忍者ブログ
リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~ HomePage http://www.geocities.jp/restrer/
Calendar
<< 2017/12 >>
SMTWTFS
1
345 78
101112 1415
17181920 212223
24252627 282930
31
Recent Entry
Recent Comment
Category
1   2   3   4   5   6   7  


1170
黒書院の六兵衛 (文春文庫)(上)(下) 浅田次郎

2012年頃、日本経済新聞に連載されていて、その後2013年に単行本、2017年に文庫化された時代劇長編小説です。

あらすじは、江戸幕府が終わり、新しい明治政府に江戸城を引き渡す段になったところ、どうしても江戸城から動かない武士がいて、なんとか円満に新政府に引き渡したい勝海舟など旧幕臣と、けしからんという新政府側でもめます。

その問題となった人物は不可解で、金で旗本の地位を買ったとされる一方、勤務はいたって真面目で堕落し腐りきっていた江戸末期の多くの武士達とは違うなにか本物の武士の魂をもっています。

そうした一本筋が通った謎多きラストサムライと、江戸から東京へと移り変わる混乱した世相を面白おかしく仕立てたもので、実際に活躍した歴史の人物が多く登場して楽しめます。

但し、江戸城の中や、しきたりなど、なかなか頭の中でイメージがしにくく、読んでいてもあまりワクワク感がなく、退屈この上なく、途中で断念しそうになりました。著者の作品はいつも一気に読み進められるのに、これは珍しいパターンです。

新聞連載小説と言うことで、一気に読むのではなく、かみしめながらじっくりと何ヶ月もかけて読むとまた違うのかも知れませんが、この作品はお得意の泣かせの場面もなく、ちょっと著者の作品らしくないなって感じです。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

夢をかなえるゾウ 水野敬也

200万部を超えるベストセラーになった著者の三作目の小説というか、ライトノベルというか、人生の指南書というか、ビジネス本というか、よくわからないジャンルの本で、2007年に発刊されています。

またこの作品を原作として小栗旬主演でテレビドラマや、アニメ化(声優に草なぎ剛や笑福亭鶴瓶)もされていますので、知っている人は多いのではないでしょうか?

ヒットすると続編が出てくるのは世の常で、2012年に「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」、2014年に「夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え」が刊行されています。

内容は、しがないサラリーマンの若い独身男性がインド旅行に行った時、買ってきた置物(ガネーシャというヒンドゥー教の神)に乗り移った神様とのやりとりがメインで、「お金持ちになりたい」「今までとは違う自分になりたい」という男性の願いをかなえるため、なぜか関西弁あれこれ指示を出していきます。

その指示を正当化するため、過去の偉人や成功者、大金持ちの言葉や行動様式を引用することが多く、その点はいかにも軽い新書のノリがあります。

ま、そういう意味では、新書やビジネス書によくありそうな「こうすれば年収3000万円!」とか「あなたの人生が劇的に変わる!」とか「金持ち父さん、貧乏父さん」という本と変わりなさそうですが、それがアニメを見ているように二人のコミカルなやりとりを通じて面白くすっと入ってくるような感じで書かれているのが特徴的です。

読みやすい本で読書慣れしている人なら1~2日で軽く読み終えてしまうでしょうけど、活字離れした若い人にはアニメや映像、そしてオーディオブックまで準備されているので、それなりに幅広い需要があるのだと思われます。

でも結局は読んだだけでは、金持ちにもなれないし、自分も変われません。成功するには継続と行動力であることをもっと伝えるべきでしょうけど、なにかを50年間継続したからといって、自分が思い描く結果になるわけでもなく、結局は面倒なことでもなんでも進んでやる、その人のやる気次第なのかな。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

深川黄表紙掛取り帖 (講談社文庫) 山本一力

2002年に単行本、2005年に文庫化された著者お得意の江戸時代の庶民を描く時代劇小説の連作短編集です。

江戸の裏社会で恨みを晴らすため暗殺を手掛ける必殺シリーズはバイオレンス時代劇ですが、こちらも裏家業には違いないですが、殺しなどは一切なく、アイデアと知恵で阿漕な金持ちを懲らしめたり、困っている商売人を救う手立てを考えたりする温厚な裏家業集団です。

その主役を張るのは、それぞれに商売をしている4人の若者で、うち一人は男装の女性というちょっと魅力的なメンバーです。

時は生類憐れみの令が出された頃ですので、第5代将軍徳川綱吉の貞享から元禄時代と言ったところです。

この著者の描く江戸庶民の図は、直木賞に輝いた「あかね空」など、まるで実際に見てきたかのように生き生きと細かく描写されています。

緻密な時代考証をおこなえば、違っている点などもあるのでしょうけど、そうした細かなことを言わなければ今から320年前にタイムスリップができて楽しめます。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟


悪意のクイーン (徳間文庫) 井上 剛

京大卒で二足のわらじを履き、主としてSF小説を発表してきた作家さんで、2014年に発刊されたこの4作目の小説はSFではなく、いわゆる後味の悪い女性同士の憎しみのミステリー小説です。

