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リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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1914
波のうえの魔術師(文藝春秋) 石田衣良
最初、この小説を手に取った時は、タイトルからサーファーの小説?ぐらいに思っていましたが、上記の通りでまったく違っていて、波のように盛り上がったり引いたりする波のような債権マーケットの上をうまく渡っていく個人投資家の意味でした。
この小説を原作としたテレビドラマ「ビッグマネー~浮世の沙汰は株しだい~」が、長瀬智也、植木等らの出演で2002年に製作されています。
大学を出た後、就職する気にならず、パチンコで生活費を稼いでいた地方出身の男性主人公が、ある投資家の老人に見込まれ、アルバイトで投資の勉強をしていきます。
当時、銀行は信用力を生かし、相続税対策のためと言いながら投資としてはリスクのある変額保険(融資一体型変額保険)を自宅を持つ老人達に自宅を担保にして売りまくりますが、その後のバブル崩壊で担保割れが続出し、なにも知らない老人達から担保の自宅や貯金を取り上げるという事態が発生しました。
その契約自体は違法なことではないものの、バブル時に貸出先を求めていた銀行や生保がその信用力を最大生かし、素人をあおって無茶な契約を競って契約をしてきたモラルは問われる問題でした。
そうした巨大銀行に仕返しをする目的で、様々な手を使い、追い込んでいき、株価を大きく下げることで自分たちは利益を得ようとします。その様々な手の中には風説の流布など、違法な行為も含まれます。
最後は意外な展開が待っていますが、まぁ予想の範囲内です。
これを読んで、自分も個人投資家になりたい!と思う若い人もいるかも知れませんが、そういう人が今でも財産を失うことなく安寧の生活がおくれているかどうかは微妙でしょう。
★★☆
◇著者別読書感想(石田衣良)
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最後のひと(中公文庫) 松井久子
この作品の主人公は75歳の高齢女性ですが、この作品の前に同じ主人公で「疼くひと」が2021年に出版されています。その続編ということを、知らずにこちらから読むことになりました。
前作の「疼くひと」では、離婚してひとり暮らしの70才の主人公が、55才のブルーワーカーと恋に落ちる物語だそうですが、その恋人が不慮の事故で亡くなり、それから5年後の75歳の時からこの作品は始まります。そして市民講座で86歳の哲学者と知り合い、恋に落ちるという官能的な老いらくの恋の物語です。
一般社会、特に若い人達からみると、高齢者の恋愛はなにか許されないものとか、気持ち悪いとか言われそうですが、自分が高齢者になれば、ある程度は、そういう可能性もアリかな?と思えるようになってきます。
本文にも何度かそうした厳しい社会の目について書かれていますが、もうひとつよく言われることが下記の通りで、本文から少し抜粋します。
『正式な婚姻関係を結ばなければ「内縁の妻」と呼ばれ、病院での扱われ方ばかりか「あの歳で、愛人?」と蔑みの視線を浴び続けることになる。籍を入れれば「遺産目当て」と言われてしまう。どちらに転んでも、高齢者になってからの愛の問題は、好奇と嫉妬の目で見られることこそすれ、祝福されることも、羨ましがられることもない。それが世間である。』
ちなみに著者自身も、2022年、76歳の時に89歳の思想史家の学者さんと結婚をされているので、そうした経験から着想を得られているのでしょう。
社会のニュースでは高齢者の話題と言えば、既得権益にしがみつく老害問題や、高齢者ドライバーの交通事故、トクリューなどによる強盗事件や詐欺事件など暗い話しが多い中、なにかほっこりする晴れ晴れとした内容で救われます。
★★☆
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今はちょっと、ついてないだけ(光文社文庫) 伊吹有喜
著者の作品は今回初めて読みましたが、過去に「ミッドナイト・バス」(2014年)と「彼方の友へ」(2018年)と「雲を紡ぐ」(2020年)の3度直木賞候補になるなど、実力のある作家さんです。3度目の正直で受賞!とは残念ながらなりませんでしたが、時間の問題でしょう。
内容は、若いときにブレイクしたカメラマンの探検家が、バブル崩壊で恩師の会社の借金を背負わされてしまい、華やかな表舞台から去ってから実家で母親と暮らし、その借金を働いてようやく返し終えたものの生きる気力を失いかけていた中年男性が、様々な仲間と共に新たな人生を歩んでいくという再生の物語です。
母親の入院中に知り合ったテレビ局で番組制作をしていた男性や、大学時代の同級生で同じ探検部だった男性、一時はブレイクしながらすぐに飽きられ干されている芸人、美容師の資格を持ちながらやりたいことが見つからず、化粧品店でアルバイトをしている中年女性などが、東京の格安シェアハウスで出会い、それぞれの技能や特技を生かしながら協力して仕事を始めます。
世の中そううまくいかないよなぁ~と思ったのと、ほとんど収入がない中でどうやって生活費をまかなっているのかな?など突っ込みどころはいっぱいありますが、テンポ良く中年男性の再起動の様子が明るく描かれていて軽く楽しく読めました。
★★☆
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神の時空 倭の水霊(講談社文庫) 高田崇史
そのシリーズ第1作目は今年7月に読んでいます。
◇2026年6月後半の読書と感想、書評(神の時空 鎌倉の地龍)
その1作目では、鎌倉が舞台で、源頼朝や北条氏など鎌倉幕府の関係者の怨念が主たるテーマでした。
今回は、日本武尊(やまとたけるのみこと)と、弟橘媛(おとたちばなひめ)にまつわる故事から、その封じ込められている怨念を解き放とうとする謎の集団と、古代より巫女の血を引く兄妹たちとの対決物語です。
日本武尊は、第12代景行天皇の皇子ですが、長男ではなかったので天皇に就くことはなかったものの、武勇に優れていたため、熊襲(九州)征討や東国(関東)征討を行ったとされる日本古代史上の伝説的英雄です。
弟橘媛は日本武尊の妃で、伝説では、相模から房州(千葉)へ海を渡ろうとしたとき、荒れる海神を鎮めるため自らが犠牲となって海に飛び込み、生け贄となって海を鎮め夫の日本武尊を助けたとされています。
しかし本書で披露される新たな解釈では、弟橘媛の献身と美談は後に作られたもので、実際は日本武尊に裏切られ、その怨念が相模の走水神社に封印されているということになっています。
なかなか大胆な推理ですが、その他にも様々な古事記や日本書紀の解釈、伝承などを元にした学者とは違う斬新な解釈など多数あり、面白く読めます。
ただ、神奈川県警の刑事まで巻き込んだ封じ込められた怨念を解き放とうとする悪の謎の集団との対決や、妖怪の活躍など、どちらかと言えば「鬼滅の刃」などと同じく漫画やアニメに向いたテーマかも知れません。
★★☆
◇著者別読書感想(高田崇史)
【関連リンク】
10月前半 剱岳<点の記、食の世界にいま何がおきているか、悪しき正義をつかまえろ、冬の鷹
9月後半 夢の終わりとそのつづき、クリスマスのフロスト、世界を変えた10冊の本、悪と仮面のルール
9月前半 本質を見抜く「考え方」、祈りのカルテ、黒牢城、まだ見ぬ敵はそこにいる
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