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1018
少し前の日経ビジネスに「凄い売り方」と題する特集がありました。ま、ビジネス誌では繰り返しよくあがるテーマで、別に珍しくもないのですが、その中の「大衆の消費を刺激する10の戦略」について少し触れておきます。

その「大衆の消費を刺激する10の戦略」はヴァンス・パッカード著の「浪費をつくり出す人々」(1961年刊)を元ネタにしていますが、中身を見ると50年以上経った今でも消費活動理論がほとんど変わっていないということに驚きです。

で、日経ビジネスの「大衆の消費を刺激する10の戦略」とは、

(1)使い切りにさせる(100円ライターや紙コップのような使い捨て商品)
(2)セカンドとして持たせる(小型掃除機、セカンドカー、セカンドハウスなど)
(3)単能化にする(総合感冒薬ではなく、鼻炎用かぜ薬とか咳止め薬とか)
(4)贈り物にさせる(クリスマスやバレンタインデーの贈り物需要)
(5)抱き合わせにする(スマホと有料アプリ、パソコンとプリンター、デジカメとメモリーなど)
(6)ためさせる(買ったり使うとポイントがたまる)
(7)旧式にさせる(クルマやテレビ、省エネエアコンなどのモデルチェンジ)
(8)予備を持たせる(電池や電球、調味料など)
(9)多く使わせる(食用塩やマヨネーズの口を拡げて一度にたくさん出るようにするとか)
(10)きっかけを与える(イベントやセール、キャンペーン)

だそうです。

現代版で付け加えるとしたら、ジレットのひげそりやプリンターのカートリッジのように、「消耗品を高く買わせる」という戦略や、「美男美女が白衣を着てコンタクトレンズや高価な医薬品を売る」などを加えるべきではないかなと思います。

なんと言ってもモノによれば電気シェーバーやプリンター本体よりも、替え刃やインクカートリッジのほうが高いというビジネスですし、頭はパーでも美女やハンサムで白衣を着た人のいうことにはコロッと騙されてしまい言うがままになってしまうという習性が消費者にはあります。美人やイケメンはそれだけで雇う価値があり、世の中って不公平にできています。

それはともかく、今回はその中から、2番目にあがっている「セカンドとして持たせる」という売り方について少し焦点をあてて考えてみました。

この「セカンドとして持たせる」とは「同じ役割、機能を持つ商品を2台目として買わせる」という意味ですが、大きなものではセカンドハウス(別荘)、セカンドカー、小さなものでは旅行用コンパクトカメラとか、ロボット掃除機や、冷蔵庫とは別にワイン用クーラーといったようなものまで、確かに様々なセカンド需要があります。

我が家でも見事にその戦略?にはまって、掃除機(普通のサイクロン式掃除機と、充電式タイプの小型掃除機)、冷蔵庫(大型の3扉冷蔵庫と子供用の飲み物専用で1扉冷蔵庫)、ミラーレスとコンパクトカメラ、デスクトップPCとノートPCなど、セカンド(2台目)を購入している製品がいくつもあります。

余分な買い物をしないもっとシンプルな生活を送りたいとは思っていますが、家族が増えていくと、なかなかそういうわけにはいきません。

・・・ん?

と言うことは、家族の人数が増えないと、この「セカンドとして持たせる」は通用しなくなり、需要が減ってくる可能性もあるのかな?

家族の増減を見るには世帯数と世帯人数の統計を見るとよくわかります。

国内では2005年頃から人口減少が始まりましたが、世帯数は2013年が50,112千世帯、2014年は50,431千世帯と、まだ若干ながら増加しています。

人口が減っても世帯数が増えていればそれだけ家電製品や生活用品の需要は高まります。ただそれはセカンド需要ではなくメーンの需要です。怖いのは人口減でさらに世帯数も減になったときに、いよいよ国内消費は完全に減少し、景気も冷え込んでしまうことになりそうです。

