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メルカトルかく語りき(講談社文庫) 麻耶雄嵩

メルカトルかく語りき
著者の代表作になっている「銘探偵メルカトル鮎シリーズ」の9作品目の連作短編小説集で、2011年に単行本、2014年に文庫化されています。著者の作品では2年前にシリーズ外の「隻眼の少女」を読んでいます。

短篇は「死人を起こす」「九州旅行」「収束」「答えのない絵本」「密室荘」の5作品が収録されていて、それぞれにつながりはなく、主人公の探偵とワトソン役の作家の男性だけすべての作品に登場します。

タイトルはニーチェの「ツァラトストラかく語りき」から来ているものと思われますが、思想や哲学的な内容ではなく、主人公の自称銘探偵、メルカトル鮎という人物が、トリックを見破り、ロジカルに事件を解説していくというスタイルです。

普通の探偵ものとは違い、事件の謎は解くものの、犯人はわからないまま終わったり、次に誰が殺されるかで犯人が特定できるとか、(私のような)事件解決でスッキリしたい人にはモヤモヤが残ります。でもこの本を読んでからはそういうトリックものもアリかなと思いました。

特に最後の「密室荘」は、主人公の別荘に忽然と現れた謎の死体についてあれこれ推理をするわけですが、夜中の密室状態で起きたことで、主人公と保養にきていた友人の男性の二人しか容疑者は考えられず、また、密室でなかったということにすれば、探偵として犯人を捕まえないと名声に傷が付くからできない、それならばいっそなかったことにしようと、セメントで地下に埋めてしまいます。

こんな探偵今までいました?って笑ってしまいます。

★★☆

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新聞という病(産経セレクト) 門田隆将

新聞という病
2019年に発刊された新書で、産経新聞や雑誌に掲載したエッセイを集めて再編したものです。したがって、掲載した産経新聞を揶揄するものではなく、朝日新聞や毎日新聞などを糾弾する内容となっていて、朝日新聞のよき購読層はその舌鋒鋭い?批判は考えさせられると言うより怒りかそれともそれを通り越して笑えてくるでしょう。

特に朝日を叩くには「慰安婦問題」や「吉田調書問題」など後で誤報とわかったことを微に入り詳細に語ればOKということで、繰り返し何度もそればかりが強調されています。

新聞や雑誌、ネットニュースなども含めてメディアの記事は誤報や作為の百貨店みたいなもので、現代の多くの人は話半分にしか思っていません。一言取り消せばなんでも許されてしまう政治家の発言と同じくらい軽いものです。

一方、著者が仕事をもらっている産経新聞は良識的な記事を書いていると思いっきりヨイショしています。そりゃ、お得意様の悪口は辛口ジャーナリストといえども書けないでしょう。

ちなみに、2022年下半期平均の販売部数は、朝日新聞が397万部で、著者が褒め称える産経新聞はたった99万部と朝日が4倍以上の大差を付けているというのが世の中のというか国民の常識的な判断であり、著者が存在自体を疑う朝日新聞の購読数が減少していると言っても、それは産経新聞含めすべての新聞に共通することであり、なにか著者の都合の良いデータや出来事だけをうまく使って著者の身勝手な主張をしています。

いずれにしても新聞の衰退はもう止めることはできそうもなく、大量の紙とインクを使う新聞紙はSDGsの観点からもいずれ問題化されるのは必至のことでしょう。

新聞の電子化で生き残ることはできますが、それは事業規模が1/100ぐらいに縮小するということと同義で果たしていまの巨大なメディアがそのまま生き残れるとは思いません。

そうだとすればメディアは自分たちの思想や信条を明確にし、その中でそれぞれが購読者を得ていく方策をとらざるを得なく、小さなパイで細々とやってきたフジサンケイグループと、昭和時代に大きな財産とファンを作ってきた朝日グループや読売グループを同じ土俵で比べるのもおこがましいとしか言いようがありません。

