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1368
あと9ヶ月で今の勤めを円満退職し、過去40年間過ごしたビジネス界から綺麗さっぱり足を洗うつもりです。

写真はイメージです
勤務先の会社の定年は就業規則では60歳で、すでに過ぎていますが、話し合って期間を延長し今も通常勤務をしていますが、来年度が始まり、業務の引き継ぎなどを終えた後の6月末で退職するということですでに会社とは話が付いています。

老後資金の不足2000万円問題とかいろいろ言われてますが、要は「金を使わない生活」を実践すればいいんでしょ?ということで、すでに家計を見直し、様々な節約モードに順次入っているところです。

新聞は1紙だけ(いずれはそれも廃止予定)、ネット回線と電話はまとめて安いところに契約見直し(完了)、テレビは有料のケーブルTVから自前アンテナ設置(完了)、クレジットカードは年会費が必要なところから永年無料へ(一部完了)、マイカーは中古の小型車へ(完了、いずれは軽へ)、スマホはMVNOの格安スマホへ変更(完了)、電気とガスもまとめて安いところへ(未了)、エアコンは省エネ型へ(完了)、トイレは節水型トイレに(未了)などなど。

日常生活でも、衣料品や書籍類はブックオフの大型店で中古を買い、好きなコーヒーの豆は、半額セールを狙ってまとめて購入、運動もスポーツジムではなく近所をウォーキング、ひとりで出掛けるときは、クルマや電車ではなくリッター40数キロ走るバイクでと。

年金が満額もらえる65歳までにはまだ少し期間がありますが、子育てが終わったこの10年間で、頑張って貯めてきた貯金で、なんとかやりくりします。もちろん、63歳1ヶ月目からは年金の一部「特別支給の老齢厚生年金」を受給するつもりです。

65歳からしか年金が支給されない人からは「一部とは言え、63歳から年金がもらえるなんてラッキーだな!」と言われそうですが、私が若いときには「60歳から年金を支給する」という国(社会保険庁)との約束で、社会保険料を支払ってきたので、これでも不満を持っています。日本以外の他の国なら暴動が起きても不思議ではありません。

普通の人の感覚では、一方的に途中で約束を違えるのは嘘つきと呼ばれます。政府や国は言うまでもなく嘘つきですから信用はおけません。

そんなこと言っても「少子化&超高齢化社会なのだから仕方がないじゃないか」と言う人がいますが、超高齢化社会になりそうだとわかっていたのはもう50年も前からです。

しかし、何も手を打たず、そればかりか、積み立ててきた年金を政治家や官僚が湯水のように無駄遣いをしてきたことが、今につながってきているわけです。

そして、彼らはその後始末として、政治家にとって一番票田となり、役人としては、それこそ学生運動の再来として暴発しかねない団塊世代までは、約束通りに救済(60歳年金支給など)することと決め、団塊世代以降の国民には「だって仕方ないじゃない」と負担を負わせることにしたわけです。

さて、文句はそれぐらいにして、その退職後ですが、世間一般では、「定年後になにをする?」という話しが盛んです。

【定年後・自走人生のススメ】セカンドライフを生きる活力に…やりたいこと“総選挙”
セカンドライフでやってみたいこと“総選挙”だ。投票の選択肢は次の6つ。
(1)学び直し(2)転職/再就職(3)起業/フリーランス(4)ボランティア(5)農業(6)地方移住

と、こうしたリタイア後、定年後には、「なにかをする」ことが当たり前の風潮が出来上がっています。まるで「なにかをしなければ人ではない」ぐらいの勢いです。

しかし私はとりあえず「なにもしない」ことに決めています。

今までずっと、団塊世代の後塵を拝し、いつも気ぜわしくいいように使われてきましたが、これからは、多くの人が言う「なにかをしなければ」という世の中の常識?の逆を張って、なにもしないリタイア後を実践していきたいと思ってます。

なにもしない」と言っても、家の中でジッと引きこもっているわけではなく、寝たいときに寝て、起きたいときに起き、出掛けたいときは出掛け、食べたければ食べるという、何にも縛られない生活を送ろうと思っているだけです。

