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6年前に書いた「お薦めの面白い小説(国内本) 2015/5/9(土)」の更新版を書いておきます。

2015年5月9日以降に読んだ本は635冊でした。その中には、小説(国内/海外)やエッセイ、新書、ビジネス書などが含まれますが、今回は国内小説限定で28冊のお勧め文庫本を選びました。

書籍タイトルのリンク先は、私が書いた複数書籍の感想集へ飛びますが、その記事の下の方にある場合は少し下へスクロールをして見てください。

恍惚の人
1972年に刊行され日本中に一大ブームを巻き起こし、翌年には森繁久彌、高峰秀子主演で映画化もされた作品です。認知症老人役の森繁久彌氏は当時はまだ60歳でした。
当時は現在のように高齢化社会でもなく、また認知症やアルツハイマー病という名称もなく、いわゆる呆け老人とか痴呆、耄碌(もうろく)爺じいとか言っていた時代です。・・・
有吉佐和子
紀ノ川
1959年刊ですのでおよそ60年前に書かれた作品です。和歌山出身の著者がその故郷を舞台にして、激動の明治、大正、昭和とつながっていく、およそ60年にわたる「花」「文緒」「華子」3代の女系女子を主人公にした小説です。
1964年にNHKでテレビドラマ化され、1966年には中村登監督、司葉子、岩下志麻などの出演で映画も製作されました。いずれも見ていませんが、映画は機会があればそのうち見たいなと思っています。・・・
有吉佐和子
羆嵐
1977年に発表された作品です。舞台は今からちょうど100年前、1915年、大正時代の北海道の中西部、三毛別の山中に移住してきた開拓農民が暮らす寒村で起きた三毛別羆(さんけべつひぐま)事件を題材としたドキュメンタリー的な小説となっています。
三毛別羆(ひぐま)事件とは、すでに冬眠しているはずの巨大なヒグマが、北海道の山中の部落(三毛別)に現れ、そこの開拓民達を数日間にわたり襲い、幼児や妊婦を含む6人(胎児を含めて7人とする場合もあり)を食い殺し、3人に重症を負わせたという事件です。・・・
吉村昭
渇いた夏
「私立探偵・神山健介シリーズ」の最初の作品で、2008年に単行本、2010年に文庫化されています。著者は元々はフリーカメラマンや冒険家として活躍後、ノンフィクション、フィクションとその活躍の場を拡げてきたという多彩な才能の持ち主です。
著者の作品では過去に「KAPPA」と「Tengu」の「有賀雄二郎シリーズ」を読みましたが、いずれも意外性と物事の洞察力に光ったところがあり、なかなか面白かった記憶があります。・・・
柴田哲孝
折れた竜骨
2010年単行本、2013年に文庫化されたミステリー小説で、それまで著者が得意としてきた青春ミステリーから大きく舵をきって12世紀頃、中世ヨーロッパファンタジーロマンあふれる推理小説となっています。
12世紀というと日本では平安時代末期から鎌倉時代というあたりになります。・・・
米澤穂信
小説 上杉鷹山
1983年に初出、その後文庫化された著者の代表作とも言える名著の誉れ高い作品です。
1961年にJ・F・ケネディが大統領になったとき、日本人記者がインタビューで「日本人で尊敬する人は?」と質問した時に「上杉鷹山」と答えたことは有名な話しで、その頃上杉鷹山を知る日本人はインタビューした記者を含め、ほとんどいませんでした。・・・
童門冬二
海賊と呼ばれた男
出光興産創業者の出光佐三をモデルとした作品で、2013年に本屋大賞を受賞しています。
2016年には映画が公開される予定で、監督は山崎貴、主演は岡田准一の「永遠の0」コンビとなります。
私が生まれる前の話しがメインなので、よく知らなかったことも多いのですが、戦後の占領統治時代に、世界第2位の海軍力を持っていた英国と石油メジャーに対し、敗戦国(日本)の1民間人が堂々と喧嘩を売って、しかもそれに勝利をした日本人がいたことをこの小説で始めて知りました。・・・
百田尚樹
八甲田山死の彷徨
1902年の明治時代に実際に起きた「八甲田雪中行軍遭難事件」を題材にした小説で、1971年に単行本、1978年に文庫化されました。
私も映画館へ見に行った高倉健主演の1977年公開の映画「八甲田山」の原作として有名ですが、映像では描ききれない著者の想いが詰まった山岳小説として読みました。・・・
新田次郎
シューマンの指
2010年に書き下ろし小説として発刊された小説ですが、この2010年は講談社創業100年とシューマン生誕200年の年ということもあるそうです。
著者の作品は5月にコミカルでライトノベル的な「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」を読んでいますが、本当に同じ作家さんの作品なの?と思うぐらいにその文体、構成、ジャンルが違っています。・・・
奥泉光
天空の蜂
1995年に単行本、1998年に文庫化された書き下ろし長編小説です。2015年には堤幸彦監督、江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵などの出演で映画化されています。
今や押しも押されぬ不動の人気作家の著者ですが、この小説が出た当時はデビュー10年に満たない若手作家のひとりでした。
もっともこの頃から多くの意欲的な作品を次々出して、人気作家の階段を上り始めていましたが。・・・
東野圭吾
ナミヤ雑貨店の奇蹟
2012年刊、2014年に文庫版が発刊された、第1章から第5章までつながる中編の連作小説で、2017年には日本と中国でそれぞれ映画化されています。
日本版映画の監督は廣木隆一、出演者は山田涼介、西田敏行、尾野真千子などで公開済み。
一方の中国版は今年2018年10月に日本で公開されます(香港・中国・日本合作)。中国版では日本版の西田敏行と同じ役にジェッキー・チェンが従来のイメージとは違う老け役で登場しているそうです。・・・
東野圭吾
村上海賊の娘
2013年に単行本が、2016年に文庫が発刊された、長編時代小説です。
好きな作家さんで、他のすべての長編小説「小太郎の左腕」、「忍びの国」、「のぼうの城」を過去に読んでいます。
織田信長や豊臣秀吉、毛利元就など戦国時代の英雄を語るときに、必ずと言っていいほど脇役として出てくる瀬戸内海に出没していた一大勢力の村上海賊が主人公です。・・・
和田 竜
開かせていただき光栄です
著者は1986年に「恋紅」で直木賞を受賞されている方で、私はこの著者の作品を読むのはこれが最初です。今回読んだ作品は2011年単行本、2013年に文庫化された長編ミステリー小説です。
タイトルがちょっと意味不明ですが、これは解剖医が遺体にメスを入れるときに、「お会いできて光栄です」という挨拶をもじって遺体に対して感謝の意味を込めてかける言葉です。・・・
皆川博子
八月十五日に吹く風
先に文庫本を2017年に発刊後、数ヶ月語に単行本を発刊するという非常に珍しいパターンの戦記物小説です。小説とは言っても多くを実名で書かれているらしいノンフィクションに近い小説となっています。
著者は千里眼シリーズなどで有名で、数多くの映画やドラマの原作ともなっている小説があります。そうした現代を舞台とした作品の他に、近代歴史時代小説作品も少ないながらあり、この著作もそれに該当します。・・・
松岡圭祐
ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石
2013年に単行本、2016年に文庫化された小説で、若い頃からの正岡子規と夏目漱石の友情と、正岡子規が後世に残した偉大な文化などの話しが中心となっています。
正岡子規(1867年~1902年)というと、真横から撮影されたはげ頭の頭部が異常にでかい?写真がすぐ思い浮かび、ちょっととっつきにくそうな感じがしますが、四国松山から上京し、東大へ通っていた頃は誰もから好かれる好男子だったのですね。・・・
伊集院静
赤ひげ診療譚
小説の初出は1958年に雑誌にて連載され、1959年に単行本が発刊されました。今からなんと60年前のことです。
この時代小説は、連作の短編集で、「狂女の話」「駆込み訴え」「むじな長屋」「三度目の正直」「徒労に賭ける」「鶯ばか」「おくめ殺し」「氷の下の芽」の8編が収録されています。
「赤ひげ」はこの小説を原作として1965年に公開された黒澤明監督、三船敏郎主演の映画として有名です。・・・
山本周五郎
夜と霧の隅で
1960年に出版された短編と中編の小説集で、1960年上期の芥川賞受賞作です。著者は医者として勤務をしながら、数多くの著作がありますが、中でも「どくとるマンボウ航海記」「楡家の人びと」などが有名です。また若い頃から始めた登山にも造詣が深く、本書にも登山をテーマにした短編が含まれています。
収録されている作品は、「岩尾根にて」「羽蟻のいる丘」「霊媒のいる町」「谿間にて」「夜と霧の隅で」の6編で、その中の表題となっている中編の「夜と霧の隅で」は、ナチスドイツでヒトラーが抵抗勢力や病人等を社会から排除するよう命じた「夜と霧」と言われる命令をモチーフとした作品です。・・・
北杜夫
約束の海
2013年に89歳で亡くなった著者の遺作となる小説で、週刊誌に連載中に亡くなったため、予定では3部作品のところ、この第1部で終わってしまった未完の作品です。2014年に単行本、2016年に文庫本が発刊されました。
著者の本は、過去に「沈まぬ太陽」(1~5巻)、「大地の子」(1~4巻)、「運命の人」(1~4巻)、「女系家族」(1~2巻)を読んでいて、面白いけど長い!というのが特徴ですが、今回は未完ということで1巻のみ、勝手なもので逆に物足りなく感じました。・・・
山崎豊子
俘虜記
著者は外国語に堪能だったことから太平洋戦争中、フィリピンで暗号手として配属されていたものの、米軍の捕虜となり、その後終戦で帰国します。
そしてその実体験を元にして1948年にこの「俘虜記」の前半(捉まるまで)を発表します。最終的に第4章までが完成したのは1949年で、基本は著者自身の体験談と、その時に思った心理的な描写や考察が書かれていて、私を主人公としたほぼノンフィクションに近い小説というスタイルとなっています。・・・
大岡昇平
スロウハイツの神様
著者の小説は以前短編集の「ツナグ」(2010年刊)を読んでいます。この2007年刊(文庫版は2010年刊)の長編小説が2作目です。
読んでみてすぐに思ったのは、これは映画化するのに向いた作品で、既にあるなら見てみたいと思いましたが、残念ながら制作はされていません。どうしてかな?
ストーリーは、東京郊外にあるスローハイツという元旅館をリフォームした古びたシェアハウスに住むアーティスト達の人間模様というドラマです。テラスハウスじゃないですが、今なら若者に受けそうなテーマでしょ?・・・
辻村深月
光圀伝
2012年に単行本、2015年に文庫化された、水戸黄門様として有名な徳川光圀(1628年~1700年)の伝記風歴史小説です。
著者の作品は、過去に「天地明察」(2009年)、「マルドゥック・スクランブル」(2003年)を読んでいます。本書のような歴史物から、SFまで幅が広い作家さんです。
なんでも地元水戸市では、観光振興や話題作りのため、この作品を原作とした大河ドラマの制作をNHKに提案しているのだとか。・・・
冲方 丁
生ける屍の死
この著者の小説を読むのはこれが最初ですが、1989年に「鮎川哲也と十三の謎」で発表したこの作品が実質デビュー作です。文庫版は1996年に東京創元社、2018年に全面改稿版が光文社から出版されています。
舞台はアメリカのニューイングランドにある田舎町で、主人公はアメリカ人ですが、ルーツは日本人とアメリカ人のハーフという設定です。・・・
山口雅也
涙香迷宮
2016年に単行本、2018年に文庫化された長編小説です。この著者の作品を読むのは今回が初めてです。
小説のタイトルにもなっている「涙香」とは、実際に明治から大正時代にかけて新聞業界等で活躍した「黒岩涙香(本名:黒岩周六)」のことで、この人物が書き残したとされる詩文をめぐるミステリーがテーマです。
正直、この「黒岩涙香」という人物のことは初めて知りました。・・・
竹本健治
よろずのことに気をつけよ
2011年に江戸川乱歩賞を受賞したこの作品は2011年に単行本、2013年に文庫本として発刊されています。この方の著作を読むのはこれが最初です。
著者はフリーで服飾デザイナーをし、さらに作家活動もして「法医昆虫学捜査官シリーズ」というちょっと毛色の変わった作品などを書いています。
この小説はシリーズ作品ではありませんが、主人公は毛色の変わった文化人類学、その中でも特異な呪術を専門に研究しているという貧乏な独身の学者です。・・・
川瀬七緒
邂逅の森
私と同年代の著者が2004年に直木賞を受賞した作品で、一般には馴染みがなく、近代化で消えつつあるマタギと呼ばれる山の狩猟民を描いた小説です。
マタギとヒグマが登場した小説としては、過去に吉村昭著で実話の巨大な羆が村を襲った1915年(大正4年)の三毛別羆事件を題材にした「羆嵐」を読みました。
こちら(邂逅の森)の小説は、時代は大正末期から昭和初期の頃の話しで、世界を見ると、第一次世界大戦や、日露戦争、満州事変ぐらいの時代背景です。・・・
熊谷達也
さよならの手口
初めて読む作家さんの推理小説ですが、あとで調べてみてわかったのが、以前NHKで放送されたドラマ「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」の原作だということ。
ドラマはチラッと見ただけですが、小説を読んでイメージした主人公とかなり違っているな~という感じです。
というのもドラマの主人公役のシシド・カフカは、ハーフで帰国子女で歌手でドラマー、モデルもこなす身長175cmと大柄でスマート。・・・
若竹七海
ブラックボックス
週刊朝日に連載され、2013年に単行本、2016年に文庫版が発刊された長編小説です。1997年に「女たちのジハード」で直木賞を受賞している著者の小説は、2003年に読んだ「弥勒」以降、計8冊になります(なぜか「長女たち」が2冊ありそれをカウントすると9冊)。いずれにしても外れのない作家さんで、安心して読むことができます。・・・
篠田節子
高熱隧道
1967年に単行本として発刊されたノンフィクション小説です。完全なノンフィクションではないのは、登場する人物や企業が、それぞれモデルはあるものの、実際の名称からは変えていたりするからです。
戦前の1936年に着工した黒部川第三発電所(仙人谷ダム)を建設するため、その工事資材を運び込むためのトロッコを走らせるトンネル軌道工事が小説のメインとなっています。・・・
吉村昭

