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あえて調べるまでもなく日本の労働者(就業者)の高齢化が進んでいますが、総務省から発表されている労働力調査の年代別就業者数を見るとよくわかります。

年代別就業者数グラフ(総務省労働力調査)


赤い線の15~24歳までの若年層の就業者数の減少は、進学率の向上による影響もあるでしょうけど、もうひとつの大きな要因である少子化の波をうけて1992年頃から一気に下がり続けています。

逆に、65歳以上の高齢就業者数は1970年はわずか231万人だったのに対し、2013年は636万人と2.7倍に増えています。1970年代時の高齢者は戦争で亡くなった方も多く、そうした少ない事情もあるでしょうけど、その後は年々元気な高齢者が増え、高齢者が働ける環境が整ってきているということなのでしょう。

就業者全体の数が2013年は6311万人ですから、65歳以上の高齢就業者だけですでに10%を超えています。働いている人の1割以上が65歳以上の高齢者だということですね。

私の父親(大正8年生まれ)が現役バリバリで働いていた1970年代は、企業や役所の定年が55歳が普通で、貯金と退職金で年金が出るまでの間は食いつなぐか、60歳までは嘱託として働き、60歳で年金をもらいその後は悠々自適の生活でしたが、日本人の平均寿命が延びるのに合わせて年金支給が遅れ現役生活が長くなっていきます。

またグラフの中で各年代推移の最高値に達している点を「オレンジ色の○でマーキング」しましたが、これは人口の中でもっとも多い団塊世代がその年代で働いていたことがわかるポイントです。また「黒い▲マーク」は団塊ジュニア世代で、現在40代前半に達していることがこの山になっていることでわかります。

こうした高齢者の就業者が増えているということを念頭に置いて、次に正規と非正規社員の推移について調べてみます。

テレビを見ているとキャスターやコメンテーターがわけ知り顔で「若者の非正規社員が増えている」「非正規が増えると非婚や年金未納など社会的な問題が起きる」と言います。NHKですらニュースで「非正規社員の急増」と大見出しを出すだけで、その中身の真実については語りません。

非正規社員(らしい人が)が増えてきているのは、確かに実感としてもありますが、しかし「若者の非正規増」については前から疑問があり、今回同じ総務省統計局の労働調査から調べてみることにします。

ちょっと見づらいですが、2002年から2013年の年代別正規・非正規社員数の推移を表したグラフです。



このグラフをみると、非正規社員数が増える傾向にある年代は、35~44歳、55~64歳、65歳以上で、あとは横ばいか逆に下がっています。35~44歳の働き盛りの年代に非正規社員が増えているのは問題ですが、この年代の特徴はここ5年ほどは団塊ジュニアという大きな塊が推移していて総数で増えていることで、それは正規社員数も同時に大きく増えていることからもわかります。またこの年代は出産を終えて再び(非正規で)働き出そうという女性が多いのも特徴です。

つまり、労働人口の中に占める非正規社員が増えている最大の要因は、55~65歳と65歳以上の年代層に限られると言っても過言ではないということです。特に民間企業ではまだ60歳定年のところが多く、60歳になると一度退職をして契約社員とか嘱託で再雇用されるケースがほとんどです。それらは正規ではなく非正規雇用となるので、この年代の非正規雇用が大きく増えてきているわけです。

人数では、団塊世代や団塊ジュニア世代という突出している数値があるのでわかりにくいということもあるでしょう。そこで全雇用者(役員や個人事業者は除く)の中に各年代別に正規と非正規社員がどのぐらいの割合(%)を占めて推移しているかというグラフが下記です。率ですから人口構成の人数が多い少ないはほとんど関係ありません。



特に下の非正規雇用の年代別推移を見るとわかりますが、赤い線の15~24歳と、こげ茶色の25~34歳の比較的若い層の非正規雇用(率)はいずれも下がってきています。逆に45歳以上の年代の非正規社員(率)は大きく増えてきています。

つまり「若者の非正規社員が増えている」というのはまったくの誤りで、もし非正規社員増の問題を議論するなら、まず60歳以上の高齢者向けの対策、次に、30代後半以降の出産後の女性が非正規ではなく正規社員として復帰できる環境整備などが先でしょう。