ママ友の輪の中で、ひとり浮いてしまっている恵まれた環境にいる若妻が主人公です。この若妻とは別で、ランクのが高い女学校の中学生ももうひとりの主人公です。

このふたりの女性の人生が狂い始め、憎しみや絶望が沸き起こり、そして最後にはもう一名の女性が加わって複雑に絡み合っていくという流れです。

ま、女性の恨み辛み、極度の憎しみを男性が描くとこういう事になるのでしょうけど、それにしてもやりすぎって思います。

正直にこれを読んで共感できたり、面白かったという人はほとんどいないでしょう。

ストーリー的にも同時に二つ(二人)の話しが同時に進行する、ありふれたパターンで、特に秀逸と思えるところがありません。

自殺や、飲酒運転による交通事故死、不登校、家庭崩壊、子育てヒステリー、売春、殺人とミステリー小説では定番とも言えるこれらを散らばめただけという感じもします。

才能ある作家さんなのでしょうから、もっと深いものを期待したいところです。

★☆☆



【関連リンク】
 10月前半の読書 秘められた貌、ウルトラ・ダラー、創造力なき日本、海の見える街
 9月後半の読書 象の墓場、ナイト&シャドウ、美しい家、お別れの音、偽悪のすすめ
 9月前半の読書 危険なささやき、会社の品格、男の勘ちがい、安土城の幽霊
 8月後半の読書 白雪姫殺人事件、里山資本主義、デセプション・ポイント、漂流者たち
 8月前半の読書 転落の街、となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術、長女たち、殺戮にいたる病
 7月後半の読書 漂えど沈まず、そして奔流へ 新・病葉流れて、本と私、落日燃ゆ、いっぽん桜
 7月前半の読書 思考の整理学、白砂、ちょいな人々、静かな黄昏の国、召集令状
 6月後半の読書 反逆、死にたくはないが、生きたくもない。、黒警、尖閣激突!ドローン・コマンド
 6月前半の読書 本日は、お日柄もよく、巨人たちの星、ぼくらの民主主義なんだぜ、戦艦大和
 5月後半の読書 バランスが肝心、獄窓記、十字架、碇星、ようこそ、わが家へ
 5月前半の読書 他人を見下す若者たち、八月の六日間、氷の華、愛と名誉のために、顔に降りかかる雨
 4月後半の読書 一九八四年、ガニメデの優しい巨人、老いの才覚、旅のラゴス、ソロモンの犬
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党





リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)


PR



1167
関ヶ原 2017年東宝

1966年に刊行された司馬遼太郎の作品「関ヶ原」を元にした作品で、「クライマーズ・ハイ」などの作品がある原田眞人監督、主演は石田三成役に岡田准一、徳川家康に役所広司、島左近に平岳大など。

戦国時代の終わり頃、つまり天下統一を果たした豊臣秀吉が亡くなり、その後の覇権を徳川家康が虎視眈々と狙い、その秀吉傘下の大名同士で決着をつけたのが関ヶ原の戦いです。

原作は読んでいないのでなんともですが、映画での主人公は関ヶ原の勝者の徳川家康ではなく、負けて惨めに戦場から逃げ去り、その後三条河原で打ち首となった石田三成です。

勝てば官軍の通り、その後の歴史は徳川家が中心となって歴史書も書き換えられてきましたが、近年では石田三成の功績やその人となりも歴史書に書かれているような邪悪な凡人でも悪人でもなかったということが言われています。

実際はどうだったのかは知りようがありませんが、原作通りであれば司馬遼太郎氏も石田三成に対して良い感情をもっていたと思われます。それを埋もれた資料を基に研究が進んだ現代ではなく、1966年当時に言えるというのはさすがとしか言い様がありません。

映画では「石田三成に過ぎたるものが二つあり、島の左近と佐和山の城」のうち島左近が準主役としてスポットをあてています。

実際に関ヶ原へ行くと、三成が陣を敷いていた笹尾山のすぐ下、距離にしてわずか100mぐらいのところに島左近陣跡があり、西軍の最後の砦だったことがわかります。

5分でわかる関ヶ原の戦い 2014/12/13(土)

映画はとにかく出演者の数が半端なく多く、また時の過ぎるスピードも速いので、ある程度それらの大名や武士の名前を知っていないと、混乱必至でしょう。

関ヶ原に至るまでの長い駆け引きも面白いのですが、いっそそれはすっ飛ばして、関ヶ原の戦いだけを中心に誰と誰が戦って、誰が裏切って、誰が傍観していてという戦争シュミレーションを映画にしてもよかったかも。

ということで、せっかく良い役者をいっぱい集めた割には、あまり良い作品に仕上がっているとは言えません。またヒロイン有村架純は、全然戦国時代の忍びらしくなく、まったく時代劇には向かない感じで一番残念でした。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟


理想の彼氏(原題:Rebound) 2009年アメリカ

原題はReboundで「跳ね返る」という意味です。監督はバート・フレインドリッチで、主演は「シカゴ」でアカデミー助演女優賞に輝きその他「ターミナル」や「オーシャンズ12」に出演しているキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。そのほかの出演者にジャスティン・バーサや懐かしのアート・ガーファンクルなどなど。

旦那が浮気をしたため小さな子供二人を連れて家を出て、ニューヨークへやってきた40代の主人公が、仕事で能力を発揮しつつ、ずっと年下でしがないコーヒーショップで働く男性を子供達の子守として雇ったことからやがて二人に愛が芽生えてきます。

こうした白人女性のどん底からの成功物語ってのはアメリカでは毎年のように作られているようで、仕事も男(しかもずっと年下のイケメンで連れ子との相性もバッチリ)も軽々と手に入れるという安直なストーリーは驚きも感動もなく、ただただ、アメリカの厳しい現実の生活に疲れ果てた女性達のストレスを発散させ、夢を叶えるエンタメとして機能しているのでしょう。

