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待ちに待った?ゴールデンウィーク。行楽地はどこも人やクルマであふれ、疲れるだけなので、この際近所の公園や河川敷で暖かな春の陽を浴びながら読書でもどうですか?

私が愛用する「ブックオフ」では全店で5月4日から書籍全品(一部除外品あり)20%OFFセールをやるそうです。私もこの機会にまとめ買いを予定してます。

そして適当に本棚から好みの本を選ぶのもいいですが、事前に書評などを読み、「読みたい本リスト」を作っておいて、それを探すという買い方も宝探しのようで悪くないですよ。私は常に50冊ぐらいの「読みたい本リスト」を持ってブクオフへ出かけます。

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫) ジョージ・オーウェル

1949年に刊行された未来SF小説ですが、未来とかSFという言葉から来る夢のある話しではなく、以前読んだ「動物農場」にも関係するような世界中が当時猛威を振るっていたスターリン的な社会主義、全体主義的な世界に変貌した未来を描いた小説です。

2014年9月後半の読書と感想「動物農場」

なんでもアメリカでトランプ大統領が誕生し、保護主義や全体主義的な発言や行動をすることで、この本があらためて見直され、爆発的に売れ出したというのには笑えます。

そうしたなにか流行に乗って読んだみたいになりましたが、この本を買ったのはもう半年以上前のことで、トランプ大統領とは関係ありません。

以前「動物農場」を読んだとき、その巻末の解説にこの「1984」もお勧めだと書かれていたので購入しましたが、購入後すぐに読み始めたものの、序盤から退屈で冗長な話しが長々と続き、「これはもう少し精神的に落ち着いたときに読もう」と、しばらくしおりを挟んだまま保留にしていました。年を取るにつれて集中力が落ちてきて、こういった序盤の退屈な話しは苦手になるのです。

そうした中で、ニュースとかで「いま『1984』が売れている」と聞くようになり、そういえば途中のままにしてしまっているなぁって思い、再び読み出したようなわけです。

なんでも作者の本元の英国では「読んだフリをする本No.1」がこの本だと言うことで、私と同様、序盤の退屈なシーンで断念し、読んだつもりになってほこりをかぶったままになっている英国人が多いのだろうなと理解ができました。

中盤ぐらいから物語は急変し、おそらく今で言うところのAI、人工知能みたいなものであろう全能の神ビッグブラザーに国民が支配されている状態から抜け出そうと主人公が抵抗を試みます。

その試みが、職場不倫などは別として、普通にありふれた自立的な生活なのですが、それが懐かしく思えてしまうほどに管理された未来社会は強烈ということです。

当然、そうした社会の中では、密かに反・ビッグブラザーを掲げる地下組織もあり、主人公はそこへ近づいていくのですが、、、

同じように途中で読むのをやめた人には、「頑張って中盤まで読むと、あとは普通の小説のようにスラスラと読めるので、途中で諦めないで!」と言いたいです。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫) ジェイムズ・P・ホーガン

1978年の「星を継ぐもの」(原題:Inherit the Stars)の続編で、同じく1978年に発刊された作品です。原題は「The Gentle Giants of Ganymede」です。

シリーズとしては、このあと1981年に「巨人たちの星」(原題:Giants’ Star)、1991年に「内なる宇宙」(原題:Entoverse)と続いています。

2015年7月後半の読書と感想「星を継ぐもの」

この「星を継ぐもの」は権威はまったくありませんが「2015年リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍外国小説部門大賞」を受賞しています。

さて、「星を継ぐもの」では、月の裏側で宇宙服を着た5万年前の人類とおぼしきミイラが発見され、さらに木星の第3衛星ガニメデからも2500万年前の宇宙船と謎の異星人の亡骸が発見されます。

ちなみに、ガニメデという衛星は実在していて、赤道の直径は地球の半分ぐらい、月の1.5倍の大きさで、太陽系の衛星では最大のものです。また地質は地球と似ていて、大気や地下に海があることが確認されています。

その二つの大発見から太陽系惑星の成り立ちや謎を解き明かそうとしますが、そのとき、遙か彼方から1隻の巨大宇宙船がその木星の惑星ガニメデへやってきます。人類初の生きた異星人との遭遇です。

よく理解できませんでしたが、2500万年前にそれまで繁栄していた木星の衛星ガニメデの環境が変わり、そのガニメデから移住をするため、太陽系以外の星を探索へ出かけた1隻の宇宙船が、現代のガニメデへと戻ってきたという設定です。

ところが帰ってきたガニメデ人達は、破壊されていて、故郷は無くなってしまっていることを知ります。

ガニメデ人が持つ高性能なAIコンピュータにより、地球人とガニメデ人はお互いの意思の疎通ができるようになり、互いに立場を理解し合い、やがて地球へ招待します。

現代の科学や常識で考えれば、いろいろと突っ込みどころはありますが、これが書かれたのが、1978年ということを考えると、そういう些事はどうでもいいじゃない?って感じです。

ガニメデ人は「争う」「戦う」「妬む」という概念がなく平和主義で、宇宙戦艦ヤマトに出てくるデスラー総統みたく、攻撃的な異星人でなくてよかった~って感じです。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

老いの才覚 (ベスト新書) 曾野綾子

数多くの小説やエッセイを出している今年85歳になる著者の2010年発刊の随筆(エッセー)集です。

元々相当な自信家な方で、周囲に気を遣わない過激な発言も多く、話題を提供される著者ですが、それだけに著者が書く文章とその主張には迷いがなく、細かなところはさておいてもその言わんとすることにはある程度共感ができます。