現在のところ、人口減で世帯数が増えていると言うことは、つまり1世帯当たりの人数が減少しているということになります。

わかりやすく言えば、子供が社会人となり家から出て行き、高齢者夫婦だけや独居が増え、さらに出て行った子供も結婚せずに単身で暮らしているとか。

セカンド需要は1家族の数が多いほどその需要可能性は高くなるので、逆に今のように減ってしまうとセカンド需要を掘り起こそうとしても難しくなってきます。ワンルームに住んでいる人が2台目の掃除機を買ったりはしません。

すでに日本では、セカンド需要よりも少人数世帯向け、わかりやすく言えばシングル向けの住居、家具、家電製品、日用品、食料品の需要が高まるってことになります。コンビニなどでひとり分の夕食用おかずや1/4サイズの野菜が人気というのもわかります。

世帯構造別の世帯数推移は、1986年(昭和61年)から2014年(平成26年)にかけて次のグラフ、表のようになっています。


 出典:厚生労働省 平成26年国民生活基礎調査の概況

このグラフをみてわかるのは、夫婦と子供の世帯(緑)はこの30年近くやや下がり気味なのに対し、単独世帯(赤)と夫婦のみの世帯(オレンジ)が急増しているってことです。

また三世代世帯(青)は急落し、ひとり親と子供の世帯(紫)は増加となっています。平均世帯人数は30年前の1986年は3.22人だったのが、2014年では2.49人と、約20%も下がっています

こうした世帯人数の減少(≒家族人員の減少)は、セカンド需要に大きく影響しそうです。

単身の人や、夫婦以外の家族がいなければ、セカンドカーやセカンドハウスの需要は相当に減るでしょうし、家電にしても同じ機能の2台目を買うことはまずありません。セカンド需要は腕時計とかクルマとかの趣味的要素のあるものが中心となり、裕福な人が買うぐらいでしょう。

さらに世帯の高齢化が輪をかけます。高齢の人は若い人と比べると、消費行動も購買力も限定的で、新しいものを積極的に買ったりしません。

全世帯に占める高齢者世帯の割合は、同調査によると、1986年はわずか6.3%に過ぎなかったものが、2014年は24%にまで急増しています。

こうしてみると、世帯人数の減少&高齢化世帯の増加で、セカンド需要は壊滅的かもなぁって思ったりしています。

その他では「使い切りにさせる」ってのも、70年代、80年代の大量消費時代ならともかく、今は環境問題やらエコブームの中で「使い捨て」ってキーワードはタブー視されていますので、それが消費の拡大、刺激になるとは思えません。

こうした古くからの理論や発想をいつまでも捨てられずに、それに固執しコミットし続けていると、新しい時代に完全に取り残されてしまいますよ、日経さん。


【関連リンク】
972 大阪道修町と大阪万博
933 飛び込み営業について
787 世帯内単身者の増加が引き起こすかも知れない社会問題
633 セールスの極意なんてものはないが、、、
523 あゝ無情な家族が続々





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1015
子供の頃に母親がよく作ってくれた料理に「衣笠丼」というのがあります。あまり聞き慣れないと思いますが、親子丼の鶏肉の代わりにお揚げ(油揚げ)と青ネギを使ったものです。家では「玉子丼」あるいは「きつね丼」と言っていたような気がしますが、一般的には「衣笠丼」と言うのだそうです。

小学生の頃までは家で食べる丼ものと言えばその「衣笠丼」か、牛肉のバラ肉を卵とじした「他人丼」(関東では開花丼と言うらしい)だけで、「牛丼」なるものを初めて食べたのは中学生ぐらいになって近所に吉野家ができてからです。

その時は「どうしてこれは卵でとじない?」「卵とじのほうが美味しいのに」と、不思議に思った記憶があります。つまり丼と言えば我が家では卵とじがディフォルトだったので、卵でとじていない丼との衝撃の出会いだったわけです。

次いで高校の学食のメニューに小さな掻き揚げがのった「天丼」がありました。今思えば「天丼」というにはおこがましいような工場で大量生産されたような小さな掻き揚げに、醤油だしを染みこませただけのものです。

その他のメジャーな丼「うな丼」や「カツ丼」と言った定番は大学生時代まで食べることはありませんでした。

今では食生活の中で、丼物って欠かせなくなってきました。熱々のご飯の上にのせた揚げたてパリパリの天ぷらや、ジューシーな柔らかい牛肉、甘辛いたれの香りが食欲をそそる鰻の蒲焼き、などなど、もうイメージするだけでよだれがでてきそうです。