そう言えば日本でも「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」っていう、しがないOLの独身女性の家に、イケメンで料理の腕がいい独身男性(しかもお金持ちで名門の良家の出)が、転がり込んでくるという小説(2009年刊)&映画(2016年公開)がありましたね。

映画の内容はともかく、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの色っぽさとかわいさで私は十分満足です。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟


家族はつらいよ 2016年松竹

2016年に公開された日本映画で監督は山田洋次、制作は「家族はつらいよ製作委員会」で、配給は松竹です。

長く松竹で制作されてきた「男はつらいよ」の家族版ってことですね。2017年には無縁社会をテーマとして「家族はつらいよ2」が公開されていました。見てないけど。

主演は息子が覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕されてお気の毒な感じの橋爪功、その妻役に吉行和子、長男は西村雅彦、次男には妻夫木聡、その恋人に蒼井優など、それぞれが主役を張れるような豪華な俳優陣が出ています。

この映画のテーマは熟年離婚で、子育ても終わり仕事も定年になって暇を持て余している夫が、妻から三行半を突きつけられてのドタバタ劇です。

おそらく映画を見に来る想定客は「男はつらいよ」をこよなく愛してきた、団塊世代に向けてではないかなと思われます。

ま、そう書くと、だいたいおおまかなあらすじは想像できるというもので、その通りで間違いありません。

実際このような家族の一大事に集まってくる「家族」は少なくなってきていて、郷愁を誘うようなところがあります。そのあたりが監督だけでなく脚本も手掛けている御年86歳になる山田洋次氏の特徴なのでしょうかね。

同じようなテーマでもっと若い30代とか40代の監督が手掛けると、同じ家族であっても、長男は仕事と自分の家庭ばかりで実家には寄りつかず、次男はニートで実家の部屋にこもりっきり、親は子の言うがままで振り回されて、離婚なんて考える余裕すらないって感じになりそうです。また離婚騒動が起きても子供達は「勝手にしたら~」と。

ま、よき昭和の時代を生き残った80代の監督が考える現代の家族像はこういうものなんだろうというのがよくわかる作品です。

けなげで献身的で可愛い蒼井優がよかったので★2つです。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

博士の異常な愛情 1964年米

原題は「DR. STRANGELOVE: OR HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB」(博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか)

監督は「2001年宇宙の旅」など数多くの大作や名作を手がけてきたスタンリー・キューブリック。出演はピーター・セラーズ(重要な三役)、ジョージ・C・スコットなど。

1964年なのですでにフルカラー映画全盛になっている時代にかかわらずモノクロで撮影されたこの映画は同じく核戦争の恐怖を描いた「渚にて」(1959年)と共通するところがあります。ただこちらは真面目な「渚にて」に対しブラックコメディ的な要素が大きく反映されています。

ストーリーは、米ソ冷戦時代、ある空軍の将軍が24時間ソ連近郊を飛行している核戦略爆撃機全機に攻撃命令を発します。核攻撃命令は大統領の専権事項ですが、先制攻撃をされて国防省中枢が混乱しているときには誰でも可能という盲点を突いています。

対するソ連はまだ未公表の先制核攻撃をされた場合の報復手段(放射能で地球上の生物を皆殺しにする爆弾)を持っていて、米ソ首脳同士がホットラインを通じてそれを避けるべく奔走しますが、唯一攻撃中止の連絡が取れなかった爆撃機がソ連のICBM基地を攻撃してしまいます。

その後は地球上の各地で炸裂する核爆弾の映像が流れ、BGMに「We'll Meet Again」(また会いましょう)が流れ、その後の地球を暗示して終わります。

人間の愚かさ、軍人の暴走、自動で反撃装置が働くオートメーション時代など、北の某将軍様にも見てもらいたい背筋が凍りそうになる名作です。

アメリカ大統領、英国軍から派遣されて暴走軍人の副官として核戦争を止めようとするまっとうな軍人、そしてタイトルにもあるナチス時代から核兵器に詳しく大統領のアドバイザーに就いている奇妙な博士の微妙な三役をうまくこなすピーター・セラーズが最高です。

★★★


 

リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)




1166
秘められた貌 (ジェッシイ・ストーン・シリーズ) ロバート・B・パーカー

2007年刊の「High Profile」の翻訳版(翻訳版文庫は2010年刊)で、警察署長ジェッシイ・ストーンシリーズ6作目です。別のシリーズの主人公で女性私立探偵サニー・ランドルも主人公ジェッシイのガールフレンドとして登場しています。

パーカー言えばやはりボストンの私立探偵スペンサーシリーズが有名で私も大好きですが、1997年から始まったこのジェッシイ・ストーンシリーズもスペンサーにはない面白さがあって楽しめます。

探偵と警察署長という違いこそあれ、そのキャラクターは似通っています。

スペンサーシリーズをすべて読み終えた後、その余韻が冷めた頃を見計らって、このシリーズを読むとパーカー独特の言い回しや絶妙な会話がよみがえってくること請負です。

ストーリーは、ジェッシイが警察署長を勤めるマサチューセッツ州の架空の街パラダイスで、テレビやラジオで活躍している毒舌の人気司会者が殺され、公園の木に吊り下げられているのが発見されます。

それと同時に司会者のアシスタントで、愛人の女性も同じ銃で殺害されているのが発見され、マスコミの注目を浴びる中、小さな街の警察署長の主人公は、自ら部下とともに犯人探しに奔走します。

