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今日から新年度が始まります。(多くの)企業や役所、学生のお正月です。また、日本の雇用慣例ともいえる新卒採用入社は、ほとんどが4月1日の入社となります。
今年は今日1日が土曜日のため、新入社員(職員)の初出勤は、3日の月曜日になるところが多いでしょう。
また今日4月1日はエイプリルフールで、各社、各人趣向を凝らした面白コンテンツが出てくるのが恒例ですが、いかんせん面白みのないオヤジゆえ、そのようなお遊びには向きません。
なので今回も普通のつまらないオヤジの独り言です。
思わずその背中に「頑張れよ!」と声をかけたくなります。
信じ難いことですが、まもなく定年を迎える私にも当然新入社員の時はあったわけで、今でも昨日のことのように覚えていますから、この学生から社会人となった節目というのは人生の一大転機という大イベントなのです。
多くの場合、入社初日には入社式があって、社長など偉いさんのつまらない訓示があり、昼食は役員や社員との立食パーティ、午後からは社内見学や数日~数週間の入社時研修がスタートというのが多いでしょうか。
このあたりは私が新入社員だった38年前とほとんど変わっていない気がします。
日本人は入園式、卒園式、入学式、卒業式、そして入社式と節目節目でのイベント(式)が好きなようですね。
けじめをつけるという意味でも悪くはないと思いますが、逆に言えばそうした式に出ないと、一定の同年代の仲間には加われないというような村意識を強く感じることもあります。
つまり、一度入社すれば終身雇用が当たり前だった時代の遺物ともとれますし、中途入社組を否定したり、のけ者にする制度のような気がします。
もっとも最近では労働者の流動化が進み、終身雇用も崩れ始めているという中で、そうした新卒入社組と中途入社組を分けたり区別するのは流行らないと思いますが、深層心理の部分ではまだまだそうした区分が残っていたりするのでしょう。
ふと気がつきましたが、定年で退職するときには一般的には「定年退職辞令」が出て、所属部署でささやかな慰労会が開かれる程度で、会社を挙げての退社式というのはあまり聞いたことがないですね。企業によっては、特に同期退社が多い大企業などではあるのかな?
入社式は盛大にやっているのだから、退職するときも、しかも企業都合で退職する場合は、ちゃんと盛大な退社式を開催してもらいたいものです。
もちろん辞めたくて辞める人ばかりではないでしょうから、そういう虚礼に出たくはないという定年退職者も多いかとは思いますが。
ま、それはどうでもいいのですが、、、
せっかくだから新入社員や若手社員へ老年の私から贈る言葉です。
(1)生まれてから社会人になる20数年間と、社会人になって定年になるまでの40年間は、実感として同じぐらいの期間だと思え。それぐらい社会人になってから年をとるスピードは速い。
(2)役所や大手企業にうまく入れたら、無理せず細く長くという生き方を。甘い話には乗らずに地味に淡々と生きるべし。残念ながら中小零細企業に入ったら、一人で会社を背負ったつもりになって派手に暴れよう。うまくいくと大化けする。
(3)入社して3年間は個を捨て滅私奉公してみよう。人生80年の間に3年間ぐらいそういうことを経験して絶対に損はない。
(4)社外の友人は絶対必要だが、それは30代になってからでも遅くはない。まずは社内で絶対的な友人や信頼できる先輩を作ろう。
(5)辞めたくなったら少し仕事以外の趣味や学生時代の友人たちと遊んでみよう。特にスポーツで思いっきり汗を流すのがいいぞ。そして客観的に自分と仕事を見つめてみよう。感情の赴くまま辞めてしまったあと、転職して成功するのはホンのわずかなレアケースだと思え。
今は定年が60歳というところが多いですが、今の新入社員が中高年になる30年後40年後には定年が65歳、または70歳となっているでしょう。つまり22歳で入社して、43年~48年間も働くことになります。
でも長いようで、案外あっという間に過ぎてしまいます。苦しいこともありますが、楽しいこともいっぱいあるでしょう。
社会人の最低限のマナーとして健康に留意するのと、約束は守る、違法なことには手を出さない、仕事では感情的にならない、先輩には敬意を表すなど、たいへんでしょうけど頑張ってください。
【関連リンク】
837 電話に出るということ
700 なにもかも懐かしい新入社員の頃
645 面白い入社試験
636 昨今の新入社員は終身雇用制を支持している
