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顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ) 山口真美

2015年刊のこの新書の著者は中央大学文学部で心理学の教授です。タイトルに釣られて買いましたが、先に言っておくとこのタイトルはおそらく敏腕編集者?が付けたと思われる「釣りタイトル」です。

でも、だから面白くない、役に立たないということではなく、これから社会に出るから心持ちを知っておこうという人には良いのかも知れません。

私は10数年の児童、学生時代、その後の40数年間のビジネス時代において、ずっと人の顔がなかなか覚えられなく、名前が出てこなかったり、以前会っていても覚えていなかったりして、恥ずかしい思いを何度も経験します。

社会人になってからは、名刺を交換した後に、どういう人だったかを名刺にメモしたり、ノートに特徴を書いたりして覚えようと努力してみたこともありますが、どれも成功しませんでした。

1回だけ会ったのを忘れてしまったという程度ならともかく、3~4回は会っているのに、次に会うとわからず「初めまして、、」というようなことも何度もありました。

同じ服装で会ってもわからないのに、まして、リゾート地で、私服を着ているビジネス上で数回話ししたことがある知り合いと偶然出会った時には、相手に目の前で挨拶されてもさっぱり誰かわからず、あらためて自己紹介されてえらく恥ずかしい思いをしました。

そういう事情からこのタイトルに惹かれたわけですが、そうしたビジネス等で相手の顔を覚えるテクニックとかを指南してくれる内容ではなく、学者先生らしく、人が顔を覚えていく理屈というか原理や事情などが主で、今さらそんなことを知っても関係ないやって感じです。赤ちゃんが母親の顔を真っ先に覚える理屈を知っても役には立ちません。

それよりもビジネス界から引退すると、一気に人と会う行為が激減していきます。

そうすると刺激が不足して、おそらく今まで以上に人の顔を覚える機能も衰えていくのだろうなぁって不安に思いますが、そうした時の鍛え方も「街に出て多くの人の顔を見る」以外にはなさそうで、これといった便利な方法とかはなさそうです。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

緑衣の女 (創元推理文庫) アーナルデュル・インドリダソン

著者は日本人にはあまり馴染みのないアイルランド在住の作家さんで、昨年「湿地」を読んでこりゃ凄い!とファンになりました。

2019年に読んだベスト書籍(海外小説部門大賞-「湿地」)

2019年6月後半の読書と感想、書評(湿地)

今回の「緑衣の女」は、「エーレンデュル捜査官シリーズ」の4作目(翻訳版が出版されているものは「湿地」に次ぎ2作目)の作品です。

こうしたシリーズものの主人公捜査官はある意味スーパーマン的な働きや才能があることが多いですけど、このシリーズのエーレンデュル捜査官は、あまり目立つことはなく、実直な雰囲気でコツコツ調べ回る、地味な刑事コロンボの警部のような雰囲気があります。ただラテン系のコロンボ警部とは違って、どちらかと言えば無口で暗め、よく言えばクールな印象です。

「湿地」と同様、アイスランドの気候の特徴なのでしょうか、なにか湿った陰湿な感じがするストーリー展開で、新たに新興住宅開発地でかなり古い人間の骨が見つかり、その骨は誰なのか?どうやってそこに埋まった(埋められた)のか?を調べて行くのがこの小説のテーマです。

特に、同時に進行していく、第二次世界大戦中のある家庭の出来事で、読むに堪えないDVが繰り返され、そこまでしつこく書くか?と思えるほど。

結果は、関係者の証言であっけなく判明しますが、なにかわざわざ?捜査が遠回りばかりをして、効率的な仕事をしたとは言えません。小説だから仕方ないのですけど。

「湿地」は初めてのアイスランドを舞台にした小説で、新鮮さがありましたが、今回はその柳の下のドジョウ的で、感動も5割引です。

しかし60年以上前の人骨を考古学者にまかせたばかりに遅々として捜査が進まなかったり、主人公のグレた娘が、死産で重篤な状態で見つかるなど、なかなか波瀾万丈の展開で退屈はせず面白く読めました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

微笑む人 (実業之日本社文庫) 貫井徳郎

2012年に単行本、2015年に文庫化された一見ノンフィクションのようなフィクションで、凝った作りになっています。

内容はまったく知らずに読み始めましたが、「私=作家」が事件について語っていくとスタイルなので、数ページまではトルーマン・カポーティの「冷血」のように奇怪な事件を追いかけたノンフィクションなのか?って思ってしまいました。

