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EV車イメージ自動車業界は3年前まではEVへの転換一色だったのが、コロナとロシアのウクライナ侵攻によって少し風向きが変わってきたようです。

それでも自動車のEV化推進は必然の結果として、一部の環境よりも経済発展を急ぐ国を除きここ10~15年のうちに一気に勧められていくことになりそうです。

そのEV化の流れにいまいち対応できていないのが日本の自動車メーカーで、様々な原因が言われていますが、やはり一番大きい理由は、1社で政治をも動かすことができる大トヨタ様がEV化にあまり積極的でないことがあるでしょう。

トヨタ様が完全EV化に積極的でない理由には、過去にHV(ハイブリッドエンジン)に並々ならぬ投資をしてきているため、それを回収するためその技術を少しでも長く使いたいことと、一気にEV化をしてしまうと、それまで一心同体で苦労をともにしてきた内燃機関エンジンやトランスミッション関連の子会社や関連会社、取引先などが路頭に迷ってしまうということもあります。

日本の経済や雇用もそうした無数の下請けや孫請けの製造業で成り立ってきたという経緯もありますから、闇雲に経済構造を急転換することもできず、手足を縛られてきました。

トヨタの社長が今年の4月に急に交代したのは、私の勝手な憶測では、内燃機関エンジンが大好きでエンジン車でレースやラリーにも出る豊田章男前社長では、ますますEV化の波に乗り遅れそうなので、ずっとシャーシや足回りの技術をやってきて内燃機関エンジンにはなんの興味も未練もない佐藤恒治新社長にEV推進を託したという構図かなと思いました。

閑話休題、すでに自動車業界はEV市場でニューカマー達がその覇権を競っています。その中には日本のメーカーは入ってきません。

EV世界販売、テスラが猛追のBYDを抑えて首位死守。日本勢は?(M&A Online)(PDF)
米環境ニュースサイトのCleanTechnicaによると、2022年1~12月の電気自動車(EV)世界販売で、米テスラがトップを死守した。しかし、中国の比亜迪(BYD)がテスラを猛追しており、2023年は逆転される可能性が高そうだ。一方、日本勢は上位に食い込めず、出遅れ感が強まっている。

現在一般的にEVと言われているのは、BEV、HEV、PHEV、FCEVなどがあります。

BEVとはガソリンを使わず電気のみを使って走る車、HEVはエンジンとモーターと両方を持つハイブリッド車、PHEVは充電スタンドなど外部から充電できるハイブリッド車、FCEVは水素を燃料として発電し電気で動く車です。

しかし動力や発電に内燃機関エンジンを使うHEVやPHEVは純粋にEVとは言えず、燃料電池のFCEVはまだ台数が極めて少なく無視できるレベルです。

またEVではありませんが、トヨタが水素を燃やして動力を得る水素エンジン車のテストをおこなっていますが商用化の目処はまだたっていません。

純粋なEVと言えるBEV単独と、準EVのPHEVを含めたEV販売台数トップ5はそれぞれ下記の通りです。データ出典は、CleanTechnicaです。

2022年BEV 世界販売台数TOP5(企業グループ)
1 Tesla アメリカ 1,314,330
2 BYD 中国 913,052
3 SAIC 中国 671,725
4 Volkswagen Group ドイツ 571,067
5 Geely-Volvo 中国/スウェーデン 383,936
2022年BEV+PHEV 世界販売台数TOP5(企業グループ)
1 BYD 中国 1,857,549
2 Tesla アメリカ 1,314,330
3 Volkswagen Group ドイツ 831,844
4 SAIC 中国 724,911
5 Geely-Volvo 中国/スウェーデン 606,114

純EVではテスラと元々は電池メーカーの企業だった中国のBYDの一騎打ちという構図で、PHEVを含めると上位2社は変わりませんが、3位にドイツのフォルクスワーゲンが食い込んできます。

