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5月というと春真っ盛りでレジャーにスポーツにいい季節ですが、同時に新卒の新入社員が職場に入って1ヶ月が過ぎ、「なにか思っていたのと違う」「本当にこの会社(役所)でよいのだろうか?」「毎日疲れがとれない」と働くことの疑問や肉体的精神的な疲労がたまってくる時期でもあります。

そういえば大学関係者が「4月に新入学生を迎えるものの、わずか1ヶ月足らずでゴールデンウィークに入り、長期休校。その間にホームシックもあってか実家へ帰り、その後休みが明けた後も学校に戻ってこない学生が結構いる」と聞いたことがあります。社会人でも同様な事が起きているのかもしれません。

「新卒社員の3割が3年で辞める」はなぜ30年間変わらないのか(ダイヤモンドオンライン)
厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」によると、新入社員(大卒者)の3割が、入社後3年以内に最初の会社を辞めている。この状態はバブル時代から変わることなく、1987年以降、「新卒3年目までの離職率」は概ね25~35%の範囲で推移している。

しかも採用人数が少ない(≒規模が小さい)ところほど、離職率は高くなり、新卒30名未満の採用企業ではなんと半数の5割が3年以内に辞めているとのことです。

ちなみに30名の新卒採用をする会社って決して零細企業ではありません。少なくとも30名の新卒を採る会社の社員数は1000名は超えるぐらいの規模の会社が普通です。

腐っても鯛、寄らば大樹の陰、やっぱり大企業ほど退職率は低く、しかも教育制度もしっかりしていて、安定しているので狙うべきは大企業や親方日の丸です。

「公務員や大企業ばかり目指さず中小企業に目を向けろ」なんてふざけたこと言っている学者や評論家などの嘘に乗せられてはいけません。

さて、30年ほどこの傾向が続いているということは、それ以前、私が新卒で入社した38年ほど前は違ったと言うことですね。

確かに私の入社した頃はまだバブル期前の1980年で、オイルショックが1973年(第1次)と1979年(第2次)に起き、世界的に経済状況の見通しが不透明な頃で、まだ終身雇用、年功序列の風習が根強く残っていました。

それは入社して間もなく、先輩社員に「今は仕事がきつい割に給料は安いけど、いずれ年を取れば仕事は楽になり、しかも給料はたくさんもらえるようになるから」と笑いながら言い聞かせられました。

今の若い人にそんなことでも言おうものなら、翌日には退職してますよね。

「終身雇用の崩壊」が言われ始めたのは、バブル経済が崩壊した後の1990代半ば頃から2000年代で、1997年の山一証券の自主廃業、1998年の北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行が経営破綻を起こし、金融以外の多くの企業でも相次ぐリストラという人員削減の嵐が吹き荒れました。

3年で辞めちゃう傾向が30年というと、そうした1990年前後のバブル入社世代を含む、失われた20年に入社した人達ということになります。

と言うことは、売り手市場で「入社がしやすかった頃」(バブル時)と「就職氷河期」(1993年~2005年)の両方を含み、再就職に影響を及ぼすであろう失業率も2.1%(1990年)の時もあれば、5.4%(2002年)の時も含み、それらはあまり関係がないということにもなります。

いずれにしても、いま多くの企業では、世界的に見て低い生産性を改善するため、政府主導の働き方改革という名前にすり替えて、「賃金体系の見直し」「ワークライフバランス思想の取り組み」「女性の積極活用」「残業規制、サービス残業の禁止」などがおこなわれています。

これらは企業の生産性を上げていくことで、実現が可能となることが多く、過剰品質や過剰なサービス提供、店舗の24時間営業などの廃止、仕事中の集中力を高める工夫(電話取り次ぎ禁止とか、早朝勤務とか)など様々なことが実験的に行われています。

今まで搾取されてきた労働時間の賃金を会社利益のためではなく労働者に還元するというのは大いに結構なことですが、もっと儲けたい、もっと金持ちになりたいと欲張りな経営者は、例えば、ほとんどの従業員の給料が下がり、退職金がなくなるような「賃金体系の見直し」だけを一方的におこない、あとは知らないと決め込むかも知れません。

