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とれない「痛み」はない(幻冬舎新書) 柏木邦友

とれない「痛み」はない著者は珍しい麻酔科医でありながら、現在はフリーの立場で麻酔医として病院で勤務しながら動物病院にも勤務されているという変わり種の方で、本著は2022年に出版されています。


私は2016年に初めて全身麻酔で手術を受けたとき、事前に麻酔医との面接?があり、アレルギーや体調などについてあれこれ問診されたことを思い出しました。

麻酔は手術をする医者(執刀医)がその前段としておこなうものとばかり思っていたので、その時は、「へぇー麻酔の専門医がいるんだー」と思いましたが、この本を読んで麻酔医の役割や、重要性がよくわかりました。

そういうあまり麻酔医という馴染みがない専門医療について書かれた本です。

一般的に人は加齢とともに、様々の痛みと闘っていかなければなりません。関節痛や神経痛、頭痛、腰痛などはもちろん、癌や慢性病など関わっていく病気も増えていきます。また出産という非常に強い痛みを伴う時にも麻酔を使った無痛出産が広がってきています。

麻酔というのは手術の時だけではなく、そうした痛みを和らげ、日常生活に支障が出ないようにする、また残された時間を安寧に送れるようにするために必要な術式で、「麻酔=危険、中毒」という従来からある概念はすでに変わってきています。

麻酔や鎮痛にも種類があり、使いすぎると中毒やオーバードーズになってしまう薬剤もあり、そのあたりの説明もなされています。

一般論としての話で、自分に当てはめてみてどうなのか?というのはわかりにくいのと、馴染みがない専門性の強い話が多くてやや理解が難しいですが、知識として知っておくのには役立ちそうです。

★★☆

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記憶の渚にて(角川文庫) 白石一文

記憶の渚にて2016年に単行本、2019年に文庫版が出版された小説で、ジャンルとしてはミステリーとか一部ファンタジー?という感じの話でした。文庫版で577ページという長編です。

第1部では地方都市で零細なアトピー患者向け石鹸の販売代理をしている主人公が、長く疎遠状態だった作家をしていた兄が謎の自殺し上京しますが、兄の世話をしてくれていたと思われる女性を探し出したところ、その女性と離婚した元夫から難癖を付けられあっさりとナイフで刺されて死んでしまいます。

第2部では第1部から数年後、主人公とその自殺した兄の義理の甥という縁者が主人公となり、作家として活動していますが、自殺した作家の叔父がなぜ自殺しなければならなかったのか、叔父と仕事で関係があった元新聞記者とともに調べていきます。

このあたりから、宗教やスピリチュアルの話が多くなってくるのと、人間関係が叔父や叔母、腹違いの姉妹、遠い親戚など多くの人が登場してきてなかなか頭の中で整理がつかなくなります。

一応、巻頭には主な登場人物が書かれていましたが、実際に登場するのはその何倍もの人たちが次々出てきて、メモリー領域が少ない私は完全にオーバーフローしました。

本当なら登場人物と同時に、その相関関係図(家系図など)もあれば良いのですが、それは後でわかる本題のミステリーの要素にも関わってくるので最初には書けないでしょう。

こうした遺伝子に組み込まれているという前世に経験したことや、手をかざして治療する特殊能力、一晩でアトピーが治る神秘の樹木、亡くなった人の天の声が聞こえるなど、霊やスピチュアルな話はどうも苦手で、読んでいて徐々にしらけてしまったのは個人的な問題で、エンタメとしては脈々とつながる壮大なドラマという話になっています。

★☆☆

著者別読書感想(白石一文)

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袋小路の男(講談社文庫) 絲山秋子

袋小路の男3作の短篇が収録された短篇集で、2004年に単行本、2007年に文庫版が出版されています。

収録作品は「袋小路の男」、「小田切孝の言い分」、「アーリオ オーリオ」の3作で、そのうち「袋小路の男」、「小田切孝の言い分」はほぼ同じ登場人物で展開する不思議な恋愛小説で、二つは視点を変えた同じ物語ですが、見方が変わるだけで内容も変わり、「こういうやり方もあるのか」と感心しました。

個人的には3作の中で一番好きな「アーリオ オーリオ」は、パスタ好きで、星座に詳しい主人公と、兄貴の中学生の娘(姪)とのほのぼのとした物語で、手紙でやりとりする仲になり、その手紙が届く先を3光日先の星としてタイトルのパスタの名称を付けています。

少し前に読んだ白石一文著「記憶の渚にて」も、兄弟や甥、姪などの関係が甚だしい物語でしたが、このように、家族でも疎遠になっている兄弟や、姪などとの近そうで遠い微妙な関係というのは物語になりやすそうです。

★★☆

著者別読書感想(絲山秋子)

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おれの死体を探せ(徳間文庫) 小松左京

おれの死体を探せ1983年に文庫で出版された短篇集で、「長い部屋」「幽霊屋敷」「おれの死体を探せ」「共食い」「男を探せ」「鳩啼時計」の6篇が収録されています。

前の3作は貧乏な私立探偵が主人公で、コミカルな連作です。後の3作はいずれも独立していますが、どの作品もSFをうまく取り入れていたり、著者の作品にしては幽霊が自分の死体を探しに出てきたり、同時に複合的な誘拐事件が発生したり、性転換手術だったりといろんな面を見せてくれます。

個人的には最後の「鳩啼時計(はとなきどけい)」が好きで、小説の舞台はずっと未来の話ですが昔懐かしい「鳩時計」が出てきます。実は母方の実家に行くと、(本物の)鳩時計があって、欲しくてたまりませんでした。

タイトルの「鳩啼時計」とは、明治生まれの詩人で作詞家だった西条八十が昭和8年に書いて少女向け雑誌「令女界」に掲載された「鳩啼時計」という詩のことです。

詩の1番は「鳩啼時計今啼き 冬の夜ふけの十一時 凩さむき戸外には 利鎌のごとき月冴えて」と、「冬の夜更けの11時に鳩時計がちょうど今啼いて、木枯らしが吹く外にはよく切れる鎌のような月が出ている」という意味。

2番は「過ぎし日君と一つづつ 銀座の街に購へる 鳩啼時計いま啼けば うれいは深しわが心」で、意訳すれば「ずっと昔にあなたと銀座で鳩時計を一つずつ買って、それを今啼くと切ない思いが心に広がる」という、鳩時計の音で昔の恋人を思い出すという内容です。

小説では、その詩のように、昔の恋人と一緒に買った二つの鳩時計が絡む殺人事件が起きて、、、というストーリーです。

なお、この詩は4番までありますが、3番以降はその恋人のことを想う愁いをシクシクと繰り返していて、恋する女学生達に向けた今で言うところのラブソングです。

1980年代のSFらしく、40数年後に読むとテレビ電話や人体移植、人工的に重力を曲げる装置など、40数年後の現在既にあるものもあればまだないものなどあって創造力の面白さを味わえました。

★★☆

著者別読書感想(小松左京)


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