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600
【とりあえず600回謝辞
おかげさまでリストラ天国日記も600回を迎えました。思えばよくここまで来たもんだと我ながら感心しますが、当初の内容からは大きな変貌を遂げたにも関わらず、飽きず懲りずにお付き合いいただきまして、ありがとうございます。最近の投稿ペースで行くと4年後には1000回となりますが、果たしてそこまで気力・体力がもつかどうかは、ムニャムニャ

以前、再生可能なエネルギーとして、太陽光や風力ではなく地熱発電が日本のエネルギーの切り札だという主旨のブログを書きましたが、先月、ようやく環境省が国立・国定公園での地熱発電の試掘調査を容認したと記事が出ていました。

「地熱発電、国立・国定公園で垂直掘り容認 環境省が新方針」

地熱発電は太陽光や風力発電とは違い、天候に左右されず安定した電力を供給することができ、さらに日本の地熱埋蔵量はアメリカとインドネシアに次ぎ世界第3位と言われているほどの地熱大国です。その想定される埋蔵量はざっと原発20基分2400万キロワットと言われています。

地熱発電所の建設、維持、運営コストは原子力や水力発電所と比べると遙かに安く、環境への影響も放射能はもちろん、Co2も輩出せず、また大きなダムを造って川をせき止めるという自然環境破壊もありません。地熱発電で出てくるのは水蒸気だけです。

よく地熱発電でお湯を汲み上げると温泉が枯れ、地下水の影響がと心配する人がいますが、通常の地熱発電では温泉に使うお湯よりもずっと深い地層からの汲み上げと、熱を利用したお湯は再び同じ場所へ戻しますので、ほとんどその影響はないと言われています。

それに例え全国に何百とある温泉のうちのいくつかに影響が出たとしても、放射能拡散のリスクに日々怯えながら、全国で原発を使い続け、その使用済み廃棄物や廃炉処理に何万年と時間とコストをかけることと比べ、日本人はどちらのほうが幸せなのでしょう。

原発設置や維持のためにばらまいていたお金の一部を影響の出た温泉組合や旅館に補償として支払うことも可能でしょう。おそらく原発交付金よりもずっと少ない金額で済むでしょう。

ただ温泉資源で生活をしている人がいることも事実ですので、万が一地熱発電によりなんらかの影響が出てしまった場合の保証制度や損害保険というのも、早く整備したほうがいいかも知れません。そうすれば地元の協力も得られやすいのではないでしょうか。

また補償は事業会社だけに責任に押しつけるのではなく、他の原発や水力発電と同様、エネルギー政策を進める国や自治体からも補償を受けられるようになるといいでしょう。

先の新聞の記事によると、昭和49年(1974年)に政府で取り決められた国立・国定公園内での試掘調査を6ヶ所に限定する通知を破棄し、いくつかの条件付きですが開発事業者に認める方向のようです。

なんと言ってもその地熱発電ができる場所というのが、国立・国定公園内が8割と言われています。これから発電事業を行い、それぞれ地域の電力需要や、場合によっては都市部へも供給しようとする既存の電力会社を含む民間業者が、これでようやく一歩前進することができます。

さらに4月9日のNHKニュースでは、
地熱発電拡大へ 業者対象に説明会
原発事故を受けて、自然エネルギーの地熱による発電を拡大するため、熱源が豊富な国立公園などでの開発の規制が、条件付きで緩和されたことを受けて、環境省は9日、開発業者を対象にした説明会を開きました。

とあり、すでに福島県の磐梯朝日国立公園など合わせて5か所ですでに開発計画が持ち上がっているとのことです。一気に弾みがつきそうで期待が持てます。

外国で実績のある国産の地熱発電プラントがすでにありますから、そのシステムを使えば国内産業の育成と発展にも大きく寄与し、今後世界に向けて地熱発電を大々的に輸出するビッグビジネスにもつながります。

一番の問題は送電のところで、現在の地域独占の電力会社が、発送電双方のインフラを押さえている限り、いくら発電しても安く送電網に乗せられない、あるいは採算の合う値段で買ってもらえないということになります。

