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アンダスタンド・メイビー(上)(下)(中公文庫) 島本理生

2010年に単行本、2014年に文庫化された書き下ろし長編小説です。2011年上期の直木賞候補作になりましたが、その時は池井戸潤氏の「下町ロケット」が受賞し、惜しくも逃しました。

その7年後2018年上期の直木賞では「ファーストラヴ」(2018年)で著者が直木賞を受賞されています。

著者の作品は、高校生の時に書いたというデビュー作「シルエット」(2001年)だけ過去に読んでいます。

主人公は茨城で母親と暮らす10代の少女で、中学生の頃から始まり、様々な波乱があった後、やがて東京のカメラマンの師匠の元へ転がり込み、独り立ちするところまでの青春&成長物語といったところです。

どうも個人的には現代の中学生が主人公という設定にはついていけないことがよくありますが、これもそうです。

とにかく、中学生でありながら、同級生の男女と仲良くしつつ、一方ではヤバそうな男性に近づき、次々と男性遍歴を重ねつつ、かと言って頭は悪くはなさそうという、読者層を強く意識した内容で、現代の奔放な女性像を描いている感じがします。

雰囲気からは、そのまま水商売か風俗へ流れていきそうなところ、女性からすると神のような独身男性に助けられ、仕事も教わり、中学生の時から願っていた職業で独り立ちしていけるというハッピーエンドに終わります。

その点は救われますが、どん底からの立ち直りに多大にお世話になった師匠の家の鍵を最後に捨てていくのは、巣立ちというか、過去をすべて清算した旅立ちを象徴しているのかわかりませんが、なにか割り切れない思いが残りました。

★★☆

著者別読書感想(島本理生)

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戦国時代の大誤解(PHP新書) 鈴木眞哉

著者は、和歌山の雑賀衆鈴木(孫一)一族の末裔という方で歴史研究家の方です。この著書は2007年に出版されましたが、他にも似たようなテーマでの著書が多数あります。

この新書では、歴史ドラマや映画、小説などで、現代で定着している人物像や戦(いくさ)について、より信頼が置ける資料ではこうなっているという解説がなされています。

例えば、桶狭間の戦いでは、今川義元は大軍を率いて上洛途中ということはなかったし、織田信長が隙を突いて急襲したという設定にも根拠は薄いということです。

また戦国時代に馬に乗っているのはかなりの高級幹部だけで、武田騎馬軍団というものは実際にはなく、それを打ち破ったとされる長篠の戦いでの織田信長方の鉄砲三段撃ちなども鉄砲の数や場所の広さから考えられないということになっています。

その日本の戦国時代の軍馬と言えば、背の高さがせいぜい120~130cmぐらいの今で言うポニーの大きさで、さすがにそれを現代のドラマや映画で使用するのは不可能で、豪快に敵陣に突っ込んでいく騎馬隊というのは想像よりもかなり変わったものになるようです。

馬に乗ったまま長槍を振り回して戦う姿というのもなく、敵と戦うときには馬を下り、馬に乗るのは逃げる敵を追いかけるときと、自分が負けそうで逃げるときに使うものだったらしいです。

歴史は時の権力者や縁者によって書き換えられるのはよくあることで、また、江戸時代にはエンタテインメントとして、都合良く誰かをヒーローに祭り上げるため、話しを大きく盛ったり、新たに付け加えたり、偽装することもよくあったそうです。

歴史作家の書く小説も、基本は古い資料などを元としていますが、そこは小説ですから、面白くするために、例えば宮本武蔵を語るときには必ず出てくる「お通」という女性など、明らかなフィクションも加えられます。

さらには現代の学者さんも、特定の資料、特定の記述だけを都合良く信用し、「こうだったはず」と決めつけることもあり、そうしたことが混じっているので、なかなかコトの真相はわからないというのが実際ということです。

そりゃそうですよね。武田信玄側からみた川中島の戦いと上杉謙信側からみたそれとは、戦いの意義や内容や戦果が大きく違っていて当たり前です。

戦国時代のドラマや映画をそうした目で見ると、良いか悪いかはともかく、また違った印象を受けることになりそうです。

★★☆

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隻眼の少女(文春文庫) 麻耶雄崇

2010年に単行本、2013年に文庫化された長編ミステリー小説です。著者の作品はこれが初めてですが、1991年にデビューし、その後は数多くのミステリーを発表しています。

著者の作品は、カルト的なミステリーが多いそうで、この作品はそれに近いものがあり、日本推理作家協会賞・第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞しています。

タイトルにあるように隻眼(片目)の少女が探偵として活躍する内容ですが、主人公はそのワトソン役で自殺志願者の男性です。

日本のある山奥の中に古代より脈々と続く家の女性を神と崇める村落があり、そこの分家の温泉宿に宿泊していた主人公と探偵の少女親子が、本家で起きた次期女神となるべく修行中の少女が次々に殺されたことで地元警察と協力して事件解決を目指します。

と、いうのは第1部の大まかな内容で、第2部がその事件から18年後として始まります。こちらがまた衝撃的です。ま、内容はネタバレになるので、あえて書きませんが。

確かにカルト的と言えばカルトですかね。しかし、最後は明るい日が差してきたような感じで、読後感はわるくありません。

ちなみに隻眼(せきがん)とは、片目のことと、もうひとつ「ものを見抜く眼識。すぐれた識見」という意味合いもあります。複雑な事件を解決する探偵として、その二つをうまく融合して使っています。

★★☆

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生きる(文春文庫) 乙川優三郎

2002年に単行本、2006年に文庫化された時代中篇小説集で、2002年の直木賞を受賞した作品です。

著者の小説は過去に「脊梁山脈」(2013年)と「トワイライトシャッフル」(2014年)を読んでいます。時代小説を読むのはこれが最初です。

収録されている中篇は「生きる」「安穏河原」「早梅記」の3篇で、いずれも江戸時代の地方の藩で働く下級武士がそれなりに出世をしてきたものの、様々な葛藤を抱える侍が主人公です。

まぁよくできたストーリーになっていて、いずれの作品もたいへん面白いのですが、江戸時代ということを差し引いても、世の中はこの小説で出てくる主人公のように生と死をスパッと割り切れたり、奇跡的な偶然の出会いとか、男にとって都合の良い下女とか(これは時代が時代なのでよくあったのかも知れません)、なかなかあり得なさそうというのが実感で(だから小説なのですが)、ベタベタの創作がちょっと気に入りません。

しかしこういう時代小説を読んでいつも思うのは、江戸時代の言葉遣いや日常生活、道具、藩主と家老の関係、武士の作法、しきたりなど、よく調べて書かれているのに驚きます。

それらは普段馴染みがないものなので、様々な文献などを読むしか知識は得られませんし、それを自分の小説で使うには莫大な量の知識を集めないと自由に操れないでしょう。

そういうところには時代小説を書く作家さんには深く尊敬の念を感じます。

★★☆

著者別読書感想(乙川優三郎)

【関連リンク】
 4月後半 世界の中心で愛を叫んだけもの、溺レる、生きている理由、ミーナの行進
 4月前半 蜜蜂と遠雷(上)(下) 、となり町戦争、連続殺人犯、追想五断章
 3月後半 虹色天気雨、老いた家 衰えぬ街、冷たい校舎の時は止まる、ドリーム・ハウス


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