でも調べてみてももちろんそんな事件は実在せず、ノンフィクションを装った?小説だと知りました。

この小説を原作として今年2020年3月には、松坂桃李や尾野真千子などの出演でテレビドラマ化もされています。

ミステリー小説では割と珍しいですが、先に事件の概要や犯人はわかっていて、最難関大学を出て都市銀行に入ったエリート男性が、どうして些細な理由で妻子を殺めてしまうという不可解な事件を起こしたのか?というのを作家の私が調べて行くというストーリーです。

フィクションですが、さもありなんと思える内容で、結末はちょっと不可解でスッキリしないところが賛否両論あるでしょうけど、あとは読んだ人がどう結論づけるかってことなのでしょう。

コミカルなものから、リアリティのあるものまで、担当範囲が広い多作な作家さんで、多くは読んでいませんが、外れは少ないかなという印象で、この著者の小説なら安心して買ってこれます。

★★☆

著者別読書感想(貫井徳郎)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

陰翳礼讃 (中公文庫) 谷崎潤一郎

難しい旧漢字のタイトルは「いんえいらいさん」と読みます。今の漢字で書くと陰影礼賛となります。

1933年から雑誌に連載され、1939年に単行本として発刊された随筆(エッセイ)です。今回読んだ文庫は1975年初版、2008年改版の中央公論新社版です。

実はこの本は、2015年2月に購入したまま、5年半も塩漬けにしていました。特に理由はないのですが、タイトルをみただけではやや重々しい感じがしていました。

しかしNHKBSプレミアムの「100分de名著」という番組で、これが紹介されていて、「意外に面白そう」と読む気になったわけです。

著者の作品は、10代の頃に代表作「春琴抄」と「細雪」を読んだ記憶がありますが、本は親のものだったのか、私の蔵書の中にはありません。

このエッセイ集には、「陰翳礼讃」「懶惰(懶は正しくはりっしんべんに頼)」「恋愛及び色情」「客ぎらい」「旅のいろいろ」「厠のいろいろ」の6つのテーマ別に書かれています。

「陰翳礼讃」は世界的建築家の安藤忠雄氏が絶賛していて、若手の建築家にはぜひ読んで欲しいと言っていましたが、その核心は西洋と東洋で建築様式が違うのは、光の取り入れ方や照明の明るさの違いからくるもので、東洋では光と影をうまく使い分ける手法が基本にあるということです。

和風建築の仏間とか、床の間とか廊下、障子、厠(トイレ)などはすべて薄暗い中で使われることを前提とし最適化されているもので、それを、太陽光を目一杯取り込み、また明るい照明灯を並べてやたら明るくする西洋式とのマッチングは最悪だというようなことが経験と実感で書かれています。

和食についても、その器やお膳には暗めの色の漆塗りなど漆器を使い、西洋風の白一色ということがありません。

要は薄暗い灯りの中で一番美味しそうに見せる設定が千数百年の歴史を経て完成されていて、それを明るい食卓で食べるのは本来の和食の楽しみ方を逸していると。

確かに古くからあるお寺や古民家の中って薄暗いのが当たり前で、そうした中で、人々は何千年と生活をしてきたわけで、簡易で明るい照明が、家庭に普及したのは、せいぜい100年前ぐらいからです。

この本が書かれたのはおよそ今から90年前で、そうした明るい電灯があちこちで普及してきて、従来の陰影を大事にし日本独自に発展、進化してきた生活文化を憂う名文だと思います。

私も子供の頃、夏休みに田舎にあった親の旧家(農家)へ行くと、部屋は大きく広いのに、電灯は最小限で、部屋の中はいつも薄暗く、手元に灯りが必要な時は、行灯に模した小型の電灯が置いてあったりしたことを思い出します。

その他のエッセイでは同世代作家の芥川龍之介(谷崎が6歳下)との交流など、面白く読めました。

しかし、当時はまだなかった筆ペンがいずれできるだろうという予言や、中国では当時一般的に、掃除をするときに雑巾とふきんの区別がなく、便器を拭いた布でそのまま食器も拭いたりすることを指摘していましたが、少し前に中国の高級ホテルで、その模様(便器を拭いた雑巾でコップをぬぐう)が動画で紹介(スクープ?)されていて、大きな話題となっていました。

この本を読んで、「そっか、あれは間違いが起きたのではなく、そういう文化だったのか」と目からうろこで、そうした観察力が凄いな~と思った次第です。

★★★

【関連リンク】
 10月後半の読書 マリー・アントワネット、カイシャデイズ、君が代は千代に八千代に
 10月前半の読書 日本を創った12人、キャロリング、トワイライト・シャッフル、カフーを待ちわびて
 9月後半の読書 しあわせの理由、向田理髪店、邂逅の森、血の収穫

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1480
マリー・アントワネット (角川文庫)(上)(下) シュテファン・ツヴァイク

