劇と切ないラスト。

「タンポポの花のように」は、よく知らない叔母が孤独死したあとに、その住んでいた家の整理を頼まれた女性が主人公で、その叔母の人生が次第にわかっていくことで、それまでまったく知らなかった叔母の壮絶な子供時代の出来事を知ることになる物語。

「走馬灯」は既に病気で亡くなった父親を街中で見かけたという中年の兄弟の話しから、その父親が死ぬ前に病院のベッドの上で語ったことが、現実となっていく不思議。

ちょっとひねった怖くはない不思議がジワーと後から出てくるミステリー短編ですが、よく読み込まないとあとで???となりそうです。

著者にすればそれがスタイルなのでしょうけど、軽ーく読み飛ばしていると、あれれ?どうして?となってしまいそうです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

しない生活 煩悩を静める108のお稽古 (幻冬舎新書) 小池龍之介

2014年発刊の新書で、著者は東大教養学部を出た後、仏教の世界に入り僧侶となった方です。

但し、浄土真宗本願寺派の教義に反した活動・出版をしたとして、僧籍を剥奪されたり、奇行癖があったりと、いろいろと紆余曲折のある方です。

この新書が出た2014年は、僧籍はすでに剥奪されていましたが、父親の後を継いだ浄土真宗正現寺の住職だった頃です。

それだけに煩悩の塊みたいな方の煩悩本ですので、説得力があるのか、ないのか。

それでもいくつか気になる項目があって、例えば「79被害者ぶって人を責めることは自ら苦しみたがることと同じ」の項で、最近よく聞く「キレやすい高齢者」で誰も自分を被害者に仕立てあげ、自分を有利な立場にしようとやっきになっているということが書かれていて、確かにそうかなって思います。自分も気をつけなくちゃ。

あと、これは不満ですが、本文のあちこちに出てくる「トホホー」とか「あいやー」とか「いやはや」とか「ガーン」とか「ガビーン」とか、著者のクセなんでしょうね。つまらない余計な言葉が満載で、せっかく良いことを書いてあってもそれを台無しにしています。

同様に「~ですよね。」という書き方も、読者に著者の思いを共感してくれ、オレの言うことを聞け!としているみたいで、「大きなお世話!」「俺はそうは思わないけど」と反感を持ってしまいます。

ま、不満もいろいろありますけど、若い僧侶がいろいろと悩みつつ前に進んでいこうという思いは伝わってきます、

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

乳と卵 (文春文庫) 川上未映子

2008年に発刊され、芥川賞を受賞した作品です。短編の「あなたたちの恋愛は瀕死」も収録されています。

この著者の作品は「ヘヴン」(2009年)「すべて真夜中の恋人たち」(2011年)「あこがれ」(2015年)を読んでいます。

男性にはよくわからない、思春期の女性が大人の女性に変化していく女性独特の話しをジンワリと教わった感じの小説です。

タイトルの卵は卵子のことを指し、乳は女性特有の象徴ですが、この小説では、主人公の少女がやがて生殖に必要な生理が始まることを鬱陶しく思い、離婚してその少女と二人暮らしの母親が豊胸手術をしたいといろいろ調べているという設定です。

もう一人の主人公は、その豊胸手術をしたがっている母親の妹で、東京で一人暮らしをしています。登場人物は女性ばかりですね。

なかなか話が進まずに、だからなに?と思っているうちに終わってしまう短い小説ですが、これが文化人が認める純文学というものか~って気がします。時代が変われば賞の評価や対象にも変化があってしかるべきなのでしょう。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

晩夏光 (ハルキ文庫) 池田久輝

2013年に作家デビューしたときの作品がこの著書です。文庫版は2018年に発刊されています。著者は1972年生まれということですので、ちょうど団塊ジュニア世代の真ん中の方です。小説の著作数はまだ少ない方で、他の作品は読んだことはありません。

香港の裏社会をテーマにしたこの作品は、私自身、中国に返還される前の1980年代の香港、もちろん裏社会ではなく表社会で短期間仕事をしていたこともあり、興味をもって読んでみました。