【関連リンク】
1472 ハリー・ボッシュシリーズはまだ未完
1127 元アル中探偵マット・スカダーに惚れる
808 ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ
263 本の中の故郷とちょっと小説の話し その1



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1514
草花たちの静かな誓い (集英社文庫) 宮本輝

著者がお得意とする人生を前向きに切り開いていく主人公を描いた、各種のうんちくが満載の長編小説で、地方新聞の連載小説として掲載され、その後2016年に単行本、2020年に文庫化されました。

主人公が仲良くしてきた父親の妹の叔母は、両親の反対をおして職場で知り合ったアメリカ人と結婚していましたが、大きな財産を残したまま、日本への旅行中に突然他界します。

先に亡くなっていたアメリカ人の夫の墓に納骨するためにロスへ渡りますが、そこの法律事務所で聞かされたのは、巨額な債券や高級邸宅など総額40億円以上の財産を、他に身寄りがないので甥の主人公に譲るというということ。

但し、20年前に行方不明になったひとり娘がもし生きて見つかれば、その財産の7割を娘に譲って欲しいという口頭での付け足しがあります。

20年間、金に糸目を付けず両親が必死に探して見つからなかった娘を、引き続き探して欲しいということなのか?というやっかいな遺言を受け取り悩みます。

海外に住む親戚が亡くなって巨額の遺産が転がり込むという夢物語は、誰もが一度は夢想しそうですが、現実的にそれが実現することは100%ないことは誰も知っています。

もしそうなったとき、また年間何万人もの子供が行方不明になるアメリカで、20年以上前の事件を掘り返すという難題と向き合い、主人公は自分の新しい人生をどう作っていくのか?という「もし」がいっぱいのストーリーです。

自分ならどうするだろ?とか考えながら、主人公になった気分で読めてアッという間にクライマックスへ向かいました。その後の主人公の姿を描く続編をお願いしたい気分でいっぱいです。

★★☆

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ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果 ゲアリー・ケラー

2014年に発刊されたビジネス書で、著者はテキサスを舞台に一代で全米最大の不動産企業群を作りあげたという起業家で、本書はアメリカで累計130万部を売り上げたそうです。