その捜査手法が、私立探偵スペンサーとも共通していて、関係者と順番に会って質問し、なにかが動き出すのをジッと待ちます。

最近のミステリー小説のような変に凝った「驚愕のラスト!」とかはありませんが、「なぜ?」という疑問を解き明かしていく丁寧な捜査が好感を呼びます。

スペンサーシリーズでもお馴染みのマサチューセッツ州警察殺人課のヒーリー警部もサポート役として登場したりして、スペンサーシリーズを懐かしがるには最適です。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ウルトラ・ダラー (新潮文庫) 手嶋龍一

元NHK記者で外交ジャーナリストとしてテレビにもちょくちょく登場している著者の2006年(文庫は2007年)刊の国際インテリジェンス(諜報活動)小説です。

いま2017年は北朝鮮の核実験と長距離ロケットの話題が世界中を揺るがしていますが、その根っことなった2000年前半の北朝鮮の核開発やミサイル技術の導入に関し、その資金調達に偽アメリカドル札の大量発行があったことをテーマとしています。

印刷技術者の拉致、偽札検査機のメーカーへの謀略、外交官との癒着、高額紙幣に刷り込まれるマイクロチップ技術の流出など、その手口や国を挙げての陰謀を現実に起きた事件ともリンクさせながらうまく小説に仕立てています。
 
主人公は日本語が達者で日本文化にも精通している英国BBCの日本駐在員、その駐在員と英国の大学で同級生だったアメリカの財務省シークレットサービス要員。

BBC記者は駐在員という肩書きと、もうひとつ英国情報部の顔を持っていますし、シークレットサービスは大統領警護で有名ですが、実は世界中に出現する偽札ハンターとしての役割も担っています。

現在の北朝鮮が核兵器を保有し、2500km以上飛ばせるロケットをロシアやウクライナの協力により保有するに至ったのは、こうした2000年代前半からの下準備があってのことで、ここ数年だけで成し遂げたわけではないでしょう。

そういうことから、この小説は、現在2017年のことをすでに予見していたノンフィクションに近い小説なのかもしれません。

ただ、小説の中で、偽札検知機器メーカーの社員が、世界中で偽札を集めて持ち帰り、それを実験用として使っているという話しが出てきますが、それはにわかには信じられません。

ほとんどの国では偽札と知って保有しているだけで、例えテスト用だと言い訳をしても必ず実刑をともなう重罪となり、そのようなリスクを冒すのは馬鹿げています。

日本の場合、偽造通貨・変造通貨の行使罪(刑法第148条第2項)は、無期又は3年以上の懲役で、殺人(傷害致死)と同等の重罪です。普通そこまでの犯罪を犯してまで会社に尽くせません。

通常偽札の検査機器をチェックする場合、確か、ベンチマークテストの場が、国の公認でおこなわれていて、そこで過去に発見された偽札の反応テストなどが行えるようになっているはずです。

私が香港に少し滞在していたとき、友人がたまたま手に入れたという偽札の100ドル紙幣を見せてくれましたが、手触りも印刷も本物と並べて見比べても素人の目にはまったく違いがわからず、そんなの万が一持っているのを見つかったら、それこそ何年も外国の刑務所に収監される可能性があり、ジョークのつもりでも持ちたいとは思いませんでした。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」 (角川oneテーマ21) 村上隆

現代美術、ポップアーティストの地位をゆるぎなきものとしている著者の2012年の新書です。一方では芸術家と相容れそうもないビジネスマンでもあって、そういう意味では前例のない新しいエンタテナーなのかも知れません。

芸術家とビジネスマンが相容れないと書きましたが、そう思っているのは一部の偏見ある人だけかも知れません。ほとんど多くの芸術家はそれで飯を食うため、当然のことながら営業活動もすればスポンサーの意見や要望に譲歩することもあります。

ただそうしたことを芸術や美術学校では学生には教えない風習があって、著者は有名美大出身の社会経験もない芸術家気取りの若者が、多少作品が評価されただけで「オレは芸術家だ」と、まるで大物と勘違いしている人が増えてきていることを嘆いているというのがわかります。

さらに、著者は自分が批判の的になっていて多くの人から嫌われていることもよく理解していて、それでも自分の考えを通していく一本の筋が通った主張を述べているのは好感が持てそうです。

こういう創作の世界にいると、しかも突出していればいるほどに周囲からの妬みやひがみ、いいとこ取りだという非難なども多いでしょうし、私もニュースなどで訳のわからない醜悪なフィギュアに何億円という値段がついたとかの話しを聞いても「へぇ、こんな日本人がいるのか?」って思うぐらいで、その作者については芸術性の全くない平々凡々な人生をおくってきた身としては「なにかよくわからん」というのが実際のところでした。

一般的に新書というジャンルは、その著者や著者が関わる企業などのPR誌という趣向が強くあり、著者にしてみても、「プロフィールに著作物があると書ける自己満足とPR性」「初版本の大半を自分や会社が買い取り、名刺代わりにビジネスで会社案内代わりに使える」など多くのメリットがあります。

新書に対してはそうした多少ゆがんだ見方を持っていますが、この本もその例外とは言えず、著者も自分が設立した会社を10数回は登場させて盛んにPRしています。そのあたりもさすがにビジネスで成功を収めているアーチストなんだなということが理解できます。

