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西武ホールディングスの大株主である米投資会社サーベラスから西武に対し、株主提案として下記のような要求が突きつけられたと以前報道がありました(サーベラス側は「路線廃止などを要請したことはない」と否定)。

 ・多摩川線、国分寺線、秩父線、山口線などの不採算路線の廃止
 ・埼玉西武ライオンズの売却
 ・プリンスホテルのサービス料の値上げ
 ・品川駅周辺の再開発案の策定

これに対して、西武側は「公共性を重要視するので廃止や撤退は考えていない」と模範的回答をして、沿線住民や国民世論を味方に付けてサーベラスのTOBを阻止しようとする姑息な態度がミエミエですが、本音のところでは改善する見込みがない不採算部門(沿線)は、今日明日ではないにしろ、いずれはなにか理由をつけて撤退したいと考えるのは事業家なら当然のことでしょう。

すでに日本各地で不採算路線が次々と撤退していて、その後を受けた第三セクター方式もかなり苦戦をしているという状況です。

train1.jpg特に鉄道事業というのはなにかをやって短期に収益をあげられるものではなく、長期的なビジョンでインフラを整備し、その沿線に新しい町や施設を作り事業を展開していくものです。

そのような将来ビジョンがなく、いま通学・通勤で困る人がいるからというだけで、(公営や第三セクターの場合)税金をじゃぶじゃぶと投入して一時しのぎをするのはどうなのでしょう。

苦境に立つ九州の三セク鉄道……存続につながるレールたどれるか(ビジネスメディア誠)

西武にしても不採算路線や事業を長期的に抱えることで、トータルで利益が出せず、その結果本来納めるべき税金を納めない(あるいは少ない)のであれば、それは企業としての社会的責任を果たしていないことになります。

そして今後30年ほどの間に日本の人口が2/3以下になり、しかも住民の多くは毎日通勤や通学、買い物やレジャーで使ってくれる若い人達ではなく、たまに使ってくれる程度の高齢者ばかりとなれば、もう地方の鉄道路線の廃止や縮小は急坂を転げ落ちるかのように一気に急加速していくことになります。

50年後には人口8千万人台になり、その結果として大都市部でも人口は中心部に集中し、団塊世代等に人気のあった都心から1時間を超える閑静な郊外は、過疎化が進んだ廃村のような寂れた状態になってしまい、手を広げすぎた鉄道路線も見直され、終着駅もいまより都市中心部寄りに変更せざるを得なくなるだろうという予測もあります。

人口8000万人、うち3000万人が老人の国になるニッポン(現代ビジネス)

次に、運賃の問題があります。

運賃はインフラの自社保有度合いや維持コストのかけ方、あるいは補助金(つまり税金)の有無などにより変わってきますが、また競合するライバル路線の有無など様々な要因によっても変わってきます。

結局は建設費等の借入金返済や事業運営、保守、維持管理費、事業利益、株主配当などがまかなえるように「運賃×想定利用者数」で算出されることになります。

高度成長の時期は鉄道事業で赤字でも駅周辺開発など不動産事業やエンタメ系事業で稼ぐことも可能でしたが、もうそのような内需は期待できず、鉄道事業は運賃で稼ぐしかありません。

鉄道インフラに使う土地を昔に安く取得している場合はまだいいですが、新しく土地を買い、お金のかかる高架や地下に線路を敷いていると、今では天文学的なコストがかかります。

そしてそうしたお金には、屍肉に群がるハイエナのように建設・土木業者や政治家、許認可権を持つ役人が群がり、さらにコストを高くしていきます。

そして自治体の財政厳しい折、これからは市や県からの補助金はあまり期待できませんので、鉄道会社が利益を上げて健全な経営をするためには利用者を増やすか運賃を上げるか、それともコストを切り詰めるしかありません。

まず利用者を増やすのは前述の通り期待薄で、したがって駅員や車掌を極限まで減らし、コストを下げ、ワンマン乗車や無人運転、無人駅を取り入れて、最後に運賃を上げていくことになるのでしょう。

運賃が高い路線は比較的新しく建設された路線で、しかも土地の取得費や建設費にべらぼうなお金をつぎ込んだ場所や、線路は別の会社が保有していてそこを通過するために使用料がとられる場合、そして過疎化で乗客が減少しそのため運賃を上げるしかない、あるいは特殊な観光客用路線という理解で間違っていません。

train2.jpg運賃(キロ当たり運賃)が高額で有名なところとしては、仙台交通局、埼玉高速鉄道、北総鉄道、東葉高速鉄道、りんかい線、多摩都市モノレール、上田電鉄、大井川鉄道、富士急行線、横浜市営地下鉄、みなとみらい線、近江鉄道、京都市営地下鉄、京阪電鉄鴨東線、泉北高速鉄道、長良川鉄道があげられます。

今後サラリーマンが住宅用、事業用の不動産を購入したり賃貸で借りようとする際は、その土地が活断層や液状化の懸念がないかという問題以外に、最寄りの鉄道路線が高額沿線かどうか、廃線になる可能性はないかというのも大きな検討材料になるでしょう。

通勤代は正社員の場合は会社負担が多いものの、生活費の中に占める通学や買い物、パートやアルバイト等で使う交通費というのは、決してバカになりません。

北総線沿線に住む人達が運賃認可権をもつ国に対して運賃値下げを要求する裁判を起こしたことが大きく報じられましたが(東京地裁で原告敗訴)、このようなことが報じられると、その沿線に住むのは避けようという心理が働きます。

