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2013年に登場し、新たなレストラン形態として、一躍脚光を浴び続けてきた「いきなりステーキ」が、危険水域に達しているようです。

「いきなりステーキ」が登場するまでは、一般的に外食で本格的なボリュームのあるステーキを食べようとすると、

(1)ひとり最低5千円以上は覚悟
(2)二人以上でレストランへ行く
(3)前菜やサラダなど副菜も
(4)時間をかけてゆっくり味わう

などが常識とされていました。

ステーキガストやビッグボーイ、フォルクスなど、ファミレス系で廉価なステーキに注力しているところもありましたが、やはりボリュームのある高級肉をガッツリ食べるような雰囲気ではなく、サラダやスープなどとともに、家族でワイワイとゆっくり味わう場所です。

それを吉野家的なファストフードスタイルで、そこそこ高級な肉を、安く、早く提供してくれる店で、世の中のガッツリ系男女の胃袋を射止めたかと思ってました。

私は、家の近所にも、会社の近所にもその店がなく、仕事も内勤中心で、店舗のある地域へ出掛けることもなかったので、行ったことはありませんが、そのうちチャンスがあればと以前から思っています。

ところが、マスコミや、珍しもの好きなネットでもてはやされ、一気に拡大策をとったものの、需要が伸びずに陰りが見えてきたその時に、コロナ禍で追い打ちをかけられています。

いきなりステーキやペッパーランチを運営するペッパーフードサービスの株価推移



いきなり!ステーキなど188店閉店へ 希望退職も募集(朝日新聞 2020年7月3日)
外食大手のペッパーフードサービスは3日、ステーキチェーン「ペッパーランチ」事業を投資ファンドJ-STARに約85億円で売却すると発表した。年内に「いきなり!ステーキ」を中心に計188店を閉店し、希望退職も募る。急激な店舗拡大に新型コロナウイルスが重なり、事業縮小に追い込まれた。

さらに積極的に海外進出もおこなってきましたが、それも裏目に出てしまい、米国子会社は破産法申請することになりました。

いきなりステーキの売上げ(棒グラフ)と店舗数(折れ線グラフ)推移です。


こうした状況を見ていると、なにか「牛丼」という新しいファストフードをひっさげて飛ぶ鳥の勢いで急拡大してきた吉野家が、ちょうど今から40年前、私が新入社員になったばかりの1980年に、会社更生法を申請し、倒産したことがダブってきます。

その時は、「えぇ!吉野家がつぶれてなくなるの!?」って思い、「今のうちに食いだめだ!」と当時勤務していた会社の近く、東京・新橋駅前の吉野家によく通いました。結局なくなりはしませんでしたけどね。

吉野家も急速な店舗拡大と、北米の海外事業の不振などがあり、さらに国内で輸入牛肉が高騰し、アッという間に業績が悪化してしまいました。

その後、良いスポンサーに恵まれて、再建されましたが、あのときそのまま消えていても不思議ではありませんでした。

こうした急拡大する事業では、どこでブレーキを踏むかというのが大切ですが、おそらくイケイケのカリスマ経営者に物言える幹部はいないでしょう。

このコロナ禍で、その他にも業績に急ブレーキがかかり、それまで過剰に借金して投資してきた資金が回るの?っていう企業がいくつもありそうです。

誰も、このような事態を想像出来るわけでもなく、「業績悪化は不可抗力だ!」と事業家は言いたいところでしょうけど、そうしたリスクを考えていなかったとすれば、それはやはり、事業家、経営者としては不適格だったということです。

【関連リンク】
1201 カレーライスは最強の国民食だが問題もあり
1015 丼飯を日本の文化として育てていきたい
938 成功者の美徳



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テレワークが一気に進んできたことで、これからのビジネスパーソンが必要とする能力の一部が変わってきました。

 (写真はイメージ)
それは最新のテクニカルな知識と、それをうまく使いこなす能力はもちろん、その他にも自分がカッコよく映像に映るための方法とか、映りこむ背景をコーディネートしたり、自宅でのファッションセンスまで様々あります。

それらは今までのビジネスマンには不要のことだったでしょ?

