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1317
教団X (集英社文庫) 中村文則

2005年に「土の中の子供」で芥川賞を受賞した著者の2014年に単行本、2017年に文庫化された長編小説です。

この著者の作品は過去に読んだと思っていましたが、勘違いで読むのは初めてです。書店で名前をよく目にしていたためか読んだとばかり思っていました。

単行本で570ページ、文庫で600ページを超える長編ですが、話の流れやテンポはよく、苦になりません。訳あって単行本で読んだので、その本の重さを支え続けるのには辟易しましたが、、、

最終的にはオーム真理教のように若者を取り込みながら拡大していくカルト集団の暴走が描かれていますが、そうした宗教はいつの時代でもどこの国でも起きうることで、ありえねぇと一笑に付してしまうことは出来ませんでした。

また同時に、まともな集会や団体でも、そうしたカルトの疑いをかけられてしまうと、国家権力やマスメディアに一方的に叩かれ存続すらできなくなってしまうという見本でもあるでしょう。難しいですね。

オーム事件では多くの人が犠牲となり現在でも後遺症に苦しむ人がいます。この教団Xのように、現役の自衛隊員を洗脳して取り込み、他国へ攻撃を仕掛けるようなことが起きると、国内問題で済まなくなってきます。逆のケース(他国の軍人が暴走して日本を攻撃する)も考えられます。

わかりやすい国際テロリストはもちろん、そうした洗脳などによる想定外の出来事が起きる可能性があることを国際社会の中で共有し、互いに冷静な判断と対応をおこなう取り決めが必要なんだろうなと思った次第です。

宗教関係の小説には、常になにか重苦しい雰囲気がつきまといますが、そうした悪意的に決めつけもどうかとは思いますが、今はそれが社会の通念になっているのでしょう。

気持ち悪さと、そんな単純なことではないだろう?という思いなどが混ざり合って、考えさせられる小説でした。

★★☆

著者別読書感想(中村文則)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

新個人主義のすすめ (集英社新書 (0427)) 林 望

著者の名前をもじって「りんぼう先生」というのはずっと以前から知っていましたが、著作を読むのはこれが初めてです。ちょうど激しい競争を勝ち抜いてこられた団塊世代の方ですね。

この新書は2008年に発刊され、すでに11年が経過していますが、数多くの著作の中でもよく売れているようです。

個人主義とは、全体主義とか集団主義との対語で、個人の権利や自由を尊重する考え方で、古くから集団を作ってその中だけで生きてきた農耕民族の日本人がもっとも苦手とする考え方です。


著者はとにかく英国流の個人主義が大好きで、そればかりをまるで恋は盲目的に語りかけますが、そこまで力が入ると逆にだんだんと冷めてきてしまうのが残念です。

そして、こんな日本人の集団主義的な組織では、日本が戦争に勝てるわけがないと断言されていますが、日本が対外戦争で負けたのはあの1回とせいぜい援軍として送った白村江の戦いぐらいで、元寇から日清・日露・第一次世界大戦などその他多くの戦争ではすべて日本がすべて勝っているという著者にとって不都合な事実を無視するのもどうでしょうか。

新・個人主義の理想もいいのですが、せっかく日本独自に育んできた集団主義を下敷きにし、新・集団主義を形成していく方が日本人に合った良いものが、長い時間をかけずとも作れそうな気がしますがどうなのでしょうね。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

暗夜を渉る―ジェッシイ・ストーン・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) ロバート・B・パーカー

すでにスペンサーシリーズで人気を博していた著者が、新たな主人公を用い1997年に発刊(翻訳版は1998年)された新シリーズ「ジェッシイ・ストーン・シリーズ」の第1作目の作品で、翻訳文庫版は2001年に発刊されています。

このシリーズは、別の作家が後を引き継いで続編を出していると言うことですが、翻訳はされていないのか見かけません。

そしてこのシリーズは、2010年に著者が亡くなるまでに、下記の合計9作品が作られています。

作品名 原題 発刊年
暗夜を渉る Night Passage 1997
忍び寄る牙 Trouble in Paradise 1998
湖水に消える
Death in Paradise 2001
影に潜む Stone Cold 2003
訣別の海 Sea Change 2006
秘められた貌 High Profile 2007
容赦なき牙 Stranger in Paradise 2008
夜も昼も Night and Day 2009
暁に立つ Split Image 2010

ストーリーは、主人公がロサンゼルス警察の殺人課にいた当時、女優志望の女性と出会い結婚するも、その後妻の浮気が発覚したことで悩み、アルコール依存となり離婚します。

そして勤務中に酒を飲むようになりロス市警をクビになりますが、たまたま遠く離れた東海岸の小さな町で保安官を募集していてそこで採用されます。

1からやり直そうとアメリカ大陸を縦断するルート66を使って西海岸から東海岸までクルマで走ります。その大陸を横断するロードムービー的な情感が描かれていて素晴らしいです。

