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なんとかミクスやらのひとつに「男女共同参画社会の実現」があります。役所言葉をわかりやすく訳せば、「少子化で勤労者数が減ってきたので、その代わりに女性(や高齢者)はもっと働いてね。そのためにいろいろと対策をしますから。」ということでしょう。
昭和の時代は男は外で働いて、女性は専業主婦として子育てや親の介護など家を守るという役割分担ができていました。それを国が推奨していて、専業主婦には配偶者控除や年金面で優遇するという政策がとられていたわけです。
しかしそれもいよいよ難しくなってきて見直しが入るようです。
所得税改革、安倍首相が指示=「多様な働き方」対応―政府税調
| 政府税制調査会(首相の諮問機関)は9日、所得税の抜本改革に向けた議論を始めた。専業主婦やパートタイムで働く妻がいる世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しなどが柱。 |
団塊世代の高齢化による大量退職と、少子化の影響で1997年に日本の歴史で初めて労働者数の減少が始まり、その対策として、保育園を充実させて今まで専業主婦で外へ出て働かなかった女性にも働いてもらおう、また60歳定年でリタイアしていた高年者にも年金受給を65歳からにしてそれまでは働いてもらおうという政策が順次始まったわけです。
専業主婦世帯と共稼ぎ(兼業)世帯推移(1980~2014年) 出典:内閣府男女共同参画局
1992年頃より共稼ぎ世帯数が専業主婦世帯を上回り始め、その差は一気に開いてきました。バブルが崩壊し、失われた20年と一致するところからすると、女性の社会進出が支援され世の中が変わったというより、家計が苦しくなってそれまで専業主婦世帯だったところが共働き世帯に移っていた結果でしょう。
それでもまだ2014年時点で720万世帯の専業主婦世帯があるというのには驚かされます。
専業主婦と言っても、子育て、介護、病気などに縛られて就業できない人も多いのでしょうけど、自分の周囲では夫婦ともリタイアした高齢者以外では専業主婦と言える人はいないので、まだそんなにいるのかって驚いたというのが本音です。
共稼ぎ世帯の割合が少ない(専業主婦の割合が高い)都道府県は、奈良県(共稼ぎ世帯の割合45.9%)、大阪府(46.0%)、神奈川県(46.7%)、東京都(48.5%)、兵庫県(49.1%)と奈良県を除き大都市を含む都道府県が多いのが特徴です。やはり都会ほど保育園に預けられず働けないということが影響しているのでしょうか。
逆に共稼ぎ世帯の多い県は山形県(68.2%)、福井県(67.4%)、島根県(66.4%)、富山県(66.3%)、鳥取県(65.3%)となっています。地方が多いですね。
今は女性の活躍には保育園の充実というのが最大のテーマになっていますが、単に労働者を増やすというのに効果はあってもそれで活躍できるってそれホント?って気もします。
というのはやはり企業(役所も含め)の体質が大きく変わらなければ、単に女性が労働者に加わったからと言って女性活躍にはほど遠い気がします。
この女性活躍社会の話しで時々みられるのが、「日本は世界の中で専業主婦の比率が多い特殊な国」という話し。そういう印象づけをする評論家やコメンテーターという自称識者がいますが、それは間違ってます。
OECD諸国の女性(15~64歳)の就業率 出典:内閣府男女共同参画局
アイスランド(79.9%)、スイス(74.4%)、ノルウェー(73.5%)、スウェーデン(72.5%)などの女性就業率と比べると低いですが、日本の女性就業率は62.5%と、米国(62.3%)やフランス(60.4%)よりも高く、OECD平均の57.5%よりは断然高い割合です。つまり世界の中で専業主婦が多いというのは明らかに間違っています。
主要国の年齢別労働力率(女性)