私もご多分に漏れず、つたなくテレワークをしていますが、偶然、コロナ騒動がこれほど大きくなる前に、カメラ付きのノートPCを購入したことで、これが大いに役立ちました。

と言うのも、普段メインに使っているデスクトップPCにはマイクもカメラも付いていないので、web会議(テレビ会議)に参加することができません。
 
カメラもマイクもなくても、zoomの場合、オンラインセミナーで、動画を見て聞くだけならできる?と思っていたら、カメラは必須ではないものの、マイクを接続していないと、セミナーの音声が出てこないことにあとで気がつきました。遅れてますね~我ながら。

それはそうと、web会議をやって思ったのは、プレゼンテーションの巧さ、わかりやすさが際立つ人と、「えぇ~と、、、えぇ~と」や「あの~、、あの~」「ホントに~、、ホントに~」を無意識に連発していて聞くに堪えないような発言がダラダラ続く人が多いことに気がつきます。
 
それは、広い会議室、様々な騒音の中、ホワイトボードや手元のPCなどに気が散り、人の話をそこまで集中して聞いていないので、適当に聞き流せます。

しかしテレビ会議の場合は、直接の会話より、ずっと集中して聞いているので、その人の発言がとても気になります。

と言うのはネット環境によっては、話しが時々途切れたりするので、集中していないと話しの前後がわからなくなります。

「言葉に勢いがない」、「語尾が曖昧で不明瞭」、「話しが無駄が多く長い」、「抑揚がなく棒読みで単調」など、せっかく集中して話しを聞いていても、内容は入ってこないで、ただグッタリと疲労感しか感じないことがあります。

リアルな会議でプレゼンが巧い人は、テレビ会議でもさすが巧いなぁって思いますが、普段あまり感じていなかった下手な人のプレゼンは、リアルの時だと許せるところ、テレビ会議だと細かなことにまで気がついて、つい文句を言いたくなります。

テレビ会議だと、他人に見られていないので、つまらない(中身のない)話しの時には、他のことをしていたりしますが、あとで必要になったとき、実際の会議の時のように隣の人に小声で確認したり聞いたりすることができず、自分しか頼れないので、集中して聞かなければなりません。

それが本当につまらないプレゼンだったりすると、ただ腹立たしさだけが残ってしまいます。

双方向での議論や協議はいいのですけど、報告をダラダラ聞くというのはテレビ会議はあまり向かないかな。それなら書面に書いて送ってくれ!とか言いたくなります。慣れの問題かも知れません。

これがリアルな会議とテレビ会議の一番違う点かなぁって思ったり。

よくリアルでのコミュニケーションだと問題は起きないようなことでも、メールやSNSではちょっとした勘違いや誤解で炎上したり、友人や仲間と揉めたりすることが起きます。

要はヒトは誕生以来、リアル(目の前で)でコミュニケーションすることに最適化されていて、いくら技術が進み、社会環境が変わったと言っても、文字や映像、音声でのコミュニケーションは、まだ始まったばかりで(文字のコミュニケーションは手紙等で相当以前からありますが)、まだ十分に慣れ親しんでいるという状況にはないということです。

だから、そうしたコミュニケーションで、誤解した、誤解されたというのは決してその人達が悪いのではなく、まだそうした環境に我々が十分適応できていないと言うことです。

そしてこうした変化していく環境に、柔軟に対応ができるのは、やはり若さでしょう。

小さな子供ほど新たな知識を吸収するスピードが大人の何倍も速いと言われています。成長するほどその速度は緩やかになっていきますが、それでも20代と40代、50代では新しい知識を吸収するスピードには大きな差があります。

もちろん個人差があって、70歳、80歳になっても新しいことにどんどん挑戦し、過去の経験に乏しい若い人がかなわないということもあるでしょうけど、それはちょっと特殊な例です。

コロナ騒動で、働き方や価値観、生活スタイルなどが一気に大きく変わり、それに即応できる人と、なかなか変化についていけない人で、この先10年20年大きな差が付いてしまうのかも知れません。

私はそうした激しい競争社会からの引退間近で良かったと思う日々です。


【関連リンク】
1273 働き方改革と通勤定期
1132 歩数計とともに
926 在宅派遣就労が拡がる可能性はある?

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昨年ぐらいから主として人手不足などの影響から、年中無休24時間営業が当たり前と思っていたコンビニの営業時間を短縮したり休業日を設けたり、様々な働き方改革が議論されています。また、新規出店も抑制され始めていて、今まで最強だったビジネスモデルにも曲がり角に来ています。

コンビニ24時間営業や休日「一律対応見直しを」有識者検討会(NHK)
コンビニが直面する課題を議論する国の有識者検討会が報告書の骨子をまとめました。24時間営業や休日について店側に一律に対応させることは見直し、店の事情に応じて柔軟に認めるよう各社に促しています。