著者は19世紀末から20世紀前半に活躍したオーストリア出身の作家で、伝記文学が多い作家さんで有名な方です。

この著書は1932年に英語版が出版されました。1932年というと日本では昭和7年で、5.15事件が起き犬養毅首相が暗殺された年です。

マリー・アントワネットは1793年に死刑が執行されたので、それから139年後の出来事を調べ尽くして書かれたものです。100年以上前のことを調べるってさぞかし大変なことでしょうね。

日本語翻訳版は、1980年に岩波文庫で出版されましたが、その後いくつかの出版社で刊行されています。今回買ったのは2007年版の角川文庫版です。

この伝記を元にして作られたのが、かの有名な池田理代子作の漫画「ベルサイユのばら」で、主人公のふたり(オスカルとアンドレ)は架空の存在ですが、背景はまさにこのマリー・アントワネットの時代です。

この「マリー・アントワネット」という名前を知らない人はいないと思いますが、その伝記を読んでみようと思ったきっかけはAimer(エメ)が歌う「marie」という曲を聴いてからです。

この歌は、昨年2019年から今年1月まで国立西洋美術館でおこなわれた「日本・オーストリア友好150周年 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」のイメージソングで、マリー・アントワネットを情緒豊かに歌い上げた寂しく悲しい歌です。

一般的に知られているマリー・アントワネットは「ルイ16世の王妃」「アントワネットの代名詞でもあるヴェルサイユ宮殿は世界一豪華絢爛」「贅沢三昧を謳歌しフランス王室をつぶした」「フランス自由革命でギロチン処刑された」ぐらいです。

上記の歌の歌詞にも少し出てきますが、ちょっと調べると「14歳の時、オーストリアのハプスブルク家から政略結婚でフランス王室へ送り込まれた」「フランス語がわからないままいきなり王妃になり、様々な嫌がらせを受け苦労する」などなど。

しかしこの伝記を読むとそれほど単純なものではなく、母親も手を焼く自己中心的で自由奔放なオーストリア娘が、政略結婚で元々敵対していた隣国(フランス)の皇太子妃として送り込まれ、その後王妃となってからも、遊ぶことにしか興味がない自堕落な生活を送り、そうしたことが徐々に政治と国民の不満のはけ口へと深みにはまっていく姿が、自業自得というよりかは哀れに思えてきます。

単に興味本位ではなく、研究者として残された証拠(手紙など)を元にして、著者の推測もくわえつつ、文章は文学的な表現が散りばめられまさに文学です。たいへん長い作品で、しかも揶揄が多くて読みにくいところもありますが、ジックリと読む価値は十分ありました。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

カイシャデイズ (文春文庫) 山本幸久

2008年に単行本、2011年に文庫化された連作短編の小説です。

実は情けないことに、8年前2012年に一度読んでいましたが、全然気がつかず(笑)最後まで読みきりました。

読後にデータに登録しようとしたところ、すでに記録があることに気がつきました。

調べると感想もその時に書いています。

 2012年7月後半の読書(カイシャデイズ)

アハハハ、とうとう認知症が入ってきたのか、老人性記憶障害かも。困ったものです。いやマジで。

それにしても、世知辛い今の世の中で、悪者がいないし、死者も出てこない、気軽に読める面白いよくできた小説です。これなら何度読んでもいいかな。ってフォローにはなっていませんが。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

君が代は千代に八千代に (文春文庫) 髙橋源一郎

2002年に初出で、2005年に文庫化された短編小説集です。著者の小説を読むのは初めてで、こういう小説を書く人だとはちょっと意外というか想定外でした。

Mama told me/Papa I love you/Mother Father Brother Sister/殺しのライセンス/素数/SF/ヨウコ/チェンジ/チェンジ2/人生/君が代は千代に八千代に/愛と結婚の幻想/鬼畜の13編の短編で、それぞれのタイトル見てもわかるように、もうなにがなにやら~です。

皮肉っぽくまたコミカル路線ではあるものの、近親相姦や、小児性愛者、麻薬中毒、タング・スプリッターなどボディモディフィケーションやらもうなんでもありのカオス全開の世界観で、読んでいて気持ち悪くなる人もいるんじゃないかと勝手に想像しました。

文芸雑誌文學界で連載された短編と言うことですが、文藝春秋もまた思い切ったことをって気もします。

個別の感想は、ちょっと混乱しているというか、よく理解出来ない、面倒くさいというのが真相で、書けないことをお詫びします。

よく「文庫版あとがき」で著者が書くことはありますが、巻末の解説を著者自らが書くというのも面白く、素数や、タング・スプリッターについて書かれた経緯などがわかりそういうのもありだと思いました。

ちなみにこの小説の後に出版されたと解説で書いている「素数」を扱ったベストセラーというのは小川洋子著「博士の愛した数式」(2003年刊)かな?

