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1528
お薦め小説 2021年版(国内小説)」や「お薦め小説 2021年版(海外小説)」を以前書きましたが、今回は、お勧めの新書やエッセイ、ノンフィクション、ビジネス書から選んでみます。

新書やエッセイ、ノンフィクション、ビジネス書の蔵書は全部で約200冊あります。しかしあいにく日記で読書感想を書き始めたのが2012年頃からで、それ以前に読んだ中にもお勧めのものは数多くありますが、今回は感想を書いた2012年以降、2020年までに読んだ中から20冊を選びました。

書籍タイトルのリンク先は私が過去に書いた複数書籍の感想記事へ飛びますが、記事の下の方にある場合は下へスクロールをして見てください。

大往生したけりゃ医療とかかわるな
誰しもいつかは迎えることになる往生。その死への旅をどうすれば人間らしく尊厳をもって向かえることができるかを老人ホームの医師でもあり、市民グループ「自分の死を考える集い」を主宰する中村仁一氏が現場で経験したことから書いたものです。
タイトルが刺激的で、当然他の医者や医師会などからは反発を招き、様々な反論や批判を浴びることになるというのも本人は承知の上です。
基本的にこの本では高齢者の老衰死を扱っているので、まだ若い人へのメッセージではありません。…
中村仁一
累犯障害者
著者の山本譲司氏は、演歌歌手山本譲二氏とは違い、民主党の衆議院議員でありながら、2001年に秘書給与流用の詐欺容疑で実刑判決を受けた方です。
秘書給与として支給されたお金を事務所の運営費などに充てていたわけで、もちろん犯罪行為にあたりますが、自分か親が金持ちでない若手議員は、そうしてやりくりでもしないと、まともな議員活動ができないという実態もあるのでしょう。
当時は辻元清美衆議院議員など何人かの議員に同様な公費流用が指摘されていたに関わらず、現職の議員で実刑を受けたのはこの山本氏だけで(辻元氏は執行猶予付き)、一種みせしめ的な逮捕・起訴・実刑判決だったようにも思えます。…
山本譲司
人間の土地
1939年と言いますから今から75年も前に出版されたサン=テグジュペリのエッセイ集で、主として第二次大戦前の民間航空機のパイロット時代の話しがメインです。
小説ではないので、特に物語があるわけではなく、パイロットという仕事を通して、世界中で見てきたもの、感じたこと、友情やアフリカの奴隷制度など、幅広い話題で淡々と書かれています。
特に「砂漠のまん中で 」では、サハラ砂漠の上空で砂嵐に巻き込まれ前後不明となり、砂漠に不時着したときのことが書かれていますが、この死をもっとも身近に感じた時にあの名作「星の王子さま」の着想を得たと言われています。…
サン=テグジュペリ
冷血
1958年に発刊された「ティファニーで朝食を」が映画化されそれで一躍有名になったアメリカの作家さんですが、19歳の時に始めて作品を世に出し、60歳の時に心臓発作で亡くなるまで40年あったわりには作品数は少なく、短編集を含めて12作品だけです。
この作品は1966年に書かれたカポーティの最後の長編作品で、1959年に実際にアメリカで起きた一家殺人事件が元となっています。…
カーポティ
旅をする木
著者は1952年生まれで、慶応大学生時代に写真で見たアラスカの動物や自然に魅了され、ついにはアラスカ大学野生動物管理学部に入学(中退)するほどのアラスカやその自然が好きな写真家、冒険家です。
しかし1996年にテレビ番組の取材で滞在していたロシアのカムチャツカ半島南部のクリル湖畔でヒグマに襲われ死亡されています(享年44歳)。…
星野道夫
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率
著者の浅川氏は1974年生まれの雑誌「農業経営者」の副編集長で、株式会社農業技術通信社の専務取締役です。
いわゆる農業ジャーナリストといったところでしょうか。この本は2010年に発刊されていますが、その後もこの手の本を出しておられ、2012年には続編とも言える「TPPで日本は世界一の農業大国になる」が発刊されています。…
浅川芳裕
20歳からの社会科
すでにあちこちで語られていて多くの人は知っていながらも、政治家含めどうすることもできずにただあきらめているという感がある、日本の高齢化社会、格差社会、外交、未来の課題に真正面から向き合い、様々な学者や識者と言われる人が、わかりやすく解説しています。内容は、第1章 高齢者の意見が通りやすい国 第2章 どうすれば若者が社会を動かせるのか 第3章 今の若者が担う外交で日本は生き残れるか 第4章 年金や医療費を誰が支えるのか 第5章 人が減り、教育に熱心でなくなった国 第6章 未来の地球に何を贈るのか…
明治大学世代間政策研究所
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
2010年に出版されて大ベストセラーになった「デフレの正体」の筆者とNHK広島取材班がタッグを組んだ作品です。
里山と言えば、少し前ならTOKIOのダッシュ村をふと思い出したりしますが、あのような山間に囲まれた地で農業を中心に半自給自足をおくっている昔ながらの風景です。
アメリカを中心とする「マネー資本主義」に対応した「里山資本主義」という造語を新たに作り、今後経済が縮小していく日本において、ある一定の人口を支える基礎的な生活パターンとして、里山で暮らすという選択肢を提案しています。…
藻谷浩介・NHK広島取材班
日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか
同じ医師でありながら作家として二足のわらじをはく恵まれた才能を持つ人は多いのですが、その医師の中でも大病院や大学病院の中で働く医師とは違い、在宅医療の医師であることが特徴的です。
在宅医療の本質は、終末医療に大きく関わっています。またグループホームや軽費老人ホームなど、医師が常駐しないホームへ訪問医師として関わることも多く、患者はおしなべて高齢者で、様々な健康問題を抱え、特に認知症患者と関わるケースも多そうです。…
久坂部羊
福翁自伝
ネット上のお勧め本のリストを見て購入してはみたものの、約2年半ほど読まずに本棚の肥やしとなっていましたが、別のところで「この本はめちゃ面白い!諭吉ってファンキーで生き方がロックだ!」という絶賛?する評判を聞きおよび、暮れの忙しいときに読み始めました。