残念ながら中小企業に入ってしまった人は、中途半端なままでズルズルいるのではなく、思い切ってトップ、トップがオーナーなら、せめて役員を目指して死ぬ気で働くしかないです。

転職したって、規模にしても仕事内容にしても、今の会社より良い会社に入れる確率なんてずっと低くなります。それだったら、社長に気に入られるためならなんだってやり、他人からゴマすりだとか茶坊主とか何を言われても気にせず、トップ(またはその周辺)を目指しましょう。

そうしたら、自分の力で会社を変えることもできますし、自分がそれまでやってきて嫌だったことを禁止することだってできます。

衝動的に辞めることだけが解決法じゃないって事ですよ。


【関連リンク】
1075 今でも若者は3年で辞めているのか?
1006 都合よく利用される虚報
782 転職適齢期というのがあるとすれば
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
614 企業は若者の早期離職を恐れるな



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非正規社員の増加で様々な問題が指摘されています。例えば「非正規で収入が少ないために年金を納めず、将来の年金受給ができない人が増えていくのでは?」とか、「非正規では職能が上がっていくということがないのでいつまでも低賃金だ」とか、様々です。

非正規社員は社会悪のような決めつけがマスコミのあいだで横行しているのは、いつも嫌な気分になります。

非正規のいいところもいっぱいあるので、これだけ非正規で働く人が多いということも注目すべきです。例えば「介護や育児をしながら、時間や出勤日数に制約があるけど空いた時間で働くことができる」、「他にやりたいことがあって、残業や休日出勤はしたくない」、「将来やりたいことが決まっているので、それまでのつなぎとしてちょっと社会経験を積みたい」、「税金や社会保険の関係で主な収入を得ている世帯主の扶養者でいたい」などなど。

ところが非正規社員の中でもいつも注目されるのは、「本当は正社員になりたいが、不本意にも非正規」という人に対してです。

この「不本意に非正規」という人は総務省調査(2014年総務省「労働力調査」)で315万人いると言われています。非正規就労者は全体で1980万人ですので、その中の約16%が不本意非正規就労ということになります。

確かにこの315万名、16%というのは少ない数字ではないでしょう。しかしこの16%の「不本意ではあるけれど非正規」という人をもっと細かく調べていくと、ここからは統計ではなく、過去の仕事の経験からですが、感覚的に半分ぐらいの人が「いまの非正規就労と同じような労働条件で給料や賞与、その他待遇面だけを正社員扱いに」と希望しているのです。

つまり、正社員なら当たり前の「地方への転勤」「残業」「休日出勤」「リーダーや店長、管理職など責任が重い仕事」「サービス残業」などは「お断りです!」って言う人が多いということ。

さらには正社員になっても「家庭の事情で有給以上の休みが必要」と当然の権利のように言う人もいます。そういう人達を正社員に迎えたいという企業が果たしてどれほどあるのでしょうか?企業には厳しい競争に勝って利益を上げ続けなければ、成長も従業員への還元もありません。

正社員を雇用する企業も慈善団体ではありませんから、計画的に経費を抑えるために最少人数で仕事を回したいと思っています。それ故に季節変動などで業務が増えたときには残業や休日出勤が当たり前になり、そうしたことをあらかじめ正社員には求めます。

また事業や経済活動は生き物ですから、何十年も同じ場所で同じ仕事を保障することなどできません。そのために正社員にはひとつの決まった仕事だけでなく、様々な業務を覚えてもらって、全国どこへでも社員の足りない場所へ異動し、今までとまったく違った仕事をやってもらうことを求めます。

そして正社員が担う大きな仕事はチームで動くことが多く、そのチームのために例え自分の評価につながらず、勤務時間でなくても、献身的に代わっておこなわなければならない場合もしばしばあります。

そうした正社員の負の側面を知らず、あるいは正社員になると今の条件も大きく変わることを言及せず、非正規雇用の人達に、単に「正社員になりたいか?」って聞けば「ハイ、正社員になりたいです」と回答するのが増えて当たり前です。

もちろん生産人口が減少していく中で、これからの企業には、「時間外勤務は極力なし」「転勤なし勤務制度の新設」など、正社員の雇用環境の努力すべき改善の必要はあります。