そして到着した町の保安官として就任し、実質的に町を牛耳る大物(=悪)と対峙するという、お決まり?の警察小説になっていきます。

このシリーズの舞台は、スペンサーシリーズがメインとするボストンにほど近く、この第1作目にはスペンサーシリーズに時々登場するマフィアのボス、ジノやその用心棒のガンマン、ヴィニー・モリス、州警察のヒーリー警部なども登場してきます。

逆にスペンサーシリーズの「真相」にもジェッシイ・ストーンが登場してきたり、行き来があって、馴染みの読者は思わずニヤリとなります。

ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 

スペンサー(Spenser)シリーズ ロバート・B・パーカー著 一覧

新しい主人公登場という回でもあって、ボリュームも内容も濃く、なかなか面白く出来上がっていました。

ただスペンサーのようにハードボイルドか?って思って読むと、愛する女性に出て行かれてグジグジと悩み割り切れない生煮えの半熟卵って感じで、著者の作品としてはまたひと味違った面を味わえてそれはそれで楽しいかも知れません。

★★★

著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

何者 (新潮文庫) 朝井 リョウ

2012年単行本、2015年文庫本が発刊された著者6作目の小説で、第148回直木三十五賞の受賞作です。男性では最年少(24歳)での受賞となりました。

また2016年には三浦大輔監督、佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉などの出演で映画化されています。

内容は、2005年頃まで続いた就職氷河期が終わり、やや新卒就職戦線も楽になってきた2010年頃の話しですが、大手有名企業に就職するのは相変わらずハードルが高い頃でした。

ネット情報やSNSを駆使し、様々な新たな就職活動がおこなわれだした頃でもあり、そうした一喜一憂の就職活動が4名の男女を通して描かれています。

主人公はアルバイトをしながら学生の劇団に所属し、台本を書いたり公演をおこなったりしています。2DKのアパートでシェアルームしている同級生の友人はバンドのボーカルとして活動しています。

そして同じアパート内に、同じ大学で就職活動をしている女子学生がいて、共通の友人同士の関係で4人がお互いに情報交換しながら就活の共同戦線を張ることにします。

しかし、うまく行く人もいれば、焦りばかり募り、落ちてばかりする人もいて、だんだんとその仲間意識にヒビが入っていきますが、その辺りの感情の動きがうまく捉えられていて、面白い作品となっています。

私が就職したのはもう40年も前のことで、時代もその方法も全然違い、へぇー!と驚きの連続でした。

もっとも私は当時就職活動らしいことはほとんどせず、「どこでもいいや、雇ってくれるなら」というやる気のなさと意識低い系でしたので、有名どころか中堅企業にもひっかからず、社員数わずか20数名という零細企業に入ることになります。

でもその会社が40過ぎで退職する頃には、グループ企業を合わせると社員数は数千名という大企業になっていたわけで、人生なんてホントわかりません。

私のことはともかく、これから就職活動する人が、この実体験に近そうな小説を読むと、なんだか就活って面倒くさそうだとか、気持ちが落ち込みそうだと思われて心配です。もちろん就活って決して楽しいものではないですけどね。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

リアルワールド (集英社文庫) 桐野夏生

2003年に単行本、2006年に文庫化された小説です。2003年と言えば、著者にとっては1999年に「柔らかな頬」で直木賞を受賞した後、多くの賞を次々と奪取していった頃で、ノリにノっていた時期です。

どういう小説かまったく知らずに読み始めましたが、さすがに売れっ子作家さんの作品だけあって、外れはないです。

主人公が現代の女子高校生という、私にとっては一番感情移入できない苦手な作品でしたが、漫画を読む感じで、次々とテンポよく事件が展開していき、ボリュームも少ないのでサクッと読めて退屈はしません。

若い人達の感情がこの小説に登場するような人ばかりだと、もっと複雑で混乱した社会になるのでしょうけど、これはあくまでも知的な作家さんがエンタメとして書いたもので、そう割り切って読むことを求められます。

それでも登場する女子高生が「死は誰もがいずれ経験するんだから、むしろわかりやすい結末を選んだっていう意味で敗北に近い。相手を殺すのは、自分の憤怒や屈辱や欲望に落とし前を付けただけで、それで問題が終了した訳じゃないのだから、取り返しがつかないことじゃない」とか「過酷な電車通学を選んだ両親への天誅。それが証拠に、謂われのない悪意を受けることがしばしばあったし、私は必要以上に邪険に扱われた。これが現実なのだ」と、心の中で考えるとか、あまりにも突飛推しもなく飛躍しすぎです。