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宅配大手のヤマト宅急便が配達員不足でたいへんだ!ってことが話題になっていますが、どうしても疑問に思えてくることがあります。
通販事業者は“物流危機”にどう対応する?(ITメディアオンライン)
ヤマト宅配便を直撃、人手不足は日本経済の新たなボトルネックだ(ダイヤモンドオンライン)
その後に出てきたのは、「配達しても不在だと再配達になる」「通販などの大口顧客向けの割引競争が激しい」「時間指定など細かな指示が増えて面倒」「宅配ボックスの設置が不足」などなど。
しかし普通に考えると、「通販など宅配物が増えれば、それだけ配達の効率が上がり(コストが下がり)、したがって利益は増える」はずではないのか?と。
例えば、家1軒に今まで1個だけの荷物を宅配していたのが、増えて1回で2個の荷物を届けられれば効率はグッと上がったことになります。3個4個とまとまる場合だってありそうです。
個数と同様、今までは一家の中で父親だけが通販を使っていたのが、母親も子供も祖父母もみな通販を利用すれば、一家に何個もまとめて1回で配達できるので、これほど効率のよい宅配はないです。我が家がまさにそうです。
そうしたまとめて配達が可能となるので、宅配会社はできるだけ多くの荷物を引き受けたくなるのが自然の摂理というものです。
配達先が不在というのは、別に最近急に高まったわけではありません。逆に最近では新しいマンションなどでは宅配ボックスが設置されたり、時間指定が始まってからは在宅の精度が高まり、10年前より不在配達の率自体は大きく減っている可能性があります。
では真の問題はなにか?
「不在が多く再配達が手間」「1日にさばけないほど大量」というのは、なにかとってつけた値上げの言い訳みたいなもので、荷物が増えた(=売上増加)なら、それに応じた物流拠点を整備し、人を雇えばいいだけのことです。人が雇えないのは人手不足のためというのならもっと賃金を上げればいいのです。
別にこの通販による宅配増加は、季節変動や一時的な増加と言うことではなく、小売りとデリバリーの変革ですから、投資した分が将来無駄になる可能性は極めて低いと考えられます。
少なくとも高齢化がピークになる20年後までは間違いなく通販の利用者は増え続けるでしょう。
つまりヤマトは大口顧客を取るために、大口顧客割引を拡大しすぎたために、取扱量が増えても人を新たに雇うほどは儲からない仕組みに陥ったという自業自得みたいなもので、それはつまり価格戦略、経営戦略の失敗に他なりません。
今の中小零細企業は、一部業界を除き、人口減少、少子化、高齢化、生産拠点の海外移転等のため、仕事が少なくあえいでいるところも多い状態です。
それに比べれば宅配の仕事は腐るほどあって、さらに今後増えていくことが明かな景気のよい数少ない業界です。
ただそれは荷主、特に大口の荷主との関係において、公正な料金が請求していることが前提なのです。
もしアイデアマンで国の古い規制に敢然と立ち向かい、人徳もあった宅急便の生みの親の小倉昌男氏が生きていたら、こうした他社と競争のため、荷主と弱腰の交渉のために自社の従業員を犠牲にするような経営方針はきっととらなかっただろうなぁって思います。
ハッキリ言って今のヤマトの経営陣は無能なのでしょう。
だいぶんと以前から、各戸の玄関まで運ぶ「ラストワンマイル」の様々な問題は指摘されていました。
宅配ボックスで解決するならよいのですが、あれも宅配各社で取り合いになっていたり、通販会社がとんでもなく大きな段ボールで梱包するせいでボックスに入らなかったりと、最終的な解決策に至っていません。
例えば、東急田園都市線~東京メトロ半蔵門線~東武スカイツリーライン・伊勢崎線は3社が乗り入れて相互運行しています。同様に東急~東京メトロ~西武、小田急~東京メトロ~JR東日本などもあります。
宅配業でも相互に協力し合うことで、もっと配送効率を高め、宅配会社ごとに玄関に出なくちゃいけない客の手間を減らし、配送トラックの数も減らして、環境に優しい経済活動が可能となるでしょう。
少なくとも相互乗り入れは都市部で顕著に効果が期待できます。
例えば、現在のコンビニでは、扱う宅配会社が決まっていて、客側からすると家の近くにコンビニがあるのにわざわざ遠くのコンビニへ行かないと希望する宅配会社に依頼ができないとかコンビニ店頭受取ができないという問題があります。
昭和じゃないんだから、そうした縄張り意識で意地張って争っている場合じゃないでしょ?