Amazonのレビューを見ても、「老害」という悪意がありそうな批判もあれば、「硬派なメッセージ」と尊敬する読者もあり、好き嫌いがはっきりと分かれるところでしょう。

「別に嫌いなら読まなくて結構」と著者の声が聞こえてきそうですが、こうした自己主張の強い有名人を批判することで自分の有能感を高めたい人も多そうで、その格好の的となっているという感じです。

芭蕉の句「物言えば唇寒し秋の風」は、「余計なことを言えば後味が悪く、寒々とした気持ちになる」という意味で、さらに意訳すれば「口は災いの元」となります。

現役バリバリで仕事をしているとなかなか言いたくても言えないことが多くありますが、その点、一応名を成して死ぬまで食うに困らぬ財を得た後では、人に迷惑さえかけなければなにをしても言っても許されるって感じでしょうか。

それはさておき、内容的には特に目新しいことはなく、高齢者は老いの覚悟と老いの品格を持って暮らせという著者や夫の三浦朱門氏らの経験から思うところを書き連ねたお手軽ハウツー本です。

こちらの貧弱な感性のせいもありますが、いまいち印象に残る箇所や、1冊の本の中で新しい気がつきがなかった点が残念です。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

旅のラゴス (新潮文庫) 筒井康隆

ラゴスという名前の主人公の男性が、架空の地域を苦労しながら旅する物語で、今から31年前、1986年に発刊された小説です。

著者は最近、炎上させる目的で過激?な発言をしたりとお騒がせしていますが、もうこの年(82歳)になれば、しかも死ぬまで食っていけるだけの十分な蓄えもあるでしょうから、なにをしても、なにが起きても、もう怖いものはない状態なのでしょうね。それにしてもあの発言は本人もあとで反省しているようですが、お下品を通り越しています。

時々元気な高齢者が、衝動的に重大な事件を起こしたりすることがありますが、今後もそうした短気を爆発させたような事件や問題発言が増えていくことが容易に想像できる昨今です。本書とは関係はありませんが。

さて、小説ですが、電気などエネルギー革命が起きていない中世の世界観の中の話しです。

様々な出会いや障害に遭いつつ、何年もかけて遠く異国の地へ旅をする主人公の目的は、昔不時着した宇宙船の乗員から新しく得た知恵や知識を書物にして残している村があり、その村へ行って大量の書物を読むためです。

旅の途中では奴隷狩りに捕まり鉱山で働かされたりしますが、どうにか逃げ出して旅を続けます。そんなに何年も旅を続けられるお金はどうして得ていたのか、その点は大きな謎です。

その村に到着し、村からは一切持ち出し禁止の大量の書物を何年もかけてそれらを読破していきます。さらにはその貧しい村でコーヒー豆の栽培を指導して、村の発展に寄与したことで、王に祭り上げられ、二人の妃も得ますが、やがてその村からも出て、生まれ故郷へ帰ってきます。

さて結局、この小説では何を言いたかったんだろう?と考えてもよくわからず、知的好奇心を満たすため、一生をかけた夢と旅と冒険、そして初恋の物語かな?と。

またこのような空想の中世という時代設定が、最近読んだ別の小説と似通っている気がするなぁ~なんだったっけ?と記憶障害が最近顕著な頭をかき回して思い出すと、伊坂幸太郎著「夜の国のクーパー」でした。

2017年3月前半の読書と感想「夜の国のクーパー」

旅の途中で知り合った少女への思いを何十年も過ぎた後でも捨てきれず、その影を追ってそれはそれでロマンがあって良かったのですが、平凡な能なしオヤジにはこの主人公には感情移入ができず、数々の行動が理解に苦しむものでした。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ソロモンの犬 (文春文庫) 道尾秀介

2007年に単行本、2010年に文庫化された長編ミステリー小説です。

タイトルは、昔、ソロモンの王が魔法の指輪をはめることで、動物たちと会話することができたという言い伝えからで、「ソロモンの指輪」というのは動物行動学になぞらえて使われます。

主人公は自転車で書類などを運ぶバイトをしている大学生で、自分の目の前で、知り合いでもある大学の教員の息子が飼い犬に引っ張られ、道路に飛び出したところでダンプカーにひかれてしまうという悲惨な事故に遭遇してしまいます。

その犬の行動が謎で、普段からおとなしく飼い主に忠実だったその犬ともし会話ができれば「なぜ急に飛び出した」がわかるのにと残念がる大学の生物学者とともに謎を調べていきます。

昔から動物と会話ができればと空想する作家も多く、「ドリトル先生シリーズ」などが有名ですが、上記でも書いた伊坂幸太郎著「夜の国のクーパー」でも猫やネズミと人間が話ししていましたね。

ただ人間同士でも、使う言語が違えば意思の疎通はかなり難しいし、同じ言語同士でも傷つけ合っているのに、なに動物との意思疎通って言ってんだかって感じもします。

そして誰の責でもなく犬が飼い主を引っ張ったせい起きた事故というのは明らかで、原因がわかったからと言っても死んだ子供が返ってくるわけもない事故をほじくり返してどうなるんだ?って気もします。

結果的には、謎を解こうとすることで、知られたくない秘密が暴露されたり、間接的に責任を感じる人が出てきて、さらに不幸なことが起きていくという連鎖型ミステリーは後味があまりよろしくないです。