また同様に「タング・スプリッター(スプリット・タン)」は言うまでもなく芥川賞を受賞した金原ひとみ著「蛇にピアス」(2004年刊)でしょう。

★☆☆

【関連リンク】
 10月前半の読書 日本を創った12人、キャロリング、トワイライト・シャッフル、カフーを待ちわびて
 9月後半の読書 しあわせの理由、向田理髪店、邂逅の森、血の収穫
 9月前半の読書 空白を満たしなさい、ブラック オア ホワイト、人生を<半分>降りる



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1476
コロナ外出自粛中には、自宅の書斎(自分の部屋)の中に乱雑に積まれている既読の本(文庫本、単行本、新書、雑誌、美術誌など)を、新たな書棚を5つも買って、ボチボチ整理をしていました。

時間もあることだし、どこになにがあるかわかるように並べようと思い、ブックオフ式に、(1)日本人作家小説文庫本群、(2)外国人小説文庫本群、(3)ビジネス系やエッセイ集の文庫本群、(4)新書群、(5)単行本群の大きく5つに分類し、さらに日本人作家小説文庫本は数が多いので著者名五十音順に並べることにしました。それ以外は出版社ごとに並べます。

人のよく読む本を知ると、その人となりが、なんとなくわかりそうです。

しかし、蔵書している本でも、40年も前に好んで読んでいた本(作家)と、最近よく読む本(作家)ではかなり違ってきますから一概には言えないなぁって自分の蔵書を見ていて思います。

例えば、学生(中・高・大学)の頃には、幅広くなんでも読んで視野を広げようと思い、国語の教科書や試験問題に出てくるような文学作品を片っ端に読んでいました。

例えば、トルストイや、ドストエフスキー、カフカ、チョーサー、ミルトン、シェークスピア、トマス・モア、プラトン、ヘルマン・ヘッセ、川端康成、夏目漱石、谷崎潤一郎、芥川龍之介、森鴎外、三島由紀夫、島崎藤村などなど。

そうした本は、代表作だけをつまんで読むので、冊数が偏ることがなく、好きで全巻読んだ三島由紀夫以外の特定作家の作品で10冊を超えることはありませんでした。

次に社会人になってからは、20代から30代の頃、城山三郎、高杉良、清水一行、渡辺一雄、深田祐介などのビジネス系小説が面白く好んで買っていました。

また同時に推理小説やホラー、歴史ものにも食指が動き出し、仕事からの現実逃避?で松本清張、森村誠一、阿刀田高、鈴木光司、吉川英治、司馬遼太郎、レイモンド・チャンドラー、イアン・フレミング、ディーン・R・クーンツなど読みあさりました。

その後、レイモンド・チャンドラーのおかげで、ハードボイルド、私立探偵、警察ものの小説に興味が湧き、ロバート・B・パーカーやマイクル・クライトン、ローレンス・ブロック、原りょう、大沢在昌など、クールな私立探偵を主人公とした小説にはまっていきました。

40代になってからは、現代の大衆小説やミステリー小説の易き?に流れ、浅田次郎、宮本輝、山崎豊子、村上春樹、宮部みゆき、東野圭吾など有名処を片っ端に読みました。肩が凝らないこうした小説は、気分転換にもってこいです。同時にビジネス系新書も多く読みましたが、著者が偏るということはありません。

そして今は、ビジネス系の小説も新書も読むモチベーションがないので、大衆小説の合間に、今まで取りこぼしてきた古い名作や、興味が湧いたちょっと古い小説や雑学的な新書を読んでいるところです。

さて、2020年10月1日時点での蔵書で冊数の多い著者順を並べてみます。ずっと以前から蔵書データを作っているので調べるのは簡単です。

ただしこれはひとつの小説で上・中・下の三巻ある場合、それは3冊とカウントしているので、吉川英治著「宮本武蔵」「三国志」だけでそれぞれ8巻ずつ計16巻(16冊)となります。

まずは、31位から45位まで

順位 著者 冊数
45 ダン・ブラウン 13
45 イアン・フレミング 13
45 吉村昭 13
40 高村薫 14
40 貫井徳郎 14
40 花村萬月 14
40 半村良 14
40 松本清張 14
38 伊坂幸太郎 15
38 海堂尊 15
34 荒俣宏 16
34 レイモンド・チャンドラー 16
34 柳広司 16
34 山崎豊子 16
33 福井晴敏 17
31 司馬遼太郎 18
31 宮部みゆき 18