もちろん60歳過ぎても転勤や残業、休日出勤まである正社員として目一杯働きたいと言う人ばかりではないでしょうし、出産後に子育てや親の介護をしながら残業や地方への出張もある正社員として復帰したいと願う女性ばかりでもないでしょう。

こうした統計数字はちょっと見誤ると、180度違った感想や意見を持ってしまうこともよくあり、またマスメディアはより刺激的な内容であればあるほど注目を浴び、視聴率が取れるので、それに都合の悪いことは伝えず、単に「非正規社員が増えている!さぁたいへんだぁ!」と視聴者や読者を煽り続けているわけです。


【関連リンク】
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687 旺盛な高齢者の労働意欲は善か悪か
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782
終身雇用が壊れだしたのは1990年代頃からで、大手企業においてリストラの名を借りた実質的な指名解雇がおこなわれてきましたが、考えてみると中小企業ではそれ以前からずっと業績不振やワンマン社長の好き嫌いなど環境や感情の趣くまま、従業員解雇なんて普通におこなわれていました。それは大企業たる新聞社やテレビ局において身近なものではなく、記事や番組で取り上げられることがなかっただけのことで、いざ大企業でもリストラがおこなわれるようになって始めて「これは危険だ」と取り上げられるようになってきました。

それはさておき、私(56歳)以上の人達のほとんどは、新入社員の頃、日本の代表的な雇用スタイルで高度成長を支えてきたとされる、終身雇用、年功序列が当たり前で、それが壊れるなんて信じていませんでした。

そして、新卒後の数年で会社を辞めて転職など、まるで人生の落伍者のように見られていましたし、20代の中途採用市場も極めて小さく、もしどうしても転職するならベテランの域に達した30代で、それも三顧の礼を尽くし誘ってくれるところがあってというのが普通だったように思います。

しかし私が新卒入社してから10年ぐらい経つと、新入社員(ちょうどバブル入社組)で入ってきた若者が平気で次々転職するようになり、時代が変わったと実感したモノでした。しかしその時に転職した若者が入った会社は、より小さな企業ばかりで、それで成功したかというと微妙な感じがします。小さな企業はダメと言っているのではなく、できることやれることがさらに小さくなってしまう可能性が高いのです。

転職の場合、なにを持って「成功」か「失敗」かという明確な基準がありません。人材紹介会社の場合は、「成功」=「転職できた」、「失敗」=「転職できなかった」の二つの基準でハッキリしているのですが、求職者にとっては転職できたからすべて成功だったかというと必ずしもそうではありません。

例えば「転職して給料や待遇が上がり、就業時間は短くなり、仕事には成長性があり」となればほぼ「成功」と言ってもいいのでしょうけど、「給料は上がったが、めちゃくちゃに働かされ、身体を壊したり、家族との時間がなくなった」では、果たして転職成功と言えるのでしょうか?

「希望する企業ではなく給料は下がり将来性があるとは言えない仕事だけど、ワークライフバランスがとてもうまくまわり毎日充実している」となった場合、これも人の価値観によっては「転職成功」と言えるでしょう。

もっと言えば、30代で転職した場合、その後まだ30年以上働き続けるわけですので、その会社が将来どうなるか?という長期的な観点でも「成功」「失敗」が違ってきます。

私が新卒の時に会社説明会で回ったある中堅商社は、その時はとても私など無理とすぐにあきらめたほどの盛況ぶりでしたが、私が別の会社に入社して5年目に研修を兼ねて香港へ渡ったときに、ちょうどその中堅商社が倒産したことを知りました。

そういった会社がどう転ぶかは誰もわからないリスクを軽減するには、自らが会社に頼り切らないで、自分のスキルを磨き、難易度の高い経験を積むに限るわけですが、同時に信頼できる人間関係を構築しておくのがベターな選択でしょう。案外自分のスキルや経験を必要とする仕事や業界って狭いもので、転職するとなにかしら昔の知り合いとつながっていたりするものです。