タイトルにすべて凝縮されていますが、あれもこれもやろうではなく、常にもっとも重要で、それをすることで他のことがより便利になることだけをするべきというもの。

ドミノ倒しの最初の一押しに例えていますが、そうした最重要なことの探し方、選び方、そのための時間の取り方などが優しく書かれています。

私の若い頃のビジネスマンは、同時にいくつもの作業や思考をができる人が優秀で、仕事が早いと賞賛されてきました。でもそれは今の世の中というかビジネス界においては時代遅れというか、劣化ということなのでしょう、早く引退して良かったと思える内容です。

ただ、自慢でも何でもないですが、私自身、仕事をする上で、もっとも重要視していたことがあり、それは「集中力」でした。

集中することで仕事が早く進められることを経験上知っていて、そしてそれはひとつのことに集中することがもっとも効率的だということを知っていました。

でも若いときにこれを読んで、「なるほど!」と、周囲の雑音を気にせず、指示や命令に逆らってまで、自分が選んだ一番大事なことだけを優先してできただろうかな?と考えてしまいます。

それじゃーダメとか言われそうですが、問題なく「THE ONE THING」が実践できそうなのは、ある程度、自分で仕事が選べるミドルクラスになってからかも知れません。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) アガサ・クリスティー

1939年に発刊された伝説的な長編ミステリー小説で、最初の日本語版書籍は1955年に発刊されています。「オリエント急行殺人事件」などとともに、クリスティの代表作とも言える作品です。

原題(英国)は出版当初は「Ten Little Niggers」、当時はそうではなかった差別語?のためか、途中から改題されて「And Then There Were None」となりました。

外部から閉ざされた英国の島に招待された10人の客が、部屋に飾ってある10人のインディアンの子供達と、ひとりずつ消えていくという童謡になぞらえ、次々と殺されていくと言う、その後の多くのミステリー小説に大きな影響を与えた作品です。

事件後の警察の調査では、生存者がいず、誰が犯人かまったくつかめない状態でしたが、犯人が犯行に至る理由やそれぞれの殺害方法について記した手紙を、ビンに詰めて海に流しておいたものが後日見つかり事件の詳細がわかるという流れです。

ミステリーファンには今さらと言われそうですが、子供の頃に、テレビでやっていた映画をみた記憶はあるものの、小説を読むのはこれが初めてです。

謎解きの力を求められ、中盤辺りで「犯人はきっとこいつだ!その理由は・・・」と自信をもって思ったものの、違っていてガックリです。

でも一部の推理(考え方)は当たっていて、そういう楽しみ方もできる、優れたミステリーです。

時代は第二次大戦前で、当然ながら携帯電話や警察の科学捜査など様々な要素が今の時代とは違っています。

そうしたことも含めて、今読んでも決して古さを感じさせないのは名作の所以でもあるのでしょう。いや面白かったです。

★★★

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悪寒 (集英社文庫) 伊岡瞬

2017年に単行本、2019年に文庫化された長編小説です。ミステリーのジャンルに入るのでしょうけど、ビジネス小説の要素もあり、また夫婦や親子など家族をも描いてもいます。

著者の作品は2018年に「代償」を読んでいます。めちゃ暗い惨めな思いをした小説でした。

2018年11月後半の読書と感想、書評(代償)

主人公は、丸の内に本社のある大手製薬会社に勤務していましたが、上司の指示で公務員へ便宜を図ったことで、その責任を問われ、単身赴任で地方の孫会社へ飛ばされてしまい、ふつふつとした鬱憤がたまる日々を送っています。

そこへある日、妻から要領を得ないメールが送られてきて、連絡を取ろうとしますが取れません。そこで深夜バスで家族が住む東京へ戻ってきますが、その途中で、警察から妻が殺人容疑で緊急逮捕されたと連絡が入ります。

しかも殺されたのが、主人公の元上司でワンマン経営者の跡取り息子で、殺害場所は自宅、ウイスキーボトルで2度殴っての殺害ということがわかります。

なぜ?どうして?ということから、主人公は警察や妻の妹から話しを聞き、また独力でも調べていくという流れです。

その主人公、典型的な会社人間で、自分の意見というものはなく、その時々の権力者次第でコロコロと態度や考えが変わってしまう小心者ということで、まったくイライラさせられます。

でももし自分も長く会社人間で、要領は決して良くなかったから、同じ人種なんだろうなと同類哀れみも感じるところです。

最後はちょっと無理目な結果で、なんだか残念でスッキリしない思いですが、意外性を出したかったのでしょう。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

逢魔が時に会いましょう (集英社文庫) 萩原浩

2018年に発刊された文庫で、「座敷わらしの右手」「河童沼の水底から」「天狗の来た道」の連作短編小説です。

あとがきを読むと、前の二つの小説は21年前の2000年に小説すばるに掲載されたものだそうで、最後の1作は2018年に書き下ろされました。

座敷わらしと言えば水谷豊主演で映画にもなった著者の小説「愛しの座敷わらし」をすぐに思い浮かべました。

座敷わらしの舞台は遠野ですが、私も数年前に「遠野ふるさと村」などを観光で見てきました。そこには曲屋など古民家が保存されていますが、私が子供の頃、夏休みの度に行った地方にある母親の実家が似たような古民家で、懐かしいような気がしました。

また、遠野と言えば柳田國男著の「遠野物語」です。8年前に読みました。もちろん座敷わらしの話しも出てきます。

2013年8月後半の読書と感想、書評(遠野物語)
遠野にも河童淵がありましたが、この小説で出てくる二つ目の短編で河童の舞台は、富士山の裾野辺りが舞台です。

そして最後の天狗伝説のある場所は、広島の北方、島根、鳥取との県境あたりが舞台です。

主人公は、貧乏な文学部の女子大生4年生で、就活はあきらめ、大学院へ進もうとしているところ、民俗学者を紹介され、そこでフィールドワークを手伝うことになります。

最近読んだ小説二つにもありましたが、女子大生(短大生)と(考古)学者というカップリングはよくあるパターンみたいですね。華やかにもなり、小説にしやすいのでしょうね。