★★☆


【関連リンク】
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党
 3月後半の読書 下流の宴、老後に破産しないお金の話、過去からの弔鐘、蝶々の纏足・風葬の教室、漱石先生の事件簿猫の巻
 3月前半の読書 夜の国のクーパー、ホクサイの世界、一路(上)(下)、会社という病
 2月後半の読書 天使の囀り、日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか、楽園、サムライと愚か者 暗躍オリンパス事件
 2月後半の読書 私にふさわしいホテル、ボッコちゃん、満月の道 流転の海第七部、死ねばいいのに
 1月後半の読書 ガダラの豚(1)(2)(3)、人間の幸福、塩分が日本人を滅ぼす、メランコリー・ベイビー
 リス天管理人が選ぶ2016年に読んだベスト書籍
 1月前半の読書 怒り(上)(下)、月は怒らない、人間にとって成熟とは何か、ガソリン生活



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1116
二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 ディヴィッド・ゴードン

2010年に発表された著者のデビュー作が本作品です。アメリカ本国よりも日本でよく売れた作品だそうです。その日本では2013年に「二流小説家 シリアリスト [DVD]」というタイトルで映画化もされました。

複数のペンネームを使い分けて大衆小説やポルノを書いている売れない作家が主人公で、この主人公のところへ連続女性殺人事件の実行犯で死刑を宣告されている男から会いたいと連絡が来ます。

死刑囚の希望は、自分宛てにファンレターを送ってくる女性に会って、自分とその女性を主人公にしたポルノ小説を書いてほしいと依頼です。

書いてくれたらその代償として、死刑執行後に発表することを条件に、過去の殺人事件で隠していたことを話してもいいということで、それができれば死後に発表するノンフィクションは大ヒット間違いなしとそろばんをはじき死刑囚の提案にのります。

しかし当初思っていたような単純な話しではなく、死刑囚の弁護士、殺人事件の被害者遺族、アシスタントとして出版社との交渉役を手伝ってくれているお金持ちの家の女子高生などを巻き込み、やがては死刑囚の依頼で作家が会った女性たちが次々と惨殺されていくことになり、もしかすると死刑囚は無実で、真の連続殺人犯は別にいる?と混乱していきます。

翻訳者の作為なのか不明ですが、日本人作家が書いたような馴染みのある流れと展開で、翻訳本にありがちな難解な解釈や極端な意訳は感じられず、まるで東野圭吾氏が書いたようなスムーズな物語で読みやすくていい感じです。

最後に出てくる凝ったどんでん返しも、想像の域を遙かに超えていて、なかなかよくできたミステリーでした。しかし現実の世の中はそう思った通りにはコトは運びませんよね。

★★★


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

脊梁山脈 (新潮文庫) 乙川優三郎

2002年に「生きる」で直木賞を受賞した著者が、2013年に発表した現代小説で、この作品は大佛次郎賞を受賞しています。

タイトルの「脊梁山脈」とは、主要な分水嶺となる山脈のことで「セキリョウサンミャク」と読みます。あまり普段使わない難しい字ですね。人生において誰でもそういう脊梁山脈の頂上に立つことがあります。後戻りする人もいるでしょうし、先へ進む人も、またその場で倒れてしまう人も、、、

ストーリーは、太平洋戦争中に上海で学生をしていた主人公ですが、そのまま日本陸軍に召集され、生き地獄を味わうもどうにか生き残り、そして戦争で灰燼と化した日本に帰国します。

帰国して故郷へと戻る汽車の中で激しい腹痛に襲われますが、物資不足の中同じく復員中の男に薬をわけてもらい、看病もしてもらって無事救われます。

男は途中の駅で降りてしまいますが、そのときに預かったままになっていた薬箱が、ちょっと特殊な木工細工でできています。

その後、長い長い期間が過ぎますが、ずっと心の中にその命を救ってくれた恩人にもう一度会いたいと捜す旅に出ます。手がかりは名前と特殊な木工細工です。

そしてやがてその男は木工を専門とする木地師であることがわかり、足跡をたどっていくと、転々と住む場所を変えながらも生きていることが判明するという物語です。木地師とはろくろを回して茶碗やお盆、こけしなど木工を専門に作る集団のことで、その先祖は仏具などをを作る、朝鮮からの渡来人と言われています。

読んでいると宮本輝氏の小説にもこうした特定のテーマについて深掘りというかうんちくを紹介するような展開が多く、今回深掘りするテーマは「木地師の謎と足跡を解き明かす旅路」と言ったところでしょうか。

またお互いに惹かれ合いながらも結ばれることがない女性が出てくるのも宮本輝氏の小説と同様で、初めて読んだ筆者の作品とは思えない感じがしました。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

国盗り物語(新潮文庫)(1)(2) 司馬遼太郎

2009年に3巻と4巻を先に読んでいます。信長が主人公として出てくるのが3巻以降なので、先に興味があるところから読みました。

この作品は1963年~1966年に週刊誌に連載されたもので、今から50年以上も前に書かれています。その後NHK大河ドラマ 国盗り物語が作られたのは1973年のことで、そのときの主役は斎藤道三が平幹二朗、織田信長が高橋英樹という俳優陣です。今度DVDでも借りてこようかな。

この1巻と2巻の主人公は戦国時代初頭の主役斎藤道三です。私は斎藤道三については信長の義理の父親(信長の妻の濃姫の父親)ということぐらいであまり詳しくなかったのですが、美濃の実力者として君臨するに至る長い道のりがよくわかる小説です。

もちろん時代が時代だけに想像や脚色も多いでしょうけど、下克上という言葉がこの戦国大名こそ相応しく、京都妙覚寺で僧侶だったのを飽き足らず飛び出し、乞食生活から、油売りで成功し、やがては美濃の大名を追い出して岐阜城主にまで上り詰めていきます。

