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過去の日記でも書き、ちょっと高尚なニュースや新書等では時々出てきますが、日本の長引く不況の原因や国際競争力の低下原因には製造業の海外移転(流出)から始まったという考え方もあります。

もちろんそれだけではないということもわかってはいますが、少なくとも雇用数の減少の影響は少なくないと思われます。雇用機会や雇用数が減ればそれだけ、購買力も納税額も減少します。
 
70年代頃までは「舶来モノ」と言えば高級品の代名詞で、それは安い国産品と比べて、高率関税などの影響もあり、さらにその伝統や先進性に裏付けされた高品質なモノとして「高価な外国製品」という図式がありましたが、70年代後半から80年代は世界中に「Made in Japan」が、その質と安さで世界中を席巻したと言ってもいいでしょう。ちょうどその頃が日本の製造業の絶頂の時期でもありました。
 
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「経済状況」、「政府の効率性」、「ビジネスの効率性」、「社会基盤」の4分野からランキングされる「2010年世界競争力年鑑」で、日本の総合順位は58の国や地域の中で27位だった。昨年から中国、韓国、台湾などに抜かれた。評価の基準は一部異なるが、日本は調査を始めた1989年から93年まで首位だった。2010年の競争順位上位は1位シンガポール、2位香港、3位アメリカ、4位スイス、5位オーストラリア
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80年代半ばから内需拡大を中心としたバブル経済を迎え、景気と共に人件費もうなぎ登りに高騰し、円高の影響もあって、国際比較すると日本人労働者の賃金は世界でもトップクラスとなりました。

ただこの人件費高騰については、為替や生活地域など様々な要因があり、いいとも悪いとも決めつけはできません。
 
問題はバブル景気により人件費が高騰し、さらに楽してお金が稼げる金融やサービス業に若者の気持ちが向かい、第一次、第二次産業、特に製造業が労働力不足に陥ってしまったことにあります。

その頃には、第一次、第二次産業を若者が忌避する理由を揶揄する3K(きつい、きたない、危険)という言葉が流行ったのがその象徴的なことです。
 
政治の話しをすれば、60~70年代には国内産業を育成し守るために、政治家や官僚は先進国のアメリカなどと闘いながらも関税というガードをかけ続けてきました。

しかし80年代になると強くなった日本経済に非難が集まり、貿易不均衡の是正、関税の撤廃などを求められ圧力がかかりました。

それでもまだ購買意欲の高い内需で国内の製造業が持ちこたえられる間はよかったのですが、その限界を超えてしまったのが、90年代初頭のバブル崩壊後です。
 
そして、そのような労働力不足と賃金高騰、急激な内需の減衰に陥った製造業が、生き残りをかけて向かったのが、ひとつは海外からの安い労働者の受け入れ、二つ目は製造拠点の海外移転です。
 
それと同時に日米欧からの技術移転が進んだアジア各国や、独自の成長を遂げてきた東ヨーロッパ諸国などから、大量の安い輸入製品が日本中を席巻していくことになってきます。

それらの国の労働賃金は安く、日本向けの製品には国産メーカーが「日本基準」を持ち込み、安い上に優れた品質で提供ができるようになりました。

それまでは「Made in Japan」が最高だと思っていた人でも、違和感なくすんなりと受け入れられるようになりました。
 
そして90年頃からこの20年の間にそれが拡大浸透し、街のスーパーや家電量販店へ行くと「Made in Japan」の製品がすっかり少なくなってしまう結果となりました。
 
例えば、2000年代後半になって液晶テレビが普及するまで主流だったブラウン管テレビは、国産メーカーのブランドが付いていても、1990年以降は国内での製造はほとんどなく、その他の家電製品の多くも海外生産に移りました。

一般家電製品のような機能や性能に大きな技術の差がないものは、結局は製造コスト(≒人件費)が安いところへ移転するということです。
 
日本人の感性からすると、ソニーやパナソニックなどの国内メーカーのブランドがついていれば、それがどこで製造されているかというのはあまり気にしないでしょう。

同様にホンダやヤマハであれば原付バイクがどこで製造されているかは問題にせず、スタイルや性能、それと価格で選ぶことが多いのではないでしょうか。日本のメーカーの原付バイクもそのほとんどが海外生産になっています。
 
もちろん家電製品やバイクだけでなく、食品や衣料品など日用品についても、失われた10年とも20年とも言われるバブル後の不況下において、安くなければ売れなくなり、もはや国産品は高級品という位置づけになってしまい、それらを製造していた人(その周辺のビジネスも含む)の多くは仕事を失っていくことになりました。
 
