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ラプラスの魔女(角川文庫) 東野圭吾

2015年に単行本、2018年に文庫化された長編ミステリー小説です。2018年には三池崇史監督、櫻井翔、広瀬すず出演で映画が製作されています。

タイトルのラプラスとは、1700年代にフランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスによって提唱された「周囲の物理現象を見て解析できる能力があれば、極めて高い近未来の予測が可能になる」という「ラプラスの悪魔」と呼ばれる超人間的知性のことで、現代では量子学によってその可能性は否定されています。

もっと簡単に言うと、気象で言うと天気予報も近未来に起きる現象を予想していますが、スーパーコンピュータに頼らずとも空を見ただけで、次に何が起きるか、例えばその先の木に1時間後に雷が落ちるとか、どこそこの地域に雹が降ってくるとかがわかる特殊能力です。

主人公は複数いて、そうしたラプラスの悪魔の才能を得た二人の男女、地球化学の学者、元警官でラプラスの魔女を護衛する男、火山性ガスで中毒死した事故を殺人事件ではないかと疑い追う刑事など。様々な視点で描かれています。

もしそうしたラプラスの悪魔の能力を得た人間が、それを利用して完全犯罪を計画すればどうなるかということがメインの内容です。

小説や映画の世界にはしばしば超能力の持ち主が登場してきますが、そういうものにはもう飽き飽きしている人(私です)にも、この話は的確な未来予測能力ということで、なにか現実でもあり得そうでワクワクします。

私だったら、まず競馬場のパドックへ行き、次のレースでどの馬が勝つのかを予測します。下世話な話ですけど。

★★☆

著者別読書感想(東野圭吾)

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幸福な王子 ワイルド童話全集(新潮文庫) オスカー・ワイルド

世界的に有名な童話「幸福な王子」の他、「ナイチンゲールとばらの花」「わがままな大男」「忠実な友達」「すばらしいロケット」「若い王」「王女の誕生日」「漁師とその魂」「星の子」の計9篇が収録されています。

童話とは言え、かなりややこしい話や解釈の自由度があり、大人が読んでも難解なものもあります。

「幸せな王子」も銅像とツバメの会話がメインですが、同様にナイチンゲール(花の種類)など植物や花火のロケット、鳥などあらゆるものに生命や意志がありそれら同士で会話ができるのが新鮮というか、でも人間との会話はできないとかで大人のリアルな感覚で読むと混乱してきます。

「幸福な王子」でもそうでしたが、ハッピーエンドで終わるものはなく、世の中の不条理とか、人の身勝手さ、傲慢、そしてけなげな花や鳥たちといった童話ですから~という感じです。

一番長い「漁師とその魂」だけはちょっと趣が違い、若い漁師が人魚に恋し、魂を失えば海の中で人魚と一緒になれると教えられ魂を分離することに成功します。

その魂だけが各地に出向き様々な経験を積んでいき、海へ行って若者に呼びかけて海から出てこさせます。私にはなにが言いたかったのか、意味がよくわかりませんでした。

残念ながら、世の中の汚いものを見過ぎて、純粋な気持ちで童話を読み、理解することができなくなってしまったようです。

そう言えば、以前に桐生操著の「本当は恐ろしいグリム童話〈2〉」を読んだとき、グリム童話ではありませんが「幸福な王子」が収録されていました。

2012年11月後半の読書(本当は恐ろしいグリム童話2)

また、偶然ですが、今年7月29日から公開されている映画「今夜、世界からこの恋が消えても」(2022年)の主題歌で、ヨルシカの「左右盲」は、昨年から続いている文学オマージュ作品のひとつで、この童話「幸福な王子」を歌詞のモチーフにしています。

他のグリム童話が、実は童話には相応しくないエログロで暴力的な表現などが満載ですが、この「幸福な王子」は、本書含めて一般的な童話では省略されている一緒に戦い生き残った婚約者がいて、今も悲しみ伏せっているのを勇気づけようとツバメに薔薇を届けてもらうなどさらに清らかな内容と言うことでした。