この本のことはWikipediaには「1898年(明治31年)7月1日から1899年(明治32年)2月16日まで計67回にわたって「時事新報」に掲載され、単行本は1899年(明治32年)6月15日に刊行。今日でも慶應義塾大学では毎年、新入生に配布されている」と書いてあります。…
福沢諭吉
戦艦大和
この戦記は、戦後まもなく吉川英治の勧めで執筆され、1946年に雑誌に掲載される予定だったのが、GHQの検閲で出版ができず、1951年のサンフランシスコ講和条約後の1952年になってようやく出版ができたという「戦艦大和ノ最期」を元としています。
当初はノンフィクションだと思っていましたが、生き残った他人に聞いた話や、著者の推測や想像で書かれた部分も混じっているようで、公式にはノンフィクションではなく戦記文学のジャンルに入るようです。…
吉田満
定年後のリアル
多くの新書を中心とする著書を書いている著者の2010年単行本、2013年に文庫版が発刊されている新書的な文庫本です。その後、この本の売れ行きがよかったのか、二匹目のドジョウ的に「定年後7年目のリアル」(2014年)、「さらなる定年後のリアル」(2015年)と次々定年本が出ています。自分のことを、そのまま書くわけですから割と楽にかけそうですね。…
勢古浩爾
フェルマーの最終定理
17世紀に数学者フェルマーが残した「3以上の自然数nについて、xn(xのn乗)+yn(yのn乗)=zn(zのn乗となる自然数の組(x,y,z)は存在しない」という定理について、フェルマーが「証明できるけど余白がないので書かない」とした証明を、360年後にやってのけた数学者アンドリュー・ワイルズのノンフィクションドラマです。
なにか難しそうで最初はためらわれましたが、多くの先駆者達のお勧め本に上がっていましたので、思い切って買ってきて読んでみました。…
サイモン・シン
「子供を殺してください」という親たち
著者は精神障害者移送サービスを営み、精神に異常を来した人と直接に接してきた方で、このノンフィクションは、2015年に文庫が刊行されています。
まずタイトルに驚かされますが、当初はどうせ引きの良い派手なタイトルだろうぐらいに思っていましたが、あに図らんや、どうしてどうして、精神的におかしくなった人とその家族の葛藤が、現場からの緊迫感、臨場感、悲壮感が漂うドキュメンタリーとして展開され、読みながらその話しに息をのんでしまいます。…
押川剛
言ってはいけない 残酷すぎる真実
宝島30の元編集長だった著者は、名前を見ると女性ジャーナリストだと思っていましたが男性です。小説もいくつか書いておられますが、著書を読むのはこれが初めてです。
タイトルだけ見ると「大げさな~」と思っていましたが、中身はもっと過激、こんなこと書いて良いの?というようなことがズバズバ出てきます。炎上商法も真っ青な感じで、恥ずかしながら衝撃を受けてしまいました。…
橘玲
バッタを倒しにアフリカへ
著者は芸能人ではなく、日本の農学者であり昆虫学者の方で、1980年生まれと言うから今年で不惑の40歳、研究者としては若い方です。実は、表紙(カバー)に載っているバッタのかぶり物をした著者らしい人物から、売れないお笑い芸能人が、ネタとして本を書いたぐらいにしか思ってませんでした。本書は、2017年に出版され、中央公論・新書大賞などいくつもの賞をとった作品です。…
前野ウルド浩太郎
陰翳礼讃
難しい旧漢字のタイトルは「いんえいらいさん」と読みます。今の漢字で書くと陰影礼賛となります。
1933年から雑誌に連載され、1939年に単行本として発刊された随筆(エッセイ)です。今回読んだ文庫は1975年初版、2008年改版の中央公論新社版です。
実はこの本は、2015年2月に購入したまま、5年半も塩漬けにしていました。特に理由はないのですが、タイトルをみただけではやや重々しい感じがしていました。…
谷崎潤一郎
無私の日本人
映画で有名になった「武士の家計簿」などの著書がある磯田氏は、今やテレビの歴史番組の解説者として欠かせないキャラクターとなっているユニークな学者先生です。
私も毎週欠かさずNHK BSの「英雄たちの選択」を録画して楽しく見ています。それにしても、古代天皇から、昭和時代まで、どうしてそんなに詳しいの?と思えるぐらい博学で、しかもテレビに向いた雄弁な方です。…
磯田道史
おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?
2014年に発刊された新書ですが、ベストセラーとしてよく知られています。なにかありふれたタイトルですが、書かれているテーマは(1)宗教、(2)宇宙、(3)人類の旅路、(4)人間と病気、(5)経済学、(6)歴史、(7)日本と日本人と7章立てです。
ジャーナリストの著者ですが、2012年から理系のエリートが集う東京工業大で教鞭をとることになり、そこのリベラルアーツ(現代の教養)センターに属し、学生に理系バカにならないよう、理系以外の教養を身につけてもらおうとしています。…
池上彰
日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実
2018年に「アジア・太平洋賞特別賞」や、2019年の「新書大賞」1位の本書は、2017年に発刊された硬派な新書です。
新書というと、著者の自己満足的な自慢話しと事業の宣伝に終始しているものが多く、うんざりしているのですが、最近読んだ「バッタを倒しにアフリカへ」、「人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長」、「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」など、良いものも時々混じっているので、欠かせません。…
吉田裕


【関連リンク】
1520 お薦め小説 2021年版(海外小説)

1516 お薦め小説 2021年版(国内小説)

932 お薦めの面白い小説(翻訳本)

920 お薦めの面白い小説(国内本)


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1527
獄中記―煉獄篇(原題:A Prison Diary II) ジェフリー・アーチャー

シリーズ第1作目の「獄中記 地獄篇」は2005年に読みましたが、ブログに感想文はまだ書いていない時期でした。

第1作「地獄篇」は収監1日目から22日目までが書かれていましたが、この第2作目の「煉獄篇」は2004年に単行本が発刊され、その後文庫が出てくるのを待っていましたが、大人の事情なのかどうか知りませんが、一向に文庫化されず、あきらめて単行本を購入しました。