多くの労働者を雇用していた製造業がなくなれば、当然雇用がなくなってしまいます。一時期にはその減った雇用は、IT情報系の新しい分野や、増えていくサービス業で吸収できると理想をいう人も過去にはいましたが、IT分野やその後登場したインターネットを活用する分野(EC、モバイル、クラウド、通信など)でも日本は世界に遅れをとってしまい、とても十分な雇用を吸収するには至っていません。
 
そこで、小さな草の根の提案ですが、日本人がいま唯一できること、つまり少々高いことを承知の上で「Made in Japan」をできるだけ選んで買うことです。

海外生産品が安くてもあまり売れないとわかれば、メーカーは海外製を再び国産に切り替え、さらに海外生産品と遜色のない安価で作れるよう努力と工夫をするはずです。そこにあらためて新しい雇用とビジネスが生まれます。
 
海外の製造業の人件費が日本人の1/10だとしたら(2008年時点で中国と日本の製造業の賃金格差は約10倍)、日本の工場ではITとロボット技術、優れたインフラ、高度な教育制度、そして数的余裕があり年金と組み合わせると比較的低賃金が可能な高齢者の労働力などを駆使することで、日本人1名で外国の10名の労働力に匹敵する新しい製造業の仕組みを創り出します。

戦前の劣った生産設備とモノがない時代に、世界最高峰の戦闘機や軍艦を造り出したように、技術者というのは追い詰められて初めて最高の知恵とアイデアを出すのです。
 
家電製品や日用品以外にも、野菜だって、加工食品だって、少々高くはつきますが、必ず産地、製造国名を見て、国産を優先して買うという国民全体の総意がいま必要なのです。
 
国が政策的にそのような指導や規制をおこなったり、高い関税をかけることはできません。もしそんなことをやれば逆に日本製品が海外ではまったく売れなくなってしまいます。

しかし国民が自主的に自分の判断で、高い国内産を選ぶことは、誰に文句を言われる筋合いのものではありません。だから国民の自主的な草の根運動なのです。
 
すべてのメーカーに、その製品が国内産であれば、大きく目立つように「国産品」の表示をつけてもらいましょう。シャープの「亀山モデル」などはそうなっています。

それによって少しでも魅力が増すというならメーカも喜んで協力してくれるでしょう。

せめて日本で消費される分だけでいいので、製造業や農林水産業を日本に取り戻すために、見識ある国民として協力したいものです。
 
ただそうなると過去にもあったように、北朝鮮から輸入したアサリを瀬戸内海に数日つけておいて「国産だ!」とか、豪州の生きた牛を輸入して、数日日本で飼育したから「国産牛だ!」といったインチキは、なんとしても排除しなくてはいけません。
 
考えてみればメーカーも好きで海外へ工場移転をしているわけではありません。他社よりも安く作らなければ売れないから、また国際競争力を維持できないから、さらに輸入制限の圧力があるからなどで、仕方なく海外で生産をおこなうケースがほとんどです。

折しも中国にあるホンダの自動車工場で大規模なストや騒動が起き、日中労働者の賃金格差が問題になっていますが、このような安い賃金を求めての工場移転は、その国の賃金格差の問題や、政治的な日本に対する国民感情問題など複雑に絡み合い、今後も問題が頻発することでしょう。
 
日本国内で製造業や農業が再びひかり輝くために、良識ある日本国民のサイレントマジョリティで「Buy Japanese Products運動」がジワリと浸透し、拡大していくことができればいいのですが。
 
とは言え、以前連載した「液晶テレビが壊れた件」では、結局私の家では海外製のテレビに交換されることになりました。故障による交換とはいえ「言ってることとやってることが違うじゃん」と自分でも思いますが、他にも食べ盛りの子供が3人もいる家(我が家のことです)で、焼き肉やすき焼きをするときに、国産和牛だけを調達しようとすれば破産しかねません。

なので現実的にはなかなか難しい問題なのです。



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今回総理大臣が辞任することになった原因のひとつに沖縄の在日米軍基地の移転問題がありました。
 
民主党に替わり天下り官僚の巣となっていた公益法人などの事業仕分けがオープン化されたりして、いくつも官僚による官僚のための政治から、国民寄りに変わってきましたが、米軍基地の問題は日本が無条件降伏をして以来、アメリカの属国扱いで自由に基地の使用を認めてきたことに、今回初めて総理大臣自ら疑問を呈したことに大きな意味があると思っています。
 