コンビニ店舗数、初の減少…大手は新規出店抑制に(読売新聞)
2019年12月末の全国のコンビニエンスストア店舗数が速報値で5万5620店だったと発表した。前年末の5万5743店に比べ、123店(0.2%)減少した。比較可能な05年以降、年末の店舗数が減少に転じるのは初めてだ。

ファミリーマート 6月から「時短営業」へ(NHK)
ファミリーマートは、営業時間を短縮する「時短営業」を行う際のガイドラインを公表しました。午後11時から午前7時の間に閉店と開店の時間を30分ごとに設定できるようにし、ことし(2020年)6月から順次、時短営業が始まります。

日本でコンビニエンスストアと呼ばれる形態の店が初めてオープンしたのは、今から58年前の1962年(昭和37年)に国鉄鉄道弘済会(今で言うKIOSK)と言われています。

全国展開する大手コンビニでは、49年前の1971年(昭和46年)にファミリーマートが実験店を狭山に開店。その3年後の1974年(昭和49年)にはセブンイレブンが第1号店を東京にオープンしました。ローソンは1975年に大阪で開店します。

私が小学生だった頃、今から40年ぐらい前に、地方の都市にもコンビニがポツポツできてきた時代には、セブンイレブンの社名の由来となった朝7時開店、夜11時に閉店という、これでも当時としては画期的な長時間営業で、休日には閉店していた店もあったように記憶しています。

が、いつの間にか年中無休24時間営業が当たり前の形態へと変わっていきました。

セブンイレブンの一部店舗で24時間営業が始まったのは1975年で、ローソンが1977年、ファミマは1978年ということなので、初期の頃から24時間営業の形態が考えられていたようです。ただ、それぞれ全店で24時間営業が実施(FC契約書等に明記)されるようになったのがいつからかは定かではありません。

私個人的には平日は1日に1~2回コンビニへ行きますが、その目的は150円でそこそこ美味いコーヒーが買えるのと、最近は銀行の支店(直営ATM)が減ってきたため、現金をおろすため、あとは時々コンビニ弁当や日用品を買いに行くぐらいです。

仕事をリタイアして、いつでも自宅で美味しいコーヒーを入れられるのなら、もうコンビニへ行く理由はほとんどなくなりそうです。仕事で外に出なければ現金もそうそう必要ありません。

コンビニの店舗を見ていると、無人レジが当たり前にあり、在庫商品を扱うだけでなく、ATMやチケット発行、宅急便配送、税金や公共料金支払いなど、その業務は多様化しています。確かに便利で使い勝手がよいのは確かです。

夜に働く人のことを考えると、深夜でも軽食が買え、ATMが使え、宅配便を受け取ったり送ったりでき、書類のコピーがとれるコンビニはありがたいでしょうけど、高齢化していく社会のどの地域においても24時間営業が必要か?というと、否でしょう。

例えば夜間のコンビニ需要が高い場所というのもあるでしょう。夜間診療をおこなっている病院の近くとか、飲み屋街の周辺とか、深夜にトラックが行き交う高速道路のインターチェンジ付近とか、夜間でも交通量の多い幹線の主要国道沿いとか。

私は深夜に高速道路を走ることが時々ありますが、休憩するためパーキングやサービスエリアに立ち寄った際、ほとんどの店が閉まっていて自販機しか使えないことがよくあります。そんな中に24時間営業のコンビニが入っていると、めちゃ嬉しくなります。

そういう特殊な場所で年中無休24時間営業をおこなうのは理にかなっています。しかし、住宅地や、オフィス街、駅前で、人通りがない時間帯や電車が走っていない時間まで店を開けておく必要性はありません。

営業時間以外にも、例えば環境問題、トラックで数時間ごとの配送(商品の納品だけで1日に6~7回も配送トラックがやってきます)や、期限切れ食品等の廃棄問題(期限切れが近づいても勝手に値引き販売できない)、夜間にコンビニ駐車場に集まる迷惑集団、深夜のワンオペ時を狙うコンビニ強盗など、コンビニは他にいくつも問題を抱えています。

高度成長期に生まれ、バブル期に大きく成長してきたコンビニも、これからの時代、その姿、ビジネスモデルを変化させていく必要が迫られていそうです。

【関連リンク】
1263 道の駅の活用法
856 コンビニの活用はどこまで進むのか
813 地域活性化は道の駅で
719 道の駅は次の段階へ進めるか
653 小売ビジネスはどこへいくのか



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1393
人手不足を補うためという点と、世界的にみて日本のダイバシティーが遅れていることから、経産省は東京証券取引所と一緒になって7年前の2012年から「新・ダイバーシティ経営企業100選」と称して、女性や外国人、障がい者などの雇用を積極的におこなっている企業を「なでしこ銘柄」として公表しています。