しかし現在のところ、そのようなことができる基礎体力がある企業というのは、ごくごく一部の大企業や、競争相手の少ない企業に限られています。競争原理が働かない役所ですら、税収が伸びないので、非正規職員は増えても、正規職員は増やせず苦労しているのが実態です。

沖縄県が仕事を紹介するハローワークで勤務する職員のうち70%以上が非正規雇用の人達です。それなのに、民間は非正規を使うのはけしからん!なんて指導ができるわけもなく、そういうことを堂々と言えるのは、現在不本意にも非正規社員の人と、自分たちは手厚く保護されていながらも社会の問題を追及したいという使命感を持った大手マスコミの正社員の人達だけでしょう。あとは人気取りのため無責任に言える野党政治家と、売名行為に懸命な社会運動家ぐらい。

現在不本意な非正規就労をしている人も、「もし自分が会社を経営したら」って考えてみればわかることです。いくらでも資本があるわけではないので、身を切る思いでお金をかき集めて、それを取引先や従業員へ支払っていく毎日です。少しでも雇う人を少なくし、また一度雇うと自由に解雇できず、一生その人の責任をみなければならない正社員を安易には採用せず、厳選したいと思うのは当たり前のことではないでしょうか。

ただ、不本意な非正規就労をされている人が多くいるというのは現実なので、そうした非正規で働かざるを得なかった人達に対して「なぜあなたが正社員の登用されないか?」「どうすれば正社員に採用されるか」というもっと現実的な理解と反省を求めていくのもマスコミやハローワークの重要な仕事ではないでしょうか。

ちょっと厳し目な意見ですが、非正規から抜け出せない人は、それなりの理由があるってことを知ってもらいたいのです。


【関連リンク】
890 非正規問題の真実
804 高齢就業者と非正規雇用
717 非正規から正規雇用への転換策
707 ハローワークは非正規職員のおかげで回っている
452 中高年者の雇用問題と非正規雇用問題




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労働者派遣法の改正が審議が国会で着々と進んでいるようですが、その話しはまた別の機会とし、今回は派遣就労の変化についてです。

元々70年代後半頃から始まった人材派遣サービスは、せっかく大学で学び、社会に出て高度な技能などを身につけながら、結婚して仕事を辞めて家庭に入ったり、出産で職場を離れると、元の職場や業務に復帰ができず、仕方なしに近所のスーパーでレジ打ちのパートなどをやっていた女性達に、身につけていた技能や経験を生かした高度な仕事に就くことで高収入が得られ、しかも家事や子育てと両立するため自分の都合のいい時間や期間で働ける道を切り開いたものでした。

利用する企業も70年代に数回起きたオイルショックで、業務の効率化や固定人件費の抑制を迫られ、変動費として即戦力を必要な期間(時間)だけ使えるという大変便利な仕組みでした。

そうした社会ニーズをうまくすくい上げて、バブル期に一気に拡大していったわけです。

ところが、近年の人材派遣というと、まるでアルバイトやパートのような派遣職種が増え、専門職ではなく単純労働にまで拡がってしまい、利用する企業側も「専門職を機動的に雇う」というものから、「単純作業は安い非正規」「景気の波に合わせて都合よく使う」という安易な人件費抑制構造に変化してきたことに問題が起きているように思えます。

それはともかく、これだけ世の中にネットが普及し、業務用のクラウドサービスやセキュリティ通信も安価になってきたことから、正社員の在宅勤務などがぼちぼち始まってきたことから、専門職に関して言えば派遣就業においても在宅派遣という新しい就業形態が生まれても決して不思議ではありません。

派遣社員、在宅勤務OK、パソナと日本マイクロソフト、導入を支援、ネット経由で労務管理(日経新聞)
両社が開発した労務管理ソフトと、日本マイクロソフトのクラウド型業務ソフトを連携させ、自宅での就労環境を整える。限られた時間や日数だけ働きたい人に新しい働き方を提供し、企業の人材確保の選択肢を増やす。


従来から在宅でもできる派遣(受託)業務と言えば、データ入力や筆耕、翻訳、議事録や講演会の録音起こしなどがあり、ハード面は10年以上前から整ってきたものの、ソフト面の個人情報漏洩や通信セキュリティ問題など、リスク管理上なかなか思い切った在宅勤務へのシフトは進んでいませんでした。