この裁判や報道はその沿線で事業を行っている不動産会社や建設業者、商店にとっては死活問題に発展するかもしれません。

傷口に塩を塗るような話しで申し訳ないですが、北総鉄道北総線の運賃がどれぐらい高いか、JR東日本の運賃と比較すると、JR東日本の運賃が290円の距離(東京-川崎18.2km)とほぼ同距離(千葉ニュータウン中央-秋山 17.6km)を北総線に乗ると650円が必要です。

距離は同じでも料金は2.2倍です。ちょっと電車に乗って出掛けるだけで往復千円以上がかかってしまいます。こんなに交通費がかかっては、交通費が支給されないアルバイトなぞやってられません。

そしてその結果、その沿線は敬遠され、住人が見込み数より増えず、鉄道会社の収益は改善されず、やがて経営が苦しくなってさらに値上げという悪循環も起きそうです。

それにしても日本の人口減少は、鉄道会社にとって大きな影響があるものだなとあらためて知りました。

利用者の便益のため既存線同士を相互乗り入れするための拡張工事ならばまだ理解できますが、未だに都市部を中心に新線計画や複々線計画が計画されています。

税金の無駄遣いと私鉄の場合は経営者の先を見る目を疑ってしまいます。そういう経営者には、これからもますます日本は成長し拡大していくという亡霊が目の前にうようよしているのでしょうか。


 【関連リンク】
 711 日本が限界集落化していく
 706 高齢化社会の行方
 666 子供の教育費の負担を覚悟しているか
 617 人口減少と年金受給者増加

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ここ何年かの非正規(雇用)社員が増加している元凶が、小泉政権時代におこなわれた「人材派遣の自由化にある」と思っている人が困ったことにいまだ多くいます。

たぶんそのように言うとマスコミからも注目され「労働者の権利を迫害する業者や政治家を叩く俺って格好いい」と思ってのことでしょうが、まったく非正規雇用問題の本質を理解していないふざけた話しです。

別に派遣会社やその業界団体からなにかの恩恵を受けている私ではありませんが、コロッと騙される人も多いかなと思って解説しておきます。

2008年年末に「年越し派遣村」という話題が一気に噴騰し、あたかも「派遣労働→派遣切り→ホームレス→可哀想→糾弾しなければ」と、派遣労働を目の敵にしてきた労働組合系組織や、それに同調し表向き「弱い者の味方」と称するマスコミによって、意図的な情報操作で悪評が広められてきました

「派遣業者・派遣という就業形態=悪者」と断じて、「悪者(人材派遣業界や自由化を支持をしてきた政治家)を叩け」とばかりに、もっともらしく書くジャーナリストや評論家が後を絶たず、人材派遣の業界団体もまったく聞く耳を持たない労組やマスコミに手を焼いていました。

なぜ労組が人材派遣を目の敵にするかといえば、労組は誰でもが加入できる組織化されていない小規模なところを除き、基本は大企業や業界ごとに正規雇用者が主体となり組織されています。

つまりパートやアルバイトならともかく社員と同等の仕事をする派遣社員が職場に増えることで、正社員の既得権が侵され、組合員が減り、相対的に労組が弱体化してしまうことを一番恐れているからです。

正社員以外で働く人のことを一般的に非正規(雇用)社員と言いますが、それには明確な区分があるものとないものが混在しています。

一般的にはアルバイト、パート、フリーター、契約社員、嘱託、季節労働者(期間工など)、日雇い労働者、派遣、個人請負(個人事業主の場合は曖昧)などが非正規(雇用)社員と位置づけられています。

非正規社員の中でそれぞれが占める割合と推移をみてみましょう。

全雇用者に占める非正規社員の割合推移と2010年非正規社員の内訳(総務省統計局/労働力調査より抜粋)
hiseiki001.jpg

非正規社員は1990年と2010年で比べると確かに全年代で増加しています。しかし思い出してください。1990年といえばバブル絶頂時代で、完全な売手市場の中、失業率も低い時代でした。

そのような時代と現在を比べて「正規雇用者数の割合が減ったのはけしからん」と言ってもあまり説得力はありません。

解決するには最低でも80年代後半のように企業が超人手不足で、猫も杓子も正社員として採用してくれるよう景気をよくする必要があります。それは今の時代どう考えても難しいでしょう。

この20年間の非正規雇用の増加は、派遣労働者の増加というだけではなく、働き方が多様化したり、バブルが弾け長引く不況の中、業績も停滞し、その結果企業が正社員雇用を絞っってきたからに他なりません。別に労働組合つぶしで正社員を減らしてきたわけではありません。

特に1990年頃までは雇用数が多かった製造業の現場で、1990年前半のバブル崩壊以降、円高と激しい国際競争にさらされ、それに対応すべく非正規社員(派遣社員ということではなく)を多く使うようになってきたからなのです。

それを証明するために、下記のグラフを見てみましょう。

2000年、2005年、2010年の非正規社員内訳比較(総務省統計局/労働力調査より抜粋)
hiseiki002.jpg

小泉純一郎氏が政権についたのが2001年、それから5年後の2006年まで総理大臣の座にいました。

その間で労働者派遣法が改正されたのが、2003年の要件緩和と退任後の2007年から実施された派遣期間の緩和です。果たしてそれが今の非正規雇用問題の元凶だといえるのでしょうか?