ひとつ参考になったのは勢古浩爾著の「定年後のリアル」で、著者は60歳で定年を迎えたあと、フリーで著述業はされているものの、それまでの会社勤めを辞め、特に裕福ではなさそうだけど(失礼)、貯金と年金の範疇で、なにもしない生活を実践されていて、「なにもしなくても、なにも問題はない」ということが理解できたからです。

幸いにも、過去に病気はしたものの、現在は健康そのもので、家族もそれなりに健康で過ごせているので、ようやく様々なストレスからも解放されて、のんびりと日々を(お金は使わず)楽しみたいと思っています。

そういう「なにもしない生活」の話しを先輩や同世代の人にすると、決まって「早く呆けてしまうぞ!」とか「退屈で早死にしそう」とか言われます。

ま、そうなればなったで運命だから仕方ないけど、それらは医学的根拠は乏しく、逆に高齢になってからもずっとストレスフルな状態が続いている方が身体や精神に悪いのでは?とも思えます。

ストレスというのは個人差が大きく、「そんなのストレスにならないでしょ?」と他人が決めつけるのは完全に間違っています。

「人は適度なストレスがあるほうが健康に良い」という話しもよく聞きますが、もし働きにでも出たら、適度なストレスと加重なストレスを自分の判断で自由に選べるのか?や、適度と加重とのラインはどこで決まるのか?という難問には誰も答えてくれません。

もし働いていて、それが本人にとって過重なストレスとなっても、途中で放り出すことは、お金をもらっている以上できないのは言うまでもないことです。今の人はどうか知りませんが、昭和時代から働いていた者にとってプロとしての責任はとても重いのです。

もっと言うと、お金をもらわず、ボランティアだったら、責任はなにも負わなくても良いのか?というと、決してそういうわけでもないでしょう。なにかをやることって、必ずなにか責任やストレスがつきまとってくるものです。

これからは、そうした責任やプレッシャーをできるだけ排除したいと考えているわけです。

ただ、2002年頃から始めているこのブログ(日記)と、もうひとつ趣味でやっているブログは引き続き継続して行こうと思っています。これらはたまーに来る批判的なコメント以外、ストレスはかかりません。

もちろん、家族に対する責任や、知人、友人などとの関係性についてまで排除できません(しません)。

おそらく人間関係も視野も狭まり、偏屈なオヤジとなっていくと思いますが、それがどうした、今まで自分の胃に穴が開くほど散々人に気を遣い、他人のせいで頭を下げまくってきたので、これからは自分のやりたいように生きていきたいと思っています。

【関連リンク】
1292 2018年12月後半の読書と感想、書評「定年後のリアル」
1215 定年退職後の再就職はどうする
1169 定年起業
1141 リタイアメント
1011 定年後の生活資金設計

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1367
右側の人工股関節が3年、左側の人工股関節を入れてまもなく2年が経ちますが、その時の手術は最新?のナビゲーションシステムを取り入れていて、2時間以内という短時間の手際よい手術で、早期の回復に有利な筋肉を切らず、左右の足の長さも微妙に調節してもらい満足のいくものでした。

医者の経験と勘に頼るのではなく、事前にCTスキャンで3次元画像を撮影し、置換する位置や角度など最適なシミレーションができる優れたシステムだということは素人目にもわかりました。

人工股関節置換手術において、そうしたナビゲーションシステムのさらに先を行く、優れた「ロボティックアーム手術支援システム」というのが保険適用され、各地で導入され始めているそうです。

先月ですが、下記のような記事が出ていました。

手術支援システム「Mako」に保険適用=人工股関節・膝関節の全置換手術(時事メディカル)
人工股関節の全置換手術(再置換を除く)は現在、日本で年5万2500件、同じく人工膝関節の場合は8万件行われている。人工関節の置換手術は、医師の技量や経験に頼る面が強かった。患者の多くは高齢者で、執刀医が都市部などに集中していることもあって、手術を受けられなかったり、長い間待たされたりしていた。「Mako」の保険適用を機に導入する医療機関が増えれば、こうした患者に手術の門戸が開かれる。

たいへん良いことですね。

人工股関節置換手術は、ナビゲーションシステムがある今でもそうでしょうけど、熟練の技と経験がモノを言う世界で、ひとつとしてまったく同じ骨などがないように、その手術においても様々な技量や経験が置換手術の成功の鍵を握ります。