転職活動の際に、複数の応募者と競争することは普通にあり、その時の面接で、「その方なら勉強会で知り合ってよく知っていますよ」と面接者と共通の知人がいることが判明したり、「○○さんならいま当社の関連企業にいますよ」とか、不思議な縁に出会うことがあります。そういうつながりがあり、しかもその知人から「彼なら採用して大丈夫」というお墨付きがもらえれば、これ以上の推薦状はありません。

そこで転職をするのに最適な年齢は?というと、以前から企業が一番求めているのは20代後半~30代前半で大手、中堅企業でしっかり業務経験を積んできた人達ということになるでしょう。

ただ、現在は若手の転職者が少なくなり、逆に30代後半~40代の転職希望者の増加で、転職平均年齢が上がってきているそうです。

転職者の平均年齢は31.0歳 高年齢層の転職者増により5年で2歳プラス(インテリジェンス調査)
人材サービス大手インテリジェンスによると、転職者の平均年齢は2008年に29・2歳だったが、13年には31・0歳と2歳上昇した。年齢別でも35歳以上の転職者の割合が08年の10%から13年には23%まで増えており、ミドル世代の転職が盛んになっていることがうかがえる。

少し前なら40代以降の転職はリスクが多く、よほどのハイパフォーマーや自信家以外は難しいと言われていましたが、最近はそうでもなくなってきているようです。

それとも転職したくてしたわけではなく、早期退職制度や転職支援制度で半強制的に追い出された人が、やむにやまれず転職をしているせいなのかも知れません。そこのところは、この調査からはハッキリとは読み取れません。

ただ職種別では、「30代以上の割合が最も多いのは「技術系(建築/土木)」の73.6%で、次いで、「技術系(機械/電気)」(63.9%)、「技術系(IT/通信)」(61.3%)が続きます。」とありますので、大手製造業などが大量に実施してきた工場閉鎖や海外移転のための大リストラの影響で技術系中高年者の転職希望が増えている可能性があります。

特に1971年~1974年に生まれた団塊ジュニア世代が40~43歳となり、この年齢ともなれば大手企業でも管理職に就く年代ですが、どこの企業でもこうした年代のポストが不足しているように思えます。技術系職においても同様です。

そう考えると、転職平均年齢(適齢期ではなく)は、この数の多い団塊ジュニア世代が牽引していると言えなくもなく、当面はその団塊ジュニア世代の年齢とともに上がり続けることになるのでしょう。

では転職適齢期はと言えば、考え方としては数の多い団塊ジュニア世代と対抗して勝てるのは若さか経験かということですので、今すぐならば「若さ」の20代~30代前半までか、「経験」の50代前半ということになるでしょうか。ただ50代での転職は、今も昔も超難関なことには変わりなく、即戦力&人脈しかありません。

私もあと4年で定年がやってきます。雇用延長の義務化から、数年の雇用延長はお情けでやってくれるでしょうけど、果たしてそれにすがるか、それともまた別の新しい仕事人生を切り開くか早々に考えなければなりません。


【関連リンク】
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781
来年度の予算が少しずつ見えてきましたが、消費税も上がり、景気の先行きを左右しかねない重要な予算編成になることは間違いなさそうです。

その中でも私が注目するのはやはり労働・雇用関連予算で、その使い方をみると政府や国がなにをしたがっているのかが漠然とながら見えてきます。

厚生労働省はアベノミクスの成長戦略に乗じ、大幅な雇用関連予算をぶんどるつもりで、さらに経済(雇用)特区構想なども相まって、今年は「解雇」と「再就職」の話題が多くなりそうです。

来年度の概算要求では、従来の解雇を防ぐための「雇用調整助成金」を半減させ、転職の助成金を大幅に増額する方針が立てられています。

雇用調整助成金は、経営が厳しくなった企業が社員を解雇せず、休業などの形で雇用し続けた場合に支給されるもので、一昨年2012年度は1134億円が支給されましたが、この予算を来年度545億円と半減させるようです。つまりつぶれそうな会社(穴の空いたバケツ)に、一時しのぎのために、税金を湯水のごとくつぎ込んでも無意味だとようやくわかってきたようです。それでもまだ500億円以上残っているわけですが。