もし自民党政権が盤石であと50年間継続されたとしたならば、この在日米軍基地の問題は封印されたままで、決してなにも変わらなかったでしょう。

そう思えば、もしかすると、今回の鳩山元総理辞任はこの米軍基地移転・縮小・撤退と心中したということになるのかも知れません。
 
鳩山元総理の辞任発言の中に「国民が聞く耳をもたなくなった」という発言があり、馬鹿な評論家やコメンテーターは「まるで責任は国民にあると言っている」と非難をしていますが、まさにその通りでせっかくのチャンスをつぶしてしまった無知な国民に向けた無念さを述べたに過ぎない本音の発言だったと思われます。
 
現在、在日米軍基地は全国29の都道府県にまたがり、専用施設が57、自衛隊などとの共同利用施設が28、一時利用施設が119あります。

そのうち専用施設で25(44%)、共同施設で8(29%)が沖縄にあります。在日米軍司令部は東京都の横田基地にあり、その軍人と軍属の数は地上・洋上要員含めて約5万名です。

ちなみに南北間で緊迫が拡がる韓国にはその約半数の2万5千名が駐留しているそうです。
 
日本に世界最大級の在外基地を持つことになったアメリカとしては、戦略上の地政学的な理由の他にも、言えば大金をホイホイと出してくれる自民党政権と日本の官僚達というのが大きな要因だった思われますし、荒くれ兵士が凶悪犯罪を犯しても責任を取らずに許してもらえる不平等協定があるからに他なりません。
 
橋下大阪府知事が「大阪は米軍基地の負担をしていないので、その覚悟はある」と言っていましたが、在日米軍基地または一時利用施設がないのは、秋田県、富山県、長野県、福井県、三重県、愛知県、和歌山県、大阪府、岡山県、香川県、高知県、愛媛県、徳島県、島根県、鳥取県、鹿児島などです。
 
そりゃ誰だって傍若無人に立てる騒音や地位協定で守られている人殺しのプロである外国人兵士を身近に置いておくのは嫌でしょう。

でもその日米合意をせざるを得なかったのは無条件降伏をした敗戦国故のことであり、また今は戦後ではなく独立した主権国家だというのであれば、その後の日米合意を継続したのは前政権の自民党やその周辺にいた官僚達であり、今の民主党や総理大臣にその責任を問うのはそれは無茶な話しです。
 
今回、訓練の一部県外移転の「腹案」とされていた徳之島は鹿児島県なのですが、鹿児島県は現状では一時的な利用も含めて全く米軍基地を受け入れてはなく、他の都道府県の苦しみはどうでもよく、自分たちの利益だけを考えて安全保障の傘の中に入って、ぬくぬくと平和を享受できているわけですが、それでも知事や県民を上げての猛反対となるわけです。
 
鳩山元総理が「最低でも県外だ」と言いながら、最終的には元の場所に戻ってしまったことを非難する人が多いのですが、鳩山元総理ほど米軍基地を沖縄から日本から減らしたいと思って、努力した歴代の総理大臣がいままで他にいたでしょうか?
 
鳩山元総理を非難する人(沖縄や鹿児島の知事や、マスコミ、政治評論家、バカなコメンテーターなど)は、口では偉そうなことを言っていても、結局は「現状のまま」なにも変えないことを求めているとしか思えないのです。

攻撃をすべき相手は鳩山元総理ではなく、居座り続ける在日米軍だということをもっと理解すべきでしたが、愚かな日本のマスコミと国民は、アメリカの官僚と日本の官僚にまんまと騙されてしまい、県外移転から国外移転、さらに縮小と持っていきたかったはずの首相を追い詰め、結果的に現状維持を支持してしまうことになりました。
 
もし国民世論やマスコミが、国外や県外移転を鳩山元総理と一緒になって米国に訴えかけていれば、また少しは変わった結果になっていたと思われます。

そのチャンスをつぶしてしまい、さらに今後この基地問題は政治家にとって「触れてはならない、触れるとつぶされてしまうタブー」となっていく可能性があります。
 
鳩山元総理が辞任の挨拶の中で「日本の安全保障について今後50年100年このままでいいわけがない」と言っていたように、戦後60余年が過ぎて、ようやく政権交代を果たして、在日米軍の基地問題に戦後初めてNoを突きつけた首相をこてんぱんにやっつけるマスコミや旧主派、それに踊らせられた人達をみて本当に悲しくなりました。
 