こうした腐敗する旧体制を一新し、成り上がり成功物語を読むと、なんだかとても清々しい気分になれます。

この時代成功者になるためには悪知恵や、謀略などもつきものですが、最近では減少してきた人脈やコミュニケーション能力、そして情報収集能力と深慮遠謀が重要であることがわかります。現代社会でも成功者に共通する能力ですね。たぶん。

戦国時代終盤で一度は天下を取る豊臣秀吉も貧しい農家の出と言われていますが、この道三と秀吉には共通する「人たらし」の能力が長けていたことがこの小説を読むとよくわかります。

岐阜城は信長の城と思われがちですが、最初に金華山(稲葉山)に目をつけ城を構えたのは斎藤道三と言われています。今はロープウェーで一気に登れますので一度行きたくなりました。

★★★


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

遊びの品格 (中経の文庫) 川北義則

ビジネス書を中心に過去1000冊以上の著書を出されているそうですが、読むのは2012年に読んだ「男の品格」に続き2作目です。

2012年7月前半の読書(男の品格)

「遊び心」「趣味」「作法」「恋愛」「お金」「芸術」という6つの視点で現代人に欠ける遊びの要素を著者なりの考えで紹介したものですが、旅先の移動中にでも書いたというような、やっつけ仕事的な感じが文章の節々に感じられます。遊びながらこの「遊びの品格」を書いたとまでは言いませんが。

ま、これほど多くの著書を次々出版されていれば、内容や質よりもスピードと直感、そして構成力が人一倍有能なのでしょう。それらの能力は尊敬に値します。

あまり役に立つ話しとも思えませんが、ある多忙を極めていそうな人の考え方や生き方を知るという意味で、暇つぶしに読むのならそれもいいでしょうかね。意識高い系の人が目指すべき才能かもしれません。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

悪党 (角川文庫) 薬丸岳

著者は様々な職業を経験した後、2005年刊のデビュー作「天使のナイフ」で江戸川乱歩賞を受賞されています。

この「悪党」は、2009年刊の4作目の作品で、過去には上記「天使のナイフ」と連作短編の「刑事のまなざし」(2011年刊)を読んでいます。

テンポが良くライトな感じで読めますので、結構お気に入りの作家さんです。

天使のナイフ 4月前半の読書と感想、書評 2014/4/16(水)

刑事のまなざし 11月後半の読書と感想、書評 2016/11/30(水)

主人公は元警察官で、仕事中に不祥事を起こし懲戒解雇、その後知人の誘いでホープ探偵事務所に入所し勤務する私立探偵という設定です。

「悪党」「復讐」「形見」「盲目」「慟哭」「帰郷」「今際」の7編の連作短編からなります。

主人公は過去に悲惨な身内の事件でトラウマを抱えていて、警察官を懲戒になった原因もそれが大きな要因でした。

そして人捜しなどの探偵業をしながら、そのときの犯人が少年院を出た後、どういう生活を送っているのかが気になり調べ始めます。

私立探偵の本場のアメリカではそれなりのステータスがあり、職業としても認知されていますが、日本では探偵と言うとどうしてもいかがわしい感じが拭いきれません。よくは知りませんが、実際に探偵社で株式を公開できるような企業もありませんし、何かにつけいかがわしいのでしょう。

しかし小説となると、この私立探偵という職業が生き生きとしてくるから不思議です。国産小説では古くは生島治郎氏の作品、最近では原りょう氏の「沢崎シリーズ」や、大沢在昌氏「佐久間公シリーズ」、東直己氏の「探偵はバーにいる」など「ススキノ探偵シリーズ」など、結構ツボにはまってよく読んでいます。

★★☆


【関連リンク】
 3月後半の読書 下流の宴、老後に破産しないお金の話、過去からの弔鐘、蝶々の纏足・風葬の教室、漱石先生の事件簿猫の巻
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 12月後半の読書 帰ってきたヒトラー(上)(下)、ストーリー・セラー、7割は課長にさえなれません、家族八景
 12月前半の読書 デパートへ行こう!、ローカル線で行こう!、おまえさん、下鴨アンティーク アリスと紫式部





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1114
きみがぼくを見つけた日(原題:The Time Traveler's Wife) 2009年米
監督:ロベルト・シュヴェンケ 出演:レイチェル・マクアダムス、エリック・バナ

オードリー・ニッフェネガー著の同名の小説を映画化したものです。原題にあるとおり、タイムトラベラーものの恋愛映画ということで、ややその手のストーリーには食傷気味ですが、意外と面白かったです。

自分の意志とは関係なく、突然自分の未来や過去に影響がある場所へタイムスリップしてしまう男性が主人公で、子供の頃に突然現れた謎の中年男に恋をして、やがて図書館で青年時代のその男性とばったり出会うというヒロインとの哀しくも切ない物語という感じ。

タイムトラベルものはもういい加減にうんざりしていますが、「もしも○○だったら」的な架空の想像をするなら、タイムトラベルというのは安易で最適なツールになります。

昨年大ヒットした「君の名は。」も映画は見ていませんがそういうストーリーだし、やはり昨年にヒットした「帰ってきたヒトラー」も、今年1月に公開された「本能寺ホテル」もやはりタイムスリップものです。

そのうちNHK大河ドラマでも現代人が戦国時代にタイムスリップするようなドラマが作られるようになるのかも知れません。それはないか。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