この丼というご飯の上におかずを乗っけるという食べ方は、ほぼ日本独特の文化で、蕎麦やうどんと同様、江戸時代のファストフードだったようです。

丼の登場は諸説ありますが、一般的には西暦1500年頃の室町時代にさかのぼるとも言われています。ご飯の上に野菜を乗せて、その上に出汁をかけた「芳飯(ほうはん)」と呼ばれる料理がそれにあたるそうです。

岡田哲著の「たべもの起源事典」では、江戸初期に「切り盛り一杯」の商売が繁盛し、それがひとつの器(丼)に、ご飯とおかずをまとめてしまうという、いまの丼の形になったという説もあります。

世界中で食器を手に持って口に寄せ、中身をかき込むような食べ方をするのは日本以外では見かけません。どうしても私含めて日本人は食器を手に持って、食べたくなりますが、ほとんどの国ではけしからんマナー違反となります。

逆に外国人が日本のレストランや食堂で、それでなくともたどたどしい箸を持って丼やお皿からポロポロこぼしながら苦心してご飯やおかずをつまみ上げていたりしますが、日本のマナーとして、食器を手に持って、そのまま口につけてかっ込むことを教えてあげるべきでしょう。こぼさずに素早く食べられるのでこれほど合理的かつ効率的な食べ方はないのですけどね。

そうした国際化が進めば、案外日本の食べ方が理にかなっていたりして、世界中で食器を手に持ち、お皿に直接口をもっていき一気に食べることもそのうちにOKになるかも知れませんね。無理か。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

    
さて、「親子丼」の発祥は、1891年(明治24年)鶏料理専門店の人形町「玉ひで」5代目当主の妻が考案したというのが有名な話しで、「牛丼」の発祥は1899年(明治32年)に吉野家の創業者になる松田栄吉が、日本橋にあった魚河岸で忙しい仲買人達に提供していた牛飯(牛鍋とご飯が別々)を、面倒なのでご飯の上に牛鍋の具を乗せたのが最初と言われています。

私が一番好きな丼は、カリッと揚がったトンカツに、半熟の卵がとろりとかかっている「カツ丼」です。またそれから派生して、群馬や福井で名物となっている「ソースカツ丼」もカツと新鮮なキャベツの2種類の歯ごたえがとても好きです。

こうした丼物は、西洋のサンドイッチやハンバーガーと同様、簡単に作れ、一気にサクッと食べられ、忙しいときや、何か作業をしながら片手間に食べるには最適です。

汁物、例えばラーメンやうどんなどでは、汁をこぼさないよう、また熱さでやけどをしないよう常に気をつけて食べる必要がありますが、丼ならよそ見しながらでも平気です。昔は長時間麻雀をするときには、縁起を担いでということと、目を卓台から離さなくてもサクサクと食べられるのでいつも「カツ丼」でした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

和食やラーメンなどならわかりますが、丼にもちゃんと業界団体「一般社団法人全国丼連盟」というのがあるのには驚きました。

「全国丼連盟は、丼文化の魅力を多くの人たちと分かち合い、丼を通じて地域の笑顔を増やし、“DONBURI”文化を世界に発信していきます。」とのことです。この宣言文、凡庸で印象に残らずこれじゃダメですね。

ここでは毎年「全国丼グランプリ」というのが開催されています。全国のB級グルメが勢揃いする「B-1グランプリ」は毎年大きく報道されますが、この丼グランプリは初めて知りました。きっとPRが下手なんでしょうね。

グランプリには「牛丼金賞」「うな丼金賞」「肉丼金賞」「豚丼金賞」「親子丼金賞」「天丼金賞」「メガ盛り丼金賞」「バラエティ丼金賞」と、8つのジャンルに分かれ、しかも各ジャンル金賞は7~13店もの複数店が受賞しています。

2015年のグランプリ受賞一覧です。


賞の大判振る舞いゆえ、希少価値が乏しくせっかくのイベントが自滅しているって感じです。受賞数を増やせばそれだけ多くの店とその常連客も喜んでくれるという安易な発想から来ているのかも知れませんがまったくもって邪道です。

