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710
バブルが弾けた以降、製造業を中心に人員整理をともなうリストラが数多くおこなわれてきたことは過去何度も書いています。

 退職勧奨・強要にあった場合の対処法
 ニッポンの家電業界は生き残れるのか
 前からだけど日本の大手製造業はやっぱり変だぞ 
 海外移転で製造業の労働者はどこへいったのか?
 2011年7月中旬時点のリストラと求人の各業界動向
 リストラはまだまだ続いている
 製造業の行く末は、、、
 やっぱり倒産が増えている

現在のところはまだ解雇規制があり、企業の勝手な都合だけで解雇はできにくくなっていますが、既得権をなくし、労働力の流動化促進のため、それを撤廃せよという声が日増しに強くなっています。

若い人も「中高年者がいるから自分たちの給料が上がらない」「実力主義、成果主義なのだから、中高年者は不要」という考え方に賛同しがちです。

でも少し考えれば、それがやがては自分にも降りかかってくるということを忘れてしまっています。自分は若いし有能だからそういう目には遭わないと思っていたとしたらそれは笑止千万です。

今後30年間ずっと第一線を同期のトップで走り続けられますか?
今後30年間、部下や後輩に自分より有能な人は現れませんか?
会社の中に口も聞きたくない嫌な人がひとりもいませんか?
今は健康でも、30年間ずっとその健康を保てますか?
両親や家族はみんな健康で、長期療養や介護の必要はありませんか?
40代以降になっても20代の若者と体力や持久力で勝てますか?
次々登場する新しい技術やノウハウを若い人よりも先に吸収できますか?
勤務する会社は退職するまで傾いたり倒産する可能性はありませんか?
勤務する会社や団体、役所は辞めるまでどこかに吸収されたり統合されませんか?

上記の中のひとつでもNoがあれば、あなたが中高年になったときに突然退職勧奨をされる可能性があるということです。

中高年になると、経験、人脈以外にウリは少なくなってくるというのが一般的です。よく言われるマネジメント力やリーダーシップなどは、本を読むだけで吸収できてしまう人がいますから、年齢には関係がありません。

しかし経営スピードが速くなっている現在ではその経験というものはあまり必要とされなくなってきました。

過去の経験なんぞ改革や成長の邪魔以外の何物でもないと言い切る経営者もいるぐらいです。またIT化のせいでビジネスにおける人間対人間の関係が希薄化されていて、果たして人脈が豊富な人がどれほど貴重か怪しくなっています。

いまビジネスに求められるのは、経営者の意をくみ、適格にスピーディに、そして新しい技術や発想を取り入れ、その仕組みを考え、他にはないものを創り出せる能力と、それを実現する行動力や周囲を説得し巻き込んでいける能力です。これらはあまり年齢に依拠しない能力といっていいでしょう。

もちろん自分が経営者になればまた違う能力が必要となり、ライバル企業や同僚達との競争ではなく、今度は周囲に信頼される発信力やひらめき、アイデア、数字を読む力、決断力、帝王学などが必要となってきます。

さて、現在おこなわれている中高年者の退職勧奨ですが、こんな記事がありました。

ソニー「中高年リストラ」の現場「キャリアデザイン室」で何が行われているか?
「東京キャリアデザイン室」。かつて大賀典雄名誉会長が執務室を構え、役員室が置かれていた由緒正しきフロアは今、社内で「戦力外」とされた中高年の社員を集めてスキルアップや求職活動を行わせることを目的とした部署に衣替えしている。
(中略)
キャリアデザイン室が人員削減のための部署であることは、社員ならば誰もが知っている。この部署がほかと大きく異なる点は、配属された社員の人事評価が、多くの場合に「最低レベル」となり、在籍期間が長くなるほど、給与がダウンする仕組みになっていることだ。というのも、仕事の内容がソニーの業績に直接貢献するものではなく、他社への転職を含めて本人の「スキルアップ」を目的としているためだ。
(中略)
企業のリストラ策にはさまざまな手法がある。中には、ある日突然、職場への出入りを禁止する「ロックアウト型」の解雇や本人に過大なノルマを課して辞めさせる手法など、ソニーのやり方をはるかにしのぐものもある。
(中略)
ソニーだけでなく日本企業の多くが、中高年世代の余剰人員を抱えている。企業からすれば人員スリム化は理由のあることかもしれない。だが、企業業績の悪化→中高年への退職勧奨を続けるかぎり、ビジネスパーソンはつねに不安を抱えながら働くことになる。


勝ち組企業にも「追い出し部屋」 新たに複数で
「社内失業者」を集めて転職先探しなどをさせ、社員から「追い出し部屋」と呼ばれる部署が、新たに複数の企業にあることが分かった。事業再構築で「勝ち組」になった企業でも、業績回復の陰で追い出される社員がいる。人数を増やして拡充する企業もあり、隠れた「解雇」は今後も広がりかねない様相だ。