次に企業集団ではなく、メーカーブランド別のBEVとPHEVの世界販売打数順位を最新の2023年1月~4月までの4ヶ月間で見たのが下の表です。

ブランド別 BEV+PHEV 2023年1月~4月販売台数
01 BYD 中国 722,670
02 Tesla アメリカ 539,796
03 BMW ドイツ 132,169
04 Volkswagen ドイツ 124,575
05 GAC 中国 122,153
06 SGMW 中国 116,185
07 Mercedes ドイツ 100,488
08 Volvo スウェーデン 88,156
09 Changan 中国 82,156
10 LI Auto 中国 79,022
11 SAIC 中国 72,391
12 Geely 中国 72,354
13 Hyundai 韓国 68,532
14 Audi ドイツ 66,102
15 Kia 韓国 64,693
16 Jeep アメリカ 45,694
17 Peugeot フランス 42,835
18 Toyota 日本 41,460
19 Nissan 日本 40,697
20 Ford アメリカ 39,739

品質やデザイン、価格など総合的に日本車最高!と思っている日本人が多いと思いますが、いざEVを買おうとしたときにその選択肢は日本車にはほぼなく、海外メーカーの外国製ということになりそうです。

そして中国やアメリカ製だけではなく、ドイツや韓国製が幅を効かせていて、日本製は世界のBEV+PHEVの中では日本製のシェアはわずか2%とという少なさですから選べる範囲も限られます。

個人的には年齢からして長くてあと10年ぐらいしかクルマに乗らないと思いますので、内燃機関エンジン車で終われる可能性もありますが、いままだ40代以下の人のほとんどは、いずれEVを購入することになります。

その時に、果たして日本製の気に入った自動車が見つかるかどうか、現在の趨勢では疑問です。

三菱重工業の大型客船の造船から撤退し、続いて巨額の税金も投入されていた国産ジェットMRJや、H3ロケットの度重なる失敗など、近年著しく技術レベルを落としているのがわかりますが、やがてトヨタやホンダなど日本の自動車メーカーも同様に何をやってもうまくいかないという事態に陥らなければいいのですが。

【関連リンク】
1664 EVの出先での充電について
1617 2021年の車種名別販売ランキングとEV化
1505 日本のEVシフトは環境問題ではなく経済問題



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現役のビジネスマン時代の多くは割と硬めの仕事だったことから、いつもスーツにネクタイ、黒いビジネスシューズを仕事では着用していました。

そこで意見が分かれるのが「ビジネスシューズは長持ちする高級品か、それとも次々と使い捨てする安物か?」という二者選択の問題です。

新入社員の頃(今から40数年前)は、お金もないし、営業の仕事で雨や雪の日でもガシガシ歩かなければならないことから、安い黒革の靴を常に3足ほど用意しておき、毎日変えて履いていました。

1足の靴が耐用するのはせいぜい半年ぐらいで、したがって2ヶ月に1足ぐらいの割合で新しい靴を買っていました。複数必要なのは、雨の中を歩いてびしょびしょになると一晩では乾かず、梅雨の時期など湿気が多いときは1日以上置いてもまだ湿っています。

ところが新入社員だった頃、アルバイトで来ていた学生が、数万円するリーガルの高級靴を大事に毎日履いていて驚きました。社員の自分は一足三千円程度の安物です。

そのアルバイト君が言うには、「靴は足にとって大事で、他のファッション以上に気を遣っている。やっぱり高いものにはそれだけの価値があるし、耐久性がある上に履き心地もまったく違う」と。

その時は、「確かに一理あるな~」と思っていましたが、とても新入社員の身では高級靴を複数使い回せる余裕がないのと、一度そうした高級靴を靴屋で試しに履いてみたところ、革が固くて足が痛くなりそうで結局は買いませんでした。革靴は足に合わないとまるで拷問です。

そういうこともあり、私のビジネスシューズの選択は、「高級な靴を大事に長く履く」のではなく、「ノーブランドの安い靴を次々と買い換える」でした。しかし足にピッタリした美しい高級黒革靴への憧れはずっとありました。足下がピリッと見栄えがするとなにか「デキる人」みたいな感じがします。