45位イアン・フレミング、40位松本清張、34位荒俣宏、レイモンド・チャンドラーの小説は主に1980年代から1990年代に読み、45位ダン・ブラウン、34位柳広司、33位福井晴敏の小説は2010年代に読んでいます。

その中でもイアン・フレミングとチャンドラーは手に入る本はほぼ全部読んだつもりです。
 
次に13位から27位まで

順位 著者 冊数
27 大沢在昌 19
27 白石一文 19
27 楡周平 19
27 村上春樹 19
26 堂場瞬一 20
24 荻原浩 21
24 重松清 21
20 伊集院静 22
20 恩田陸 22
20 白川道 22
20 城山三郎 22
17 奥田英朗 23
17 フレデリック・フォーサイス 23
17 吉川英治 23
16 マイケル・クライトン 25
14 真保裕一 28
14 東野圭吾 28
13 清水一行 31

フォーサイスの小説は1970年代に最初に読み、その後新刊をずっと買い続け、すべてを読みました。ただ最初の頃に読んだ、「ジャッカルの日」と「オデッサファイル」は蔵書にはありません。

20~30代の頃(1980年代~199年代)によく読んだ城山一郎と清水一行のビジネス系小説が目立ちます。

女性作家さんで一番多いのが20位の恩田陸。最近は三浦しをんや湊かなえなどが増えていってますが、まだまだ恩田作品で読んでないものも多く、順位に変動はないかな。

6位から10位まで

順位 著者 冊数
10 トム・クランシー 33
10 ディーン・R・クーンツ 33
10 ローレンス・ブロック 33
09 三島由紀夫 37
08 ジェフリー・アーチャー 38
07 佐々木譲 40
06 宮本輝 43

クランシー、クーンツ、ブロックの翻訳本が10位33冊で並びました。クランシーとクーンツは1990年代、ブロックは2000年代に集中して読みました。

アーチャーも「ケインとアベル」で、大学生時代に現代翻訳小説の面白さを教えてもらったこともあり、(文庫が)出版されるとすぐに手に入れてきました。最近はちょっとマンネリ気味ですけど。

三島由紀夫は中・高校生時代から大学生ぐらいのあいだに、概ね全巻読みました。谷崎潤一郎の作品と共に、耽美的な小説にあこがれ好きだった時代です。

いよいよ上位トップ5です。

順位 著者 冊数
05 マイクル・コナリー 44
04 ロバート・B・パーカー 52
03 五木寛之 55
02 高杉良 61
01 浅田次郎 67

4位パーカー、5位コナリーは、2000年以降のお気に入り作家で、いずれも文庫で手に入るものはほとんど買っています。

パーカーはすでに故人でこれ以上冊数が増えることはありませんが(まだスペンサーシリーズ以外で未読の本はありますが)、コナリーはこれからまだまだ増えそうです。

3位五木寛之は、10代の頃から読んだ「さらばモスクワ愚連隊」や「青春の門」に始まり、最近では「親鸞」まで、長く読んできました。多作な作家さんですから、これでも既刊の半分ぐらいでしょうか。しかし若い頃の作品と違って最近は老成したエッセイが多く、今後も積極的に読むかと言えばNoかな。

2位の高杉良は、20代、30代の頃に、書店で片っ端に買って読んでいました。今で言えば半沢直樹の原作者の池井戸潤以上の人気ビジネス小説でした。でも既にビジネス界から足を洗ったこともあり、もう新たに読むことはないかな。

1位は浅田次郎。これは納得です。文庫になった小説は概ね読んでいます。エッセイはあまり読んでいないですけど。ただ最近は創作活動より他の仕事に忙しいのか、「蒼穹の昴」や「中原の虹」のような大作がなく、残念です。

しかし1位の浅田次郎と今後まだ増えそうな5位コナリーの差は現在で23冊あり、浅田次郎の小説は現在も増え続けていますから、冊数を抜くのは至難で、この順位が概ね私の読書の履歴書となりそうです。

余談ですが、並べていると、ダブって購入していた本が次々見つかり、その数25冊ほど。過去にもダブった本は知人に差し上げたり捨てたりしていましたが、まだこんなに残っていて驚きました。

【関連リンク】
1219 2800冊の蔵書について(1)
1472 ハリー・ボッシュシリーズはまだ未完
1401 2019年に読んだベスト書籍 2020/1/18(土)
808 ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ



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1475
日本を創った12人 (PHP新書)(前編)(後編) 堺屋太一

前編は1996年、後編が1997年に出版された新書で、お手軽に日本社会に大きな影響を及ぼした偉人達(ひとりは創作小説の主人公もいますが)の伝記と思っても良いかと思います。小学校で習う人もいれば、初めて知る人もいます。