これだけを読むと、「ソニーやパナソニックはひどい会社だ」「経営の失敗がこのような悲劇を生む」「会社も若返りが必要で仕方ない」「リストラの対象となる人は所詮それだけの人」とか、中には「なにも仕事をしないで給料がもらえるなんて最高」と他人事のように思う人がいるでしょう。

これは全世界の中でも有数の巨大なグローバル企業で起きていることで、日本ではそれらの巨大企業よりはるかに多くの企業で、もっとひどいことが日常茶飯事に起きています。ちなみに日本では大企業と言えるのは全体の中でたった0.3%しかありません。

零細企業はもちろんのことですが、一番厳しく影響が大きいのは、社員数100~1000名程度の中小企業の多くで起きている中高年者の退職勧奨です。退職勧奨と言葉は優しげですが、実体は冷徹非道な首切りです。

なぜ零細、中小企業の退職勧奨が厳しいのかというと、仮にもソニーのような大企業だと、退職勧奨される人に対して事前に様々なチャンスや選択肢が与えられます。

例えば子会社への出向、早期退職制度による退職金増額、再就職支援制度などもその中のひとつです。企業組合があり、なにか困ったときに相談できる相手が身近にいることも大きいでしょう。

また最悪再就職をするにしても経歴がソニー出身というだけで、中小零細企業から来て欲しいと手を挙げてくれる会社も少なからずあるでしょう。

しかし中小企業にはそのような再就職支援や、割増退職金の制度などがあるところは極めて稀で、ある日突然呼び出されて、いついつまでに辞めて欲しいと一方的に通告されるだけです。

大企業と比べ関連子会社や孫会社も少なく出向や移籍という段階を踏む手段も一切ありません。

もちろん一方的な解雇通告に対して、調停や裁判で争うこともできますが、その前に日々の生活があり、精神的に追い詰められ、あまり現実的な解決法でないことは以前書いたとおりです。

そしてそのような非人道的な解雇が起きても、話題性がある大企業ソニーやパナソニックとは違ってマスコミが取り上げてくれることは皆無で、誰も興味も関心も持ちません。

相談するにも所詮他人事の労基局や職安の身分は一生保証されている役人ばかりで、共闘できる人達ではありません。つまり闘うなら自分のお金と身体を使いひとりぼっちで闘うしかありません。

さらに転職をするにしても、中小企業でしか働いた経験のない中高年者を喜んで採用してくれるところは、この不況下の日本では少ないでしょう。うまくいってもアルバイトかパートに甘んじるしかありません。ところが自信過剰なのか、社会を甘く見ているのか、追い詰められるまでそれがわからない人が多いのです。

「そんなのは自分のキャリアプランをちゃんと作ってこなかった責任だ」「解雇に備えて専門資格や手に職を付けてこなかったのが悪い」「実力がないクセに会社に甘えるな」と突き放すのは簡単ですが、常に人手不足状態の中小企業で、その企業と心中するつもりで必死に働いていると、自分のキャリアプランを考えたり、今後有望な専門資格を身につける暇などありません。

特に今の50代は、若いときには年功序列、終身雇用という日本のビジネスのしきたりを会社の先輩や上司に教え込まれ、60歳の定年まで働けば、年収は右肩上がりで、退職金はこれぐらいという生涯賃金モデルがあり、だから20代30代の頃は安い給料に甘んじて信じてきた人ばかりです。そんなこと信じてやってきたのが悪い?本当にそう言えるでしょうか?

そうして一番お金がかかる年代の40~50代になって、ようやく今まで育ててきた果実が食べられると思った矢先に、「実力主義」だ「成果主義だ」と言ってリストラの洗礼に遭えば、人生設計が狂ってしまいます。

ではどうすればいいのか?

日本の悪しき慣習と言われている「年功序列」と「終身雇用」のうち、すでに完全に崩壊している「年功序列」は仕方ないとしても「終身雇用」だけは死守すべく解雇規制撤廃どころか逆にもっと解雇規制を強化をしていく。これです。

解雇規制が強化されることにより、例え労働者は例え不況時でも上司の評価にビクビクする必要はなく、業務上のミスを恐れず、一時の人事評価など気にせず、のびのびとした柔軟で新しい発想を仕事にもたらすことにより会社に貢献でき、さらには休みたいときに遠慮なく休み、家族のためにも自分のためにも有給休暇を目一杯使い、この成熟した社会でストレスをためることなく人間らしいライフスタイルを実現することができます。

もちろん同期より少しでも早く出世したい人は、有給休暇をとらず、上司にごまをすって、家族サービスなどせず、サービス残業をいっぱいして、身体を壊すリスクを冒してでも人一倍頑張ればいいのです。それを否定するつもりはまったくありません。

所詮中小企業の人事査定など公正なものではなく上司や経営者の気分次第でどうにでもなるものがほとんどです。

規制強化で解雇しにくくなると企業が正規雇用を採用しなくなる?