その後20年ほどが経ち、仕事関係でイベントに呼ばれたり、結婚式などに主賓として招待されることもあり、さすがに1足3千円の靴では「足下を見られる」ではないけれど、品がないので、1足だけは仕事ではなく結婚式や華やかなイベント用にと、アウトレットでイタリア製の勝負靴を買いました。

しかし、私の足は一般的な日本人のベタ足のため、お洒落でスマートな細身のイタリア製の靴の形状には合わず、長時間履いているとたまらなく痛くなりました。その靴を履いて出掛ける時は、一種の拷問のように感じました。

途中からは考えて、履き慣れた靴で出掛け、出先で履き替えて、用事が終わればまた履き慣れた靴に履き替えるという面倒なことをしていました。

リタイアしてからそれまで持っていた安物の5~6足の革靴はすぐ処分しましたが、固く良質な革でしっかり作られた高級靴は使用頻度が少なかったこともあり、まだまだ綺麗な状態ですので、それだけは残してあります。しかし今後それを履くような機会がないことを願うばかりです。

【関連リンク】
1554 スニーカーやウォーキングシューズのアウトソール
543 靴はどのタイミングで捨てたらいいの?
520 若いビジネスマンへ告ぐ



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理容室仕事をリタイアしてから散髪のために散髪屋さんへ行く機会がめっきりと減りました。

現役中は少なくとも2~3ヶ月に1回は必ず通っていましたが、現在は半年に1回のペースです。

理容店は、散髪屋、床屋、理髪店、ヘアーサロン、カットサロン、理容室など様々な呼び方がありますが、私は子供の頃からずっと「散髪屋さん」一択です。国の厚労省では「理容所」という名称で統一されています。

思えば60年ほど前、まだ幼児だった頃、父親が2週間に一度ぐらいのペースで唯一の休日だった日曜日に近所の理容店へ行くので、それによくついていき、待合場所で漫画を読むのが楽しみだったことがあります。

昔の人は、よく理容店へ通っていたんだなと思いつつ、まだ幼児の頃の記憶なので、間違っているかもと思っていたら、先日年配の理容師さんから「昔の人は1~2週間ごとに来てくれたのに、今の人はよく来る人でも1ヶ月に1回ぐらい」という話を聞いて、幼児の頃の記憶はそう間違ってないようでした。

理容店は、基本的に男性が髪の毛の身だしなみを整えるために通う場所ですが、私の周囲にも、「カットはいつも美容室へ行く」や、「自分でカットするから何十年と散髪に行ったことがない」、「妻にカットしてもらっている」という人などがいるのと、顔や首筋の産毛などの処理で女性が理容店に来ていることもあり、理容店は男性だけが必ず通っている場所とは言えないようです。

私も若い頃の一時期、パーマをあてるときには美容室へ通っていたことがありますが、美容室ではひげ剃りができないので、それがちょっと残念で、また理容室へ戻ってきました。やっぱりプロが顔全体を丁寧に剃ってくれたあとは、ツルッツルになってとてもスッキリして気持ちよいものです。

最近流行しているQBハウスなどのクイック理髪系は、カット専門で、ひげ剃りやシャンプーなどはやっていないので、理容店に丁寧なひげ剃りを求める私は行きません。

最近の理容店の景気はどうなのかな?と思って店のオーナーの理容師さんと話しましたが、常連さんが来る頻度よりも、近所に大規模なマンションができたり、新築住宅がたくさんできると来客数がてきめんに増えるということで、その店は駅前という地の利もあって周辺の人口動向に左右されるようでした。

理容店(理容所:ブルー)と美容院(美容所:ピンク)の全国推移をグラフにしてみました。

理容所と美容所数推移グラフ
 出典:厚生労働省「衛生行政報告例の概況 」

このグラフにはありませんが、団塊世代が若い社会人でオシャレにも敏感だった1970年代にピークを迎えた理容店は、その後緩やかに減少し続けています。

一方の美容室は、現在も増加中で、対称的となっていますが、人口減少時代にはいり、客の奪い合いが始まっているようで、魅力を出すための工夫など経営は決して楽ではなさそうです。