内容自体は、美大や芸大などに通っている芸術家志望の若者に対して、「日本の芸術家業界で生き残る法」というような話しで、これが意外に知られていないことが多く、芸術とはまったく関係が薄い人間(私)が読んでも面白かったです。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

海の見える街 (講談社文庫) 畑野智美

2010年に「国道沿いのファミレス」でデビューした作家さんで、若い人の青春恋愛小説を得意としている感じで、この本も若くはないけど20代~30代の男女4人の仕事と恋愛と趣味がうまくバランス良く絡み合った、短編連作の恋愛小説と言えます。

海の見える街」というと宮崎駿の大ヒットアニメ「魔女の宅急便」に登場する北欧の某都市をイメージする人が多いのですが、こちらはいたってドメスチックな青春物語です。

その短編には「マメルリハ」、「ハナビ」、「金魚すくい」、「肉食うさぎ」の4編が収録されていて、それぞれ4人の登場人物が主人公となって順番に話が進行していきます。

4人が働いているのは市の図書館と併設されている児童館。

30代半ばになっても彼女もいない独身でいる男性二人と、20代半ばのオタク系女子と職員の産休中に派遣でやってきた同年代の訳あり元ヤンキー女子。

この4人がそれぞれに抱えている問題や感情を出していき、複雑に絡み合っていくところをうまくひとつのストーリーにまとめているなって感じです。

また1話ではマメルリハという種類のインコや、2話ではミシシッピアカミミガメ、3話では琉金、4話ではウサギなど、ペットとセットになっているのは落ち着きが良すぎます。

ただ世の中はこれほどまでにのんびりもしていないし、4人だけの世界で閉じていることもまずなく、現実をほどよく知っている中年男性にとっては、なんだかこそばかゆく、また現実感のなさにちょっと反感も覚えたり。

★★☆


【関連リンク】
 9月後半の読書 象の墓場、ナイト&シャドウ、美しい家、お別れの音、偽悪のすすめ
 9月前半の読書 危険なささやき、会社の品格、男の勘ちがい、安土城の幽霊
 8月後半の読書 白雪姫殺人事件、里山資本主義、デセプション・ポイント、漂流者たち
 8月前半の読書 転落の街、となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術、長女たち、殺戮にいたる病
 7月後半の読書 漂えど沈まず、そして奔流へ 新・病葉流れて、本と私、落日燃ゆ、いっぽん桜
 7月前半の読書 思考の整理学、白砂、ちょいな人々、静かな黄昏の国、召集令状
 6月後半の読書 反逆、死にたくはないが、生きたくもない。、黒警、尖閣激突!ドローン・コマンド
 6月前半の読書 本日は、お日柄もよく、巨人たちの星、ぼくらの民主主義なんだぜ、戦艦大和
 5月後半の読書 バランスが肝心、獄窓記、十字架、碇星、ようこそ、わが家へ
 5月前半の読書 他人を見下す若者たち、八月の六日間、氷の華、愛と名誉のために、顔に降りかかる雨
 4月後半の読書 一九八四年、ガニメデの優しい巨人、老いの才覚、旅のラゴス、ソロモンの犬
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党





リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)






1164
象の墓場 (光文社文庫) 楡 周平

2013年に単行本、2016年に文庫化された現実に起きたデジタル革命によって象に見立てた巨大外資系企業の没落を描いた経済長編小説です。

1990年頃まではアメリカの超優良企業だったイーストマン・コダック社は、世界の写真フィルムや現像液、印画紙などで圧倒的な世界シェアを持ち、1ドルの売上で80セントの利益が得られたという高収益企業で、長く我が世の春を謳歌していました。

しかし1990年代に入り、写真の世界にデジタルの波がヒタヒタと忍び寄ってきて、従来の安定したビジネスモデルが壊されていくことになります。

当時、世界の写真フィルムメーカーは、圧倒的に強いコダックと、新参者の富士写真フイルム(現、富士フイルム)、ドイツのアグフア・ゲバルト社、小西六写真工業(現、コニカミノルタ)などがありましたが、日本以外の国ではコダック社が圧倒的なシェアを持つ巨象に例えられていました。

その巨象コダックがデジタルカメラ時代に乗り遅れ、経営判断の誤りもあって、2012年には上場廃止、2013年には倒産危機を迎えることになります。

デジタルカメラ時代に乗り遅れたと書きましたが、実は世界で最初にデジタルカメラを完成させたのはコダック社です。

しかしチェーン化していたフィルム現像所などパートナーとの関係から、フィルムも現像も不要なデジカメを普及させるのに抵抗があり、モタモタしているあいだに日本の家電メーカーやカメラメーカーからデジカメが次々と登場し、一気にフィルム市場を奪われていくことになります。

この小説では外資系企業日本法人の会社員が主人公で、まさかこの巨大企業が傾いていくなど夢にも思わず、その激しい逆流の中で必死に戦っていく姿を描いています。

コダックの社員というので思い出したのは、親しい知人がバブルの頃、投資用でファミリー向けのマンションを5千万円で購入し、まだ入居者が決まっていない時に、良かったら賃貸として借りないかと言われて一緒に物件を見に行ったことがあります。