今後30年間は少子化で若い人がどんどん減っていくのです。企業が(有能な)若い人が欲しければ正社員で募集しなければ集められなくなるので心配無用です。

中高年者だけで企業を成長させられるならば、それはそれで結構なことで、失業者を出さない代わりに新たな雇用が生まれないのは仕方がありません。

いずれにしてもどの年代の社員を採用するかはそれぞれの企業が決める問題です。若い人を採用しやすくするために中高年を解雇するなんて論理は失業対策になっていませんし、まったく意味不明で許されることではありません。労働力の流動性を促進?それは労働人口の3割以上を占める非正規雇用で考えるべきことです。

人材派遣が登場した1980年代には「人材派遣が認められたら企業は正社員を採用しなくなる」と騒いでいた学者や労組系弁護士がいました。

人材派遣の職種が自由化されても、そのような会社があるのかどうか、あったとしてそれで成功したという話しを聞いたことがありません。

その代わりに人材派遣ではなく、1990年代以降アウトソーシングビジネスが台頭し、企業の部署ごとをすっぽり外部委託してしまうようなビジネスが普及してきました。

製造業の正規雇用が減ったのは、安い非正規雇用ばかりの受託工場や海外の業者へ丸ごとアウトソーシングをして物作りをするようになってからです。もし製造業の採用が減ったことに文句を言いたいならそっちをなんとかするべきです。

そしてすでにスーパーやファストフード店、大規模小売店を運営する企業の正社員の割合は、おそらくそこで働く人全体の一割もいないでしょう。

あとは全部非正規雇用や委託の人達です。そういう業界がすでにあるのに、これ以上増えるのはけしからんというのもなにかおかしな話しです。

企業は利益や成長を目指し、儲けを雇用や税金といった形で社会に還元するものであって、それが実現できるのであれば、正規社員でも非正規社員でも関係ありません。

労働の流動性は主に非正規雇用でまかなわれているので、正規雇用の人まで解雇しやすくして流動性に加える必然性はまったくありません。

つまりこの成熟した日本の社会において、解雇には厳しい制限を設け、その中でいかに成果を上げていくかを考え作っていくのが、これからの日本企業が真っ先に取り込まなければならない問題です。

もしこのシステムができれば、トヨタの生産システムKANBANのように、失業率を下げて終身雇用する新日本型雇用システムSYUSHINとして世界中から注目を浴びることになるでしょう。

非正規雇用が悪で、正規雇用だけが善という雇用形態の考え方は間違っていますが、厳しい解雇規制を敷く中で、補助金や助成金のようなばらまきではなく正規雇用を増やしていく手法についてはまた別の機会に書きます。


 【関連リンク】
 6月のリストラと採用増情報
 正社員の解雇には2千万円かかる!それホント?
 ハローワークを頼りにしていいのか?
 リストラと生活保護と自己破産
 私のリストラ激闘記
 2つのリストラ物語
 労働紛争解決法
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707
関係者の方にはたいへん失礼なのですが、ちょっと古いですが下記の記事には思わず笑ってしまいました。

ハローワークの非正規職員の相談員ら 大量雇い止め」(東京新聞 2013/3/22)
雇用の安定を目指すはずのハローワーク(公共職業安定所)で、相談員などとして全国で働く非正規職員のうち、約一割に当たる二千二百人が、この三月末で職を失う。突然「雇い止め」を告げられた職員たちは、業務で失業者の相談に乗りつつ、自らも勤務時間外や休暇に職を探す事態となっている。四月以降、窓口が混乱しないか懸念する声も上がる。

「紺屋の白袴」、いや、「医者の不養生」、いや「易者身の上知らず」、いや、「鍛冶屋の竹火箸」、いや、「灯台下暗し」は違うか、「驕る平家は久しからず」、いやもっと違うか、「月満つれば則ちかく」は言い過ぎだし、「遼東の豕」は全然ダメダメで、とにもかくにも例えを悶々としながら考えてみたけれど、どうにも適当なものが出てこず、余計に変なストレスが溜まってしまいました。

つまり、人々が職を求めてやってくるハローワークで、職を与えるために働いていた(非正規雇用の)職員が、リーマンショックや東日本大震災以降、急速にその人員が増やされ続けてきたそうですが、それらが一段落して、一気に縮小されることになり、職を失ったという構図です。一種の雇い止めってところでしょうか。

国は「非正規雇用者の雇い止めはけしからん!」ということで、この4月1日から改正した労働契約法が施行されましたが、これは今年4月1日から始まり5年後の2018年にようやく影響する法律ですから、それの施行前に慌てて雇い止めをしたというわけではなさそうですが、それを疑いたくもなる絶妙のタイミングです。