派遣職種が過去一番ドラスティックに変更され緩和されたのは1999年小渕恵三内閣時代の改正で、この時に派遣業種が原則自由化され、製造業派遣なども認められました。

いわゆる派遣禁止職種のネガティブリスト化ということで、それまでは制限されていた派遣可能職種から、やってはいけない職種の制限に置き換えられました。

百歩譲ってもし派遣法改正が元凶だというのなら、この時の改正を言うべきでしょう。

次に非正規雇用者を年齢別にみるとどうでしょう。

年代別全雇用者数に占める非正規雇用の割合(2000/2005/2010年)(総務省統計局/労働力調査より抜粋)
hiseiki003.jpg

顕著なのは、2000年から2010年の10年間で、55歳~64歳の非正規雇用者数の割合が増大しているのがわかります。

これは数百万人もの団塊世代が2007年頃から続々と60歳定年を迎え、61歳以降は嘱託や契約社員として、あるいはパートとして働くようになりました。

一方では、15~24歳の層は、いったん2005年には急増したものの、その後2010年にかけては非正規雇用者割合が減っています。その他の層も55歳以上以外は2005年と2010年を比較すると横ばい傾向と言っていいでしょう。

もしどうしても非正規雇用急増の問題を指摘するなら、減ってきている若年層ではなく、定年後も働き続けなければならない、あるいは一度退職すると次に正社員としては採用してもらえない55歳以降の非正規雇用の問題を真っ先に取り上げるべきなのです。

実際には60歳以上の高齢者は、すでに年金支給の対象となり、多くの人には規定の退職金も支払われて、他の年代と比べると裕福と言われています。

そのためこの年代の非正規雇用自体に大きな問題があるかというと、ちょっと疑問符がついてしまいますが増えているのは実はその層なのです。

話しは横道へそれてしまいましたが、派遣労働者の数は、2010年でわずか96万人に過ぎず、全就業者数6256万人に占める割合はわずか1.5%です。非正規社員全体の1755万人の中でもたった5.5%に過ぎないのです。

それなのに「非正規社員≒派遣労働者」の扱いをするとはまったく無能としかいいようがありません。

住むところを追われ、年越し派遣村に来ざるを得なかった人達の中に、いったい何人の派遣労働者がいたのか、実際のところを教えてもらいたいものです。

統計上で推定すると、年越し派遣村が「無職の人と生活が不安定な非正規雇用の人達向け」ということであれば、20名の中に派遣社員が1名いるかいないかという程度なのです。

それだけにわざわざ「派遣村」と名付けたのは誰かが意図した悪意としか言いようがありません。

非正規雇用が増えたため、その分収入が減りデフレが起きたという意見にも賛同ができません。2000年以降、日本経済は円高の影響などにより国際競争に負けて多くの仕事を失い、物価変動の影響を考慮した名目GDPも1997年以降下がっています。

が下がったのは非正規雇用の人だけではなく公務員以外の一般的な正社員勤労者平均が下がっています。

1997年と2009年比較で約13%も平均給料が下がっているのです(国税庁:民間給与実態統計調査)。

非正規雇用者の2倍近くいる正規雇用者の給料が下がれば、それに引きずられ全体に与える影響のほうが大きいことは明かでしょう。

なのでデフレが起きたのはなにも非正規雇用が増えたためではありません。これも非正規雇用問題を大きくするために作られた嘘です。

さらに、人口統計で明かですが、少子化と高齢化の影響で、進学や結婚、実家から独立などで多くのお金を使ってくれる若い人が90年代後半から減り続けています。

逆に裕福な高齢者は将来の年金不安や医療制度不安でしっかり貯金をして支出しません。そのような流れが10数年続いている中では景気が改善するわけがありません。

それでも非正規雇用の問題を取り上げるのであれば、まずは一番数的インパクトの大きいパート労働者で、その問題を解決すれば半分、さらにアルバイトの問題を解決すればそれで非正規雇用問題の7割が解決することになります。

転勤はできない、フルタイムでは働けない、残業もダメ、重い責任や部下のマネジメントの責任は負いたくないという一般的なパート労働者を、それでも正規雇用に切り替えさせようというのは、労使共に無茶な話しで、希望があれば社員登用の道を作るぐらいしか、対策はないと思われますがどうなのでしょう。


 【関連リンク】
 本当に中高年者は豊かで若者だけが貧しいのか?
 40~50歳代プチ高所得者がハマる罠
 改正高年齢者雇用安定法
 中高年者の活用について
 労働者派遣法改正

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693
先月兵庫県加古川市で起きた「金属バット殺人事件」は、詳しくは定かではありませんが、41才の無職男性が、70才と65才の両親と38才の弟(会社員)を自宅で殺傷するという悲惨な事件で、これは十数年前から繰り返し起きている典型的な「手遅れになった引きこもり殺人事件」と考えられます。

金属バットで殴り、父と弟死なす 殺人未遂容疑で逮捕
兵庫県加古川市尾上町養田の無職Hさん(70)の近所の人から「Hさんの息子が人を殺したと言っている」と110番通報があった。県警加古川署員が駆けつけたところ、男性2人が家の中で倒れており、無職の長男(41)が家族3人を金属バットで殴ったと認めたため、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。Hさんと、逮捕された長男の弟の会社員Tさん(38)が病院に運ばれたが死亡が確認され、県警は容疑を殺人に切り替えて調べている。
加古川署によると、Hさんは1階居間付近で、Tさんは2階の部屋で倒れていたという。Hさんの妻のMさん(65)は1階トイレに逃げていたが、頭などを殴られて重傷。長男は「家族から死ねと言われて腹が立った。3人とも殺してやろうと思った」と供述しているという。(2012年2月8日)