それでも理容店は2020年時点で11万5千店舗もあり、これは全国のコンビニエンスストア5万6千店の2倍近くもあることになります。

理容店は見ていても会社経営というより個人店というイメージがあります。QBハウスのようなフランチャイズに加盟している店も、個人店が中心です。ごくまれにいくつも支店を持ち多くの従業員を抱えている理容店があり、そういうところは会社組織にしているケースがあります。

経営形態(サンプリング数751店)と理容師数の推移です。

経営形態 施設数 割合%   理容師数(人)
個人経営 686 91.3  2000年  250,716
株式会社 18 2.4  2005年 250,407
有限会社 45 6.0  2010年 237,602
その他 2 0.3  2015年 227,429
総数 751 100.0  2020年 210,849
出典:厚生労働省「衛生行政報告例の概況 」と「理容業の実態と経営改善の方策」

まず経営形態では、予想通り91%の店が個人経営の店です。理容師は特殊技能の職人さんでもあり、理容室の経営は会社組織にはあまり向かない業態と言えるのでしょう。

理容師数は、ここ20年間で約4万人、約20%の減少です。美容室数が伸びているように美容師の数は増えていますので、理容師のひとり負け状態です。

さらに今回は調べませんでしたが、理容師の高齢化が進んでいて(古いですが2003年調査時点で理容師の平均年齢は64.6歳)、個人店の後継者がいないという暗澹とする現状です。

  ◇   ◇   ◇

昔から理容店は月曜日が休日で、現在は第2、第3火曜日も休日となっているところが多いのと、どの店も料金がほぼ同じというイメージがあります。

これは「理容店が加盟している組合の指導というか規則でそうなっているのだろう」とずっと思っていましたが、調べると組合にそういう強制力はなく、組合に加入していても料金や休日は自由に決められるそうです。店の家賃や物価も地域や場所によって大きく違いますから料金が違うのは当たり前ですね。

ただ休日に関しては組合に加入していると、そこでおこなわれるイベントや研修などは月曜日に開催されることが多く、それに休日を合わせておくほうが便利ということになります。

料金は、昭和の時代はともかく、現在は店が自由に決められます。昔は低価格を打ち出して価格破壊をする店には周囲の店から嫌がらせなどがあったそうですが、今はそういう時代ではありません。

理容師が加入する組合組織は、「全国理容生活衛生同業組合連合会」で、現在4万5千名が加入しているそうです。

すでに引退したり、理容の仕事をしていない有資格者を含めて理容師数は21万名いますから、4.5万名だと理容師全体の21%が加入していることになります。

これは店舗数が11万以上あることを考えると、意外と少ない感じがします。加盟店一覧で調べてみると、近所の徒歩圏にある理容店は11店舗ありますが、組合に加入しているのは2店舗だけでした。

なんでも古くから理容店を営んでいたり、父親から継いだような人は加入しているケースが多いそうですが、若い人や新たに理容店を始める人は加入しない人が増えているそうです(組合に加入している理髪店主の話)。これも時代です。

理髪料金は、QBハウスのような価格破壊モデルが登場したり、客の要望や店によってパーマやマッサージなど様々なオプションもあり、画一的ではないのと、地域差も大きいので統計データとしては、総務省の家計調査の支出で見るしかありません。

それとは別で出典は不明ですが、1965年(昭和40年)頃は350円、1975年(昭和50年)555円、1985年(昭和60年)2800円、1993年(平成5年)3334円、2015年(平成27年)3541円、2022年(令和4年)3612円というデータがありました。

私がいま(2022年)通っているところは調髪、シャンプー、シェービングで3,800円でしたので、概ね平均値に近いですが、都市部の駅前と言うこともあってやや高い設定かも知れません。

QBハウスが登場した1995年以降、理髪にかかる費用は全体的に減少傾向にあったと思いますが、上記の数字はその後も上昇していて、一般的な理髪店の価格という気がします。