但し、この本の購入動機は久しぶりのジャケ買いというか「タイトル買い」で、中身はほとんど知りませんでした。

小説の舞台となっている香港の裏社会と言っても、この小説に出てくるのは、ジャッキー・チェン主演の映画に出てくるような巨大な悪の組織や、バックに中国がついた国際ポリティカルスリラーとも違う、どちらかというと、観光客がスリの被害に遭うと、その盗難を探し出して持ち主に返して手数料をとるという、こぢんまりとした裏ビジネスです。

都市伝説的に語られていた「昼間に盗難に遭った高級バッグがその日の夜には、キャットストリート(骨董街)の店頭に並ぶ」というようなことは現在はさすがになくなっているでしょうけど、それは、この街ではなんでもビジネスになるという一例を表しています。

主人公は、自分が起こした自動車事故で婚約者を失い、自暴自棄になって香港にやってきた日本人青年で、綺麗な夜景が眺められるビクトリア湾の公園で闇の商売を仕切っている香港人青年と知り合い、その裏稼業を手伝っているうちに、殺人事件や警察の陰謀に巻き込まれていくというストーリーです。

その香港も、いまや過激化する民主化運動で、観光客も減り、ホテルや土産物屋など観光業界は大打撃でしょう。政治問題には触れるつもりはありませんが、今後、政治も思想も中国本土に吸収されていくであろう香港と香港人達の行く末が気になるところです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ラスト・ワルツ (角川文庫) 柳広司

ジョーカー・ゲーム(2008年)、ダブル・ジョーカー(2009年)、パラダイス・ロスト(2012年)に続くD機関シリーズ作品の第4弾で、2015年に単行本が発刊され、2016年に文庫化されています。

収録作品は「ワルキューレ」「舞踏会の夜」「パンドラ」「アジア・エクスプレス」の4編です。

物語の時代はいずれも太平洋戦争に突入する直前の、軍部が台頭しつつあるきな臭い昭和初期。

「ワルキューレ」の舞台は、日本と同盟関係を結んだドイツで、日本大使館の改築の際に送り込まれた内装業者に扮した日本人スパイ、ドイツで映画を制作していた有望なユダヤ人監督と支援者、日本やアメリカで映画にかかわってきた日本人俳優などが、それぞれの目的のためにうごめく世界を描いています。

「舞踏会の夜」の舞台は日本で、華族の女性が若い頃に窮地を救ってくれた軍人の男性と交わした「いつかは一緒にダンスを」という約束を、20年後のアメリカ大使館で開かれた舞踏会で実現することになったその理由は?

「パンドラ」はちょっと変わっていて、英国で自殺と偽装された殺人事件が発見され、英国警察のベテラン警部が真犯人に近づくと、第一次大戦時の戦友だった情報部MI5のエージェントから捜査停止を告げられ、さらに隠されている陰謀がわかるというややこしい物語。

「アジア・エクスプレス」は満鉄の中で起きた殺人と、日本のスパイとソ連のスパイキラーとの壮絶な知恵比べです。

このシリーズも4作目、最初の頃の驚きやわくわく感からすると、意外性は薄れてきて、初期の頃のような泥臭い人間が、思いもよらないような活躍をするというドキドキはなく、まるで最初からスーパーマンが活躍するように変わってきて、そろそろ潮時かな~って気もします。

007シリーズも、初期というかイアン・フレミングが書いた小説では失敗してぐじぐじ悩む人間味あふれるジェームス・ボンドが、今ではエンタテインメント性だけの、単なるサイボーグ的なスーパーヒーローとなってしまい、つまらなくなりました。

アイデアは毎回違っていて楽しめるのですが、意外性がウリだけに、ちょっと残念かな。

★★☆

著者別読書感想(柳広司)

【関連リンク】
 11月後半の読書 夜と霧の隅で、朽ちないサクラ、我が家のヒミツ、天魔ゆく空(上)(下)
 11月前半の読書 人斬り以蔵、晴れた日は図書館へいこう、アンガーマネジメント入門、幕末時そば伝
 10月後半の読書 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い、オネスティ、生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント、敦煌

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1390
以前、NHKのBSで「オヤジ臭撃退」というのをやっていました。実はこの「オヤジ臭」に関しては、私も失敗談があります(後述)。