陽のあたる場所(原題:A Place in the Sun)1951年米
監督:ジョージ・スティーヴンス 出演:モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー

セオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇(An American Tragedy)」を映画化したもので、日本では1951年に公開されました。アカデミー賞監督賞他5部門で受賞し、ゴールデングローブ賞では作品賞に輝いた作品です。

貧しい家庭で育った主人公が叔父の経営する工場で働くことになり、そこでも仕事ぶりが認められ一躍昇進していきます。

自分には縁がないと思っていた上流社会へも顔を出すようになり、そこで社交界の花と言われていた女性と知り合い恋愛が始まります。しかし主人公には工場勤め時に知り合った同じく貧しい家庭の女性との付き合いがあり、その女性が妊娠したことで事態は急変することになります。

と、今ではドラマや映画で珍しくもない貧しい男の出世物語と三角関係のなれの果てっていう構図ですが、まだ太平洋戦争が終わって数年という時代においては刺激的だったと思います。

当時まだ10代のエリザベス・テイラーがとってもチャーミングで、しかも上流社会のお嬢様役でなかなか堂々とした女優っぷりです。それだけでも見る価値のある映画かもしれませんね。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

招かれざる客(原題:Guess Who's Coming to Dinner)1967年米
監督:スタンリー・クレイマー 出演:スペンサー・トレイシー、シドニー・ポワチエ、キャサリン・ヘプバーン

公開を前に亡くなったスペンサー・トレイシーの遺作とされる作品で、さらに4度もオスカーをとった名女優キャサリーン・ヘプバーンとの共演という豪華配役で騒がれた作品でもありますが、この映画というか人種差別に関したテーマからしても一番存在感が高いのは、まだ40歳になる前のシドニー・ポワチエでしょうか。

この映画公開と同年にはシドニー・ポワチエの大ヒット作「夜の大捜査線」も公開されています。

ここ何年も白人俳優、女優しか受賞できないと言われてきたアカデミー賞ですが、当時はこうした人種問題をテーマにした根深いアメリカの現実を大ヒットさせていたのですね。

新聞社社長の一人娘がヨーロッパ留学からアメリカの自宅へ帰ってきます。そのときにヨーロッパで知り合った黒人男性を一緒に連れてきます。

どういう黒人かと調べると、昔に事故で妻子を亡くした医者の資格を持つ男で、世界的にも評価の高い数々の書籍も出している優秀な人物ということがわかりました。

娘の母親や親しくしているゴルフ仲間の神父は祝福をしますが、娘の父親は黒人と結婚することにどうしても賛成できず悩むことになります。

黒人男性は、両方の親全員が賛成してくれなければ結婚はできないと伝え、やがてその両方の両親が一同に集まることになり・・・

最後は父親の感動的なスピーチで終わりますが、この50年前にはやがて黒人大統領登場するということまでは理解を超えていたでしょうけど、実際的には現在でもこうした差別感というのはほとんど変わっていないというのが現実なのでしょう。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

武士の献立 2013年 『武士の献立』製作委員会
監督:朝原雄三 出演:上戸彩、高良健吾

江戸時代に外様大名としては最高級の権力を持っていた加賀藩お抱えの料理人と、その息子夫婦の成長物語です。

時代劇映画としてはそこそこヒットした2010年公開の映画「武士の家計簿」も同じ加賀藩が舞台でしたが、二匹目のドジョウというか、それと同じ流れをくむ映画です。

大名達の料理を作る台所方の家の次男に生まれ、本来は長男が後を継ぎ、次男は他家へ養子に入ることになっていたところ、長男が若くして病気で亡くなり、侍でありながら料理人の家督を継ぐ役目が自分に回ってきました。

剣の道を究め、その道でのし上がろうと思っていた矢先に、刀ではなく包丁に持ち替えて藩に貢献する包丁侍になったことで、仕事にもまったく身が入らず、やる気が出ません。

それを憂いた江戸詰台所方の父親が、自分が工夫した料理の素材をひと目で見抜いた浅草の料亭の娘で江戸の加賀藩屋敷で女中として働いていた主人公を見初め、息子の嫁にと加賀へ送り込みます。

妻となった娘はやる気のない次男に洗練された料理技術を教え、メキメキと実力が伴ってきますが、加賀騒動(1748年)が起き、改革派の親しい友人から誘われ藩主の暗殺へ巻き込まれそうになります。

上戸彩のような現代的な顔をした美人が、このような時代劇に向くのか?しかも男を立てて出世が決まると自分は武家の奥方には相応しくないとサッと身を引くような控えめな性格の女性が似合うのか?というのはさておき、ストーリーとしては実際に起きた事件をうまく取り入れ、わかりやすく起承転結ができています。

最近の映画は複雑に奇をてらうものが多く、見た後にスッキリしないものが少なくないですが、こちらはハッピーエンドで終わります。

★★☆


【関連リンク】
1090 「ゼロ・グラビティ」、「真田幸村の謀略」、「イエスマン “YES”は人生のパスワード」、「スティーブ・ジョブズ」
1051 「麗しのサブリナ」、「白熱」、「第七の封印」、「最前線物語」、「シン・ゴジラ」
1042 「男と女の不都合な真実」、「スリーデイズ、ダークナイト ライジング」、「鍵」、「北の零年」、「海街diary」
990 「るろうに剣心 京都大火編」、「るろうに剣心 伝説の最期編」、「アメリカン・スナイパー」、「新劇場版 頭文字D 「Legend1 -覚醒-」、「Legend2 -闘走-」、「ジョーカー・ゲーム」
966 「無法松の一生」
915 「風と共に去りぬ」を観てわかるアメリカ史
885 「神様のカルテ2」、「選挙」、「トリック劇場版 ラストステージ」、「夜叉」、「ドクトル・ジバゴ」






