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鍵のない夢を見る(文春文庫) 辻村深月

鍵のない夢を見る2012年に単行本、2015年に文庫化された短篇集ですが、この作品のトピックスとして一番なのは2012年の直木賞を受賞したことでしょう。

物語はそれぞれに独立した内容で、「仁志野町の泥棒」、「石蕗南地区の放火」、「美弥谷団地の逃亡者」、「芹葉大学の夢と殺人」、「君本家の誘拐」の5編からなり、それぞれ泥棒や放火、殺人(逃亡と自殺)、誘拐など、新聞の三面記事に取り上げられそうな犯罪がテーマとなっています。

日常的な風景と、同時にドキドキするミステリー的な要素もあり、なかなか楽しめます。ただ一般的に女性作家さんが書く男女間や女性間の会話が、私的にはストーリーと関係がない無意味なものが多いように感じられ、ざっくりすっ飛ばして読めるのは良いですが、なにかページ数だけが増えて無駄に感じてしまいます。

5編の中で「これが一番!」というのを取り上げようと思ったものの、実はどれもほどほどに面白く、かつ退屈でつまらなく、「これは!」というものがありませんでした。短篇集では「これが一番!」という、強く記憶に残る作品がいくつかあるのですが、それは残念に思いました。

★★☆

著者別読書感想(辻村深月)

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悪しき正義をつかまえろ ロンドン警視庁内務監察特別捜査班(ハーパーBOOKS) ジェフリー・アーチャー

悪しき正義をつかまえろ著者の小説を読むのは今回が32作目となります。そのうち半分以上の作品が上下巻で一つの作品となっているので冊数でいうと50冊は超えていそうです。

今回の作品は、「ロンドン警視庁美術骨董捜査班」シリーズの第3作目で、本国では2019年(日本語翻訳版は2020年刊)に出版されています。

そのシリーズ第1作目の「レンブラントをとり返せ-ロンドン警視庁美術骨董捜査班-」は2022年に読んでいて、第2作目の「まだ見ぬ敵はそこにいる-ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班-」はまだ未読です。

2022年12月前半の読書と感想、書評(レンブラントをとり返せ)

内容的にはそれぞれ独自の展開なので、前作を読まないとまったく意味不明というわけではありませんが、物語の登場人物が連続しているので、順番に読んでいくのが正解です。しかし今回は2作目は飛ばして3作目を先に読むことになりました。

第1作目以来ずっと刑事の主人公を悩ます悪人は今回は脇役で、本作では麻薬の大物ディーラーと、主人公の刑事と同期で華々しい実績を上げている裏で私腹を肥やしている腐敗警官の二人との戦いがメインとなります。

主人公は日本では滅多に見られないおとり捜査を専門とする部署で、麻薬王を捕まえ、また腐敗警官の所業の証拠をつかみ二人とも裁判にかけられます。

しかし裁判では悪役に味方し、証拠をねつ造することもいとわない辣腕弁護士が今回も登場し、裁判所での法廷ドラマが物語の半分を占めます。

著者の小説の多くは、ミステリー的な要素はなく、善悪をハッキリと分けた上で、頭脳戦や偶然の運・不運により裁判の結果が二転三転して読者をドキドキさせるというスタイルを取っています。

そういう意味では、最後は黄門様が登場して解決する勧善懲悪ドラマと同じで、安心して読めますが、ちょっとその展開にも飽きてきたのが実感です。

そして一番の悪人は逃げ切って、次回作以降にも主人公を悩ますことになりそうです。引き続きこのシリーズを読むかどうかはちょっと微妙です。

★★☆

著者別読書感想(ジェフリー・アーチャー)

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ふなうた 短篇集モザイクII(新潮文庫) 三浦哲郎

ふなうた過去に掲載された短篇作品をまとめて1991年に「みちずれ短篇モザイク集I」が出版され、それから3年後の1994年に単行本、1998年に文庫化されたのがこのモザイク集第2弾の本作品集です。

著者は元々短編小説やエッセイの名手ですが、文庫ベースで、1篇あたり10数ページという短篇の中でも短い作品の中で、それぞれが起承転結、ひとつの物語が情緒豊かに成り立っていることに驚きます。

最近の小説家には短篇が得意な人でも連作短篇という形式が多く、その場合は前に出てきた登場人物の性格や説明を省け、一種中編や長編小説的に物語が展開できます。

しかしこのモザイク集のように、ひとつひとつがまったく違った形状の物語をしっかりと読ませるテクニックは見事としか言いようがありません。短篇集なのに、なにか違った長編作品を一気に数本読んだような気分にさせられます。

収録されているのは、「ふなうた」、「こえ」「あわたけ」「たきび」「でんせつ」「やぶいり」「よなき」「さくらがい」「てざわり」「かえりのげた」「ブレックファ-スト」「はな・三しゅ」「ひばしら」「いれば」「ぜにまくら」「かお」「メダカ」「みのむし」の18篇で、初出はそれぞれ違いますが、文芸雑誌などに1991年(平成3年)から1994年(平成6年)に掲載された作品です。

あまりにも簡単にサクッと読めてしまうだけに、しっかりと余韻に浸る間もなく次の作品へと移ってしまい、もったいないですが、さらにまた次を読みたくなってきます。

★★★

著者別読書感想(三浦哲郎)

