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リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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1905
もののふ戦記(ハルキ文庫) 長谷川卓
一般的に、時代小説、特に戦国時代の小説は、有名な武将やその周囲にいた名将などを主人公とし、活躍やその一生を描くことが多いですが、この小説は、武田信玄下のずっと下の下級武士(御徒衆)のさらにその武士に仕える従者(小者)を主人公としています。サブタイトルに「小者・半助の戦い」と入っています。
本来、戦闘訓練などはおこなってなく、敵と刃を交えて戦うことのない従者(小者)ですが、主人を助けるためには、時には戦わざるを得ません。そして主人には絶対服従で、敵襲で勝手に逃げ出すようなこともできません。
1550年、甲州の武田勢は、信州を手にいれるため、敵対する村上義清の堅牢な砥石城攻めをおこなうことになり、主人公が仕える御徒衆もその戦に加わります。
武田信玄と信州と言えば、ライバル上杉謙信との「川中島の戦い」(1553年から1564年)が有名ですが、その謙信が出てくる前の前哨戦です。
当初は圧倒的な兵力の差で武田勢が簡単に攻略できると思っていたら、相手は手強く、逆に味方は劣勢に立たされ、やがて敗走する「砥石崩れ(戸石くずれ)」という大敗北が起きます。
主人公の従者の主人も足に怪我を負い、落ち武者狩りや勢いを強めた村上勢の追っ手から逃げるため、地元の百姓に化けて主人を背負って味方の前線基地の長窪城を目指します。
小説では、遠征中の下々の日々の食事法や、野宿の仕方、敵味方の見分け方など、普通の時代小説ではわからない下級武士達の生活の描写が緻密で興味がわきました。
すべて創作の内容ではなく、実際に起きた合戦と敗走を背景にしていて、下々の悲惨な戦いが実際に起きていただろうと思わせられる、とても面白い良い作品でした。
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
磯田道史と日本史を語ろう(文春新書) 磯田道史
対談の相手は、阿川佐和子、半藤一利、篠田謙一、斎藤成也、堺屋太一、小和田哲男、本郷和人、酒井シヅ、徳川家広、浅田次郎、杏、中村彰彦、養老孟司、出口治明と、いずれもその道の専門家や大家と言える人達で、内容の濃い話が繰り広げられます。
テレビなどでお馴染みの有名人以外をちょっと補足しておくと、篠田謙一氏はDNA分析の分子人類学者、斎藤成也氏は遺伝学者、酒井シヅ氏は順天堂大学名誉教授で元医史学会理事長、徳川家広氏は徳川宗家第19代当主、中村彰彦氏は歴史小説家です。
それぞれの対談のテーマは、
・阿川佐和子 「『磯田道史』ができるまで」
・半藤一利 「日本史のリーダーを採点する」「幕末からたどる昭和史のすすめ」
・篠田謙一・斎藤成也 「日本人の不思議な起源」
・堺屋太一・小和田哲男・本郷和人 「信長はなぜ時代を変えられたのか?」
・酒井シヅ 「戦国武将の養生訓」
・徳川家広 「徳川家康を暴く」
・浅田次郎 「幕末最強の刺客を語る」
・杏 「女もハマる! 幕末のヒーローたち」
・中村彰彦 「『龍馬斬殺』の謎を解く」
・養老孟司 「脳化社会は江戸から始まった」
・出口治明 「鎖国か開国か?グローバリズムと日本の選択」
です。
対談は、古いものは2003年や2009年、新しい対談は2023年に、文藝春秋などに掲載されたものを集約していますので、一部には内容が古くなっています。ただしこの新書を出版する時(2024年)までに対談以降に変化や進展があったものについては追記や注意書きが加えられています。
歴史のテーマでは、どうしても織田信長や徳川家康、坂本龍馬などが多くなってしまいますが、下級武士やもっと市井の人達の話なども出てきて面白く読めました。
★★☆
◇著者別読書感想(磯田道史)
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煙が目にしみる(光文社文庫) 石川渓月
いきなりこの作品で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞されていますので、努力家でかつ才能のある方なのでしょう。
このデビュー作は2011年に単行本として、2013年に文庫化されています。いわゆる国産ハードボイルド小説で、何度もピンチに立たされながらもくぐり抜けていきます。
舞台は福岡の繁華街中洲で、バブル時代には不動産業で華々しく稼いでいましたが、バブルが弾けた後は怪しげな金融業で細々と活動をしています。
借金を督促するために寄った中洲のオカマバーで、経営者が中洲を牛耳っている暴力団金融からも2重に借金をしていることがわかり、不思議に思って事情を聞くため組事務所へ乗り込みます。
そこに、若い女性が現れて、風俗で働かされている友人を返せと暴力団事務所で暴れ始め、それを主人公が救ってやったことから、暴力団に狙われ、次々とピンチに陥ります。