改正された労働契約法で非正規社員は幸せになれるのか

前政権の「コンクリートから人へ」から、新政権の「人からコンクリートへ」の政策転換を現場がさっそく実行したというか、限界集落寸前の地域が多そうな東北に、広くて快適なフル規格道路や、役に立つか怪しい巨大な防波堤や、新たに山を切り開いて作る住宅代替地や、今度こそ津波に負けない立派な公共施設などを、復興の名の下で次々建設を進める代わりに、民間企業より早く、そして着々と役所のリストラ(と言っても正式な公務員以外の)を進めたということなのでしょう。

実はハローワークにそれほど多くの非正規職員が勤務しているとは知りませんでした。どれほど多いかというと、2012年度ハローワークの職員全体は全国に31,765名、そのうち非正規雇用の職員が20,176名といいますから全体のなんと64%にのぼります。

私が職安で仕事を探すふりをしつつ(職安にはロクな仕事がなかったので、民間を重点に求職活動をやっていました)、失業保険の給付を受けていたのは、もう10年以上も前になりますが、そこで応対した人はどこからみても普通の、上から目線で傲慢な口の利き方をする、しかも要領の悪い公務員と映りましたが、もしかするとその人も非正規雇用の人だったのかもしれません。

少なくとも総合受付に座り、来所者には見向きもせず、内輪同士でペチャペチャと喋ってばかりいたおばさん達はそうだったのかも知れません。

当然所長をはじめ、奥の方で暇そうにいつも新聞や雑誌を読んでいる管理職は、全員が正規雇用職員でしょうから、今の割合から言っても通常の忙しく窓口に出て応対している人や、丁寧に端末操作のアドバイスをしてくれる人などは、全員が非正規職員なのでしょう。

今回2,200名が3月末で雇い止めされ、新たな補充がないと仮定してもまだ18,000人が残るわけで、全国437カ所の職安(出張所は除く)で割ると、一カ所の職業安定所には平均で41名もの非正規雇用職員がいる勘定になります。

なにか、平均で70人ちょっとの職安の中で途方もなく多いような気がします。職安を民営化し効率をあげ機械化できるところをしていけば、おそらくその半数で今よりも高サービス、高付加価値が失業者に提供できるでしょう。英国なんかは何年も前にそうやって成果をあげています。

そしてハローワークのような場所で非正規職員であっても、数ヶ月間も働いていると、(人にもよりますが)おそらくその態度は「重要な公務をしている俺様と、失業したあわれな奴ら」という差別感あふれる錯覚をして、態度や口の利き方が徐々に横柄となり、謙虚さが失われていく人もいるでしょう。普通に見掛けます。

今回雇い止めされるのはわずか非正規職員の1割程度なので、役所側も辞めてもらう人と、残す人とを意図的に選別しているでしょう。そうすると非正規職員同士でも微妙な空気が流れていたでしょう。その選別は同じ仕事をしていれば、正規職員のお気に入りとそうでない人で判断されることになるのが普通だからです。

つまり役所を雇い止めされる人は、役所のような大甘な職場でも通用しなかった人という烙印が押されるわけです。そういう人達が、紹介する側から紹介してもらう側の逆の立場となり、仕事を探すことになりますからたいへんなことです。

ハローワークの中にいれば、その限界を痛いほどよく知っていますので、おそらくその時は古巣のハロワではなく、民間の紹介会社などを頼ることになるのでしょうけど、役所を雇い止めされた人を喜んで採用する企業があるとは思えず、厳しい民間企業の現実を知ることになるでしょう。

また非正規職員のたった1割が削減されるだけなのに、ハローワークの現場はというと、おそらく正規職員よりも真面目に働いてきた非正規職員を失うことで、パニックに陥っているようです。

職安の現場の正規職員からは自分たちの仕事の効率の悪さを棚に上げ、「減員分は業務の簡素化などで対応する」職場が回るかどうか。利用者に迷惑を掛けるかもしれない」(東京新聞)とあらかじめ予防線を張るのに懸命です。いや、ホント笑わせてくれます。


 【関連リンク】
 改正された労働契約法で非正規社員は幸せになれるのか 
 非正規雇用拡大の元凶が人材派遣だって?
 正社員の解雇には2千万円かかる!それホント?
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 転職のキモは履歴書だ
 恒久化される求職者支援制度
 厳しさ続く非正規雇用 
 中高年者の雇用問題と非正規雇用問題
 規制強化の派遣法改正は正しいことか
 貧困ビジネス流行は役所の怠慢なのか?
 本当に派遣就労全面禁止するつもり?