参考までに無職の中年男性が同居している家族に殺意をいだく事件は毎年あちこちで起きています。

「働け」に激怒…兄と弟を包丁で襲い、自殺か
東京都杉並区宮前の無職男性(75)方から、「息子が刃物を振り回し、兄弟を刺した」と119番があった。
警視庁高井戸署員が駆けつけたところ、男性の長男(45)と三男(42)が包丁で頭などを切られ、長男は意識不明の重体、三男も重傷。次男(45)は風呂場で首をつっており、搬送先の病院で死亡が確認された。
同署では、次男が長男と三男に切りつけた後、自殺を図ったとみて調べている。
同署幹部によると、会社員の長男が、職に就かず引きこもり状態だった次男に「働け」と説教をしたところ、口論になり、次男は自宅2階で長男を襲った後、様子を見に来た三男も刺したという。1階にいた母親が気付き、通報した。長男は頭や首を、三男は胸や腹を刺されており、包丁は風呂場で発見された。(2012年1月30日)

引きこもりの果ての事件?金属バットで両親殺害容疑、40歳の長男逮捕
島根県東出雲町揖屋(いや)町の無職男性(72)の親族から、「男性の長男から親を殺したと連絡があった」と松江署に通報が あった。署員が男性宅に駆けつけたところ、男性と妻(68)が木造2階建て住宅の1階居間で頭から血を流して死亡しているのを発見した。室内にいた無職長男(40)が「金属バットで頭をたたいて殺した」と話したことから、殺人容疑で緊急逮捕した。
同署によると、男性は妻と長男の3人暮らし。金属バットは台所で見つかり、長男は「今月8日に殺害した」と供述しているという。(2010年10月12日)

普通に考えると「無職で収入がない中年男性が、年老いた両親や働いている兄弟に衣食住を与えてもらっているのに、なにか言われて逆ギレ」と流れですが、いずれも時間の問題だっただけで、起こるべくして起きているわけです。

さらには、逆に高齢の親(元エリート銀行員)が、自分の身体が動くあいだに決着をつけておこうと、30年近くずっと引きこもりだった息子(と言っても50才)を金属バットで殺害するというやるせない事件もありました。

長男をバットで殴る 78歳父親を逮捕 秋田
同居する無職の長男(50)の頭を殴り殺害したとして秋田県警秋田中央署は13日、秋田市千秋中島町、T容疑者(78)を殺人容疑で逮捕した。同署によるとT容疑者は妻、長男と3人暮らしで「金属バットで頭を殴った」「以前から長男とトラブルがあった」と供述しているという。T容疑者は12日午後に自宅で、同居する長男の頭を殴り死亡させたとしている。
同署によると午後11時40分ごろ、T容疑者の妻が「夫が息子を殴ったようだ。帰宅したら息子は冷たくなっている」と119番。署員らが駆け付けたところ、長男が階段付近でうつぶせに倒れ、頭から血を流して死亡していた。T容疑者は1階廊下に横たわり、近くに金属バットが置かれていた。近所の人によると、長男は大学を卒業したころからほとんど家に引きこもり、自宅から時々激しく言い争う声が聞こえたという。(2010年11月13日)

CARPE・FIDEM(カルぺ・フィデム)」という不登校や引きこもりになった人を、再び学校や社会へ送り出すための教育をおこなっている会社があります。

そこのサイトの中に「不登校・引きこもり相談問答集7」というのがあり、読むと引きこもりに対するQ&Aにユニークというか、ストレートに本音の回答で応えていて興味深いので紹介しておきます。引きこもり問題のQ&Aは家庭内の微妙な問題でもあり、一般的にはオブラートで包み、よくわからない歯切れの悪いものが多いのですが、こちらはいたってクールです。

CARPE・FIDEM
不登校・引きこもり相談問答集7
不登校になったときに知っておくこと

上記のサイトの問答集には数多くのQ&Aが掲載されていますので、全部を読みたい方はぜひそちらをご覧ください。

その中でも、私が重要だと思うこと、あるいは、気になったり、思わずうなったりしたものをいくつかピックアップして引用させていただきます。
※一部に内容は変えず文字の修正(全角を半角にとか)を加えたものがあります。
※もし引用部分が多く著作権上問題があればすぐに削除等対応させていただきます。


Q1:子供の引きこもりに、親の責任ってありますか?

A1:きっかけ自体には特にないことが多いです。しかし長期化は親の責任であることが多いです。
 
Q9:中学生の頃から不登校で、高校も行っていない18歳の子供がいるのですが、今後自立させる上でどうしたら良いでしょうか?

A9:その場合には、まず「まともな仕事は無い」という現実を知っておいて下さい。厳しいようですが、今の時代、無教育層の若者は社会から必要とされていませんし、今後も必要とされないでしょう。勉強し直すか何かで、再度まともな教育のルートに戻らないことには、自立への道はほぼゼロです。
 
Q13:「引きこもりの親殺し」などの殺人事件などがニュースになりますが、うちの子供もそのような危険人物になるのでしょうか?

A13:何もせずに放っておき、完全に詰んでから強引に外に出そうとすればなるでしょう。
 
Q16:「詰む」の基準ってありますか?

A16:大体、何もしないまま30歳を過ぎると、まともな仕事の受け入れ先が消滅するので、9割方詰みます。20代の間にどれだけ行動したかで、大体が決まります。
 
Q19:子供が40歳等の中年になるまで、何もせず引きこもっていた場合どうなるのですか?