このグラフを見ると主要国では29歳まで働いている女性の割合は、シンガポールが高く、イタリアがやや低いぐらいで各国で大きな開きはありません。
しかし30歳以上、これは出産や育児との関係だと想像できますが、国によって大きく差が出てきます。主としてアジアの国、日本や韓国、シンガポールでは下がり、イタリアやスウェーデンでは逆に上がり、米国やフランス、ドイツでは20代から横ばいが続きます。30歳以降で労働につく女性が増えるっていうのは日本では信じられない現象です。
日本などアジアの国では女性が出産だけでなく育児(あるいは介護も?)を主として担当することで仕事から離れてしまう傾向が強く、今後女性の労働を維持するためには欧州の社会の仕組みを見習わないといけないでしょう。
日本の場合、女性の就業と言ってもパートやアルバイトなど非正規が多いという話も出ますが、各国で雇用形態は様々なルールや制約があるので、単純比較は難しそうです。例えば正規社員でも簡単に解雇ができる国は正社員雇用率が高くても当たり前でしょう。
女性の正社員の割合は1985年には67.9%だったのが2014年には43.3%まで下がって、代わりに非正規社員と言われるパート、アルバイト、契約社員、嘱託、派遣社員が増加しています。
非正規が増えたのは女性だけかというとそんなことはなく、男性も1985年92.6%だった正社員の割合が、2014年には78.2%に下がってきています。男性の場合、60歳で定年を迎えた団塊世代の多くが、その後嘱託として非正規勤務したことの影響が大きいでしょう。
つまり社会の構造で、バブルが弾けた90年代以降、それまで右肩上がりが普通だった経済が、長く停滞してしまい、長期的な計画と育成が必要な正社員から、短期で即戦力、または雇用の調整弁となる非正規雇用が増えてきたわけです。
失業するとお世話になるハローワークですら、そこの窓口で働く大半の人は非正規の契約職員なのです。別にブラック企業が多くの非正規社員を雇っているわけではありません。日本の職場の多くはそういう構造と環境になってしまったのです。
そう考えると、これからまだ20年30年働く人達は、いつ非正規になっても食っていけるだけの「手に職」か「特殊な経験」を意識して身につけておかないと、安心安定した生活ができません。自分と家族を守るのは自分の才覚のみという世知辛い世の中になってきました。
【関連リンク】
1010 不本意な非正規雇用とその実態
1009 兼業禁止規程はいつ禁止されるか
866 失業率とか雇用状況
807 労働人口と非労働人口推移と完全失業率
717 非正規から正規雇用への転換策
630 38年後(2050年)の雇用形態はどうなるのか
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最近結婚しない、できない男女が増えているということですが、結婚するかしないかは個人的なことなので、周囲や国があれこれ騒ぐのは違っているような気もします。
テレビドラマでも「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」というのがあります。このドラマの原案は水野敬也氏の「スパルタ婚活塾」です。見ていないので詳しくは知らないのですが、いわゆる婚活ブームをパロっているのだと思います。
3.11のような大事件が身近に起きると、ひとり住まいの人は「やっぱり誰かと一緒のほうがイイネ」とばかり一時的には婚姻率が高まったりしますが、社会情勢や、雇用情勢など様々な要因で婚姻率は上がったり下がったりするものでしょう。
内閣府が出している平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査(PDF)」報告書というのがあるので、この中身を要約し、最近の結婚観について書いてみたいと思います。大きなお世話だって?