少なくともエリアを分けてそれぞれが担当するエリアへまとめて荷物を配達すれば、配達する方も、受け取る方も1回で済みますからこれほど便利になることはありません。Win-Winです。なぜそれができないのでしょうか?
※後で知りましたが、2016年から一部地域においてヤマト、佐川、日本郵便の共同配送がスタートしているそうです
また不在の場合は近隣のコンビニにまとめて預け、客にそこへ取りに行ってもらうか、再配達する場合は、数百円の別料金にしてコンビニ従業員(常に複数のアルバイトがいるので可能)に肩代わりを頼むような仕組みも作れそうです。
人不足と言いながら、定年前後の中高年者ならまだまだ余っています。
そりゃ、500ミリリットルミネラルウォーター48本パックを団地の4階まで階段で運べと言うのはキツイですが、そういうのを除いた他の約9割の荷物は高齢者でもクルマやバイク、自転車、手押しカートで配達が可能です。
各地域にステーション(営業所とかコンビニとか集会所とか)を設け、そこを基点として暇で時間の余っている高齢者にラストワンマイルを託すのは難しいとは思えません。
人集めも簡単だし、一般的に年配者は若者と違って信用を重んじるので遅刻や無断欠勤も少ないと思われます。病気や体調不良が多いかもしれませんが、、、
せっかく通販の恩恵で業務量が拡大してチャンスなのに、経営努力や流通革命も起こさず、なんだかんだと愚痴のように外に向けて文句を垂れ、大口顧客への大幅値引きによって収支を悪化させた経営戦略のミスと無策を「再配達がどうの」と一般利用者に責任の一端を押しつけ、値上げまで実施するヤマトの経営者には愛想が尽きそうです。
【関連リンク】
1081 高齢ドライバに対する偏見と規制
1055 働き方と社会構造
1040 高齢化社会は日本になにをもたらすか?
938 成功者の美徳
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休日になるとつい行きたくなる大量の中古書籍などを扱っているブックオフですが、いつ行っても一般書店にはない活況ぶりで、これは儲かっているなぁって思っていました。
もっとも最近は書籍だけでなく衣料品や家電品まで並んでいるSUPER BAZAARという大型複合店へ行くことが多いのですが駐車場はいつもいっぱいで入場待ちしているような状態です。
調べてみるとそんな急拡大してきたブックオフも2014年に連結ベース792億円の売上高だったのが、2015年は743億円、2016年は766億円と、2014年の売上高を2年連続して超えられず、ここ数年は足踏みをしています。
ちなみに今年2017年3月期の連結予想売上は850億円ということですから、それが実現すれば大幅な増収となり、過去最大の売上を記録しそうです。最近のブックオフの収益の柱は中古書籍販売だけではありませんが、それにしても紙の書籍は強し!ってところを感じられます。
中古の書籍がいくら活発に売れようが、その本の著者にはなんのメリットはなく、よい作家、よい本に報いたい、応援したい、育てたいと願う真の読書家達にとって、ブックオフや古書店での購入は後ろめたい気持ちになります。
じゃ、もっと一般書店で著者に印税が支払われる新刊本を買えばいいじゃないか!ってことですが、ここ数年給料は下がり続ける一方で、食費や電気代やガス代、社会保険料などはジワジワと上がっていくアンバランスな中で、書籍などの購入費、仕分け項目で言えば新聞図書費とでも言うのでしょうか、これらの費用を下げざるを得ないというのも現実です。ごめんなさい。
考えてみると、昔から単行本にしても雑誌、文庫本にしても価格が上がることはあっても下がることはまずありません。
最近は電子版(電子書籍)だけは安く販売されるという書籍もありますが、紙の書籍の場合、物価とは関係なくずっと上がり続けています。書籍は出版社が自由に値段をつけられるはずですが、薄利多売をしようとする動きは見られません。