もと旧通産省の官僚出身の著者ですので、日本の伝統的な天皇、政治、思想、文化、宗教、教育、食などには見向きもせず、社会構造(体制)と官僚制度、そして経済に特化した選出という感じです。

話題に上がる12名とは、

(1)聖徳太子・・・「神・仏・儒習合思想」の発案
(2)光源氏・・・「上品な政治家」の原型
(3)源頼朝・・・「二重権限構造」の発明
(4)織田信長・・・「否定された日本史」の英雄
(5)石田三成・・・「日本型プロジェクト」の創造
(6)徳川家康・・・「成長志向気質」の変革
(7)石田梅岩・・・「勤勉と倹約」の庶民哲学
(8)大久保利通・・・「官僚制度」の創建
(9)渋沢栄一・・・「日本的資本主義」の創始
(10)マッカーサー・・・日本を「理想のアメリカ」にする試行
(11)池田勇人・・・経済大国の実現
(12)松下幸之助・・・日本式経営と哲学の創出

です。なかなかシブい人選とテーマでしょ?

伝記自体に特に目新しい発見こそありませんが、この偉人と現代の社会システムと、こういうやりかた(考え方)でつなげますか?という、著者の発想というか考え方がよくわかる本です。少々無理矢理って感じの部分もありますが、なるほどねぇという箇所も多く勉強になりました。

著者は、昨年2019年2月に亡くなられましたが、根っからの関西人らしく、面白く商売気たっぷりの話し方は好きでした。一度目の万博を成功に導いた方ですので、二度目の大阪万博の開催までは元気で活躍してもらいたかったです。

★★☆

著者別読書感想(堺屋太一)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

キャロリング (幻冬舎文庫) 有川浩

2014年単行本、2017年に文庫化された長編小説です。変わっているのは舞台の原作を前提として書かれた小説で、その舞台上演と、あと2014年にはNHK BSのプレミアムよるドラマ『キャロリング~クリスマスの奇跡~』として放送もされました。

著者の代表作「阪急電車」や「図書館戦争シリーズ」「三匹のオッサンシリーズ」などいくつか読んできましたが、それらとは違うイメージです。

主人公は、子供の頃に親から虐待を受けてトラウマになっている独身のサラリーマン。高校時代からアルバイトで働いていた零細の子供服メーカーに勤務していますが、資金繰りが厳しくなり、廃業することになります。

タイトルの「キャロリング」とは、仏教徒や無宗教者が多い日本人には馴染みがありませんが、クリスマスイブに歌う聖歌(キャロル)のことを指すそうです。

この小説でも、会社が廃業するのがクリスマスの日で、会社が運営していた保育所に最後まで通っていた児童の通所最終日もクリスマスというのがひとつのキーとなります。

しかし、個人的には、大人顔負けの知識や判断力、理解力を持つ、天才的?な小学生が登場するのは、ドラマや映画でも時々出てきますが、ペンタゴンやFBI、社会保障システムへ簡単に侵入でき、都合良く書き換えられる天才ハッカーが主人公に協力するというような話しと同様、あまりにも都合が良すぎてリアリティがなく好きではありません。

★☆☆

著者別読書感想(有川浩)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

トワイライト・シャッフル (新潮文庫) 乙川優三郎

2014年に単行本、2016年に文庫化された短編小説集です。著者の作品では2017年に「脊梁山脈」を読んでいます。とてもよくできた面白い長編小説でした。

2017年4月前半の読書と感想、書評(脊梁山脈)

この著者さんは文学的な表現というかそのような文章がお好きな方で、ちょっと携帯小説などに慣れている人だと、まどろっこしいとか、回りくどいとか、表現がわからないとか、ひどい場合にはなに言っているかわからないんですけど~ってなるかもしれません。

旧漢字などを普通に使った三島由紀夫の小説などに慣れていればなんの問題もなくすらすら読めます。こちらには旧漢字や旧仮名遣いなどもありませんし。

この著書は短編と言うこともあり、読みにくくはありませんが、私にとってそうした文学的な表現は目に心地よい表現で、好きにならずにいられません。ってまだ2作品目ですけど。

「イン・ザ・ムーンライト」、「サヤンテラス」、「ウォーカーズ」、「オ・グランジ・アモール」、「フォトグラフ」、「ミラー」、「トワイライト・シャッフル」、「ムーンライター」、「サンダルズ・アンド・ビーズ」、「ビア・ジン・コーク」、「366日目」、「私のために生まれた街」、「月を取ってきてなんて言わない」の13話からなるこの作品ではそれぞれに主人公は違いますが、場所はすべて千葉県の房総半島が舞台で、まるで千葉県の観光PR小説か?と思ってしまいました。著者の故郷でもあるのでしょう。