調査は平成26年(2014年)に20 歳~39 歳の未婚・既婚の男女、東京(首都圏)、秋田県、福井県の在住者に対し計48 名へのグループインタビュー形式でおこなわれています。
48名の内訳は男性未婚、既婚、女性未婚、既婚で各12名ずつ、3地域で4名ずつという割合になっています。なおこの48名のグループインタビューじゃサンプルが少なすぎるとお怒りの方には、全国7000名への郵送調査も同時に行われていますのでご参考に。
ではさっそく、調査結果の抜粋ですが、
◆現在の配偶者、恋人とどのようなきっかけでお知り合いになりましたか。
1位「職場や仕事の関係」27%、2位「友人や兄弟姉妹を通じて」21%、3位「学校」16%の上位3つで65%ですからおよそ2/3はこのパターンです。
でも最近は7位の「インターネット」4%というのが急増してきているそうで、ある結婚情報サービス会社の調査では同様の質問では第4位(約10%)となっていました。
まだまだ「ネットで知り合った」とは言いにくくて、つい公的な調査では「仕事の関係で」とか「友人の紹介で」とか恰好つけて言ってしまう人が多いのではないでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
本調査で、未婚者に対して、恋人が欲しいかどうかを聞いたところ、欲しいが60.3%、いらないが38.2%、無回答1.5%でした。その恋人はいらないという未婚者に対して質問が下記です。
◆(未婚者に対して)今、恋人が欲しいと思わない理由を教えてください。複数回答
1位は「恋愛が面倒」46%、2位は「自分の趣味に力を入れたい」44%、3位が「仕事や勉強に力を入れたい」32%となっています。
年齢にもよりますが「恋愛よりも仕事だ」という自分にうっとりしていたりするのでしょうか。
それにしても「恋愛は面倒」とは困ったものです。最近の若い人の口癖がなにかにつけ「面倒」「じゃまくさい」「かったるい」と言うのが多いのが気にかかります。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆恋人として交際する上での不安は何ですか。複数回答
1位は「そもそも出会いの場所がない」55%、2位が「自分は魅力がないのではないかと思う」33%、3位が「自分が恋愛感情を抱くことができるのか不安だ」20%となっています。
◆交際相手との出会いを求めるとしたら、どのようなことを行いたいと思いますか。複数回答
複数回答ですが、1位は「友人に紹介を頼む」56%、2位は「合コンやパーティに行く」39%、3位は「職場の同僚や先輩に紹介を頼む」31%となっています。
また「特になにもしない」が21%もありますね。他力本願な若者の性格が表れていますねぇ、、、「街でナンパする!」とか「かっさらってくる(犯罪です)」とかってのは回答にありません。
◆結婚相手に望むことは何ですか(何でしたか)。複数回答
1位は「一緒にいて楽しいこと」、2位は「一緒にいて気をつかわないこと」、3位は「価値観が近いこと」ですと。そんなこと考えていると一生伴侶は見つからないですよー、結婚なんて勢いですぞ、勢い!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆結婚生活をスタートさせるにあたって必要だと思う夫婦の年収(税込み)は、どのくらいだとお考えですか。
さて興味の高かった夫婦の理想の年収はと言うと、1位「400~500万円」23%と割と穏やかな感じ。
2位は「500~600万円」21%で、3位は下がり「300~400万円」20%と結構弱気な感じ。
高望みはしていないってことなのでしょうね。ちなみに「1000万以上」は1.2%と意外なほど少なくて現実的。
◆(未婚者に対して)あなたが現在結婚していない理由を教えてください。複数回答
1位は「適当な相手にめぐり合わないから」54%、2位は「自由や気楽さを失いたくないから」27%、3位は「結婚後の生活資金が足りないと思うから」27%とこちらも弱含みというか現実的な感じがにじみ出ています。
その中には「結婚の必要性を感じないから」17%、「結婚するつもりはないから」10%など、結婚に執着していない人もそこそこ見られるのが最近の傾向と言えるのでしょう。
男女とも親と同居をしていて、食事、洗濯、掃除など身の回りのことをすべてやってもらっていたら、そりゃ結婚して苦労なんかしたくはないでしょうからねぇ、、、
結婚する人が減り、そして出生率が下がっていくという現実に、打つ手は果たしてあるのでしょうか。
【関連リンク】
787 世帯内単身者の増加が引き起こすかも知れない社会問題
724 離婚の多さと結婚という形式
529 それでもしたいか結婚
457 未婚+親との同居が増えてきている
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47都道府県でまだ行ったことがないのは山口県と島根県と沖縄県だけとなっています。
沖縄に対しては、一般の人が持っている程度の関心と興味はあるものの、特になにか感情的にどうとかいうものを持っているわけではありません。
で、行きたいか?って聞かれると、一度も訪れたことがない島根の宍道湖や松江城、山口の秋吉台や関門橋へは行きたいと前から思っていますが、沖縄は距離的に遠いこともあって、どうでもいいやって感じです。
それに関東に住んでいると「沖縄」から連想するのは、戦争、基地、抗議デモがダントツのトップ3で、とても癒しのための旅行や気分転換の観光に訪れたいという気にはなりません。
本当なら豊かな自然、温暖な気候、マリンスポーツ、歴史的遺構の数々、独特な沖縄料理など観光資源やアピールポイントはいくらでもあるに関わらずです。
メディアが意図してそういう知事の怒ったような顔ばかりを流しているのかも知れません。
選挙中に支援者に対してはきっとにこやかに笑顔をふりまいているはずでしょう。でもそういう顔はテレビには登場せず、いつも不機嫌そうな顔ばかりなのです。
沖縄を代表し、イメージとなる知事さんがそんなふうで、誰がそんなところへ進んで行きたいと思いますか?