長期間の推移で家計や収入に占める理髪費用や美容院費用が上がったのか下がったのか、いずれ調べてみたいと思います。

想像ですが、男性の理髪費用は減り、女性の美容院費用は増加しているという気がします。もっとも美容院は男性利用者も多いので、男女で分けるのは正しくありません。

【関連リンク】
1614 自動車整備士に未来はあるか?
1538 日本の農業はどこへ向かうか
1399 生涯未婚率はこれからも上昇する?
527 教員の高齢化について


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1660
ホンダは個人的に好きな自動車メーカーで、1980年代から1990年代にかけて、都合10年間ほどホンダの乗用車を新車で購入して乗っていました。

戦前、戦後の何もない中で自動車修理業者に丁稚奉公し、やがて修理業をおこなうかたわら、原動機付き自転車から始めて世界のHONDAを作り上げた本田宗一郎氏の立志伝心物語は有名です。

世界の自動車販売台数ランキング(2020年)ではホンダは8位ですが、これはグループ(日産とルノーのような)を作らず、独立系としておこなっているためで、国内でのブランド(メーカー)別販売台数(2021年)ではトヨタに次いで2位です(1位のトヨタとは大差がついていますが)。

ところがこのところホンダに元気がありません。

2018年の国内販売台数は363,565台(前年比96.0%)、、2019年は348,061台(前年比95.7%)、2020年は283,774台(前年比81.5%)、2021年は268,186台(前年比94.5%)と、このところずっと前年を割っています。

しかもホンダが悩ましいところは、数は出るけど安いために利益が少ない軽自動車の販売数が多く、儲けが多い中級~上級車の販売が振るわないことです。

その中でも数年前まで国内販売で大健闘していたのがコンパクトSUVのヴェゼルです。

初代ヴェゼルは2013年12月に登場し、小型車フィットのシャーシを使い、スタイリッシュなデザインと、車高やシート座面が高くて使いやすく、しかもフィットのベースを利用しているので量産効果から安く製造でき、比較的安価で提供されました。

それが給料の上がらない若者にも、広い室内を必要とするファミリー層にも、そして若作りな高齢者にも人気でした。

その初代ヴェゼルはライバルが多い国産SUVの中において、2014年から3年連続でSUV販売台数ランキングでトップを走っていました。



そんな人気車種だったヴェゼルがフルモデルチェンジ(FMC)をしたのが昨年の2021年4月のことです。



販売直後には「ホンダ 新型ヴェゼル、発売後1ヶ月弱で3万台を受注!」とリリースが出たようですが、通常FMCすれば買い替え需要などで一時的に販売想定を超えるのは当たり前のことで、公表の3万台が多いのか少ないのかよくわかりません。

では2021年4月以降の販売成績がどうなったかというと、、、コロナ禍のせいで、半導体や部品調達に遅れが出たこともあったでしょうけど、FMC直後の盛り上がりは限定的に終わり、すでに初代ヴェゼルのモデル末期の頃とあまり変わらない販売台数に落ちてきました。

発売開始の3ヶ月目から12ヶ月間の販売台数を比較すると、初代ヴェゼルが96,245台に対して、ヴェゼルから新型ヴェゼルへの乗り換え需要があるはずの2代目ですが57,165台と59%に過ぎません。

2020年にベースとなる4代目の新型フィットが登場したときは、愛らしいスタイルなど、これは女性ユーザーにはウケそうと思いましたが、そのすぐ後にでてきたヤリス(旧ヴィッツ)が、性別問わず、幅広い年齢層に様々なスタイルや動力を用意し、そのクラスの需要をガッポリと持っていってしまい、フィットも苦戦を強いられています。月間目標が1万台に対し、それを超えたのが発売直後の2020年3月だけというていたらくです。