妖怪ものですがまったくホラーという感じではなく、ライトにサクッと読めますので、気分転換などに読むといいかもです。

★★☆

【関連リンク】
 2月前半の読書 見えない鎖、Iターン、逮捕されるまで 空白の2年7ヶ月の記録、健康という病
 1月後半の読書 交通事故賠償 被害者の心理、加害者の論理、噂の女、ダイイング・アイ、22年目の告白 私が殺人犯です
 1月前半の読書  クリフトン年代記 剣より強し第5部、機は熟せり第6部、永遠に残るは第7部



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見えない鎖 (潮文庫) 鏑木蓮

2010年に単行本、2016年に文庫化された長編ミステリー小説です。

著者の小説は、「白砂」(2010年)、「エンドロール」(2011年)、「転生」(2014年)の三冊を読んでいて、好きな作家さんです(3冊ぐらいで好きとか言うな!ってところですが)。

2020年2月前半の読書と感想、書評(転生)
2018年1月前半の読書と感想、書評(エンドロール)

ストーリーは、母親が家出をして父親と二人暮らしをしている女子短大生が主人公で、ある日その父親が何物かに刺殺されてしまい、元刑事だった父親の上司とともに、過去に父親が関わった事件などを調べ、謎が徐々に明らかになっていきます。

男性作家さんの作品ですが、女性特有?の感情の「あれでもない、これでもない」と揺れながら、論理的な思考ができない迷いがこれでもかってぐらいにでてきて、それが少々まどろっこしい感じがします。そういうこと書くと、今、旬な話題の女性蔑視になっちゃうかな?

このストーリーによく似た小説を最近読んだな~と思って調べると、川瀬七緒著の「よろずのことに気をつけよ」(2011年)でした。

2020年3月後半の読書と感想、書評(よろずのことに気をつけよ)

「よろずのことに気をつけよ」では、孫の女子大生と暮らしていた祖父が自宅で殺され、その現場に呪術の儀式ような跡があり、呪術に詳しい考古学者に頼み、一緒に祖父の過去を調べて殺された謎を解決していく物語でした。

主人公が女子短大生と女子大生、冒頭で殺されるのが父親と祖父、主人公を助けて犯人探しをするのが、元刑事の上司と、考古学者という違いがありますが、設定自体はとても似通っています。発刊はこちらの「見えない鎖」のほうが1年早いですから決して真似したというわけではありません。

★★☆

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Iターン (文春文庫) 福澤徹三

この作家さんの著書を読むのは初めてです。1962年生まれの見かけちょっと強面な感じの方で、多くの推理やホラー小説、極道もの小説を出されています。

内容はまったく知らず、軽めのサラリーマン小説?と著名にひかれて買って読みました。2010年に単行本、2013年に文庫化されています。

また2019年にはムロツヨシ主演でテレビドラマが制作、放送されています。

読み始めて確かにサラリーマン小説には違いないですが、内容はほとんど極道の世界感が満載で、あっけにとられました。昭和時代ならともかく、現代でサラリーマンとヤクザというのは縁遠い存在になってきましたから。

でもストーリーにあるように、暴力団のフロント企業の仕事で関わってしまったり、必要に迫られて闇金に手をだしてしまったりすると、今でもケツの毛まで抜かれる羽目になるのかぁーとコミカル要素のあるフィクションとは言え、妙に納得してしまいました。

主人公は、九州の社員二人しかいない広告代理店の支店へ単身赴任で飛ばされた中年男性。そこで街金の新聞広告で掲載ミスが起き、大きなトラブルへと発展していきます。

クライアントへの接待攻勢、下請けからのキックバック、汚職に手を染める不良刑事、ぼったくりバー、ヤクザ同士の抗争と、やはり昭和時代にタイムスリップしたような話しです。

最後は予想したとおりのハッピーエンド?に終わりますが、このタイトルと内容がどうも一致しないと思った次第です。

続編が想像できる終わり方をしていましたが、やはりその後、2019年に「Iターン2」という続編が文庫で出ています。

★★☆

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逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録 市橋達也

一般的に「リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件」と言われている22歳のイギリス人の英会話女性教師を殺害し、捜査で自宅へ来た警察官を振り切って逃げ、その後2年7ヶ月のあいだ逃亡し続けたものの、大阪南港のフェリー乗り場で逮捕され、現在は無期懲役で服役中の市橋達也が著者です。

その逃亡劇はまるでフィクションドラマのようで、様々な情報提供がありながら、天性のカンなのか、スルリと捜査の網をくぐり抜けてきました。

その逃亡中の行動を時系列で書いたものが本書で、意外に指名手配犯としてポスターがあちこちに貼られていても、身近にいても人は気がつかないものなんだなぁと思った次第です。

この犯人の罪は許されることでも、また持ち上げようとも全然思いませんが、この人物は頭が良さそうで、運動神経もよく、行動的で、肉体労働をなんなくこなし、英語も得意で、デザインを学んだことがあるので絵もうまく、本書を読む限りでは、自分の行動を客観的にとらえてみることができる、普通のまともな人生を歩めばきっと成功者になれる人だろうなぁと思います。

ただ、お金を稼ぐための日雇い労働者の飯場(宿泊所)で、よく他の労働者と喧嘩沙汰となっていたようで、きっとキレやすい性格なんだろうなとも思います。犯行を起こしたときも、殺すという計画性はなく、そのキレやすい性格ゆえ突発的に起きたように思えます。