女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」(経済産業省)

そして5年前の2014年には安倍首相が「女性管理職の割合を2020年までに30%以上にしよう」と呼びかけ、その後2016年には「女性活躍推進法」が施行されました。

また、2015年に策定された「第4次男女共同参画基本計画」において政府は、「上場企業役員に占める女性の割合について、2020年には10%を目指す」という目標を立てています。

さらに、金融庁と東京証券取引所は、2018年から企業が守るべき行動規範の「改訂コーポレートガバナンス・コード」を施行し、上場企業の取締役会の構成に関して「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」を求める規定が盛り込まれるようになりました。

このように、様々な思惑や目標が交差する2020年が、もうすぐそばに近づいてきましたが、それらの進展はどうなのでしょう。

確かに最近では以前だと男性ばかりの職場だった建設現場や、電車、トラック、タクシーなどの運転士、ドライバーなど運輸交通関連、外科や整形外科の医師などにも女性の姿が目立つようにはなってきています。ただ、目立つと言うことはまだ一般的ではなく、まだ少数派だということです。

統計データは過去のものしかなく、なかなか現状を評価しにくいのですが、実感としては、確かに女性の働く人の割合が様々な場所で増えたのは間違いなさそうですが、その増加した多くはパート労働など非正規雇用で、役員はもとより、管理職に抜擢される割合が目立って増加しているとは思えません。

ちょっと2017年の古いデータですが、労働者調査で48万人の労働者が増えましたが、その内訳は女性が45万人、男性が3万名ということです。但しその増えた女性労働者のほとんどはパートなど非正規雇用です。

通常管理職になれない女性の非正規雇用が増えているのは、お金持ちなセレブ夫婦以外は、目減りしていく夫の給料や、逆に税金や社会保険費用などの支出が増え、もう専業主婦なんて贅沢なことは言ってられず、子育て中や介護中の主婦も、空いた時間で働きに出た結果であり、さらには離婚率の高まりで、シングルマザーが働きに出るといった形などで女性の就業率が高まっているという可能性が高そうです。

あと、もうひとつは、昭和時代には当たり前だった「男は外で働き、女は家庭を守る」的な慣習をもっていた巨大な人口を占めている団塊世代とその周辺の働く男性達がビジネス界から大量にリタイアし、相対的に働く女性の割合が増えているとも考えられます。

HR総研が2018年に調査をおこなった「「多様な働き方」実施状況調査」の中にある「役員を含む女性の管理職の割合」のデータをグラフ化してみました。



政府目標の30%を越える企業は、わずか4%だけというひどい状態です。

もっと敷居が高い女性役員は、四季報に掲載されている上場企業の役員を調べたところ、2019年9月現在全3740社の役員総数41,072名のうち、女性役員は2,124名で、女性役員の率は増加傾向にあるとは言えまだ5.2%です(2020年の政府目標は10%)。

もちろん、人手不足が今後しばらく続くと危機感をもっている企業も手をこまねいているわけではなく、求人で一番苦労している人事部門が率先して女性がビジネスで活躍できる舞台を作り始めています。

ブラック企業で常道だったサービス残業や休日勤務をなくし、定時退社ができる環境を整えたり、保育園の送迎に使えるよう時短勤務や在宅ワークなど。

2016年に「日本死ね」とまで言われた保育園の入園待ちも、3年が経過し、だいぶんと改善がなされてきたように思います。

しかし相変わらず変わらない最大の原因は、企業経営者でしょう。これは官公庁で女性の管理職が増えない理由とも一致します。なにぶん頭の固いお役人の上の方ですから。

まだ今の経営者には、昭和時代の「モーレツに働いてモーレツに稼げ」的な体育会系ノリが節々に残っています。東芝で有名になった達成不可能な目標を経営者が命じる「チャレンジ」がそうですね。そうした思想が一掃されるには、今の年代の経営層がすっかり入れ替わるまで、あと最低でも10年はかかりそうです。


【関連リンク】
1262 女性役員は増えるのか?
1193 引退後は健康年齢までの期間が重要
1080 女性リーダーを増やすには専業主夫が必要
1055 働き方と社会構造

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1377
新卒で会社に入り、その後しばらくは外勤営業の仕事をしていましたことはこのブログにも何度か書いています。

