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時の地図 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-1) 上・下 フェリクス J.パルマ

 
著者は47歳のスペインのSF作家で、このデビュー作の小説は2008年に出版、日本語版は2010年に発刊されています。

これを単なるSF小説と思って読み始めましたが、悪い意味ではなく、あまりにも想像していた内容と違っていたため、頭の中の混乱がしばらく収まりませんでした。

長編小説で3部に分かれていて、1部の主人公と2部の主人公はまったく別人で関係はありません。そのためまずは二つのあまり面白くもない退屈な時代小説を読むような感じです。

そしてその1部と2部に共通してちょい役で出てくる、実在したSF作家H.G.ウェルズが、3部で主人公となって登場し、いよいよ本格的なSF小説じみてくるわけです。

ある程度の年配の人なら、H.G.ウェルズを知らない人はいないと思いますが、「宇宙戦争」「透明人間」「タイムマシン」を書いたSF作家で、彼が生きた19世紀の終わり頃のロンドンがこの小説(3部とも)の舞台となっています。

こういう小説のネタばらしはいけないので、これ以上小説の中身については触れませんが、1部、2部を読んで、あまりの退屈さにそこで力尽きてしまったという人がいると気の毒なので先に書いておくと、「1部と2部はつまらないので適当に読み飛ばしておけばいい」「それに引き換え3部はとっても面白いので引き込まれる」です。

この小説でも出てくる時間旅行(タイムトラベル)については、そこで起きるパラドックスのことなど、理論上あり得ないという認識については詳しく触れられませんが、小説やドラマ、映画などでは安易によく使われています。謎は深いほど興味をそそりますからね。

こうした実在した偉人を主人公にした小説は時々見かけますが、読者の想像をかき立てるには好都合なのでしょう。ただ感想はと言うと、先にも書いたように1部と2部が無駄に長すぎて、個人的にはそれが価値を下げてしまっているなって感じです。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

贖罪 (双葉文庫) 湊かなえ

映画にもなったミステリアスな小説「告白」(2008年)で衝撃的デビューを果たした著者の3作目にあたる長編小説で、2009年に単行本、2012年に文庫が出版されました。

「告白」と同様、事件の関係者が、すぐ身近なところで起きた殺人事件について語っていくというパターンで、登場する小学生の仲良し4人組の名前と性格、現在の職業などが入り交じり、読みながら前に戻ってどういう人だっけ?と確かめるとか苦労しました。一気読みせず、あいだを置きながら少しずつ読んだせいかも知れません。

特に最後に極端などんでん返しがあるわけではなく、淡々と事件の背景や、犯人像が語られ、最後で犯人の動機につながる理由が語られますが、それも含めてどうも最後までモヤモヤした霧の晴れない感じがします。

それは主人公はじめ女性ばかりの物語で、それはそれでいいのですが、たまに出てくる男と言えば、幼児を暴行死させたり、妻の連れ子を暴行したり、妻にフランス人形と同じ格好をさせるために結婚したとか、自分に生殖能力がないけど跡継ぎが必要で、別の男性との間で妊娠した女性と結婚をしたがる男性とか、そういう変態や変人ばかりでまともな男性が誰ひとり出てきません。変なの。

現実的にはそりゃないよねって感じで、あまりにも無謀な想像の産物すぎます。

それでもテレビドラマとして映像化されたようで、そうした次から次へと起きるショッキングな展開こそが、昔のお昼の時間帯であった「愛の劇場」的な連続昼ドラみたく、昔も今もそのようなスタイルが女子ウケするのだろうかなっていうのが、平民的な中年男性の冷めた感想です。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟


家族という病 (幻冬舎新書) 下重暁子

BS日テレの「久米書店」という番組で以前紹介されていた新書で、今年の3月に発刊されています。そのテレビ番組に著者が出演し、久米宏との軽快な会話がとても面白かったと記憶しています。

著者は戦前生まれで、その後当時の女性としては非常に珍しかったと思いますが、早稲田大学へ進み、卒業後はNHKに入局してアナウンサーの職に就いた経歴の持ち主です。早稲田大学と局アナ出身、そして現在はフリーという点では久米宏とまったく同じでその先輩(8年先輩)にあたります。