番組では、まず一般的によく言われる「オヤジ臭」には「加齢臭(ノネナール)」を思い浮かべますが、実はそれだけではなく、「ミドル脂臭(ジアセチル)」や「疲労臭」があり、それぞれの特徴(ニオイの出る場所、原因、ニオイの種類等)が紹介されていました。

加齢臭とミドル脂臭は汗や皮脂が原因で、加齢臭は40代以降、ミドル皮臭は30代以降に高まってきます。

中年以降になると汗腺機能が落ち、下半身に汗はかかなくなって、上半身に集中して汗をかくようになります。ミドル脂臭の元は汗なので、上半身がニオイます。

加齢臭は主に皮脂腺からでるアブラのニオイで、皮脂腺は毛が生えているところにあるため、胸や首の後ろ、脇などです。出る皮脂量は、男女で差があり男性が女性の約2倍だそうです。

しかも女性は30~40代で皮脂量が減っていくので、加齢臭は中高年男性特有のものと言えます。但し男性も70歳ぐらいでホルモン量が減衰し、その影響で加齢臭はなくなります。

疲労臭のニオイの原因はアンモニアです。生活習慣の乱れや、アルコールの過剰摂取などにより肝臓の機能が低下したときに体内のアンモニアが汗と一緒に出てきて臭うということです。

通常なら尿として排泄されるアンモニアのニオイが全身から汗と一緒に出てくると強烈で、加齢臭やミドル脂臭と比べものになりません。特に注意する必要がありそうです。

それではニオイを防ぐにはどうすれば良いでしょうか?

加齢臭やミドル脂臭対策としては、腸内環境を整えるために食物繊維の多いゴボウやアドカボなどを食べ、仕事中はニオイの強い食品(カレー、ネギ、ニンニク、納豆等)を控える、メタボにならないよう適度な運動(過度な運動はミドル脂臭の原因となる乳酸が体内に増えて逆効果)、朝にシャワーを浴び、ゴシゴシと皮脂を削らないよう、石鹸の泡でサッと流す程度が良いとのこと。

皮脂をこすって洗う場合と、泡だけで流す場合では、泡だけで流す方が6時間後のニオイはゴシゴシ洗いの半分に抑えられるそうです。朝にシャワーを浴びるのは、泡だけ洗いをしても約6時間でその効果はなくなってしまうからです。

あとは、これはすぐにできそうな簡単な方法ですが、ハンカチを常に2~3枚持ち、汗を拭いたハンカチで再び拭かないということが大事とか。1枚しかもっていないと、せっかく拭き取った汗(のニオイ)をまた身体に付けてしまうと言うことになります。

疲労臭の原因となる体内のアンモニアを減らすには、まずは体調を整えることですが、即効性があるのはオルニチンが多く含まれる食品を食べると良いとされています。オルニチンはアンモニアを無毒な尿素に変えて尿で排泄するよう促してくれます。

オルニチンが多く含まれる食品は、シジミ、ぶなしめじ、マグロ、ヒラメ、チーズなどです。テレビCMで「しじみ習慣」とうたっているサプリがありますが、理にかなっていそうです。その他、オルチニンサプリも豊富にありますね。

さて、私の失敗談を書いておくと、まず40歳頃(今から20数年前)、いつものように風呂上がりにヘアドライヤーで髪の毛を乾かしている時、後ろから風をあてていると、なにか嫌なニオイが漂ってくることに気がつきました。

シャンプーしたてなのになぜ?って思いましたが、首筋や髪の毛との境目をしっかりと洗っていなかったようです。そこで初めて「これが最近言われるようになった加齢臭なのか~」って思いましたが、上記で書いた場所からするとミドル脂臭だったかもしれません。

次は40代半ば頃ですが、夏場、営業からオフィスへ戻ってくると、服は汗びっしょりで、涼しいオフィスの中で団扇でバタバタとクールダウンをしていましたが、その時のニオイがかなり周囲に迷惑をかけていたことを後で知ることになりました。

だって~本人はわからないんです。

でも、確かに、全身汗びっしょりで、服が生乾きの時のニオイは強烈で、おそらくとても周囲の人に苦痛を与えたでしょう。申し訳ない、、、逆の立場だったら、とても耐えられず、席替えを要求していたでしょう。