年間1881億円(2010年)にも達する「思いやり予算」というまったく理不尽で無茶苦茶な在日米軍に対する支出や、「日米地位協定」という実際には日本はアメリカの属国たれと言わんばかりの不平等協定など、前政権と官僚がその圧倒的な権力と欺瞞で作り上げてきたことを、今後ずっと日本国民は黙って負担し、それに甘んじていかなければならないことをいまあらためて理解しておくべきです。
 
バラク・オバマ大統領に「Trust me」と言ったときからおかしくなりましたが、私の私案では、鳩山さんは国民世論の空気を素早く読んで、アメリカに対し「前政権で基地移転の日米合意はしたが、その政権が倒れ、現状では普天間基地の国内移転は国民世論が許さないので、3年を目処に普天間の基地から撤退を願いたい。その撤退費用の半分は日本国が持ってもいい」ぐらいの思い切った発言をするべきでした。
 
さらにその前に揺るぎない決意を示すために、全国民に対して「普天間基地は移転ではなく撤退してもらうよう米国に告げようと思うが、なにか問題はありますか?」と国民に問うてもよかったでしょう。

撤退について反対する人は日本には限りなく少ないはずです。寝耳に水、今まで延々とアメリカベッタリでやってきた官僚達は大慌てするでしょうが。

ついでながら目障りな海兵隊が目の前からいなくなることで、中国や北朝鮮からも絶賛されることでしょう。
 
当然アメリカの反発は相当大きなものとなるでしょうが、遠くアジアに危険な任務のため子供を出しているアメリカ軍兵士の家族の話しや、基地のすぐそばで危険な目に遭っている沖縄の子供達、それに世界でも有数の綺麗な海を埋め立てて滑走路を造ることが本当に正義なのかを、報道や意見広告で何度もみせつけられるアメリカ市民がこの日本の提案を受け入れてくれるかも知れません。
 
アメリカのメディアに対しても鳩山さん得意の英語で、日本の基地の現状と基地反対の世論をアメリカ世論に訴えかけて、無用な反発、特に日米官僚の裏工作や嫌がらせを少しでも抑える努力が必要です。アメリカの世論を多少なり味方につけてしまえば、大統領や国務大臣、果てはアメリカの官僚も怖くありません。
 
政治的にそのように通告さえすれば、あとは、サボタージュを決め込んでいる日本の官僚達に対して「あとは事務方のほうでよろしく」と言って丸投げしておけば、鳩山さんの政治的な義務は果たしたことになります。

万が一官僚が動かなかったり、無能のせいで交渉が難航すれば、それは今の政権の責任ではありません。

それぐらい新政権の抵抗勢力になり続けた官僚達に対して、恩返しをさせてもバチはあたりませんし、逆に国民の喝采を受けたことでしょう。
 
問題は恥をかかされたアメリカのしっぺ返しです。例えば先日起きたトヨタのリコール問題などはまだ可愛いもので、もっと過激な日本製品輸入禁止や排斥活動が起きる可能性は大です。

経済的なもの以外にも米軍に代わり自衛隊の国連治安維持軍への大規模な派遣強要、イージス艦や誘導ミサイル、軍事衛星などの軍事技術提供の拒否、G8サミットで日本を外して中国を入れようとする動きなど起きるかも知れません。

世界一のワガママな国を相手に譲歩を求めるためには、相当な代償を払わなければならないのは仕方がありません。

今の国民世論やマスコミの論調を見る限り、どこも基地は受け入れないので、国民の意を受けた政府はそうするしかありません。
 
経済は一流なのに政治は三流と言われた時代もありましたが、経済が二流に落ちてきた今こそ、政治家がそのようなハードなネゴシエーションをおこない、初めて「日本の政治家もやるじゃないか」と世界に認められるのではないでしょうか?

もちろん、この結果によって日本が三流四流国家へと落ち込むことになったとしても、それが大多数の国民の選択であるならば仕方がありません。



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388
戦後日本経済の復興はアメリカ頼りで、多くの貿易不均衡に支えられ発展してきました。そして現在の日本の不況を脱するためには、もはやアメリカではなく中国に頼るしかないというのが現状の経済界のようです。
 
13億人の人口を擁する中国は、おそらく21世紀中盤までには世界一の経済大国になることは間違いなさそうで、すでに今年度はGDPで日本を抜き2位になることがほぼ確実となっています。