しかし発注する側も個人ではなく派遣会社に委託することで、責任が明確となり、リスクが軽減され、また通勤時間や交通費などの省力化、受け入れ場所が不要といった効率化で委託費用もそれなりにリーズナブルとなってくれば需要は拡大していくかもです。

小さなお子さんを抱えていたり、要介護者がいる家庭において、そのような在宅でできる仕事がコンスタントに受けられるようになると、双方にとってこのような働き方は意義のあることだと思われます。

もうひとつ派遣就労ではなく、独立した個人事業主としても在宅で受けるというパターンが増えてきているようです。

ネット時代の新しい働き方を育みたい(日経新聞)
ネットを使った仕事の発注は「クラウドソーシング」と呼ばれる。受注する個人は現在、150万人にのぼるとみられている。受注する内容は企業のホームページに載せる商品紹介文の作成や、広告チラシ、製品のデザインなどさまざまだ。仕事に充てる時間帯を自分で決められるため、子育て中の女性なども働きやすい。定年退職者も経験を生かせる。


ただしこちらはその個人にそれなりの実績や信頼がないと、仕事を得るのはそう簡単ではないでしょう。ちゃんとした企業が外注に依頼するとき、どこの誰かわからない、実績も本人のPRだけを信用することはまずないからです。

またこうした仕事が増えてくれば、中には悪どい発注者に騙されて、ちゃんと仕事をしたのに、支払ってもらえない、減額されるなど、トラブルも起きそうです。双方の言い分を公平に聞いてみると、責任はどっちもどっちっていうケースが多いのですけどね。

そうしたトラブルを少しでも回避するため、仕事の仲介者の立場と責任を明確にしておくとかが必要となってきますが、企業と個人ではどうしても個人が弱い立場になってしまいます。下請法などあっても実態は泣き寝入りすることが多いです。

また仕事を受ける人も、職場へ行って働く以上に納期の遵守や品質に気をつけないと、いい加減な気持ちで受けてしまって、「約束していた期限に間に合わなかった」とか、「ミスが多くて使い物にならない」といったようなことがあれば、二度と依頼されることはないだけでなく、大きなトラブルが起きてしまった場合、最悪は損害賠償など裁判沙汰になるケースもあります。

個人だからと言って、企業の仕事を請け負うことは、決して「暇つぶしで」とか安易な気持ちでやるべきことではないでしょう。企業を相手に長期間に渡る訴訟沙汰などが起きると個人はとうてい耐えられませんので注意が必要です。

そうしたリスクはあるにしても、やる前からなにかと恐れてばかりいては、人間進歩しないので、腕に自信があれば思い切って、まず派遣会社やクラウドソーシング会社などを通して、まずは副業で腕試しのつもりで週末の在宅の仕事をやってみるっていうのがいいでしょう。

そうしたところで実績を積めれば、やがては間に業者を入れず、直接仕事をコンスタントに取ってこれるようになるかも知れません。そうなれば副業を脱して本業とすることもできシメたものですが、外注というのは景気の変動や発注企業側の都合(方針変更や担当者異動など)で発注量が大きく変わってしまうので、そうしたリスクも考えておく必要がありそうです。


【関連リンク】
907 派遣法改正三度目の正直なるか?
865 仕事と介護の両立という難題
844 内職・副業詐欺など
834 高齢者向けビジネス(第4部 ボランティア編)
830 宅配ビジネスのラストワンマイル
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)
820 高齢者ビジネス(第2部 趣味編)
810 高齢者向けビジネス(第1部 居住編)





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866
久しく最近の雇用状況の話しを書いていなかったので、集中して書いてみます。

まずは国の発表する統計数値からです。

月別の完全失業率の過去推移グラフです。


90年代までのバブル景気から徐々に高まってきた失業率ですが、リーマンショックの影響で急激に上昇しますが、その後民主党政権に代わってからゆっくりと回復し、現在に至っています。あ、いや別に民主党政権だから下がったとは必ずしも言えませんが。

80年代頃に「経済は一流、政治は二流」とよく言われていましたが、日本の場合、「政治が経済を動かす」のではなく、「経済が政治を動かしている」と言っても過言ではありません。つまり雇用情勢は、政治よりも経済の力が圧倒的に大きな役割を果たします。ただその頼みの経済も世界の中では二流以下に成り下がりつつあることは周知のことです。