それは両親が二人とも医者で、この息子の市川達也にも医者になって欲しいと期待されながら落ちこぼれたという抑圧がそういう性格を形作っていったのかも知れません。

著者の市橋達也は事件当時28歳、刑が確定したときは32~33歳で、無期懲役の場合、どれだけ模範囚であっても30年間は出られないので、もし仮釈放が許されるとしても60代半ば以降ということになるのでしょう。

才能ある人なのに、自らの弱さゆえ、その才能に溺れてしまったのでしょうか。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

健康という病 (幻冬舎新書) 五木寛之

2017年に発刊されたエッセイ集で、日刊ゲンダイで連載していたものをまとめたものです。

発刊当時、著者は85歳、男性の平均寿命は80歳ぐらいですから、すでに長生きの部類で、健康について書く権利というか言葉に重みがありそうです。軽い記事が多い日刊ゲンダイですけれども。

この無茶苦茶な生活を送っていそうな作家さんと、健康とは結びつかないと思っていましたが、それはご自身でもよく理解されていることがわかります。

しかし病院へ大学へ入学するときにレントゲンを撮影して以来、一度も通院したことがなく、80過ぎまでの60数年間レントゲン撮影もしたことがない、健康診断も一度も受けたことがないというのには「本当に文明人?」とか思ってしまいます。

しかしとうとう、左足に違和感と痛みを感じて、自由に歩き回れなくなり、やむなくレントゲン撮影をして診断を受けたところ「変形性股関節症」と診断されたそうです。

私は40代前半から変形性股関節症に悩まされ、50代後半で末期と診断されたことで人工股関節置換手術をおこないましたが、80歳を超えた著者が、今さらそうした大きな手術はされないのでしょう。

でももしまだあと10年は健康で歩きたいなら、人工股関節を入れるのは痛みから完全に開放されるので気持ちも明るく前向きになって良いかも。

変形性股関節症の人工股関節全置換手術(1) 2016/6/11(土)

その他、80歳過ぎとしては比較的健康を維持されていますが、それでも頻尿や偏頭痛など様々な症状をもっていて、それらについて自分の考え方や対処策などが書かれています。

ここで触れられている健康問題については、「これが良い」「いや、こっちのほうが正しい」「実は恐ろしい」など情報が錯綜していて、医療や療法の常識も時代で変わっていくこともあり、何を信じて良いのかわからなくなるときがあります。

要は人が100人いれば100通りの療法があるので、自分自身でなにが最適解かをよく考えて、他人の意見に惑わされないことが重要ということでしょう。

★★☆

【関連リンク】
 1月後半の読書 交通事故賠償 被害者の心理、加害者の論理、噂の女、ダイイング・アイ、22年目の告白 私が殺人犯です
 1月前半の読書  クリフトン年代記 剣より強し第5部、機は熟せり第6部、永遠に残るは第7部
 12月後半の読書 生ける屍の死、こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話、人間の本性

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1506
交通事故賠償 被害者の心理、加害者の論理(中公新書) 加茂隆康

1992年に初版ですから、29年前の新書です。交通事故は日常的に起きているにも関わらず、こうした交通事故賠償に関する新書というのは少ないです。著者は交通事故裁判を主とする弁護士です。

一般的には、新車で購入するときと車検時に必ず加入する自賠責と、それぞれ任意に加入する任意保険で交通事故の賠償に備えますが、その実際についてはあまり知られていないというのが実態です。

それは保険屋さんにお任せだったり、加入者と実際の運転者が別(親のクルマで親が保険の支払いをしていて子が運転するとか)だったり、あるいは「オレ様は事故なんか起こさない」と根拠のない自信で保険に加入していなかったりというケースもあるでしょう。

そういう人任せながら、万一事故が発生した場合、保険会社が頼りにならなかったり、被害金額がもらえなかったり、加害者が逃げたり自己破産してしまい、被害者が持ち出しで大きな損害を受けることとなり、理不尽を嘆くことになるケースも多いようです。

そうした、交通事故に関わる賠償問題がわかりやすく、示談で済む場合、裁判まで行く場合、加害者側の主張、被害者の多い苦情などが実際のケースを元に書かれています。

あと保険会社の都合、つまり賠償金をできるだけ払いたくないという、利益を追求する企業論理など裏話的な話しもあり、もし自分が当事者に陥ったら(幸い過去にもめるケースには出くわしていません)参考になりそうで、知人など周囲にそういう人がいれば、アドバイス(交渉ごとではなく、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センター、最終的には弁護士に相談するべきなど)できそうです。

自分では任意保険に加入しないでクルマを運転するなんて怖くてできませんが、世の中には20%以上が加入していないというのが実態のようです。怖いですね~

交通事故は、自分が加害者になれば当然ですが、被害者になっても大損(金銭的、精神的、肉体的)することになるのが普通なので、できうる限りの対策をしておくことがこの新書を読んでよくわかります。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

噂の女(新潮文庫) 奥田英朗

2012年に単行本、2015年に文庫化された連作短編小説です。2018年にはBSジャパンでテレビドラマ化されています。噂の女(主演)はグラビアアイドル?足立梨花です。

「中古車販売店の女」「麻雀荘の女」「料理教室の女」「マンションの女」「パチンコの女」「柳ケ瀬の女」「和服の女」「檀家の女」「内偵の女」「スカイツリーの女」の10編からなりますが、そのすべてに同じひとりの謎多き女性が登場します。