それの解消には発送電分離か、あるいは固定価格買い取り制度の設定などが必要となります。

最後に美しい国立公園内に、無粋なプラントや送電線が建設されることの可否について、心情的に言えば「そりゃないに越したことはない」です。

ただすべては原子力発電を代替する必要不可欠なものという考えを持たない限り、感情論で「自然を壊すな!」というのは、電気が必要不可欠な社会の中で暮らしていながら無責任な発言で、最低限度の開発は仕方がないと妥協するしかありません。

環境に優しく自然に大きな負荷を与えない新たな地熱発電所を作り、日本が世界に向けて原発のない経済大国の成功例を示し、そしてその技術やノウハウを提供すればいいのです。

少なくとも、地熱発電所の建設と運用は、原子力発電所、水力発電所、高速道路、鉄道、空港などの建設と運用と比べると、自然や環境への負荷や影響は遙かに小さなものと考えます。



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596
ニート(Not in Education, Employment or Training, NEET)とは、「教育、労働、職業訓練のいずれにも参加していない状態を指した造語」(wikipedia)ということで、一般的に日本では「勉強も仕事もおこなっていない無職の若者(15~34歳)」を指しています。

厚労省の定義でなぜ「34歳以下」になったのかは不明ですが、実際には「本来ニートと呼ぶべき無職の40代、50代の人が増えているのではないか?」という疑問があり、もしそうだとしたら、そちらのほうが社会的なインパクトがありそうなので、34歳以下に限定せず、年代別に無職の人がどのぐらいなのかを調べてみました。

なぜ40代50代の無職者がインパクトが若い人より大きいかというと、それらの人はあと10~20年のあいだに定年の年齢に達し、それ以降は本来ならば貯金と年金で生活する人達です。しかし40代50代に無職であればその多くは年金受給資格が得られず、親兄弟から援助が受けられたり遺産がもらえる人は除き、貯蓄も多いとは思えないので、実質的には生活保護受給者予備軍ということです。昨年すでに200万人を突破して過去最多の生活保護受給者になっていますが、それが今後も増え続けていく経済的なインパクトはとても大きいのです。

ちなみに社会問題化している同じような言葉に「引きこもり」というのがありますが、こちらは厚労省の定義によると「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と言うことで、必ずしもニートと同義ではありません。

つまり家に引きこもったままネットビジネスやオンライントレードなどをおこなってお金を稼いでいる人もいます。ここでは、ニートを含み収入を得ていない人(=無就労者)について考えてみます。

ここで「収入が得られる仕事」について「家事」の扱いをどうするかという問題があります。厚労省の統計では「家事」という無償就労を認めていて無職には含めませんが、総務省の統計では「家事手伝いとニートに差異はない」ということで、いわゆる「無就労者」に加えているのです。

ならば、ということで、「家事」を無職とした場合と、無職としない両方で見るようにします。

元の表は総務省統計局労働力調査年報(平成22年度)から抜粋したものです。
mushokus.jpg

下記のグラフは、仕事や学業に就いている人(「主に仕事」、「家事などのかたわらに仕事」、「通学のかたわらに仕事」、「通学」)と、無就業の人(「家事」、「休業者」、「完全失業者」、「その他」)の数を5年ごとの年代別で表したものです。つまり「家事」を無職とした場合のグラフです。

musyoku1s.jpg

年代ごとに棒グラフの高さがまちまちなのは、人口構成比の違いです。

この中で無就労者の数は団塊世代後半に相当する60代前半が一番高く(多く)、次が団塊ジュニア世代の30代後半が高く(多く)なります。60歳以上は定年で引退をする人が多く「その他」や「家事」の無就労者が多くなるのは自然なことですが、次に多いのが30代後半ということで、「無就労=ニート」ではないとはいえ、やはり34歳までだけをとってニートの数を判断するのは間違っているようです。

ただ実際には出産や育児、介護のため、仕方なく勤めを辞めて家事等に専念している人が相当数いると思われますので、その割合を測って調整を加えるのが本当は正しいような気がします。この「家事」を無職に入れる総務省の理由ですが、「女性が家庭外での社会活動をしていない場合、自らを表す言葉に窮し『家の手伝いをしている』と回答する女性が多く見受けられた」とのことからです。