そして転職支援など「労働移動支援助成金」は、一昨年がわずか2億4000万円だったのを一気に10倍増させて301億円を要求に盛り込みます。10倍増しても前述の雇用調整助成金には及びませんが、ないよりはマシってところでしょうか。

この「労働移動支援助成金」ですが、「雇用調整助成金」とは対になっているとも考えられます。つまり「雇用調整助成金」を減らして解雇を勧め、その解雇された人が再就職するための支援に使われるものとされ、主として民間の人材紹介事業者や再就職支援事業者などにばらまかれるものと思われます。

リーマンショック以降、体感的には1/10の規模に縮小してしまった人材紹介ビジネスですが(実際は数十%ダウン)、これで息を吹き返せるか見物です。

人材紹介ビジネスの2012年度の売上規模は1150億円、再就職支援ビジネスが310億円と言われています。

全体では2013年度は2012年度よりも多少伸びているようで(紹介で10%程度、再就職支援はマイナス10%)、さらに来年度予算で300億円がつぎ込まれると、単純に足し算だけでなく、その何割か増しの成果を求められるはずです。例によって国がつける予算の中には官僚天下り法人向けの中抜き分があるでしょうけれど、それは除いてです。

1270+280=1550億円・・・2013年度人材紹介・再就職支援ビジネス売上予測(矢野経済研究所)
(1550+310)×1.1=2046億円・・・2014年度人材紹介・再就職支援ビジネス売上予測(筆者の勘)

仮定の話しですが、助成金で弾みが付き人材紹介と再就職支援がそれぞれに助成金を含めて1割以上伸びるとすれば合計が2046億円となり、リーマンショック前の2007年度両ビジネス売上合計1710億円を軽く超えていきます。

一見すると2000年代前半のように、転職ブームが起き、再び人材コンサルタントの出番が多くなりそうにも思えますが、果たして中途入社の社員を積極的に求める会社がそこまで増えるのか?という疑問がぬぐいきれません。紹介業が潤うためには求人する企業と求職する人の双方が相当数必要です。そこがマッチングの難しさです。

結局は、先行き不透明感から企業の採用抑制は続き、派遣やパートアルバイト、契約社員といった非正規社員ばかりが伸びて、紹介会社や再就職支援会社にはほとんど恩恵がなかったという結果もありそうです。


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614 企業は若者の早期離職を恐れるな
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10  紹介会社1





767
厚生労働省の調べで、2010年の大学新卒者が3年以内に退職した率が、従業員5人未満の零細企業では61%、従業員が5人から29人の小企業でも50%にのぼるというデータがありました。一方では従業員が1000人以上の大企業では22%ということです。1000人以上の大企業と5人未満の零細企業とでは3年以内に退職する人の割合は3倍近くの開きがあるとの結果です。

また新卒3年以内の離職率が高い業種として、宿泊業・飲食サービス業が51%、教育・学習支援業が49%、医療・福祉が38%となっていてサービス業関連は全体平均の31%を上回る結果となっています。サービス業は一般的に製造業や建設業、流通業などと比べると中小零細企業が多いのでそのような結果でも特に驚きません。どうせ業種で比較するなら規模が同じところの比較があるといいのですが、全体での比較だとこの数値だけでは判断ができません。

大企業に入社した新人は、中小零細企業へ入社するより安定した勤務と収入が得られるということで、これが私が繰り返し言う「コメンテーターや識者が公に言う嘘に惑わされず、まず大企業を目指すべき」最大の理由です。

「大学卒業しての就職で中小零細企業に入る人は、みんな我慢や能力が足りないだけだろ?」と言われそうですが、もちろんそんなことはありません。

中には大企業に入れるだけの能力や才能がありながら、意図して中小零細企業に入る人もいますが、多くの場合運悪く採用試験の成績で落ちたり、それ以前に出身校でダメだしされていたり、有力なコネがなかったり、あるいは最初からあきらめて中小零細に活路を見出した人達です。社会人としてのスタート時点では、テストの成績や出身大学がものを言う時代でもなく個人の潜在能力に大きな差などありません。