しかしまだ結婚してまもなくの頃で、ファミリー向けの広いマンションを借りるには、家賃を大幅にまけてもらっても当時の収入ではとても厳しく、すぐに断りました。

その後、当時は優良企業だったコダックの社員に貸し出せたので安心だと聞いて、喜んでいたのもつかの間、その後1年も経たないうちにコダックの様子がおかしくなりました。

おそらく突然リストラをされたのか、その借主は何ヶ月分かの家賃を踏み倒したまま夜逃げ同然で行方不明となり、残された部屋には大物の家具等は持ち出され、粗大ゴミだけがそのまま散乱していたという悲惨な状態だったとか。コダックの社員にとってはそれほど寝耳に水の急な業績悪化とリストラだったのでしょうね。

なかなか読み応えのある、外資系ビジネスマンには身につまされるような話しも多く、面白く読めました。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ナイト&シャドウ (講談社文庫)  柳 広司

2014年単行本、2015年に文庫化された長編小説で、主人公は日本人の警察官ながら、舞台はワシントンD.C.という珍しいパターンです。

著者の出世作で代表作となった「ジョーカー・ゲーム」(2008年)のシリーズは、昭和初期の帝国陸軍のスパイ養成機関が舞台で、そこでは徹底した記憶力と卓越した推理と創造力を鍛えられます。

そうした特殊なスパイと能力的に共通するのがアメリカ財務省管轄の要人警護組織であるシークレット・サービスで、科学的な捜査とともに、身を犠牲にして要人を守り抜く強靱な身体と、犯行を未然に防ぐための予知能力、そして非常事態発生時の対応などが求められます。

そのシークレット・サービスへ警視庁から厄介払いとして研修に出されてD.C.へやってきたのが主人公で、現役のシークレット・サービスとともに、大統領を狙うテロ犯グループと知恵比べをするというストーリーです。

ちょっと主人公にできすぎた感はあるものの、最後のどんでん返しも見事で、単なるハッピーエンドで終わらないところが秀逸と言って良いでしょう。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

美しい家 (講談社文庫) 新野剛志

八月のマルクス」(1999年)、「あぽやん」(2008年)など、毛色の違う多くのヒット作を持っている著者の2013年刊(文庫版は2017年)の長編社会ミステリー小説です。

主人公は二人で、その二人の視点で物語が同時並行して進められていきます。

一人目は最近は新作が書けないでいる小説家で、子供の頃に姉が何者かに拉致されて行方不明となってしまった過去を引きずっている男性と、もう一人は刑務所から出たばかりの暗い過去を持つ若い男性です。

と思っていたら、終盤近くでそのうちの一人、作家がもう一人の主人公男性にあっけなく殺されてしまいます。ネタバレ失礼。

行く当てのない家族を引き受けて、集団で生活をするというのは古くは1980年頃に起きた「イエスの方舟事件」や、2012年には「尼崎事件」というのもありましたが、そうしたところで育てられた子供達が、成長して大きくなってからも過去を引きずっていく様子がよく描かれています。

タイトルは転々と住まいを変える集団生活において、そこで生まれ育った子供達が、幼いときのイメージの中に生じさせる理想的な住まいを揶揄したものと思われます。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

お別れの音 (文春文庫) 青山七恵

著者は2007年に「ひとり日和」で芥川賞受賞、2009年には短編「かけら」で川端康成文学賞を受賞した若手作家のホープのひとりで、2010年(文庫は2013年)刊の短編小説です。この作家さんの小説を読むのは今回が初めてです。

短編は、「新しいビルディング」「お上手」「ニカウさんの近況」「うちの娘」「役立たず」「ファビアンの家の思い出」の6編で、それぞれ「別れ」がテーマとなっていますが、関連はなく独立した話しです。

割とそれぞれが平坦な日常の光景を淡々と描いたもので、特にインパクトを感じる隙間もないのですが、その6編の中でかろうじて印象に残った作品はというと、街中でよく見かける靴の修理やキーの複製などをしてくれるワンオペのお店の男性に興味を持ってしまう女性を描いた「お上手」と、大学を卒業前の最後の夏休みに、英国へ留学している友人に誘われてスイスへ旅行する学生の一夏の体験とその後を描いた「ファビアンの家の思い出」ぐらいでしょうか。

小説というと非日常のあり得そうもない凶悪な事件や死に至る病気など、刺激的な話しが多い中、こうした薄味で淡々とした別に誰かが死ぬわけでもなく、家族が引き裂かれるわけでもなく、悪意がみなぎるわけでもない平凡な人の平凡な日常が逆に新鮮に思える時代になってきたのかも知れません。

そう、起承転結なんかくそ食らえ!って感じで、いつ終わったのかもわからないような。

私の年代(弱肉強食が普通に通用した年代)だと、どうにもまどろっこしく感じたり、物足りなく感じるでしょうけど、若い人、特に女性や草食系と言われる男子には、心穏やかに共感が得られそうな気がします。

ただ短編作品に関しては私の評価は厳しくて★1つです。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

偽悪のすすめ 嫌われることが怖くなくなる生き方 (講談社+α新書) 坂上忍

主としてテレビバラエティ番組のMCで活躍している著者の2014年刊のエッセイ本です。芸能人がよく出すゴーストが書いた当たり障りのない自慢話かと怖々読んでみたところ、なかなか毒舌を持ち味としたキャラを生かした人生の深い話が聞けます。

実は私自身がテレビのバラエティ番組はまず見ないので、この人のことはほとんど知らず、たまにワイドショーのMCやコメンテターで言いたい放題に話しをしているところをちょっとだけ見て、顔ぐらいは知っているというレベルです。