こうした手術支援システムが多くの病院で普及すれば、「有名な○○先生に」という我が儘や、「手術まで何ヶ月待ち」とか不便を強いられることもなくなり、インプラントを正しい位置と角度で設置できることで、左右の足の長さ調整、脱臼のリスク回避などにも貢献しそうです。

「Mako」という名称から、日本の技術!?と思ったら、、、違ったようで、人工股関節先進国アメリカの企業「ストライカー(Stryker)」の製品でした。なので発音も「マコ」ではなく「メイコー」というらしいです。

世界に冠たる?高齢者大国の日本ですから、こうした高齢者に特に多い人工股関節、人工膝関節のナビゲーション&ロボティックアームシステムについては、アメリカに負けないように日本独自の優れた医療システムを早く開発してもらいたいものです。

そうすれば、今までは、人間ドックレベルで終わっていた人口が多いアジア諸国から日本への医療ツアーも、富裕層中心に、そうした手術を受けたい人が、日本へ大挙してやってくるでしょうし、新たなクールジャパンの目玉になれるかも知れません。

すでに、人工股関節手術では、アメリカのように「術後2~3日で退院」とまではいかないものの、日本でも早いところでは術後1週間ぐらいで退院できるようになってきました。

また術後の脱臼防止のため禁忌姿勢は特になしという術法も普及してきて、術後の脱臼に神経質にならなくてもよくなりました。

あとは、インプラントの耐久性がどこまで進むのか?というのが一番気がかりなところで、もし「50年間大丈夫」という人工股関節ができれば、30代や40代の人でも、日々痛みがひどければ、我慢していないで思い切って交換するということが割と簡単に決断できます。

こうした医学の進歩は日進月歩で、何年か前の情報を見て「それが普通」と思い込む人がいるというのも残念なことです。

それはそうと、今でも朝に目が覚めたあと、起き上がるときに激しい痛みが走っていた頃のことがフラッシュバックのように頭の中を駆け巡り、一瞬身体をヒネったり立ち上がったりすることを躊躇するときがあります。

しかし実際に起き上がり、身体をひねろうが、片足に体重がかかろうが、まったく痛みもなく、「あぁ、そういう不安はすでに解消されたんだ」とホッとします。

まだ無茶な運動はしていませんが、毎日歩行に務め、体重にも気を遣いながら、少しずつ負担をかけながら筋力アップを心掛けています。

まだ痛みと戦いながら、人工股関節に躊躇されている方も多いと思いますが、案ずるより産むが易しだということはお伝えしておきます。


【関連リンク】
1302 変形性股関節症による人工股関節置換手術2年目
1275 人工股関節手術の左1年&右2年経過後の定期検診
1220 人工股関節手術6ヶ月検診
1198 変形性股関節症、人工股関節手術その後
1137 人工股関節、人工膝関節の寿命と再置換



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1366
2016年5月にイオンモバイルで購入したスマホ「富士通ARROWS-M02」のバッテリーの容量の持ちが急に悪くなり、いつもではないものの、待ち受けだけでも半日も持たなくなる日が何度か出てきました。

購入してから3年が経過しているので、バッテリーの性能が落ちたのかなと思っていましたが、それにしてもこれだけ急速に電池がなくなるのはなにか異常かも?と思って調べてみました。

電池使用状況を調べるとシステムアプリ「Google play 開発者サービス」が異常に大きく占め、全体の半分以上の電池を使っていることがわかりました。

ググってみると、この症状が出ている人は多いようで、その対処方法が書かれていたので、最新Ver.にアップデートし、キャッシュを消すなど実行しましたが、あまり改善しません。

本体の充電池の交換も考えました。業者に依頼すると1~1.5万円、自分で行うなら、Amazonで1000円台で電池を購入出来ますが、Androidのバージョンも古く、アプリが時々フリーズすることもあり、ここはパソコンと同様、消耗品と割り切って一新すべきということに決断しました。

ケチケチでなんとか4年間は使おうと思っていたのですけど残念です。でもこうして気軽に通販で安いSIMフリースマホを買えるのも、格安MVNO契約に変えたことでできることです。

スマホでゲームをしたり動画をよく見る人、カメラはスマホだけって人は、高性能、高機能なスマホが必要でしょうけど、普段は仕事でも自宅でもメインはPCを使い、写真は別途コンデジをよく利用しているので、スマホは外出時の写真、Facebook、Twitter、メール、万歩計、ラジコ、Googleマップとナビ機能、あとはネット検索程度ですので、普及機というか、エントリー機でも十分かなと、この製品を購入しました。
 