ふと思い出したのが、今から26年前に会社の旅行で行った韓国のソウルです。
ソウルに着いて観光バスに乗ると、韓国人の添乗員が、
「皆さん日本人は今まで韓国にひどいことをしてきたので、韓国ではいっぱい買い物をしていっぱいお金を使ってください。その義務があります。」
「あそこに見える古いお寺は豊臣秀吉の軍が焼き討ちをしたお寺で、日本人は悪いことをいっぱいしました。」
「こちらの銅像は侵略してきた日本軍に徹底抗戦した韓国の英雄の像です。みなさんはよく反省をしてください。」
と。いや冗談ではなく本当にそういう話しばかりを聞かされました。
それまでは韓国に対して偏見も何もありませんでしたが、その添乗員の押しつけがましい被害者意識と反日感情、一方的な敵意むき出しの態度に韓国という国がいっぺんで嫌いになりました。
もう二度と行くものか、なにも買うものかと心から誓いました。それが観光客としては普通の感覚ではないでしょうか。
沖縄に対しても、本土の人から見ると同様なことが起き始めているのかも知れません。
つまり、
「沖縄は被害者、本土の日本人はその加害者」
「被害者は加害者に対してなんでも要求できる」
「沖縄はいつも怒っている」
もちろん沖縄の歴史や現実を考えると、日本政府や本土に対する怒りや憤りはある程度理解できます。韓国や中国の人達が日本に対するのと同じような感情を持っていてもなんら不思議ではないでしょう。
でもねぇ、、、
そうして非難の応酬をしていれば、みんなハッピーになるのでしょうか?
被害者意識をますます強めていくことが沖縄にとっていいことなのでしょうか?
沖縄以外に国家や政府に恨み辛みをもっている地方、地域、個人は他にはないのでしょうか?
基地の存在は地政学上、戦略上もっともふさわしいとされてきてその代替は容易ではないでしょう?