しかし巨大な権力、国会議員や大企業経営者、そしてメディアの報道姿勢などに(自己中心的ですが)堂々と噛みつける人は今や貴重な存在ですので、これからも頑張ってもらいたいものです。

★☆☆

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臨床真理(角川文庫) 柚月裕子

臨床真理
2008年の「このミステリーがすごい!」の大賞に輝き、2009年に単行本、2010年に文庫化された著者のデビュー作品です。著者の小説はすでに5作品を読んでいますが、このデビュー作品はかなりの力作だと思います。

内容的にツッコミどころはいくつもありましたが、ラスト近くで判明する意外などんでん返しとか、エンタメ性とともに、医者と看護師の間に入り、精神病など見えない敵に取り組む臨床心理士の苦労が偲ばれます。

主人公は、国立病院に勤務する新米の臨床心理士の女性で、ある福祉施設に入所していて傷害を起こした難しそうな青年のカウンセリングを受け持つことになります。

その青年と福祉施設で仲の良かった同じく入所している少女がある日腕を切り自殺を図ります。その自殺が信じられず、救急車の中で福祉施設の所長に斬りかかり、救急隊員などに怪我を負わせてしまいますが、精神錯乱の上の行為と言うことで医療病院へ収容されます。

その青年には、声に色が付いて見えるという不思議な能力があり、誰にも信用されず精神異常と判断されています。その声の色で相手が嘘をついているとか信じてくれているとかがわかります。

臨床心理士は、その青年に寄り添い、少女の自殺の真理を探し求めて奔走することになりますが、その方法が名刺も持たずに福祉雑誌の記者になりすまし、役所や企業の担当者に取材を申し入れ探りを入れるとか、高校時代の同級生で今は警察官になっている男性に非合法な協力を求めたりと、常識では考えられないリアリティのない場面も結構あってそういうところにまだ新人作家時代の甘さを感じさせられます。

★★☆

著者別読書感想(柚月裕子)

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釧路湿原殺人事件(講談社文庫) 内田康夫

釧路湿原殺人事件
著者のミステリーは「浅見光彦シリーズ」や「信濃のコロンボシリーズ」が有名ですが、本作品はそのいずれにも属さない大学教授の老夫婦がフルムーン旅行で事件に関わり謎を解決していくストーリーとなっています。1989年に単行本、1993年に文庫化されています。

主人公の一人娘が国立公園の釧路湿原で勤務している環境省(執筆当時は環境庁)に属するエリート官僚との結婚式を東京のホテルであげ、新婚旅行へ行く直前に釧路湿原で事件が発生し、夫は新婚旅行をとりやめて釧路へ急遽戻ることになります。

釧路湿原で行方不明になっていた男性は他殺と判明し、開発業者側であったために対立していた自然保護の官僚に疑惑が向けられます。

娘の夫、つまり義理の息子のために釧路へやってきた主人公が様々な関係者に会って複雑な人間関係や利権、そして義理の息子が隠している謎を推理していくという流れです。

浅見光彦シリーズなら、警察庁刑事局長の弟だとわかると警察は急に協力的になって事件捜査に全面協力してくれます。今回は北海道警の幹部が主人公の大学時代の教え子ということがわかり、それまでの被疑者の父親で共犯者という立場から一転し協力的になります。この警察の態度が急変するというのは著者の得意とするところです。

この作品は以前に橋爪功主演の「旅情サスペンス 釧路湿原殺人事件」(2001年)としてテレビでやっているのを見ています。小説の内容もそうですが、ドラマも20年以上前のロケなので現在とはだいぶんと違った風景になっている感じです。

★★☆

著者別読書感想(内田康夫)

【関連リンク】
 6月後半の読書 鍵のない夢を見る、悪しき正義をつかまえろ、ふなうた、大量廃棄社会
 6月前半の読書 四つの署名、牛の首、残酷な進化論、盤上の夜
 5月後半の読書 火の壁、追想の探偵、70歳の正解、囚われの山

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