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683
パナソニックやソニーなど大手製造業の不振が日本経済に大きな影響を及ぼしていますが、各地で大手企業の工場閉鎖が発表されると当然ですがそれにともない人員整理が行われることになります。
日立、情報機器の半導体製造終了 青梅の工場閉鎖(2012年12月7日)
ソニー・富士通・シャープ 工場の相次ぐ閉鎖で荒廃する日本の城下町(2012年11月14日)
日立、ソニーと相次ぐ工場閉鎖に揺れる岐阜・美濃加茂の悲鳴(2012年11月3日)
ダウ・ケミカル 衣浦工場を閉鎖へ(2012年10月25日)
東芝、蓄電池生産を柏崎に集約 佐久工場は閉鎖(2012年10月24日)
製造業で減産の動き相次ぐ 工場閉鎖、リストラ加速…回復見通し立たず(2012年10月13日)
富士通3工場を閉鎖、売却 国内半導体組み立てから撤退(2012年8月31日)
東芝ライテックが山形と茨城の4工場を来年3月末に閉鎖(2012年7月12日)

おそらく20年前までは、地方都市に大手製造業を優遇してでも呼び込むことが、その都市の税収を増やし雇用を作り町の発展に寄与しました。そのためこぞって工業団地を造り、税制や土地取得を優遇し、インフラを整えてきました。

地方の市や町は、ソニーが来た、トヨタが来た、富士通が来たと大喜びして、これで市の財政も雇用も安心とばかり工場進出バブルに酔いしれた時期もあったのでしょう。

しかしそのバブルも長くは続かず、現在は次々と国内の工場が閉鎖し、そこで働いてきた多くの従業員が路頭に迷うことになり社会問題化しています。

第一に地方で勤務していた従業員が、工場閉鎖で別の遠くにある地方の工場へ異動ができるか?という問題。第二に現在各製造業の主力工場の現場では、正社員従業員よりも派遣労働者、季節労働者、外国人労働者などの非正規社員の割合が急増していて、果たして異動先でも同じ給料と正社員の立場が守られるのか?という問題もあります。

地方都市で働く人にはその都市を離れられない人も多くいます。親の介護や子供の養育、妻の仕事の関係など、異動したくともできない従業員はただ指をくわえて閉鎖を見送るしかありません。

私も一度は企業の経営者をやったことがある人間ですから、その道理はわかります。企業を生き残らせるためには経営上非情な判断をしなければならないときが確かにあります。工場閉鎖や支店・営業所閉鎖による配転や人員整理はその最たるものでしょう。

一方では、配転や人員整理される側に立ってみると、心の中ではやむを得ないというあきらめもありながら、それでも「もっとちゃんと従業員の生活のことを考えてくれよ」と思ってしまいます。当たり前です。会社ごときに人の人生をめちゃくちゃにしてもらいたくはないものです。

うまく異動や配転により従来の雇用条件が維持されたり、高額の割り増し退職金が支払われるのはまだいいほうで、中にはひどい会社やリストラ担当者が、たいした保障もせずに自主退職を強く迫ってくるケースがあります。

そういう会社や責任者(上司など)には、無能のレッテルとたっぷりのペナルティで償ってもらわなければなりません。

退職強要問題を決着するには、突き詰めれば最終的には調定や裁判ということになりますが、企業側はできればそうなることを望んではいませんので、そこに至るまでに様々な懐柔や和解の条件を出してくるのが通例です。手っ取り早く言えば手切れ金(退職金割り増しや退職一時金)や転職サポート、関連会社への出向や転籍などです。

ただ、出向以外は従業員の了承が条件ですので、会社側からの提案に従業員が了承しなければその次の和解策、それでもダメなら労働問題調停、裁判へと移っていくことになります。

ただ、なんでも裁判に訴えかければいいかというと私は決してそうは思いません。

会社対従業員となると悪代官役は会社というケースが多いのですが、会社にとってみると裁判をおこなうこと自体は会社の顧問弁護士に全部任せておけるので、別にたいした問題ではありません。

「裁判を起こし会社と上司の悪行を世間に暴いて思い知らせてやる」なんて見得を切るのはもう完全に時代錯誤で、自分(従業員)の大事な人生の時間と労力を無駄にするだけと思っています。

裁判に慣れていない個人が訴訟を起こすのは、それなりに多くの時間や精神的な負担、そして費用もかかってきます。それで例え勝ったとしても、一審で終わるとは限らず、結審するまで数年もかかることさえあります。そのような無駄な時間や費用を考えると、もっと他に選択肢がないかと考えるべきでしょう。

もちろん裁判に訴えることがすべていけないとは言ってません。いろいろな選択肢の中のひとつで最終手段として考えるべきで、感情的になって「訴えてやる!」と闇雲に走ってしまわないことです。

さて、工場や営業所の閉鎖で会社から退職勧奨(強要)をされた場合に、まずどうすればいいでしょうか?