「地獄篇」「煉獄篇」に続いて第3作目の「天国篇」は2005年に英国では発刊されていますが、日本語版は2021年3月時点でまだ発刊されていません。もう出そうもないですね。なにか出版社とエージェントとの大人の事情がありそうです。

で、こちらの煉獄篇は22日目の続きから始まります。この22日目で、それまで収監されていた”地獄の”刑務所から別の”煉獄”刑務所へ移動します。

つまり1作目の「地獄」から脱出し、「天国」と「地獄」の中間にあたる「煉獄」に移ったということです。

煉獄とは、「カトリック教で説く、天国と地獄との間にある所。死者の霊が天国にはいる前に、ここで火によって浄化される。」(Oxford Languages and Google)とのことです。

しかし英国の刑務所というのは、なんと自由というか、自主性に任されているというか、不思議なところです。

・男性収容者の刑務所内に女性の刑務官や各種講師、事務官などが普通にいる
・外部のサッカーやラグビーやクリケットのチームが刑務所囚人チームとの試合にやってくる
・ほぼ毎日、刑務所内から好きなところへ電話ができる
・昼食と夕食は数種類の中から選べ(ベジタリアン食など)、自分の部屋で食べる
・刑務所内にあるトレーニングジムには一般のスポーツジムと変わらない器具がある
・囚人でも個人で新聞が購入できる
・芸術や語学など様々な講習が用意されていて、受講すればお金が支給される
・朝に部屋の扉の鍵が開けられ、夜に閉められるまで他の部屋へ行くのが割と自由
・各部屋にテレビが設置
・囚人同士で大麻やヘロインなどが普通に流通している

などなど。

面白いですねぇ~

刑務所内の話し(ノンフィクション)は、堀江貴文著「刑務所なう。」、山本譲司著「獄窓記」、佐藤優著「獄中記」 など数多くあります。

その中では「獄窓記」だけ読んでいます。

2012年4月後半の読書と感想、書評(獄窓記)

しかし現役のベストセラー作家が書くこの「獄中記」はまたひと味もふた味も違います。

でもさすがにあまり代わり映えのない刑務所内の日々の話しだけで2冊読むと、もう良いかなぁ~って気もします。

★★☆

著者別読書感想(ジェフリー・アーチャー)

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さよなら、ニルヴァーナ (文春文庫) 窪美澄

初出は2013年~2015年に文藝春秋に掲載され、2015年に単行本、2018年に文庫化された短編小説集です。

まったく内容を知らず(カバー裏のあらすじも読まず)に読み始めましたが、14歳の少年Aが年下の少女を殺し、首を切り取って門の上に置くという、神戸連続児童殺傷事件の加害者少年Aをモチーフにした内容で、それぞれ直接的なつながりはありませんが、連作短編集となっています。

少年Aはその後名前を変えて社会に出ますが、彼を英雄視したり、思いが募って探して会いに行ったりする人までいます。

また、作家を目指していくつもの小説を書いては懸賞に応募してもダメで、ある編集者から言われた「実際に起きた事件をモチーフにした作品」を書くべく少年Aのことを調べ始めます。

さらに被害者の母親も、複雑な思いで、少年Aにあこがれる少女と仲良くなっていく話しや、元少年A、現在はひとり寡黙に人に会わないで済む仕事をしながら、自分の生い立ちから異常性を持つようになった経緯などを語っていくという重くて暗い話しです。

ここで言う「ニルヴァーナ」というのは初耳でなんのことか知りませんでしたが、1989年にデビューしたアメリカのロックバンドのことなんですね。医療少年院に入院中に同房の少年から好きな曲だと聞かされたことばです。

「ニルヴァーナ」の元々の意味は、インド哲学に由来し、仏教用語の涅槃、魂の解放を意味するとのことです。そのあたりをうまく内容にかけているのかも知れません。

もちろんこの話しはすべてが小説であり、少年の生い立ちや、殺害に至った動機、退院したあとの生活などはすべてフィクションです。

実際にその元少年Aがこれを読んだらどういう感想を持つだろうなぁ~とボンヤリ考えてしまいました。

★★☆

著者別読書感想(窪美澄)

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邪馬台国殺人紀行 歴女学者探偵の事件簿 (実業之日本社文庫) 鯨統一郎

2013年に書き下ろし文庫化された連作短編集で、邪馬台国はどこ?をモチーフとして、他のシリーズ作品も出てくる歴史学者の早乙女静香、女子大生の桜川東子、そして静香のライバルとして登場する歴史学者翁ひとみの美女三人組が旅をする内容です。

旅先は、邪馬台国九州説の吉野ケ里遺跡、畿内説の箸墓遺跡、そして青森の三内丸山遺跡で、それぞれ三人が行くとそこで殺人事件が起き、誰がどういう目的で事件を起こしたのか?それぞえの遺跡と邪馬台国の関係は?と推理をしていく漫画的なストーリーです。

そう言えば10年前の2011年に読んだ「邪馬台国はどこですか?」(1998年)は、九州説、畿内説をひっくり返し、岩手県の八幡平説が書かれていましたが、斬新で面白かったことを思い出しました。

2011年8月前半の読書(邪馬台国はどこですか?)