80年代か90年代にある出版社の文庫本の広告コピーに「コーヒー1杯の値段で買える文庫本」という見出しがありましたが、現在ではドトールコーヒーでブレンドコーヒーの値段は270円(Mサイズ)、スターバックスのドリップコーヒー280円(Short)、高級ホテルのコーヒーと味は変わらないと言われるセブンカフェでは150円(Lサイズ)ってことと、書店に並ぶ文庫本の平均価格は700円を超えているということを考えると、もはや文庫本の1冊の定価はとてもコーヒー1杯と見合う価格ではなくなり、それこそブックオフで販売されている中古価格と近くなっています。
本来なら、昔の活字を拾っていく活版印刷時代から、コストが大きく下がるデジタル製版となった現在でも、出版物の価格はまるで統制下であるかのように値下がりすることなく逆に上がり続けてきました。
統制と書きましたが、新品の書籍の場合「再販売価格維持制度(再販制度)」があって、競争や企業努力が排除され、価格が高値で維持される仕組みがあることも影響しているのでしょう。
この再販制度は元々は流通機能が脆弱だった時代に地域差をなくして等しく文化的な生活がおくれるようにするという立派な制度ですが、今ではそれが利権構造にしっかり組み込まれ、出版社や新聞社の甘えの構造となり、流通網が整備された中でも生き残っているゾンビのような存在です。
今回はその再販制度の話しではないので、深くは書きませんが、長らく続く出版不況のひとつの原因には、そうした再販制度が関与しているのは間違いがないところです。
さて、2017年になって2016年の各種年間データが出てくる頃ですが、まだ手元には詳細なものがないので、2015年までのデータを元に出版状況に触れておきます。
データの出典は全国出版協会です。
書籍・雑誌実売売上推移
書籍の売り上げは2006年頃まで1兆円規模の実売売上がありましたが、ここ数年著しく減少し、ここ10年間をみると平均で200億円ずつ減少しています。2015年は7936億円、2016年はさらに減少する見込みです。
雑誌は書籍以上に大きく下げていて、1999年まで実売売上が1兆5000億円以上あったものが、2015年は8075億円と約半減しています。この10年間で見ると1年で平均500億円ずつ減ってきています。先行きは暗いでしょうね。
一方で伸びているのが新刊本の点数です。多趣味、多様化の流れの中、多品種の書籍を揃えて購買意欲を喚起しようという作戦はわかりますが、製造業と似てきて儲かりにくい構造に陥ってしまっています。
そして多品種少量販売による利益減少のしわ寄せは、大手が占める出版社や印刷、流通ではなく、一般的には個人の著者や、弱小出版社、中小の一般書店、そして読者へと、立場の弱いところにいくのが通例でしょう。
出版社数推移
出版社は集英社や講談社、小学館、角川書店、日経BP、宝島社、文藝春秋など大手出版社もあれば、ニッチな専門に特化した数人規模の出版社まで多岐に渡ります。
1995年前後には4,500社を超える出版社がありましたが、その後ジワジワと減り続け、20年後の2015年には3,489社となり、1995年からすると75%程度になりました。
上記の通り、書籍で20数パーセント、雑誌で50%近い減少となっている中で、出版社が75%も生き残っているのが不思議とも思えますが、比較的根強い人気のコミックスや、専門性が強く需要は減ってもなくなくならない学術書、旅行など趣味の本、最近なら高齢化を反映して健康や医療の本などはまだまだ健闘しているのでしょう。
昨年2016年は音楽専科社、新思索社、東洋書店、マガジントップ、ガム出版など出版社の倒産や廃業の他、書籍取次中堅の太洋社や老舗書店芳林堂書店なども出版不況の中で倒産しています。
こうした出版不況でも各社共に力を入れている電子書籍は盛り上がっているのか?というと、確かに電子書籍の売り上げ自体は伸びていますが、実は電子書籍のほとんどがコミックで、電子書籍全体の中に占めるコミックの割合は8割を超えるそうです。