そのイマイチ支持されていないフィットと同じシャーシを利用した新型ヴェゼルを見たときは「なんじゃこりゃ?」と思いました。

私のデザイン感覚なんてド素人だから、今の人はこういうデザインこそ「新しい!」「素晴らしい!」「美しい!」という感覚なのかな~と思っていましたが、その後の販売台数を追いかけてみると、やっぱりこの2代目ヴェゼルは明らかに失敗作ではないかと思います。

もちろん人気や売れるかどうかはスタイルだけの問題ではないでしょうけど、大きな要因であることは間違いありません。

なんとなくですけど、中国ではこのヴェゼルはHR-Vという名称で販売されていますが、中国人を強く意識した(中国人が好きな)デザインのような気がします。

下記のグラフは、2014年1月から2022年7月までのヴェゼル販売台数推移です。紺色は初代ヴェゼル、ピンク色は2021年4月にFMCした2代目です。



初代ヴェゼルの月間販売目標は2014年の当初は控えめに4千台、ところがすぐに1万台を超える月も出てきて、2015年の途中から5千台へと変わりました。新しいヴェゼルはどこからそのような自信があったのかわかりませんが、最初から目標数は5千台でした。

ところがFMCの販売開始の2021年4月から2022年7月までの16ヶ月のあいだに目標の5千台を超えたのはたった5回だけで、これを散々と言わずしてなんと言うのでしょう。繰り返して言いますがFMC直後でこれです。

初代ヴェゼルは7年と3ヶ月で予想を上回る46万台以上販売しています。つまりそれだけの買い替え需要が新型には現在から将来に渡って見込めるわけですが、残念ながら、次に同じコンパクトSUVを求めたとしても次はヤリスクロスやカローラクロス、日産キックス、マツダCX-3、来年にはFMCするC-HRへと移っても驚きはしません。

自動車ジャーナリストの故三本和彦氏は常々「ホンダのびっくり箱」と好意的にそのユニークなデザインや技術を高く評価していましたが、もし今、昔やっていたような「新車情報」に出られたらなんと言われるでしょうか。毒舌でならした方ですのでホンダにとっては耳が痛い言葉になるでしょう。

ホンダは言うまでもなく既にビジネスの主力は海外向け(輸出と現地工場)にあり、国内向けに注力しているのは軽自動車と小型2ボックスのフィットや小型ワゴンのステップワゴンぐらいなもので、もう需要が減っていくばかりの国内の客にはあまり関心がないように見えます。

しかし海外のビジネスも、欧州はもとより、韓国や中国メーカーとの激しい競争や世界戦略としてメーカー同士がつながっていく中で、どことも資本提携などはしない自主独立、別の言い方をすれば孤立無援の闘いを挑んでいるホンダに勝算はあるか?というと、決して安泰とは言えません。

この不細工なヴェゼル(失礼!)が、国内では不評だけど、海外では好評なんだ!と自信と数字をもって言えるのであれば仕方がありませんが、もしそうでないのなら、ホンダの凋落が、少なくとも国内市場において既に始まっているのかも知れません。

【関連リンク】
1645 BMWミニの勢いとVWゴルフの落日
1617 2021年の車種名別販売ランキングとEV化
1614 自動車整備士に未来はあるか?



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1645
日本は世界の中でも特異な国産車大国で、これは戦後に日本産業、特に工業振興のために輸入車を制限して国産化を優遇してきた結果です。

戦後から1993年頃まで輸入外国乗用車の割合は、国内で販売された全乗用車の中で5%にも達していませんでした。

その理由には国の税制など様々な外国車輸入規制もありましたが、燃費の悪さ、左ハンドルの使いにくさ、修理や部品代などメンテナンス代の高さ、狭い日本での使い勝手の悪さ、販売店の少なさなど、外国車に対するあこがれはあるものの、実用性としては良くなかったことがあるでしょう。

1990年代半ば頃より、大幅な円高の影響があり、外国車の値段が下がったためにやや上昇し始めますが、それでも外国車の割合が10%を超えるのは2015年頃までかかります。