その「邪馬台国はどこですか?」を読んでから、今回で著者の小説を読むのは9作目で、概ね1年に1冊のペースで読んでいることになります。

最近では2019年に「幕末時そば伝」を読んでいます。

2019年11月前半の読書と感想、書評(幕末時そば伝)

どれも発想が斬新で、古代史ながら小難しいこともなく、頭の切り替えなど軽く読書をするのに最適な作品が多く、今後も時々手に取って読みたいと思います。多作な作家さんで、まだ読んでいない小説がざっと百冊ぐらいはありますので。

★★☆

著者別読書感想(鯨統一郎)

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眠りの森 (講談社文庫) 東野圭吾

刑事加賀恭一郎シリーズ第2作目の長編小説で、1989年に単行本、1992年に文庫化されています。

加賀恭一郎シリーズと言うと、阿部寛主演で連続テレビドラマ化された「新参者」(2009年)や、映画になった「麒麟の翼」(2011年)が有名ですが、この2作目では、主人公の刑事が地方出身で貧しくも一途なバレエダンサーに一目惚れするなど、まだ人間味があふれた刑事の姿が印象的です。

内容は、東京のバレエスタジオに窓から侵入していた男と部屋の中で鉢合わせし、襲ってきたので花瓶で殴ったところ頭から血を流して死んでしまったと自供するダンサーの女性が逮捕されます。

またそのすぐ後に、公演直前のリハーサル中に、演出などを手がけるバレエマスターが毒殺されるという事件が起きます。さらに事件を調べようとしていた男性ダンサーの水筒にも毒が盛られあわや3人目の殺人!?という事態にまで発展していきます。

これらの事件につながりはあるのか?男を撲殺した女性には正当防衛が成り立つのか?毒殺犯は誰でなんのために?など、ふたつの事件が複雑に絡み合いながら、刑事とバレエダンサー、バレエ団とそれぞれの思惑が交錯していくという感じです。

なかなか複雑な構成ですが、狭いバレエ団の中だけの話しなので、読んでいても複雑さは感じられません。

推理小説ですから、一応自分なりに、犯人は誰?って考えながら読みましたが、まったくかすりもしませんでした。

実際にリアリティがあるかどうかはともかく、31年前の小説ですが、よくできたミステリーで、面白く読めました。

★★☆

著者別読書感想(東野圭吾)

【関連リンク】
 3月後半の読書 証言拒否 リンカーン弁護士、コンビニ人間、官報複合体、レプリカたちの夜
 3月前半の読書 武田信玄 風の巻、林の巻、火の巻、山の巻 新田次郎
 2月後半の読書 草花たちの静かな誓、THE ONE THING、そして誰もいなくなった、悪寒、逢魔が時に会いましょう

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1523
証言拒否 リンカーン弁護士(講談社文庫)(上)(下) マイクル・コナリー

刑事弁護士 "ミッキー・ハラー" シリーズ」の第四作目です。コナリーと言えば「ハリー・ボッシュシリーズ」ですが、精力的な作家さんで、このハラーシリーズの他、新聞記者ジャック・マカヴォイや、刑事レネイ・バラードなどを主役とした作品もあり、多岐にわたっています。

またそれぞれのシリーズの中に、別のシリーズの主役や脇役までがチラッと登場したりしますので、なかなか油断できません。

このミッキー・ハラーシリーズにもハリー・ボッシュが出てきますが、実は二人は異母兄弟だったというのが途中の作品で明らかになります。

それはともかく、このシリーズも4作目となり、当然ながら裁判シーンが多く、ちょっと飽きてきたかなと思います。

刑事だと、犯罪者との派手な対決シーンなど要素がいくらでも作れますが、その点、弁護士や検事が主役となると場外乱闘は添え物で、メインディッシュは法廷と言うことになってしまいます。

今回は、住宅ローン返済が滞り、自宅を差し押さえされそうになった女性が銀行相手に抗議活動を展開しますが、その銀行の融資担当者が何者かに殺されてしまい、その女性が容疑者として逮捕され、その女性の弁護士としてハラーが活躍奮闘するというもの。

何度も危機に陥りますが、最後は予定調和で裁判に勝利しますが、それだけでは終わらず、、、ミステリー要素が含まれているので、明かすわけには行きません。

ボッシュシリーズは、続く限り読みたいと思いますが、こちらのシリーズはもういいかなと思った第4作目でした。

★★☆

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

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コンビニ人間 (文春文庫) 村田沙耶香

2016年の芥川賞受賞作です。自身のコンビニでのアルバイト経験を生かした長編小説で、主人公も(おそらく)自我を一部投影したような女性です。

自分で考えて行動することができなくなった主人公が、マニュアル通りに毎日同じことを繰り返すことを求められるコンビニ店員の仕事を天職とばかりに日々淡々と生活していきますが、あるとき、バイトに来ていた社会に適応できそうもない自己中に凝り固まった変人に救いを求めて飛び出してしまいます。

どうも意味不明で、小説とは言え、このようにぶっ飛んだ話しにはどうも共感もリアリティも感じられません。

脱力系というか、よくわからない心理描写ですが、それは私自身が、40年間口八丁で無から有を生じさせる働き蜂だったからかも知れません。

知らない異次元な世界を垣間見せてもらったというぐらいしか、感想はないかな、、、

★☆☆

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官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪 牧野洋

2012年ということで9年前に発刊された単行本(ソフトカバー)です。タイトルからわかるとおり、官僚制度と報道が癒着している現状を憂う日本のジャーナリズムの問題を指摘するものです。

政財界含め、仲間のジャーナリスト達も敵に回す可能性があるだけに覚悟のいる出版で、そうした立派な行動は大いに評価しまた尊敬に値するものです。

著者は日本経済新聞社及びその関連に24年間勤務をしていて、その巨大新聞社の裏も表も知った上での提言ですが、よく長期間その立場にいながら、それに染まらずにいれたなぁというのが驚きでもあります。

というのも、2~3年その業界にいただけで、まるでその業界のオーソリティとでも言わんばかりにその業界のことをあれこれ書くような人も多い中、どっぷりと浸かっての告発とまでは言えないまでも、今のやり方じゃやがてダメになるということを断言されています。

ただ残念ながら鼻につくのが、「自分は、日本人はほとんどいないアメリカの難関コロンビア大学大学院のジャーナリズムスクール卒業生だ!」という優越感にしたる自慢話が1冊の中に10回ぐらい出てきたり、アメリカの次々とリストラされる新聞社が凄く優れているという話し。

世界の中で発行部数が軒並み上位を占める日本の新聞社の報道姿勢はダメで、次々つぶれたり買収されたり、大規模に記者がリストラされるアメリカの新聞社が優秀というのは、それってあまりにもジャーナリストの勝手よがり過ぎないか?って気もします。