シャープ AQUOS sense2 SH-M08
対応OS:Android 8.0(2年間のアップデート保証)
CPU:Qualcomm Snapdragon 450 (SDM450)1.8GHzオクタコア
内部メモリ:3GB、ストレージ:32GB
外部メモリ:microSDXC 最大512GB対応
ディスプレイ:約5.5インチフルHD+(2160×1080ドット)IGZOディスプレイ
アウトカメラ:有効画素数:約1200万画素 CMOS 裏面照射型
インカメラ:有効画素数 約800万画素 CMOS 裏面照射型
約148(H)×71(W)×8.4(D)mm 155g USB Type-C 
指紋センサー、顔認証、おサイフケイタイ、完全防水
発売日:2018/12/21
Amazon価格 27,200円

弱点は、バッテリーが2,700mAhと小さいのと、カメラの画素数も少なめです。ま、安いので、消耗品と割り切り2年間使えれば良いかと。来年には5G対応のスマホも出てくるわけだし。

今使っているスマホより便利なのは、使う前にいちいち認証パスワードを入力していたのが、指紋と顔認証が使えること、外部ストレージ(SDメモリ)が最大512GBと16倍に拡がったこと(動画をバンバン撮れそう)、インカメラの画素数が4倍に上がったこと(よく使うアウトカメラは逆に劣化)。

あとは、省電力のIGZOディスプレイとバッテリー容量が少しだけ増えたので、電池持ちが今よりはよくなるかな。

前回はイオンモバイルで、格安SIMと本体をセットにして購入しましたが、今回は通販で本体だけを購入しました。

イオンモバイルでも同機種を販売しているのですが、値段はAmazonより5千円以上高くなります。イオンの付属アプリがどうしても必要でなければ、モノ自体は変わりませんからね。

SIMはそのままで、本体だけを変える場合は、SIMの入れ替え作業と、初期設定は自分で行わなければなりません。イオンモバイルのネットで本体だけを購入してもその作業はほぼ同じです。

【SIMを差し込んだ後、セットアップの仕方】

SIMをセットし、「設定」→「データ通信」→「モバイルネットワーク設定」→「アクセスポイント名」で、イオンモバイルを選び、

 APN:i-aeonmobile.com
 ユーザ名:user
 パスワード:0000
 認証タイプ:PAPまたはCHAP

を入力すればOKです。その他の項目はデフォルトまたは未設定でOK

保護用のフィルムを剥がし、スマホ本体と同時に購入したガラスの保護フィルムを貼って完了です。

今回Amazonで購入したモノ(値段は日々変わります)

シャープ AQUOS sense2 SH-M08(値段が数日で大きく下がっていてショック)

AQUOS sense2 SHV43 SH-01L ガラスフィルム 強化ガラス日本旭硝子素材(590円)

その他、よく使うアプリを入れたり、認証パスを入れたりと、前のスマホと同様に使えるようにするための設定に1日かかりました。

参考までに、送られてきたSIMフリースマホは、元々楽天用のものらしく、楽天関連のアプリが最初からインストールされていました。それ以外は特に変わったことはないです。不要なアプリは簡単にアンインストールができました。
 
【関連リンク】
ガラ携からスマホへ 2014/4/5(土)
格安スマホ(MVNO)に替えた 2016/5/21(土)
格安スマホ(MVNO)を利用してきて思ったこと(1) 2019/2/23(土)

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田園発 港行き自転車 (集英社文庫)(上)(下) 宮本輝

2015年に単行本、2018年に文庫化された長編小説です。元々は富山市に本社を置く北日本新聞に2012年から約3年間にわたり連載されていた小説です。

そうしたこともあり、富山県各地の自然の美しさ、様々な交通機関、美味しい料理などがふんだんに取り上げられていて、私が名付けた「うんちく小説」という著者の作品群にバッチリ当てはまっています。

私は若い頃に、富山には行ったことがありますが、その時は、黒部ダムを見に行くのが主目的で、その他はほとんど素通りでしたので、あらためてこの小説を読むと、富山の海岸沿いへ行きたくなりました。