著者の作品は調べると過去に「顔に降りかかる雨」「グロテスク」「残虐記」「東京島」「ファイアボール・ブルース」「ファイアボール・ブルース2」「水の眠り 灰の夢」の7作品を読んでいて、これが8作目です。どれも悪くない作品でした。

もっともリアルなことから遠そうで、破天荒なフィクションの世界を書いてくれる作家さんと言うことで、全般的に私の評価は高いです。

★★☆

著者別読書感想(桐野夏生)

【関連リンク】
 3月前半の読書 悟浄出立、言ってはいけない 残酷すぎる真実、死者の奢り・飼育、獏の檻、君の膵臓をたべたい
 2月後半の読書 手のひらの音符、あの女、いつまでも若いと思うなよ、残穢、悲しみのイレーヌ
 2月前半の読書 まほろ駅前番外地、謎解き 関ヶ原合戦、ダブル・フォールト、嗤う名医、はなとゆめ

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1316
人生哲学や禅問答の話しをする気はまったくなく、ちょっと他人との関係性において、自分の性格や行動パターンに問題がある?と考えるようになったので書いておきます。

私は社会人になってから、あまり自分の頭では考えてこなかったというか、私の就職した時代は団塊世代が管理職をガッチリと占めていて、私たちしらけ世代とも言われていますが、自分で考えて行動するよりも、10歳以上年上の厳しい競争を勝ち抜いてきた有能な団塊世代から常に指示を与えられ、それに素直に動くことをずっと求められてきました。

ま、今の言葉で言えば、将棋の駒をやっていれば、その団塊世代の人達に喜ばれ、実力以上に引き上げてくれるという時代でした。

そうした自分ではあまり考えず、言われたことを完璧にこなす教育を受けてきたので、なにを指示されたり命令されても大丈夫なように、あらかじめ上司の意図をくみ、その準備を怠りなくするというのが最大の仕事だと思ってやってきました。

もちろん、そうした能力は現在のビジネスではあまり役に立たないことは知っていますが、身についてしまったそうした習性はなかなか変えられるものではありません。

その上の世代が次々とビジネスから引退し、自分がビジネス界の中で最年長になってきたとき、ふともう自分に指示をする人はいないし、一方では自分の判断でドンドンとやっていく下の世代から突き上げられていることに気がつくことになります。

今ではあまり役に立ちませんが、その時にマスターし身体に染みつき、自分でもそれが長所だと思っていたことで、現在でも実行していることは、

・待ち合わせやアポイントは余裕を見て「20分前」に到着する
・何事にもAプラン以外にBプランを必ず準備しておく
・備品など品切れする前に予備を購入し準備
・万一のトラブルを考慮しタスクは予定よりも早めに終了させる
・内容ではなく人を見て指示に従うかどうか判断する

まったく今思えば、時代錯誤もいいところで、つまらないことばかりです。

そりゃ、慎重になるのも良いのですが、あまりにも慎重になりすぎていて、それが対等な関係においては相手に対してプレッシャーを与えてしまったり、理不尽な行動と映ってしまいます。

別に待ち合わせするのならジャストオンタイムで構わないでしょ?
Aプランが最善だと思えば、そのAプランに全精力をつぎ込むべきでは?
今の時代、備品がなくなっても翌日には届く時代、あれこれ在庫をいっぱい抱えるのは無駄
必ず早く終了させるなら緻密な計画やスケジュールを組む意味がない
自分の頭で考えることを放棄して人に従ってばかりいると後で痛い目に遭う

と、まぁこんな感じでしょうか。

日常生活においても、人と待ち合わせするときには20分以上前に到着して待っていたり、自宅の日用品や消耗品、クルマの交換部品など、予備の在庫がたっぷりないと安心できません。

また長距離ドライブに行くときには、目的地までの距離と時間、立ち寄り場所、食事の場所、観光しておくべき場所とそこで過ごす時間など予め決めてから出発します。

行き当たりばったりというのはなにか不安で、またせっかく遠出したのに名所を見逃すことを恐れるのです。「なるようになるさ」という何も決めていない旅行や遠出というのができません。

そして困ったことに、自分がそうだから、自分の周囲の人達にもそれと同じような行動を自然に求めてしまいます。

・相手が待ち合わせ5分前に来たら遅いなと思う
・ひとつの考え方に固執している人を融通の利かないバカだと思う
・予備がないと万が一の時、ひどい目に遭うぞと思う(万一のことなど滅多に来ない)

などなど。

これでは、家族を含め、周囲の普通の人にとっては、面倒くさいヤツと思われてしまいます。

そういう時代錯誤とも言える性格に、60歳過ぎてから気がつくなんて遅すぎと思いますが、「三つ子の魂百まで」「雀百まで踊り忘れず」で、そう簡単に性格を変えることができません。

