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50歳も半ば近くになり、振り返ってみると歳を取るにつれての味覚の変化は、確かに存在することがわかります。例えば若いときには脂っこい食品が大好きで、40代ぐらいまでは毎日でも問題なかったのですが、40歳半ばぐらいからは、ガラリと変わりあっさり系の食事を好むようになってきました。

脂っこいものを避けるようになってきたのは、別に健康のためとか健康診断で注意されたからというのではなく、トンカツや中華料理を積極的に食べたいとは思わなってきました。代わりに生野菜や豆腐などを食べたくなってくるのです。

tenichi_3.jpg子供の頃から大ファンだった天下一品では「こってりラーメン大盛り+餃子」、餃子の王将では「スブタ定食に餃子二人前」ぐらいは当たり前だったのが、今はラーメンは並でもスープを多少残してしまい、「チャーハン+餃子一人前」で、もう十分お腹がいっぱいです。

このように年齢とともにあっさり系を好むようになるのは、日常のカロリー消費量と関係があるので、歳を取ってから若いときほど運動しなくなり、また身体が求める新陳代謝の活動も弱まり普通のことだと思いますが、揚げ物やこってり料理を山盛りにして食べている若い人を横目で見ると若い時を思い出して羨ましい限りです。

もうひとつ、年齢ではなく、育ってきた環境によって味覚が違うこともあります。広域で言えばフランス人と日本人では当然美味しいと感じる味覚が違いますし、同じ日本人同士でも大阪と東京の生まれ育ちで微妙に味覚が違っているはずです。暑いところと寒いところでは味付けや身体が自然と要求する塩分なども違ってくるでしょう。

ミシュランや様々な食のガイドブックが、美味しいと判断しても、それはその人の判断(+多くのガイドブックの場合はスポンサーや協力してくれた店の料理に対して不味いとは書けない)でしかなく、自分が美味いと思うかどうかはまた別の基準となるのは当たり前のことです。

同じ地域に生まれ育ったとしても、多くの子供は親が作った食事を毎日食べますので、その親の作る味に慣れていきます。子供の頃はまだ美味しい不味いを比較する対象がないので、美味い不味いの判断ではなく、自分が好きか嫌いの判断でしょう。それでも親の食育は重要で、この子が大人になってからの味覚に大きな影響を与えることは間違いありません。

osho_3.jpg前に住んでいたマンションのある一家では、親が料理を作ることを一切放棄し、毎日出前や出来合の料理を買ってきて子供に食べさせていました。普通の家なら台所にあるはずの包丁やフライパン、ヤカンなど調理器具が一切ありません。そこの子供が幼稚園へ通っていた時は、お昼は菓子パンか出来合のおかずやご飯を詰めたお弁当だったそうです。親が作る伝統の味付けを子供が引き継げないというのはちょっとかわいそうですが、家それぞれに理由や事情があるので仕方ありません。

子供がやがて大人になると外食をしたり親以外の人が作った料理を味わう機会が増え、同じ素材を使った同じ料理でも味が違うことに気がつきます。その時になってはじめて、自分の感性で美味いと不味いの判断がついてくるものだと思います。

日本マクドナルド創業者の藤田田氏が書いた古い本の中に「人が好きだと感じる味はおよそ10歳ぐらいまでに決まる。なので将来に渡り日本でハンバーガーを売るためには、今まで醤油味に馴染んできた日本人に子供の頃からケチャップ味に馴染ませる必要がある」とありました。だから当初のマクドナルドの戦略は「家族で一緒にマクドナルドへ行こう」で、メインのターゲットは子供だったようです。

確かに古くから日本人の舌は醤油とカツオや昆布のダシの味に馴染んできていました。ところがマクドナルドが日本へ進出してきた1970年頃から急激に食生活が西洋化し、ケチャップやソースで味付けをする食事が増えてきました。それがマクドナルドの戦略だったのかわかりませんが、その後のマクドナルドの大成功を見るとドンピシャ当たりました。

そう考えると、おそらく日本人の味覚の大変革が70~80年代頃に起き、その時子供だった今の40歳前後ぐらいの団塊ジュニア世代以降と、それ以上の年代とでは大きく味覚が変わってきているのではないだろうかとこれは私の勝手な想像です。

確かに居酒屋へ行くと、昔は食べ物と言えば煮物、焼き物、乾き物といずれも味付けがダシか醤油ベースだったものが、最近ではソースやケチャップをかけたコロッケなど揚げ物やサイコロステーキ、ピザ、ポテトなどが人気メニューになってきているのはそれらの影響なのかも知れません。



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