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夜明けの雷鳴 医師高松凌雲(文春文庫) 吉村昭

夜明けの雷鳴
2000年に単行本が出版、その後文庫版が出ています。幕末の動乱時期から明治にかけて実在した医師、高松凌雲を描いた歴史小説です。

主人公の高松凌雲は、福岡(筑後国)の農家出身で、その後養子に入り武士になりますが、医者を目指そうと江戸の親戚を頼って上京します。

頭が良く努力家で、当時広がり始めていた西洋医学の蘭学を学び、オランダ語や英語にも精通し、若くして時の将軍、徳川慶喜の奥詰医師へと出世します。

さらにフランスでおこなわれたパリ万博に渋沢栄一などとともに派遣が決まり、万博終了後も公費留学としてフランスで最新外科治療を学びます。そこで身分や貧富に関係なく医療が提供され、また貧しい者には無料で医療が受けられる制度に大きな衝撃を受けます。

ところが幕臣の身で留学をしていた時、日本では政変が起き、大政奉還があり、さらに鳥羽・伏見の戦いで逆賊とされた幕府が崩壊しつつあることを知り、急遽帰国することとなり、幕臣の立場から新政府軍と戦っている榎本武揚率いる幕府軍に合流して仙台、函館と流れていきます。

函館では、戦傷者を収容する函館病院をつくり、敵味方問わずに多くの治療をおこなっていきますが、幕府側の病院と言うことで追い詰められていきます。

結果的には、フランスでの留学中に感銘を受けた赤十字の思想を取り入れた病院経営思想を日本で始めておこなったことで有名になりますが、どれだけ求められても自分は幕府と将軍に育ててもらった恩があると、最後まで新政府側の役職には就かなかった信義の人でもあります。

医者から見た幕末の騒動は新鮮で、いつかは大河ドラマにも向いていそうな話です。

★★★

著者別読書感想(吉村昭)

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魂をなくした男(上)(下)(新潮文庫) ブライアン・フリーマントル

魂をなくした男
顔をなくした男」から続く英国のMI15情報部員チャーリー・マフィンシリーズの15作目で、2013年に英国で、2014年に日本語訳版が出版されています。

著者は昨年2024年12月に亡くなっているので、このシリーズはこれが最後ということになります。

前作、「顔をなくした男」は昨年読みましたが、ロシアでロシア人の妻子を英国へ亡命させるため、空港で作戦を実行中、支援チームで仲間のはずの英国のMI16情報員から銃撃され気を失い、気がついたときにはロシア連邦保安局(前身はKGB)に捕まっていたというところで終わりました。

その続きから始まりますが、どうやって最大の危機から逃れるか?という話です。

物語は、英国のMI5とMI6のトップを含めた危機管理委員会の会議室でおこなわれる応酬がメインで少々退屈です。よくある法廷ドラマのような感じです。

一般的にスパイ小説と言えば、スーパーマン的な主人公が、敵の裏をかいてスリル満点な活躍を描くものが多い中で、「事件は会議室で起きている」という内容です。

ただ、事件はその主人公の拘束だけではなく、ロシアの連邦保安局高官の英国への亡命や、前々作で出てきたロシア大統領候補に仕掛けられた謀略事件の後始末、さらに主人公の妻でロシアの保安局員の亡命も関わってきてかなり複雑に絡み合ってきます。

こうしたスパイものは欧米中心がほとんどですが、日本人として気になるのは、時々中国で日本人ビジネスマンが中国にスパイ容疑で拘束される事件が起きていることから、アジア地域を中心とするスパイ活動や謀略戦が知りたいところです。

日本ではどこでも写真を撮ることは問題ないですが、中国など一部の国では、カメラを向けただけで拘束される恐れがある地域や施設があり、平和ぼけ気味な日本人にはなかなか理解できないことです。

★★☆

著者別読書感想(ブライアン・フリーマントル)

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日本の地方政府(中公新書) 曽我謙悟

日本の地方政府
著者は1971年生まれの政治・行政学者で、この新書は2019年に出版されています。

京都大学の教授として、また学者の論文風著書としてはしっかりしたものとなっているのですけど、とにかく話の内容が難しくはないけど固すぎて、小説でも読むような寝転がって読むようなものではありません。

タイトルの「地方政府」という言葉は聞き慣れませんが、一般的には地方自治体、または地方公共団体という言い方がされます。

昔は国の政府や政治家が決めたことをただ指示に従い実行するというスタイルが主流だったのに対し、何度かの地方分権などを経て、現在は権限が大幅に増えた権限を持った都道府県や市町村の政治が見直されてきています。

本著では、その1700を超える都道府県や市町村の地方政府にスポットをあて、政治制度や国との関係、地域社会について過去からの歴史を含めて書かれています。

国の行政とは違い、教育や警察、消防・救急、清掃など身近なことを決めるのが地方政府の役割でもあり、その仕組みや問題点などが参考になります。

また単なる市町村の合併だけではなく、本著では触れられていませんが、今後日本全体で急速に進む人口減少と経済縮小が続く中で、現在のあまりにも人口格差や経済格差がある都道府県のあり方や、エリアの見直しなども考えていく必要がありそうに思えます。

★★☆

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神座す山の物語(双葉文庫) 浅田次郎

神座す山の物語
2014年に単行本、2017年に文庫化された怪談めいた夜話しを集めた連作短篇集です。

知りませんでしたが、著者の母親の実家が奥多摩にある御嶽山の歴史ある神官屋敷で、子供の頃には夏休みなどには帰省し、そこで様々な昔話を聞いたことからこの作品の創作のヒントになったようです。

収録作品は、「神上がりましし伯父」「兵隊宿」「天狗の嫁」「聖」「見知らぬ少年」「宵宮の客」「天井裏の春子」の7篇です。

語り手の実家の伯母が「子供の頃に本当にあったことなんだけどね」と、帰省で集まった子供達に寝物語を聞かせてくれるパターンで、巻末のロングインタビューで触れられていますが、柳田國男著「遠野物語」に触発されているのがわかります。

2013年8月後半の読書と感想、書評(遠野物語)

そして実体験や聞いた話の他、著者独自の創作ももちろん加わり、浅田ワールド全開の面白い内容となっています。

現在でも物語の舞台となっている「山香荘」は実在しています。時々滞在し、ここで生まれた作品も多いということです。熱心な浅田ファンはぜひ一度泊まりに行くべきでしょう。

作品の中で私が一番印象的だったのは最後の「天井裏の春子」で、キツネ憑きに遭った若い娘が母親に連れられ狐払いをしにやってくるという話です。

現在ではうつ病や解離性障害、統合失調症など精神系病気と診断されますが、戦前頃まではそうした科学的な治療はなく、もっぱら治療は神頼みというのが一般的でした。

憑いた老狐と神官とのやりとりなど、現代科学では理解しがたい昔話が面白く読めます。

★★★

著者別読書感想(浅田次郎)

【関連リンク】
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