バラエティ番組のMCをする人はたいてい元アナウンサーとか、しゃべりが商売のコメディアンが多いのですが、この著者は元人気子役で、大人になってからも子役のしがらみを振り払い、俳優を続けているという割と珍しい人です。ってほとんどの人が私よりもよく知っているでしょうからあらためて説明する必要はないでしょう。

この著者の面白いところは、俳優ならば大手芸能事務所に所属して付き人やマネージャーをつけて自分は演技以外の仕事はしないというのが普通でしょうけど、著者は子役時代に個人事務所を設立し、その後も群れずに一人で芸能活動をやっていくことを善としています。

そうした「鶏口となるも牛後となるなかれ」主義は著者の数々の毒舌と称される発言にも影響していて、本人はいたって普通にしゃべったことが、芸能業界の中ではちょっと異例のことだったり、空気を読まないと非難されたりということのようです。

若者に対し「スマホなんかいじってないで、おっぱいをいじろう」みたいなエロオヤジ全開モードのところもありますが、この人も正直すぎて時代の趨勢には乗っかれない人なんだろうなぁと思ってしまいます。

いえ、それが間違っているというのではなく、誰でも年を重ねていくと、そういう上から目線で自己中気味の説教臭くなるってことで、この異端児?も同じ中年なんだなぁって嬉しく思う次第です。

★★☆


【関連リンク】
 9月前半の読書 危険なささやき、会社の品格、男の勘ちがい、安土城の幽霊
 8月後半の読書 白雪姫殺人事件、里山資本主義、デセプション・ポイント、漂流者たち
 8月前半の読書 転落の街、となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術、長女たち、殺戮にいたる病
 7月後半の読書 漂えど沈まず、そして奔流へ 新・病葉流れて、本と私、落日燃ゆ、いっぽん桜
 7月前半の読書 思考の整理学、白砂、ちょいな人々、静かな黄昏の国、召集令状
 6月後半の読書 反逆、死にたくはないが、生きたくもない。、黒警、尖閣激突!ドローン・コマンド
 6月前半の読書 本日は、お日柄もよく、巨人たちの星、ぼくらの民主主義なんだぜ、戦艦大和
 5月後半の読書 バランスが肝心、獄窓記、十字架、碇星、ようこそ、わが家へ
 5月前半の読書 他人を見下す若者たち、八月の六日間、氷の華、愛と名誉のために、顔に降りかかる雨
 4月後半の読書 一九八四年、ガニメデの優しい巨人、老いの才覚、旅のラゴス、ソロモンの犬
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党




リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)




1159
危険なささやき (1983年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) J.P.マンシェット

日本語版は1983年に発刊されたフランスの私立探偵小説というちょっと珍しいジャンルの作品です。

フランスの小説ということもあって、この小説を原作としたアラン・ドロンが制作・監督・主演をこなした同名の映画作品が1981年に作られていて、そちらのほうが一般的にはよく知られているかも知れません。

そしてこの小説の翻訳者が、フランスを舞台にした犯罪小説やミステリー小説を多く書き、また2001年に「愛の領分」で直木賞に輝いた藤田宜永氏というのも注目される点です。

小説の舞台になっているのが1970年代後半頃のフランスで、有名なシャンゼリゼや凱旋門など観光地ではなく、パリ郊外などあまり知らない場所で展開していきます。

また当然ですが、時代柄携帯電話やパソコンなど情報機器らしいものはなにもなく、昔ながらの知恵と足で情報を得て、事件に首を突っ込んでいきます。

主人公が行方不明になった女性を探そうとした途端に、殺し屋が現れ、事件から手を引くように脅されたり、依頼人と駅で待ち合わせをしたら目の前で射殺されてしまったり、さらにはガールフレンドが誘拐されてしまうという、よくわからないまま大きな陰謀に巻き込まれていきます。

派手なドンパチや暴力シーン、アクションシーンもふんだんにあり、確かに映画に向きそうなエンタメ的展開です。

書かれた時代が時代だけあって、今読むとなにか懐かしい香りがする上質なミステリー探偵小説でした。古い文庫本だけに文字のサイズが小さく、目の焦点が合いにくくなってきた高齢の身にはちょっとつらいのはやむを得ません。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

会社の品格 (幻冬舎新書) 小笹芳央

著者は元リクで卒業してリンクアンドモチベーションを設立して活躍されている有名な方です。2007年に出版されました。

どうも私は「品格」という言葉に弱く、30数年前に新卒で入社した(営業が主体の)会社の当時の社長がよく言っていた「一流の環境にいれば一流の品格が身につき一流の営業ができる」と、当時はまだ小さい会社ながら、かなり無理をして超一流のビルの中に(小さく)事務所を構えていたことを思い出します。

で、「一流の品格」ってなんぞや?とずっと考え続けてきましたが、実は今でもよくわかっていません。品格って時と立場と環境によりますよね、たぶん。

それ故に、書籍で「品格」と名の付くものは、自然と手が動き、片っ端から買ってきて読んでいるってわけです。

国家の品格」「男の品格」「女性の品格」「女と男の品格。」「日本人の品格」「遊びの品格」「親の品格」などなど。

で、この本は新書にありがちな著者の会社の事業PR本という側面は多々あるものの、経営者が自分では気がつかず、残念な会社となっていく気づきになるかもしれません。

うつけな経営者が「なるほど!そうか!」と手を打つかどうかはわかりませんが、著者の経営する会社に相談してみよう!と考えるかも知れません。

企業経営者が書いた新書を読むと必ずと言って良いほどそうした自社PR本となっていて、印刷部数のうち書店で販売された数よりも会社が買い取って客や見込み客に配った数のほうが多いのではないか?って思うこともありますが、物書きができる中小企業経営者にとってはそれが最善の策とも言えそうです。