ただそれって本著にある「ナイチンゲールとばらの花」と混同してない?って気もします。

★☆☆

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忘れられた巨人(ハヤカワepi文庫) カズオ・イシグロ

著者の作品を読むのはこれで4作目となりますが、以前に読んだ「わたしを離さないで」(2005年)を発刊した後、10年間のブランクが開き、2015年に発刊されたのがこの作品というのはあとで知りました。

2014年11月後半の読書と感想、書評(わたしを離さないで)

この長編小説のジャンルは著者の作品では珍しいファンタジーですが、子供向けの暖かなファンタジーではなく、イギリスの古代史をテーマにしたアングロサクソン人と、グレートブリテンの名の由来にもなっているブリトン人の対立がテーマとなっています。

あまり日本人には馴染みがない内容ですが、そのような英国史の物語を日系英国人(両親はともに日本人で、6歳まで長崎に在住)の著者が書くというのも面白いです。

主人公は、ブリトン人の老夫婦で、現在の村での生活に不満があり、ずっと前に出て行った息子に会うため遠出の旅に出ます。

村から一歩出ると、鬼や敵対するサクソン人、盗賊などが旅の障害となりますが、人々の記憶を失わせる原因となっている竜を敵に軍事利用されるのを防ぐためにやってきたブリトン人の騎士や、ブリトンの君主だったアーサー王に命ぜられ竜退治に執念を燃やしているブリトン人の老兵士などとともに様々な困難を乗り越えていきます。

まだ未開の土地が多かった5~6世紀の英国で、竜やら鬼やらが出てくるというところがファンタジーなんですね。5世紀と言えば日本では倭国という大和朝廷ができ、そこの代々の王がやがて天皇となっていくという時代です。

タイトルはサクソン人の騎士がその頃は多くの人種が英国で割拠している中で「昔に地中に埋められたサクソン人の巨人がやがて動き出す」と予言をしたように、やがて英国に住んでいたブリトン人やケルト人はサクソン人に駆逐されていくことになります。

まったく知らない歴史なので初めて知ることが多く、なかなか理解ができないのと、同時に新たな興味が湧いてくるのとがせめぎ合います。

しかし最後は特に話がつながるようなクライマックスなどもなく、英国料理のように評価すること自体が難しく、個人的には仲の良かった老夫婦が、なにか寂しい終わり方になっていてちょっと残念に思います。

★★☆

著者別読書感想(カズオ・イシグロ)

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献灯使(講談社文庫) 多和田葉子

1993年に「犬婿入り」で芥川賞、2003年に「容疑者の夜行列車」で谷崎潤一郎賞など数多くの賞を受賞されているドイツ在住の詩人と小説家として活躍されている方で、著書を読むのは今回が初めてです。

本著は2014年に単行本、2017年に文庫化された短・中篇小説で、「献灯使」「韋駄天どこまでも」「不死の島」「彼岸」「動物たちのバベル」の5篇が収録されています。

中でも表題の「献灯使」だけは中篇で最初にあります。しかし読み始めるとなにか不思議な世界観で、その設定が意味不明でわからず、読み進めていくのが苦痛となりました。

他の短篇を後から読むとわかりましたが、調べると「不死の島」が2012年に初出で最初、「動物たちのバベル」が2013年でその次、その他が2014年に文芸誌などで初出のもので、書かれた順で読めば小説の舞台とか状況が少しは理解した上で読めたのですが、なぜなのか不明ですが、あえて出版順とは逆の構成となっています。つまり「想像力の乏しい読者は二度、三度繰り返して読め!」ということなのかな。

それはさておき、いずれもテーマは東日本大震災や原発事故の後に書かれた悲惨な日本の未来を描いたSFで、女性の作家でSF作品を書く人は今まで少なく、意外な感じがしました。

しかし面白かったか?と聞かれると、、、この作品は私の好みではないです。折を見てまた別の作品を読んでみたいと思います。

★☆☆

【関連リンク】
 7月後半 よもつひらさか、中庭の出来事、わらの女、P・O・Sキャメルマート京洛病院店の四季
 7月前半 覘き小平次、デス・エンジェル、硝子のハンマー、老いと記憶 加齢で得るもの、失うもの
 6月後半 破門、王とサーカス、アイルランドの薔薇、犬とハモニカ

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