大企業なら数十人、数百人の採用をおこない、すぐに戦力とならなくても余裕があります。しかし中小零細企業はそうはいきません。1日でも早く新人を戦力化しなければ、それだけコストと先輩社員の負担が増えて困ります。

つまり新人の戦力化に期待する要求度は大企業より中小企業のほうがずっと高く、大企業よりも早く仕事を覚えさせて実戦に投入されます。それはそれでやる気のある人にとっては決して悪いことばかりではないでしょう。

しかし決定的に違うのは、新人に対して早くから企業に多大な貢献を要求をする中小零細企業と、入社数年間は勉強期間と割り切れる大企業とで、そこに大きな差が出てしまいます。

厚労省はこの結果だけをみて「中小企業では採用と雇用のミスマッチが起きている」と判断していますが、大企業並みかそれ以上の待遇や条件の厚労省など中央機関にいる人や中小企業で働いた経験もない学者先生には、中小零細企業の採用と雇用の実態などわかるわけもなく、分析などできないでしょう。

これは「雇用のミスマッチ」などではなく、大企業と中小零細企業の(給料など)待遇、勤務条件、教育、福利厚生、要求事項の違いで、安い給料で深夜までサービス残業当たり前、土日も出勤、労基法など関係なし、研修などなく、すべて仕事は自分で考えろ的な多くの中小零細企業で、さらにその上終身雇用が壊れてきたことも加わり退職率が上がるのは極めて当たり前のことです。

要は大企業に入社した有能な人がその中小零細企業へ来たとしても同じことで、マッチングではなく、すべては勤務先において、社員を大切にし長い目で人を育てていく環境にあるかないかという伝統であり社風であり、それを許すことができる余裕があるかないかなのです。

逆に言えば従業員が1000人以上の大企業でも22%が3年以内に辞めているというのは、昭和感覚で言えばまったく驚くべき数値で、30年前なら考えられないことでしょう。それだけ今の大企業も、中小企業並みに経営環境、労働情勢の厳しさが増し、新人に対して手厚くサポートができなくなってきている証左かもしれません。

新人が3年以内に退職するのは、30年前と比べると新卒入社数年で再就職をする第2新卒市場が整ってきたことも関係していると思われます。しかし私に言わせると、せっかく苦労して大企業に就職しておきながら、3年未満で転職すれば、今までよりも環境悪化が確実の中小企業や非正規雇用の道しかありません。その不合理と将来にわたる不利な条件となることをまだ社会人になって2~3年の若者では理解ができないのでしょう。有川浩氏著の小説「フリーター、家を買う。」に登場する主人公など、その典型が描かれています。

大企業に勤めたら、嫌なことがあっても転職してはいけないと言っているのではありません。

大企業には様々な自分が成長できる研修機会や大企業同士の有能な人達と知り合いになれる場があります。留学や資格を取るための補助や支援制度だってあります。そういった中小企業では得られない経験や人脈、資格を一通り得てしまえば、あとは本人のやりたいこと、目指すことを自由にやればいいのです。そのためには最低でも5年、できれば10年は大企業に居座るのがいいでしょう。

社会で活躍している多くの有名人達の多くは、その略歴を見ると学校卒業後、最初はだいたい大手企業や中央官庁に勤めています。それをみれば明らかなのですが、そういう新卒即大企業就職組から学生に向けて発せられる「やる気があるなら中小企業を目指せ!」という言葉はどうしてもうさん臭く聞こえてしまうのです。


【関連リンク】
717 非正規から正規雇用への転換策
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717
以前書いた「40歳以上の解雇や退職勧奨は最悪だ」の続編にあたります。

その時には「正社員の解雇規制を緩和するのには反対で、逆にもっと解雇規制強化すべし」と書きましたが、ではどうすればその正社員(=無期限の正規雇用)を増やすことが出来るのか?という問題について考えてみました。

まず、非正規雇用の中身を復習してみましょう。
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2010年のデータでは、正社員3,355万人に対して非正規雇用は1,755万人で就業者全体の34.3%を占めていることになります。

この非正規雇用の中身を見てみると、パート847万名(非正規全体に占める割合48.3%)、アルバイト345万人(同19.7%)、派遣社員96万人(同5.5%)、契約社員・嘱託330万人(同18.8%)、その他137万人(同7.8%)です。