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1112
下流の宴 (文春文庫) 林真理子

毎日新聞に2009年に連載されていた長編小説で、2010年に単行本、2013年に文庫版が出ています。また2011年にはNHKが黒木瞳主演でテレビドラマを放映していました。その時少し見たのですが、内容は小説とだいぶんと違っている感じです。

小説のストーリーは、両親とも大学卒のひとり息子には最高の教育を与えようと母親は熱心に子育てをしてきましたが、息子はそうした環境に馴染めず高校を中退してしまい、現在はフリーターの生活です。

そしてバイト先で知り合った沖縄出身で単身東京に出てきている女性と知り合い、フリーター同士で半同棲生活に入ってしまいます。見事な下流の宴の序章です。

それを許せない母親はなんとかして別れさせようと、同棲相手に「私は医者の娘で大学卒だ。息子には大学へ行ってもらう。所詮あなたとは住む世界が違う」と罵詈雑言を浴びせかけます。

その言葉にカチンと来た同棲相手の女性が「それなら私は大学の医学部へ入るから、それなら交際を認めてくれるか」と売り言葉に買い言葉。そして周囲の協力を仰ぎながら、彼女の必死の猛勉強が始まるわけです。

結局はこの母親のひとり息子はフリーター生活を続け、母親にとってはなんら解決に至らないわけですが、こうしたことが現在のあちこちで現実に起きているのでしょう。

親の気持ちとして、小説でもテレビドラマでもやや大げさに教育熱心さを表現していますが、これは現代の親なら普通の感覚に近く、「子に残せるのは教育だけ」というのが間違っているとも思えません。

20代の頃は安い元気な労働者としてチヤホヤされ、フリーターとして仕事にあぶれることもないでしょうけど、これが30代、40代になったとき、同じように食っていくだけの収入が継続してあるのか?と言ったら、かなり現実は厳しいものになりそうです。

そうなると親の年金が頼りで、実家住まいのままで、やがて仕事が打ち切られ、中高年になってから学歴は高校中退の中卒で、職歴として書けるのはアルバイトしかなく、まともな仕事には就けず、引きこもってしまうことになってしまいそうです。

なにかそうしたことを考えながら読んでいると、面白くは読めますが、後味はよくない小説です。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

老後に破産しないお金の話 (成美文庫) 大竹のり子

いきなり老後に必要なお金は最低の生活でも3000万円という話しが出て、その時点で読むモチベーションが著しく低下したことはいうまでもありません。

確かにそれだけあれば老後の不安はかなーり解消されるでしょうけど、団塊世代より後の世代で、引退時にローンも終わったうえに3千万円の預貯金がある人なんてそういないでしょ?と思いますが、そうでもないのかなぁ、、、

新卒から大企業や役所で勤務し、子供はひとりだけで、公立へいかせ、お金をかけずに、定年までコツコツと貯金に励み、退職時にはそれなりの退職金をもらってというならば、それも可能でしょう。

でも子供が2~3人いて、私立高校、大学へ通わせれば、もうそれだけで数千万円の費用がかかり、普通の収入レベルでは老後の資金なんてまず貯められません。

また退職金が40年前に入社時の規定通りに支払われるケースがいったいどれほどあるかは知りませんが、役所以外では、そのあたりは大きく変わっています。

そうした実態をあまり知らずに書かれているだけにややトンチンカンな感じを受けます。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) ローレンス・ブロック

1976年に書かれた「マット・スカダー・シリーズ」の記念すべき第1作目となる探偵小説で、翻訳版が日本で発売されたのが1987年と11年経ったあとでした。このシリーズは2015年現在で17作品あります。

主人公は元警察官で、犯人に向けて発砲した際、流れ弾が近くにいた少女に当たってしまい死亡させてしまいました。

そのことはやむを得ない不幸な事故として処理されましたが、自分の気持ちに整理がつかず、アルコール中毒になってしまい、離婚し、警官も退職、その後はフリーで探偵登録をしないまま探偵の仕事を警察の元同僚などから回してもらって生活の糧にしています。

ストーリーは、そうしたマットの元に、刑事から紹介されたと言って、娘をニューヨークで殺された父親が訪ねて来ます。

犯人はすでに逮捕されていますが、なぜ娘は殺されなければならなかったのか?娘はどういう生活を送っていたのか?などを調べて欲しいと頼まれます。

知りたいことがわかるとは限らない、知らなかった方がよいこともあることを警告した上で、それでもいいと了解をとった上で捜査に入ります。というのもその娘は年齢に似合わず、高級アパートで、いい暮らしをしていて、それは売春をしていたからではないかとマスコミは報じていたことを知っていたからです。

仕事を受けたマットは、娘を殺した犯人として逮捕されていた娘とルームシェアで同居していたゲイの男性の周辺や、娘と仲良かった学生時代の友人などから話しを聞いて回ります。

やがて、娘の複雑な人間関係や、殺したとされる男の当日の不可解な行動などが明らかになっていきます。著者はまだ若い38歳の時の作品(現在は78歳)で、元気はつらつとした中にも奥の深い考えさせるとてもよい作品に仕上がっています。

このシリーズ全17作の中で読んでいないのはあと1作「すべては死にゆく」を残すのみとなりました(たぶん)。でもなぜかこの作品だけは2005年の作品ですが文庫化がされていないんですよね。