参考までに同じく自動車大国のドイツの場合、ドイツ国産車の割合は2019年で約60%です。残り40%が外国車で、日本車も約9%を占めています。

そうした外国車にとって売りにくい日本で、長い間外国車モデル別販売ナンバー1を続けていたのがフォルクスワーゲンゴルフで、モデル別の統計データのある1988年以降28年間ずっと1位を維持してきました。

自動車の場合、普通はモデルチェンジしたあとはよく売れますが、その後は下がっていき、大きく順位を落とすのが普通です。

しかしこのゴルフは、この1988年から2016年までの間に5回のフルモデルチェンジをおこなっていながら、そのモデル末期でも常にトップを維持し続けてきたというのは驚きしかありません。



ちょっと旧聞になりますが、その絶対的な王者と思っていたフォルクスワーゲンゴルフですが、6年前の2016年にBMW ミニ(以下MINI)に外国車登録数で1位の座を初めて明け渡していました。

しかも一時のことではなく、2016年から2021年まで6年連続してトップの座を維持し続けています。



フォルクスワーゲンゴルフとBMW MINiの販売台数推移グラフは下記の通りです。



これを見ると、ゴルフ(青)は2015年以降急速に台数を減らしています。2020年はコロナの影響もあってか前年の半分以下です。ちょうどモデル末期の時期と重なった不幸もあったのでしょう。

MINIも2019年以降減らしていますが、ゴルフはなにか自滅っぽい感じがします。実際には他の車種(ポロやT-Crossなど)へ顧客が分散してしまったということなのでしょうけど、それにしても過去の輸入車最強ぶりは微塵も感じられません。

MINIは元々1959年設立の英国のメーカーブリティッシュ・モーター・コーポレーションのクルマでしたが、2000年にBMWに救済される形でグループ入りし、2001年からはBMWミニという新たなブランドの元で販売されるようになりました。

日本においてもMINIの販売に力を入れるため、高級車のイメージが強いBMWディーラーがついでに売るのではなく、MINIだけの専門ディーラーを次々と開設していく戦略が当たったようです。