下記はその「家事」を除いた無職の人の年代別グラフです。

musyoku2s.jpg

次に現時点で無職と思われる「家事」「休業者」「完全失業者」、働く意志のない無就労者「その他」の人数(棒グラフ)と、その年代の人口比(折れ線グラフ)を年代別にしたのが下グラフです。これでどの年代に家事を含む無就労者が実数としてまた比率として多いか、少ないかがわかります。

musyoku3s.jpg

同様に「家事」を除いたグラフです。

musyoku4s.jpg

これからわかるのは、年代別にみて無職者数が一番多いのは、引退して働かなくなった60代前半、次に多いのは、意外にも50代後半、その次は「家事」を入れると30代後半、除くと「20代後半」と違いが出てきます。

50代後半で無職というのはどうしてなのでしょうね。早期引退なのか、リストラなどで失業して働きたいが次が決まらないだけなのか、それとも病気などで仕事ができなくなったのか。実数を見ると「その他」が2倍、「家事」が4割も増えていますので、単に失業者が増えたということではなさそうです。

ちょっと気になるのが、自殺者の年齢別を見ると50代以上、60代以上が常に高く、自殺の原因の上位が健康問題と経済・生活問題ということで、50代以上の中高年者の無就労と自殺には深い関係が見出せそうだということです。

あと「家事」を含むと30代の無就労者が多いのが目立ちます。やはり女性が出産や育児のため退職し、家事をしているというケースが多くなるからでしょう。これは実数を見ても「家事」が20代前半では25万人、後半で72万人だったのが30代前半で124万人、後半では155万人と一気に膨れあがります。この増加傾向は、まだ日本では「結婚して家庭に入る」「子供ができると専業主婦」などというのがどうも普通に多いようです。都会ではそうは思えないのですけど、ある種の女性にはそれが憧れであることも確かでしょう。

整理すると、
・20代はもっぱら外で働き、30代になると外で働き続けるか家事(≒無就労)に分かれる
・20代~30代前半(20~34歳)で「家事」除く無職者は合計210万人。ニートはそのうちの約半数100万人と言われている(あとの半数は求職活動中や勉強・病気のため就業ができない人など)
・世代人口比で見ると20代がもっとも無職者の割合が高い
・無職者の実数(人数)は30代(30~39歳)が多く425万人(家事含む)、146万人(家事除く)
・20代~50代に家事を除き532万人が無職者で、それは人口比で約8%を占める
・50代後半で仕事を引退すると想定される人が20万人いる

一般的にはニートや引きこもりで社会問題化しているのは、主として若い20代層に思われがちですが、決してイコールではないものの「仕事も学校にもいかない無職者」という観点で見ると、20代以外にも50代後半と30台後半の数が非常に多いことがわかります。「ニート統計が34歳までというのが適当であるか?」というと、どうもそうは思えません。



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591
1970年、今から40年前は日本人の年間就労時間は2,250時間程度でしたが、2010年OECD調べによると1,733時間とかなり減り、アメリカの1,778時間を抜き、英国の1,647にも近づいてきましたが、それでもドイツの1,419時間、フランスの1,562時間などと比較するとまだまだ大きな開きはあります。

40年前の年間就労時間2250時間というと、平日と土曜日に9時から18時まで8時間労働すればだいたい2250時間になります。当時は土曜日は半ドン(午前中のみ勤務)の会社もありましたが、まだフルタイム勤務の多いところがほとんどでした。今の若い人にはまったく想像もできないことでしょう。

私は1980年4月に当時のベンチャー企業に就職しましたが、この時は超大手企業以外はまだ毎土曜日は普通に出勤日で、私の入社した会社も土曜日はすべてフルタイムの出勤でした。

入社数年後にまず第2土曜日が休日となり、その後第2、4土曜日のほぼ隔週土曜日休み(第5土曜日があると出勤し連続出勤)となり、入社4~5年目ぐらいでようやく完全週休二日制に変わったと記憶しています。