★★★


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫) 山田詠美

「蝶々の纏足」は1987年、「風葬の教室」は1988年に初出で、それらをまとめて1冊にした文庫版は1997年に発刊されています。文庫版で20年前、初出からはもう30年という年月が経っているのですね。そんな古い小説だとは知りませんでした。

「蝶々の纏足」、「風葬の教室」、「こぎつねこん」といういずれも多感な思春期を迎える女子学生を主人にした甘酸っぱい3作品の短編集です。

なるほどこれは男性の作家にはまず書けそうもない、想像もできない作品に仕上がっていて、おっさんが読んでもなにか古典作品を読むような感じで読めてしまいます。ちょっとあまりにも現実とかけ離れていて、印象が薄い感じではありますが。

そういえば昔の転校生っていうと、なにか特別な感じがしたなぁって思いました。うまくすぐに溶け込める人もいれば、馴染む間もなくまた引っ越してしまう人もいたりして、転校の経験がない私にとって転校するという大イベントについてまったく無知でした。

特にいじめ問題が頻発している現代の学校では、こうした転校にまつわる転校生の感情の機微について、こうした作品を読むことでしか知り得なかったことです。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

漱石先生の事件簿 猫の巻 (角川文庫) 柳広司

2007年に単行本、2010年に文庫化された連作短編小説です。収録作品は「吾輩は猫でない?」、「猫は踊る」、「泥棒と鼻恋」、「矯風演芸会」、「落雲館大戦争」、「春風影裏に猫が家出する」の6編です。

猫ブームでもあり、また今年は夏目漱石生誕150年という節目でもあり、その二つにあやかって、、、ということではありませんが、気になって読んでみました。

小説の中に出てくる夏目漱石と言うと、「神様のカルテ」(夏川草介著)の主人公栗原一止が、草枕を暗唱できるぐらいに敬愛し、いつも漱石の文庫本を持っているという設定を思い出します。

この小説では、漱石の作品がどうのということではなく、英語教師として大学で教えている漱石に師事する若い書生が主人公で、漱石の周りで起きる様々な事件の謎をこの書生が解いていくという内容です。

なのでタイトルからするとまるで漱石自身が探偵のように見えますが、実はそうではありません。

物語の時代は、英国留学から帰国し、友人の高浜虚子に勧められて書いた『吾輩は猫である』を「ホトトギス」に発表した1904年(明治37年)の頃の話となっています。

★★☆


【関連リンク】
 3月前半の読書 夜の国のクーパー、ホクサイの世界、一路(上)(下)、会社という病
 2月後半の読書 天使の囀り、日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか、楽園、サムライと愚か者 暗躍オリンパス事件
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夜の国のクーパー (創元推理文庫) 伊坂 幸太郎

2012年に書き下ろしで単行本、2015年に文庫化された長編ファンタジー小説です。あまりファンタジー的小説には興味がないので積極的には読まないのですが、昨年には宮部みゆき著「英雄の書」や貴志祐介著の「新世界より」など、内容は知らずに買って、そこそこ面白く読みました。

主人公は人間語をしゃべる猫のトム君ですからファンタジー小説と言ってもいいでしょう。

なかなかあらすじは書きにくいのですが、城郭に囲まれた村の中で村民達は平和に暮らしていたところ、隣国の鉄の国と戦争になり、味方が負けたため、城の門を開いて鉄の国の進駐軍を入れることになります。

この村からは数年前までクーパーという杉の木の怪物と闘い鎮めるため、毎年成人した男から勇者を募ってきましたが、一度出掛けた勇者は重傷を負い戻ってきたひとりの例外を除き、誰も戻ってきません。

その鉄の国との関係と、クーパーとの闘いという伝説の二つのテーマがあり、さらにこの世界に迷い込んだ仙台に住む銀行員で、妻に浮気された男がしゃべる猫に頼まれて村にやってくるという感じ。

例えば戦争で負けた国が占領されるということ、それまで尊敬されてきたリーダーが実は裏で敵方とつながる卑怯な男だったということ、自分や多くの仲間を助けるためには、一部の犠牲者を提供することを躊躇わないこと、などなど教訓じみた話しも出てきます。

そうしたおどろおどろしい中に、主人公たる猫や、その猫と対立するネズミなどファンタジーな要素を盛り込んで気楽に読める内容となっています。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉 (ハルキ文庫) 小松左京

昭和の時代のSF小説と言えば星新一、筒井康隆とこの著者と言われる2003年に刊行されたショートショート全集です。

2月に読んだ星新一著「ボッコちゃん」と読み比べってわけでもないのですが、当然それと比較してしまいます。

2月前半の読書と感想、書評 2017/2/15(水)

結果的には「ボッコちゃん」には及ばないものの、それなりに楽しめました。

そう言えばつい先日、近所にあるそこそこ大きな書店で文庫本のコーナーで新刊をみていたら、3人の女子高生がキャッキャッと文庫コーナーにやってきて、次々と文庫を手にとって見ているので、珍しいなぁって思っていたら、そのうち「このボッコちゃん・・・(最後のほうが聞き取れなかった)」「知ってる~星なんとかいう人のでしょ?」「短いよね~」っていう会話が飛び込んできて驚きました。

何と言っても1971年に発刊された文庫ですから、今の女子高生が知っているとは、、、まぁそれぐらい面白いってことなのでしょう。私も先月の読書感想では星3つ!をつけていました。