著者はアメリカ流の調査報道に力点を置くべきと何度も何度も繰り返しますが、それがジャーナリストの理想とは言え、それで飯が食えないのなら、そのやり方は、経済性から言えば間違っているとも言えます。

じゃぁ損得無視で、あくまで金食い虫の調査報道に力を入れるのが正しいと言うなら、国営にするか?ということになってしまいますが、それでは調査報道からもっとも遠い共産国家の国営新聞になってしまいます。

普遍のこととして、新聞社や雑誌社では、営業と編集のあいだでもめるということがあります。うまくそのバランスを考えずに報道姿勢だけ理想を追求するというのは、それこそ、理想郷、お花畑の中の話しです。

本著にも出てきますが、最近の政治や公務員のスクープ報道は、新聞ではなく文春や新潮など雑誌からのものが目立ちます。

これは新聞記者が政府高官や官僚のリークや発表だけを記事にしていて、また記者クラブの弊害から持ちつ持たれつの関係から脱却できないからというもの。

新聞社よ、恥を知れ!って思いがしますが、本著にも書かれていますが、スクープの後追い記事を別の媒体が掲載する場合は、必ず最初にスクープした媒体名を敬意をもって引用か出典先のように記載することを義務づけるようにすると、骨のあるジャーナリスト達がもっと発憤するような気もします。

あとは、なにがスクープとして重要か?という話しには納得がいきました。つまり後日発表される内容を数日早く聞いて(リークされて)スクープ!というのは意味がなく、本来なら隠されて世の中には出てこないことを丁寧に探し出して報道することが本来のスクープなのだということ。

まぁ、いろいろ書きましたが、ネットの普及と、新聞や週刊誌が好きで購読してくれる今の中高年がやがて減ってくれば、自然に日本の新聞や週刊誌はアメリカの後を追って衰退していくことになるのは間違いなさそうです。

ネット媒体に、その理想の調査報道を核とするジャーナリズムがまかなえるか?というと、それも経済合理性、効率性ばかりを考えるネット事業の常で難しく、また寄付行為の文化がない日本でのNPOでのジャーナリズムも考えにくく、、今のところ打つ手なしと思えてきます。

せめて著者はじめ,、しがらみの少ないフリーのジャーナリストに期待するしかないのかなぁ。

★★☆

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レプリカたちの夜(新潮文庫) 一條次郎

思わずタイトルにひかれてジャケ買いしたミステリー?小説で、2016年単行本、2018年に文庫化されました。この著者の作品を読むのは今回が初めてです。

新潮ミステリー大賞受賞作だそうですから、代表してミステリー小説と言って良いのでしょうけど、内容はホラー?ファンタジー?SF?とも思えるものです。

あらすじを書けと言われても、解説文でも「あらすじ紹介は難しい」と書いてあったとおり、私などには絶対に難しくて書けません。

主人公は、絶滅していく動物のレプリカ(模造人形)を作る工場で生産管理部に勤務する男性です。

そしてその主人公の語りで始まりますが、出だしは「シロクマを目撃したのは、夜中の十二時過ぎだった。」です。

まるで「国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた」と同じように、つかみはOKでしょう。

とにかくライトノベルスのようにスイスイ読めていけるのですが、内容や状況に理解不能のことが多すぎて、最後までなにがなんだかよくわからないというのが感想です。

そうそう、これはアニメにすると良さそうと思いました。巨匠の大友克洋氏がアニメ化してくれたら、ぜひに見たいと思うような作品と言うことにしておきます。

★☆☆

【関連リンク】
 3月前半の読書 武田信玄 風の巻、林の巻、火の巻、山の巻 新田次郎
 2月後半の読書 草花たちの静かな誓、THE ONE THING、そして誰もいなくなった、悪寒、逢魔が時に会いましょう
 2月前半の読書 見えない鎖、Iターン、逮捕されるまで 空白の2年7ヶ月の記録、健康という病

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1520
以前、国内小説(文庫)のおすすめを書きましたが、海外小説(翻訳版)のお勧めも書いておきます。

お薦め小説 2021年版(国内小説) 2021/3/6(土)
お薦めの面白い小説(国内本) 2015/5/9(土)

海外小説のうち蔵書しているのは全部で約700冊あります。しかしあいにく日記で読書感想を書き始めたのが2012年頃からで、それ以前に読んだ小説の中にもお勧めのものは数多くありますが、今回は感想を書いた記事のある2012年以降、2020年までに読んだ海外小説の中から25冊を選んでおきます。