それら過去から現在の問題は根が深い事もあり、一朝一夕に片付くことではありません。
せめて沖縄には多くの日本人国内旅行者や外国人旅行者に気持ちよく来てもらい、その観光資源の素晴らしさや、沖縄の伝統文化の奥深さ、そして戦争で傷ついた、虐げられてきた歴史などに触れてもらうことが、いまは大事なのではないかなと思うのですけど。
でも、沖縄の観光業界は曲がり角にきているということです。
「首里城は空っぽ」? 沖縄観光の課題とは(沖縄タイムス)
| 沖縄公共政策研究所(安里繁信理事長)は2月26日、「観光戦略をどう描くか。沖縄の強みと弱み」と題し、2016年新春特別セミナーを那覇市のタイムスホールで開いた。 (以下要約) ・スーパーはあるが、その上の専門店やブティックなどがない。 ・「日本のあの商品が欲しい、食べたい」と来ているのに沖縄に少ない。 ・香港の富裕層がポケットに100万円を入れて沖縄に来ても、欲しいものがなく1円も使わずに帰ると聞いた。彼らが欲しいのは1位が夕張メロン、2位がタラバガニ、3位が(イチゴの)あまおう、4位が神戸牛。日本のトップブランドを消費したい。 ・沖縄料理を食べたいと思うが、毎日毎日食べたいとは思わない。 ・首里城でも1日1回でいいから、当時のイベントを見せる仕組みをつくれば、滞在時間を延ばし、お金を落としてもらえる。 |
沖縄は中国や台湾、その他東南アジアの国の人からすれば一番近くて身近な日本です。
日本らしさを求めてやってくる外国人に対して、「ここは沖縄であって東京や大阪ではない」と割り切ってしまうと、沖縄の歴史や文化に詳しくない外国人は戸惑ってしまうでしょう。
つまり沖縄でもお金さえ出せば「タラバガニ」や、「あまおう」が食べられ、東京でいつも「行列ができているラーメン店」が沖縄にもあり、沖縄料理ばかりでなく、「神戸牛ステーキ」や素晴らしい「京懐石料理」がいつでも堪能でき、お土産には有名な「白い恋人」や、富士山や舞子さんの写真が入ったお菓子があるというのでなければ、外国人は喜ばないでしょう。
そしてなにより、沖縄の人、特にそれを代表するトップの人が、観光客に対して笑顔で快く迎いれようとしてくれないと、観光客は増えないでしょう。
日本国内への外国人旅行者の数はここ数年で急増していますが、沖縄に行く日本人、外国人旅行者の数は前年比で伸びてはいるものの、その増加率は他の地域と比べると明らかに鈍化しています。
その原因の相当多くは、本土で毎日のように放送される「知事の不満顔」「抗議デモ」「アメリカ軍基地」によって、誰かが裏で印象操作をおこなっているのではないか?と勘ぐるような場面ばかりです。
それにより沖縄の観光業を壊滅に追い込み、地方財政を悪化させ、交渉を有利にもっていこうとする画策にはまりかけていると考えるのはうがった見方でしょうか。
そのような、沖縄悪者論をイメージ作りをしている何者か?の戦略に、まんまとはまってしまっていいのですか?
【関連リンク】
862 最低賃金について
814 日本に外国人観光客を呼ぶ
754 東京オリンピックとこれから高まるビジネスチャンス
706 高齢化社会の行方
578 外国人研修制度という名の移民政策
393 在日米軍基地問題と首相辞任
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今までも繰り返し書いてきていることですが、非正規雇用の割合が全就労者の4割を超えてきたことで、相変わらずマスコミ等の論調では「非正規≒派遣」「若者の非正規が増えている」と言った誤った情報や、なにか悪意さえ感じる意図的な操作、偏向報道がよく見られます。
そうした誤った情報の元で、「派遣が非正規就労増加の元凶」とか「派遣会社が搾取」とか、「高齢者の搾取で若者が正社員になれない」とか「学校卒業しても正社員になれない」といったような、知識を持たない人が歓喜?して記事を読んでくれる刺激的な打ち出し方をしたがります。
まず、非正規社員というのは、一般的にはパートアルバイト、契約社員、派遣社員、嘱託などのことを言いますが、その割合は下記グラフの通りです。
出典は総務省「労働力調査」
見てわかるとおり、非正規社員(就労)で多いのはパート(48%)、アルバイト(21%)、契約・嘱託(21%)で、これらだけで非正規の90%を占めています。派遣社員は非正規の中ではわずかに6%しかなく非正規の1割にも満ちません。
したがって派遣労働が非正規就労を代表するかのような表現は、キャッチーで刺激的ではありますがまったく現実を見てなく、正しくはありません。
パート、アルバイト、契約、嘱託という雇用形態は、雇う側(企業など)との直接雇用が基本です。つまり非正規問題は派遣会社がどうとかという問題ではなく、雇う企業と雇われる人との関係性における問題なのです。