私の考える丼グランプリは、まず丼のジャンル分けを

◆肉系(牛丼、豚丼、親子丼、焼き鳥丼、おいだれ丼、さくら丼、すき焼き丼など)
◆魚介系(うな丼、深川丼、づけ丼、鉄火丼、ネギトロ丼、いくら丼、ウニ丼、なめろう丼など)
◆揚げ系(天丼、カツ丼、かき揚げ丼、唐揚げ丼など)
◆その他(中華丼、麻婆丼、カレー丼、衣笠丼、木の葉丼、ハイカラ丼、若竹丼、ロコモコ丼など)

の4つのジャンルだけ。

そして自薦と他薦から各ジャンルで応募を受け付け、その中から書類審査や口コミ、全国にいる認定補助メンバー等の評価で優秀店を5店舗程度に絞ります。その優秀店にあがった店には複数の公式認定審査員が覆面で実際に食し、それぞれ採点を行い、その中から1店舗(1丼)だけ金賞を受賞します。

採点の上下をカットして平均点を求めるとか、認定審査員の偏差値傾向(平均的に点数を高く点けるとか低く点けるとか)の調整も導入すれば完璧です(同じ審査員が全国すべてを回るわけではないので)。

また通称「丼ミシュラン」として、優秀賞を獲得した丼と店には☆を与え、複数の丼が受賞した場合にその☆の数が増える工夫とかも考えられますね。

丼ものは世界中のビジネスパーソンのあいだで拡がりつつある「お弁当(BENTO)」ブームとのコラボも可能で、日本のコンビニで売られているようなご飯と具が分かれていて、食べる直前にご飯の上にまぶして食べるというようなちょっと工夫したお弁当が今後世界で流行るようになるかも知れません。

もしそうすれば日本ではない、各地の名物と丼飯との出会いが起こり、トムヤンクン丼(汁多め)、とかトリュフ丼とか、ケバブ丼、タコス丼とかいろいろと新しい丼が生まれてきそうです。

もうすぐ定年で暇ができそうなので、パートタイムでいいから企画・広報委員として雇ってくれないかしら(笑)。


【関連リンク】
906 トクホが売れるわけ
817 カフェではない喫茶店の凋落
759 糖質ダイエットについての備忘録その1
712 最近気になる食品の安全性
634 味覚の変化について




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1014
古くから時々降ってわいたように話題に上がりながらも、いつもすったもんだする書籍等の再販制度の廃止についてちょっと考えてみました。

再販制度とは、書籍や新聞、音楽コンテンツ、タバコなど一部の商品について全国一律の定価販売を維持し、小売り側に対して勝手な値引きを許さない制度です。自由経済の中でも特異なシステムです。

昔は塩や化粧品、石鹸、医薬品などもその対象でしたが、それらはすでに解除され、現在再販制度が残っているものは書籍や新聞、音楽CD、タバコなどごく限られた商品だけです。

出版物の再販制度のメリットとしてよく言われるのは、

(1)定価販売で、地域格差をなくし、全国どこでも同じ値段で購入でき、読者が出版物に接する機会均等化が図れる
(2)出版社の自由な出版活動が守られ、多種多様な出版物が供給される

とされています。

確かに都会と地方の文化格差が大きかった昭和中期頃までは、(1)も納得できるところがありますが、現在のように格差は少なくなり、流通網が整備されてくると、(1)の根拠は揺らいでいます。

例えば通販で書籍を買った場合、一部の離島などを除き、送料は都会と地方で違いはありません。再販制度が作られたときはまだ全国の流通が整備されず、また宅配や通販といったビジネスが生まれる前の法律だったので、そうした現在の状況が反映されていません。

また、都市部での大規模店舗と、地方の小規模店舗で値段が変わってしまうのは、家電製品や食料品のような生活必需品と同様地域差ができるのも仕方がないと思われます。逆に地方のほうが店舗費用や人件費が安くてすみ、都会の書店よりも経費が抑えられて安く販売できる場合だって考えられます。