書籍タイトルのリンク先は私が過去に書いた複数書籍の感想記事へ飛びますが、記事の下の方にある場合は下へスクロールをして見てください。

ゲイルズバーグの春を愛す
この小説は短編として発表されたものを集め、1960年に発刊された作品で、収録作品は「ゲイルズバーグの春を愛す」(I Love Galesburg in the Spring-Time)、「悪の魔力」(Love, Your Magic Spell is Everwhere)、「クルーエット夫妻の家」(Where the Cluetts Are)、「おい、こっちをむけ!」(Hey, Look At Me!)、「もう一人の大統領候補」(A Possible Candidate for the Presidency)、「独房ファンタジア」(Prison Legend)、「時に境界なし」(Time Has No Boundaries)、「大胆不敵な気球乗り」(The Intrepid Aeronaut)、「コイン・コレクション」(The Coin Collector)、「愛の手紙」(The Love Letter)の10編です。・・・
ジャック・フィニイ
マリー・アントワネット
著者は19世紀末から20世紀前半に活躍したオーストリア出身の作家で、伝記文学が多い作家さんで有名な方です。
この著書は1932年に英語版が出版されました。1932年というと日本では昭和7年で、5.15事件が起き犬養毅首相が暗殺された年です。
マリー・アントワネットは1793年に死刑が執行されたので、それから139年後の出来事を調べ尽くして書かれたものです。100年以上前のことを調べるってさぞかし大変なことでしょうね。・・・
シュテファン・ツヴァイク
ハリー・クバート事件
スイス人作家が書いたアメリカが舞台の長編小説でベストセラーとなった作品です。これが長編作品としては実質的なデビュー作ということで驚きです。
2014年に単行本、2016年に文庫本が出ています。 小説の中でも、デビュー作で大ヒット作をかっ飛ばした男性小説家が主人公で、その後、第2作目がさっぱり書けず、高額な出版契約をした会社とも気まずくなり始めています。・・・
ジョエル・ディケール
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
著者は1977年生まれのアメリカの小説家で、2002年に作家デビュー、この作品は長編としては第2作目の2005年の作品で、日本語版は2011年に出版されています。
またこの小説を原作とした映画が2011年に制作公開されていて日本では2012年に公開されています(見ていないけど)。
日本語のタイトル名はえらく長ったらしく変わっていますが、直訳すればほぼ原題通りの意味です。・・・
ジョナサン・サフラン・フォア
火刑法廷
著者は1906年アメリカ生まれの数多くのミステリー小説、中でも多くの密室殺人小説が得意な方です。
この「火刑法廷」(原題:The Burning Court)は、1937年に出版された長編ミステリー小説です。1962年にはこの小説を原作とする「火刑の部屋」というフランス映画が公開されています。但し中身は大幅に変わっているそうです。
著者の得意な密室殺人ではないものの、誰がなぜ病死に似せた毒殺をおこない、さらに墓場の中から遺体が消失してしまった謎、その方法について、緻密に計算された犯行を描いています。・・・
ジョン・ディクスン・カー
ラストチャイルド
以前「川は静かに流れ」(2009年)を読んだことのある著者の2009年(翻訳版は2010年刊)発刊の作品です。 この著者の書く小説のイメージは、人間、特に家族の暗くて重いテーマを粛々と描くってところですが、この小説はその代表的なものかも知れません。
アメリカの地方に住む13歳の少年が主人公で、1年前に双子の少女が行方不明となり、続いて父親までが失踪してしまい普通の家族が一気に崩壊してしまいます。・・・
ジョン・ハート
一九八四年
1949年に刊行された未来SF小説ですが、未来とかSFという言葉から来る夢のある話しではなく、以前読んだ「動物農場」にも関係するような世界中が当時猛威を振るっていたスターリン的な社会主義、全体主義的な世界に変貌した未来を描いた小説です。
なんでもアメリカでトランプ大統領が誕生し、保護主義や全体主義的な発言や行動をすることで、この本があらためて見直され、爆発的に売れ出したというのには笑えます。・・・
ジョージ・オーウェル
血の収穫
原題は「RED HARVEST」で初出は1929年の作品です。その後多くの出版社から翻訳版が出版されましたが、今回購入したのは2019年刊の東京創元社版で翻訳者はローレンス・ブロック作品などの翻訳で馴染みのある田口俊樹氏で、この作品では8人目の翻訳者(解説より)とのことです。
ハードボイルド小説でレジェンド的な著者ですが、この作品が長編としては記念すべき最初の作品です。この作品の内容をモチーフとした映画や小説がその後数多く作られていますが、その中のひとつに黒澤監督の映画「用心棒」があります。・・・
ダシール・ハメット
インフェルノ
「天使と悪魔」(2000年)、「ダ・ヴィンチ・コード」(2003年)、「ロスト・シンボル」(2009年)と続いてきた「ラングドン・シリーズ」の第4作目で、2013年に単行本が発刊されています。日本の文庫版は2016年発刊です。 映画でもこの作品は2016年にトム・ハンクス主演で製作公開されています。
まず冒頭に「この小説に登場する芸術作品、文学、科学、歴史に関する記述は、すべて現実のものである。」と書かれているように、「ダ・ヴィンチ・コード」始め、実際に存在する様々な絵画や彫刻、古代遺跡や教会などをテーマにした謎解きと冒険譚が主題となります。・・・
ダン・ブラウン
卵をめぐる祖父の戦争
2010年に単行本、2011年に文庫化され、Twitterで評判の高かった作品として名前が挙がっていた作品です。
この著者はデビュー作「25時」という小説が2002年に映画化され有名になりましたが、これもたいへんユニークな作品でいずれ読みたいと思っています。
物語は風変わりなタイトル通りの内容で、主人公の祖父がソ連に住んでいた時に、ドイツ人を二人殺したことがあると知り、その時の話しを聞かせてくれと頼み、祖父が今まで決して明かさなかった過去を孫に聞かせるというものです。・・・
デイヴィッド ベニオフ
二流小説家
2010年に発表された著者のデビュー作が本作品です。アメリカ本国よりも日本でよく売れた作品だそうです。
その日本では2013年に「二流小説家 シリアリスト」というタイトルで映画化もされました。
複数のペンネームを使い分けて大衆小説やポルノを書いている売れない作家が主人公で、この主人公のところへ連続女性殺人事件の実行犯で死刑を宣告されている男から会いたいと連絡が来ます。・・・
ディヴィッド・ゴードン
帰ってきたヒトラー
2012年に発表された風刺小説で、日本語版は2014年に単行本、2016年に文庫版が発刊されています。またこれを原作とした映画が2015年に制作され、日本では今年2016年に上映されていました。見ていませんけど。