A19:どうにもなりません。
 
Q20:どうにもならないとは?

A20:そのままの意味で「社会に出るルートが完全に閉ざされる」ということです。残念ですが、各家庭の優劣が表面化しただけのことです。
 
Q23:引きこもりの親の会で、国が何とかすべきだという意見もありましたが……。

A23:親の会は複数ありますので、どこかは分かりませんが、それは「手遅れになった引きこもり当事者の親の会」でしょう。
 
Q24:「手遅れの親の会」なんてあるのですか?

A24:表面的には標榜しませんが「事実上手遅れ」というものがあります。手遅れになってどうしようもないから国の支援を当てにせざる得ない状況であり、ある意味「手遅れの最前線」です。ただ、現実的有効策はほとんど出ていませんので、そういった歪んだ主張をしなくて済むよう、事前対策を講じておいて下さい。
 
Q25:「手遅れの親の会」には、何か特徴などはあるのですか?

A25:会によって違う部分もあるかと思いますが、各会に関与した人々の話をまとめると、大筋以下のような特徴があります。
 A:親が60歳過ぎ、子供が30歳過ぎが目立つ
 B:家庭の責任や親の責任よりも、国や社会状況に責任転嫁する話が中心になる
 C:変なところで妙に団結しており、政治活動に結びつける傾向がある
 D:支援サイドに福祉関係者が多い
 E:国や地方公共団体からの補助金の話がしばしば出て来る
 などの様子が見える場合には「手遅れの親の会」のことが多いです。
 
Q33:経済的要素が引きこもりを生んでいる気がしますが?

A33:例えば「中卒 35歳 職歴なし」で「親が年金生活に入って金もなく、どうしようもない。これは経済的困窮が原因だ!」のように主張する当事者がいましたが、中には、アルバイトで学費を稼ぎ、大学に進学して専門教育を受けて社会に出ていく人達も普通にいます。若ければ手段はいくらでもあるのですから、若いうちから貧困を理由にするのはおかしな話ですし、手遅れになってから「金がない!」などと主張するのは、単に無思慮に生きてきた報いがやってきただけのことでしょう。
 
Q44:だとすると、30代の引きこもりの子供を持つ親はどうしたら良いのですか?

A44:まず、親が期待するようなまっとうな道は既に消滅している、と見ておくことです。「子供がアルバイトで食いつなげるだけの存在になれれば、それだけで100点満点」というのが現実的でしょう。

※A13やA16にある「詰む」という表現に違和感を覚える人が多いらしく、本文の最後にそれを使った理由等が追記されています。

資本主義も社会主義も関係なく、働かざる者食うべからずは世の法則で、10代の頃から成人後も親のすねをかじり続けていれば、やがて道は狭くなり、親と子双方とも問題を先送りして年を重ねるにつれ、最後には社会へ出る道が完全に閉ざされてしまうことを明確に答えています。

国や自治体からの補助金をもらって福祉事業をやっている人や、現実を直視しない学者先生だと「単に無思慮に生きてきた報い」のようなキレのよい回答はできないでしょう。

では引きこもりが長期化しそうな時に親はどうすればいいか?

上記のサイトにも繰り返し書かれていましたが、本人と話し合い、期限を決めて家から追い出すぐらいのことをする必要があるそうです。

期限がきたら、仕事が決まっていなくても家から追い出すぐらいの強硬手段を使わないと結局はズルズルと先延ばしに終わってしまうそうです。といいながらもその場ではなかなかそれができないのでしょうね。

あとここでは書かれていませんでしたが、引きこもりが長期化する大きな要因として私が考えるのは「外へ出掛けて一緒に遊んだり、スポーツしたり、旅行に出掛けたりする親しい友人がいないこと」がまず第一に起きることではないかと考えています。

親しい友人ができない理由としては外因として「いじめ」や「差別」「生活環境」「親の過保護」などがあり、内因としては「内向的性格(非社交的)」「消極的態度」「非活動的」「面倒ぐさがり」「自分勝手」「わがまま」などがあります。

また「身体的特徴」は外因としての「差別」という場合と、「障害」や「肥満」「不衛生」など内因による場合の双方で考えられます。

もし親しい仲のいい友人がいて、誘われて一緒に買い物や映画、ボーリング、テニス、旅行に出掛ける機会があれば、まず引きこもりなど起こるはずがありません。

そういう機会がなくなれば徐々に引きこもりへの道へ近づきます。まずは外へ引っ張り出してくれる友人がいないのは外因の理由なのか、内因の理由なのかという気づきが親には必要だろうと考えます。

特に両親が忙しく働いていて家族で一緒に出掛けたり旅行する機会もないとさらに拍車がかかるでしょう。

難しいのは家で一人で勉強や読書をするのが好きな子供の場合、それが引きこもりの序章なのか、それとも単なる一時的なものかの判断がつきにくいことでしょう。一見するとおとなしくよく勉強して手のかからないいい子のようにも見えたりします。

引きこもりになる外因を取り除くことは親だけでは難しいでしょうから、学校の教師やカウンセラーの力を借りる必要があります。

内因については親が早く気づいてあげて、マナーや協調性を厳しくしつけたり、可愛い子には旅をさせよで、自立心を身につけさせるしかないでしょう。

ところがどうもこれが最近の親は苦手で、自分のことで忙しい上に「甘やかすこと」=「愛情」と勘違いしています。

内閣府が2010年におこなった初の引きこもり全国実態調査(15~39歳対象)では、引きこもりに該当する人は69.6万人いるとされていますが、報道などでは稀に外出もする準引きこもりの人を含めると全国に300万人ぐらいと言われています。