したがって当時は会社の始業時間は9時でしたが、実際には8時から始まる会議から、終わりは9~10時頃まで土曜日を含め働いていましたから、3日間の夏休みなどを除いても、年間総労働時間は4000時間を超えていました(残業代はなくすべてサービス残業扱い)。

当時のボーナスを含めた年収を総労働時間で割ると学生時代に働いていたバイト代より安かったことを覚えています。

現在の年間就労時間平均1733時間は、平日だけ7.5時間を働けばだいたいそれに達します。

いずれにしてもこの就労時間には残業時間が反映されていないようですが、日本の場合、90年代頃まではサービス残業が当たり前、その後は裁量労働やみなし労働などという言葉に置き換えて実質的なサービス残業が営々と継続し推奨されています。

ドイツの年間就労時間1419時間についてその詳細はわからないので、推定すると、12カ月で割ると月平均118時間。1日7時間労働だとすると月間17日程度の勤務となり、土日曜日以外に毎月3~4日はお休みということになります。あるいは夏休みやクリスマスにまとめて2週間ぐらい休むのかも知れませんね。

国内の企業に勤務する人の有給休暇の付与数と取得数を1984年から2010年の推移でグラフ化してみました。(データ出典総務省就労条件総合調査(2012年1月25日)2000年はデータなし)
yukyuu.jpg

有給休暇の付与数は2003年頃をピークにその後は横ばいが続いていますが、取得数も様々な要因があって取得しにくいのか、バブル崩壊後の1995年をピークに最近は横ばい状態が続いています。

有給休暇の付与数が増えれば、それだけ取得数も多くなるのかというと、そういう相関関係だけではなさそうです。

2011年の有給休暇の年間付与日数平均は17.9日年間取得日数平均は8.6日ですが、勤務している業種によって大きな開きがあります。

有給休暇の取得数が多い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業(14.8日)、鉱業,採石業,砂利採取業(10.9日)、情報通信業(10.7日)、製造業(9.8日)、学術研究,専門・技術サービス業(9.6日)となっています。

逆に取得数が少ない業種は、宿泊業,飲食サービス業(5.2日)、医療,福祉(6.1日)、卸売業,小売業(6.4日)、建設業(6.7日)、教育,学習支援業(6.8日)などです。

公共事業に近く、しかも比較的規模が大きそうな電気・ガス・水道業や、鉱業、情報通信、製造業などは有給取得が容易で、零細事業が多く、しかも人手不足気味の宿泊・飲食業、医療・福祉、小売業、塾などの学習支援業は有給休暇が取得しにくいという構図が見えてきます。

日本は祝日が他の多くの国と比べると多く、単純に有給休暇の取得数だけで国際比較するとミスリードする恐れがあります。

しかしそれにしても有給取得率が平均で48%程度(2011年)というのは、せっかく与えられた権利に関わらず、将来の成長のために自ら学習することや、頭をリフレッシュして心身共に健康を保つこと、家族との団らん、子育て、友人との交友などの多くの機会を失ってしまっているのではないでしょうか。

そういう私も昨年は有給休暇としては6日の取得で、まさに上記の平均取得数以下でしたが。


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590
もう何十年も前から繰り返し「家を買うか借りるか」の不毛な議論が続けられています。

なぜ不毛かと言えばそれって人の考え方、つまり既婚・未婚、未婚だったら結婚の時期、生活パターン、仕事内容と勤務地、会社規模と収入レベル、会社の福利制度(住宅財形など)、金利の未来予測、住宅ローン減税の大きさ、子供(予定)数、両親とその資産や住居地、生活将来設計など、様々な要因、条件が異なり、それらを無視して論ずることができないからです。

逆に言えば、そういった様々な条件を無視して「借りるべき」「買うべき」と決めつける人、自称ファイナンシャルプランナーに多いですが、そういう人の言うことはまったく信用がおけないと言うことです。