どうも(1)の地域格差と機会均等を主張し続けるのは、現在もう無理があるように思われます。

次に(2)の定価制度のおかげで小規模な出版社でも大手出版社に伍して出版活動がおこなえるという論理は、今の時代出版社に限らずベンチャー企業が隙間を狙って躍進したり、アイデアとスピードで大手企業の牙城を崩したりというビジネスでは当たり前におこなわれている競争原理を否定しているかのように思えてなりません。

そこまでして、出版社や新聞社を保護しなければならないのか、彼らはそれほど特別な存在なのかをもう一度考えて見る必要があるでしょう。

そうした保護政策が自らの体力を弱め、結果的に保護がないと生き残れない虚弱体質に陥ってしまっているとも考えられます。

一度にすべて再販制度を撤廃せずとも、例えば書籍にしても時限再販制度(発行後一定期間のみ再販制度を維持し、その後は自由競争)の導入や、現在普通に行われている出版社と書店の委託販売制を順次買い切り制へ移行し、買い切り制度の場合は当然販売する側に自由に値段を決める権利を渡すとか。買い切りだと売れ残りのリスクがある反面、仕入れが安くなるので、売り切る自信があれば儲けも大きくなります。

1年以上売れ残った新刊本や文庫本、3ヶ月以上売れ残った雑誌が、定価の半額~3割引きとなれば、年間累計7000万人と言われる中古書籍販売で急成長しているブックオフへ安い書籍等を買いに行っている客を、旧来の書店へと呼び戻すことができるかも知れません。

客を書店に呼び込めたなら、割引本を買ったついでに、話題の新刊本も定価で買ってくれたりしますので、商売のチャンスが増えます。

さらに言えば、書店の買い切り制にすれば、常識を無視した過剰な仕入れや押し込みが減り、したがって返本も減り、資源の無駄遣いを減らせるでしょう。

誰でも既得権益を手放すのは嫌でしょう。出版社や大手取次、書店、新聞社、音楽業界などは再販制度に守られた既得権益の塊ですから、こうした問題が指摘されるたびに、大論陣を張って抵抗します。

叩けばほこりの出る政治家も新聞社や雑誌社に反感を買って、痛くもない腹を探られて、下手に叩かれたくないので、この問題を誰も真剣に取り組みません。

しかし農業や、石油や、金融ビジネスも、国内法で固く守られてきた産業が弱体化し、いざ国際競争の荒波をかぶると、いかに今までが温室で育てられてきたかがわかります。

出版分野においても、これからはいつ再販制度がなくなってもいいように、それには頼らなくてもよいビジネスモデルや仕組みを考え、逆に成長している世界へ飛び出していくぐらいの覚悟をしてもらいたいものです。日本で成功したベストセラーを生み出すノウハウは他のアジアの国でも通用することも多いのではないでしょうか。


【関連リンク】
980 TSUTAYA図書館は非難されるべき問題なのか?
954 書店数や出版業界売上減と未来
743 出版社不況の現状
741 消滅すると言われていた新聞社の近況
330 消滅する書店




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1001
私が普通自動車免許を取得した1970年代後半は、ガソリンスタンドと言えば、そりゃ~もういろいろなブランドが百花繚乱のごとく咲き誇っていました。その数全国に5万店舗もありましたので、日本中隅々までカバーされていました。

ニッセキと言えば日本赤十字社よりも代名詞として使われていた日本石油、お洒落で小綺麗な感じの店が多かったモービルエッソ、そしていかにも外資っぽく高級感あふれるイメージの店が多かった黄色い貝印のシェル石油、地味目ながら値段がお得な感じがしたゼネラル石油、ちょっと怖かった赤い女神を象った出光興産、いかにも堅く実直そうな三菱石油、安かろう悪かろうという都市伝説というか噂が絶えなかったキグナス石油、その他にも共同石油大協石油、オー!モーレツ!のCMがウケた丸善石油アジア石油太陽石油、その他農協(JA)ブランドなどなど多くのガソリンスタンドが、高度成長時代のモータリゼーションを支えていました。