登場人物の相関関係はややこしく、これは著者自身の自伝的小説「流転の海」ほどではないにしろ、ややこしい限りです。

主人公は、宮崎へ出張と言いながら、なぜか富山で急死した自転車会社社長の娘、そして京都の花街の中で親の代から茶屋を営む女将さん、さらに、東京の企業に勤める中年男性、その3人の視点で物語は進んでいきます。

それらに加え、富山で美容院を営む亡くなった社長の愛人とその息子、昔は祇園で浮名を流していたが事業に失敗し、その後富山で警備会社を経営する男性、祇園の芸者置屋の女将、自転車会社社長と仲が良かった若くして亡くなった伝説の芸子、京都の出版社勤務の編集者、亡くなった自転車会社の社長の右腕だった老齢男性などなどが絡んできます。

舞台が、京都の祇園や地方都市の富山でしかも滑川という場所だけに、小説自体もなにか時がゆっくりと流れている昭和の香りがします。

タイトルだけ見たときには著者の初期の作品「青が散る」のような青春小説かな?と思いましたが、全然違って、複雑な人間模様と、時代に翻弄されたそれぞれの人生を描いたなかなか奥の深い小説でした。

★★★

著者別読書感想(宮本輝)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

不運と思うな。大人の流儀6 a genuine way of life 伊集院静

大人の流儀」シリーズの第6弾で、2016年刊の新書です。確か週刊現代に連載されているエッセイをまとめたものだと思います。

帯に「生きる勇気が湧いてくる。感動の1冊」と大げさに書いてあったので、60過ぎのオッサンに生きる勇気を持たせてくれるのかと、わくわくしながら読みましたが、肩すかしも良いところです。

著者の小説やエッセイは好きで、過去に16作品(19冊)を読んでいますが、著者の作風が変わったのか?それとも読み手の私が年齢とともに感性が変わったのか?その両方かもしれませんけど、これはいただけません。

とにかく、同じ事を何度も書く、しつこく書く、中には自慢たらしく思えるようなことを自慢げに書く、過去の美しい想い出を何度も書く、あまり考えずに単なる思いつきだけで書いている?と思う箇所など、これはいずれも高齢者の多くに見られる現象のような気もします。著者は今年で69歳、いつまでも若くはないですね。

好きな作家さんだけに、こうした症状が垣間見えるのは、ちょっと残念です。

もっとも、若い人にとっては、こうした波瀾万丈の生き方をしてきた人の経験を垣間見ることで、いろいろと考えることもできるでしょうから、すべて悪いと言うつもりはありません。

要は読み手がどう思うかですから、私も個人的な感想を述べているだけで、それを誰かに批判されても困ります。

★☆☆

著者別読書感想(伊集院静)

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日本農業への正しい絶望法 (新潮新書) 神門善久

2012年刊の新書で、日本の農業の実態と、その周囲に群がる政治家、官僚、マスコミなどを赤裸々に告発しています。

著者が言うように、一度も現場に足を向けないような、役人や識者と呼ばれる学者、ジャーナリスト、マスコミの記者などが、日本の農業は素晴らしいという情緒的なイメージを作っているというのはなんとなくわかります。

また効率化を図って世界と戦える大規模農業こそが、生き残る道だという主張や世論にも警鐘を鳴らしています。

私自身は農業とは縁遠い世界にいるだけに、いったいなにを信用すれば良いのかはわかりませんが、様々な主張をこうして読むことで、一方的な考え方になるのだけは防ごうと思っています。

この本の中でも、へぇーと思ったのは、「農家は一般的なサラリーマンよりも収入面で恵まれている」という部分。

なにかイメージ的には「農家は収入が低いけど、ある程度自給自足ができるので食っていける」というものがありますが、実態としては、農家は平均的に年収も高く、しかも家や土地があり、優遇された税制や補助金まであるということ。

テレビで見る農家は「台風で水浸しになって困惑する姿」や、「高齢化した夫婦が毎日畑に出掛ける姿」などで、「農家ってたいへんだなぁ」というイメージしかありません。

この本を読むと、農地として税制優遇を受けておきながら、駐車場に変えて利益をあげていたり、息子に分家するという名目で税制優遇された土地を譲り、その土地に家を建て、その家を第三者に転売するなど、様々な農家の錬金術が書かれていて、上記のようなほのぼのとした農家のイメージは崩れてしまいます。