一般論から言えば、パートやアルバイトの大半を占めるのは、フルタイムで勤務ができなかったり、勤務地が限定されたり、長期間の勤務ができない人達でしょう。例えば育児や介護のため働ける時間や曜日に制限がある主婦(夫)、学校へ行きながら空いた時間にアルバイトをする学生、劇団の練習や司法試験受験のため出勤が比較的自由な仕事しかできない人、様々な理由から住んでいるところから離れられない人などなど。

そういう人達(非正規雇用の68%)は果たして本当に正社員(フルタイム勤務、残業・休日出勤あり、転勤あり、合宿研修あり、会社行事参加必須、職種や部署変更ありetc.)の仕事を望んでいるでしょうか?

それでも統計データ等を見ると(意外にも)半数近くが「正社員になりたい」と回答しています(内閣府国民生活白書)。しかし実際に正社員になるための諸条件(勤務時間、残業、転勤、仕事内容の変更など)を認識して覚悟をした上でのことなのかと言えばたぶんそうではないでしょう。学生のアルバイトが学校をやめて飲食店の正社員になりたいと思っているとは考えにくいです。

もちろんパート・アルバイト就労している人の中には、正社員となって残業、転勤上等、ガンガン働きたいし、すでに正社員よりも働いているという人もいるでしょう。しかし実際には統計の聞き方が「パートやアルバイトのままがいいか、正社員になりたいか」であれば、思い浮かぶのは「仕事はいまと同じで給与や福利の待遇だけ正社員と同じがいいか」という現実ではあり得ない回答を引き出す質問ではなかったのではと推察します。ちょっとうがった見方でしょうか?

次に派遣社員、契約社員・嘱託の非正規雇用の人達はというと、長期で働く派遣社員や契約社員は、不況時にはかなりの割合で正社員志向が強いことが予想されます。逆に好況時になると、派遣社員の中で正社員になりたい人の割合は一気に下がる傾向があります。それは派遣で働く人にとっての大きなデメリットが仕事が切れてしまうととたんに収入がなくなるということだからです。それ以外では派遣で働くメリットもあり、好景気で仕事が次々ありさえすればそのような問題は起きにくいのです。

しかし最近急増している嘱託はどうでしょう?一般的に嘱託というのは、定年後にその後も働いてもらうために作られた制度と言ってもいいでしょう。特に今年度から高年齢者雇用安定法が改正され、定年後65才までの雇用が企業に(段階的に)義務づけられることになりました。その先取りとして、60才以降、嘱託になって働く人がここ数年で急増しています。その嘱託の人達が、現役時代と同じように残業や転勤もいとわずガンガン働く正社員になりたいかというと、多くはそうは思えません。

さて、ここまでで非正規雇用の実態が少しだけ明らかになってきたので、正社員への道を考えてみたいと思います。

企業からすると、非正規雇用を採用するのは、

1)定型業務や単純作業など軽作業はできるだけコストを抑えたい
2)景気の影響で業務量が上下するのでその緩衝役として
3)季節要因で業務量が上下するのでその緩衝役として
4)正社員は基本幹部候補生という考え
5)まず非正規雇用で働きぶりをみてから正社員に登用する(採用の一手段)
6)期限が決まっている仕事をこなすため

などが考えられます。

2)や3)6)のような業務量や期限の関係で一時的に補充しなければならないケースはさておき、それ以外では、問題点を解決してあげれば非正規雇用を採用する理由はなくなります。

例えば1)の単純作業や軽作業ですが、正社員の採用において何種類かのパターンが用意されていて、それによって採用条件を違えても合法とすると、今まではアルバイトで採用していた人を正社員として採用と言うことが可能でしょう。つまりわざわざ本社と工場で別会社や子会社にしたり、雇用形態を変えて非正規社員を採用するのではなく、ひとつの会社の正社員というくくりの中に、いくつもの職制とキャリアパスがあり、それを選択して採用試験や昇進試験を受けるというもの。昔あった一般職と総合職、国家公務員のキャリアとノンキャリアのようなもので、それをもっと細かく分類します。