私は18になるとすぐに免許を取り、70年代半ばにはバイトをして中古車を買い、クルマに乗っていたので、そうした様々なガソリンスタンドを利用していました。

その際、給油するブランドを決めていなかったのと、現在のようにクレジットカードや会員カード割引で、客の囲い込みをされることもなかったので、その日の気分でいろいろなガソリンスタンドに寄っていました。

そしていつも満タンではなく、懐具合に応じて10リッターとか少しずつ給油していた身としては、小綺麗で入ると2~3人のスタッフが駆け寄ってくる外資系スタンド(モービルやシェル)に行くのはちょっとハードルが高かく感じました。今のようにセルフスタンドなんてものもなかったので。

その国内におけるガソリンスタンドの数ですが、高度成長期とモータリゼーション、そしてバブル経済と続き、1980年には52,789店と増え続け、1994年に60,421店のピークを迎えましたが、バブル崩壊後は一転し、離合集散を繰り返して減少し続け、2014年は33,510店まで減りました。この数はピーク時の55%で、販売台数の低下と、エコカーが主流になってきた今、しばらくこの減少傾向は続きそうです。


出典は「揮発油販売業法(現「品確法」)に基づく登録給油所数」

今の住まいは25年前に購入しましたが、その時は家から2km圏内に8箇所の給油所がありました。現在はそのうちの4箇所がマンションやコンビニ、中古車販売店に変わってしまいました。そうしたことが日本中で起きています。

ガソリンスタンドが減少していくなかで、その経営母体(ガソリン供給元)が、1980年代からどのように変化していったかを図解しておきます。



1985年 昭和石油、シェル石油(蘭)が合併し昭和シェル石油に
1986年 丸善石油、大協石油が合併して「ココロも満タンに~♪」のコスモ石油に
1992年 日本鉱業と共同石油が合併しジャパンエナジー(JOMO)に
1999年 日本石油と三菱石油は合併し日石三菱、2002年に新日本石油に
2000年 東亜燃料工業(ESSO)とゼネラル石油は合併し東燃ゼネラル石油に
2001年 東燃ゼネラル石油はキグナス石油を合併吸収
2002年 エッソ石油(米)とモービル石油(米)が合併(エクソンモービル)し東燃ゼネラルへ販売業務委託
2008年 九州石油と新日本石油が統合
2008年 JOMOブランドを展開する新日鉱ホールディングスと新日本石油が経営統合
2010年 新日本石油とジャパンエナジー(JOMO)が合併しJX日鉱日石エネルギーに
2014年 三井石油は東燃ゼネラルの子会社になり順次エッソブランドへ
2015年 出光興産と昭和シェルの経営統合発表

というように複雑に合併や経営統合、提携などを通じて、この30年間に大きく業界図が変わってきています。まるで一時期合併や経営統合が繰り返された都市銀行のようですね。

現在はと言うと、JX日鉱日石エネルギーグループ(ENEOS、JOMO)と、2015年暮れに発表された出光興産・昭和シェルの経営統合によるグループの2強体制となり、続いて東燃ゼネラル(ESSOなど)のグループやコスモ石油、太陽石油といった独自路線のところが続きます。これらの3位以下の石油会社は、今後独自路線で行くのか、それとも2強のグループに集約されていくのか、3位以下同士でタッグを組み3強体制になるのか、まだ予断が許されないところです。

各社のガソリンの品質に違いがあるかどうかは、近年の精製技術からすると、「ほとんど違いはない」というのが実体でしょう。昔ならテレビCMで、「エンジン洗浄剤入り」とか「加速が違う」とか、ブランドによって品質に差があることをPRしていましたが、最近はほとんどそれは見られません。

それに精製や輸送、販売を違うブランド同士で提携しているところもあり、ブランドは違えど中身は同じっていうものもあります。

例えば精製、物流提携しているENEOSとコスモ石油のガソリンや、エッソ(東燃ゼネラル)と販売提携している三井石油のガソリンはそれぞれ中身はほぼ同じと思ってよさそうです。三菱商事エネルギーが卸しているスタンドには独自ブランドのところもあれば、ENEOSやシェル、エクソンモービル、コスモなどのブランドだったりするところもあります。