若い人が地方へ行き、新たに就農することでも、農家は荒れて使えない土地しか貸してはくれず、何年かかけて苦労して土地を改良し使えるようにしたら、貸し出し期間の延長はしないとか、やりたい放題な農家もあるとか。

ただ、日本の農業の未来について著者が言うような「農業技能を高め、質の高い生産物を作る」というのも、そういう高くても良いものを求める著者のような人も中にはいるでしょうけど、安くてそこそこな野菜や米などがあれば十分という需要が国民の大部分を占めている現状があるわけで、そうしたことを真っ先に考えるべきではないかと思います。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

お引っ越し (角川文庫) 真梨幸子

ホラーじみた連作の短編小説集で、2015年に単行本、2017年に文庫版が発刊されています。収録作品は、「扉」「棚」「机」「箱」「壁」「紐」の6編です。

著者の作品は過去に「あの女」と「殺人鬼フジコの衝動」を読んでいますが、その両作品はイヤミス(読後感が悪く、イヤな気持ちになるミステリー)の女王というイメージ通りの作品でした。

2019年2月後半の読書「あの女」

2015年2月前半の読書「殺人鬼フジコの衝動」

ただ、今回のような短編小説になると、そのイヤミスパワー(この短編ではそれが目的ではないかも知れませんが)も大きく減衰してしまい、それに期待をしすぎるとガッカリします。

まだ読んだ作品数が少ないので決めつけられませんが、この著者の作品は、いろいろといわく付きで読ませる長編こそ魅力がありそうです。

ちょっとユニークなのは、文庫本の最後にある解説がよくある普通の解説ではなく、本文の続きになっているようで、この短編集の解説を依頼されたライターが、「この本は読まない方が良い」と書きます。そして自分とは出会わない方が良いと、登場人物になって忠告を与えています。ホラーでしょ。

★☆☆

著者別読書感想(真梨幸子)


【関連リンク】
 8月後半の読書 美学への招待、中年だって生きている、すべて真夜中の恋人たち、孤独の歌声
 8月前半の読書 彼女のいない飛行機、残された者たち、国境(上)(下)、残念な人のお金の習慣
 7月後半の読書 占星術殺人事件、ソクラテスの妻、我が家の問題、「日本の四季」がなくなる日 連鎖する異常気象



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1364
先月のことですが、午前中の時間、近所を散歩していたとき、狭い道で信号待ちをしていた小型車が、対向車が横をすりぬけられるスペースを空けるためか、左側の路肩ギリギリに寄せて停まっていました。

歩行者が左側を通れないほどに寄せていて、その停め方に「ちょっと極端すぎないか?」と、ふと見入ってしまったのですが、信号が青に変わり、クルマが動き出したときそれは起きました。

クルマの左前にはコンクリ製の電柱が立っていて、当然それを避けて前進すると思いきや、なぜかそのまま直進して、その電柱に左側のバンパー、フェンダー、サイドミラー、ドアと連続してガサガサぶつけながら、停まることもなく、信号を左折していきました。



左サイドミラーは完全につぶれ、その本体は路上に落下、中身の装置(鏡の角度を変えたり、ミラーを閉じるための装置)が、配線コードでクルマからぶら下がっているという状態です。

落下したミラー(翌日の夜に撮影)


ぶつけた痕が残る電柱(同)


私もちょうど、その交差点で信号待ちをしていたので、ぶつけた後、被害状況を確認するためすぐに停まる?と思っていたら、何事もなくそのまま去って行き、呆気にとられました。オイオイ。

運転席には白髪の高齢の男性が、助手席にはその妻と思える老齢の女性が座っていました。

助手席の女性は気がついているようで、なにか言っているようでしたが、運転席の男性は気がついているのかいないのか、我関せずって感じで、前方だけを見て運転していました。

池袋での暴走死亡事故の時も、助手席の妻が「危ないよ、どうしたの」という声かけに、運転手の高齢男性は「あー、どうしたんだろう」と、非常事態が起きている認識が薄い無自覚な返事をしていましたね。それを思い出しました。