その噂の女は次々とお金持ちの男を替え、結婚するとその夫はまもなく死亡するとかすっかり街中の噂が拡がっていきます。

その美人ではないけれど、男好きがする肢体と男あしらいで、したたかに、疑惑の輪からうまく逃れていきます。

現実の事件にも時々そういう女性が現れますが、おしなべて「えっ、どうしてこの女が?」と(自分的には)美人とはとても思えない容姿の女が何人もの男を食い物にして、財産を奪ったりしています。

悪女というと響きは良いですが、愛人や夫に酒と睡眠薬を飲ませて風呂で溺れさせるなどからすると別の言い方で毒婦とも言えます。

そう言えば関係ないですが、悪男とか毒夫とはいわないですね?女性を指す特有の言葉で、きっと男中心社会の中で、触れてはいけない怖い女性を指すこととして作られたのでしょう。

ま、面白いのは面白かったですが、著者の作品は本格的な長編ミステリーが私は好きです。一般的な評価では「精神科医・伊良部シリーズ」など連作短編のウケが良い(シリーズ二作目「空中ブランコ」が直木賞受賞)ようですけど。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ダイイング・アイ (光文社文庫) 東野圭吾

小説宝石に連載され、その後2007年に単行本、2011年に文庫化された推理ミステリー小説です。2019年にはWOWOWで昨年亡くなった三浦春馬主演のテレビドラマが放送されています。

夫婦共働きの新婚家庭で、妻が仕事から自転車での帰り道でクルマに追突され、塀とクルマの間に挟まれ無残に死ぬところから始まります。

タイトルにあるように、事故を起こした加害者が、死につつある恨みのこもった人の目を正面に見ることがキーポイントになっています。

主人公はバーの店員で、仕事が終わった後に、客としてきていた男に後ろからスパナで殴られ、一命は取り留めたものの記憶障害が起き、自分が起こしたという交通事故のことが思い出せません。

犯人は事故で亡くなった被害女性の夫で、その夫は自宅で事件直後に自殺してしまいます。

と、複雑に絡み合った交通事故と事件について、主人公が記憶をたどりながら、必死に思い出そうとしますが、肝心なところがなかなか思い出せず、それがクライマックスのところで明らかになっていきます。

記憶喪失というちょっとミステリーにはご都合良すぎる設定ですが、主人公に一番味方っぽいと思っていた人が実は極悪人だったというのはお約束というか王道のようです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

22年目の告白-私が殺人犯です- (講談社文庫) 浜口倫太郎

2017年に公開された映画「22年目の告白 -私が殺人犯です-」の小説版と言うことです。元の原案は韓国の映画「殺人の告白」です。

同様に2020年に公開された映画「AI崩壊」の小説版もこの著者が書いています。

殺人事件に15年の時効がまだあった頃に、連続して同一犯と思われる5件の絞殺事件が起き、その後すでに時効が成立している22年目になってから「私が殺人犯です」と名乗り出る男が現れます。

また同時に、事件の詳細を書いた手記を出版したいと原稿を出版社の編集者宛に持ち込み、200万部のベストセラーを目指したいと様々な策を出版社と一緒におこないます。

映画では脇役だった出版社の女性編集者が小説では主人公で、本来は商業主義ではなく人を幸せにする書籍を出したいと願っていながらも、この悪意に満ちた殺人者の手記を担当することになり、会社の意向には逆らえずジレンマに陥ります。

手記を出した殺人者が表舞台に出てくると、それは誰もが振り向く美貌と洗練された立ち振る舞いで、一気に人気が沸騰し、時代の寵児として持ち上げられるようになります。

そして過去にこの事件の取材を熱心にしてきた人気ジャーナリストがMCを務めるニュース番組に出演することが決まり、そこで戦わされる辛辣な問答が大きな話題となります。

と、その人気番組に「犯人は俺で、そいつは偽者だ」という、犯人しか知り得ない動画が送られて来ます。

と、まぁそういう流れで、混乱を極めていき、クライマックスでは衝撃の事実が明らかになってきますが、なんだか途中の計算し尽くされたダイナミックな内容と比べると、終盤はかなり無理っぽいやっつけみたいな終わり方でちょっと残念。

やっぱり悪は最後まで悪らしく、とことん非道を貫いて欲しかった。というのが読後に思ったところです。

★★☆

【関連リンク】
 1月前半の読書  クリフトン年代記 剣より強し第5部、機は熟せり第6部、永遠に残るは第7部
 12月後半の読書 生ける屍の死、こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話、人間の本性
 12月前半の読書 呪われた町、傘をもたない蟻たちは、2025年東京不動産大暴落、殺人犯はそこにいる



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1503
100歳以上の日本人センテナリアンが初めて1万人を超えたのは23年前の1998年と割と最近のことです。2000年前とも言われる日本建国以来(おそらく)初めてのことです。

そして2万人を超えたのは2003年で、2000年間かけて1万人を超えてから、わずか5年で倍に増えました。

さらに、3万人を超えたのは2007年(4年間)、4万人を超えたのが2009年(2年)、5万人を超えたのは2012年(3年)、6万人を超えたのが2015年(3年)、7万人を超えたのが2018年(3年)と、ここ20年間は2~4年で1万人ずつ100歳以上の高齢者が増えていくという想像を絶する長命化です。

そして7万人達成から2年後の昨年2020年には8万人を超えました。これは人口が約2倍のアメリカとほぼ同数で、世界一の多さです。従って100歳以上の人口比も世界一です。

ボリュームが圧倒的に多く(おそらく生命力もやたらと強い)団塊世代は、今は70代ですから、団塊世代すべてが100歳を超える25年後までは、かなり高い確率でさらに増加していくでしょうから、現在と同じ増え方、3年で1万人ずつ増え続けると仮定すれば、プラス8万人、合計16万人という仮説が成り立ちそうです。