この本は、そうした自社PRももちろん詰め込まれていますが、ははーんなるほどねという納得感もあり、特に目新しさはありませんが、暇つぶしの自己啓発には悪くありません。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

男の勘ちがい (文春文庫) 南美希子

amazonが日本に法人を設立したのが1998年ですから、この本が出版された1992年にはまだ本の通販は一般的ではなかったということになります。

だから何なのだ?と言われても困りますが、1991年に設立されて急拡大中のブックオフで見つけたこの本の中身はかなり赤茶けていて、いかにも古書という感じがします。1992年と言えばわずか25年前なんですけどね。

著者は元テレ朝のアナウンサーで、この本を執筆したときは33歳とありましたから、今では還暦を超え、立派な高齢者の仲間入りをされています。今でもバラエティ番組などに時々出演されているようです。

この本が書かれた頃の世の中はまだバブルに踊っているさなかで、「車載電話付きの高級外車」や「地上げオヤジとその愛人」とか、「カルティエのリング」「アラミスを付けた男」とか懐かしいことばが満載です。今真面目に書かれているそういう時代表現を読むとなんだか皮肉を綴った漫画です。

しかし著者とはひとつ違いの同年代で、そうした時代をともに見てきただけに、笑えるに笑えません。

ちょっと今読むと時代があまりにも違いすぎて、男女とも役には立ちそうもありませんが、バブル時代の饗宴をちょっと懐かしむにはちょうど良いかもしれません。

★☆☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

安土城の幽霊 「信長の棺」異聞録 (文春文庫) 加藤廣

信長の棺」(2005年)のスピンアウトもので2011年発刊(文庫は2013年)の短編集です。

「藤吉郎放浪記」「安土城の幽霊」「つくもなす物語」の三編からなるこの「小説は、タイトルにもある通り、「信長の棺」の戦国時代末期のそれぞれ独立した物語です。

しがない商人から時代の寵児へと駆け上がっていく秀吉=藤吉郎の身分や山の民として生まれた出自を必死に隠し、己の才能だけを頼りに信長に近づき、腹心として当時の家督制度、武家社会に真っ向立ち向かっていく姿を描いた「藤吉郎放浪記」。

信長の理不尽な命令に振り回されて悔しがる愚図で小心者の家康が、腹心の部下服部半蔵を使って信長に偽の幽霊を見せて一泡吹かせようとするものの、安土城には信長に取り憑いた本物の幽霊が先にいて、取り憑かれた幽霊を祓うために頼ったのが阿弥陀寺の住職、清玉上人だったという話しの「安土城の幽霊」。

室町時代に宋から日本へ渡り、足利義満に献上されたとされ、現在も静嘉堂文庫美術館に所蔵されている「九十九茄子〈つくもなす〉」という見事な茶器が、足利義満(金閣寺建立)→足利義政(銀閣寺建立)→山名是豊(応仁の乱)→伊佐宋雲→朝倉教景→松永久秀→足利義昭→織田信長→豊臣秀吉→有馬則頼→徳川家康→藤重藤元→岩崎弥之助(三菱グループ創設者)と数奇な運命をたどっていく話しの「つくもなす物語」。

いずれも戦国時代ファンにとってはフィクションとした「異聞」ではあるものの、なかなか面白い内容となっていて、エンタメとして楽しめます。

★★☆

【関連リンク】
 8月後半の読書 白雪姫殺人事件、里山資本主義、デセプション・ポイント、漂流者たち
 8月前半の読書 転落の街、となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術、長女たち、殺戮にいたる病
 7月後半の読書 漂えど沈まず、そして奔流へ 新・病葉流れて、本と私、落日燃ゆ、いっぽん桜
 7月前半の読書 思考の整理学、白砂、ちょいな人々、静かな黄昏の国、召集令状
 6月後半の読書 反逆、死にたくはないが、生きたくもない。、黒警、尖閣激突!ドローン・コマンド
 6月前半の読書 本日は、お日柄もよく、巨人たちの星、ぼくらの民主主義なんだぜ、戦艦大和
 5月後半の読書 バランスが肝心、獄窓記、十字架、碇星、ようこそ、わが家へ
 5月前半の読書 他人を見下す若者たち、八月の六日間、氷の華、愛と名誉のために、顔に降りかかる雨
 4月後半の読書 一九八四年、ガニメデの優しい巨人、老いの才覚、旅のラゴス、ソロモンの犬
 4月前半の読書 二流小説家、脊梁山脈、国盗り物語(1)(2)、遊びの品格、悪党






リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)

カウンター
カレンダー
 
11  2017/12  01
S M T W T F S
1
3 4 5 7 8
10 11 12 14 15
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
最新コメント
[10/17 area@管理人]
[10/17 浦辻久雄]
[05/31 すいか男]
[04/08 area@管理人]
[04/08 すいか男]
最新TB
ブログ内検索
プロフィール
HN:
area@リストラ天国
HP:
性別:
男性
職業:
今のところ会社員
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
過去に上場企業の役員とリストラ解雇で就職浪人の経験がある、紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
お勧めPR
Template & Icon by kura07 / Photo by Abundant Shine
Powered by [PR]
/ 忍者ブログ