しかし国民ひとり当たりのGDPや、GDPではなくGNPで比較をすると、まだまだこれからと言わざるを得ないのも確かです。
 
現在はまだ世界の工場と言われて欧米や日本の下請けに甘んじている中国も、高度成長期の日本がそうであったように、やがては自力で開発、製造していくことになります。

しかもそれは日本のようにアメリカを中心とする世界に向けて販売をするためではなく、自国内だけでも相当数の需要が見込まれます。

なんたって全世界の約20%にあたるのが中国の人口数で、華僑など世界に散らばる中国系の人を入れるとそりゃぁまぁすごい数です。
 
つまり中国には、まだいくらでも豊富な労働力と購買意欲、需要があり、さらに広大な国土において道路や鉄道、空港や港湾、通信、電気、ガス、水道などインフラを整えていくという巨大な内需があります

その点、わずか十年ほどで内需のバブルがはじけてしまった日本との決定的な差であり、中国は今後数十年間に渡り、国家と国民の成長シナリオが描きやすい状況にあるわけです。
 
さて、そうした中国ですが、軍事技術、宇宙開発、民生技術を問わず、もはや日本やアメリカに対して大幅に劣っている部分は少なくなっています。

「いやまだまだ追いついていない!」と言う人はそう思いたいだけで、いずれにしてもホンの数年のうちには思い知らされることになるでしょう。
 
と言うのも1979年から始まった一人っ子政策のため国や両親が子供にかける教育費が半端なく潤沢で、その優秀な子供達が政治や経済、科学などの分野で本格的に活躍する頃(現在はまだ30歳以下なのであと10~20年後でしょうか)には、世界でもっとも優秀な頭脳はほとんど中国に集まっていると言われているかもしれません。

また統計学的に言えば天才イチローは日本人に1人しかいませんが、中国ではイチロークラスの天才は潜在的に10人ぐらいいるはずです。
 
そこで、例えば戦後から高度成長期にかけて日本が国内産業を育成し、守るためにおこなってきた輸入制限や高率関税化を中国が日本に対して強行すれば、日本経済は相当なダメージを受けることになります。

中国にとっては別にトヨタやホンダのクルマや、ソニー、パナソニックのテレビが輸入できなくなっても全然困りません。つまり政治問題を含めた貿易戦争が日中間で起きてしまうと困り果てるのは日本だけです。
 
現在日本と中国は対等の関係を保っていますが、数年のうちには、中国にとって日本は無用の国となり、敗戦以降アメリカが占領軍代表として日本の政治・経済を牛耳ってきたように、中国が日本経済の生殺与奪を握ることで、アメリカに取って代わり日本の首根っこをつかみ、中国の言うことを聞かなければ輸出入を停止するぞと恫喝される可能性だってあります。

そのようなことになった場合、冷戦時に日本が反共の防波堤としての役割があった頃とは違い、アメリカが間に入って関係を取り持ってくれたり、日本を友好国として支援してくれるかと言えば、それはもう期待できないでしょう。
 
今から40年前には「アメリカの第52番目の州」とまで言われた日本は、今から40年後には「中国の24番目の省」と言われているかも知れません。
 
何度も書きますが、もはや中国にとって日本の技術や市場は不要で、せいぜい日本に駐留するアメリカ軍に対して、横目で警戒するぐらいしか、日本の意義を認めなくなるでしょう。

そして日本企業が持ち前のバイタリティで中国市場に割り込んでくることを危惧し、ソニーや資生堂などの例を挙げるまでもなく「日本製品叩き」や「日本製不買運動」を起こし、中国人の愛国心を高め、反政府感情を抑え込み、国民の意識をコントロールをするため「反日運動」を増幅していくことが予想されます。

「反日」「抗日」は多くの中国人民にとって最大のガス抜きとなることを政府はよく知っています。
 
そうなると輸出で稼ぐ日本企業が生きる道は、中国企業の傘下に入る(表向きは対等な提携や合併でも実質は中国側に吸収)しか残されていません。

しかもそれが会社の持ち主である株主にとって、中国市場の獲得という企業価値を高める一番の方法であることから、今後積極的にそういう判断をする経営者が増えていくでしょう。
 
中国に負い目や弱点があるとすると、チベット自治区や新疆ウイグル自治区に代表される多種多様な民族統治問題と、いまや少数派の漢民族が一党独裁で支配する政治と宗教に絡む問題でしょう。

政治腐敗もよく言われますが、これは別に中国共産党だから起きるわけではなく、「淀む水は腐る」とどこの国でも起きる問題です。
 
また何年も前から崩壊が近いと言われながら持ちこたえている北朝鮮は、中国が莫大な経済支援をいつまで続けるかによってその生死が左右されています。

もしなんらかの都合で支援を止めたときに、影響は小さくても手負いの国家に噛みつかれる可能性がありますので、中国が経済的に良好であり続ける限りは友好な関係が継続していくものと思われます。