ソニーの労組(仙台支部)では下記の「リストラ・退職強要をはね返す10カ条」が書かれた職場新聞を組合員に配布していたそうです。なお一部要約をしています。

(1)「辞めません」とハッキリ言う。退職勧奨に及ぶ一切の言動に対して「辞めません」とはねつけましょう。

(2)やっぱり「辞めません」。辞めない理由を言うとつけ込まれる。「辞めません」が最強です。

(3)退職強要にはきっぱり抗議を。「辞めません」と言っているのに繰り返し呼び出すのは違法な権利侵害です。

(4)人権蹂躙には厳重に抗議を。別室に閉じ込めたり仕事を取り上げたりすることは人権蹂躙。その事実を必ずメモにしておきましょう。

(5)出向・配転・転籍も断る。辞めないと出向・配転がおこなわれるというのなら「そのとき考えます」と答えましょう。

(6)会社より自分の生活が大変。「会社は大変だ」と言われたら「私の生活が大変です。ソニー復活のためにがんばらせてください」と言いましょう。

(7)おだてにのらず、謙虚に拒否を。「社外に転進してみろ」と言われたら「あなたがどうぞ」と言いましょう。

(8)家族は首切りに反対です。短気は損気。頭にきたら負けです。家族と子どもを思い浮かべて踏みとどまりましょう

(9)最後は黙秘でがんばりましょう。会社の説得に詰まったら「とにかく辞めません」と言い続けて、最後は黙っていましょう。

(10)ソニー労組仙台支部に相談を。困ったときは、1人で悩んでいても解決方法は見つかりません

「ソニーのような大会社だから労組が力になってくれて・・・」と思う人がいるかも知れませんが、基本は労働法、労働基準法などで労働者の権利は厚く守られています。

世の中には「法律など関係ない!」とわめくワンマン経営者やバカ上司がいることも知っていますが、そういう人や会社には必ず法律により鉄槌が下されますから、逆にど素人相手の交渉でラッキーと思ってもいいかも知れません。

私も過去には経営者側、労働者側のそれぞれの立場で労働紛争の現場にいたことがありますが、結果的には冷静にそして多少ずる賢く対応した方が勝ちということです。

つい熱くなってしまい、暴言や売り言葉に買い言葉でヒートアップしてしまうと決していい解決はできなくなります。

また個人でも加入できる労働組合に紛争解決を依頼をするケースがあり、それで大いに助かることがあります。

しかしそれで最終的に本当にハッピーになったかというと、必ずしもそうではなかったケースも知っていますので十分に注意をして、選ぶ目を養いましょう。ちなみに私に組合について相談されても、知識不足ですので、お役には立てません。

あとTwitterで、フォローしている弁護士さんがツイートで書かれていた退職勧奨の考え方と強要されたときにできることをまとめると、

「退職勧奨はあくまでも労働契約を合意解約したいという使用者からの申込みに過ぎない。断るのは自由。また断る理由も不要。むしろ申込む側が信義を尽くしてなぜ退職勧奨をするのかを説明すべき。」

「退職勧奨を拒否してるのに執拗に続けると、退職強要となり違法性を帯びてくる。また退職させるために仕事を取り上げたり、別室に閉じ込めるのは退職強要の典型的手段。」

「出向・配転・転籍について。転籍は「退職+別会社入社」なので、労働者の同意なくしてできない。

出向は業務命令として命じることが可能な場合があるが、労契法14条※に従う必要あり。配転は判例で「契約上配転命令を出せる根拠があることが大前提で、業務上の必要性と労働者の不利益を考慮し、かつ不当な目的で行うものでない」ことが求めらる」

「退職勧奨(強要)の際、その話しを録音すること。密室でのやり取りなので、どんな酷いことを言われてもそれを立証するすべがないと争ったとき厳しい」(これ重要です。

経験から言えば相手から人格を否定するような暴言を引き出して録音できれば調停でも裁判でも勝ったも同然です)

一番いいのはそういう羽目に陥らないことですが、いまはいつなにが起きても不思議ではない時代ですので、お互いに気をつけるに越したことはありませんね。

(※参考)
労働契約法第14条(出向)
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

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649
60歳定年を迎えた社員のうち、希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入を企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が成立し、2013年4月から施行されることが決まりました。

従来の高年齢者雇用安定法でも65歳までの雇用を促進すべきという努力義務の法律でしたが、雇い主側が雇用継続する人を選別できるというザル法でしたが、それができなくなり、雇用延長を希望する人を原則全員雇わなければならなくなりました。

但し誤解をしてはいけないのが、これは60歳までの正社員の身分のまま定年延長を強制するものではなく、あくまでも「雇用延長」となります。つまりほとんどの場合は60歳でいったん定年退職し、その後同じ企業に(契約社員等として)再雇用されるというパターンになりそうです(一部には定年延長をする企業もあります)。

同じ場所の同じ仕事でという縛りもないので、仕事や職場がガラリと変わることもありそうです。

その他、再雇用された場合、雇用条件でなにが違ってくるかといえば、「正社員ではなく1年契約の契約社員」、「給料などが新たな契約社員として大幅ダウンする」、「勤務態度がよくなかったり健康上に問題があるなどを理由として雇用延長を断られるケースがある」といったところでしょう。

もっぱらこの法案には企業側が猛反対してきました。その理由として「社内の年齢バランスが崩れる」「高齢者を雇い続けると若手採用が抑制される」「高齢者が多いと若手のやる気がそがれてしまう」など一見するともっともらしい言い訳ですが、要は企業としては「若くて元気で給料が安く、上司からの命令をハイハイと素直に聞く従業員」が欲しいということです。

雇用延長される高齢者の多くはそのどれにも当てはまりませんから、企業からは雇用延長するのを嫌がられるはずです。

でも中高年者には経験と知恵があるじゃないか」って?