ミリオンセラー100万部が売れた大ヒット小説でも、その電子版はと言うとよくて10%、通常は5~6%に過ぎないそうです。5%では「盛り上がっている」とは言えませんね。
その原因は様々あるでしょうけど、元々読書する人が減ってきているという流れがあり、従来からの読書家は慣れた紙の書籍に愛着があり、したがって電子書籍を積極的に使うのは、携帯機器と相性がよい読書離れが一層進んでいる若者だけでしょう。
紙の書籍が手に入りにくくなれば今の読書家達も電子書籍への移行が進むでしょうけど、今のところ、翌日、下手すれば当日中に届くAmazonもあれば、都会では古書を大量に扱うブックオフがあちこちにあり、紙の書籍を手に入れるのにまったく不自由しません。
ある人は買うのも読んだ後に売るのもブックオフで、ブックオフが自分の書棚だとまで割り切っています。
その若者はと言うと、勉強でも人生哲学でも恋愛でも、なんでもコミックやアニメに置き換えてしまえる世代ですから、スマホでコミックを見るというのがマッチしているのでしょう。
スマホから一時も目が離せない若者に、じっくりと長い時間をかけて、想像力を駆使しながら文字ばかりを追わねばならない長編小説を読ませようと思っても不可能でしょうから。
電子書籍元年と言われた2010年からすでに7年間。あのときにはすぐにでも紙の書籍は電子書籍に置き換わりそうな勢いで語る人も多かったですが、いまそれを言うとバカにされるだけです。
紙の書籍との逆転は数年の後に一気にやってくるのか、それともまだあと数十年は紙の書籍が優勢で進むのでしょうか。
それはデジタルネイティブと呼ばれる1980年以降生まれの人達が、人口の半数を占めるようになる2020年から数年間の出版社の動向がポイントになってくるでしょう。
【関連リンク】
954 書店数や出版業界売上減と未来
755 電子書籍を普及させるには
743 出版社不況の現状
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大学卒の初任給はこのところは上がっていないという話しをよく聞きますが、統計上はどうなっているのか調べてみました。
初任給は業界ごとで割りと平準化されていて、就活の時に学生は初任給によって就職先を選択をするとは思えませんが、採用側の人事部はとてもナーバスになり、同業他社と差がつかないように神経を使っています。
業界が違えば給与体系も違い、初任給も高低様々ありますが、逆に初任給が高いと学生は「これはなにかあるな」と疑心暗鬼となります。
新卒で就活する人に言いたいのは「初任給は気にするな!」です。
なぜかと言うと、給料の差はスタート時点ではなく、数年後から十数年後に大きく差がついていくのが普通だからです。新入社員時の初任給が1~2万円多いとか少ないとかはちっぽけなものです。
できれば就職する会社の30歳、40歳あたりの平均年収がもし調べられるならそれを基準にしたほうが良さそうです。もっとも新入社員の3割が3年以内に辞めていますので、そうした10年後のことなど考えてはいないかも知れませんが。
あと、給料以外に各種手当てが厚く支給される会社もあれば、ケチ臭い会社もあります。例えばですが、移動時のタクシー代や接待交際費など会社が全部持ってくれるところもあれば、利用制限が厳しい会社もあります。近年は後者がほとんどでしょうけどね。
その他でも、大手金融機関だと極めて低い利率で住宅ローンが借りられ、それだけで年収に換算すると数十万円、20年ローンなら数百万円に相当します。
自動車メーカーや販社勤務だと、20~30%割引で新車が購入できます。300万円のクルマだと、通常割引は頑張っても15万円程度ですが、社員と言うだけで90万円近く安くなります。こうした就く業界や企業によって給料以外のメリットもあるから、単に初任給の比較なんてちっぽけなものなのです。
さて、その初任給の長期推移ですが、元データの出典は総務省統計局「賃金構造基本統計調査」と、過去の初任給を現在の価値に換算するために「2015年基準消費者物価指数」を使いました。