台湾問題については、もはや軍事力での解決は絶対に無理で、経済的な交流は今後進むものの、当面は政治的にはなにも変化しないでしょう。
 
結論としては、日本としては隣国でかつ大国とはいえ、全面的な中国シフトはリスクが高過ぎます。

ではどうすればいいかと言えば、国家が主導して中国と同規模にインド(12億人)、インドネシア(2億3千万人)、バングラデシュ(1億5000万人)、フィリピン(9200万人)、ベトナム(8400万人)、タイ(6700万人)などを中心に他のアジア各国と関係を強化していくのです。

つまり簡単に言えばリスクの分散とアジア経済圏としてのリーダーシップをいち早くとるのです。
 
現状ではすぐ隣の中国に美味しい餌があるのに、わざわざ遠いインドや政治的にやや不安定なところがあるインドネシアやタイに進出することを民間企業なら躊躇うでしょう。

でもベトナムの新幹線建設計画のように国がもっと率先して中国以外のアジア各国への民間企業の進出の手助けをしていけば、よりスムーズに進むことになります。
 
同時に、少子化で定員割れなどで余った日本の高等教育機関と設備を使い、インドやインドネシア、ベトナム、フィリピンから国費留学やODAを使って奨学金による留学生を大量に受け入れ、卒業後は日本企業へ就職するか、または帰国すればそれぞれの国ではエリートや専門家となるわけで、日本や日本企業との関係が深まることは間違いありません。
 
当面は日本企業は中国相手で大きく儲けられるかも知れませんが、その先を見れば、まもなく自力だけでやっていけ、しかも何事も一筋縄ではいかない中国相手ではなく、その先を見据えた戦略をよく考えてもらいたいものです。



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383
twitterなどでいま「光の道」に関する議論が賑やかにされています。

昨晩には「光の道」推進派で総務省の検討会で独自のアイデアを披露したソフトバンクの孫正義社長(51歳)と、財政が厳しい中もっと他にやることがあるから「光の道」には反対と論じるジャーナリストの佐々木俊尚氏(49歳)が、twitter上での話し合いから今度実際に会って公開の場で対談しましょうということになり、それがUstreamで動画生中継されるという前代未聞の面白い展開をみせています。
 
20代でゲームソフトの卸業からスタートし、現在では携帯電話会社、プロ野球球団、Yahoo!Japanなど数百社の会社を経営する孫社長については知らない人はいないと思いますが、佐々木俊尚氏について簡単に説明すると、毎日新聞社、アスキーを経て現在はフリージャーナリストで、「2011年新聞・テレビ消滅」が大ベストセラーとなり、一躍有名人の仲間入り。最近も「仕事するのにオフィスはいらない」や「電子書籍の衝撃」などが大ヒット中で、いまもっとも旬な論陣の一人です。
 
USTアーカイブ
(動画)
(テキスト)
(時間のない人やブロードバンドが入っていない人はこちらならサクサク読めます)

全部で5時間ありますが、低俗なテレビやDVDを観るぐらいならお金を払ってでも見る価値があります。もちろんタダです。
 
論点は、孫社長は20世紀の道路、電気、ガス、水道などに対して、21世紀は光高速通信こそが早急に取り組むべきインフラで、特に100年間使い続けているメタル回線をすべて光ファイバーに置き換え、しかも全家庭にまで無料で届けようという話しに対して、佐々木氏は「2011年新聞・テレビ消滅」で言い続けているコンテナの部分、つまりコンベア(流通やインフラ)とコンテンツ(動画や情報そのもの)の間に入る例えばAmazonの仕組みやGoogleのような「知的で人が使いこなせる仕組み」こそ今すぐに必要と主張します。
 
例えば孫社長が言う光通信網で使える電子カルテについても、佐々木氏は光が全世帯に導入されたからといって普及するのではなく、そもそも電子カルテが病院によってバラバラの規格であったり、医師や医師会の強い抵抗感をまずは払拭できる強力な仕組みを作ることこそ一番最初にやるべきことだと言っています。
 