現代の経営には一部の熟練を必要とする仕事以外、多くの場合、古びてカビの生えたような経験や知識は不要で、次々と新しいことをチャレンジしてやっていくバイタリティを欲しているのと、経営陣と一部の幹部候補社員以外には方針を決める知恵など不要と思っていますので、経験や知恵だけの高齢者を再雇用するメリットとはなり得ません。

せいぜい「幹部が昔お世話になった先輩達に喜んでもらえれば(大手企業)」ぐらいの感覚でしょう。

本来企業側としてはものすごく数の多い団塊世代が65歳を超えて、大幅に人件費抑制ができてきたはずなのですが、80年代後半のバブル時期の大量入社組(現在40代後半)などの高負担を控え、さらに長引く景気低迷もあって、できるだけ早く余計な人材は減らしたい一心というのが伺えます。

一部の大企業の実態では再雇用後の給料は定年直前の約半分で、健康に問題のある人を除き原則雇用延長し、中には70歳まで可能という温情的な企業も出てきました。

中高年者を中心に数千人から1万人規模のリストラを発表している大企業もありますので、勤めていた企業によってその扱いに大きな差が出てきているようです。

しかしこればかりはそれぞれ入社した30~40年前にはわからないことですからねぇ。

同じことがいま就活で汗を流している人にも同じことが言えます。終身雇用でも途中で転職するにしても、その何十年先のことなんかなにもわかりません。一種の賭みたいなものですね。

一方ではNTTのように65歳まで雇用を延長する代わりに、30歳代以降の定期昇給を抑え、60歳まで働いていた時と今後65歳まで働く時で支給される総額は同じにするという荒っぽい話しも出てきています。

すでに多くの民間企業の給料はここ数年下落していますので、そういう意味ではほぼ公務員的な給与体系を持つNTTのやり方は、結果としてそれと同じことなのかもしれません。

企業経営上の経費でもっとも大きな割合を占めるのが通常は人件費ですから、今後大きな成長が見込まれない業界(つまりほとんどの業界)においてはいかにしてそれを抑制するかが勝負です。収入増ではなく収益増を目指す企業がこれからはデフォルトになるでしょう。

振り返って考えてみると、日本の人口統計や、社会保障制度の傾向を見れば、少なくとも「高齢化社会」になることは20~30年前からわかっていたことです。

それを考慮しないでその場その場で競うかのように人を増やしてきたのは、今ではすっかり安穏とした裕福な生活を送っている70代~80代のぼんくらな経営者だった人達です。

そういった過去の経営者責任を棚に上げて「雇用延長は企業のコスト負担増大だ!けしからん」と企業を代表する人達が声を上げるというのは、なにか国の政策の失敗や浪費のツケを、「震災復興のため」とか「社会保障拡充のため」とか理由をくっつけて保険料や消費税のアップで穴埋めさせられているのと同根で、結局は割を食う一般庶民にとってはなにか納得できないなぁって気がします。

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先月「国家戦略会議」(議長・野田佳彦首相)の「フロンティア分科会」(座長・大西隆東大大学院教授)が、日本のこれからの雇用の長期ビジョン「フロンティア構想」として報告書をとりまとめ、発表されました。

<フロンティア分科会報告書>
あらゆる力を発露し創造的結合で新たな価値を生み出す「共創の国」づくり (PDF)

これが大きくニュースとなって報道され、賛否両論ありましたが、ニュースを一読しただけだけではなんのことかさっぱりわからなかったので、少しまとめてみます。もちろん38年後といえば私はもうこの世とはとうにおさらばしているはずなので、どうでもいいっちゃいいのですが。

ニュースの概要は、
フロンティア分科会:40歳定年制など提言 実現は不透明(毎日新聞)

2050年の日本のあるべき姿を検討してきた有識者会議「フロンティア分科会」が7月6日、首相に提出した報告書は、雇用流動化で経済を活性化させるための「40歳定年制」の導入や、高所得者への社会保障給付の削減など大胆な政策を提言した。現状への危機感を踏まえたものだが、どこまで実現するかは見通せない。
(中略)
そのための施策として、少子高齢化に対応して75歳まで働ける雇用環境を整備する一方、40歳定年を選べる制度作りも提案。働き盛りでひとまず定年を迎え、成長企業に転職することなどを想定している。
(後略)
とのことですが、この後段部分を読んで理解できる人がいるのかどうか?