当然幹部候補生となる経営職と軽作業が中心の業務職では、入社採用試験時の条件(例えば経営職は大卒以上&TOEIC700点以上とか)や、試験の難易度や条件、入社してから与えられる業務量、研修時間、勤務時間、その他転勤や出向などの諸条件も違ってきます。当然支払われる賃金や昇給率も違ってきます。単純労働の場合は、アルバイトとそう変わらない給料で年功制度もなく昇級もほとんどありません。しかし双方とも解雇規制があり、福利厚生や有給休暇制度など正社員としての扱いはどの職でも同じです。

そうなるとおそらく社内の中に入社時のクラス(階級)がハッキリと分かれてしまい、それなりの弊害もあるでしょうけど、それは現在のアルバイトや派遣社員と正社員との格差を比べればまだマシに思えるはずです。

そして入社時に一度決まったクラスでも、入社後に入れ替わることも想定しておきます。例えば幹部候補クラスで入ったけど、病気になりストレスの溜まる激務から、単純労働へ移りたいという希望をすれば変更でき、その逆で軽作業業務で採用された人が抜群のリーダーシップを持ち、数々の改善提案を成功させ、認められて一定の条件と社内試験をクリアすれば、マネジメントクラスや幹部クラスへ抜擢されることも可能とします。そういう制度を義務づけ、入社時の条件と選択がすべてではないようにします。

おそらく労働組合などからは、平等の精神に反するなど反対意見も多そうですが、ひとつの企業内でも様々な職種や場所がある中で、労働条件や賃金、ベースアップが一律同じというほうがおかしな話しで、すでに有名無実化している年功序列を完全になくすのであれば、せめて実力主義、成果主義にして、それを職能給として賃金に反映すべきでしょう。

5)の採用の一手段として非正規雇用を利用するケースも増えていますが、企業側からするとせっかく非正規雇用を正社員にしようとしているのに、それを禁止されるのではあまりにも理不尽です。

ただ言えるのは数ヶ月のアルバイトや契約社員だった時には有能であっても、正社員に登用したとたん?という人が経験上少なくなかったことです。

正社員になるというのがモチベーションの人は、それが達成されてしまうと、いきなりそれに安住してしまい普通の凡人になってしまうことがよくあります。つまり非正規社員の働きはあまり参考にならないというのが実感です。自ら考え自主的に動くことが多い正社員に求められる資質と、基本は指示された範囲の中で動く非正規社員に求められるそれとが違うこともひとつの要因です。

正社員となると通常は数年間ではなく、何十年間と長いつき合いになるわけで、その間ずっと全速力で走り続けられるかというとそれも無理な話しです。逆に入社時はあまりパッとしなくても、十年後、二十年後に大活躍し会社の危機を救う社員が出てくることがあるのはドラマだけでなく実話を元にした「プロジェクトX」によく登場していました。

つまり、正社員の試用期間の代わりにと非正規雇用を長くやったところで、それでは才能を見抜くことはできないということを論理的にまた事例をもって証明し、そのような採用手法を採るところが(主としてワンマン経営の中小企業)減るでしょう。どうしてもという場合は、派遣で紹介予定派遣というのがあり、それをうまく活用すればいいのです。

ユニクロが始めた地域限定社員のような制度を政府も検討を始めたようです。果たしてそれがどのようなものかはまだわかりませんが、なにか解雇規制の緩和とセットで論じられているところが嫌な雰囲気です。つまり「(中高年や病気がちな)正社員をどんどん解雇して、その代わりに地域限定社員を安く雇えば企業はお得です」的な。

ま、議論が始まったのはいいことなので、しばらくその様子をウォッチするしかないですね。


 【関連リンク】 
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 683 退職勧奨・強要にあった場合の対処法
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 572 転職のキモは履歴書だ
 542 恒久化される求職者支援制度
 541 厳しさ続く非正規雇用
 539 コンサルタントという職の謎
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プロフィール
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area@リストラ天国
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性別:
男性
職業:
今のところ会社員
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
過去に上場企業の役員とリストラ解雇で就職浪人の経験がある、紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
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