いくら派遣会社を糾弾して、派遣社員の半分を正社員同等にしたとしても非正規全体の3%の改善にしかつながりません。それなら同じ労力を使って、パートやアルバイト、契約社員、嘱託の直接契約のわずか10%を正社員同等にするだけで全体の9%の改善となり、明らかに効果は高くなります。
「しかし派遣は最近急速に増えているから」という間違った情報もよく聞きます。
派遣が増えたのは規制緩和が進んだ2000年代初頭から中盤までで、ここ5年間を見ると11万人(10%増)の増加です。
最近非正規で増えているのは、圧倒的にパートで、5年間で126万人(15%増)の増加、契約・嘱託も88万人の増加(27%増)で、派遣と比べると何倍もの人数が増えているのがわかります。
非正規の派遣が増えていることを憂慮するのなら、その10倍、非正規のパートや契約・嘱託が増えていることを憂慮すべきです。
次に非正規社員の年齢別推移を見ます。世間でよく言われる「若者の非正規化が増えている!」について検証してみます。
グラフを見ると、若者と言える肌色(24歳以下)と赤(25~34歳)の折れ線グラフは、2000年頃までは急速に増えてきていましたが、この10年間(2004年~2014年)を見ると、横ばいか、やや下がっている傾向にあります。
つまり「若者の非正規社員は横ばいか減ってきている!」というのが正解。
ならば若者の最近の貧困化を非正規だからという論評も当たらず、正社員であっても貧困なのであれば、それは物価や、賃金の問題ということになりそうです。
2004年以降も非正規社員数が増え続けている35歳以上(若者と言うにはちょっと無理がある)であれば、「非正規が増えて貧困化が進んでいる!」というのならばまだわかります。
この年代は以前なら結婚して子育て中という夫婦が多かったのですが、晩婚化や結婚しない人の増加など(逆に言うと非正規で収入が少なく結婚できない・しない)という状況がみられ深刻です。
特にこの年代を非正規で過ごすと、その後の中高年になっても正社員になれる可能性は低く、ちまたよく言われている「下流老人」(生活保護水準以下の収入しかない高齢者)へと向かう可能性が高いのです。
同じく非正規社員の年齢別を積み上げグラフにした推移(下記グラフ)をみるとよくわかりますが、若者層15~34歳は微減、中年層35~54歳は微増、55歳以上は急増と3つに分類されます。
統計は自分の都合がよいところだけをうまく使うことで、自己主張を裏付けることによく利用されたりします。「非正規が増えている」というのは事実ですが、それも中身をよく見ることが重要です。
例えば非正規が増える要因として、専業主婦(夫)だった人が、主たる世帯主の収入が増えないことで、家計の補助としてパートやアルバイト勤めに出れば当然非正規の人数が増えます。
また60歳以上の高齢者雇用が企業に義務化されたことで、今まで60歳で定年となり仕事をしなかった人が、60歳以降も嘱託として引き続き勤務するケースがここ数年で一気に増えました。これも非正規を大きく増やす要因と考えられます。
今までは働かなくても親の仕送りだけで過ごせた学生も、最近の学費の高騰と親の収入減少で、アルバイトをして学費や生活費を稼ぎながら学校へ通う人が増えています。それも非正規を増やす一因となっているでしょう。
これらの非正規の上昇は、一家の主たる収入元である世帯主が非正規になるのとは違い、直接「非正規=貧困化」という構図では考えられません。
非正規と貧困化とをひもづけをするならば、生産人口である世帯主の非正規化がどうなっているか、その収入はどう変化したか、そして非正規として多い、パート、アルバイト、契約社員、嘱託の賃金や制度について考えないと非正規問題は解決しないのではないでしょうか。
これらのことから、最初に書いた「非正規≒派遣」「若者の非正規が増えている」というのが根も葉もない戯れ言だということは多くの人に知っておいてもらいたいことです。
そのような報道や記事、コラムを見ると、それを書いた人やメディアは意図的であるかどうかはともかく「平気で嘘をつく人(メディア)」と認識しておく必要があります。
2008年暮れに「年越し派遣村」と称して、多くの派遣社員ではないホームレスの人を集めた自称社会運動家がマスメディアに名乗りを上げましたが、彼は自分で盛り上げた「派遣≒悪」のブームが去ったとみるや、さっさと身を引いて、今は新たな流行となってきた「下流老人」をターゲットとした「反貧困」をテーマとしたプロジェクトで話題を作り、多くのメディアに露出しています。
さすがに人のふんどしでうまく相撲を取る名人、流行に敏感で、売名行為にめざとい人です。いずれ時が来れば売れた名前を利用して政治家になるのでしょう。尊敬や共感はできませんが、その身軽で薄っぺらなな生き方にはいつも感心しています。
【関連リンク】
890 非正規問題の真実
804 高齢就業者と非正規雇用
717 非正規から正規雇用への転換策
707 ハローワークは非正規職員のおかげで回っている
697 非正規雇用拡大の元凶が人材派遣だって?