途中で、自らニオっている気?とがつき、これではいかんな~と、かいた汗はタオルですぐに拭き取るようにし、オフィスに戻ってきてからは、まずトイレの個室に入り、ウェットティッシュで首筋や脇の下、胸などを拭き取り、無香の消臭剤をかけるようなことをしていました。ただ汗で生乾きになったシャツのニオイはどうしようもありません(着替えるという発想はその時はありませんでした)。

これから中年域に入っていく人がいたら、特に夏場に外回りで汗を大量にかく人は、こうした失敗をしないように、十分気をつけてください。不思議と10代、20代の若い頃の汗はほとんどニオイがしないのに、30歳を過ぎて40歳ぐらいになると、猛烈に汗がニオってきます。

一度付いた臭い男の汚名はなかなか拭いきれません(笑)。

現在はというと、内勤の仕事がメインとなり、仕事中に汗をかくということがなくなりましたが、出勤前には長時間持続するという触れ込みのデオドラント化粧品(無香性)を首筋や脇などに塗りこみ、新しいハンカチやウエットティッシュをデスクの中に複数常備してニオイには気をつけています。もちろん口臭ケアも大事です。

シャンプーは、それまでは普通の汎用的なものから、40歳以降の加齢臭やミドル脂臭対策に効くと評判の「ルシード 薬用スカルプデオシャンプー」を利用し、特に生え際をしっかり洗うようにしています。

また男女限らず、コロンやトワレの過剰なニオイ、ヘアスプレーなど整髪用のニオイ、本人は普段通りに何気なく使っているのでしょうけど、満員電車やエレベーターの中で近くにいると、吐き気がしてそこから逃げ出したくなることがあります。

そうした反面教師から、自分が使うヘアケア用品やデオドラント化粧品は無香タイプを基本としています。本人にとってわずかなニオイ(そのニオイに慣れてくるとだんだん使用量が増えていく)でも、他人がかぐとえげつないニオイという場合があるものです。

私は、もうビジネス界にいるのはあと半年ぐらいなので、いま以上注意をする必要はないでしょうけど、これから中年期を迎える人は、ぜひ私の失敗のようなことがないよう気をつけてください。

【関連リンク】
1345 塩分取得過多を反省する
1193 引退後は健康年齢までの期間が重要
936 休日はごろ寝がいい
220 加齢臭との闘い



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1389
空き家の問題は年々深刻になってきていますが、空き家でも都市部やその近郊にあるならば、リフォームをして住めるようにしたり、倉庫や作業場として貸し出したり、最終的には更地にして売っぱらえば、多少でも財産価値があります。

地方の住宅地にある空き家も、相続の問題(遺産相続人が離れたところに住んでいて放置)が起きそうですが、限界集落地でもなければ、最悪は行政が対処(現在は空き家対策特別措置法)することで、荒れたまま長期的に放置とはならないでしょう。

「危険な空き家」自治体の撤去費用 3年間で17倍に(NHK)
「危険な空き家」の撤去に、昨年度、全国の自治体が投じた費用は合わせて3億8000万円あまりにのぼり、3年間で17倍と急増

そうした空き家の中で特に問題になりそうなのは、1970年代の第一次別荘ブームと、その後バブル時代の1980年代に起きたリゾート(別荘)ブームに建てられた、「市街地から遠く離れた場所に建てられた住宅(別荘)」が、40~50年の時を経てすっかり朽ち果て、しかも持ち主がすでに亡くなっていたり、権利関係が複雑だったりして、壊すに壊せず、かと言って電気や水道など公共インフラの維持は必要で面倒なことになってきています。

当時別荘として購入されたリゾートマンションも同様です。

別荘は統計上持ち主がいて、空き家ではないので、統計上は空き家のカウントには含まれていません。

元々別荘は「避暑地」というイメージがあるように、エアコンがまだ一般的でない時代に、裕福な人を中心に、暑い都会から逃れてくる場所で、その他にスキーやマリンスポーツなど趣味が高じて、ホテルの代わりに別荘を購入するとかでしょう。

ところが、すでに大都市圏に暮らす場合、エアコンがない生活は考えられず、昔は贅沢品と言って生活保護を受けている世帯では設置ができなかったこともありますが、現在は地域によりますがエアコンは死活問題として認められているぐらいです。つまり避暑としての役割はもうないと言うことです。