千葉県にも大阪の織田作之助賞みたく、地域をテーマにした小説の文学賞があれば、間違いなく有力候補になっていたでしょう。

房総の鴨川にある近代的な総合病院が出てきたときには、浅田次郎の「天国までの100マイル」がふと頭をよぎりましたし、房総の岬に立つカフェなどが出てきたときは、森沢明夫の「虹の岬の喫茶店」(映画ではタイトルは「ふしぎな岬の物語」)を思い浮かべました。

房総の海岸線って言うのは、絵にも映像にも文学にも向いているのですね。空いている夜中に海岸沿いをグルッと走ってみたくなりました。

★★☆

著者別読書感想(乙川優三郎)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

カフーを待ちわびて (宝島社文庫) 原田マハ

著者の実質的なデビュー作で、2006年に単行本、2008年に文庫化されています。2009年には玉山鉄二やマイコが出演した映画も作られています。

著者の作品では、今回の作品よりずっと後に書かれた「奇跡の人 The Miracle Worker」や「楽園のカンヴァス」など3作品を読んでいますが、それらが硬派?な小説に対し、こちらはメロメロなラブロマンス小説というのに最初は違和感がありました。

2020年7月後半の読書(奇跡の人 The Miracle Worker)

2018年1月前半の読書(楽園のカンヴァス)

2017年6月前半の読書(本日は、お日柄もよく)

タイトルの「カフー」は読む前までは、著者の専門分野の美術に関係ある人の名前?とか勝手に思っていましたが、全然違いました。沖縄の方言で「カフー」は、「果報」とか「幸せ」とかいう意味なんですね。

舞台は沖縄県にある架空の小島、与那喜島で、そこにずっと住み、亡き祖母の後を継いで実家兼雑貨屋を営んでいる地元独身男性が主人公です。

その主人公の元に、「お嫁さんにしてください」と手紙が来ます。イタズラかなにかかと思っていたら、若い綺麗な女性が訪ねてきて一波乱が起きるというストーリー。

主人公の父親は昔に事故で亡くなり、母親は祖母との折り合いが悪く失踪、その祖母も亡くなり、ひとりお墓を守って淡々とした日々を送っていますが、リゾート開発の地上げ問題が関わってきます。

果たして、手紙を送ってきた女性は主人公とどのように関わってくるのか?ってことですが、やはり女性作家さんらしく、なにかと女性側に都合良く(女性読者を意識して?)できていて、夢見る乙女達を虜にしたことでしょう。

例えば、離婚して出戻ってきても、また不倫から堕胎したことがある身の上でも、仕事がバリバリできるわけでも家事ができるわけでもなくても、こうした若い女性がのどかな島の初婚の素直な男性のところへいけばドキドキしてもらえ、チヤホヤされて、上を下への大歓迎されるというような。

なにかこのなにも知らない男性主人公が、「いい人」全開で、なにかバカにされているようで気の毒に思いました。

それはともかく、こうしたラブストーリーは、ハーレクインを見るまでもなくやはり女性が好むもので、王子様に、汚れた服を着た貧しい女中見習いが見初められるような、そういうストーリーが好きなのでしょう。

★★☆

著者別読書感想(原田マハ)

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NHK BSのプレミアムドラマ「山女日記 女たちは頂を目指して」は湊かなえ氏の小説を原作とし、2017年に放送されましたが、今年2020年には再放送されました。

小説は昨年に読んでいましたが、ドラマを見ると小説の内容とはだいぶんと違います。

2019年6月前半の読書(山女日記 湊かなえ著)

それでも全編ロケ?のお金のかかっていそうな良いドラマでした。今はこうしたお金のかかった贅沢なテレビドラマが制作出来るのはNHKぐらいで、他の民放では無理でしょう。

そのドラマでは、新米山岳ガイド役の主人公に工藤夕貴が演じているのですが、その歩き方にちょっと興味をひかれ、いろいろと調べてみました。

山岳ガイドやベテランの登山者は、急な斜面や足場が悪いところ以外では、腕をお腹の前で組んで歩いています。

背にテントなど大きな荷物を背負っているので、できるだけ前後左右バランスを崩さないように歩くときは身体をひねらず、しかも両手を空けておくためにストックも使わず、淡々と歩く姿が印象的です。

この山岳ガイドがマスターしている歩き方は、いわゆる「ナンバ歩き」に近いものがあります。

「ナンバ歩き」とは、歌舞伎の歩き方というか、古武道や、忍者の歩き方などにもよく使われ、江戸時代までは、多くの日本人がこの歩き方をマスターしていたとも言われています(諸説あり)。