でも、この話し面白いので(爆)、一度この件を私なりに独断と偏見で考察してみることにします。

前提としては、都市部に勤務する30代の夫婦+子供二人の標準世帯が都市部近郊地域に住む場合と仮定し、その夫婦の両親がどこに住んでいるか、兄弟はいるのか、また両親の介護の必要性や資産(持ち家)の有る無しなどのことは一切考慮しません。

【家を借りる派の多い主張】
・転勤があるかも知れず、住む場所が一定ではないので買うのは無駄
・20年も30年も重い住宅ローンに縛られてしまうのは嫌
・この時代20~30年も現在と同等以上の収入が維持できるかわからない
・賃貸だと生活環境や隣人などが気に入らなくなれば気軽に引っ越しができて便利
・持ち家だと天災で家が壊れると借金だけが残る
・賃貸なら生活や収入レベルに応じて住み替えができるので効率的
・木造で30年、鉄筋でも50年で大幅な修繕や建て替えが必要となり意外とお金がかかる
・賃貸物件は比較的交通の便がいい場所に多くある
・町内会やマンション管理組合の役員など面倒なことが回避できる(場合がある)
・将来は介護のため実家や、その近くへ気軽に引っ越すことができる

【家を買う派の多い主張】
・改築や増築、リフォームが生活に合わせて自由にできる
・家賃とさほど変わらない月々のローン返済で将来資産となる
・老後には資産売却して小さな家または高齢者施設へ移ることができる
・住宅ローン減税が受けられる(平成24年に新築居住開始で最大300万円)
・一般的に分譲住宅用の建築材や設備は賃貸用と比べ優れている
・賃貸の場合、住み替えるたびに紹介手数料や保証人が必要で面倒
・子供の学校や地域活動のことを考えると1個所に落ち着きたい
・持ち家だと世間的に信用が得られる
・子供に安い相続税で資産を残すことができる
・自分の家があることで精神的に余裕ができる

それぞれにメリット、デメリットがありますね。

基本的には借りている人は買うことのデメリットを強調し、買った人はその逆と言ってもいいでしょう。つまり自分の判断の正当性を主張したい、間違っていなかったと安心したいということなのでしょう。

20080614_00.jpgよく購入する場合に「投下資本の回収」という点で判断する人がいますが、それは人に貸し出したり転売する目的の投資物件の場合で、ずっと住み続けることが前提であるなら、土地代は固定資産税に影響するから、価値が上がるより下がってくれたほうがいいという解釈もあり、あまり意味のない判断です。

また「毎月の家賃支払いと同額で家が買える!」という不動産会社の常套句には当然まやかしがあって、取得するときの税金や手数料、マンションなら毎月別途支払うことになる共益費や修繕積立金、その他にも固定資産税、損害保険料など持ち家には多額の附帯コストが住宅ローン返済とは別に必要です。

それに住宅ローンが変動金利の場合、将来インフレになると利子分が膨れあがる可能性もあります。

上記と逆のパターンで「持ち家は固定資産税が毎月かかり、その他修繕費などもかさむ」と一見正しそうに見えて実は間違っていることを言う人がいます。

賃貸だって当然固定資産税や修繕費はかかっているわけで、それを大家が代わりに、そしておそらく手数料分をしっかり上乗せして家賃として徴収し代わりに支払っているだけのことです。

だから「賃貸なら税金や修繕費を払わなくて済む」は大きな勘違いです。

買った住宅が「30年も経つともう資産価値はない」と言い切る専門家もいますが、それはその不動産の場所やメンテナンス状況によって違ってきます。

都市部から遠く離れた郊外で周辺が新たな開発もされなければ、確かにほとんど値がつかなくなることもあるでしょうけれど、逆のことも当然あります。

つまり居住している30年のあいだに、新しく整備された道路ができ、近くに地下鉄の駅が完成したり、近所にあった工場跡地に大きなショッピングモールができたりして、住環境がよくなり、資産価値が以前より上がる可能性だってあります。

あるファイナンシャルプランナーの試算では、同じ場所に、30年ローンで買った場合と、ずっと賃貸で借りた場合を比べると、支払総額で比べると、「賃貸の人のほうが約2千万円の得になるから借りたほうがいい」という結論が書かれていました。