この著者の本を読むのはこれが初めてですが、その理由は今までは「女性の生き方」的な女性向けの作品を多く出されているからでしょう。今回は女性に限らず「家族」についてで、しかも前段階でこの本に対する著者の想いを聞いていますので、取っつきやすく読めました。

ただこの著者は家族について、自分の偏見とも言える極めて特殊な状況?を元にして語られ、さらにその自分の考えとは違うものは認めたくない的な雰囲気があり、そうした押しつけがましいところが多少かんに障る部分でもあります。男なんかには負けないぞっていう気の強い女性には割と多いタイプと感じるところです。

子供をもつ家庭や、子供を中心としてそれを家族の幸福と感じる家庭や親に対しては、あまりいい感情をお持ちではないようで、家族という中に占める親と子の関係性を否定するようなところさえ見受けられます。男性で言えば中島義道氏と共通するようなところと言っていいかも知れません。

やはり個性を売っていくためには、これほど我が強くないと有名にはなれないし本も売れないのでしょう。

しかし一般社会では、古いことわざで「血は水よりも濃い」とあるように、著者が自慢気に何度ものろけるパートナー(所詮水の関係)よりも、血を分けた親子の血のつながりのほうがずっと濃くて深いのが自然です(それ故になにか起きたとき憎悪が増長されるということもありますが)。

著者自身が、軍人だった父親やその父親に従うしか生きる術がなかった母親を尊敬できなかったということで、そういう子供時代からのトラウマが残っているのでしょうけど、世の中の多くの家族は、まず第一に親と子がもっとも信頼の置ける家族単位であるということをもっと尊重するべきじゃないかなって思うのです。期待と言うことかも知れませんが。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ワーカーズ・ダイジェスト (集英社文庫) 津村記久子

お仕事小説として有名な著者と言うことですが、読むのはこの本が初めてです。2008年に「ポトスライムの舟」で芥川賞を受賞されている若手気鋭の女流作家さんと言うのでしょうか。

この小説は2011年に単行本、その後2014年に文庫化されました。中にはタイトルになっている中編小説と、もう一編短編作品で「オノウエさんの不在」が含まれる作品です。書評などでは、もっぱらメインの中編が話題になりますが、私はこの短編のほうが気に入りました。

内容は、同姓&誕生日が同じ未婚の32歳の男女が、それぞれ東京と大阪で全然違った仕事をしながら、日々悩みながらも生活する日常が淡々と描かれます。年齢とともに中堅社員となって、そのことに閉塞感を感じて煮詰まっていくところが、とても現実的でいいですね。

その二人が仕事の関係で知り合いますが、その時はそれだけ。1年後に大阪で再会するまで仕事や私生活で様々な試練を乗り越えていくという、ただそれだけの物語で、それが果たして面白いのか、さっぱり面白くないのか、読む人によって変わってきそうな変わった小説だと思います。私の場合は後者です。

短編もお仕事小説で、大手建築設計関連の会社の中で、高卒の中途入社ながら、誰からも信頼される有能な技術士の「オノウエ」さんが、仕事ができるばかりに、大卒プロパー社員のねたみや反感を買ってしまい、子育てのために有給を取っただけで非難されるという、非情とも言える会社の掟にさらされます。

その不条理さについて、「オノウエ」さんと以前一緒に仕事をしたことがあり、慕っている若い社員達が淡々と語っていくというストーリー。その「オノウエ」さんが一人称として登場してこないのがいい。なかなか興味深い作品です。

あと、この小説に出てくる大阪のゴチャゴチャとした街の雰囲気が、以前西加奈子著「通天閣」に出てきた街の様子と似ているなぁって思っていたら、この二人がこの小説をネタに対談をしている集英社のサイトを偶然見つけました。

対談 津村記久子×西加奈子

対談を読むと、やっぱ二人は同年代で、大阪で長く生活していて、それで似た感覚の持ち主なのだなってことがよくわかりました。「通天閣」もこの作品も、織田作之助賞の大賞を受賞しているところも似てます。☆は中年オヤジ視点なのでちょっと辛め。

★☆☆


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