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悪女について (新潮文庫) 有吉佐和子

タイトルからすると、まるで週刊誌に連載するようなエッセイ集のような気がしますが、1978年に「週刊朝日」で連載された有名な長編小説で、テレビドラマ化も2度おこなわれています。

主人公の富小路公子という名前を見ると、2003年に起きた有栖川宮詐欺事件を思い出しましたが、過去には一見すると皇室や貴族と誤解しそうな偽名や芸名などを使って相手を信用させる犯罪や売名行為はよく見られました。

この小説には実在するモデルはなく、フィクションですが、男社会だった戦後の高度成長期を、不幸な身の上にかかわらず、たくましく生き抜く女性主人公に多くの共感を呼んだのではないかと思われます。

その主人公女性ですが、生まれは八百屋の一人娘で父親は早くに交通事故で亡くし、貧しい家庭に育ちますが、女の武器を利用しながら、名門家の跡継ぎや資産家の奥方達を手玉にとり、また多くの後援者や味方も作りながら着実にやり手の女実業家として成長していく姿に魅了されていきます。

小説のスタイルはその主人公本人が語るのではなく、関係者27人がこの主人公の女性について語るという手法で展開されていきます。しかもいきなり主人公は不審死で亡くなったことが明かされて、その死の謎にも興味が沸く仕掛けとなっています。

それは芥川龍之介の「藪の中 」と同様、複数人の視点で主人公の生い立ちから現在の姿まで語らせることで、語る人によって「とても上品で優しい人」、「男をはめて賠償金目的の性悪女」など様々な見方がされ、テンポ良く読者を引きつけていく手法は圧巻とも言えます。

★★★

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

空の中 (角川文庫) 有川浩

女流作家が自衛隊を舞台にした小説を書くのは珍しいですが、著者のデビュー作にあたる「塩の街」(2004年)、「海の底」(2005年)とともに自衛隊三部作のひとつとされ、2004年に単行本、2008年に文庫版が発刊されています。

もっとも映画でも大ヒットした「図書館戦争」などの著者でもあるわけなので、そうしたミリタリーオタクが喜びそうな知識が豊富ということなのでしょうが、著者の本を最初に読んだのが「阪急電車」だっただけにその落差というか幅に広さには驚かされます。そういえば「阪急電車」の登場人物にも上空を飛ぶヘリコプターの音を聞いただけで機首かがわかる人がいたような気がします。

「阪急電車」の感想
2012年2月前半の読書「迷宮 清水義範、阪急電車 有川浩、ひとがた流し 北村薫、読者は踊る 斎藤美奈子、九つの殺人メルヘン 鯨統一郎」

主人公は航空自衛隊のF15戦闘機のパイロットのひとり息子で、父親を飛行訓練中に謎の事故が起き亡くしています。もうひとりの主人公は、戦後初の民間小型ジェット旅客機を製造するメーカーの男性で、この試作器も自衛隊の航空機と同じ場所でテスト飛行中に謎の爆発事故を起こしていて、その関連を調査するため、航空自衛隊に日参しています

この二人の主人公に共通するのが、古代から生息していたという高々度に浮かぶ、謎の浮遊体生命とコンタクトが取れることです。それがミステリー仕立てのSFホラー小説みたくなってきます。

あり得そうもないSFミステリーなのですが、事故で亡くなったF15パイロットの部下で、間一髪生き残った女性パイロットと、主人公、もうひとりの主人公(高校生)と隣に住む同級生の女の子の二組のカップルのコミカルな関係など、いかにも女性が書いたロマンティック色も忘れていない作品となっています。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA) 神林長平

シリーズ1作目の「戦闘妖精・雪風」(1984年)、2作目の「グッドラック―戦闘妖精・雪風」(1999年)に続く3作目の作品で2009年に初出、2011年に文庫版が出ています。

前の作品を読まずにいきなりこの作品を読むと、きっとなんのこっちゃわからないということになりますから、面倒でも最初の作品から読みましょう。最初から読んでいても、前作からしばらくあいだが空くと、なんのこっちゃって考えたりするぐらいですから。あ、それは単なる物忘れが激しくなってきているせいかも。

さて本編も前作同様「ジャムになった男」、「雪風帰還せず」、「さまよえる特殊戦」、「雪風が飛ぶ空」、「アンブロークンアロー」、「放たれた矢」の連作短編で構成されています。

2作目の終盤からいわゆる地球防衛軍(FAF)と異星生命体ジャムとの闘いが本格的になってきます。そしてちょっと展開が複雑で哲学的になってきたというか、実体を持たない異星体との心理戦で、主に人間側の感情や心理面に関する話しが多くなり、なにが正しいのか、なにが本物なのかということが、歳を取って柔軟性に欠ける頭では追いつかず、苦労します。

起承転結があってスッキリと終わるというものではありませんので、それだけは覚悟が必要かも。

1作目が初出してから30年が過ぎていますが、まだ完結には遠い感じで、今後も続編が出てくるのは間違いなさそうです。著者も62歳ということで、作家としては脂がのって、これからとも言えますし、まだまだ頑張ってもらいたいものです。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

青い約束 (ポプラ文庫) 田村優之

著者は1961年生まれで、日本経済新聞社の記者として活躍されている(同書執筆時)方です。この本は「夏の光」という題名で発刊した小説を加筆修正し、同時にタイトルも変更して2012年に文庫化されました。

主人公は高校生の頃からエコノミストになりたいと勉強し、その夢はかなえたものの、勤務していた銀行が合併吸収され、難しい立場に置かれている男性。

さすがに著者が経済新聞記者だけあって、国債の発行と経済に関して主人公のエコノミストの言葉を借りてその仕組みと持論をわかりやすく語ってくれます。

それはいいのですが、ある日主人公が取材をしていた財務省で、大手新聞社の記者で高校の時以来プッツリと縁が切れていた同級生と出会い、その縁が切れた理由が読者には謎として浮上してきます。あることが原因で縁が切れるまでは親友だった相手です。

その理由について、小出しにして読者をじらし、だんだん邪魔くさくなてきますが、我慢して読み続けなければスッキリしません。

小説の主テーマでもあるところに「大きな謎」があることを序盤にハッキリ提示しておき、その謎をいつまでも明かさないというのは常套手段なのかもしれませんが、なにかもったいぶられているようで、また無駄に紙面を稼いでいるようで、超売れっ子作家が数ある中のひとつの手法として使うのでなければ、私は好きにはなれません。イライラするだけで。歳のせいでしょうか、やっぱり。

普段、著者が書いている経済新聞は、大見出しで結論を、記事本文でその詳細を簡潔に書いているわけで、その鬱憤?を晴らすためか、小説はその逆の手法、大見出しで謎を、本文ではダラダラと横道に逸れながら最後まで結論をひっぱるという手法でと考えておられるのでしょう。困ったものです。

★☆☆


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