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25時(新潮文庫) デイヴィッド・ベニオフ

25時
本著は1970年生まれの著者のデビュー作となる2002年の作品で、10年前に第3作目の「卵をめぐる祖父の戦争」(2008年)を読んだとき、その才能に惚れ込み、「デビュー作もいずれ読んでみたい」と書いたことがありましたが今回やっとかないました。

2014年2月後半の読書と感想、書評(卵をめぐる祖父の戦争)

今回も内容は全く知らずに読み始めましたが、日本とアメリカでは犯罪者が裁判で有罪が確定したあと刑務所への収監までの扱いが全然違うので、まずそれに驚くばかりでした。

というのも、この主人公の話ですが、麻薬の密売で逮捕され7年の懲役刑が裁判で確定したあとも、決められた収監日までは保釈金を積めば外で普段通りの生活ができるのがアメリカらしいです。

タイトルの25時間は、収監されるまであと25時間というところから始まり、7年間の刑に服するか、親が店を売って用意してくれた多額の保釈金を没収されることを覚悟して逃げ回ることにするか、それとも自殺するか、その決断の時が刻一刻と迫ってきます。

7年間の刑がそれほど悩むのか?というのも日本ならではのことで、アメリカでは白人の美少年が刑務所に収監されると、マイノリティの収監者達に襲われるというのが定説で、主人公はその美少年と言える白人青年でした。

派手なアクションなどはなく、主人公とその周囲にいる父親、恋人、親友、そして麻薬ディーラーのボス、密売仲間などとの人間関係、気持ちや感情の移り変わりなど、繊細な描写に終始し、アメリカ人の主にエンタメ系の作家の書いた小説とは思えないほどでした。

最後はややわかりづらかったですが、「もし逃げ出しうまく逃げ延びたら・・・」という妄想?で終わりますが、自業自得とは言え現実はそうでないという、、、

いや面白かったですが、「卵をめぐる祖父の戦争」が突出した作品だっただけに、それには及ばないという感想です。

★★☆

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晴子情歌(上)(下)(新潮文庫) 高村薫

本著は2002年に単行本、2013年に文庫化された長編小説です。過去に著者の小説は1995年に「黄金を抱いて翔べ」を読んでから、「レディ・ジョーカー」など合計9作品を読んでいますが、それらとはまったく毛色の違った内容で、意外な感じがしました。

文庫の上下巻合計で800ページを超える、通常の文庫本なら3~4冊分はありそうなボリュームで、しかもその中の半分ぐらいが、旧字、旧仮名で書かれた主人公が書いた手紙となっていて、それに慣れるまでに時間がかかりました。

さらに、登場人物が豊富で、巻頭に家系図がありそれに救われましたが、しばしばその家系図を見に行く手間もありサクサクと読めるものではありませんでした。

主人公と結婚した夫の兄弟(義兄、義姉)が4人いて、その配偶者を合わせると8人、夫の両親に主人公の父親の兄弟が5人、母親の姉妹が他に2人などなど。さらに甥や、名家で代議士を出した名家だけに番頭や女中、秘書などもいます。家系図がなければとても読み進められません。

主人公は、戦前に東京で生まれた女性とその息子の二人で、エリートの英語教師だった女性の父親が妻(主人公の女性の母親)を病気で亡くしたあと、仕事を辞めて生まれ故郷の青森の寒村へ引っ越す決意をしたことで、その女性の人生が大きく変わります。

その主人公の女性がやがて女中として奉公していた青森の名家のフラフラと自由人を謳歌していた4男坊と出征する前日に結婚することになり、そしてその夫が戦地にいるいるあいだに義兄の子をもうけ、その子(息子)へ母親から過去の自分の人生や息子の出生のことを手紙に書いて教えていく流れです。

中でも、主人公の父親が故郷に戻ってすぐに親戚を頼って漁師となり、また、息子も東大理学部を卒業した後、女性トラブルを起こしたこともあり、就職せずにやはり親戚を頼って遠洋漁業の船員になるなど、昭和から現代までの漁業についてかなり詳細に書かれています。

テーマは、タイトルからすれば、昭和の戦前に青森の寒村に引っ越した女性の一代記ですが、その息子の母親に対する疑念と愛情、そして主人公の女性の恋心、激動の戦前戦後の日本、特に北方漁業を中心とした社会の縮図と言ったところでしょうか。

とにかく登場人物が多く、読むのに疲れましたが、丁寧に最後まで読み切ったという満足感があります。

★★☆

著者別読書感想(高村薫)

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淀川八景(文春文庫) 藤野恵美

淀川八景
著者は1978年大阪府生まれの作家さんで、著書を読むのは今回が初めてです。今回の著書は文芸作品ですが、過去には児童文学などジュニア向けの作品が多く、今まで名前すら知らなかったのもやむを得ません。

今回は、タイトルに惹かれて購入しました。というのも、過去に淀川に架かる豊里大橋(大阪市東淀川区)のすぐそばに短い期間でしたが住んでいたことがあり、なんとなく懐かしさを覚えたからです。

私が淀川や淀という地名を聞くと、すぐ頭に浮かぶのは淀競馬場と淀殿(織田信長の姪になる茶々)ですが、今回は淀川をテーマにした8つの短編の物語で、競馬場も安土桃山時代の話も出てきません。

8編のそれぞれのタイトルは、『あの橋のむこう』『さよならホームラン』『婚活バーべキュー』『ポロロッカ』『趣味は映画』『黒い犬』『自由の代償』『ザリガニ釣りの少年』です。

その中で私が一番好きなのが『ポロロッカ』で、これは淀川河口から上流に向けて遡り琵琶湖(瀬田の唐橋)までをひたすら歩く、紀行ものというか、ロードノベルで、これはできれば短編ではなくもっといろいろな要素やうんちくなどを加味し中編以上の作品で読みたいなと思いました。

ただそれぞれの作品で描かれているのは、日常生活での人間関係の機微がメインで、各編とも完全に独立したそれぞれに味わいの違う作品で、それはそれで十分に楽しめました。

★★☆

【関連リンク】
 1月前半の読書 東京クルージング、資源カオスと脱炭素危機、カオスの娘、橋を渡る
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