失業率を男女別で見ると、以前は男性と女性で失業率に大きな差はありませんでしたが、2000年代以降は男女で差がはっきりと出てくるようになり、男性の失業率が高くなっています。

完全失業率は、わかりやすく言えば、職安で失業保険給付を受けている人と、すでに失業保険給付の期間は切れたけど、しつこく職安で仕事を探している人の数を足した数(求職者数)を、15歳以上の労働力人口(学生やリタイアした人を除く)で割った割合のことです。(職安での求職者÷15歳以上人口)

一応はこの国の発表は信頼が置けるものとされていますが、これしか統計に出てくる数値はないので、信用するしかありません。

しかし例えば、本来は正社員職に就きたくてもなかなか見つからず、仕方なく正社員の就職活動をあきらめてアルバイトやパートでしのいでいる人、職安に頼らず自力や民間紹介会社だけで仕事を探している人、また職安で求職者の登録をせず、いい仕事が見つかるまで家事手伝いや家業の手伝いをしている人などは、統計上では失業者とされませんが、それらの人の中には実質的な失業者も多く含まれるでしょう。

したがって完全失業率は、職安で求職している人が減れば自動的に下がることになり、例えば職安が「求職者を求職者でなくするキャンペーン」を全国的に展開すれば一気に下がっていくことにもなります。どういうことかと言えば、本来は求職者が正社員志望であっても、失業者を減らすために非正規社員の仕事を強く勧めてそれに就かせたり、職安での求職活動をあきらめさせればいいのです。

そうした恣意的な操作が可能である統計数値だと言うことを承知した上で、こうした国の統計を眺めておくことは問題ありません。

次は、月別の有効求人倍率の推移です。


バブル景気以降、求人倍率が1.0を超える(求職者より求人数が多い)年は少ないですが、ようやく2014年になってパートを含む求人倍率は1.0を超えるようになってきました。

有効求人倍率は、職安に送られてくる求人数を職安で求職をする人の数で割ったもので、求人数と求職数が同じであれば1.0、求人数が2倍あれば2.0となります。1.0を下回れば、求職者1名に対して求人が1件以下ということで就職が厳しくなります。

しかしよく考えてみると、完全失業率と同様、この時代に職安だけで就職活動をする人が全体の何割ぐらいいるのかと言うとはなはだ疑問が残ります。失業保険を受給するためには職安を通して求職活動をしなければなりませんが、それ以外の人はなにも職安で無駄な時間と労力をかけずに、他の就職活動をおこなっているでしょう。

また求人をする企業も、無料だからといって、あてにできない職安へ求人を出すより、電話一本で営業マンが飛んでやってきて採用決定率もいい民間の就職情報サイトや求人誌、新聞折込などを使うのではないでしょうか。

しかしそうした人の求人数や求職数は、国の統計では反映されませんので、どこまでが実態を現しているかは不明な点が多くあります。

それに職安へ集まる求人の内容は、求人広告や紹介事業会社の案件と比べると大きな違いがあり、例えばフルコミッションのような仕事だったり、賃金が最低賃金並に低い上に、休日や夜間勤務もある仕事だったり、特殊技能や経験が必要だったりと、無料だからとりあえず載せておけ的な求人が多く、いくら求人数があっても、本当にこれで応募者がいるの?って思うようなものが数多く含まれています。

雇用統計データの基礎データはそうした実態とは少しずれた大雑把なものですが、労働力人口や就業者数のデータは、国勢調査などの人口統計と労働保険加入者のこともあり、割と正確なものが取れているはずです。

15歳以上人口、20~65歳人口、65歳以上人口の推移


一般的には日本の人口減少は2005年から始まっていると言われますが、実質的に労働力となる20~65歳の人口は1999年から減少に転じています。

国が定めている労働力人口とは15歳以上で上限はなく、働いて収入を得ている人すべてとなります(実際は各年齢人口に労働参加率を掛け合わせて計算)ので、20歳以下の未成年者や65歳以上の高齢者も、条件が該当すれば労働力人口に加わることになります。