自分では「約束の時間に絶対遅れない」「万一前提が大きく変わっても次のプランが準備されている」「品切れになっても予備が大量に確保されている」など、長所だと思っていた点ですが、よくよく考えると、これらって私の周囲の人達や部下にとっては私の短所として映っていたのかも知れません。

具体的なこととして、約束の時間までにまだ20~30分あると思って急ぎの作業をしていたら、私から「いますぐに出るぞ!」と言われて慌てたり、Aプランを煮詰めておくの時間を使いたいのに、私から「Bプランも作っておけ」と言われたり、訪問先のことをあれこれ細かな事まで調べておくよう私に指示されたりと迷惑に思っていたことでしょう。

そして自分では短所だと思っていた、「決断は素早く勘でする」「客の前ではほとんど喋らない」などは同僚や部下達にとってはありがたかっていたのだろうなと今だとわかります。

第1線で営業職を長くやってきたので、客に話しをするのは得意なので、同僚や部下と行って私が喋ると、勢いで止まらなくなってしまうので、喋らずにただ座っているようにしていました。客や部下のためというのではなく、いろいろと面倒だったからです。

たまに新人と同行営業したとき、私の営業トークを見たいと言われ、仕方なく「いいよ」と実践して、後で感想を聞くと、話しの内容がまったく理解できなかったと言われてしまいます。

そりゃそうです、何十年のベテランと新人が同じような営業トークをするわけがありません。つまり参考にはならないって事を身体で知ってもらうために実践したようなものです。だから部下と一緒の時には自分に質問がされるまではほとんどなにも喋りません。

それはさておき、最近ようやくわかってきたのです。

人生にはBプランはない」ってことに。
在庫とか予備はそれほど必要がない」とかに。
予定より遅れたからと言ってそれがどうしたというのだ

仕事では当たり前にあった「Bプラン」や「予備在庫」ですが、人生にはそういうものはないし、また必要とされません。

それよりも、自分で「どうすべきか」「なにをすべきか」を必死になって考える必要があります。

今頃になって遅いですけど、平均寿命からすればまだあと20年ぐらいは生きるでしょうから、考え直してそういうテクを身につけていくのも良いでしょう。

過去に身につけた自分が長所と思っていた性格は、ここらでスパッと反故にして、もっと頭を柔らかくしていきたいと思っています。

今の新入社員など若い人にとってみれば、当たり前のことを言っているのかも知れません。


【関連リンク】
1286 棺桶リスト
1259 40歳から50歳にかけては人生後半のスタート準備
1253 捨てる技術と捨てられない性格の狭間で
876 介護にまつわるあれこれ
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1315
今年10月からの消費税増税のタイミングで、政府というか国が増税軽減策の一環としてキャッシュレス化を進めています。

確かにお隣中国や韓国ではキャッシュレスが隅々まで浸透していて、年間4000万人の訪日外国人観光客の内、その約半分を彼らが占めていますので、日本人がどう思おうと、商売上キャッシュレス化の流れは一気に進んでいくことになりそうです。

個人的に言えば、私は多くの他の中高年男性と同様、その流れにはついていけず、昨今遅れをとっているのを実感し、認識しています。

但し、一般的に電子マネーという中には、電車に乗るときのために交通系のPASMOと、毎日コーヒーを買っていた絡みで作ったセブンイレブンのナナコの、いわゆるキャッシュレス支払いができるICカード(モバイルではなく独自のカード)は持っています。

しかしそれらは定期入れに入れているので、会社へ行くときしか身につけてなく、普段の日常生活ではまったく利用していません。

PASMOもナナコも現金チャージ式で、チャージされている金額以上の利用はできません。手続きをすればクレジットや銀行口座から自動的に引き落としができるタイプのものもありますが、まだそこまで踏み切れていません。

したがって、そうしたプリペイドカードに都度現金を入金する必要があるため、カード以外に現金や銀行のキャッシュカードも合わせて持っていなければならないという不便さもあります。

特にPASMOはチャージしておける上限が2万円までなので、毎日の通勤代や、売店で買い物などするとすぐに残額が乏しくなり、月に2度3度とチャージをすることになります。

その他にキャッシュレスとして使えるものとして、一般的な「永年会費無料」のクレジットカードを2種類持ち、そのうちのひとつのカードで車載用ETCカードも発行してもらっています。

現状ではまだ電子マネーがなくても現金があれば不自由しませんが、いずれはスーパーやコンビニ等小売店舗では現金精算には長い列が出来、電子マネー支払いはスムーズに流れるというようシステムが導入されていきそうです(すでに進行中)。