もし今後なにも手を打たずこれらの人が高齢化していけば、親が相当裕福で多くの遺産を残せない限り、やがて行き詰まり金欲しさに安易に犯罪を起こすか、生活保護を受けるしか生きていく術がなくなってしまいます。

働きたくても仕事が見つからない人や、障害があって働けない人とは違い、心身に異常がなくても自ら進んで外へ出て働こうとはしない引きこもりの人に生活保護費を支給すべきかどうかは今後国民に問われていくことになるでしょう。

それにこうした家庭の問題、個人の問題に国が積極的に関わると「国が強制労働をさせようとしている」とか「弱いものいじめで人権問題だ」とか精神疾患の問題にすり替えたりと非難し糾弾する論者やマスコミが必ず出てきますので、できれば誰も触れたくはない難しい問題であることには違いありません。


 【関連リンク(過去の日記)】
 ニート対策ひとつの考え方
 ニートって言うな!と言われても
 リストラと生活保護と自己破産
 私のリストラ激闘記
 労働紛争解決法
 リストラはまだまだ続いている

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680
3年に1度厚労省が国民年金に関する調査をおこなっています。その2011年度分は新聞等でも書かれていましたので、読んだ方も多いかと思います。

国民年金は、企業や団体、公務員などサラリーマン以外の自営業者や学生、無職(サラリーマンの配偶者の場合は除く)の人達が将来年金をもらうために毎月支払う義務のある保険金です。

私も2002年に一度退職したあと、数ヶ月間無職の状態が続きましたので、その時には妻と二人分の国民年金を支払っていたことがあります。

サラリーマン時代には収入があっての天引きでしたから、痛みはほとんど感じなかったのが、無職の時は、収入がないのに(失業給付はありました)思いがけない大きな出費で泣きました。

この調査の目的は、サラリーマンや公務員が給料から自動的に天引きされて支払っている各種年金とは違い、国民年金は納付者が主体的に納付しなければならず、それがキチンと支払われているか?ということです。

また学生や低収入の無職者、貧困層などについては特例措置が講じられていますが、それら以外に未納者がいると、その原因追求と分析が重要となるわけです。

つまり納付されない理由は?年代別では?収入別では?など多角的に統計を取り、今後の徴収率向上に向けて参考にしようというものです。

自営業者の場合、サラリーマンや公務員と違って一般的に仕事の定年などはなく、生きている間は年金に頼らずとも商売で食っていけると言う人もいて、そういう人ならば国民年金なぞ不要だと思っている人もいるでしょう。

またサラリーマンだった人が脱サラし、商売を始め、本来なら厚生年金から国民年金に切り替えて支払わなければならないところ、商売開始時にはなにかと忙しく、お金もかかるので、知っていてもそこまで手が回らずに滞納してしまうことも起きるでしょう。

さらにサラリーマン時代は、配偶者は自動的に加入していたので、国民年金に切り替わる際、配偶者の分を忘れてしまったということもあるようです。いずれにしても知らなかったでは済まされない不注意には違いありません。

その調査を元に、私の興味のあるところだけをグラフにしてみました。

まず2011年度国民年金の納付状況のグラフです。

20130123_01.JPG

収めるべき対象者1737万人に対し、完納者(黄色)は6,679万人、収納率はたった38.4%です。これは衝撃的な数字ですね。

ちなみにサラリーマンや公務員が収めている年金保険料の収納率は99%だということです。なぜ100%にならないかというと、給料から徴収はしておきながら、国に収めるべき法人や団体が収めていないケースがたまにあるそうです。

それでも99%対38%と二倍以上の開きがあります。日本人って強制徴収されない限り、義務と言ってもそれには従わないいい加減な国民性があるのでしょうかね。

ただし未納者の中には、「申請全額免除者」13.2%、「学生納付特例者」9.9%、「若年者納付猶予者」2.2%が入っていますので、それらを除くと36.3%が「完全、または一部未納者」ということになります。それでも本来収めるべき人の全対象者の1/3以上で、完納者(38.4%)とほぼ互角です。

グラフの中で「1号期間滞納者」(ピンク)とあるのは、会社や役所に勤めていた期間は会社や公務員の年金に加入していて、それを辞めた後は支払っていないという意味になります。

なので20歳になって支払い義務が生じてから過去一度も年金を支払っていないという意味ではありません。

次に年代別の国民年金納付率のグラフです。

20130123_02.JPG

目立つのは50代は完納している人数・割合とも多いことと、30代~50代の「全額申請免除者」の割合が高いことです。全額申請免除者とは簡単に言えば届け出をして国民保険が免除された人達で、例えば障がい者や、無収入または低所得のため生活保護を受けている人達などのことでしょう。

年齢が高くなるにつれて支払う人が多くなるのは、20代30代の頃は年金がもらえるまでにまだ相当期間があり、役所からの催促も無視しがちになりますが、年金がもらえる年齢が近づくにつれ、支払わなければもらえないという実感が高まるからでしょう。

また50代の完納者が特に多いのは、あと○年納めると年金がもらえるという期限が明確になることで、そのチャンスを逃すまいとする心が働くものと考えられます。

今後これらの未納者や一部未納者(50代で134万人、40代で137万人)が高齢化して仕事ができなくなるとどうなるかと言えば、貯蓄や親の遺産など資産をたっぷり持っている人は除き、生活保護を受けて生計を立てていくしか方法がありません。