実質的な労働力が減少し始めて15年が経過するのに、まだ日本の労働力がそれほど逼迫していないのは、景気低迷による企業の採用低下や、開発・生産拠点等の海外移転による製造業労働者数の減少や配置転換、それと今まで働いていなかった、例えば専業主婦や家事手伝い、定年後の高齢者という人が働きに出るようになったりして、労働者不足に陥っていないことが理由と考えられます。

しかしニュースなどでも伝えているように、一部の業種、例えば建築関連、介護関連、販売や飲食のサービス関連ではすでに人不足は深刻となってきています。

これらは言うまでもなく、東日本大震災の復興事業や、東京オリンピック関連、高齢者住宅リフォーム需要などの建設建築需要の急速な高まり、高齢者の増加による医療・介護需要の増加、仕事が厳しい割に低賃金だったり、自分のキャリアパスにはならない単純作業のサービス業などの人員不足が顕著になってきているからです。また不足している職種の多くは高齢者ではなかなか勤まらない体力や筋力、スピード(軽いフットワーク)が必要とされるものが多いですね。

国や学識経験者は、労働力不足を補うために、外国人労働者の活用や、女性の参画推進など、様々な手を考えていますが、長期的に見た場合、内需はますます縮小していき、しかもテクノロジーの発達により労働力の削減、業務効率のアップが進んでいくわけで、あまりそこのところにお金やリスクをかけなくてもいいのかなぁって思います。

もし雇用でお金をかけるのならば、付け焼き刃的なものではなく、世界トップクラスの日本の技術をさらに進めていくための国立共同研究機関の設立、世界から最高の頭脳を集めた最先端医療・バイオ研究機関、医療・介護ロボット開発投資、あとは東京一極集中を解消するため、国の行政機関や政府機関の地方移転促進などにより、新たな雇用促進と、地方インフラの有効活用、海外から頭脳と資産の移転を計ったほうがいいのではないかと考えます。


【関連リンク】
807 労働人口と非労働人口推移と完全失業率
707 ハローワークは非正規職員のおかげで回っている
705 有効求人倍率と完全失業率から推測する未来
577 ハローワークを頼りにしていいのか?
498 失業率推移ではなく失業者数推移でみると
446 失業率統計の話し
422 長期失業者が118万人!
331 過去最悪の有効求人倍率0.47%は果たして底なのか?




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862
現在の日本の最低賃金は、最低賃金法により、地域別(都道府県単位)と特定の産業別で定められています。

平成26年度地域別最低賃金の全国一覧(厚生労働省)

その中から地域別最低賃金の低いところと高いところだけを抜き出してみました。



四国や沖縄、九州、東北は全体的に低く、大都市圏は高いというのがよくわかります。特に東京、神奈川が抜きんでて高くなっているのが特徴的です。また同じ東北でも震災需要が高いと思われる太平洋側の地域のほうがやや高めとなっています。全国の加重平均は764円(2013年度)です。

さらに都道府県ごとに一部の業種(鉄工業、小売業等)で別途最低賃金が定められていますが、面白いことに、地域別最低賃金が低い地域ではその特定産業の最低賃金は高く設定されていて、逆に東京など地域別最低賃金の高いところでは、特定産業の最低賃金は低く設定されています。
(例)
沖縄 地域別最低賃金664円→新聞業768円、糖類製造業693円
東京 地域別最低賃金888円→出版業857円、各種商品小売業792円

この一部業種の別途定められている最低賃金については、なにか調べるといろいろと問題が出てきそうな気がします。つまりその地域で特定の業種について大企業のごり押しが強いとか、大物地方議員と特定業種との癒着があるとか。

最低賃金について、他の国ではどうなっているのでしょう?