賃貸住宅の方が持ち家より30年で2000万円トクと専門家断言

しかしこの計算では上記の「30年経てば資産価値はなし」が根本にあるようで、買った住宅の資産はカウントされていないようす。

30年後にその資産がもし2千万円以上の価値があれば、買ったほうが得と言うことが抜け落ちています。

今どきの新築マンションが(普通のメンテナンスがおこなわれていれば)30年で売れないほどボロくなることはまずありませんし、一軒家なら家屋に価値はなくても、土地は当然資産価値があるでしょう。

もっと言うと住宅ローンのように否応なく毎月自動的に引き落としがされるお金と、賃貸住まいで、積立定期預金などのように、その気になればいつでも取り崩すことができる預金を比較すると、賃貸の人が30年後の老後のために、毎月家賃を支払いながら、それ以外に現金で最低でも2千万円をコツコツ積み立てようとストイックに割り切れるのかというとそれも疑問です。

おそらく住宅ローンを払い続けた人も賃貸の人も、最終的な貯金額はそれほど変わらない(つまり賃貸の人は可処分所得に多少余裕があるが、その分海外旅行や子供の学費などで贅沢する)のではないでしょうか。なので「家を買わない=住宅ローン-家賃分の貯金が貯まる」と必ずしも言えないのです。

私の考えを言えば、投機的な意味ではなく、そこに長く住むことを前提として、それこそ定期預金のつもりで、気に入った物件があれば買ってもいいのではと思っています。

但し今のタイミングで家を買うのには以下の条件があります。

 1)最初はマンションでもいいけれど子供がいる場合は最終的には土地付き一戸建て住宅を買う
 2)頭金は20%以上を支払う(4千万円の家で800万円の頭金)
 3)ローンは定年前の50代で終わるようにして固定金利
 4)月々の支払い額は給料手取りの1/3以内
 5)当面は転職や遠くへ転勤する可能性はない

です。それが無理なら分相応だと思って買わないか、物件のレベルを下げたほうがいいでしょう。

マンションと一戸建てを比べるとこれも生活スタイルなどによって違ってくるでしょうけれど、マイカーがあるなら郊外でも月1万円以上する駐車場代が不要となり、洗車も自宅でできる一戸建てを購入したほうがずっとお得な感じがします。

20110409_00.jpg頭金をできるだけ多く払うのは、少しでも利子負担を減らすこと以外に、万が一数年後に家を売り払うような事態が起きた時に、住宅ローンの残高が売却価格を上回らないようにするためです。

それでも地価が急落してしまうと、住宅ローン残債と家の価値の逆転現象が起きますが、それは誰も想像ができないので、その時はあきらめるしかありません。

逆に買った後に人気エリアとなり、急騰することだってあり得ます。その時は買った値段より高く売って、別の場所にもっと広い住宅に買い替えることも可能です。

ローン期間を定年(60歳)までに終えるようにしておくのは、こちらもローン返済途中で万が一のこと(失業とか給料の大幅減)が起きた場合、銀行と交渉して、ローン支払い期間を5~10年延長し、月々の支払い額を減らすことができる安全策です。つまり目一杯ギリギリ状態で買ってはいけないと言うことです。

給料手取額の1/3を毎月住宅ローンで返済していくのは実際にはかなり厳しく、特に子供の教育費がかかる年齢(40代~50代前半)で、給料がさほど上がっていないと、お金のかかる私立校に通わせることが難しくなります。できれば夫婦の手取り合計の1/4以下で収まる支払いに収めるようにしたいものです。

また年間12カ月均等払いにするか、ボーナス月に割り増しで支払うようにするかは、それぞれ会社の給料支払い条件にも関係しますが、景気や業績に大きく左右されるボーナスをあまりあてにするより、12カ月均等にし、もし毎月の収支が赤字で貯金に手をつけたら、次のボーナスでその埋め合わせをするぐらいの考えがいいのではないでしょうか。