いま生活保護受給者が200万人を超えて社会問題化していますが、将来的にはこれらの国民年金が受け取れない人が自動的に新たに加わり、10年後には倍増していても不思議ではありません。

次に国民年金を納付しない理由の1999年からの推移です。
20130123_03.JPG

注目するのは「保険料が高く経済的に支払うのが困難」の割合が2011年の調査で急増していることです。一方自民党時代、無茶苦茶な浪費と放漫運営を許していた「社会保険庁(厚労省、年金機構)が信用できない」という割合は2011年の調査ではグッと減りました。

民主党政権になって様々な改革が進み不満が減ったとも言えます。確かにいままで自分がどういう状況にあるのか20年以上知らずにいましたが、社保庁改革(2010年)と年金の調査表や算出表などわかりやすくしてくれたことが影響していると思われます。

これらの不満は自民党政権下では巨額の利権としがらみにより、年金問題と社会保険庁に政治家が手を出せない聖域だったのでしょう。

ただ民主党政権でも、年金制度を悪用してきた元社保庁高官に対する損害賠償や、関連団体に天下りや渡りをしてきた元厚労省や元社保庁の官僚達を訴訟することはせず、その責任については、再び自民党政権に戻ったこともあり、曖昧にされたままで収束してしまうのでしょう。

いずれにしても国民年金の未納者455万人と一部未納者176万人の合計631万人が、今後の日本の社会保障費の増大に輪をかけて膨らませる要因となりかねません。

これでは「年金など真面目に支払うのはバカ」というのが現実となり、それでいて真面目に支払ってきた人の年金は当初の約束(例えば60才から支給など)など完全に反故にされ、税金とは違い年金支払い額の増額など、多くの国民が知らない間にサクサクと決定されてという悲惨な結果が見えてきそうです。

(参考データ)厚労省 平成22年度における国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について(PDF)

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先に書いておくと元ネタはこちらです。
“プチ高所得者”の没落 見栄とプライドが招く「貧乏スパイラル」(SankeiBiz)

まさに80年代後半から90年代前半にかけてのバブル前や、バブルまっただ中に入社して、その後の人生をまぁ順調に歩んできた人達は、いまは40代後半から50代になっています。

そういう私も1980年に社会人となり、1991年の絶頂期まで毎年給料や賞与が予想以上に上がっていくという時代を経験しました。

しかしその頃を会社の役員や重要ポジションとして過ごした人達は、まだ入社数年の若者よりも何倍もの恩恵を受けているはずです。そりゃそうでしょう。

若者の20万円の給料が定期昇給で1割上がって22万円になると2万円の昇給は「もの凄く上がった!」わけですが、同時期に部長クラスは同じ1割上でも60万円が66万円と6万円も上がるわけで、さらにその給料額が賞与の際にも影響しますから、結局何倍もの恩恵があります。

そしてそういう人達の多くは、すでに多額の退職金を手にしてさっさと引退をしています。いわゆる逃げ切った世代ですね。

さて「プチ高所得者」と言われる人達ですが、90年代前半の頃なら特に珍しくはなかった、年収が800万円とか1千万円あった世帯を言います。世帯収入なので夫婦合計の収入と考えていいでしょう。私のところもその中に収まります。

その「プチ高所得者」について書かれていたことが、あまりにも身につまされてしまったので、自分の反省も込め引用して言い訳をしてみます。

年収800万~1500万円の世帯はアッパー・ミドル(上位中所得者層)のポジションにすぎない。世間一般の見方からすれば「裕福な家庭」となるのだろうが、仮に貯蓄があっても100万円、200万円ということがザラ。このアッパー・ミドルには40代、50代のビジネスマンが多く、子供の教育費、住宅ローンの返済などの負担が大きくのしかかっており、台所事情は決して楽ではない。

ふむふむ、まさにその通りで、住宅ローンと教育費などで霧散してしまい、貯蓄はかき集めてもやっとこさ50万円ぐらいという有様です。65歳以上世帯の平均貯蓄が2千万円を超えるとか、振り込め詐欺やリフォーム詐欺、悪徳商法などで高齢者が1千万円2千万円と簡単にだまし取られているというニュースを見ると、それはどこか遠い国の話しかと思ってしまいます。現実はまったくオンザエッジ、綱渡り状態です。

さらにデフレ経済、景気悪化の中、企業はどこも経費圧縮でボーナスカット、給料も定期昇給どころか今は一律○%カットとなり、しかもそのカットされるウェートは高年齢層ほど大きくなります。上記のバブル期とは逆のパターンということですね。

これから景気が回復すればアッパー・ミドルの年収が元に戻るかというと、そうは問屋がおろさない。かつての年功序列型賃金の影響が尾をひき、いまでも彼らの年収は実際の働き以上の水準にある。会社サイドとすれば、これから会社の屋台骨を支えていく20代、30代を厚遇したいと考えるのは自明の理。そのおこぼれを期待することすら難しくなっている状況

社員は高齢化しても企業はいつまでも若くありたいと願うのが経営者ですから自然とそうなりますね。高齢者を積極的に活用しようとする企業も出てきましたが、それがニュースとなるぐらいに現状では珍しいことに違いありません。

2009年、大手百貨店が50歳以上を中心に退職金の割増額を最大2000万円にすることを条件に早期退職者を募ったところ、社員の4分の1もが応募して話題になった。
(中略)
40代、50代で同じような年収を保証してくれる職など、目を皿のようにして探しても、まず見つからないだろう。そうやって無職のまま1年間を無為に過ごしただけで、割増分の退職金の大半を食いつぶしてしまう。