話しは2011年に公園近くで目覚めたヒトラーが、時代の変化に驚きつつも、理想とする国家作りに着手するため過去の経験を生かしながら現代のドイツでドタバタと活躍していく真面目なコメディです。・・・
ティムール・ヴェルメシュ
ティファニーで朝食を
1958年に発刊された中編の作品ですが、日本では1961年に映画化され大ヒットしたオードリー・ヘプバーンが主演した同名の映画のイメージが強いでしょう。
原作の小説と映画のストーリーは同一ではないそうですが、小説では語り部の主人公で売れない作家志望の男性が、同じアパートに住む自由奔放で美しい女優というか実質的には高級娼婦になるのでしょうか、その女優が日々浮き名を流す様々な恋の遍歴を描いています。・・・
トルーマン カポーティ
アルケミスト―夢を旅した少年
著者はブラジルの作家で、この本は1988年に発表され、世界中に拡がった有名な小説です。原題はポルトガル語で「O Alquimista」。アルケミストとは直訳すれば錬金術師という意味です。
特になにも事前情報なしにしばらく読むと、主人公は少年で、これは「星の王子さま」のような児童文学書なのかな?と思いましたが、どうもそうではなさそうです。
ストーリーは、牧師になるため神学校に通っていたスペインはアンダルシア地方の少年が、「旅をしてもっといろんなところをみてみたい」と親の反対を押し切り、あちこちを旅する羊飼いになります。・・・
パウロ・コエーリョ
その女アレックス
カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作目の「悲しみのイレーヌ」(2006年刊、日本語版は2015年刊)は今年2月に読んでいますが、この作品がシリーズとしては2作目(2011年刊、日本語翻訳版2014年刊)となります。
この作品は日本でも「このミステリーがすごい!2015 海外部門で1位」、「本屋大賞翻訳小説部門で1位」などに輝きましたが、世界的にも大ベストセラーとなっています。・・・
ピエール・ルメートル
犯罪
2012年本屋大賞「翻訳小説部門」の第1位に輝いた作品で、著者はドイツの刑事事件専門の現役弁護士です。
「フェーナー氏」「タナタ氏の茶碗」「チェロ」「ハリネズミ」「幸運」「サマータイム」「正当防衛」「緑」「棘」「愛情」「エチオピアの男」の11編の連作短編小説です。
著者が働く弁護士事務所で扱った事件を元にして書かれていて、中にはかなり不思議で不自然な話しもありますが、当然ながら弁護士という立場上、被害者や加害者の個人情報を守るために、小説では大きく脚色をしているのでしょう。・・・
フェルディナント・フォン・シーラッハ
ある微笑
1954年に「悲しみよこんにちは」で衝撃的なデビューをしたサガンの1956年の作品で、アメリカで映画にもなっています。
麻薬漬け、浪費癖、多くの愛人の存在などスキャンダラスで破天荒な人生を歩んだ著者ですが、当時の抑圧された民衆の中にあって、読者の願望や夢を自らが体現していくことで、多くの大衆から支持を得たのかもしれません。・・・
フランソワーズ・サガン
シッダールタ
「車輪の下」や「春の嵐」などの小説や詩を書き、ノーベル賞をとったドイツの作家ヘッセの1922年の作品です。
日本ではお馴染みのお釈迦様(ゴータマ・シッダッタ、仏陀、釈尊など)の若き頃の苦悩や悟りを開くまでの苦行の道のりを、一度も仏教の本拠地でもあるアジアへ渡ったことがない西洋人が、第1次世界大戦直後に描いた小説ということになります。・・・
ヘルマン・ヘッセ
音もなく少女は
2011年版このミステリーがすごい!(海外編)で第2位になった作品です。ちなみに同賞3位だった「卵をめぐる祖父の戦争」はすでに読みましたが、とても面白く、私のお気に入りの1冊となりました。
それだけに読む前の期待度は高いです。 日本語翻訳版の発刊は2010年ですが、なぜか本国(米国)で発刊されたのは2012年と不思議な順序となっています。・・・
ボストン・テラン
レイトショー
原題は「The Late Show」のこの作品は、アメリカで2017年に刊行され、翻訳版は今年2020年に文庫として発刊されました。 その「The Late Show」」は通常テレビの深夜番組を指すことが多いのですが、ここでは、夜の11時から勤務が始まる深夜専門の刑事のことを指しています。
コナリーの作品は1992年の「ナイトホークス」から始まる有名な「ハリー・ボッシュシリーズ」や、「リンカーン弁護士」の「ミッキー・ハラーシリーズ」など複数の主人公がいますが、今回の「レイトショー」では新たにレネイ・バラードという女性刑事が主人公となっています。・・・
マイクル・コナリー
パイレーツ―掠奪海域―
この作品は2008年に亡くなったマイケル・クライトン氏が亡くなった後にパソコンの中から発見されたものだそうです。
もう一作未完の作品「マイクロワールド」という作品も同じパソコンに残されていて、それが本当の遺作となります。
未完の原稿は「ホット・ゾーン」の作家リチャード・プレストンが未完部分を仕上げて完成させたそうです。・・・
マイケル・クライトン
彼女のいない飛行機
2015年に文庫が発刊された、フランス人著者の長編ミステリー小説です。この作品が大ヒットし、その後「黒い睡蓮」(2017年)も各種の賞を得るなど活躍されています。
650ページを超える大作ですが、ストーリーは、1980年に飛行機事故で唯一生き残った赤ちゃんはいったい誰の子か?という、DNA検査が発達している現代ではなしえないミステリーとなっています。・・・
ミシェル・ビュッシ
存在の耐えられない軽さ
チェコ出身でフランスに亡命した作家ミラン・クンデラが1984年に発表した小説で、1988年にフィリップ・カウフマン監督のもとで映画化され有名になりました。
第2次大戦後東側陣営に組み込まれていたチェコスロヴァキアですが、共産党政権の中でも国民のあいだからは民主化や自由経済化の運動が叫ばれていました。それがいわゆる「プラハの春」運動につながります。・・・
ミラン・クンデラ
春嵐
2010年に亡くなった著者の最後の作品で、2012年に邦訳の文庫が発刊されています。ボストンの私立探偵スペンサーシリーズは40年間続き39作品、このシリーズを読むのもこれが38作目(1作は邦訳版なし)で最後となります。
今回は前作同様に準レギュラーだった相棒ホークが旅行中ということで登場しないぐらいで、内容的には従来のものと特に変わったことはなく、著者としてはまだまだスペンサーシリーズを書きたかったんだろうなと思えてきます。・・・
ロバート・B・パーカー
死への祈り
マット・スカダー・シリーズ15作目のこの「死への祈り」はアメリカで2001年に発刊され、日本語に翻訳されたこの文庫版が出たのは2006年になります。
このニューヨークの刑事(のちに退職して探偵)を主人公としたマット・スカダー・シリーズが始まったのは「過去からの弔鐘」の1976年ですから、この15作目の「死への祈り」の2001年までには25年の月日が経っています。・・・
ローレンス・ブロック

