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なんとかミクスやらのひとつに「男女共同参画社会の実現」があります。役所言葉をわかりやすく訳せば、「少子化で勤労者数が減ってきたので、その代わりに女性(や高齢者)はもっと働いてね。そのためにいろいろと対策をしますから。」ということでしょう。

昭和の時代は男は外で働いて、女性は専業主婦として子育てや親の介護など家を守るという役割分担ができていました。それを国が推奨していて、専業主婦には配偶者控除や年金面で優遇するという政策がとられていたわけです。

しかしそれもいよいよ難しくなってきて見直しが入るようです。

所得税改革、安倍首相が指示=「多様な働き方」対応―政府税調
政府税制調査会(首相の諮問機関)は9日、所得税の抜本改革に向けた議論を始めた。専業主婦やパートタイムで働く妻がいる世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しなどが柱。

団塊世代の高齢化による大量退職と、少子化の影響で1997年に日本の歴史で初めて労働者数の減少が始まり、その対策として、保育園を充実させて今まで専業主婦で外へ出て働かなかった女性にも働いてもらおう、また60歳定年でリタイアしていた高年者にも年金受給を65歳からにしてそれまでは働いてもらおうという政策が順次始まったわけです。

専業主婦世帯と共稼ぎ(兼業)世帯推移(1980~2014年) 出典:内閣府男女共同参画局


1992年頃より共稼ぎ世帯数が専業主婦世帯を上回り始め、その差は一気に開いてきました。バブルが崩壊し、失われた20年と一致するところからすると、女性の社会進出が支援され世の中が変わったというより、家計が苦しくなってそれまで専業主婦世帯だったところが共働き世帯に移っていた結果でしょう。

それでもまだ2014年時点で720万世帯の専業主婦世帯があるというのには驚かされます。

専業主婦と言っても、子育て、介護、病気などに縛られて就業できない人も多いのでしょうけど、自分の周囲では夫婦ともリタイアした高齢者以外では専業主婦と言える人はいないので、まだそんなにいるのかって驚いたというのが本音です。

共稼ぎ世帯の割合が少ない(専業主婦の割合が高い)都道府県は、奈良県(共稼ぎ世帯の割合45.9%)、大阪府(46.0%)、神奈川県(46.7%)、東京都(48.5%)、兵庫県(49.1%)と奈良県を除き大都市を含む都道府県が多いのが特徴です。やはり都会ほど保育園に預けられず働けないということが影響しているのでしょうか。

逆に共稼ぎ世帯の多い県は山形県(68.2%)、福井県(67.4%)、島根県(66.4%)、富山県(66.3%)、鳥取県(65.3%)となっています。地方が多いですね。

今は女性の活躍には保育園の充実というのが最大のテーマになっていますが、単に労働者を増やすというのに効果はあってもそれで活躍できるってそれホント?って気もします。

というのはやはり企業(役所も含め)の体質が大きく変わらなければ、単に女性が労働者に加わったからと言って女性活躍にはほど遠い気がします。

この女性活躍社会の話しで時々みられるのが、「日本は世界の中で専業主婦の比率が多い特殊な国」という話し。そういう印象づけをする評論家やコメンテーターという自称識者がいますが、それは間違ってます。

OECD諸国の女性(15~64歳)の就業率 出典:内閣府男女共同参画局


アイスランド(79.9%)、スイス(74.4%)、ノルウェー(73.5%)、スウェーデン(72.5%)などの女性就業率と比べると低いですが、日本の女性就業率は62.5%と、米国(62.3%)やフランス(60.4%)よりも高く、OECD平均の57.5%よりは断然高い割合です。つまり世界の中で専業主婦が多いというのは明らかに間違っています。

主要国の年齢別労働力率(女性)


このグラフを見ると主要国では29歳まで働いている女性の割合は、シンガポールが高く、イタリアがやや低いぐらいで各国で大きな開きはありません。

しかし30歳以上、これは出産や育児との関係だと想像できますが、国によって大きく差が出てきます。主としてアジアの国、日本や韓国、シンガポールでは下がり、イタリアやスウェーデンでは逆に上がり、米国やフランス、ドイツでは20代から横ばいが続きます。30歳以降で労働につく女性が増えるっていうのは日本では信じられない現象です。

日本などアジアの国では女性が出産だけでなく育児(あるいは介護も?)を主として担当することで仕事から離れてしまう傾向が強く、今後女性の労働を維持するためには欧州の社会の仕組みを見習わないといけないでしょう。

日本の場合、女性の就業と言ってもパートやアルバイトなど非正規が多いという話も出ますが、各国で雇用形態は様々なルールや制約があるので、単純比較は難しそうです。例えば正規社員でも簡単に解雇ができる国は正社員雇用率が高くても当たり前でしょう。

女性の正社員の割合は1985年には67.9%だったのが2014年には43.3%まで下がって、代わりに非正規社員と言われるパート、アルバイト、契約社員、嘱託、派遣社員が増加しています。

非正規が増えたのは女性だけかというとそんなことはなく、男性も1985年92.6%だった正社員の割合が、2014年には78.2%に下がってきています。男性の場合、60歳で定年を迎えた団塊世代の多くが、その後嘱託として非正規勤務したことの影響が大きいでしょう。

つまり社会の構造で、バブルが弾けた90年代以降、それまで右肩上がりが普通だった経済が、長く停滞してしまい、長期的な計画と育成が必要な正社員から、短期で即戦力、または雇用の調整弁となる非正規雇用が増えてきたわけです。

失業するとお世話になるハローワークですら、そこの窓口で働く大半の人は非正規の契約職員なのです。別にブラック企業が多くの非正規社員を雇っているわけではありません。日本の職場の多くはそういう構造と環境になってしまったのです。

そう考えると、これからまだ20年30年働く人達は、いつ非正規になっても食っていけるだけの「手に職」か「特殊な経験」を意識して身につけておかないと、安心安定した生活ができません。自分と家族を守るのは自分の才覚のみという世知辛い世の中になってきました。


【関連リンク】
1010 不本意な非正規雇用とその実態
1009 兼業禁止規程はいつ禁止されるか
866 失業率とか雇用状況
807 労働人口と非労働人口推移と完全失業率
717 非正規から正規雇用への転換策
630 38年後(2050年)の雇用形態はどうなるのか




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