転職するなら40歳までというのは鉄則です。若い人は当たり前に転職し、転職マーケットが成熟している欧米でも、40歳以上の転職はそう簡単ではありません。しかも今の経済環境、雇用状況ですから、かなり深い縁故か特殊な技能、経験がなければ1年以内に転職できると考えるのが大甘でしょう。

ならば「自分で起業でも」と考えて行動するのは悪くはありませんが、こちらも成功する人と失敗する人とでは明らかに前者が稀で、例え事業で大損はしなくても、数年間をジタバタと苦しみ、結果的には大事な数年間を失ってしまっただけということになりかねません。

で、さらに批評は続きます。
そうした没落していくアッパー・ミドルに共通している点が、割り切りのできない“プチ高所得者”であるということだ。「少しお金に余裕ができたから」といっては、湧き上がる欲にまかせて買い物を繰り返す。その結果、教育費や住居費を除いた月の生活費が40万円以上という家庭も多い。そして一度味わった甘い生活を「フツーの生活」と錯覚してしまい、年収がダウンしても生活水準を切り下げる割り切りができなくなる。
(中略)
本来は軽自動車に買い替えてもいいところだが、「ご近所の目もある。オレに相応しい車は最低でもこのクラスだ」といって頑として譲らない。

う~、、、確かにこれって自分自身にも、そして身近なところでも起きています。

数年前に同年代の知人がそれまでは順調にいっていた商売が不況で傾き、お店をたたむことになりました。そこで店をたたむために私に少しお金を貸して欲しいと頼まれ、お世話になった先輩でもあるので、ホンのわずかですけど融通しました。

その後話しをしていると、今までの乗っていたBMWは売ったというから「ふんふんなるほど」と納得していたら、その替わりにボルボを買ったと。「え!ボルボぉ?中古?」って聞くと、「いや新車」って。

「それってなにも変わってないじゃん(怒)!」って、先輩に対して思わずきつく叫んでしまいました。なんで国産小型車を大事に9年間だましだまし乗っていた自分が、BMWから新車のボルボへ買い換える人にお金を貸さなきゃいけないの?と呆れかえりました。

そしてさらに話を聞いていると「近所の手前いまさら国産車なんて格好悪い」なんて言い訳ばかり。しかしこの感覚ってその人だけではなく、たぶん自分や自分たちのバブルを経験した世代に共通して当てはまりそうだなと感じてしまいました。

特に子供の教育に関するものが大きい。プチ高所得者の場合、私立学校へ進学させていることが多く、公立学校とくらべて月謝が高かったり、寄付金や施設費などの出費がかさむことはもちろん、親同士の交際費が意外とばかにならないのだ。
(中略)
家計が苦しくなって相談にきたケースで、額面年収の800万円に対して、住宅ローンの年間返済額が250万円(約31%)ということがあった。「余裕のある家計を実現したいのなら、住宅ローンの年間返済額は年収の20%以内」というのが、家計診断の経験から弾き出した私独自の基準だ。思い切って売却し、安い賃貸に住み替えるのが賢明だ。

まず子供の教育費ですが、私の場合、子供二人を高校から大学まで私立に通わせると、それまでいくらかあった貯金が綺麗にすっからかんになりました。

もちろんその間は貯金は一円もできません。授業料だけで高校で年間70万円(3年間210万円)、大学(文系)では120万円(4年間480万円)はかかります(東京都内)。それ以外に高校では、入学金、寄付金、施設費、教材費、制服代、海外修学旅行費用、部活の遠征・合宿費用、小遣い、携帯電話など、大学でも入学金や寄付金、教材費以外にもノートPCなどが必要です。

甘かったのですが、これほどかかるとは想像していませんでした。三人目の子供はさすがに私立は無理なので、拝んで高校も公立へ通わせることにしました。

次に住宅ローンですが、給料が下がって生活が苦しいからと売って賃貸へ引っ越すというのは相当に思い切った判断が必要です。しかし最終的にそこまでいく人って多い気もします。

もし長男で自宅(土地やマンション)を親から譲り受けて(たぶんローンを組んで大規模リフォームや建て直しをしている)いたとしても、その家を売らない限り贅沢に慣れた生活が維持できません。

しかし家(巣)だけは守りたいというのが、動物の本能でもあるので、専門家やその人にとって影響力がある人から論理的に「このままでは間違いなくあなたは破綻(破産)する」と言われない限り、なかなか簡単には踏み切れないでしょう。

住宅ローンの支払いが滞って任意売却する人が増えていますが、それもズルズルとどうしようもなくなってから決断しているのでしょう。

今のまだ恵まれた高齢者達はいいですが、今後10~20年後には、そうした破綻寸前で貯金もない中高年者が続々と65歳定年を迎えます。

中には年金の支払いが滞り支給されない人、しかし高齢者が働く場はなく、非正規社員で低所得の子供にも頼れず、それでなくとも少子化で子供の数は少なくて、介護などの負担だけが大きくなり、結局は老人は生活保護を受けて生計を立てるしかありません。

今の若い世代からは「そんなの自業自得」「若いとき贅沢しすぎてそのツケを払うだけ」と言う声が聞こえてきそうです。

しかしその若い世代の父親、母親のことです。自分の両親が老いたときのことまで考えている若者は少ないと思いますが「そんなの無理、関係ない」「個人ではなく政治(国)がちゃんとするべき」「親子でも生活は別」と言って割り切れるのでしょうか。


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