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587
毎日通勤に使っている駅は、私鉄の急行の停車駅ということもあり、朝晩は通勤客や通学客であふれかえります。その駅前でしばしば政治家が街頭演説をおこなっています。現役の国会議員の時もあれば、市会議員や県会議員、前回落選した”ただの人”まで、毎日ではないけれど日替わりでよく見掛けます。

選挙運動の一環として古くから「街頭演説は基本中の基本」とされてきましたし、たぶん現在もそうなのでしょう。最近一躍有名になったのが、野田総理が財務大臣に入閣するまでの24年間、出勤時間に駅前で演説する「朝立ち」を続けていたことがニュースで取り上げられました。またそこでの演説がYoutubeにアップされ、そこで語っていた内容と、総理大臣になってからおこなっていることがあまりに違いすぎていて野党に突っ込まれていました。

20110521_013.jpgしかし、なぜか今でもこの「辻説法」は「政治家の第一歩」とか「政治家の基本」のように言われていて、多くの政治家やその卵が、まるで念仏を唱えるがごとくそれを信じてやっています。

確かに、一般の人が政治家を見る機会は少ないし、人気と実力がないとテレビに映ることもありません。駅前での演説で多くの市民に少しでも顔を売り、それが選挙の際に馴染みのある人ということで票となって返ってくるというわずかな可能性は否定できません。

また政治家は昼間や夜は会議や人に会うので忙しくても、朝は比較的暇なので、地元にいるときにはこの朝立ちは時間の有効活用法とも考えられます。

でも時代も人もどんどん移り変わっていく中で、このような戦略をいつまでも盲信していて本当にいいのかなと他人事ながら気になります。

圧倒的不利と言われていたマイノリティの候補者が、Facebookを有効に利用してアメリカ大統領になる時代なのです。いや、別にネットの活用だけを言っているのではありません。例え聞きたくても、立ち止まって聞いていられない朝の駅前演説よりもっと他に方法がないものでしょうか。

例えば、ちゃんとテーマを決め、簡潔でインパクトのある演説の動画映像を撮影し、資料と共にPCで見られる動画にして自分のサイトに置くとか。もちろん同時にそこへ有権者を誘導する方法を考えなければなりません。

それならば暇なときに知りたい情報だけをうまく演出された動画で見ることができます。しかもテーマごとに何本でも作れば、見る側も必要なことだけ知れるので、お互いに時間が節約できて有効でしょう。ただしその場合、言ったこと(個人公約)と違ったことをすると、あとで証拠を突きつけられ非難されるでしょう。その程度の覚悟は必要です。

朝の街頭演説を駅まで歩きながら聴いてみると、一部分だけなのでそのせいかも知れませんが、その内容の空虚さ、抑揚のない平坦で棒読みのような話し方、なにか惰性で嫌々やっているぞという感じがしてきます。そりゃそうでしょう、誰も真剣に聞いてくれていないのに熱く語るのは無理です。

おそらくその演説を正面で向かい合って聞いている多くの人がいれば、そのような気の抜けたような話し方にはならないと思われますが、次々と忙しそうに目の前を通り過ぎ、目も合わせられない相手ばかりだと、どんなに演説名人でも投げやりで無気力感満載の演説になってしまい、逆効果とさえ思ってしまいます。

様々な規制が多い日本の政治・選挙活動ではおこなえることも限られていますが、それにしてもいつまでも駅前街頭演説が「政治家としての選挙活動の基本」と考えてやっているならば、それは時代錯誤も甚だしいのではないでしょうか。

それではどうすればいいか?