もうひとつ、別のデータ、将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)の2045年の人口構成予測では、100歳以上というくくりはありませんが、90歳以上の人口が529万人という予測で、全人口の5%を占めています。

現在の年齢別人口構成では、90歳以上人口のおよそ3%が100歳以上ですから、2045年の人口予測の90歳以上人口529万人の3%を計算するとなんと15万9千名となり、上記3年毎に1万人が増えていくと2045年に16万人になる予測とほぼ合います。

なにか凄いですね~

100歳以上の長寿者は、地域によってバラツキがあります。下記は、厚生労働省が発表している都道府県別の令和元年100歳以上人口データを管理人が表に作成したものです。

百歳以上高齢者の状況
総人口 (千人) 百歳以上 高齢者数 (人) 順位 人口10万人当たり 百歳以上高齢者数 順位
北海道 5,250 3,867 4 501 3,366 74 29
青森県 1,246 685 44 78 607 55 39
岩手県 1,227 910 32 97 813 74 27
宮城県 2,306 1,332 22 187 1,145 58 38
秋田県 966 748 41 94 654 77 25
山形県 1,078 877 36 117 760 81 21
福島県 1,846 1,369 19 189 1,180 74 28
茨城県 2,860 1,569 18 188 1,381 55 40
栃木県 1,934 1,042 28 126 916 54 41
群馬県 1,942 1,347 21 164 1,183 69 30
埼玉県 7,350 2,941 8 379 2,562 40 47
千葉県 6,259 2,878 9 346 2,532 46 45
東京都 13,921 6,694 1 811 5,883 48 42
神奈川県 9,198 4,362 2 566 3,796 47 43
新潟県 2,223 2,070 12 245 1,825 93 12
富山県 1,044 892 35 114 778 85 17
石川県 1,138 919 31 115 804 81 22
福井県 768 637 45 88 549 83 20
山梨県 811 781 40 97 684 96 8
長野県 2,049 1,972 13 229 1,743 96 9
岐阜県 1,987 1,277 24 152 1,125 64 34
静岡県 3,644 2,398 10 275 2,123 66 33
愛知県 7,552 3,156 7 337 2,819 42 46
三重県 1,781 1,119 27 128 991 63 35
滋賀県 1,414 864 37 106 758 61 37
京都府 2,583 1,926 14 217 1,709 75 26
大阪府 8,809 4,116 3 430 3,686 47 44
兵庫県 5,466 3,397 6 386 3,011 62 36
奈良県 1,330 895 34 93 802 67 32
和歌山県 925 741 42 75 666 80 23
鳥取県 556 611 46 53 558 110 3
島根県 674 860 38 115 745 128 1
岡山県 1,890 1,627 17 170 1,457 86 16
広島県 2,804 2,392 11 311 2,081 85 18
山口県 1,358 1,365 20 164 1,201 101 5
徳島県 728 579 47 72 507 80 24
香川県 956 908 33 96 812 95 11
愛媛県 1,339 1,283 23 160 1,123 96 10
高知県 698 836 39 81 755 120 2
福岡県 5,104 3,524 5 355 3,169 69 31
佐賀県 815 707 43 82 625 87 15
長崎県 1,327 1,230 25 115 1,115 93 13
熊本県 1,748 1,752 15 196 1,556 100 6
大分県 1,135 999 30 116 883 88 14
宮崎県 1,073 1,037 29 123 914 97 7
鹿児島県 1,602 1,744 16 194 1,550 109 4
沖縄県 1,453 1,215 26 142 1,073 84 19
全国 126,167 80,450 9,475 70,975 64
(資料)総人口は、総務省統計局「令和元年10月1日現在人口推計」
  (千人未満は四捨五入のため、単純合計と相違する場合がある)

都道府県によって人口が大きく違うので、右端の10万人当たりの100歳以上高齢者数の順位を見るとして、100歳以上が多い県上位10はピンク色、少ない都県下位10はグレイに色づけしています。

多い県1位は島根県、3位は鳥取県ですが、その他では、高知県(2位)や鹿児島県(4位)、徳島県(5位)、熊本県(6位)など、南の比較的温暖な地域に100歳以上の割合が多いように見えます。その他では、健康寿命が長い山梨県(8位)や長野県(9位)も上位にランクされています。

長寿者が多いと思っていた沖縄県は、19位とそれほどでもない感じです。意外でした。

最下位(100歳以上人口が少ない)は埼玉県で、その他首都圏や関西圏、中部圏の大都市圏が下位10位に多く含まれています。これは都市部には学生など比較的若い人が多く、人口比では不利になるからと思われます。

下位のその他では、青森県(39位)、宮城県(38位)、栃木県(41位)など、比較的寒い地域が目立ちます。

引退したアメリカ人がフロリダ半島やハワイに住みたがり、フランス人も南のニースへ移住したがるように、長生きしたければ、温暖な南へ行けってことなのでしょうか。

私も宝くじで大当たりでもしてくれたら、すぐにでも温暖な気候で、近くに原発もなく、温泉もすぐ近くにある和歌山県白浜町にでも移住したいと思っていますが、残念ながら和歌山県は100歳ランキングでは23位とちょうど真ん中あたりで、長寿県ではありません。

【関連リンク】
1211 過疎と限界集落の行方とコンパクトシティ
1205 老人ホームは男性高齢者にとって快適ではないという話し
1044 高齢者ドライバーの増加がもたらすこと
1040 高齢化社会は日本になにをもたらすか?


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