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大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実(光文社新書) 仲村和代/藤田さつき

大量廃棄社会自他とも認めている巨大新聞社所属のエリートビジネスウーマンの二人が、SDGsをテーマに新聞記事を書いている中で、特に現状では日本のあまり知られていない不都合な真実にスポットをあて、やや上から目線で問題提起とその解決策を模索した内容となっています。

私自身、親の時代からずっと朝日新聞を購読して(学生時代に数年間他紙へ浮気したことはある)いますので、どちらかと言えば朝日新聞ファンでもありますが、どんな組織にも変テコなのが必ず混ざってきて、それが時に問題を起こしたりするので、敵も多いのが大手メディアの宿命でしょう。

先日読んだ、「朝日新聞の黙示録 歴史的大赤字の内幕(宝島社新書)」でも、散々な書き方がされていました。

それはさておき、本著ではアパレル業界と食品業界、特にコンビニなどの大量廃棄問題に注力した取材が行われています。

アパレルにしても食料品にしても割と国民はみな薄々とは知っていながらも、便利で安ければいいやとばかりに目をつぶってしまっているパターンではないかと思います。

私自身を振り返っても、衣料品を買ったりもらったりしても気に入らなければ簡単にゴミとして捨ててしまいますし、スーパーやコンビニで飲食品を購入するときには少しでも賞味期限の長いものを奥のほうから取り出します。

それらの陰で、本来は再利用できる衣料品や、賞味期限切れが近づいて捨てられる食料品が大量にあり、そうなってしまう仕組みの解説と、それに一石を投じる新しい仕組みや考え方が紹介されています。

ただ、高額所得のエリート社員とは違い、どうしてもお金のやりくりに苦心しながら日々の生活に汲々している庶民にとっては、安い衣料品がどこで誰の犠牲によって作られているとか、縁起物の恵方巻きや豪華なおせち料理が売れ残れば大量に廃棄されていることなどに関心がないのは当たり前のことで、それらは販売側や製造側の問題でしかありません。

高くて良いものより、安くて良いものを買うのは当たり前の心理で、賞味期限の近い食料品に関してはいくら勧められても余計なものまで買おうと思いません。

一般の人に訴求できるとしたら、値段が安くても海外製の安いEVに飛びつかず、高くても信頼が置ける国内メーカーのクルマを買ったり、安い外国製のタオルではなく、肌触りが良い国内生産のタオルが贈答用で大ヒットしたりする国内(生産)ブランド信仰をもっと浸透、普及させていくことで、食品も新鮮な地産地消が進められていくのではないでしょうか?

本文中に、衣料品が海外生産され「顔の見えない製造者」という言葉がよく出てきますが、元々消費する製品で製造者の顔が見えるものなど都会にあるはずもなく、なにか自分の言葉に酔っている?という感想も持ちました。すぐ手元にある赤鉛筆やボールペン、はさみ、パソコンなどの製造者の顔が見えますか?

本書の中には「広島のパン屋さんが、北海道の有機栽培の小麦農家から直接購入した小麦でパンを作って成功した」云々が書かれていましたが、その小口の小麦を遠く北海道から広島まで輸送する手間とエネルギー消費は相当なもので、「パンを破棄しないからそれですべてよし」というのはどうなのかなと思ってしまいました。

SDGsを言うなら、広島から世界へ輸出されている自動車の運搬船に、帰りの便ではそれぞれの地域の特産品をどっさり積み込み、広島やその周辺でそれらを使った料理や食品を作っているというのならわかりやすかったでしょう。

★☆☆

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硝子の葦(新潮文庫) 桜木紫乃

硝子の葦2010年に単行本、2014年に文庫化された長編小説で、2013年に直木賞を受賞した「ホテルローヤル」のホテルが主な舞台となっている完全に別作品です。

主人公は、「ホテルローヤル」の経営者と結婚した女性で、その女性の母親と経営者は愛人関係にあり、また主人公はホテルの会計業務を請け負っている会計事務所の所長とずっと関係を持っているというややこしい関係があります。

言うまでもなく、著者の実家は釧路にあった「ホテルローヤル」に隣接する家で、ホテルの経営者の娘として生まれ育っていて、そうしたよく知っているラブホテルの経営などをモチーフとして使っているだけで、自伝的小説というわけではありません。

ジャンルとしてはミステリー小説と言えるもので、プロローグで主人公の女性が、厚岸(あっけし)の実家に自ら火を付け自殺したところから始まり、その主人公女性の周囲にいる様々な人とともに、なぜ女性がいきなり焼身自殺をしなければならなかったのか?どういう意味があったのか?などがクライマックスに向かって一気に露わになっていきます。

タイトルは、主人公女性が結婚後に通っていた短歌会で学んで創作した短歌をまとめ、自費出版で歌集を出すことになり、その自作の短歌に使われていたのが硝子の葦で、夫の意見でその言葉を歌集のタイトルにしたことから来ています。

同時期に読んだ辻村深月著「鍵のない夢を見る」の一部がそうでしたが、女性の暗くずる賢い計画的な犯罪が描かれていてゾッとしました。あまり現実的ではありませんが、あわれな周囲の男たちは、物語の中では単に刺身のツマに過ぎません。

★★☆

著者別読書感想(桜木紫乃)

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