また孫社長が全世帯に無料でしかも国費投入ゼロで光ファイバー線を引くことができるというシナリオに対して、佐々木氏はその計算根拠は公開されたばかりでまだ信憑性がなく、次のステップとして第三者がちゃんと検証してからでないと、その通りなのかどうかの議論はできない。さらに既得権益者や旧主派達の抵抗勢力、税金で潤っている大手ITベンダーなどが多い中で、それらアイデアだけをぶちあげても一歩も前進しないと述べています。
 
両者の言い分は、聞いていてそれぞれに納得もできるし、またちょっと違和感を感じる部分もありますが、こういった国の将来に関わるビジョンが、政治家や学者や官僚ではなく、企業家とジャーナリストのたった2名で論じられ、それを14万名以上がネットで生中継を観る(中継動画や書き起こし文章はいつでも読めるようになっているので、最終的には数十万名が目にすることになるでしょう)ということが、驚きと同時に今まさに時代が動いているのかと感じました。
 
話しの節々に、国民の声を聞いてとか、有識者が集まってとか、の話しが双方から出ていましたが、こういったパラダイムシフトをおこなう時というのは、例え誰も損はないとしても「賛成半分、反対半分」になることは世の常なので、孫社長が繰り返し言っているように「政治家が腹をくくって法案を作る」しか進まないだろうなと思います。

ただその政治家も様々な業界団体や組合などの圧力団体を敵に回すことはできず、結局はその法案は骨抜きにされてしまう可能性があり、まだまだ先の長い話しになりそうです。
 
孫社長にしてみれば企業経営者として即断即決を絵に描いたような人ですから、このような政治に関係する問題が、自分なら1日で決められるようなことでも、1年、2年とかかってしまうことに、おそらく途中で嫌気がさしてしまうような気もします。

坂本龍馬のように、しぶとく粘りながら説得と根回しとハッタリとをうまく使って根負けさえしなければ、当初の考え通りとはいかないまでも、その折衷案ぐらいまでは進むのかも知れません。
 
あと、テレビ中継だと、やれコマーシャルだの、やれ放送時間の関係でとか、尻切れトンボになったり、生放送でなければ、放送局に都合よく編集されたものだけが放送されることになりますが、こうしたUstreamLIVE中継だとそういったことはありません。ただいつ終わるかわからないまま、5時間も見続けるには相当な体力と集中力がいります。
 
私は5時間のうち2時間ほどLIVEで見ましたが、あとは書き起こしの文章を読みました。文章だけでいいと思うかも知れませんが、中継では両者が用意したプレゼン資料を見ながら説明されますので、その理解度は、はるかに上です。

また今回対談終了後の質問時間?に孫社長が感極まって涙を流す場面があったそうですが、そういうことも文章だけではわからないことですね。
 
今回は孫vs佐々木の対談がメインですので司会者等も入れず、時間制限なく徹底的に持論を本音でぶつけ合うという面白い内容でもありました。
 
こうして、従来のマスメディアが一切関与しない(会場へ取材は来ていたようですが)、情報伝達をみるとNTTデータなど大手ITベンダーや官僚、学者などの旧主派への非難が相次いだ対談の内容もそうですが、「国民が知るべき情報は我々が選んで伝える」と無茶苦茶な使命感を持っている最大の旧主派であるマスメディアの役目も終わりかけているのだなと強く思った次第です。
 



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以前からテレビ・新聞などマスメディアの偏向報道や意図的な情報操作について書いてきましたが、最近また大きなスキャンダルが出てきました。

しかしなぜか一部マスコミ以外ではほとんど取り上げることなく収束してしまった感があります。
 
そのスキャンダルとは、一部のマスコミ(テレビ、新聞)で取り上げられたものですが、2003年に政治家を引退した野中広務氏が、小渕総理の時代に官房長官だった際、官房機密費を使って毎月5千万から7千万円を与野党議員や政治評論家に配っていたことを自ら告白したというニュースです。

その告白した理由を「私ももう年。いつあの世に行くか分からんから。やっぱり国民の税金だから、改めて議論して欲しいと思った」とのことです。
 
中には、政治家から評論家になった人(そう、あの月曜日夜の番組によく出てくるバンカラな人らしい)で「家を新築したから3千万円、祝いをくれ」と無心してくる人や、「北朝鮮に行くから」と言って要求してくる野党議員もいたそうです。

そしてそれらのお金を受け取らなかったのは田原総一朗氏ただひとりだったというからすごい話しですね。
 
野中広務氏は表面上は策士で強面で旧主派的に見られがちですが、京都府船井郡園部町長や京都府副知事時代から社会福祉活動に熱心で、ハト派(もちろん鳩山派という意味ではなく、戦争反対で、改憲反対の穏健派という意味ですが)と言われており、国会議員としての人気や資質はともかく、地元では絶大な人気とカリスマを持っている人です。
 