棒グラフが初任給の推移です。折れ線グラフは2015年を100とした時の、物価指数で調整した初任給の値です。参考までに。
高度成長期の1970年代から80年代にかけては、順調に毎年初任給が上がり続け、インフレ懸念もありますが、一般勤め人にとっては理想的な初任給の上昇カーブを描いています。
初任給が上がると、それに準じて先輩社員の給料もあがり(当時、人事考課の影響か先輩社員の給料が上がらず、新入社員の初任給のほうが高くなったという笑えない話しも方々でありましたが)ますので、期待感で懐が緩み、内需が喚起され、バブルの発端ともなりました。
しかしバブル崩壊後の1994年頃から、初任給の上昇は停まり、その後20年以上ほぼ横ばい状態が続くことになっています。
初任給の上昇が停まれば、先輩社員の給料の上昇も停止し、先述した話しの逆で、デフレ経済、内需縮小、経済低迷期に突入するということになります。企業は社員の給料を抑えることで需要も減らし、負のデフレスパイラルに陥ってしまいます。
折れ線グラフで示した通り、2015年を基準とした物価指数で調整した初任給を見ても、1980年代の上昇は顕著で、1990年代半ば以降は横ばい状態が続いています。失われた20年とか言われる所以です。
したがってこの20年間に学校を出て新しく社会人になった人達は、バブルの恩恵は直接受けてなく、給料が毎年順調に上がっていくという経験もしていないことになります。
給料を上げていくためには、同僚はもとより先輩社員とも競争して、場合によっては蹴落とし、目立って上司に気に入られるように努力をすることが求められます。
バブルの頃のように、大人しく黙っていても毎年10%、20%と全員の給料やボーナスが上がっていくことはありません。
個人的な話しをすると、私は1980年(昭和55年)に新卒で就職しましたので、このグラフの通り80年代バブルの恩恵を受けました。就職した時はまだ小さな会社でしたが、年1回の給与改定では大幅なベースアップがありました。
しかし時代はバブル、同時に金遣いも派手になり、入社してから2年ぐらいは毎月赤字で(ちょうどその頃からカードローンという銀行のキャッシュカードで自動的に借りられるシステムが始まりました)、年2回支給のボーナスで、それらの赤字を埋めるという自転車操業でしたが、それも3年経過後には解消し、貯金する余裕がありました。いい時代でした。
次に、産業別に初任給の違いはあるのか見てみましょう。
2009年から8年間のデータです。出典は上と同様総務省統計局「賃金構造基本統計調査」です。
比較的初任給が高いのは赤「情報通信業」、薄青「専門・技術サービス業」、紫「不動産業・物品賃貸業」、緑「金融・保険業」あたりです。私が新卒入社した頃1980年代だと、ダントツに金融、商社、航空業界がトップだったでしょうけど、商社や航空業界はバブル崩壊と共に下げてしまったようです。
但し商社、しかもトップ3あたりの商社では、新入社員の頃は平均的でも10年後の年収はたぶん金融にも負けてないぐらいの年収を誇っていると思われます。
逆に初任給が低いのは青「運輸業・郵便業」、ベージュ「宿泊業・飲食サービス業」です。しかし初任給で比べるとまだそれほど極端な差はついていません。
初任給では差がなくとも、社員の平均給料や生涯収入で比較すると明らかな違いが出てくるでしょう。
但し平均給与の場合は、データの平均年齢が産業ごとに違うのと、生涯収入も退職金(最近退職金制度を廃止する企業が増加)や他の福利厚生サービスの違いなどもあり、厳密な比較は難しいところです。
あと、2011年に青「専門・技術サービス業」、紫「不動産業・物品賃貸業」、赤「情報通信業」の初任給が飛び抜けて高いのは、東日本大震災となにか関係があるのかどうか、不明です。
【関連リンク】
1067 平均給与は下がり、税金や社会保障費の負担は増え続ける現実
859 採用氷河期でなにが問題なのか?