現代の普通の歩き方は、例えば右足を前に出した時に左足で地面を蹴ることで前に進み、右足と逆の左腕が前に出てそれが振り子のようになります。いわゆる「ウォーキングの正しい歩き方」です。

「ナンバ歩き」では、様々な紹介がありますが、ザックリ言えば右足が前に出ると右腕(右肩)も同時に前に出て、逆足で蹴って進むのではなく、体重移動で前に倒れるような感じで前に進む歩き方です。

歌舞伎での歩き方、古武道での足の進め方などにその歩き方が今も残っています。そうそう、「忠臣蔵」など時代劇によく出てくる老中など権力者が履いている裾が足よりもずっと長い「長袴」を履いていてそれを引きずって歩くときをイメージすればよくわかりそうです。

◇古武術研究家甲野善紀氏のYoutube動画


◇参考にした論文
論文「日本人の歩き方」PDF(椙山女学園大学 人間関係学部教授 山根一郎)

電車も自動車もない江戸時代に旅をするのはすべて徒歩です。しかも険しい山道も含め1日平均で30~40kmを10日間以上毎日歩くのは普通で、女性や体力がない男性でも、こうした全身の負担が少ない「ナンバ歩き」だからこそできたという説もあります。

西洋人のように、筋力や体力に優れていれば、片足ずつ後ろに蹴って歩くのはそう大変でもなかったでしょうけど、江戸時代の日本人平均身長は男性で155cm~156cm、女性で143~145cmと、かなり小柄で、栄養事情もよくなかったので、体力をできるだけ消耗しない「ナンバ歩き」が発達したとも言われています。

なぜ「ナンバ歩き」が省エネかと言うと、上記にも書いたように、後ろ足で蹴って前に進むのではなく、体重移動で、前に倒れる力で進むことで、足の筋肉をあまり使わなくて済むということと、歩く度に身体をひねらない(普通の歩き方では右足が前に出ると左腕が前にきてお腹をひねる)ので、内臓に優しい歩き方と言われています。

上記の山岳ガイドが、体力を温存し、重い荷物を背負っていてもバランスを崩さないよう、身体のブレや動きは最小にして歩く方法として「ナンバ歩き」をするのは理にかなったことです。

腕を前で組んでいるのは、経験上、ナンバ歩きの場合、腕を振るよりも動かないよう固定しておく方が歩きやすいからです。

初めて日本地図を作った伊能忠敬は、55歳から、日本全国約3.5万キロ(約5千万歩)を歩いて測量したと言われていますが、1日平均で1万3千歩、山道や未開の道なき道、海岸の砂浜などを歩いたそうです。

今の舗装された道の1万3千歩ではありません。おそらくですが、それが可能なのはナンバ歩きだったのではないでしょうか。

明治時代になり、西洋式軍隊が導入され、現代の(洋式の)歩き方に統一されたという研究者もいますが(諸説あり)、確かに小学校の体育の授業で最初に教わるのは、整列しての行進で、その時の歩き方は西洋風の歩行を教えられます。

時々要領の悪い子がクラスの中にはいて、必ず足と手が逆(つまりナンバ歩き)になり、クラスでは笑いものになりますが、もし江戸時代にナンバ歩きが主流であったのならば、その子は正しい日本人のDNAを引き継いでいる貴重な存在なのかも知れません。

「ナンバ歩き」は別名で常足(なみあし)と呼ばれる時があります。これは乗馬の際、馬の歩き方のひとつ「常足(なみあし)」からきているようです。

この「常足」を利用して武道や球技、陸上競技などに生かそうという運動もあるそうで、同好会もチラホラできています。

私も個人的に少し興味がわき、毎日のウォーキングの時、人の目がなさそうなところで、時々意識して「ナンバ歩き」を実践しています。人に見られると、ちょっと違和感があり「変な歩き方をしている不審者?」と思われそうです。

「ナンバ歩き」は慣れると確かに身体のブレやひねりが少なく、足の負担もなく、淡々と歩くのは楽です。上記にも書きましたが、腕は振らずに、前で押さえておくのがコツと言えばコツです。

ただ毎日のウォーキングは、身体を動かし、足の筋肉を鍛え、全身をほぐすためなので、負担が少ない「ナンバ歩き」ばかりをしていると、本末転倒で、「ナンバ歩き」をメインにしようとは思いませんが、今後、広いゴルフ場のコースなどで、パッと切り替えられるようにしておくのも悪くないかなと思っています。

【関連リンク】
1132 歩数計とともに
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696 五輪競技除外候補とスポーツ競技人口

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