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「なぜ労働市場にミスマッチが起きるのか」というブログの中に、「政府が人気取りのために『機会の平等』や『よりよい教育』というスローガンの下に教育に補助金をつぎ込み、必要以上に高等教育を安価な値段で提供している」のではないかという仮説がありました。
http://blogos.com/article/25611/

この仮説によって、勉強が好きではないのに高等教育を受けるのが普通となり、本来なら早々に手に職を付けたり、3K的業務に就く人が減ってしまい、同じような大卒ばかりが求職をするものだからミスマッチが起きてしまうという論理です。

この中の「教育に補助金をつぎ込み、必要以上に高等教育を安価な値段で提供している」というのにちょっと違和感を感じたので、果たして高等教育につぎ込む国庫負担がどれほど大きなインパクトを持っているのか調べてみることにしました。

まずは、日本の国立大学と公立大学、それに私立大学へ入学出る人数を出してグラフにしてみました。
daigaku0088.jpg

次に国立大学への運営費交付金と私立大学への経常費補助(通常は補助金と呼ばれている)の金額を比較してみました。
daigaku0089.jpg


国は国立大学88校に対し年間約1兆1600億円、私立大学973校に対し3200億円が支出されています。当然私立大学は国立大学に比べて10倍以上ありますので、1校あたりの支出はグンと小さくなります。

そして次に学生ひとりあたりの国の支出金額を国立と私立の大学で比較したグラフがこれです。
daigaku0090.jpg

国立大学の学生一人当たり年間188万円、私立大学の学生は14万円の国庫負担が行われていることになります。

もっとも医学部や理工系のように非常に授業料が高額になる大学も含んでいますので、文系大学の平均と比べると国立、私立とも高額になっていますが、いずれにしても高等教育には年間100万円以上が必要だということになるでしょう。

国が高等教育に多額の国費をつぎ込んでいるかと言えば、国公立大学に対してはそう言えるかもしれませんが、高等教育を受ける学生の中に占める国立大学へ通える学生数の割合は全体の22%ほどです。残りの70%以上の学生は国費負担の極めて少ない私立大学へいくしかありません。

私立大学へ通う学生には国の補助は年間14万円。仮に学生ひとりあたり年間120万円の費用(一般的な文系私立大学の入学金+授業料等の1年分)がかかるとすると、学生ひとりにつき毎年100万円以上が学生本人または保護者の負担と言うことになります。

全体の70%以上の学生または保護者が、高等教育を受けるための費用の90%を負担しているという現実があるのに「政府が人気取りのため教育に補助金をつぎ込み、必要以上に高等教育を安価な値段で提供している」と言えるでしょうか。答えは明らかに否でしょう。

私ごとですが、うちには3人の子供がいて、上の二人は(付属)私立高校~私立大学コースです。子供が生まれたときから妻が一人一人に学資保険(15才と18才に満期でまとまった保険金が支払われる)に入っておいてくれたので、入学金はそれでまかなうことができましたが、それでもいままで30年間貯めたきた貯金をすっかり使い果たすことになってしまい、3人目は可哀相ですが高校も大学も私立はムリというところまで来てしまいました。

では雇用のミスマッチはなぜ起きるのか?

これは明治時代からずっと変わることのない、富国強兵や殖産興業、高度経済成長に不可欠で必要とされた、従順で製造業の大量生産に向いた規格型人間を作り続けてきたことによる弊害です。

つまりみんなと同じ方向を向いて一斉に歩き止まれという合図でピタと止まり、合図で一斉に方向を変えるという行進練習のようなものです。これは日本人であれば誰でも物心ついた頃から厳しく教えられます。

これが日本の教育の隅々まで入り込み、子供の頃からそれでずっと飼い慣らされてしまった結果、独創的な考え方や人と違った生き方を求めることは悪である集団催眠にかかってしまっているとしかいいようがありません。困ったことにそういう価値観で育ってきた親は必ず子供にもそれを求めます。祖父から父へ、父から子へ、子から孫へとずっとつながっています。

そしていい学校を出ていい会社に入ることこそ人は幸せになるのだという既成概念が作られてきました。いい会社では名門の高等教育を受けたものしか採用しませんから、親も子供もみんな必死にそれを信じて高等教育を受けようとしているわけです。国の政策で補助があるからというわけではありません。現に学費の安い国立大学へ進学する子供の親は、私学へ通わせる親よりも平均収入が高いのです。

最近になってようやくそれが幻想であることがわかり始めましたが、明治時代から脈々と続けられてきたこの思想は、官僚機構と同じでそう一朝一夕では変わりません。

ところが先に国内の経済事情が一変してしまい、製造業や公共事業中心の仕事が激減し「そういう仕事向けに作られてきた多くの人達があぶれ」「残り少ない新しい仕事に集中してしまった」というのが真相だと理解しています。3Kの仕事(介護など夜勤のある業務)が人気がないのは、それは単に仕組み上、ハードな業務のわりに給料が安いことです。もし風俗譲や高級官僚に匹敵する収入が将来にわたり約束されるのであれば、介護士やナースは超人気職種に躍り出るでしょう。




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