私は現在は自宅からもっとも近くにあって、フルサービスながらも近隣では価格が一番安いENEOSの給油所を利用しています。その関係で、さらに安くなるクレジットカード機能がついている年会費不要のENEOSカードを作り、今では完全に囲い込みをされている状態です。

ただそのエネオスは24時間営業ではないので、深夜や早朝にどうしても給油する必要がある場合には、別の24時間営業のセルフ(エッソ)スタンドへ行くことがあります。そこでは自動洗車機(有料)や空気入れ(無料)等も使えますので、給油以外でも時々利用しています。

出光のスタンドも家の近くにありますが、ちょっと出入りがしにくい交差点角にあり、以前からスタンドに出入りするクルマと、信号で停止しているクルマの隙間を縫って走ってくるバイクや自転車とでよく事故を起こしています。またこの出光は営業時間が短く、使い勝手がよくないので、個人的にはほとんど利用したことがありません。

出光興産創業者がモデルの小説「海賊とよばれた男 」を読んでから、出光興産のファンになり、ガソリンも出光を使ってあげたいって気持ちはあるのですけど、やっぱりスタンドの立地と営業時間は重要な選択肢になってしまいます。

今までガソリンのブランドはさほど意識したことはありませんが、15年ほど前にあるブランドのガソリンを入れた時、しばらくすると明らかにエンジンの調子が悪化してしまい(加速時にカリカリと異音がしてパワーが出ない、ハイオク専用にレギュラーガソリンを入れたような感じでエンジンが壊れるか?って一瞬思いました)、それ以来、そのブランドのガソリンは避けるようにしています。ガソリンだけの影響か確信が持てないのでどこのブランドかは書きませんが。

いずれにしても今後はますます燃費がいいクルマやガソリンを利用しないクルマが増えていくことで、ガソリンスタンド経営は一層難しくなってくるのでしょう。過疎化した町や村では、唯一あったスタンドが廃業し、何十キロも離れたスタンドへ買いに行かねばならないってことが普通に起きています。

そうした人口密度が低い一部の地域では、厳しい給油所の各種規制を一定の基準で緩和することで、例えばコンビニやスーパー、道の駅、郵便局などでも簡易に給油所が開設できるよう、政治家のみなさんにも考えてもらいたいものです。

そうすることで、給油するために遠方へ出掛けるというアホなことをせずにすみますし、そういう特定給油所には非常時には緊急車の給油優先のルールを課しておけば、前の震災時のように救急車など緊急車がガソリンがなくって出せないということを防ぐことにもつながります。


【関連リンク】
719 道の駅は次の段階へ進めるか
667 減りゆくガソリンスタンドが生き残る道
616 ガソリンスタンドの経営が厳しいと言うことはわかるが
443 原油価格とガソリン代




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981
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉がまとまり、今後日本の貿易に大きな影響を与えそうですが、中でも農業分野での議論が多く聞かれます。

私が子供の頃に小学校で習ったのは「日本は今まで第一次産業が中心の農業国だったが、第二次産業の工業国へと変わろうとしている」「日本は資源に乏しい国なので貿易が重要」「輸出品目は繊維製品から工業製品へと変わってきた」ということでした。若い人には「ふるぅ~いったいいつの話し?」って笑われそうですが、たった50年前の話しです。

今でもその時に習ったことはよく覚えていて、工業化とともに自然環境が壊され、農業や林業の第一次産業が衰退し、貿易では資源を輸入する必要性から、工業製品をたくさん作って世界中に売りまくるという国家政策の元で進められてきましたが、TPPによりその完全なる転換期がやってきたと言うことでしょう(実際の転換期は20世紀終盤の日米貿易摩擦とNIESやBRICsと言われた各国の工業化に始まる)。

そうは言っても日本は現在でも農業生産額ベースで見ると中国、アメリカ、インド、ブラジルに次ぐ世界で第5位の農業生産国という事実※もあり、第一次産業が衰退したといえども、その農耕民族としての伝統は脈々と残っています。
 ※日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率  浅川芳裕著

テレビの討論番組で「TPP反対!農業と農家を(補助金を与えて)手厚く保護していくべきだ!」の意見に対し、農業従事者の高齢化や農業規模の拡大と効率化により「農業従事者は年々減少している」という事実を元に保護する必要はないと反論するという構図が見られました。