また、80年代頃の空前のスキーブームも遠い過去となり、古びたカビ臭い別荘に泊まるより、プールや温泉など施設が充実したホテルに泊まりたいと当たり前に考えるようになり、古い別荘の需要はますます下降気味です。

今まで深刻な社会問題として取り上げられてきた、住人が死亡したり老人ホームに入った後の住宅の空き家問題に加え、数は少ないとは言え、長年使われていない別荘が、今後急速に表面化してきて、社会問題化してくるのではないかなと危惧しています。

なぜ問題かと言うと、別荘の場合は、特定の人がずっと住んでいたわけではないので、住民票や地縁がなく、持ち主や相続者が不明だったり、所有者が複数いたり、また登記簿を見ても故人だったり共同名義だったりして不備が多そうだからです。

さらにある程度の規模のエリア内の別荘地やリゾートマンションの場合は、そこを終の棲家として永住している人もいますので、限界集落のように期限を決めて廃村にしたり、取り壊したりできないこともあります。少ない住人のためだけに水道・電気・ガス・通信・エレベーター・施設管理・道路等のインフラを維持するのはとても高コストです。

そうした人が来なくなった荒れた空き家や別荘が増えると、防犯上、衛生上、倒壊の危険性、治安悪化など様々な影響が出てきます。

ところで別荘って各都道府県にどれぐらい建っているかご存じでしょうか?

一般的に別荘と言えば、長野県(軽井沢など)や、栃木県(那須高原など)、静岡県(伊豆高原など)などが有名ですが、スキーが好きな人は北海道や東北に持ったでしょうし、マリンレジャーが好きな人は千葉県や和歌山県など、温泉好きなら、群馬県や山梨県など、登山が趣味なら岐阜県や富山県などにも多いでしょう。

その他にもゴルフ好きなら千葉県や茨城県、趣味で家庭農園をするなら山梨県や埼玉県、千葉県といった様々な理由や事情で全国各地に散らばっています。

国内の富裕層の中でもさらにその上位者は関東在住者に多いため、有名な別荘地も関東を中心にした場所が多いというのが特徴ですが、バブルの頃の別荘購入者は富裕層だけでなく、全国に散らばっています。

別荘の数を調べようとあちこち探し回って、総務省統計局公表の「平成30年住宅・土地統計調査」から調べてみました。

「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 全国・都道府県・市区町村」によると、別荘は全国に260,800軒あり、空き家の総数8,488,600軒と比べるとわずか3%に過ぎませんが、空き家の場合はリフォームや土地として市場で流通しやすい反面、別荘の売買は、特に古いものはそう簡単ではないでしょう。

都道府県別の別荘数、多い10県と少ない10県は下記の表の通りです。


長野県や静岡県が多いというのは実感と同じですが、沖縄県や北海道も多いのではと思っていましたが、沖縄県は27位、北海道は13位でした。やはり居住地から「クルマで行ける範囲」というのが理想だったようです。

関西圏では、9位に六甲山や淡路島、有馬温泉などがある兵庫県、11位に白浜などのリゾートや温泉がある和歌山県がありますが、やはり上位の多くは関東圏からクルマで行ける場所が圧倒的に多くなっています。

人口や世帯数が減ることで、住宅の空き家が増えていることを示す都道府県別の空き家率と、別荘数との関係について調べてみます。

まず、平成30年の空き家率の高い都道府県は、(1)山梨県(2)和歌山県(3)長野県(4)徳島県(5)高知県・鹿児島県(7)愛媛県(8)香川県(9)山口県(10)栃木県となっています。

空き家率が高い(上位10)上に、別荘も多い(上位10)都道府県は、長野県、山梨県、栃木県ということになります。今後、このあたりの別荘が、空き家と同様、社会問題化していくかも知れません。

こうしたことから、今やタダ同然で手に入れられる「古い別荘を元にした新しいビジネス」がなにかできないか、考えてみるのも楽しいかも知れませんね。

例えば「一定期間、戦争難民を受け入れて、子供には教育を、大人には働く技能を身につけてもらう」とか、国際貢献になり、人口減少社会にマッチするかも知れません。


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