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元アル中探偵マット・スカダーに惚れる
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武田信玄(1) 風の巻 (文春文庫) 新田次郎
武田信玄(2) 林の巻 (文春文庫) 新田次郎
武田信玄(3) 火の巻 (文春文庫) 新田次郎
武田信玄(4) 山の巻 (文春文庫) 新田次郎

1969~1973年に月刊誌の「歴史読本」に連載された長編大河小説で、1969年から1973年にかけて単行本、その後文庫化されています。この作品は、中井貫一主演の1988年放送NHK大河ドラマ「武田信玄」の原作になっています。見ていませんが。

文庫版で、風の巻546ページ、林の巻463ページ、火の巻426ページ、山の巻543ページの計1,978ページと結構なボリュームがあります。

四つの巻だてには意味はなく、信玄の若い頃から、亡くなってから3年経った後の葬儀までのほぼ一生の話しを4分割しているだけです。

最後のあとがきに、「毎月30枚ずつ、百回まで書き続けた」とありましたが、原稿用紙?で合計3000枚ということになります。

また100ヶ月というと8年と少しです。上記雑誌に掲載されていたのは4年間ですので、2ヶ月分60枚ずつ毎月掲載、最初に掲載される4年前から書きためてスタートということなのかな?よくわかりません。

武田信玄を書いた資料と言えば、江戸時代に編纂された甲陽軍鑑が有名ですが、それを参考にしながらも,他の諸々の資料も合わせて独自の世界観を展開しています。

例えば甲陽軍鑑では武田信玄の軍師(参謀)として登場し、それが一般的には定着している山本勘助は、この小説では武田家と今川家の二重諜報員、つまり忍びの親玉的な役割で、織田信長が今川義元を破った桶狭間の戦いでは、駿河を狙う武田陣営に協力するため、今川義元の動きを織田側に流すなど活躍します。

武田信玄というと、甲府駅前にあるこの銅像のイメージが強いです。恰幅が良く、太めで強そうなイメージです。

小説の中では、行動的で広大な甲府から信州、北関東、そして駿河や三河へとよく移動し、そのことごとくで戦略を練り、敵を打ち破っていきますが、若いときに労咳(肺結核)に罹り、その後52歳で亡くなるまでこの病に悩まされ続けます。

また最近の研究では死因は癌ではないかとも言われています。

癌はもちろん、当時労咳も治療法がない不治の病で、小説では、病が出てくると食欲が落ち、いつも青白い病的な顔色していたと書かれていますので、ちょっと上の銅像のイメージとは違ってきます。

甲州のあちこちに「信玄の隠れ湯」というのがありますが、それらは信玄の労咳を癒やし(当時の治療法は安静にしているしかなかった)、激しいストレスなどを解消するために作られたりしたものかも知れません。

それはともかく、20歳のときに父親の暴政に苦しむ家臣達の勧めで父親を引退させて駿河に追い出し、諏訪地方から始まり、信州中心部(松本、長野)へ侵略を進めていきます。謙信との戦いで有名な川中島は今の長野市南部の犀川と千曲川に挟まれた場所です。

そうした戦いの合間には、京都から来た公家の娘の正室とは別に、次々と側室を持ち、艶福家全開モードに入っていきます。大衆小説らしく、そうした側室との閨の話しも盛んに出てきます。

最初の側室から労咳を移され、その後、跡継ぎの勝頼を産む、最愛の側室には信玄から労咳を移し亡くします。そうした想像でしょうけどプライベートな架空の話しがてんこ盛りです。

また、財政政策のため、金山開発に積極的で、敵対した兵士やその家族を捕虜にして、男は過酷な金山の労働者、女はその労働者の遊び女や賄い婦などにされるという話しが10数回出てきます。よほどその話しが気に入っていたのでしょう。

四巻のそれぞれ巻末には、物語が展開する地図や城や砦の位置が書かれていて、イメージしやすくなっています。せっかくだから城や砦の想像図も書いておけばもっとイメージしやすくて良かったかも。それはムック版にお任せかな。

信玄は戦国時代最強と言われる武将ですが、その半生は隣国の信州を統一するため、越後の上杉謙信との5度の戦いや、強力な隣国で関東を支配していた北条氏や、現在の静岡県、駿河を支配していた今川氏などとの深謀遠慮、そして新興勢力の織田信長や徳川家康との対立など、周囲の強国に囲まれて常に脅威があった甲府という地域出身だったことが最大の不運でした。

終わってみれば将軍に要請されても、一度も上洛することができなかった地方の一大名ということです。ライバルの上杉謙信は何度か上洛し、天皇や将軍に拝謁しています。

つまり、時代はそれまでの農業と鉱山開発より、もっとお金になる交易や商売、優秀な武器や技術を得るため外国と交流するためには広大な海(港)へつながる安全な領土が必要でしたが、信玄が早くに治めた甲府や信州、北関東にはそれがありません。

あるいは、最初に信州へ攻め入るのではなく、早々に遠江や三河、尾張を攻めていれば、もっと早く西上しての上洛と全国統一への道が開けていたかも知れません。

そこで、遅ればせながら、織田信長に敗れて弱体化していた今川家が支配する駿河を攻めますが、その地域は同じく駿河を手に入れたい相模の北条家と三河の徳川・織田連合に挟まれていて、決して安全な領土とはなりません。

駿河をどうにか手に入れ、次に上洛する途上で障害になる三河の徳川家康を攻めた時には、信玄はすでに高齢で労咳の病も進み、結局、徳川家康を三方ヶ原の戦いで徹底的にやっつけたものの、その後、東海道を上って上洛することがかなわず、亡くなってしまいます。

信玄の代名詞でもある軍旗に描かれた「風林火山」は、孫子の兵法の中の「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」から来ていますが、もしその中に、「真っ先に得るべきは海の道」と入っていれば、違った歴史になっていたかもです。

著者別読書感想(新田次郎)

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 2月前半の読書 見えない鎖、Iターン、逮捕されるまで 空白の2年7ヶ月の記録、健康という病
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