と、まぁ昔中洲でブイブイ言わせていた中年の主人公が、暴力団と対峙し、仲間にも助けられながら、戦っていくという流れです。
最後にちょっと思わぬ展開が待っていますが、そう驚くほどのことでもなく、それよりは、ヤクザの幹部が、手形でコロッと騙されてしまうとか、ヤクザとの取引でヤクザが律儀に約束を守るとか、殺す相手をやっと拉致したあと、用事ができたからと見張りをひとりだけ残して引き上げてしまうとか、次々と都合良く隠れ家を手に入れるとか、ちょっと安易な気もしますが、デビュー作としては上々のできの作品ではないでしょうか。
★★☆
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泥棒は哲学で解決する(ハヤカワ文庫) ローレンス・ブロック
著者のデビューは、1966年出版の快盗タナー・シリーズ第1作目「快盗タナーは眠らない」ですが、その後1976年に出版されたマット・スカダー・シリーズ第1作目の「過去からの弔鐘(Sins of the Fathers)」が大ヒットしてベストセラーとなります。
その翌年には勢いを増してこの泥棒バーニイ・シリーズを新たにスタートさせます。
その後しばらくはこの人気の2つのシリーズに注力しているのがわかります。
「泥棒バーニイ・シリーズ」は下表のように長編が12作(うち1作品は未翻訳)と短篇集が3作あります。読んだのは今回の作品を含めまだ4作です。
| 泥棒バーニイ・シリーズ | ||
| 日本語版タイトル | 原 題(発刊年) | 読了日 |
| 泥棒は選べない | Burglars Can't Be Choosers(1977) | |
| 泥棒はクロゼットのなか | The Burglar in the Closet(1978) | 2021/04/04 |
| 泥棒は詩を口ずさむ | The Burglar Who Liked to Quote Kipling(1979) | 2013/02/27 |
| 泥棒は哲学で解決する | The Burglar Who Studied Spinoza(1980) | 2026/08/07 |
| 泥棒は抽象画を描く | The Burglar Who Painted LikeMondrian(1983) | |
| 泥棒は野球カードを集める | The Burglar Who Traded Ted Williams(1994) | 2005/09/13 |
| 泥棒はボガートを夢見る | The Burglar Who Thought He Was Bogart(1995) | |
| 泥棒は図書室で推理する | The Burglar in the Library(1997) | |
| 泥棒はライ麦畑で追いかける | The Burglar in the Rye(1999) | |
| 泥棒は深夜に徘徊する | The Burglar on the Prowl(2004) | |
| 泥棒はスプーンを数える | The Burglar Who Counted the Spoons (2013) | |
| 未翻訳 | The Burglar Who Met Fredric Brown (2022) | |
| 短篇集 | ||
| 夜の泥棒のように | Like a Thief in the Night(1983) | |
| 泥棒はプレスリーを訪問する | The Burglar Who Dropped In On Elvis(1990) | |
| 泥棒は煙のにおいをかぎつける | The Burglar Who Smelled Smoke(1997) | |
本作の原題は「The Burglar Who Studied Spinoza」で、直訳すると「スピノザを学んだ空き巣」になります。「スピノザ」は、17世紀のオランダの哲学者のことなので、和訳のタイトルは意味をよりわかりやすくするため変更しているのでしょう。
稀少で価値のある5セントコインを旅行中で留守の富豪の家に忍び込んで金庫から盗み出し、盗品の故買をしている友人のところへ持ち込みますが、富豪の夫婦が予定を変更し主人公が去った後に帰宅し、そこで別の空き巣に出会って妻が殺されてしまう事件が起きます。
さらに主人公が盗んだ5セントコインを預けた故買屋も翌日に何者かに殺されてしまいます。
その両方に関わっているのではないかとにらんだ警察から前科のある主人公が疑われます。
果たして、二つの殺人の犯人を特定できるか?というのがストーリーで、ミステリーファンならこの時代の犯人捜しはそれほど複雑ではないので案外先に犯人がわかるかもです。私も2つの犯行のうちひとつは早々に犯人を特定できました。
★★☆
◇著者別読書感想(ローレンス・ブロック)
【関連リンク】
8月前半 鬼火(上)(下)、心にナイフをしのばせて、母の待つ里、怖い絵 死と乙女篇
7月後半 O・ヘンリーミステリー傑作選、白夜を旅する人々、手鎖心中、破船
7月前半の読書 アヒルと鴨のコインロッカー、ブルックリン・フォリーズ、ザ・ヒート、ノースライト
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