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派遣社員はほとんどいない「年越し派遣村」とか、ネットからブラック企業の存在が騒がれ出したら「ブラック企業大賞」などが生まれたりと、旬のネタをうまく利用して金儲けや売名行為に走る人や団体がありますが、主催者の多くはおそらく使命感や清廉?な気持ちから「社会のため」「正義を守る」という想いや大義名分があるのでしょうから文句は言いません(棒)。
ブラック企業大賞・セブン「収益構造に歪み」「メディアが取り上げない」実行委が指摘(弁護士ドットコム)
一時期ブラック企業の代表みたく言われていたワタミの場合は、メディアに対してそれほど広告出稿もなく、ニュースとして大きく取り上げてもマスメディアの収入に影響することもなかったでしょうけど、さすがに今回大賞を受賞したセブンイレブンは、広告出稿量で言えば、トヨタやソニーなみとまではいかないまでも、その次の規模であることは確実で、同社の広告をテレビやネットで見ない日がないぐらい巨大なものです。
つまりそのような大型広告主(クライアント)の悪評をメディアで取り上げることは、マスコミ企業にとっては広告収入の激減に直面する可能性があり、大手マスコミは「大人の事情」を勘案し、この手のニュースはよほどのことでない限り取り上げられません。
広告主の意向や評判がメディアのニュースや記事の内容に反映することは、資本主義社会の中では過去も現在も普通に行われていることで、別に今更って気もします。
NHKスペシャルでやっていた「新・映像の世紀 第2集 グレートファミリー 新たな支配者」では、石油王のロックフェラー、金融業のモルガン、火薬などの死の商人デュポン、自動車のフォードなど、その戦略は国家権力にうまく入り込み、ライバルを叩きのめし、金の力でマスコミを味方に付けて繁栄を独り占めしていくストーリーが描かれています。
日本でも前述のトヨタやホンダ、パナソニック、ソニー、花王など巨大な広告出稿クライアントに対するマスコミの扱いは別格で、下手を打てばマスコミ本体だけではなく代理店や制作下請け会社など影響が大きいので、そうしたクライアントの不祥事や事件などの扱いには極めて慎重です。
例えば先月事業終了が案内されたNTTドコモのグループのNOTTV関連ニュースは、累積赤字が996億円と相当な巨額にもかかわらず、大手マスコミはどこも報道しませんでした。大口のクライアントに配慮しているとしか考えられません。
破綻した「NOTTV」の見せた電波行政の深い闇(JB Press)
先の弁護士ドットコムの記事でも、「メディアへの影響力から週刊誌などは(大賞の受賞を)取り上げないのではないかと指摘」と書かれていますが、この大賞が広告費をほとんど使っていない企業や団体でない限りは、今後もそうしたメディアの影響による差別的自主規制は働くでしょう。
ちなみに世界の中で広告宣伝費の多いのは、下記の通りです。当然メディアに対して大きな力を有しているということです。
1位 プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
2位 ユニリーバ
3位 ロレアル
4位 トヨタ
5位 ゼネラルモーターズ
6位 コカ・コーラ
7位 ネスレ
8位 フォルクスワーゲン
9位 マクドナルド
10位 ペプシコ
出典:トップ100グローバル・マーケターズ2013
日本の上場企業だけの広告宣伝費のランキング(2014年5月期~2015年4月期)では、
1位 ソニー
2位 トヨタ
3位 日産
4位 イオン