これらは野中氏が官房長官だった時代だけではなく、前任者から官房機密費を配るリストの引継ぎを受けたそうで、自民党時代には脈々と続いてきた悪弊のようです。

また選挙に大敗して麻生政権から鳩山政権に変わる直前に官房機密費が2億5千万円引き出されていたそうですが、そのお金はおそらく今まで継続して配っていたところへの手切れ金のようなものだったのでしょう。
 
さすがに民社党に変わってから、このような官房機密費の使われ方がそのまま続けられているとは思いたくないですが、相変わらず非公表の官房機密費は毎月5~6千万円程度が支出されているそうで、似たようなことになっている可能性はあります。
 
機密費というからにはオープンにできない支出は当然あるでしょうが、重要度に応じて10年~50年後には公金の使い道をすべてオープンにするとか公開基準を設けておけば、官僚が白々しく言う「保管期間が過ぎたので、すべて廃棄した」などとふざけた事を言うのを防げます。
 
このように政治評論家や与野党議員は、国民の血税を領収書なしに無税で受け取っており、これを国民に対する裏切りと言わないでなんなのでしょうか。

少なくとも何十年後にでも公開するという決まりがあれば、おいそれとそういう公金に手を出す人はなくなると思うのですが。
 
また本来ならば税務当局もそのような事実が発覚すれば、もらった評論家や政治家に対して、追徴課税をしなくてはいけないはずです。

生活困窮者や天下りを受け入れない中小企業から搾り取るのは熱心なくせに、これに関してはそういう動きが全然ないのもまた不可思議なことです。「強い者には巻かれろ」が税務当局のポリシィなのでしょうか。
 
そしてもっと不可解なのは、野中氏が暴露したTBSの報道番組と、その後の講演会以降、マスコミで大きく取り上げられることもなく、また受け取った人の実名が公表されたり、自ら受け取ったことを釈明する人もなく、一気に沈静化してしまいました。
 
その理由として考えられるのは、政治家とマスコミ関係者の双方にかなりの大物(元首相経験者には盆と暮れにはそれぞれ数百万円が毎年渡っていたという話しがあります)が関わっていて、これ以上マスコミが追求することが許されなくなっているとしか思えません。
 
マスコミというのは常に「長いものに巻かれろ」が信条で、しかも最近ポッと出のにわか評論家やジャーナリスト達は「弱い者の味方のフリをして政治家や企業に責任をなすりつければ受けがいい」と言うことをよく知っているので、毅然とした信念も信条もなく何かにつけ難癖をつけるのが流行ります。
 
普天間の基地移転問題にしろ、高速道路料金問題にしろ、まともな代替え案や資金調達方法を提案できる評論家やマスコミはなく、無責任発言と批判ばかりで、まったく見るに堪えません。
 
一見すると立派なことを言う政治評論家でも当たり前のように公費を受け取っているということは、その他の影響力のある評論家やジャーナリストの多くも、官房機密費ではなくても、例えばスポンサーや関係機関からなにがしの便宜を図ってもらい、中には謝礼を受け取っているのは間違いないでしょう。
 
そのような素人評論家やエセジャーナリストが先生と崇め奉られ跋扈し、その人気に頼るマスコミの報道が、まともなわけがありません。

真実は様々な情報を自分で組み立てて、信頼がおけるものとおけないものを判断し、自分の頭で考えるということが必須になっています。
 
私自身もそうなのですが、日本人は昔から偉い人や学者先生が言うことはなんでも無条件に信じ込んでしまう傾向があり、偉い人=政治家であったり、官僚であったり、学者、マスコミ(新聞社やテレビ局)であったりしますが、もうそういう考えは捨て置かねばなりません。
 
視聴者の負担で運営されているNHKの場合は、スポンサー収入に依存する民放各社と違い、まだ露骨にスポンサーの気を遣う情報操作は少ないと思われますが、政府や国会議員に対しては予算の承認を得なくてはいけないため、現政権に楯突く放送ができないというジレンマと限界があります。
 
少しでも自分の頭で判断をするためには、特定の情報だけに頼ることなく、テレビ、新聞、ネット、雑誌、書籍等からできるだけまんべんなく得ていくという必要がありそうです。

少なくとも大手マスコミがよく言う「ネットの情報は信頼が置けない」というのはその言葉自体に信用置けないと思わなくてはいけません。
 



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