最低賃金が法律等で定められている国もあればない国もあります。ドイツのように2015年から施行される国もありますが、先進国は概ねなにかしらの規制ができているようです。

平均賃金に対する最低賃金の割合(OECD2012年)では、各国とも共通の金額(例えばUSドル)で比較するのは、国によって物価も違い、毎日為替レートで変動しますので比較しにくく、それぞれの国の平均賃金に対する最低賃金の割合で比較しています。



日本は世界平均37.9%より低い33.3%(平均賃金に対する最低賃金の割合)です。アメリカはもっと低く27.2%というのは意外ですが、考えてみると移民国家アメリカでは英語が話せない人も多く、都市部から遠く離れた広大な農場や牧場で、単なる肉体労働だけを提供する労働者も多いのでそういうことになるのかなと推測します。

ちなみに、2014年9月の為替レートで比べると、フランスの最低賃金は9.43ユーロ(約1305円)、英国は6.31ポンド(約1095円)、ドイツは8.5ユーロ※(1176円)、カナダは10カナダドル(975円)、オーストラリアは15.96AUドル(1560円)という水準です。ヨーロッパやオセアニアでは金額ベースで見ても日本(764円)よりはずっと高かそうです。
※ドイツは2015年から適用

また上記には出てこない、スイスやスウェーデン、フィンランド、シンガポールなど、最低賃金の定めがない国もあります。

で、国内の話しに戻り、この最低賃金を「上げよう」、「いやそのままでいい」という両論があり、それぞれに主張が入り乱れています。

最低賃金を「上げよう」とする根拠は、「正社員労働者との賃金格差を縮める」「低賃金では生活保護支給額との逆転現象、またはその差が少なく、労働意志をなくす(低賃金で働くより生活保護で暮らすほうが得)」「多く給料を支払えば、それだけ可処分所得が増えて景気を押し上げる」などがあり、逆に「上げるのは反対」という人の主張は、「最低賃金が上がれば企業は人を雇わなくなり失業率が上がる」「企業の人件費負担が大きくなると商品やサービス価格に跳ね返り物価が上がる」「コスト上昇で生産品の国際競争力が失われる」など。

ま、学者さんならば、難しい理論をかざして、そのどちらかの主張をする人がいるでしょう。

でも実際にはどうなのよ?

実は世界中でこれという回答も事例も見つかっていないようで、それは導入する時期や、国によって失業率も違えば経済状況も常に変化するので、こうすればこうなるという定性的な解答は出ないのです。

つまり、失業率や有効求人倍率など雇用状況は、その時々の経済状況、先の見通し、優遇税制、移民政策、人口構成など様々な要因で変わってきますので、それらの状況が複雑に絡み合ってくるからです。

景気の問題にしても、経済が調子いいから雇用が増え賃金もアップなのか、雇用が増え、賃金がアップするからそれが消費や投資に回って経済が好転するのか、鶏が先か卵が先かという問題でもあります。

特に企業の正社員雇用政策は短期間ではなく何十年と先を見た長期間を視野に入れて採用をおこないます。それと基本的には短期間で雇う非正規雇用とは大きく違う点です。そして一般的に最低賃金に引っかかってくるのは一部の業種を除いて非正規雇用のケースが大半でしょう。

なので、最低賃金によって正社員の長期雇用政策がぶれるということは考えにくく、企業にとっては短期的な需給バランスの調整弁として使う非正規雇用のコストに影響すると言えるでしょう。

それならば、多少最低賃金を上げたからといって、企業の利益を圧迫するというほどの影響は受けないのではないか、もし大きく圧迫すると言うのならば、それは非正規社員の使い方を間違っているか、正社員と非正規社員(パートとか)の割合がおかしいのではないか?と考えられます。

外食や小売り(スーパーなど)では正社員比率が全体の10%以下という極端なところもありますが、そういう企業には恒常的に必要な労働者の多くを低額の非正規で雇うという考え方をあらためる必要があるのと、もし最低賃金を上げることで、正社員の賃金との逆転現象が起きるようならば、それは正社員の賃金が低すぎるとも言えるので、とっとと値上げでも経営者一族の特権を減らすか何でもして正当な最低賃金の水準にすることが求められるのではないかと、私は考えます。

人件費を抑えてライバル同士が低価格競争で消耗戦を繰り広げる不毛な経営手法はいずれ破綻するものです。国際的な水準よりも低い最低賃金に守られてどうにか経営が成り立つというのは経営者の甘えであり、怠慢です。

ただ最低賃金で除外すべきは、弱者といわれる高齢者や障害者の雇用を促進するためと、戦略的な特殊な職種に対しては、現在すでにあるように、各自治体で特別措置を作ればいいのではないでしょうか。


【関連リンク】
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