そこでどのぐらい農業従事者が減っているのか?って思って調べてみました。

農業就業人口は専業、兼業含めた農業従事者合計で、基幹的農業従事者数は一般的に兼業でおこなう農業従事者になります。


データ出典:農林水産省 農業労働力に関する統計

1985年に543万人いた農業従事者(兼業含む)は30年後の2015年には209万人と4割に減少しています。ちなみに55年前の昭和35年(1960年)には農業従事者は1450万人もいて、日本の人口の12%を占めていました。

確かに農業従事者は年々減少と高齢化が顕著に見られますが、元々狭い田畑で細々やっていたのを大規模化、オートメーション化しておこなうことができれば、農業従事者が減ったとしても収穫量自体は逆に増やすことも可能です。

そうした細々と効率が悪い農業をやっていれば補助金がもらえるという仕組みが今までは普通にありました。そうした補助金まみれの農業が、競争力を生まずに衰退してきた最大の原因とも言われています。

それで新規に就農する人の推移はどうなっているかを調べました。

新規に自営で就農する人と、雇用されて就農する人、共同経営などにより新規参入した就農者別の、49歳以下の新規就農者推移(就農形態別)です。


出典は農林水産省 平成26年新規就農者調査です。

このグラフを見ると、ここ5年ほど低調だった就農者数が戻ってきている感じです。特に新規雇用就農者と新規参入者が増えているのが注目です。

これは農業の大規模化、企業化による雇用型就農が増えたり、異業種から農業へ参入する企業(=従業員)が増えているからと考えられます。

セブン&ローソン、農業本格化 失敗繰り返す企業による農業経営、農業関係者は強い不信感(Business Journal)

“耕作放棄地” 相次ぐ企業参入(NHK)

これらの記事でも紹介されていますが、2009年の農地法の改正以後、農地をリースする形で一般法人(NPO法人、特例有限会社、株式会社)の参入ができるようになったのが大きいと言われています。

過去には企業参入で失敗して撤退ということも多くありましたが、いずれにせよ農業人口の減少と高齢化に歯止めをかけるにはこうした大規模化、企業化、雇用型就農しかないのではないでしょうか。

我々消費者にとっても、安いけれど、残留農薬や禁止薬物、遺伝子組み換え、収穫から時間が経っても見栄えがいい作為などの不安がぬぐいきれない輸入食品ばかりではなく、地産地消を原則として、収穫してすぐ食べられ、作り手の顔が見える食品と、いざというときには責任を問える相手がいるという点だけでも大いに救われます。

特に上記のコンビニやスーパーという直接流通網を持つところが農業に進出することは、ビジネス的にも十分にペイできそうで、単なる小売り業から脱却していくには向いているでしょう。

企業の中には毎日満員電車に揺られ、ずっとパソコンとにらめっこしたり、毎日、人とコミュニケーションをとるのがつらいという人もいるでしょう。そういう社員には自社経営の農園勤務という選択肢があれば、対人関係でうつ病気味だった人も一気に改善に向かうのではないでしょうか。煮詰まっている人の気分転換やガス抜きにも最適です。

もっと言えば、日本の農業を守るため、例えば資本金50億円以上または社員数1000名超えの企業には、一定の農水産業事業を義務化するとかしてもいいかも知れません。それは事業でもいいし、社内の福利厚生としてでもよく、一定の農業や水産業を自社または共同でおこなうことを求めるのです。

昔なら、大手企業なら保養所や研修所など、温泉付き宿泊施設を持っているところが多くありましたが、いまはかなり減ってきました。それに代わるものとして、休耕地の広大な農地と簡易な宿泊施設(放棄された家屋をリフォームしたもので可)を保有してもらい、多くの社員にそうした農業体験や漁業体験をしてもらうというのは悪いことではなさそうに思えます。

また公務員全体のおよそ1%がうつなどの病気で長期休職をしていると言います。そうした企業や公共団体の1%の人達で、環境を変えても差し支えがなければ、一時的にでも農業や水産業に配置をすることで、改善効果もあるのではないでしょうか。


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