小型車ヤリスを売る店と高級車レクサスを売る店を分けているトヨタの戦略と同じですね。セカンドカーやサードカーならともかく、当然購入者層がまるで違います。

今年2022年は、その前年の2021年6月に、9年ぶりにゴルフの新型を国内で販売開始していますので、さてどうなるでしょうか。

外国メーカー車モデル別新車登録台数の1位~5位を2003年から2021年まで書いておきます。

輸入車TOP5 1位 2位 3位 4位 5位
2021年度 ブランド BMWミニ VW BMW ボルボ VW
モデル ミニ ゴルフ 3シリーズ 60シリーズ T-Roc
台数 17,849 8,947 7,849 7,413 7,240
2020年度 ブランド BMWミニ M.Benz VW BMW ボルボ
モデル ミニ Aクラス T-Cross 3シリーズ 60シリーズ
台数 20,837 8,723 8,641 8,194 7,376
2019年度 ブランド BMWミニ VW M.Benz M.Benz BMW
モデル ミニ ゴルフ Cクラス Aクラス 3シリーズ
台数 22,255 18,416 13,438 12,946 10,720
2018年度 ブランド BMWミニ VW M.Benz VW M.Benz
モデル ミニ ゴルフ Cクラス ポロ Eクラス
台数 25,793 19,660 19,215 12,158 9,524
2017年度 ブランド BMWミニ VW M.Benz M.Benz BMW
モデル ミニ ゴルフ Cクラス Eクラス 3シリーズ
台数 25,566 22,968 16,615 13,209 10,840
2016年度 ブランド BMWミニ VW M.Benz BMW VW
モデル ミニ ゴルフ Cクラス 3シリーズ ポロ
台数 24,917 22,372 18,043 11,647 11,570
2015年度 ブランド VW BMWミニ M.Benz BMW VW
モデル ゴルフ ミニ Cクラス 3シリーズ ポロ
台数 24,085 21,640 18,408 11,811 10,823
2014年度 ブランド VW M.Benz BMWミニ VW BMW
モデル ゴルフ Cクラス ミニ ポロ 3シリーズ
台数 27,812 19,465 18,831 14,547 13,533
2013年度 ブランド VW BMW BMWミニ M.Benz M.Benz
モデル ゴルフ 3シリーズ ミニ Aクラス Cクラス
台数 30,974 20,742 17,163 14,595 11,864
2012年度 ブランド VW BMWミニ M.Benz BMW VW
モデル ゴルフ ミニ Cクラス 3シリーズ ポロ
台数 19,464 15,903 14,408 13,134 12,275
2011年度 ブランド VW VW BMWミニ M.Benz BMW
モデル ゴルフ ポロ ミニ Cクラス 5シリーズ
台数 26,125 18,254 16,027 14,115 9,045
2010年度 ブランド VW VW BMWミニ BMW M.Benz
モデル ゴルフ ポロ ミニ 3シリーズ Eクラス
台数 25,151 14,524 11,513 10,834 10,195
2009年度 ブランド VW BMW BMWミニ M.Benz M.Benz
モデル ゴルフ 3シリーズ ミニ Eクラス Cクラス
台数 24,302 13,731 10,920 9,374 8,846
2008年度 ブランド VW BMW M.Benz BMWミニ VW
モデル ゴルフ 3シリーズ Cクラス ミニ ポロ
台数 21,575 16,050 13,814 12,197 8,133
2007年度 ブランド VW BMW BMWミニ M.Benz VW
モデル ゴルフ 3シリーズ ミニ Cクラス ポロ
台数 25,783 22,785 14,015 13,918 11,226
2006年度 ブランド VW BMW BMWミニ VW M.Benz
モデル ゴルフ 3シリーズ ミニ ポロ Eクラス
台数 23,237 22,823 13,073 12,258 10,346
2005年度 ブランド VW BMW BMWミニ VW M.Benz
モデル ゴルフ 3シリーズ ミニ ポロ Cクラス
台数 27,400 18,701 13,602 11,452 10,112
2004年度 ブランド VW BMW M.Benz BMWミニ VW
モデル ゴルフ 3シリーズ Eクラス ミニ ポロ
台数 26,218 17,589 13,187 13,042 11,990
2003年度 ブランド VW BMW VW BMWミニ M.Benz
モデル ゴルフ 3シリーズ ポロ ミニ Eクラス
台数 21,162 21,009 13,825 12,535 12,423

メーカー別(ブランド別)で見ると、フォルクスワーゲンの場合はゴルフ以外にポロやT-Rocなど、同じくメルセデスベンツも複数のモデルが上位に入っています。

したがってメーカー別の外国車販売台数ランキングでは、2021年の1位はメルセデスベンツで5万551台、2位※がフォルクスワーゲンで3万5,011台で、BMWミニは5位1万7,851台でまだ上位のメーカーとは大きな差があります。
※日本の自動車メーカーの海外輸入車を含めると日産が2位(38,344台)

外国乗用車のブランド(メーカー)別総数でも、ずっと長くフォルクスワーゲンが首位でしたが、こちらも2016年からメルセデスベンツに首位を明け渡しています。どうしたVW?って感じです。

こうして見ると、戦後まもなくから外国車、特にフォルクスワーゲンゴルフを輸入販売し、苦労して市場を開拓、拡大してきたヤナセから、1992年にフォルクスワーゲンの日本法人へ移って今年で30年。なにか行き詰まってしまった感があります。おそらく有能な経営者がいないのでしょう。

それにしても、最近出掛けるとMINIをよく見かけるようになりました。この話題を書いたのも、「これだけよく見かけるMINIはどれほど売れているの?」というのがきっかけです。

1970年代から2000年代まで、フォルクスワーゲンゴルフは初代モデルからずっと世界中の自動車メーカーから、小型車(B・Cセグメント)の比較対象、ベンチマークで、常に追いつき追い越せとターゲットにされてきました。

しかしこれからは、ゴルフではなくミニやベンツAクラスが世界の小型車のベンチマークとなる日も近いかも知れません。

【関連リンク】
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