タクシーでも最近は走行中にスマホでピッ!で支払い完了ですものね。降車時の支払いで小銭を数えたりお釣りをもらったりモタモタしているシーンは、過去のものとなりつつあります。

同様にキャッシュレス化の流れをヒシヒシと感じるのは、銀行がATMを減らしつつあることです。

キャッシュレス社会ではATMで現金を引き出す人が減りますので、銀行としても高額な設備や現金の回収・補充、セキュリティなど、やたらとコストのかかるATMを減らして効率化を図ろうとしています。

都市部においてはATM機の役割は、銀行に併設されたものから、年中無休で24時間開いているコンビニへと移っている気がします。

いよいよ、現金支払い至上主義者にとってつらくなってきました。

ただ、少し前に起きた長時間の通信トラブルによりネットで購入したチケットを会場入り口で見せられなかったり、災害が起きて停電及び通信障害で電子マネーが使えなくなるというデメリットも考えられます。

大きな災害や長時間停電に備えて、水や食料などと同様、現金、しかも万札ではなく、千円札以下の小銭を持っておいた方が良いという話しも聞きます。

最初に書いた通り、消費税増税後には、キャッシュレスで買い物をした場合のみ増税分の割り戻しが一定期間与えられるというセコいキャッシュレス普及促進策がおこなわれます。

ETCカードの普及促進は、当初は政府や国も協力して、通行料を大きく割引し、ETC装置を付けてカードを入手させるという流れに持ち込んで大成功しましたので、それと同じようなイメージで考えているのでしょう。

そうしてある程度普及すれば割引などのメリットはなくしてしまい、結果コストダウンの成果は事業者と天下り役人だけが享受するということになります。

ETCカードは、通行料の割引の他、支払いのために料金所でいちいち停止して面倒な支払いをしなくて済むというドライバーにとって別の大きなメリットがありましたが、キャッシュレスの場合は、金融機関や商店の利便性、効率性は大きく上がるでしょうけど、利用者側のメリットは実はほとんどないというのが実態です。

「小銭を持たず支払いがスマートだ!」というのは人口の1/3を占めるようになってきた今の日本の高齢者にとってなんの意味もメリットもありませんし、高齢者の現金志向に敢然と立ち向かえる小売店が増えていくとも思えません。

そうした中で、大きなチャンス到来と、電子マネーの新規顧客獲得と囲い込みをするため、各事業者が様々なお得なキャンペーンをおこなっています。

一時的にはそうしたキャンペーンによりお得感があったとしても、それが過ぎ去れば、あとは「釣った魚に餌はやらない」パターンで、新規加入者以外にメリットがないものとなっていきます。

国が力を入れるもうひとつの理由には、税務署がお金の流れを把握し、電子的にお金の流れが記録が残るようになれば、不正の発見や徴税が容易になると考えるからです。マイナンバーカードも同様です。

お金の流れを捕まれて一番困るのは実は富裕層と政治家かもしれませんが、お金を持たない一般庶民にとっては、そうした濡れ手に粟みたいな不正が少しでも減ると溜飲が下がりそうです。

ここ1~2年のあいだには、スマホに電子マネーアプリを入れて、キャッシュレスで購入するというパターンが主流となっていくのでしょうけど、現在はポイント還元とかクーポン配布などアホらしい会員獲得誘導策には乗らず、最低限(PASMOなどプリペイド式とクレジットカード)の利用に留めておこうと決意を新たにしているところです。


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1099 マイナンバーカード
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535 テレフォンカードの使い道

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1314
自宅のトイレをそろそろリフォームしなくちゃなぁ~と思っていて、最近は新聞に挟まれてくるリフォームのチラシが気になって仕方ありません。

27年前に建売で買った自宅は、過去に屋根と外壁塗装、湯沸かし器、キッチン水回りの修繕、洗面台の交換(DIY)、浴室のリフォームなどをおこなってきました。

508 洗面化粧台をDIYで交換 その2工事編
507 洗面化粧台をDIYで交換 その1準備編

753 ユニットバスへのリフォーム道険し
771 続:浴室のユニットバスへのリフォーム前編
772 続:浴室のユニットバスへのリフォーム後編
788 浴室のユニットバス化リフォーム工事完了


1095 キッチン水栓を最新のシングルレバーに交換

その他にもそろそろ床が抜けそうな部屋もあり、全体的にかなり傷んできていますが、トイレは水洗器具の部品交換は何度かしたものの、今まで本体ごと交換するような騒ぎには至っていません。


写真はTOTOサイトから拝借
ただやっぱり27年前のトイレですから、いろいろな面で不都合なこともあり、1階、2階の2カ所ともそろそろ一新したいと思っているわけです。