実は、それだけでは終わらず、散歩を終えて、自宅近くまで来たときに、再びそのクルマと出会いました。

なぜ同じクルマだとわかったかというと、まるで昔のスパイクタイヤを履いたクルマのように、ガチャガチャと大きな音を立てて交通量の多い市道を走ってくるクルマがあったので、「何事か!?」って、ウォーキング中思わず振り向いたら、さっき30分ほど前に見たままの、左側のミラーが取れ、コントロール装置がケーブルでぶら下がったままの状態で他のクルマに混ざって走ってくるではないですか。

しかも、その異常な走行音の発生源は、ぶつかった左前輪が完全にパンクしていて、タイヤはぺちゃんこな状態なのに関わらず、30~40km/hのスピードで、30分前に電柱にぶつけた場所の方角へ走り去っていきました。オイオイ2

おそらく、なにか用事で出掛け、その用を済ませたあと、自宅へ戻ろうとしているのでしょうけど、サイドミラーはない、タイヤはパンクしている、そんなひどい状態でまだ走るかい?FF車で前輪がぺちゃんこで、ハンドルもブレーキもほとんど効かず危ないでしょ?

  ◇   ◇   ◇

次は数年前に目前で経験したことですが、スーパーの平置き駐車場での出来事。

70代、もしかすると80代かなと思える年配のおじいさんが運転する軽トラが、駐車場で停めようとしているのですが、どうも駐車場のマーキングラインに合わせて停められず、斜めになったまま何度も前進後退を繰り返していました。

ま、そういうことって初心者にはよくあることなので、仕方ありませんが、年季の入った軽トラに乗っているのはおじいさんで、運転初心者とも思えず、ちょっと不思議に思い、駐車場の入り口で停まったまま待っていました。

するとそのおじいさんの軽トラが、隣に停めてあるクルマに、後部をバーンとぶつけ、切り返して、前進したかと思うと、また下がってバーンと大きな音を立ててぶつけてと、何度か隣に駐車しているクルマにぶつけながら、平然としています。

大きな音も出ていますので、当然ドライバーもわかっていると思いきや、近くにいた人が身振り手振りでぶつかっていることを注意したところ、クルマから降りてきて、ぶつかったところを見て初めて驚いている始末。マジか?

どうも悪びれるでもなく、「自分は悪くない、こんなところに停めているほうが悪い」みたいな感じでなにかボソボソ言って、その後、ぶつけられてしまった人とのやりとりはあったのか、それとも知らないふりして逃げたのかは不明ですが、まったくひどいことです。

そういう常識外れというか、事故の認識がない人が、混雑した街中や、高速道路を普通に走っていると思うと、そりゃ、悲惨な事故も普通に発生しますよね。

  ◇   ◇   ◇

もうひとつ、これは加害者は不明で、高齢者とは限りませんが、クルマで旅行中、その日宿泊をするホテルの広い平面駐車場の中に停めました。遅い時間に着いたので、周囲は暗く、たまたま空きがあったところに停めました。

翌朝クルマに戻ると、隣にクルマを停めていた人(家族で旅行中の感じ)から、「昨夜、駐車中にぶつけられたみたいで、あなたのクルマじゃない(傷はついていない)ようだけど、あなたが停める前に停まっていたクルマを知らないか?」と聞かれました。

「昨夜、ホテルの玄関に近い場所がたまたま空いていたので停めたけど、前に停まっていたクルマは知らない」と答えるしかなく、当て逃げされ、大きくボディをへこまされた方が気の毒でした。ボディだけでなく気持ちもへこみますよね、せっかく楽しい旅行中だろうに。

高齢者の事故が騒がれていますが、決して交通事故は高齢者だけが突出して多いというわけでなく、人口に占める高齢者の割合が増えてきて、目立つようになってきたことが一番大きな要因です。

しかし、高齢者が認知力不足?によって引き起こす事故を間近で見ると、本人には自覚がなく、ちゃんと運転をしているつもりだけに、周囲は注意のしようもなく、まったく困ったことです。

そういう自分も、やがては知らず知らずのうちに注意力や認知力不足になってくるのかと思うと、誰かに指摘される前に免許証の返納を考えないといけないなぁと、飛び散ったサイドミラーの破片を見て思いました。

【関連リンク】
1081 高齢ドライバに対する偏見と規制
1044 高齢者ドライバーの増加がもたらすこと
864 衝突安全性テストについて
800 高齢化社会で変化している交通事故の統計を見る
751 自動車事故と車種や装備の関係

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紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
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