5位 セブン&アイ ホールディングス
6位 ブリヂストン
7位 マツダ
8位 武田薬品工業
9位 NTT
9位 三菱自動車
出典:東洋経済データ事業局
で、セブンイレブン擁するセブン&アイホールディングスは堂々4位、1年間で1,656億円もの宣伝広告費を使っています。
よく見掛けるホンダや花王、マクドナルド、P&G、NTTドコモ、パナソニックあたりが上位に入ってこないのはちょっと謎ですが。
◇ ◇ ◇
さて、広告費の出稿量と企業のブラック度はまったく関係はありませんが、そうしたブラック企業で働くと、心の病に罹ってしまう可能性が高くなるというのが一般的な風潮です。
ちなみに下記の新聞社説によると2014年度で心の病(うつ病など)を発症して労災申請した人の数はと言うと1,456人、認定されたのは497人とのことです。
働く人と心の病 企業の意識を変えよう(毎日新聞)
年間(申請)で1,456人と聞いて「多い」と感じるか「少ない」と感じるかは人それぞれの環境や経験によって違うと思いますが、私は「一桁少ない?」って思いました。
もっともこの1,456名は「心の病+労災申請」した数であって、単に「心の病を発症」や「心の病+休職または退職」などは含まれていません。そうしたことから1桁少ないという感触をもったのだと思います。
国家公務員と地方公務員の合計は約345万人ですが、その公務員でうつによる長期休職者は4万名とされています(人事院及び地方公務員安全衛生推進協議会調べ)。率にすれば全体の1.2%になります。
そのうつ病の原因が業務と直接的に関係し明らかに「労災」であるかどうかは別として、日本の総労働者数5700万人の1%がうつに罹っている可能性があり、その数は57万人になりますので、上記の労災申請者数1,456名との差があまりにも違いすぎています。
5700万人が生涯40年間働くと仮定し、40年のあいだの1年に1%の人がうつを発症したと仮定すれば、年間14,250名となります。うつを発症した人の中のおよそ10人に1人が労災を申請したと考えると、上記の数字が適当だということになります。
私の感覚的にもたぶんそんな感じでしょう。
公務員はもちろん、先のメディアへの影響力を持っている大手企業は、それらの心の病に対する対処が比較的できている方で、不幸にも心の病に罹患してもその処置や保障が十分受けられ、復帰する場合も再発しないように最善の注意を払われて別の業務を任されたりします。
例えば公務員(国家、地方等で多少の違いはあるようですが)の場合は、長期休職しても医者の診断書があれば最初の90日間!は有給で休むことができ、さらに長引く場合でも1年間は給料の80%!!が支払われることが多いそうです。
時々公務員で病欠を理由に長期休職し、その期間に海外へ遊びに行ったり、資格をとるために勉強をしたりしているのがばれたりすることがありますが、少なくとも2年半ぐらいは食うに困らないだけの、なんらかの給料や保障が与えられています。公務員とやはり好待遇の大企業は優遇されていると言われるわけです。
しかし一般的な中小企業、零細企業では、そうした官公庁や大企業なみの余裕はなく、多くの場合は、病欠で有給休暇を全部使ってしまったらあとは無給扱い、さらには露骨に退職を強要されたり、復帰するにもまともな仕事はなく、結局は追い出されてしまうというのが実体ではないでしょうか。
そうしたことを考えると、いかに「寄らば大樹の陰」が就職活動において一番重要なことかがわかってくるというものです。
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