最新式のトイレのなにが良いかと言うと、まず節電機能と節水機能が優れています。今後年金生活に入っていくと、そうしたチマチマとした節約が大切なのです。

次に、洗面台がそうだったのですが、27年前と今では、日本人の平均身長に差があるように、昔の便器の座面の高さは低すぎて、立ち上がるときに足腰が弱いと苦労します。浴室の洗い場の椅子も普通の低いものから、高さが40cmぐらいあるものに替えているぐらいです。

顔を洗ったり手を洗う洗面台のボールの高さは、新築当時の製品と比べると7年ほど前に新調した普及品でも10cm近く高くなりましたし、便器の座面の高さも現在標準的なものと比べると5cm以上高くなっています。わずかな差ではあるものの、立ち上がるときはずっと楽なのです。

日本のトイレはこの30年ぐらいの間の進歩が凄まじく、私が子供の頃は、学校や公共施設などまだほとんど和式便器が標準だったのが、都会という限定がつきますが、現在では和式が珍しいほどに変わってきています。

中学生の頃ですから1970年代のことですが、英語教師が「アメリカに留学していたが、トイレがそりゃ綺麗で、冗談かと思うかも知れないが、自分のハンカチで便器をさらっと拭いたりできるぐらいにピッカピカなんだ」という話しを聞いて、みんな「うそー!」と思ったものでした。

当時日本のトイレは、基本和式で、汚い、不潔、臭いというのが普通だっただけに、その話しは衝撃で、ずっと耳に残っています。

その後、1990年代にTOTOとINAXが頑張ってくれたので、洋式の洗浄機能付きトイレが一気に家庭内にも普及してきました。

そして徐々に便器の質やデザインが向上し、もうハンカチで自分のトイレをサッと拭くこともできるようになってきましたね、拭かないけど。その時に初めて中学の英語教師が言っていた事が「なるほど」と理解できたのでした。

今では日本式の洗浄機能付きトイレが世界の最先端をいっているようで、海外から来た人はその機能にあきれたり、驚いたり様々ですが、洗浄機能は何度か使うと、もうなくては困るという常習性があるので、今後広く世界に広まっていくでしょう。

中国の富裕層へ向けて、洗浄機能付きトイレを「日本製」と偽って販売するのが今の中国の主流のようになっていて驚かされます。ま、形だけはすぐに真似できるでしょうけど、耐久性や使い勝手はそう簡単に真似ができないかも知れませんね。

中国で日本製洗浄トイレのパクリが大流行 でも超有名な日本トイレメーカー「杉本」って何?(livedoorNEWS)

日本製品の賞賛は、以前は化粧品、炊飯器、空気清浄機でしたが、今は洗浄機能付きトイレってことでしょうか。

さて、話しはトイレリフォームへ戻り、今のところ考えているのは、2カ所のトイレ便器を同時期に新調し、天井と壁の張り替えもおこなうことです。もし床も悪くなっていればそれも補修します。

おそらく安く見積もっても20万円×2カ所=40万円ってところでしょうか。床まで手を入れると1カ所でプラス10万円ぐらい。

さすがにトイレ便器交換を自分でDIYする自信はないので、仕方ないですね、、、

近々、いくつかリフォーム会社を回って、見積もりをもらってきます。

【関連リンク】
1237 リフォーム講座へ参加してみた
810 高齢者向けビジネス(第1部 居住編)
670 我が家のテレビ視聴環境改善 準備編その1
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1313
悟浄出立 (新潮文庫) 万城目学

2014年単行本、2016年に文庫化された長編小説で、西遊記に関連し、脇役の沙悟浄を語り手として、同じく脇役の八戒について考察する今で言うところのスピンアウト的な話しの「悟浄出立」を含む、「趙雲西航」「虞姫寂静」「法家孤憤」「父司馬遷」の中国の古典を題材とした5編の短編小説です。

「悟浄出立」は元々は中島敦が西遊記に関連して書いた「光と風と夢・わが西遊記」に収録された「悟浄出世」「悟浄歎異」の短編を最初は高校生の頃の試験問題で読んで、それの続編的な小説を書きたかったと最初に触れられています。

「趙雲西航」は三国志でお馴染みの若武者趙雲が主人公で、諸葛亮孔明や張飛などが出てきて三国志ファンなら十分に楽しめます。三国志では脇役に追いやられてしまった趙雲ですが、上記の沙悟浄と同様、その心理描写が上手く作られています。

「虞姫寂静」は「項羽と劉邦の戦い」で、最後は四面楚歌で滅ぼされてしまう秦末期時代の楚の武将項羽の愛人虞美人が主役です。日本でも虞美人草で有名ですね。

「法家孤憤」は秦の始皇帝暗殺未遂事件を起こした荊軻と名前が同じ発音の官吏が主人公、「父司馬遷」は壮大な史記を書いた司馬遷の娘を主人公としています。

あの有名な司馬遷が、味方の名将をかばったために、汚名を着せられて男性器を切除する刑に処せられていたとは知りませんでした。

そうした、歴史書や歴史物語では不遇の扱いの脇役達を生き生きと描いたのがこの作品で、歴史についてあまり知らなくても十分に楽しめますが、ある程度は予備知識として持っているともっと楽しめそうです。