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
463 新卒就職活動に思うこと
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厚労省から若年者の雇用状況を把握するために毎年調査をしている「新規学卒者の離職状況」についてちょっと触れておきます。
新規学卒者の離職状況(厚生労働省)
城繁幸氏の「若者はなぜ3年で辞めるのか?」が世に出たのは、今からちょうど10年前の2006年9月でした。実はその前、ITバブルが弾けた2000~2002年頃の就職氷河期に、新卒で入社した若者が次々と辞めだしたのがきっかけと言われています。
90年代前半にバブルが弾けて長引く平成不況の中、かろうじて活況を呈していたITバブルもが弾けてしまい、一気に日本経済は失速していきます。
その就職氷河期に、苦労してやっと新卒で入社した人達は、実際に仕事に就いてみると「思っていた仕事じゃない」「聞いていた話しと違う」とばかりに一気に退職者が増加していきます。
企業側にしてみれば、不況で教育にお金もかけられず、買い手市場で狭き門だから、少々荒っぽく使っても辞められないだろうという驕りと、若者も仕事の中身や企業の体質、文化にはお構いなしで片っ端にエントリーシートを出しまくり、希望する会社、仕事ではないけれど、とりあえず内定くれたので入社したというツケが双方に出たと言うことでしょう。
その後リーマンショックが起きて世界的な不況に突入したため離職率は一時的には下がりますが、また2009年頃から上昇へ向かい3年以内に辞める大学新卒者の割合は10年前と同様に30%を超えるようになっています。
大学卒業就職者の在職期間別離職率
次に産業別で見ると、飲食・宿泊業は離職率が最も高く、3年以内で辞めたのはなんと59%と6割近くに達しています。
「おもてなしの心」や「外国人観光客2000万人突破」「2020年には4000万人目標!」とか言っておきながら、それを担う人達は「とてもやってられない」という現状が見えてきそうです。
こんな状況では、4000万人はもとより、やがては「日本の観光地は客も従業員もみんな外国人ばかり」ということになってしまいそうです。
大卒者の3年以内の離職が多い業種の次点は、理美容師や旅行業などを含む「生活関連サービス業、娯楽業」で47.9%、次いで「教育、学習支援業」の47.3%となっています。
これら離職率の高い上位に位置する業種は、いずれも大企業は少なく、中小企業主体の経営という点が特徴的かも知れません。
大企業でないと言うことは、給料や福利厚生サービスなどでも劣っていて、しかも他の業種よりも肉体的精神的にキツイということになれば続かないのもわかります。
その証拠に勤務先の従業員規模別で大卒者の3年以内離職率を見てみると、5人未満の零細企業では59%、100~499人の中小企業で31.9%、1000人以上の大企業では23.6%となっていて、大企業ほど離職率は顕著に低くなっています。
このことから中小零細企業が多い業種では離職率が高くなり、電気・ガス、製造業、金融など比較的大企業が多い業種では離職率が低いということもになります。
「大企業ばかりにこだわっていないで、中小企業に目を向けよ!」とか言っている無能な学者や評論家などの意見などは無視して、安心して長く働きたいのなら「寄らば大樹の陰」は当然の帰結でしょう。
【関連リンク】
859 採用氷河期でなにが問題なのか?
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
727 大学生の就職率推移と卒業後の進路
714 離職率が高いことは悪ですか?
614 企業は若者の早期離職を恐れるな
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