脱線しましたが、著者の本ではSF長編の「復活の日」(1964年)、「日本沈没」(1973年)、「さよならジュピター」(1982年)、「首都消失」(1985年)などを過去に読んでいます。いずれの作品も大作映画になっていて、そちらで知っているファンも多いでしょう。

昔、大阪で仕事をしていたとき、用事があって中之島にある住友商事本社に伺ったことがありました。そこで会った担当者が「あそこを歩いているのが小松左京さんのお兄さん。よく似ているでしょ~。弟さんの小説の話しでよく盛り上がります。」とか言っていたのを思い出しました。どうでもいいことですが。

この本はショートショートなので、ひとつひとつ内容やオチを書くわけにもいかず、なんだか関係のない話しばかりになってしまいました。

タイトルの「ホクサイの世界」も短編で、富士山大爆発で左右対称の美しい富士山がすでになくなっている未来人が、北斎に描かれた当時の富士山を見たいと未熟で怪しい操縦ながらタイムマシンでやってきます。

そして付いた時代では、北斎の絵の通りの綺麗な富士山が見えて、裸の男達が近くの海(相模湾?駿河湾?)で原始的な漁をしています。北斎が富士山を描いた江戸時代にちゃんと着いたと思っていたら実は、、、っていうホラーなネタです。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

一路 (中公文庫)(上)(下) 浅田次郎

 
2013年に単行本、2015年に文庫化された浅田次郎ワールドをたっぷりと楽しむことができる、長編時代劇小説です。2015年にはNHK BS時代劇でドラマ化され、2016年にNHK総合でも放送されています。

時は文久2年(1862年)というから徳川家康が江戸に幕府を開いてから260年が経とうとし、やがて数年の内には明治へと変わる幕末が近い頃の話しです。

美濃は今の岐阜周辺を納めていた、大名より格下ではあるけれど、関ヶ原の戦いで家康に味方して一躍名を上げた旗本でしたが、脈々と子孫にと続いてきた今の殿様は、周囲からうつけと言われています。

その殿様が隔年に一度の参勤交代のため、中山道を江戸に向かう参勤道中の旅の始終が小説では書かれています。

参勤行列を今まで仕切っていた供頭役が、殿様を追いやって家督を乗っ取ろうと画策している後見役の将監の企みで謀殺されてしまい、代わってその供頭役を任されたのが、過去に一度も参勤交代を経験をしたことがない、ずっと江戸住まいだった息子という非常事態。この息子が主人公の小野寺一路です。

なにもわからない小野寺一路は、関ヶ原の戦い直後にご先祖様が書いたとされる参勤交代の書を見つけ、それに書いてある通りに参勤道中を実行しますが、それは平和な二百数十年間のあいだに省略されたものが多く、すでに時代と合わなくなっています。

そのようなにわか知識でつつがなく殿様を江戸城に送り届けられるか、それとも不満分子によって参勤交代が妨害されるか、捨てる神あれば拾う神ありという流れで、供頭の小野寺一路の活躍はいかにぃ~って感じで、コミカル、かつ人情味あふれるドラマが待ち受けています。

★★★


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

会社という病 (講談社+α新書) 江上剛

巨大都市銀行に26年間、その後は後に破綻する日本振興銀行の役員に名を連ねたビジネスマン作家さんです。最近はテレビ番組のコメンテーターとしても時々拝見します。

そうした著者の経験から、作品は金融系のビジネス小説が多く、過去には「非情銀行」と「」を読んでいます。

非情銀行 9月前半の読書 2012/9/22(土)

絆 6月前半の読書と感想、書評 2014/6/18(水)

この新書は2015年刊の本ですので、最近起きた(発覚した)東芝、フォルクスワーゲン、旭化成建材などの不祥事の話しも繰り返し出てきます。

ま、目から鱗となるような話しは出てきませんが、会社という組織の本質を知り、自分の中で整理するにはいい本だと思います。できればビジネスに深く関わる前の、10代後半とか20代のうちに読みたかったものです。

先般ノンフィクションでオリンパス事件の本を読みましたが、こうした企業不祥事に関わっていく人達というのは、その時には人を騙したり、法を犯す事への罪悪感はまったくないのだろうなという気がします。会社のためという自己弁護や、自己保身のためやむを得ずにやっているのだからと、自分を納得させているのだろうと思います。

数年後に不正が発覚し、事実や推定を突きつけられたときにも「悪いことをした」という認識があるのかどうか微妙です。

それだけに「企業の存続や、権力を維持するためならば、法を逸脱することはやむを得ない」という、世の中の非常識が、経営者にとっては常識となるところが怖いところです。

バブルの頃は日本の物作りは世界一と持て囃されていましたが、ここ数年の間に、その物作りで輝いていた日本のメーカーの偽装や隠蔽、不祥事、それに経営不振が数多く見られます。

例えば東洋ゴム工業、三菱自動車工業、スズキ、シャープ、東芝、タカタ、オリンパス、カネボウ化粧品、ルネサスエレクトロニクスなどなど。

東芝のように大きな不祥事でも起きないと、なかなか表面には出てこず、現在進行形で密かに悪化した業績を隠し続けたり、責任や損害を子会社に付け替えたりと、自転車操業でしのいでいるメーカーも少なくなさそうです。

日本の製造業が再び輝きを取り戻し、世界をリードする時代がまたやってくるのでしょうか。

★★☆


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 11月後半の読書 折れた竜骨、心ひき裂かれて、刑事のまなざし、ピンクとグレー
 11月前半の読書 新世界より(上)(中)(下)、ロートレック荘事件、リストラ日和




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