★★☆

著者別読書感想(万城目学)

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言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書) 橘玲

宝島30の元編集長だった著者は、名前を見ると女性ジャーナリストだと思っていましたが男性です。小説もいくつか書いておられますが、著書を読むのはこれが初めてです。

タイトルだけ見ると「大げさな~」と思っていましたが、中身はもっと過激、こんなこと書いて良いの?というようなことがズバズバ出てきます。炎上商法も真っ青な感じで、恥ずかしながら衝撃を受けてしまいました。

2016年に発刊された新書ですが、世の中のこと、仕組み、裏の裏をもっと知りたい!って言う人にお勧めです。よく知られていることや都市伝説的な話しもありますが、一応出てきたネタはすべて出典が書かれています。

その書かれていることの論拠として書いてある各種の論文や研究データなどの出典ですが、時代によってそうしたものも変化していくことはよくあることなので、どこまで信じるか、確率をどのように判断するかなど、当然のことですが読後は個人の判断に委ねられています。

それにしても、世の中の人権団体など各種団体から激しい抗議活動を展開されてもおかしくない内容です。

しかし実際には人は表面的に言わないだけで、なんとなくそう思っている、感じていることも多くあるのではないでしょうか。

いくつかピックアップしておくと、

・親が犯罪者の場合、子も犯罪者となる確率は高い
・黒人やヒスパニック系の知能は白人やアジア系人種に劣る
・レイプは男性からすると生存本能に合理的理由がある
・美人とブスでは3000万円以上の収入格差がある
・細面で長い顔よりも丸顔または四角い顔のほうが収入が高い
・父親の10%が知らずに他人の子を扶養している
・子孫を残すのに合理的な方法は一夫一妻ではなく一夫多妻
・女子校より共学校のほうが女学生の望まない妊娠が多い

英国での調査ですが「父親の10%が実は知らずに他人の子を扶養している」なんてのは、喜多嶋舞とできちゃった婚をしたのち離婚し、子供の養育を引き受けたところ、実は実子ではなかったことが判明した大沢樹生氏の悲しい顔が思い浮かびます。

細面よりも丸顔または角張った四角い顔の方が野心が大きく収入も多いというのは、カルロス・ゴーン氏の顔写真が出てくるたびに納得してしまいます。

アメリカを初めとする白人が支配している多民族国家の中で、黒人とヒスパニック系は一緒ぐたにして語られることが多いのに対し、アジア系はまた違った語られ方をするのもなんとなく違和感が解けた感じです。

芸能ネタはともかく、こうした「言ってはいけない」不都合な事実や解釈、統計データは、エビデンスの信用がどこまであるかどうかでなく、誰しも身近に感じてはいるのでしょう。

★★☆

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死者の奢り・飼育 (新潮文庫) 大江健三郎

1994年にノーベル文学賞を受賞された著者の作品を読むのはこれが初めてです。なぜだか不明ですが、同じノーベル文学賞を受賞した川端康成氏や日系人のカズオ・イシグロ氏、ずっと毎年候補に挙がりながら受賞を果たせずにいる村上春樹氏と比べると、著者の作品があまりメディアには取り上げられず、話題にされないのは、何者かに抑圧されているせいか?って気もします。

それが著者が国家主義や天皇制に対して一貫して反対する立場をとっているということや、文化勲章を辞退したりと思想的に長いものには巻かれろが基本のメディアにはちょっと扱いづらく、敬遠されているせいなのかも知れません。もったいない限りです。

それはともかく、この作品をきっかけとしてこの著者の作品に興味が起きたので、今後ちょっと意識して過去の作品を探して読んでみようかなと思います。

この作品は60年前の1958年刊のそれまでに発表した短編を集めた文庫本で、「死者の奢り」「他人の足」「飼育」「人間の羊」「不意の唖」「戦いの今日」の6編が収められています。現在84歳になる著者がまだ23歳の時の作品です。

そしてこの中の短編小説「飼育」で、石原慎太郎と同じく当時最年少の23歳で、芥川賞を受賞しています。

医学部の死体処理室でアルバイトをする学生と、なにも言わぬ大きな容器の中に浮き沈みする死体達との会話が不気味な「死者の奢り」、脊椎カリエスで手足が自由に動かせない少年達の療養と、そこから回復して出て行く少年を描く「他人の足」、戦時中に地方の田舎の寒村に墜落した飛行機から脱出し生き残ったアメリカの黒人兵と村の子供達との交流と悲惨な結末をむかえる「飼育」など。