本来、政治家になろうと思えば、自分の考え方に応援してくれそうなターゲットが決まってきます。20代の学生や若者から80歳の高齢者の誰からも好かれようとする全方位型は、すでに有名人となっているタレント候補でなければ無理です。

普通なら「子育て支援に力を入れると決めたから、自分を応援してくれる一番のターゲットは20代から30代の女性」とか、「今まで社会福祉活動をやってきたから高齢者にはきっと共感してもらえる」とか、「40年間ずっと勤め人をやってきて、所得税の不公平を訴えるからサラリーマンが対象」とかターゲットを絞り込みます。そしてターゲットが決まれば次はそのターゲットにどうPRするかというマーケティング戦略です。

例えばそれらターゲット層が多く集まる場所を探さなくてはいけません。その場所で報告会や勉強会などと称してPRする機会を作ったり、時には客寄せパンダに有名人に来てもらったりします。

20120311_013.jpgまた「30~40代の女性」なら、普段からネットを活用していますから、自分のブログやTwitterなどを活用し、困っている人の話しや、テーマに即した意見を聞いてあげる仕組みを作るなどして、その世代にアピールしていくべきでしょう。ネットの問題点は、年代や性別はある程度絞れても、エリアが広範囲すぎて自分の選挙地域に限定できないということでしょう。でもそれは仕方がないことです。

そしておそらくターゲットとして一番難しいのが20代の男女でしょう。この年代は人口も少なく、選挙へ行く率も低いので、政治家にとってはあまり選挙運動の対象にされません。そしてなにか不用意な発言とかへまをすると、それが引き金となりブログが炎上したり、悪評がまき散らされる危険すらあります。

したがってこの層には現在どの政治家もまずアプローチをしていませんので、これから新たに政治に飛び込もうとするなら、逆張りで狙ってみるのも面白いかも知れません。ただ悲しいかなこの層の票だけで当選できるほど甘くはないのが少子化の現実でしょう。

政治家の中でも河野太郎氏(自民)はブログやmixi、Twitter、有料メルマガなどを利用して、スマートに自己主張や活動報告をおこなっています。ブログを読むと、どこでなにのテーマでいつ演説会をするのかわかりますし、Twitterではブログに新しい記事が書かれた際の告知や、演説会、国会質問の内容などが書き込まれています。

当然このサイトでは河野氏の一方的な発表の場であり、なんと言っても人気取りのPRの場ですからその内容について100%信用していいものではありません。しかしなにも表に出さない政治家よりはずっとわかりやすく、身近に感じられます。

衆議院議員 河野太郎公式サイト

同氏の有料メルマガは購入していませんが、基本的に、ブログに書く内容を先にPUSH型(わざわざブログを見に行かなくても、送られてくるメールでその文章が読める)で読めるそうです。有料と言っても月数百円で、1~2回のコーヒー代です。なので、メルマガで情報を買うと言うより、有料メルマガの購入者は個人的に政治活動を応援するから寄付するよという感覚なのでしょう。

河野太郎氏は誰も知っている古くから続く名門政治家の御曹司で、有名だからそういう派手な手法ができるのでは?と思われがちですが、私も彼のブログを読んで初めて知ったのですが、他の2世3世議員に見られるようなひ弱で世間知らずな感じはありません。家柄のいいエリート臭がするのは致し方がありません。

自民党の中でも自己主張が強く、思ったことは頑として曲げず、時には自民党や同僚の議員を公然と批判し、党内で処分を何度も受けている反逆児で、お坊ちゃまの多い自民党の議員らしくなく(大金持ちの名門家生まれで外国への留学経験もあり、有名大企業に就職していた河野太郎氏も間違いなくお坊ちゃまではあることは間違いありませんが)、好感が持てます。この河野氏以上にネットをうまく活用している現役の政治家は他にはいないでしょう。

ま、私は自民党員でもなければ、河野氏の選挙区に住んでもいないし、特に個人的に応援をしているわけではないので、あまり誉めすぎるのもなんですが、おそらく近い将来、手負いになった自民党を背負って立つ人になる人でしょう。

それにしてもいつの日かネット投票が可能になれば、高齢者の投票率が高いという年代によって偏りのあるものが、一気に若年層の投票割合が増え(とは言え母数が少ないのでもともと不利ですが)、それによって政治家の顔ぶれがガラッと変わってしまうこともあり得ます。

そうはしたくない現役政治家が、自らの首を絞めることになる選挙改革をするとはとても思えないので、これを実現するには、いずれそうなるであろう「先進国ではネット投票が当たり前」「選挙コストの大幅削減」という外圧やグローバルスタンダードに頼るしかないのかもしれません。

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