外勤営業を長くやっていた人なら、常時、目一杯、100%の働きを持ち続けるモチベーションや、外回りで体力を維持するのは難しく、どうも体調が悪くて気乗りのしないとき、雨や雪に濡れて気持ちが萎えるとき、取引先で喋りまくり、しばらく静かにひとりでいたいとき、上司や取引先に叱られて落ち込んだときなどなど、社外に出ていることを良いことに喫茶店などでサボった経験があるかと思います。

当然いたって凡人の私も平均すると外出時間の4分の1~3分の1ぐらいの時間は喫茶店や書店巡りなどで時間を費やしていたことを告白しておきますw

特に書店に関しては、東名阪の都市部の主だった店にはだいたい出没していて、どこの店には誰々の本が過去のもの含めて豊富に在庫があるとか、この店だと滅多に見ない雑誌が置いてあるとか、まるで書店のマーケターのごとくよく知っている時期もありました。

先日は、外勤営業をする人の数が減ってきたことを書きました。

1373 セールスマンの死ではなくセールス業務の落日 2019/10/12(土)

やみくもに走り回る外勤営業がビジネスの花形?だったのは1970年代から1990年代ぐらいまでで、その後は営業活動は効率や論理的な手法へと移ってきました。プロセスよりも結果を求める成果主義が台頭してきたので、当然のことでしょうね。

そうすると、それまで営業マンの憩いの巣となっていた喫茶店にとっては死活問題となってきます。

ここで取り上げる喫茶店は、店内にスポーツ新聞や漫画雑誌、週刊誌などが置かれていて、ゆったりしたソファーや椅子があり、コーヒー一杯で何時間粘っていても後ろめたくはない昔ながらの喫茶店です(もちろん普通の神経だと1時間を越えると気がとがめますが)。

私は、外出時のランチは、食事のあとにコーヒーがつく喫茶店をよく利用していました。それだと客単価は千円近くになり、1時間以上粘って週刊誌を読みまくっても気がとがめません。

スタバやドトールのようなカフェスタイルのお店は、いわゆる営業マンが根城にするにはオープン過ぎて、しかも長く座っていると疲れるお洒落な背の高いチェアなどで、旧来のソファに深々と座って休憩ができる喫茶店とは一線を画しています。

そのように旧来の喫茶店から外回りの営業マンの常連が次々と減り、現在では、引退して暇を持て余している高齢者が、懐かしさからか、どこからともなくワラワラと集まってきているに過ぎません。

そうした昔ながらの喫茶店は今や絶滅状態で、駅前の便利な立地であっても、喫茶店よりも客の回転が速く、若い人に好かれそうないカフェやファストフード店に置き換わっています。

これと同様な状況は、一般書店にも当てはまり、若者の書籍離れ、週刊誌や雑誌が好きだった団塊世代の大量リタイア、書籍購入の通販利用、中古書籍店のチェーン展開、急増したコンビニでの雑誌販売、電子書籍化など、90年代以降に書店経営にとっては逆風が吹きまくり、今や風前の灯火状態で、喫茶店とともに絶滅が危惧されています。

この喫茶店の店舗数推移と、書店数の推移には、なにか相関関係があるのではないかと個人的にふと思って、調べてみました。

下のグラフ、調査された年月や調査主体が統一されていないので、おおよその感じで見ていただきたいのですが、「喫茶店数推移」と「書店数推移」を表したグラフで、数量は喫茶店が書店の6倍ほど多いため、高さの目盛りを左右の軸に分けて同水準に合わせてあります。


出典:総務省統計局「事業所統計調査報告書」、経済産業省・商業統計調査、日本著者販促センター 、日本著者販促センター

喫茶店数(青)のピークは1981年(昭和56年)で154,630店、書店数(オレンジ)のピークは1988年(昭和63年)の26,216店です。両者がピークを迎えた年は7年の差がありました。

次にピーク時と最近を比べると、どれぐらいの割合まで減少したか調べてみると、喫茶店で43%、書店で44%と同水準に減少していることがわかりました。どちらもピーク時の半分を割っていたのですね。

この喫茶店数と書店数、バブル絶頂期より少し前に迎えたピーク時から、この約30年の間にほぼ同じ割合で減少してきたということになります。

しかし、それぞれの利用者の年齢や利用頻度など多くの要素が不明なので、具体的な相関関係があるのかはわかりません。

80年代を駆け抜けていった外勤営業マンに必要不可欠だったこの両者の衰退が、かなり似通った曲線で表せたことに、なにか感慨深いものがあります。


【関連リンク】
1097 出版不況と電子出版の行方
954 書店数や出版業界売上減と未来
817 カフェではない喫茶店の凋落
330 消滅する書店



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