その中では、まず「飼育」は賞を取ったというだけでなくとても印象に残る作品ですが、その他の「死者の奢り」や「不意の唖」もなかなか20代でここまで書けるとは思えない、文学的才能を感じる良い作品だと思います。

★★☆

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貘の檻(ばくのおり) (新潮文庫) 道尾秀介

2014年に単行本、2016年に文庫化された長編ミステリー小説です。文庫で570ページ、謎多きミステリーだけに、些細なことも見逃さないよう熟読したので、とても長く感じました。

しかしそのおかげもあり、小説の半ば頃に「きっとこいつが諸悪の根源だろう?」と気がつき、結果的にそれが正しいことがわかりました。

だいたい最後になって悪意の本性を現すミステリー小説の悪人は、その最後の時まで主人公にとっては優しく頼りがいや思いやりがあり、しかも社会的に信用がおける立派な人というのが通例です。

もっとも最初から怪しそうな人や悪そうな人が「やっぱり犯人でした」では面白みに欠け、善良な人が「実は」と転換するのが小説やドラマの定番とならざるを得ません。

さて、主人公は長野の山奥の村で子供時代を過ごし、山で猟師をしていた父親が殺人事件の容疑者とされたまま死亡してしまい、逃げるように母親の実家へと移り住みます。

さらに悪夢を断ち切るように上京し、大学へ入り、就職、結婚をし、子供もできたところで、毎日不安な夢に悩まされ続け、それが家庭崩壊、離婚へとつながっていきます。

別れた妻に引き取られていた小学生の息子と月1度の面会した後、悪夢から逃げるために電車に飛び込み死のうとホームに立った時、父親が容疑者とされた殺人事件に関係し、32年間生死が不明だった女性が反対側のホームで電車に轢かれて亡くなります。

ここから最後まで、話しは子供時代を過ごし、父親が亡くなった山奥の集落が舞台となります。

当時の父親に起きたことや、集落の歴史などがわかってきて、主人公が子供の頃に目撃し、それを封印してきた事柄が目覚めていきます。

最初はホラー小説なのかな?と思ってましたが、ジャンルとしては完全なミステリ-で、名探偵こそ出てきませんが、やたらとその村に歴史に詳しいカメラマンと、封印されてきた過去の出来事などを解いていきます。

様々な設定には、やや無理さや強引なところも感じますが、おしなべて小説らしいと言うか、映像化してもそれなりの面白いミステリーができそうな作品と言っておきましょう。

★★☆

著者別読書感想(道尾秀介)

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君の膵臓をたべたい (双葉文庫) 住野よる

2015年に単行本、2017年に文庫化された青春お涙ちょうだいロマンス小説です。

2017年に映画化され、監督に月川翔、浜辺美波、北村匠海、小栗旬などが出演し、タイトルの奇抜さもあり、そこそこのヒットを飛ばした作品です。

また日本アカデミー賞の作品賞や新人俳優賞なども受賞していました。私もこの映画は、小説を読む前にテレビ放映の録画版ですが見ています。

1282 2018年9~10月に見た映画「君の膵臓をたべたい(2017年)」

著者はずっと女性だとばかり思っていましたが、男性なんですね。知りませんでした。この作品が実質的なデビュー作ということです。

主人公は読書だけが趣味という友人が誰もいない暗い内向的な男子高校生で、あるとき病院の待合室で共病文庫と書かれた本を拾い、中を見ると、膵臓(すいぞう)の病気で余命が少ないので日記代わりにこれを書いていることがわかります。

そしてその文庫を書いていたのが、なんと同じ学校のクラスメートの(可愛い?)女子高生という、非現実的であり得そうもない出会いから二人の恋愛感情が持ち上がってきます。

タイトルは、昔の非科学的な病気治療法に「悪いところの部位を食べると治る」ということから、ホルモン料理で膵臓を食べて自分の膵臓を治したいという冗談から来ているもので、決して人食小説ではありません。

映画の時にも書きましたが、基本的に余命少ない女子高生とその同級生の淡い恋というパターンは、片山恭一著の大ヒット小説とそれを原作とした映画「世界の中心で、愛をさけぶ」(小説2001年、映画2004年)の二番煎じです。

そうした青春悲恋ものには一定の少なくないファンがいるでしょうから、今後も世代が一巡する10数年周期で同様のパターンがヒット作として出てくるのでしょう。

小説よりも先に見た映画では、大人となって教師になった主人公が、12年前の懐かしい過去を振り返るようなスタイルでしたが、原作では主人公が高校生のまま終わり、その後のエピローグは出てきません。

★★☆

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