日経新聞はもう少し詳しく書かれています。
雇用流動化へ「40歳定年を」、政府が長期ビジョン、労働者の再教育を支援(日本経済新聞)

国家戦略会議の分科会は6日、国の長期ビジョン「フロンティア構想」の報告書をまとめた。国家の衰退を防ぎ、個人や企業が能力を最大限生かして新たな価値を生む国家像を2050年に実現するための政策を提言。「40歳定年」で雇用を流動化するなど労働生産性を高める改革案を盛り込んだ。
(中略)
改革案の柱は雇用分野だ。60歳定年制では企業内に人材が固定化し、産業の新陳代謝を阻害していると指摘。労使が合意すれば、管理職に変わる人が増える40歳での定年制もできる柔軟な雇用ルールを求めた。早期定年を選んだ企業には退職者への定年後1~2年間の所得補償を義務付ける。社員の再教育の支援制度も作る。雇用契約は原則、有期とし、正社員と非正規の区分もなくす。
もっとも定年制の前倒しには労働者の強い反発が必至だ。社内教育で従業員に先行投資する企業側の抵抗も予想される。改革の実現には転職市場や年功型の退職金制度、人材育成などと一体的な検討が必要だ。改革案は長期的な指針で、全
て早期に実現を目指すという位置づけではない。
(後略)

ここでは「雇用問題」に限定しますが、上記で言いたいことは

前提
1)現在の60歳定年制は雇用の硬直性を招いている
2)現状のままでは企業は40年後には新興国に敗れる
そこで
3)付加価値の高い産業や仕事で時間や場所を選べる労働が理想
例えば
4)企業は40歳定年制も選択できるようルール改正する
5)早期定年者には1~2年の所得補償義務づけや再教育支援制度を実施
さらに
6)雇用は有期契約のみとし正規・非正規の区分を廃止する

と言ったところでしょうか。

これを見て感じたのは、あくまで雇用する側(使用者)の立場での論理構成だなと感じました。委員会の構成メンバーの多くが大学教授で、一般社会と企業の現実を知らなさすぎるというのが最大の要因でしょう。

つまり安い給料で元気に働いてくれる30歳代までの人を企業は積極的に使い、40歳代以上は体力も落ちて持病も多くなり、さらに仕事よりも家庭を中心と考えるようになるので、ごく一部の役員候補以外は自動的に若年定年制にして追い出し、企業は身軽になって国際競争力をつけようと言っているかのようです。

そしていったん役員になりさえすればそれこそ70代でも80代でも何歳でもOKよと。それは支配層にとっては夢のようなパラダイスでしょう。

しかし現実はというと社会保障費削減のあおりを受けて、年金受給開始が遅れ、働きたくなくても定年を延長して65歳に、さらに70歳にしようという方向まで決まっています。

そしてこれからの主役となってくる若い新卒の社員達は、ずっと定年までひとつの会社で働きたいという願望が年々強くなってきています。

これらの記事の「40歳定年」と言っているのは、どうも現在の60歳定年と同じ意味の定年ではなさそうで、一部の企業で導入され始めている「選択定年制」のようなものなのかなと最初は思いました。

もし現在の「選択定年制」であれば辞める辞めないは雇用者側が判断するのであって、長くそのまま働きたい人は残ってもなんら問題はないのですが、ここではそうではなさそうです。

結局「使用者側が柔軟に決められる定年制」と呼ぶべきでしょうか。まるで使用者が絶対的立場で強く、従業員を奴隷のように扱い女工哀史を生んだ明治、大正の頃の大企業労使関係のようで、時代を逆行しているように感じます。

また現在は有期と無期が入り交じっている雇用契約を、すべて有期雇用にするということは、欧米の雇用契約に近づけようという意味合いなのでしょうが、これも使用者側にとっては誠に都合がよい雇用形態です。

通常有期雇用契約と言えば最大で1年間ですから(プロ野球の3年契約とかは雇用契約ではなく球団参加契約)、使用者が毎年残したい人だけ選抜し、あとはその時の業績や気分で自由に解雇ができるという使用者側からすると願ってもない夢のような話しです。

この改革案は直ちに政府方針となるわけではないとのことですが、こうまでして学会や政界はパトロンの経済界におもねって雇用の流動化を推進し、アジアの新興国に対し経済や政治で必死にリードを守っていく必要が本当にあるのでしょうか。

超高齢化に向かうこの社会において、しゃかりきになってアジア各国と経済競争をするのではなく、国内内需に重点を置いて世界に羨ましがられる国や社会インフラを作り上げ、日本へ行けば世界でトップクラスの医療、介護、エンタテーメント、リゾートなどの質の高いサービスが得られ、世界中(のお金持ち)から老後はこの安全で清潔な国に移り住みたいと思ってもらえる国を目指すほうが、国際社会の中においてずっと存在感が増すのではないでしょうか。

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